とある日の昼下がり、まだ午後になっていからまだ時間もあまり経っていない今日この日。
 世はクリスマスと呼ばれる物に包まれていた。
 カップル達はお互い愛を確かめ合い。
 その他一人身の男達はお互いの友情を確かめ合い。
 その一方で一人身の女性達はお互いの友情を深め合うと同時に、この人にだけは負けないと心に強く思う。
 そして、一部の人間は分厚い……そう鈍器にもなるんじゃないかと思われるほどの重さを持った本を片手に、
メモを取る人間もいる。

「はあ……」

 そんなクリスマスに、1人華麗で色とりどりなイルミネーションで彩られた商店街を歩く彼、志麻恭司は誕生
日を迎えたのだった。

















                         *












 目的ははっきりしている。
 翠屋に行く。
 実のところ、本来ならば悪友とでも歩いている予定だったのだが、今日になって予定ができたから無理だと言
われ現状に至る。所詮、男の友情なんてものは色々な欲に負けるのだろう、今がいい例だ。
 というわけで寂しく1人、ケーキでも食べに行こうかとに翠屋に向かっているという次第だ。

 しかし憎たらしいほどに街は色とりどりのイルミネーションで飾られ、ショーウィンドウには雲がかかってい
る様な白いスノースプレーで描かれた絵がいたるところに描かれている。極め付きはこのスピーカーから聞こえ
るクリスマスソングの数々。今の俺には呪いの音叉にも聞こえるぜ。
 少しは俺の誕生日を祝えよ畜生、とごちりそうになるが堪える。
 この行く先々に見えるカップルはクリスマスという行事に酔いしれた愚者なのだと、皮肉半分羨望半分で見て
から視線を外す。

 なんだかんだと色々な思いを持ちながら歩く俺だが、実のところ何も考えちゃいない。考えるだけ無駄だとも
う何年も思い知ったからである。帰れば誰もいない家。母親である人は仕事上、書き入れ時なのでどうしても帰
りは遅くなってしまう。それを毎年だ。
 一昨年は高町家の人たちのお世話になったが、さすがに何度もというわけにもいかないので今年は黙っていた。
 それにしたって――

「寒いなー、はあ……」

 あと少しで翠屋につくということで、暖が取れる、と思っていたのだが……。

「へ?」

 毎年毎年どこからくるのかねーとか思いながら店頭販売の机を横切るつもりだったのだが、妙に閑散としてい
た。おまけに遠目から見える店頭販売の机の上にはレジしかなく、ケーキの見本やケーキが入っている箱などは
見当たらなかった。
 店の近くに行けば行くほど疑問の種は尽きない。尽きないどころか増える一方であった。
 店内は黒い暗幕の様な物で仕切られ中の様子はわからない。おまけに玄関につけばCLOSEDと書かれた吊り看板。
 するとそのドアから人が出てきた。

「すいません今日はもうおしま――きょ、恭司君?」
「あーはい、そのどの恭司君かわかりませんが俺はその恭司という名前を持ってます」

 店内から出てきたのは、ここのお店のパティシエ高町桃子さんだった。

「え、えーっと分かり辛いボケはいいとして――」

 分かり辛いいわれた。

「どうしたの? 今日はもう終わっちゃったんだけど」
「いえ、今日も店内でケーキ食べようって思ったんですけど、何も残ってないんですか?」

 そっと店内の様子を見ようと桃子さんの脇から覗こうとするが、すぐさま桃子さんが体を横にずらしてきたの
で店内が見れなかった。
 ……邪魔です桃子さん。

「――っええ、店頭販売のケーキも売りつくしたし追加でも作ろうかなーとは思ってるけど」
「くっ……そう、なんですか!」
「っ! そ、そうなのよ。だからもしケーキが欲しいならあと3時間くらいはかかっちゃう、わっ!」

 俺は店内の様子を見ようとやけになり、桃子さんはそんな俺の邪魔をするように体を動かしてくる。
 うねうねうねうね。
 ダメだ、これ以上やったら近所の笑いものになる。それだけは避けねばならない。
 ……昨今何故か俺の噂がやけに多く聞く。
 曰く妹的存在を1年ごとに増やすギャルゲ主人公とか。
 曰く姉的存在を1年ごとに増やすギャルゲ主人公とか。
 あれ、どっちも一緒じゃね? という思いを消し去り、これ以上噂の種になりたくないので帰ることにする。

「諦めます、それじゃまた今夜にでも」
「ええ士郎さんも待ってるわ」

 そのまま帰ろうとする。
 後ろから安堵する気配、俺は家路へと急ぐ……と見せかけて!

