ども、なんか最近になって俺の知らないところでおかしくなっているスカアジトにいるケイです。

今おかしくなっているけど強いのは強いままのナンバーズの空戦を見ています。

速いです。とにかく速いです。

いつも思いますが叫ばせてください。









どーーーーやってこんなのに対抗できるレベルになればいいんだああああああ!







「修行しかねえだろ」



「ですよねー」





なんていうか努力して強くなっていく漫画の主人公尊敬します。

















時空を駆けちまった少年



第39話






















目の前で行われているのはトーレとえーっと……名前なんだっけ……ピンク髪の襲撃してきたやつ。

セ……セ……セバスチャン?

いや、そんな長くなかったな。セ、セ……セット?





「……間抜けな顔で何考えてんだよ」



「いや、ピンク髪の方の名前を忘れて」



「セッテだろ」





おお、そうそうセッテだ。

この2人の空戦。

どうもどっちも高速戦闘をメインにしているようでソニックウェーブみたいな音速を超えるときに聞こえるような音が響いている。

……もしかしてマジで音速超えの世界で戦ってるのか?

……どーするべ。

音速の世界の住人にどうやって追いつくんだよ。

反応しきれるかな……





「ケイ。お前あの2人の動き見えるのか?」



「ん? 一応交差の瞬間に右手と左手どっちでトーレが斬りかかかってるかてのなら」



「……なら問題ねえな」





いやいやいや、あんな速いのにどう喰らいついてくんだよ。





「……お前自覚ねえのか?」



「何が?」



「お前は音速の相手が何しているかわかるんだから動体視力が異常なレベルだってことだよ」





あ……





「……自分の今の力量くらいしっかり把握しろよ」



「いや、ぶっちゃけ格上ばっかと戦ってるから何もかもが力量不足に感じて」



「身体能力に関してはお前は圧倒的に上なんだから自信もてよ。謙虚に考えて上を目指すのもいいけどそれじゃ負け続けるぞ」



「おう」





そっか……うん、そうだな。

俺には俺の……誰にも負けていない長所があるんだもんな。

短所はアギトが補ってくれているしいつまでもビビっているわけにはいかないよな。





「だからって自信過剰になるなよ。お前結構極端な考え方するから」



「……なんかお前もう親みたいなこというな。でもまあ事実だし気を付けるわ。ありがとな」



「あ、アタシはただおまえにしっかりしたロードになって欲しいだけだ」





ちょっと顔を赤くしてそっぽ向くアギト。

照れ屋め。

それからはしばらくお互いに黙って観戦する。

戦闘で相手がどんなタイプなのかを知っているのと知らないのじゃ最初から対処できるかできないかの差が大きい。

チンクと約束したばっかりだしあんまりそういうことを考えない方がいいんだろうが、知っておいて損は無い。

それに自分の勉強にもなるしな。

数学とか国語とかの勉強はしたくないけど。

お、2人の動きが止まってこっちに歩いてくる。

終わりかな?

そう思っていると観戦していた俺達のところへ茶髪ロングのナンバーズが1人やってきた。

なんだ?





「よっ。どした?」



「…………………」





なんというか無表情な感じがするけど微妙に目が俺を睨んでいる。

なんだ? 俺なんかしたか? むしろ俺はされた方だと思うけど。

数秒ほど微妙に無言で睨まれてからえーっと……ディー……ディードが声を出した。





「……今から私と戦闘をしていただきます」



「はっ? 何で?」



「通常の状態に戻ってからの戦闘データを収集するためです。それ以外に何かあると?」



「いや、何もないけど」





何だいきなり。

もう俺の身体データの収集したからいいんじゃねえの?

てかチンクにさっき釘刺されたばっかなのに向こうからふっかけてきたらどうすりゃいいんだ?





