『ジョジョの奇妙な冒険外伝 SNOW MEMORYS
第4話 危険な恐竜と庭@』




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祐一と北川は二人の少女に睨まれている。二人ともはっきり言って、この学校でかなりの人気を誇っている。
しかし、今は

「祐一、朝……何してたの?」

「いや、道に迷ってな」

「なんで、おれも呼ばれたんだ?」

「北川君は事情を知っているみたいだから」

かなり、名雪はご機嫌斜めのようだ…まぁ、当然といえば当然だろう。
祐一は結局遅刻してきたし、その制服には所々切れているという状態だ。
ちなみに血はなんとか落とした…
しかし、制服を洗ったためか、制服は冷たく、かなりの拷問だったと記しておく。
なんせ、この地方は4月なのに気温がまだ、都会でいう冬並なので、かなり寒いのだ。
その気温を濡れた制服で過ごしたのだから…風邪をひかないようにしようと思っているところだ。
ちなみに、石橋(担任)は気にせずにHRを終えたと追記しておこう

そんなこんなで……現在、祐一達は放課後に名雪達の事情聴取を受けている。
あゆは部活に行った。ちなみに美術部である。曰く

「栞ちゃんのストッパーになってみせるよ」

だそうだ。以前、栞にちょっとした虫がついたのだ。
その時に、栞が絵のモデルになってほしい。と言われた虫(生徒)が、モデルになり絵を描かれた。
その絵を見た瞬間

グラッ

その男子生徒は気絶したというエピソードがあるのだ。
その日のうちに栞に近づく奴はあまりいなくなったが……
それを、危惧したあゆが栞のストッパーになったのだ。
そして、その戦果は素晴らしいものと伝えておこう。

「祐一……どういうこと?」

現実に戻り……祐一と北川は主に、名雪に責められていた。
先日の祐一が負傷した事件の件があるのが影響しているのだろう。言うまでは帰さない、と気配でわかる。

「そうだな……じゃ、暖かいところで話そう。百花屋にいこうぜ。」

祐一の台詞で全員が動き出した。廊下に出たところで北川が

「なぁ、相沢……今、何時だ?」

「?まだ…4時だぞ?」

「……どうし…!?」

名雪は台詞をきった。そう、まだ4時なのだ。しかし、

「なんで……誰もいないの?」

香里のその言葉に答えられるものはいない…この事態を説明する事などできないのだから


「……外にも誰もいないわね…」

香里の台詞は現状を表わしていた。外には普通、部活をしているものがいるはずだが、誰もいない。
それどころか、話し声一つ無いのだから……
風が吹き、木々は揺れる。

ざわざわ

これぐらいしか音がない。
となりの名雪も呆然としている。さすがに、この状況では寝ることは無い

「……どう思う?北川」

「十中八九、スタンドだろうな……それ以外にこの状況作れるなら教えてくれ」

二人は幾分か声を緊張させた…
女子2人に比べるとスタンドバトルの経験があるせいか、比較的冷静のようだ。
しかし、2人の冷静さが余計に事態の深刻さを伝えているのだ。名雪と香里に……
2人はそれに気付かずに話しをする。

「……どうする?」

「うーん、この手のタイプは本体を倒すしかないな…それしかないだろ」

「……なんで……そんなに冷静なのよ」

香里の呟きだが、なぜかよく聞こえる。2人は

「うーん、そうだな……驚くタイミングを間違えたからかな」

「この状況でふざけられるほど、おれは不真面目じゃない」

2人の言葉を聞き、香里は

(ようするに……これから、とんでもないことになるのね)

香里はそう予感した。そして、それは事実であるのだ

「ど、どうするの?」

名雪は不安げに尋ねた。どうすればいいのか分からない、と彼女の不安げな顔から容易に推測できる。

「そうだな…しょうがないから手分けして捜そう」

「じゃ、俺と北川で分けるとして…二人はどうする?」

祐一の疑問。この状況で2人を置いていくのはあまりにも危険過ぎる。そして、

「じゃ、俺と名雪だな。名雪は、運動神経はいいけど反射神経はあまり無いから、なんとかカバーする」

「おれは、美坂とか…いいか?」

香里は頷いた。そして、二手に分かれて探索することになった。


祐一&名雪視点
祐一は現在の状況をなんとか把握しようとした。ちなみに商店街の北のほうにいる

(これが、スタンドとして……いったい、なにを…)