「まだ、何かあるのかな?」

 笑顔を極めたら、笑顔1つで色々な感情を表せるっていうのかな。明らかにあれは見た相手を恐怖に誘う笑顔
だった。

「いいえ、なんでもないですよ!?」
「そう、ならもう私お店に入っても大丈夫よね?」
「サ、サーイエッサー!」

 つい敬礼をしてしまった。
 仕方ない、コンビニに寄って適当に見繕うか……。

「残念ながら帰らせていただきます」
「ええ、気をつけてね」

 今度こそ普通に帰る。これ以上煽ったら本当に色々な意味でお亡くなりになりかねない。
 家に帰る前に途中でコンビニに寄る。コンビニでもケーキが品切れしてしまっていたので、とりあえず100
円のスティックチーズケーキで我慢。これも立派なケーキだぞと、自分を偽りながら。

 家に帰るまでは何事もなく――何処となく道の端からキャーとか悲鳴が聞こえてきたり。どこかしらから犬の
鳴き声や猫の鳴き声が数10匹単位での物くらいかな? そんなものが聞こえてきたが――
 何事もないだろう……うん。

「ただいまー」

 誰もいない家に帰ってきた。
 部屋の中は誰もいない、暖房も何もついていないので、少々寒い。なのですぐさま暖房をつける。まだ昼とは
いえ、少々寒いのも相まって部屋が暗く感じられた。
 コンビニの袋から買ってきたチーズケーキを冷蔵庫に入れる。
 無機質な冷蔵庫の駆動音がやけに部屋に響いた。

「むぅ」

 何もすることがない。
 本来ならばゲーセンにでも行って適当に夜まで過ごすつもりが悪友がいなくなった為なくなり。
 代替案として翠屋でケーキを食べながら時間を潰すつもりだったが、こちらも何故か翠屋が閉店していたので
却下。そういうわけで、何もすることがないという事だ。

「寝るか……」

 昨日は寝るのが遅くなったので眠気はある。
 なので、とりあえず夜になるまで寝ようかなと自分の部屋に入る。その前にリビングの暖房は消して自分の部
屋の暖房をつけるのを忘れずに。

「あー」

 ベッドに入ると意外にも眠気が襲ってきたので、早めに寝ることができそうだ。

「ん……」

 そうして俺は意識を手放したのだった。



                         *



 ゆさゆさ――

「うぅん」

 ゆさゆさ――

「んー……はやて、そんなもの食べちゃダメだ……」

 ゆさゆさゆさゆさゆさ――

「しつこいな、フェイトみたいにネチネチした人になるぞー」

 ――っ! バサっ!

「う? さむっ! ちょさむい!」

 誰だ、夢を見ながら心地よい揺さぶりに身を任せ、ゆっくり睡眠を貪っていた俺の布団を取ったのは!
 目の前がぼんやりとだが映っていく。
 俺の部屋に誰かいるな――?

「誰だー、俺の休める時間を奪う奴はー」
「ネチネチした性格の人……ですよ?」

 あれ、なんかこの人怒ってない?

「ネチネチ……誰だそれ?」
「恭司さんあなたが言ったんですよ」
「俺が――」

 そこで視界が徐々にだが明ける。
 その目に映ったものは、人形を彷彿とさせるような綺麗な顔立ちで、透き通った風のような声で物を喋る少女
がいた。さらには特徴とも言うべき赤い目と、金色の川を想像するような髪を黒いリボンで2つに分けている。

「う……そ、そんな褒めた――って寝ぼけてません?」
「あー、声に出てた? はいそーッス、眠くて目がああ、目がああ」
「そんな大佐の物まねはいいですから」
「……知っているのか」
「この前、エイミィがジ○リシリーズ全部借りたので一緒に見てました」

 さすが○ブリ、知名度は計り知れないぜ。

「おはようフェイト」
「何事も無く済ますんですね、恭司さん」
「俺はスルー推奨だからな」

 意味が分かりませんよと苦笑しながら答えるフェイト。
 きちんと答えてくれる分、素直でいい子だ。

「挨拶がない」
「え?」
「挨拶がないぞー」
「あ、はい、おはようございます。……えと、着替えずに寝たんですか?」
「ん、する事なくて――ってフェイトが来てるって事はもう朝なのか!?」
「いえ、まだ夕方ですよ」

 部屋の窓を見てみると薄暗く空がオレンジ色になっていた。黄昏とはまさにこの時の事だろう。
 どうやら結構な時間寝ていたらしい。

「それで、俺と何か用事あったっけフェイトと」
「約束していませんが、今日これから私と付き合ってくれますか?」
「ん――特に何も用事ないから、問題はない」
「ありがとうございます」

