風呂に行こうとしたが着替えがなく上は訓練服で解決したが替えの下着がなくコンビニに買いに行くことにした。

コンビニまでの道がわからなかった。

道案内はスバルになったのだが……

女子に下着の買い物付き合ってもらうなんてハズいわ!

どんだけ恥かけばいいんだよ今日は……









時空を駆けちまった少年

第5話










  〜機動六課からコンビニへの途中〜





「ハァ〜……」



六課から出てコンビニに向かって夜道をスバルと歩いている。

本来なら喜ぶべき状況なんだが理由が理由なためそんなことなどできない。

むしろ凹んでる。



「まだ落ち込んでんの? 元気だしなよ」

「おまえな〜、普通男の下着買いに行くの手伝わないだろ……恥ずかしいだろ」

「だからわたしは気にしないって」

「気にしてくれ……」



ああ……もうホント言うだけ無駄だ。

こいつには女子としての自覚はないのかと問いたい。



「もういいや……」



もうこれ以上言うのは流石に失礼だろうしスバルも悪気があってしているのではない。

むしろ親切として言ってきているのだろうからな。とりあえず何か話題を出して会話をしよう。



「コンビニって近いのか?」

「ん〜歩いて10分くらいかな」

「街中の方にあるのか?」

「うんはずれの方だけどね、あっちの方」



そういってスバルは前方を指す。

その先には俺の住む田舎なんか比べられないほどの光と高層ビルと言っても過言ではないだろうと言えるくらいの建物が立ち並んでいた。



「えっ、あれではずれ? めっちゃ都会じゃん」



その景色でもはずれの方だというのだから驚きだ。



「もしかしてケイの世界ってかなり田舎?」

「世界っていうより俺の街が田舎だな、かなり」



実際田んぼばっかで山に囲まれた所だ。

流石に絵にかいたりマンガに出てくるほどの田舎ではないが

大きなデパートも車で40分程走らなければならないし、ファーストフード店などは一軒もない。

コンビニはあるけど、今日みたいにクマが結構降りてきたりする。

普段は秋にしか出ないんだが……



「あっ、ここだよ」



そうこう話しているうちに目的のコンビニに着いたようだ。

異世界のコンビニなど想像したこともなかったからどれ程のものか結構気になっていた俺は嬉々としてその店を見た。



「おっ、ここk……」



俺は突然言葉をくぎってしまった。

なぜならば俺の目線の先には







LAWSAN







と書かれた青い看板が目印のコンビニがあったからだ。

LAWSAN!?SONじゃなくてSAN!? なんだ!? このマンガで出てくるパチもんみたいな名前は!?



「どしたの看板みて驚いて……もしかしてコンビニってはじめて?」

「……一応聞きたいんだが他にもコンビニの名前ってあるのか?」

「えーっとね、他にブラザーマートにサンカクKでしょ、あとはセブントゥエルブかな」



全部微妙にちがうーーーー!?

あんまりにもパチもんくさく変わっているコンビニの名前の違いに驚く。



もしかして結構日本人がこの世界にきて商売してんのか!?



「ほらはやくはいろ〜」

「あ、ああ」



流石に売ってるもんまでパチもんじゃねえよな。

そう思いつつ俺は店に入っていったのだった。













「ありがとーございましたー」



これまた青いコンビニの従業員用の服をきたバイトの人からマニュアル通りの挨拶をされ俺たちはコンビニから出た。

一応目的だった下着は買えたのだが正直そのコーナーにまでついてきたスバルには困った。

しかも噂が好きそうなおばさんが2、3人程いて俺たちをみて何やらヒソヒソ話まで始めていやがった。

しかも内容まで聞こえた。











  〜回想おばさん会話〜







「見て見てあそこの2人。あの歳で下着なんて男女で買いに来てる」

「いやね〜最近の若い子供は」

「そういえば家のお隣さんの親戚の子も…」



などと好き勝手なこと言ってそのままご近所さんの話になった。

コンビニじゃなくてスーパーか買い物帰りにしろよそんな話。

どの世界でも主婦は噂とヒソヒソ話が大好きだったようだ。







  〜回想終了〜







「買えてよかったね」

「………………そうだな」



まあ、もうそのおばさん達と会うことはないしスバル自身も気づかなかったみたいだからこの件は忘れよう。

しかしこれだけは忘れられなかった。

だってありえねぇ! なんだよ!?