この街に閉じこめても、殺す事は、当分は無理だろう。
持久戦になると分からないが、それでも、祐一と北川の二人掛りならば、なんとか倒せるだろう。

(まさか…相手も2人か?だとしたら勘弁してくれよ)

今日の朝に殺されかけたことを思いだし、ブルーになる祐一。
説明が遅れたが、祐一は将との闘いの傷はリトルミラクルで応急処置をしている。
傷口を叩き、肉を伸ばして血が出ないようにしている。
祐一のスタンドはなんでも出来る……だが、反面その一つ一つは完璧には対処できない。
例えば、傷を治すにしても、血を補充もできない。
地面を弾丸のように飛ばすのはできるが、圧倒的な威力にはできない。
地面で捕まえた件にしても、捕まえたところを破壊されればまた叩きなおして捕まえないといけないのだ。
結局のところ、祐一のスタンドの基本戦法は拳で完全KO。これにつきるのだ。
それが困難の時に能力を使う。これが基本だ。
……まぁ、これから成長するポテンシャルはあるのだが…

(あー、3人か4人いるんじゃないか?)

祐一の思考が段々悪い方向に向き始めたとき一人の男が現れた。
顔は美形で、体型もやせ型のいわゆる、遊び人。と形容される人物だ。
しかし、名雪は今の状況で始めて人に出会ったので、

「はじめまして、私、水瀬名雪と言います。こっちは……祐一?」

嬉しさの余り、自己紹介を始めた名雪だが、祐一の顔を見て、不安になる。
それを、無視して

「……お前が…このスタンドの本体か?」

「はい。私がこのスタンドの本体です。始めまして、相沢祐一君?」

「俺の名前を……知っているのか?」

「当然ですよ。朝に将さんを倒したそうですね。そうそう名雪さん僕の名前は遊馬。海崎遊馬です。」

とにこやかに返された。祐一は

「名雪…隠れててくれ」

「え、でも……」

「悪いけど…あいつがこの状況の原因だ。注意はするけど…お前を守っている余裕は無いと思う。だから…」

「守る……祐一は危ない事をするんだね?」

名雪の反論。祐一は言葉に詰まる。

「祐一、危ない事しちゃダメ……!!」

それと同時に、名雪に向かって電柱が倒れてきた。祐一は

「オラオラオラ」

スタンド「リトルミラクル」を出し、名雪を守る。遊馬は

「いつまでも話してないで下さいよ。僕、もう待ちくたびれましたよ」

遊馬はにこやかだった。しかし、それは顔だけだ。全身から発する感情は怒りだった。
先程の言葉を直訳すると「待たすなよ。とっとと、かかってこい」と言っているのだ。

「あんまり、待たすと……また名雪さんに攻撃がいきますよ。」

遊馬の挑発。そして、

(名雪と離れると……名雪が危険だ!)

このまま名雪と離れれば、確実に名雪を狙う。
目の前の男は名雪を殺す事などなんとも思わないような男だから
現状を理解した祐一は……

「名雪……さっきのは無しだ。離れるなよ。離れたらあいつに殺される!」

名雪は、今度は頷いた。さすがにこのままだと命を落とすだろう。ということは名雪にも分かる。
そして、名雪は予期せぬ言葉を言った。

「祐一……この銀色の人……なに?」

その瞬間、一瞬だがこの辺りが硬直した。 


時を同じくして
北川&香里視点
ところかわり、北川達は商店街を抜け、住宅地に入った。そこにもやはり人はいない。
先程から少し風は出ているが、それが余計にこの静寂を強調している。
ほどなくして、香里が