 相変わらず堅苦しいなあ、と思いながらゆっくりと身を起こす。
 部屋から中々フェイトが出て行かない。もしかして――

「――フェイト、俺の着替え見たいのか?」

 すると、コンロに火が出るかのようにフェイトの顔が真っ赤になる。憂い奴よほっほっほ。
 ……誰だ俺は。

「ご、ごめんなさい」

 そうして飛び出すように部屋を出ようとするフェイト、だが……。

「そんな急にだと――」

 瞬間、鈍い音。
 フェイトが部屋の扉を閉めているのを忘れて出て行こうとするので、頭にぶつけたようだ。
 しゃがんでから手を額に当て、うーうー唸っている。

「だ、大丈夫か?」
「大丈夫……です」

 明らかに大丈夫そうじゃない涙目でこちらを見てくる。
 その姿が保護欲をそそる小動物のように見えた。なんというか可愛いと思ってしまった。

「それじゃ、リビングで待ってますから」
「あ、ああ……」
「?」

 必死に動揺を隠したつもりが、言葉をどもってしまった俺に気にすることなく出て行こうとするフェイト。
 だが――

「だから忘れるなって……」
「うー、うー」

 振り向いた瞬間――フェイトは2度目の痛打を受けたのだった。



                         *



 問題も無く着替えを済ませ、リビングにいたフェイトに氷のうを渡した。
 そのままゆっくり会話も無く、だからといって閑散としているわけでなく。
 あの場の空気を言葉に表すとしたら『まったり』という言葉が丁度当てはまるだろう。そのような空気に身を
任せて数分が経ってから、俺達は家を出た。
 今は外でフェイトのされるがまま連れ出されている。ゆっくり2人で歩く。

「何処に連れて行く気――まさか誘拐!?」
「しませんっ! 恭司さんを誘拐したところで私のメリットはなんですか」
「俺を奴隷に?」
「しませんっ!」
「愛玩動物?」
「しませんっ! って何もしないから普通についてきてください……」
「――暇つぶしにフェイトをからかうと面白いなー」
「暇つぶしの相手だったんですか私!」

 ため息をつくフェイト。ため息をつくと幸せが逃げるんだぞー。
 その少しだけ疲れた頭がいい位置にあったのでなんとなく、撫でる。

「なでなでしたって、何もでませんよ」
「さっきまでのは冗談だって……暇つぶしってところは」
「私をからかうのは面白いってのも否定してください!」
「えー?」
「なんで不満そうなんですか!」

 そのまま住宅街を歩く、しかしこの家を見るに本当最近のイルミネーションは凝ってるなあ。
 うわ、でかいツリー、なんで2階まで届いてるほどの木を飾るんだ。しかもアレもみの木じゃないし。
 こっちは玄関に追加の電灯があるぞ。
 お、あれは……。

「ほれフェイト、あそこに光ったイルカがいるぞ」
「え?」

 俺が指した先には家のベランダにかかっていたイルミネーション。それはまさにイルカの形をしていた。

「でも、なんでイルカなんだろうな『クリスマス』なのに」
「可愛いからいいんじゃないんですか?」
「そんなもんか?」
「そんなもん、です」

 笑ってフェイトは言う。綺麗ならいい、可愛ければいい世の中これが正義だと言う輩もいるくらいだクリスマ
スにイルカを飾っても問題がないのだろう。
 先ほどまで歩いていた住宅が並ぶ光景から、今度は数々の店が並ぶ商店街へと街の様子は変わる。
 昼間も通ったが、少しあたりが暗くなるだけでこうもイルミネーションが綺麗に映るとはね。

「綺麗ですね」
「そうだな。でも電気代の無駄だ」
「そ、それはそうですけど」

 もう少し単純に考えれば、フェイトと同じ感想が言えるのだろうけどこの性格は簡単に直るものでもない。
 そのまま商店街をゆっくりと歩く。
 あれ……この先にある店って――

「着きました、ここに用事があります」
「ここって――」

 フェイトの言う目的地は『翠屋』だった。
 昼と変わらず、店内の様子は見ることができない。おまけにまだCLOSEDの吊り看板。

「やってないみたいだけど?」
「ええ。やってないですけど、やってますよ」
「へ?」

 なぞなぞなのか、要領を得ないフェイトの言葉に首を傾げる。
 そんな俺の様子を尻目にフェイトは玄関を開けようとする。

「いいのか?」
「いいんですよ。だって恭司さん今日は貴方が――」

 言い切る前にフェイトが扉を開く。
 その扉がゆっくりと開かれていく様子を俺はじっと見て、外の様子と違って意外に明るいのか店内からもれた
光が直接俺の目に入ってくる。それに眩んで、うっ、と目を瞑った。
 そしてそのまま目を開けるとそこには。

「――主役なんですから」

 知り合い一同が介す宴が待っていた。
























             魔法少女リリカルなのは 救うもの救われるもの 外伝ぜろいち


               「志麻恭司誕生祭 〜救世主さま聖誕祭とご一緒〜」






















「い、いつまで泣いてるのきょー君」

 主役級の扱いを受けた俺はすぐに涙腺が決壊、すぐさま部屋の隅に逃げた俺に美由希さんが話しかけてくれる。
 いえ、これは汗ですそう汗なんですよ。

「感動したんですよお……」
「私、心は読めないけど。た、多分本音と建前逆になってると思うんだ」

 混乱のあまりか美由希さんの言うとおり逆だった。

「ほら、今日の主役がこんなところでめそめそしてないで、乾杯の音頭とらなきゃね」
「うっす」

 鼻をすする。そのまま俺はまたみんなの前に逆戻り。
 周りを見ると大体がニヤニヤした笑いになっている。まるで、いたずらが成功した子供のように。
 なんとなく悔しいが、それを飲み込む。