コケ・コーラってカじゃないのかよ!? しかもファン太!? 

誰だよそいつ!



つうかなんでラベルに日本語が入ってるんだよ!? 管理外なんだろ日本!?

売っていた商品の名前はツッコミ所満載だった。本当にビビった。





「ねえ、話きいてる?」

「ん、ああ聞いてる聞いてる」





ごめん。実はコンビニの商品名にツッコミ入れてました。本当はその場で突っ込みたかったが流石にあの店内で出来るほど肝は据わってない。

それにあのおばさん達にあれ以上見られたくなかったんだ。



「嘘だ〜、さっきからなんか驚いてばっかでツッコミいれてる感じだったよ」



……やっぱバレていた。というかツッコミをいれてる様子までわかるって…

顔に出ているのか俺は!?



「い、いや空がきれいだなぁ〜」



焦ってそう言って誤魔化した。

正直こんなので誤魔化せるはずもないのだが……





「そうだね〜、あたしこの空に憧れたんだ…」



誤魔化せたようだ……まさかこれで誤魔化せるとは思っていなくて拍子抜けだな。



そう言って空をみあげていたスバルの顔は何かを思い出しているようだった。

そして嬉しそうに何やら思い出し笑いをしだした。





うわぁ……かわいいな……



……いかんな……いくら思春期だからってそんなことまで考えてたら。



「なんなんだ?その憧れた理由は、何か嬉しそうに思い出してるみたいだけど」



聞いていいことなのかは分らなかったが聞いてみることにした。

するとスバルは嬉しそうに話してくれた。



「わたしね、昔空港火災にあってねもう少しで瓦礫の下敷きになるところだったんだ」

「……いきなりヘビィな話から始まったな」



俺はそういうことに遭ったことがないからわからないが、小さい子供の頃にそんな体験をしたのなら余程の恐怖だっただろうな。





「けどどうしてそこから憧れの話になるんだ?」

「うん…その下敷きになりそうだったときに救助活動をしていたなのはさんが助けてくれたんだ。そしてそのまま地下から砲撃で天井と壁を打ち抜いて

そのまま飛行して脱出したんだ」

「地下から打ち抜いたって……」



おいおい、いくらなんでも荒技すぎだろそれ。

建物自体が崩れたりするとか考えなかったのかよ……つうかあの人一体どんだけ威力のある砲撃が撃てるんだ?

聞きたい気もするがなんか恐いぞ……やめとこやっぱ。



「でね、そのときに抱えられながら見たなのはさんの姿とその夜空がものすごく奇麗で自分もこの人みたいに強くなりたい……

そしてこの空を駆け抜けたいって思ったんだ」

「……いい話だな。そんなことがあったら憧れるのは当然かもな」

「うん!」



ものすごく嬉しそうにスバルは笑う。



きっとそれがきっかけで管理局に入って努力とかもしたんだろうな。そして今はその憧れの人の処で教わっている……

ちょっと羨ましいかな。



「けど……スバルは飛ばないのか?今日会ったとき飛んでなかっただろ?」



たしかローラースケートのような物を履いていた気がするが。



「あたしは飛べないけど駆けることはできるよ…ね?相棒?」

《 Yes. 》



そう言うとスバルの首にかかった蒼い宝石のような物が喋った。

ちょっと驚いたが取り調べのときにこの世界の説明でデバイスのことを聞いていたのでそこまでの驚きはなかった。

いくらなんでもいつまでも驚きのツッコミもいれられないしな。



「それがスバルのデバイス?」

「うん、マッハキャリバーっていうの」

《 Nice to meet you (初めまして) 》

「おうよろしく」



しかし何故に英語で話すデバイスよ。

使用者は日本語話すんだからお前らも日本語話せよ。

ややこしい。

俺英語苦手なんだよ。



「しかしいいよな、魔法使えて……俺も使いたいよ……」

「検査してもらえば使えるかわかるよ?」

「マジか!?」



そうか〜検査すりゃできたりするのか〜、使えるようになったら何しよ…

とりあえずまずは空飛びたいな。

うん。空を飛ぶこれ人類の夢なり!