「北川君……それに相沢君も……なんでそんなに冷静なの?」

当然の疑問だ。この状況で冷静に出来る高校生…それは確かにおかしい。
現にあの、天然ボケとされている名雪でさえ驚いていた。あまり本人には言えないが……

「うーん……そうだな…簡単に言うとこの状況に慣れているからかな」

「この?もしかしてこの状況に見当がついているの?」

「ああ、さすがにこんなタイプはあまり会わないけどね」

「タイプ?会わない?ということはこれは誰かが起こしているの?」

北川は感嘆した。確かに失言だったが、こんなに早く気付くとは……なかなかの観察力だ。
彼女はただ頭が良いだけの秀才ではなく、洞察力も高い……どちらかというと天才タイプのようだ。
北川は正直に話すことにした。

「そうだな……話しておこう。これはスタンドというものだ。
こんなふうに通常じゃ考えられない事が起きるんだ。」

簡潔だった。だがそれだけでは納得できない、そう香里の表情は言っている。

「なぜ?なぜ私達が狙われているの?」

「……正確には違う……奴等が狙ってるのはおれであって、相沢達じゃないんだ
…更に言うと…このままだと危険だ」

「なぜ?」

「これは相手のスタンドだから、俺達は鴨がねぎしょってやってきたようなものだ。
分かっていると思うけど……おれ達が鴨だ。」

現時点の自分が置かれている立場を正確に認識し、香里は顔を蒼くする。

「まぁ、守る努力は精一杯するよ。でないと……!」

北川は言葉をきる。それと同時になにか大きな音が聞こえる。北川と香里は身を固くする。
今、現時点で黄信号だったが、この音で確実に赤になった。

ドスンッドスン

街をも揺らす大きな音。それもただ大きいだけでなく、周りに威圧感を振りまいている。
2人はさらに身を固くする。この音は着実に、そして確実におれ達の元に近づいている。
前述したように周りに威圧感を発しながら近づく音。
それが自分達の元に来るのだからたまったものではない。

「美坂……注意してくれ。このままだと…やばい!」

北川の忠告は、自分でもあまり意味はないと分かっている。
しかし、とりあえず伝えておかないと、事態が急に悪化したとき、対処できないからだ。

そして……

ほどなくして、音の正体があきらかになる。

「ギャォォォーー!!!」

右に家がある。問題はその屋根の向こう側。

それは、恐竜と呼ばれる恐ろしい生物!
その全長は比較的小さく、10mほどだが、人間と比べればかなり大きい。
獰猛さを表わすかのような、とがった牙、そして手にはえた爪。
目つきも尖っていて野性味も強調されている。
全身は濃い緑のような色をしている。

少し小さいかもしれないがそれは恐竜にふさわしい姿をしている。
北川も香里も驚いている。当然だろう。そこには本来なら絶対にいない生物が目の前にいるのだから。

そして……

パッ

その恐竜を見た瞬間、辺りの景色が変わり……
辺りは見たことのない木がたくさん生えている。
それは、まるで……いや、昔、恐竜が生息していたと、人が想像しているような世界が辺りに広がっている。

「「なっ!!??」」

2人の声が重なる。ついさっき自分がいた所は商店街のはずだ。
それがなぜか、古代のジャングルにいるのだから。

「ど、どういうこと!」

香里の叫びが木霊する。それと同時に

「ギャォォォォーー!!」

恐竜が2人目掛けて突っ込んできた!



TO BE CONTINUED



キャラ紹介
海崎遊馬
顔はかなりの美形だが全身から遊び人というような感じがかなりする男。
普段は笑顔だが、その性格はかなり切れやすい、切れるときにはかなりのバリエーションがあるため、
精神的にかなりおかしい。
現時点でのスタンド能力は不明。



後書き
作:今回はあっさりしているかな?
祐:リョウさんのご注文通りに大型タイプだな
作:ああ。そういえば君のスタンド…ほんとは、それじゃないんだ
祐:そうなのか?
作:ああ、ほんとはストーンオーシャンのダイバーダウンに似た能力の予定だった。
祐:おいおい
作:いやさ……その時ストーンオーシャン、読んでなくてさ。うろ覚えだったんだ
祐:知らない間に使っていたと……
作:そう。だから急遽考えたのが、今のスタンドだ。
祐:やれやれだぜ
作:では、次回




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