「えーっとまず始めにみっともない所を見せてすんません!」
「やんややんや」
「ちょ、そこやんや言うな。はあ、とにかくクリスマスという大切な日に俺みたいな奴の事を祝ってくれるなん
て、正直いいのかなーとか思ってます」

 これは本当の事。野次が飛ぶがこれは本音だ。
 そのまま俺は言葉を少しだけきって紡ぐ、俺の本音を。

「ただここまで驚いたのは多分、生まれて初めてです。いますげー感動してます! ありがとう!
 それでは、堅苦しい言葉は抜きにして今日はみんなと無礼講だー! 乾杯!」

 俺の言葉にみんな「乾杯!」と言ってくれる、ノリのいい人達だ。
 そうしてこの短くとも長い宴が始まった。





 カウンター席のテーブルに所狭しと料理が置いてあって、そこから好きなものを取る。
 そして取った料理を持ち各々好きな席に座って談笑している。
 すると士郎さんがこちらに来たので、相手をしようと思った。

「やあ恭司君、楽しんでるかな?」
「はい、わざわざありがとうございます。ただお店まで閉めちゃって大丈夫だったんですか?」

 俺の心配することじゃないのだろうが、だからといって無視できる問題でもない。

「今年はねケーキは全部予約制にして午前中に取りに来てもらうようにしてたんだ、だから売り上げは殆ど変わ
らないし問題もない。
 それにこれを企画したのは君のお母さんに頼まれて、それに乗った俺達はこの場を提供しただけだし」
「え、母さんが?」
「そう、ほらこれ」

 と士郎さんはどこからともなく何か取り出す。
 それはクリスマスカードだった。そしてそのまま俺に手渡されたので早速読んでみる。

「えーっと『これを読んでいるってことは私はもう――』ってあんた死んでねーよ!」

 最初の一文を読んで頭が痛くなった。
 何を考えてるんだあの人は……。

「『さて恭司はこれを始め読んでから頭が痛くなったと思うけど、それは気にしないでこのまま続けるわ』
 ってこの人完全に俺の思考読んでますね……

『今まで仕事でクリスマスに帰ることができずにごめんなさい。
 貴方には寂しい思いをさせたので、今年はそのお詫びをこめてこのような場を設けさせて貰ったわ。
 本当、高町の人たちには一家揃って頭が上がらないわね。とにかく、今年は楽しんできなさい。
 最後に誕生日おめでとう、そして――』」

「『――メリークリスマス』かまったく――
 ……士郎さんありがとうございます」
「それは桃子にも言ってくれ、一番張り切っていたのは桃子だからな」
「はい!」

 そうして去っていく士郎さん。
 ただその、桃子さんに向かっていく時のだらしない顔と「ももこぉ〜」が無ければがあれば完璧なのに……。
 その士郎さんについていって、桃子さんにもきちんとお礼をした。
 昼間のあれはこれの為だったという事なのは、この店に入って気づいていたけど。





 さて、誰に話かけようか。ここで選択肢が出れば完璧にアドベンチャーゲームだなと冗談を思いつつ店内を見
渡す。
 いつもの翠屋の装用はやはりパーティ用になっているのでそれはもう派手だった。紙で作られた装飾ももちろ
んあるし、クリスマスの雰囲気として当然イルミネーションもいくつかあった。
 とりあえず料理のチキンを拝借。かぶりつきながらボケーとしていたら肩を叩かれたので後ろを振り向く。
 振り向いてみると指で頬を突かれた。

「リンディさん……子供の真似は止めた方が」
「いいじゃない、恭司君の頬ぷにぷにしてて突き甲斐があるのだもの」

 そういうとそのまま人差し指を前後して俺の頬を何度も突く。
 ぷにぷに。
 飽きもせず話しながらもまだ突いてくる。

「チキンおいしい?」

 ――ぷにぷに。

「ええ、美味しいですけど……」

 ――ぷにぷにぷに。

「それ私が焼いたの、ちょっとだけ自信作よ」

 ――ぷにぷにぷにぷに。

「そうなんですか、いやいやこれは本当に美味しいですよ」

 ――ぷにぷ……

「――誰か止めようよ」
「エイミィさん、俺はもうリンディさんのされるがままなので」
「って恭司君が言ってるから問題ないの」
「母さんさすがに止めて下さい……」

 えー、と声を上げながらリンディさんは俺の頬を突くのをやめる。……少しだけヒリヒリする。
 結局止めたのは俺らの様子を見かねたエイミィさんとクロノだった。
 その後お互い『メリークリスマス』を言うと、俺以外はその後に『誕生日おめでとう』とつけてくれた。