「うん、検査お願いしてみる?」

「じゃあ是非ともお願いしてみてくれ」

「りょ〜かい、その代り今度アイスおごってね」

「悪ぃ、俺無一文」





いや正確には財布にいくらか入ってるけどここじゃないのと同じだからな。

第一、金があったらお前に買い物するのに立て替えてもらってないぞ。





「そだった……」



スバルは残念そうに言った。

ついでにちょっと下に向いて凹んだら頭のアホ毛もヘナッとしぼんだ。

……こいつのアホ毛は感情を表現できるのか。

すげえなアホ毛、ちょっと欲しいぞ。



「まぁいつかおごるよ」

「絶対だからね!!」



すごい勢いで立ち直ってそう言ってきた。

同時にさっきしぼんだアホ毛まで立ち直っている。

いや…マジですげえぞ。

その勢いに俺はちょっと驚いて返事をした。



「お、おうまけせとけ」



しかしいつ買いに行けるんだろう。

俺ここで金手に入れる手段なんかないぞ。

んっ?しかし買いに行くとなるとそれはデートになるのか?

いや……ていうか今もそうなるのか?



「……マジでどうなるんだ?」

「えっ?何が?」



もしデートになるならその内容が俺の下着買いにで、しかも俺は無一文で……

な、情けねぇ、情けなさすぎる……





「ねえ……黙り込んでいきなり凹んでどうしたの?」

「いや、初の同い年の女子とのデートがこんな形なのかと……」



もっとちゃんとしたデートをしたかったぞ俺よ…



「あっ、えっ で、でも彼女とかは……」

「いったろ?俺モテないって」



彼女がいたら初なんて言っとらんわい。そんくらい察してくれ。



「しかもかなりかわいい娘と……」

「か…かわいい……」



俺がそういったら赤くなるスバルだった。

なぜに赤くなる?



「ん?赤くなってどした?」

「あ、あたしかわいいって言われたことなかったから」

「そうか?俺は思うけど。俺だったら彼女になってほしいくらいだけど」



実際性格もいいしこんな娘がうちの学校とかにいたらさぞモテただろうに。

そうなると話す機会もなかっただろうけど。



「あ、あはは。ありがとね」



ん?……しまった!

またハズいこと言っちまった! 俺のアホ!

ホントに今さらだが何言ってるんだ俺は!?

あああマジでさっきのなしにしたい……



「ま、また黙り込んで凹んだ…」



凹んだ俺を見てスバルは苦笑いをした。

しかもまだちょっと赤いままだった。かわいいぞチクショウ!

とりあえず話をかえよう、そうしよう。



「ん……す、すまん いやな、それに魔法も使えるなんてカッコイイなとも思ってな」



これでまた誤魔化せるだろうか……不安だ。



「……けどケイの世界じゃ普通じゃないんでしょ?普通じゃないなんてイヤじゃないの?」



誤魔化せたようだが今度は何やら真剣というか悲しいというか複雑な表情になったスバル。

何か普通ではない所でもあるのだろうか……魔法使える時点で普通ではないが。





「別に……嫌なんてことはないぞ?好きになったらそんなこと気にしないし、ちゃんと俺が好きになれて相手も好きでいてくれるんならそれでいい

 それに………」

「それに?」

「魔法があったんだから普通の定義も壊れたし、普通じゃない相手と恋愛ってのありだと思うぞ。改造人間でしたとかクローンでしたとか

 そんなんでも問題ないだろ生きてるなら。流石にゾンビとかそれで人型保ててないとか、ニューハーフでしたとかいう落ちは勘弁だけど」



そんなことを言ったらスバルはしばらくキョットンとしてこっちを見てきた。それに何かに驚いていたようにも感じた。



「な、何だよ……漫画の読み過ぎとか言うのか? 実際俺からしたら魔法も漫画なんだぞ!?」



実際部屋にかなりの数の漫画があるから否定ができん所が痛いが……



「プッ……あは、あははは」



なぜか今度は笑いだしたスバル。

どことなく嬉しそうな感じもしたがこの場合呆れたかなんかで笑ってるんだろうな。

……言うんじゃなかった…



「おかしいこと言って悪うございました」



そう言って俺は少し拗ねる。



「ううん なんにも ほら隊舎見えてきたよ 行こっ!」



そう言ってスバルは俺の手を引っ張って隊舎まで走りだした。



「ん?おお」



どことなく元から元気な娘だと思っていたがまたその元気が増えたような気がする。

元気なのはいいことだが……



「もう少しゆっくり走れ! 速すぎだ! 100m何秒台だよお前」



引っ張るスバルの走る速さが速すぎて足が回らなかった。俺も運動神経はそうよくないが能力なら結構高い方だぞ!?