 リンディさん、エイミィさん、クロノと別れた後。
 奥に座っていた恭也さんと忍さん、そしてノエルさんが紅茶を飲んでゆっくりとしていたのでそっと近づく。

「恭司か?」

 さすが恭也さん。俺の方振り向いてもいないのに気づく。

「こんな隅っこでゆっくりしてるから何してるのかなーと気になっちゃいまして」
「やあ恭也と同じ字を持つ恭司くんや」
「忍さん、その独特な呼び方いつも出会い頭に言いますけどそろそろ止めません?」
「えー」
「あ、ノエルさんすいません」

 むくれる忍さんを尻目にノエルさんから紅茶をいただく。
 あ、美味しい……。

「ノエルさん、これってヌワラエリヤですか? すっきり通る味だけどこのしっかりした風味なのはそれしか思
いつかなくて」
「はい、先日知り合いの方から少々旬には早い時期だけど、と頂きまして皆様にもとお嬢様が」
「これストレートティーによく合いますよねー」
「ええ、ですが意外にもミルクとも相性がいいです。扱いは難しいですが」
「え! そうなんですか。へー、俺このお茶ってストレートしか――」
「エキサイトしてるな恭司」
「いつも思うけど、なんでこの子ノエルと話がよく合うのかしら……」

 ついつい紅茶の話でノエルさんと話しこんでしまう。
 本来なら恭也さんと鍛錬について少しだけ話そうと思ったのだけど意外に時間をくってしまった。
 そしてその場から抜ける。
 戻り際に忍さんが「いつか執事……いやメイドでもぬふふふ」と呟いていたらしいが、あいにくその時の俺に
は聞こえなかった。





「よう同級生ズ+α」

 また別のテーブルに座っているなのはとフェイト、アリサにすずが。さらにすずかのお付きであるファリンの
5人組がいたので話しかける。
 ちなみに同級生ズは俺が今さっき決めたここのグループ名だ。

「あ、恭司くん。誕生日おめでとー」
「ありがとな、なのは。みんなもありがとう」

 みんなからもお祝いの言葉を貰った。
 そしてさっきから、ただなんとなく気になったのが――

「なあ、この小動物ってそういえばなのはが飼い主だったよな」
「えっ!? う、うんそうだよ?」

 そう気になっていたのはこのフェレット……っぽい生き物だった。今では俺の手によって首根っこを掴まれて
るが。
 このフェレット、何故かテーブルの下で料理を噛み締めて、何を思うのか先程から上をキョロキョロと向くの
だ。そして1度見渡した後、また料理を食べる。少しだけ間をおいてまた上をキョロキョロと……。
 まるで――

「こいつ料理食べながら、5人のスカートの中覗くようにしてたけど……ただの動物だよな?」

 俺の発言の後、何故か5人の空気が一気に冷たくなった。
 ――怖っ! なにこの殺気、小学生が出せる殺気じゃないですよ! というかそもそも小学生が殺気って……。
 でも俺のほうに注がれた殺気かと一時は思ったけど、どうやらそれは杞憂だった。殺気はこの右手で掴んだフ
ェレットに対してだった。そのフェレットと言えば「きゅーきゅー」と鳴いて俺に助けを請うてるようにも見え
るが……俺に罪はないよな。
 そのままフェレットをテーブルの上にちょこんと乗せる。

「えーっと……どうするかは飼い主のなのはが決めてくれ。お、俺はもう行くな?」
「うん、ありがとう恭司くん」
「ありがとうございます恭司さん」
「ふふふ……どうしてやろうかしら」
「……」
「あわわわわ、みんなどうしたんですか!?」

 不穏な空気だったがなんとなく……なんとなくだったが一番怖かったのはすずかだったと俺は後になって思い
出す。だが本人には内緒だよ? これ俺との約束だよ? お願いだから!
 最後になのはが私の全力全開受けてみる? となにか呟いていたが……。俺には何故かそれがフェレットに対
する最終勧告なのかな……と思えて仕方が無かった。





 逃げ出した俺はそのまま甘味を味わうべく、料理の隣にあったケーキにかぶりつく。
 もちろんホールでゲットだぜ!
 いや、ケーキいっぱいあったから皆の分を考えてホールで取ったよ? うん。
 ケーキを一通り堪能した後ちょっとお腹一杯で苦しかったので、少しだけ風に当たろうとこっそり翠屋を出る。
 外に出てみれば、黒い空模様から純白の雪が降っていた。
 ホワイトクリスマス、か。通りで昼から寒いわけだ……。ふと横を見るとアルフとザフィーラがいた。