それでもついていけないって何秒台だこいつ。



「あっ……ゴメンゴメン、とりあえず…7、8秒くらいかな?」

「…………」



魔導士って運動あんま得意そうなイメージがなかったが一気にそんなイメージは吹っ飛んだ。

一体どうなってるんだ?異世界の奴らは。

こうして俺の初デート? は終わり隊舎へと入って行った。







   〜六課エリオの部屋〜







買い物が終わり隊舎まで戻ったら入口でエリオと偶然会いそのまま部屋を案内してもらいお邪魔しているスバルの方ともそこで別れた。

エリオの部屋は2段ベッドと机が2つあり片方の机の上にはおそらく俺が借りることとなる訓練用らしき服が置いてあった。

この服なら寝巻きにしても問題なさそうな感じだな。



「じゃあこれからしばらくよろしくな。いびきはかかない方だから寝るときは安心しろ」

「うん、こちらこそよろしく」



そういい嬉しそうに返事をするエリオ。



「あっ、そうだお風呂入ってきたら?僕はもう入って来たけど今なら貸切り状態だよ」

「そうだな。じゃあ入ってくるよ」



エリオに風呂の位置を聞き俺は部屋に備え付けのタオルと着替えをもって向かったのだった。







Sideスバル





わたしはケイと別れた後お風呂に来ていた。

買い物の帰り……ケイに言われたことは嬉しくもあり恥ずかしくもあった。

訓練校で同じくらいの男の子はいたけどあんなこと言う人はさすがにいなかった。

それに彼女にしたいくらいだなんて……



「うう〜…思い出すと恥ずかしい」



そんなこと考えながらついお風呂に鼻の下だけつけてぶくぶくっとする。



やっぱりかわいいとか言われて悪い気はしなかったな……

でも……わたしみたいな体でも気にしないって言ってたのホントかな?



わたしが戦闘機人だと知っているのはここでは隊長達を除くとティアだけだ……

ティアにこのことを知られたときととっても不安だったが今まで通りの関係でいられることができた。

普通の人は機械で作られた体の持ち主を嫌う。

そこがわたしの体を知られることを不安にさせる。





「……はぁ…悩んでても解決しないか…」





いつまでも考えてても解決しないし取り合えず頭を洗おうと湯船から上がろうとしたその瞬間だった。





「お〜結構広い風呂だ……な…」

「へっ?」

「あ……あれ?」



腰にタオルの巻いたケイが女湯に入ってきたのだった。

ケイはまた思考が止まったみたいになったがすぐに慌てて





「ごめん! すぐ出ていく! ほんとごめんなさい」



と言って扉を閉めて出ていこうとした。



「ちょっと待って!」 



ケイが去るのを止めていた。

さっき気にしていたことをこの後聞こう。

見られた後の仕返しはその後にしよう。







Sideケイ





「ごめん! すぐ出てく! ほんとごめんなさい」

「ちょっと待って!」



そう言って扉を閉め出ていこうとしたらスバルに止められた。

…ああやっぱまたあのパンチを喰らうことになるのか。

まあ……女子の風呂を除いてしまったのだから仕方がないのだが……

なぜ? こうなったんだっけ…落ち着け俺こうなった原因を思い出せ。





  〜ケイの回想風呂場前〜





「あれ? 男湯と女湯……どっちだ?」



俺は風呂場まで間違えずにきたのはいいが文字が読めずにどっちが男湯か悩んでいた。

しばらく悩んでいると八神さんが通りかかってこちらに話しかけてきた。





「なんや? そんなとこに突っ立て」

「いや……どっちが男湯かわからなくて」



これが過ちだったのだろう。八神さんという人に聞いたことが。



「それやったらそっちやよ。ゆっくり楽しみ」



そう言って何やら笑いを堪えた感じでそう言ったのだった。

この時点で気付くべきだった……



「あっ、そうですか。ありがとうございます」



そして俺は言われた通りの方の風呂場に入っていったのだった。







   〜回想終了〜







……はめられた…おのれ八神さん…この恨みはらさでおくべきか。



……晴らす前に死ぬかもしれんがそうなったら祟り殺そう。

とりあえずスバルの話を聞こう死刑宣告だろうが。





「あの〜スバル様……何故に止めるのでしょうか? 私目はすぐにこの場を離脱したいのですが…」

「あ、あのね、お風呂ケイも上がったら聞きたいことあるから待ってて」

「イェッ・サー!」



死ぬ前に猶予をもらえた。

その後すぐに逆の男湯に行き風呂に入ったのだが正直この後のことを考えるとゆっくりできなかった。

結局体と頭を洗ったらすぐに風呂から上がり入口の前でスバルを待つことになってしまった。













俺が上がってからしばらくしてスバルは上がってきた。

服装はTシャツにスパッツとラフな格好だったが健康的なイメージの合うスバルには似合っていた。



「ス、スバル話って……」

「とりあえずここじゃなんだから……あっちで話そう」

「ああ…」



そういって俺たちは自動販売機のあるロビーに行ったのだった。

あれ? 殴り殺すんじゃないのか?

着いてからスバルはジュースを2本買って片方を俺に渡してくれる。



「はい、これ」

「あ、あんがと」



とりあえずジュースをもらいプルタブを開けジュースを一口飲んだ。

そしてスバルの顔をみるとなにやら深刻そうな面持ちでいた。





「どうかしたのか?」

「あのね……さっき言ってたのってホント?普通じゃなくても好きな相手なら気にしないって」

「えっ……?」



なぜそんなことをもう一度聞くのかがわからなかった。

魔法はこの世界じゃ普通だからそこまで気にするはずもないのだからスバルの体には何か他人に言いづらいことがあるのかもしれない。





「……スバルはこの世界でも普通じゃないから聞きたいのか?」



そう言った瞬間スバルの体はビクッと奮えた。

そして顔の色が青ざめたようになった。



「……図星か」

「うん……やっぱり言わない方がよかったかな……」



そう言って顔をふせ自嘲気味に泣くのを我慢して笑った。

俺は自分がさっき言った言葉を言うんじゃなかったと後悔をした。

そもそも会ってすぐにそんなことを聞かれるわけがないと、どこかでタカを括っていたのだった。

しかしスバルはそのことをあまり他人に言うことができなかったからそれでもいいかもしれないと言った俺を信じたかったのだろう。





「……さっきは軽く言ったけど実際会うとどうなるかわからないな」

「……やっぱり避けるんだ」

「けどそんなことはしたくない。そんなことで人との接し方を変えるような奴にはなりたくないと思っている」

「えっ?」



そう言うと驚いた感じでスバルがこちらを向いてきた。





「今はまだ本当のことを聞かないしスバルも会ったばっかの奴には教えられないだろ?

だから確信持って俺がそう思えて、スバルが俺を信じられるようになったら教えてくれ。そうなれるようにするから」

「……うん!」



そう言うとスバルは笑顔に戻った。

今言われても大丈夫じゃないかもしれないのが情けなかったが今はまあいいか。

つうかこのシリアスな空気はやっぱ苦手だな。



「さて……じゃあ寝るか!」

「そうだね」



そう言い2人とも自室に戻ろうとした。俺はエリオの部屋の居候だが……



「あっ! ちょっと待った! 忘れてた! 覗きの仕返し!」

「いてぇ!?」



忘れててくれよ……そう思いつつ逃げようとしたが捕まってしまいそのまま腹に一撃もらった

昼程は痛くなかったがそれでも効いた。





「えへへ〜まあ湯船には浸かってたからこれで許したげるね」

「……十分きついっす」



まあ……さっきまでと変わらない感じで俺自身もスバル自身も接することができている証拠だと思うとそう悪い気はしなかった。

2人でそのまま笑い合っておやすみと言った後、今度こそ解散したのだった。







つづく





  〜おまけ〜



「えへへ〜♪」

「なんかご機嫌ね なんかあった?」

「なんでもないよ〜」

「あっそ、なら聞かないわ」

「ティア〜」

「何よ?」

「わかってくれそうな変わった人っているんだね」

「はっ?」





  〜おまけ2〜



「……やっぱイテエ」

「ど、どうしたのケイ兄?」

「まあ…いろいろあったんだ…」

「そ、そう…けどなんか機嫌がいいの? そこまで怒ってないけど」

「とりあえず自分の成長目標が一つできたんでな」

「そうなんだ」

「けどそのために痛い思いはしたくないぞ……」

「……なんか大変そうだね」







                     おわる





  あとがき



5話目書き直し終了

このまますぐに終わるようがんばります。







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