「なんで翠屋に入ってみんなと一緒じゃないんだ?」

 と問いかけてみるも、相手は犬だ。当然応えてもくれない。
 ただなんとなくだけど、俺と一緒なのかなって思った。
 寒くなってきたので翠屋に入ろうとしたけど、ふと視界の隅に見慣れた姿があった。
 靴を鳴らしてそのままその後姿について行く。

「誰だ?」

 尾行していた訳でないのだが、シグナムさんに問われるとなんとなくやましい気持ちになってしまった。
 だがやましい思いは何も無いので、すぐに答える。

「志麻恭司……です」
「恭司さん?」

 俺の名前を言って振り向いたのは車椅子の女の子八神はやてだった。



                         *



 そのままなし崩し的にはやてついて行ってしまった。
 相変わらずシグナムさんには咎められるような目で見られていたが……。

「恭司さん、抜け出して大丈夫なん?」
「あー、まあ皆楽しんでるしいいんじゃないかな。それよりはやてこそ抜け出してどこか用事でもあるのか?」
「私? んーちょうな」

 と、何か言いたそうにしているシグナムさんにも声をかける。

「シグナムさん、俺がついていっても良かったんですか?」
「いずれ分かる事だからな、まあ――問題はないだろう」
「はあ……」

 煮え切らない答えが返ってきた。
 ただ、この2人ともどことなくうわの空であることは確かだった。
 そのまま3人とも歩く……、どこに向かうのかいまいち分からないが、ただ雪の降る町並みをみながら、この
ような散歩をするのもまた趣きがあっていいなあと思う。
 何故外に出る必要があるのか、目的でもあるのか……なにもかもが、もやがかって見えないこの状況下で物事
を考えたって無駄なので、何も考えずただ景色が流れるのを空っぽの頭で見る。
 そして目的地についたのか途中で歩みを止めた。

「1年かあ、あっという間やったな」
「そうですね」

 なんとなく俺が入れる空気じゃないので、少しだけ下がって木によりかかって2人の様子を見守っていた。
 2人で何か感慨深く話している。それを遠目から見ている俺。
 完全に部外者だな……。すると話も佳境に入ったのか少しだけ声が聞こえてきた。

「あの『事件』から1年、主はやて……後悔していますか?」
「そうやな、後悔とはちゃうけど。他にも方法があったんやないか、っていつも思うてしまうんよ」
「そうですね……」
「……何があったのか知らないが、俺は思うぞ」

 ただその会話が気になったので、無礼ながら勝手に入らせてもらった。
 聞こえたのだけでも1年前に何かがあって、そしてはやては『後悔している』と分かったからだ。
 だから俺はその『事件』というのを知らず、聞かずに思っている事を口にする。

「人ってのは後悔しない事なんてない。そんな奴がいれば教えて欲しいくらいだ。
 もしはやてが本当に後悔していないのなら、いちいち昔の事なんて思い出さないさ。だから今のおまえは後悔
している」
「え……?」
「……」

 2人して俺の方を振り返ると、その2人共驚いた顔をしていた。その様子を気にせず俺は続ける。

「だから、はやてはもっと後悔するんだ。その『事件』とやらを俺は何も知らない、だから勝手な事を言ってい
るっていうのは重々承知しているけど……。
 ただもし、とかこうしたらっていうのは何度考えたって無駄なんだよ」
「……」
「志麻……お前」
「けど後悔しなければ人は前に進めない、後悔しなかったらそいつは過去を無視して前に進んでいる『フリ』を
しているだけだ。それは成長と呼ばないし思い出とも言わない。
 それはただ現実逃避している奴だけだ」

 昔、自分が思い知った事を口にする。
 はやての過去を抉るような事になるかもしれないけれど、ただはやてのしていることは無駄じゃない事だけは
教える。お前のやっていることは立派な事なのだと。

「俺は現実逃避をした奴を知っている。いやただ知っているだけだから知人という訳ではないけどな。
 その現実逃避した奴ってのは自分で命を絶った奴だ。こいつが最悪だ。この世を恨んだのか、逃げ出したのか
そんなのは些細な事だ。自ら命を絶つという事はただ目の前の事から逃げ出す事だから。
 この雪のようにあっという間に霞んで消えてしまうのは……嫌だよな」

 1度言葉を切る、そしてはやてに教えてやるんだ進めと。
 過去を振り返ってもいい、だけど前に進むことだけは止めちゃいけないと。
 はやてにゆっくり近づきながら、その事を伝える。

「だから、生きている人間ってのはみんな必ず1度は後悔をする。後悔して何度も何度もさっき言ったような無
駄な事を考えて、そして考え抜いて、次に進むんだ。それを糧にして。
 もっと、もっと考えるんだはやて。そんでもって前に進むんだ。お前は今進んでいる、前に前にと。だから胸
張って生きるんだはやて。
 もし、君が何かに立ち向かうというのなら、俺がその手伝いをしよう。一緒に前へ貫き通そう」

 俺はそう言いきると、そのままはやての反応を待つ。未だにはやては呆けているが、俺の言葉は伝わっただろ
うか……。
 だが、次はシグナムさんが俺に言葉を投げかける番だった。

「志麻、お前の言っていることは尤もだがそれは強者の考えだ。
 確かに私はそれに共感できるし、確かな事だとも思う。だがそれは同時に諸刃の刃だ」
「……」
「……」
「弱者がその考えに至り、強者となるにはその後悔というものを味わう必要があるだろう。
 だがその後悔が取り返しのつかないようなものだったならば? 初めて味わう喪失感だとすればお前はどうす
るのだ。とてもだが耐えられる物でないものなら?」

 俺はその言葉に返す言葉はない、だが俺が思っている事だけは伝える事が出来る。

「そうですね、確かに俺が言ったのはそいつが直面する大きさによってそれは簡単に覆るものです。
 だけど……俺は『はやて』に言葉を投げかけた。その『弱者』ってのが誰かは知らない。だからシグナムさん
の問いには答えられないです」
「ふ……そうだったな」

 シグナムさんは納得したのか、満足したのかそれ以降俺に言葉を投げかける事は無かった。

「恭司さん、私な思うんよ」
「ああ」

 はやては俺たちの問答を聞いてから自らの言葉で話してくれた。そのはやての瞳に篭った物は強い意志を持っ
ていた。その瞳で俺を見る、俺はその意思を受け止める。
 今の彼女に冗談や嘘は通じない、唯一通じるものがあれば真摯な言葉と実感のこもった言葉だけだろう。

「確かに自分から命を絶とうなんてもんは卑怯な事かも知れん。
 だけどな、それが他の人の為やったらどうなんやろうか、それも卑怯な事なんかな」
「ああ、卑怯だ」
「何で? 他の人の為に死んだんよ? 仕方なくやったら? それを否定するなんて事、私許さへんよ」

 その有無を言わさない目つきは本当に少女の物なのだろうか……。
 まるではやてを通して誰かが俺に話しかけてるようにも聞こえた。

「ああ、否定はしない……だけどそれでも卑怯だ。確かに立派な事なのかもしれない、それが最善の物だった時
でも。
 だけど、はやてを残して逝っちまったんだったらはやてはどうするんだ。はやての想いは? だからこうやっ
て……はやては、ここに想いを持っているんじゃないのか?」
「あ……」

 俺は話すことを止めない。そうだ結局残された者の事を考えないものだ逃げているんだ。
 確かにそれは仕方なかったのかもしれない、だけど酷い事を言うけどそれはやっぱり逃げてしまったのも同じ
なのだろう。だからこそ残された者は後悔をする。もしかしたらというIFの可能性を模索する。
 逃げたくて逃げたのでも無いかもしれない、そう……どれもこれもIFの話。人の数だけ物語があるそれらが全
てIFだ。だから、自ら命と絶った人を否定はしないきっとその人の物語で意味のあるものだから。
 だけど俺が今大切と思うのは――。

「もっと楽になれはやて。失ったものは本当に大切なものだったんだろ。きっといなくなった人もきっとはやて
と一緒に居たかったんじゃないかな……。もしそうならその人はきっと今のお前に笑っていて欲しいと思ってい
るんじゃないのか?」
「あ、ああ、うわあああっ――」

 まるで水を塞き止めていたダムが決壊するかのように、はやての強い目から涙が零れ落ちる。
 それをあやすように俺ははやてを抱きとめ背中を撫でてやる。
 ――昔、同じような事で悩んでいた俺がされたように、言葉と一緒に。

「今は俺がいてあげる……だから貫こう、自分の道を」



                         *



「なんていうか、ごめんなはやて」
「何で謝るん? 別に恭司さんは何も悪う事してへんよ」
「ふふ……」

 なんというか、女の子を泣かせてしまったという点でなんとなく後ろめたさが……。
 先程まで泣いていたはやては涙を拭って今では笑顔だった。

「主はやて、志麻は女の子を泣かせたという事だけで悪いと思っているのですよ」
「そうなん?」
「シグナムさん何で言うかなー!」

 恥ずかしさで胸いっぱいだ、くそぅ……
 それにしても翠屋からこっそり抜け出して大分時間が経ってしまっていた。
 きっといないことはもうバレているだろうから、もう堂々と帰る。
 その道中ではやてがこんな事を言い出した。

「恭司さん、さっきまでの恭司さんなんか兄さんみたいやったわ。
 だから、なんとなくやけど『きょう兄』って呼んでもええかな?」
「――え?」

 驚いたが、特に問題も無いので……。

「別にどう呼んでくれたって構わないぞ。俺であることは変わりないんだし」
「なら、今日からきょう兄って呼ぶわ」
「……まあはやてがそうしたいって言うなら」

 ただ1つだけ気になった点があるのを忘れていた。そう――

「なあ、ヴィータとシャマルさんは今日どうしたんだ?」

 翠屋にもいなかった2人が気になった。
 すると帰ってきた答えは単純かつ明快であった。

「ヴィータは老人ホームでクリスマス会を楽しんでるで。シャマルやけど確かご近所の付き合いとかなんとかで
婦人同士のクリスマス会なんて物に参加。
 シャマルはこっちに参加したかったらしいんやけど、向こうにどうしても言われたらしくてなあ」

 という訳だった。恭司にとって今日の疑問がまた1つ晴れた時だった。
 そしてそのまま雪が降る町を3人で歩き翠屋に戻った。行きと違って、皆笑顔だった事だけが唯一の違いだっ
たが。



 そして戻った俺達を襲ったのが、目の前の惨事だった。
 誰が持ってきたのか『酒瓶』が……。
 いえ、確かに大人もいますし、飲む人もいますよ? だからっておおっぴらに子供がいるパーティですること
じゃないです。
 そのまま俺達はその狂乱へと介入するのだった。

「ほらー、君も飲むんだ恭司君」

 いきなり一番絡みたくない相手に絡まれた。
 その相手は皆様も予想している通り、あの士郎さんだった。
 いつもは割と寡黙に飲むくせに、こういうときだけ羽目を外すんだから……。

「うっ、お酒臭いッスよ士郎さん……っていうか未成年に酒を勧めないで下さい!」
「はははは、気にするな恭司君! こうやって少年は大人になっていくんだよ!」
「そんな大人になりたくないです!」

 しかし士郎さんは俺の言葉に耳を貸さない。
 この調子でこられたらたまったものでないと、逃げ出す算段をつける。
 だが、士郎さんのほうが上手だったようで――

「ほーれぐびぐびぐび」
「嗚呼! ぐぶぶぶぶぶぶ……んっくんっくんっく」
「おーいい飲みっぷりだぞお恭司君!」

 あー、意外においしー……。
 ということなので――

「しろうさーん、それもっとありません? え? ないだってー。
 んー、それよこしなさーい、てりゃあああ」

 士郎さんからお酒をふんだくる。

「んっくんっくんっく――」

 俺の意識と記憶はここで途切れた――



                         *



 そして翌日なのだが。
 もう既に日は昇り、目を覚ました俺を待っていたのは――

「にゃあああ!」
「――へっ、ぬおわ!」

 お、驚いた。目を開ければ起こそうとしてくれていたのか、なのはのドアップだったからだ。
 そのままなのはは、ばたばたと部屋を出る。
 あれ……ここ俺の部屋じゃ、ない?
 今おかれてる身を確かめるために、体を起こす。瞬間――

「――あだだだだだだ!」

 尋常じゃない頭痛が俺を襲った。
 そして思い至る、昨日何があったのか……

「えっと、確か翠屋でパーティをして――あああ! ――っ!!」

 自爆した……。自分で大声を上げてその声に反応して頭痛がっ。
 そして冷静になってしっかりと思い出そうとする。昨日の騒ぎを……。

(えっと、確か翠屋抜け出して、戻ってきたらなぜか酒乱になってて……それで――)

 そこから殆ど記憶がない。
 多分……俺も酒を飲まされたんだと思うんだけど。
 そして今寝ているのはきっと高町家だ、何度か見たことのある家具が置いてある。
 ゆっくりと体を起こして、そのままリビングに行くと見慣れた顔が1人。

「あ、なのは」
「にゃにゃにゃ! きょ、恭司くん!? 私別に何も見てないよ!」
「ぁぅ……ごめん、なのは大声出さないでくれ……頭に響く」
「ご、ごめんなさい」

 なのはからそのまま水を貰って一息つく。
 そして気になった、なのはが漏らした1つのフレーズ。

「――ところで気になったんだけど」
「な、なにかな?」
「何を……見たんだって?」
「にゃ、にゃんのことかなー」
「誤魔化すなよ……で? 何を見たんだ?」

 先日の昼間見たあの笑顔を再現してみる。
 あの笑顔でいながら、別の感情を表す、あの笑みを。

「何もみてないもーーーん!!」
「あっぐ……っておいなのは」

 そのままなのはは逃げ出してしまった。
 こうして色々な謎を残したまま俺のクリスマス兼誕生日は終焉を迎えた。
 ただ……その日から妙に同級生ズの様子がよそよそしかったとだけ付け加えておく。




 ――酔った俺は何をしたんだああああああ! あっ――つう……。



























【あとがき】
 正直やりすぎた。
 文章量しかり、構成力の甘さしかり、さらには自分のスケジュールの確認の甘さ等
 まったくもってやりすぎました。
 おまけにオチとしては少々弱めだった気がします……。
 初短編でしたが、皆様いかがでしたでしょうか。2話での一部気になるような部分をピックアップしつつ、
なんとかクリスマスにこぎつけました。

 また最後となりましたが、読者の皆様とこのSSの展示をしてくださったリョウさんに感謝を
 では次お会いできる機会を楽しみにしています










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