「いいぜ、やってやるよ。元々こっちはそのつもりで来てたんだ」





こらアギト勝手にOK出すなよ。

そりゃあ最初はやり返してやろうって考えてたけど今はもういいかなあって思ってるんだぞ。

それにさっきの戦闘してたトーレとセッテとと同じくらい強いんだぞ。

滅茶苦茶怖いじゃねえか。





「ではさっそく開始しますのでトレーニングルームの中央へ」



「へっ上等だよ」



「おーい、俺は何も言ってないぞー」





あれー? どうすんのよこれ。





































結局模擬戦扱いで始まることとなった俺VSディード。

始まる前にアギト製の戦闘ジャージと手甲、ローラースケート(これからはエアローラーと命名。使用説明書に英語で書かれてて最近やっと読めた)を装備。

スバルとかみたいに変身で装備できるわけじゃないから部屋の隅で普通に着替えた。

部屋の中央から俺が逃げないように見張っていたのか知らないけどディードの視線が恥ずかしかった。

見るなよそこは。

アギトには変身機能をもった機械でも持ったらどうだと言われたけど断った。

だってスバルとかみたいに変身するの恥ずかしいし。

男が裸になって1個1個変身とかどんなキモいシーンだよ。

さらに今回は戦闘前からアギトとユニゾン状態だ。

今思うとアギトと戦闘の最初からユニゾンしてるって初めてだな。





「制限時間はありません。どちらかが倒れた時点で終了とします」



「非殺傷設定だよな?」



「……ええ、そうです。合図はブザーが鳴ったと同時とします」





何だ今の間は。

殺傷設定にしたかったのか? 怖いなおい。





《 おもいっきりやれよ 》





当然だ!

そしてブザーの音が鳴り響く。

初っ端は魔法で牽制する!

イメージするのは手から出る炎のエネルギー弾。

さらにそれを両手を突き出して連射!





「なっ!?」



「うえええ!?」





イメージ通り俺の手から炎のエネルギー弾が連射された。

だがその威力とスピードの違いに驚かされる。

以前よりも圧倒的に上がっているのだ。

ディードも以前の俺のデータと比べて高い威力とスピードに不意を打たれ驚く。

放たれた炎とディードがぶつかり爆煙が巻き起こる。

じっと目を凝らす。

……駄目だな。

多少ダメージはあるけどまだ気配が強い。

無明を抜いてすぐさま構える。

煙の中からディードが猛スピードで斬りかかってきた。

多少焦げた部分も見られたが少し焦げた程度にしか見えない。

二刀のうちの初撃をかわして二刀目を無明で受け止める。

そのままお互いに鍔迫り合いの状態になる。





「……以前のデータと比較になりませんね……初撃の魔法もそうですがこのスピードで斬りかかれば倒せたはずですが……」



「こっちも驚いたけどな。あれでちこっと焦げただけって」



「対処可能範囲内です。そして今もまだ」





一瞬で鍔迫り合いの状況だったにもかかわらずディードの姿が消える。

嘘おお!?

ん!? 後ろが何か落ち着かないぞ!?

そう思ったら体が勝手に動いていた。

俺の後頭部、死角の所に刀を防御するかのように構える。

そしてその刀に何かを受け止めたような衝撃が走った。





「なぜ!?」





ディードの攻撃かよ!

てか死角に入るの認識できなかったぞ!?

危ねええええ!

死角を完全に捉えての攻撃を止められたことに驚愕するディード。

両方のラ○トセイバーもどきを振り降ろした姿のまま一瞬だが動きが止まる。

チャンス!





「うおおおおおお!!」





その状態のまま無明に炎を纏わせる。

さらにそれを爆発するかの如く一瞬で熱量を増加させる。

その炎はディードを飲み込み燃やそうとする。





「っつ……!」





空戦も可能なのだろう。

高速で上空へと逃げて距離を置き炎から逃れようとする。





「隙ありいいいい!!」





そこに俺は体を回転させながらエアローラーで空気砲をぶっ放す!





「かっは!?」





空気砲は綺麗にディードの腹部に命中。

ディードの口から少量の血が吐き出され、飛んでいたディードは地面に降り片膝をつく。





「な……なぜISが……」







IS?

あれだよな? こいつらの先天的に持ってる能力だよな?

こいつのってラ○トセイバーもどきのエネルギーの剣じゃねえのか?





「……もしかしてお前全部の俺の過去データと比較して決まるはずの攻撃が決まらなくてビビってるのか?」





返事は無いがその無表情の顔の口元がギリっとなる。

当たりかよ。





「嘗めんなよ! 俺だってな……俺だってな……クソ厳しいぃぃぃぃい〜〜〜〜修ぎょ……タコ殴りをやシゴキを受けてんだ! 前と同じじゃ死んでるわ!」





俺の魂からの愚痴が響き渡る。

その台詞に部屋の空気が死ぬ。

心なしかこの戦闘をどこかでみているナンバーズの空気も死んだように感じた。





「……あ、あれ? 何この空気」



《 お、お前……せっかく圧してるのにもっといい台詞ないのかよ…… 》





ねえよ。

だって鬼だぜあのジイイの残してった木偶人形。

どーやったってキツいんだもん!

おかしいぞ! パワーUPとかしてるのに!

って、ああああ!?

今気づいたけどもしかして内容がどんどんハードになってねえか!?

走る時とかのおもりが少しずつだけど大きくなってたかも!





「……こんなふざけた人にオットーが……」



「ん? 何か言ったか?」





片膝をついたままで長い髪が陰になった状態でディードが何かを呟いたのが聞こえた。





「はあああああ!」



「うおお!? ちょ!? うええ!?」





直線的に一気に距離を縮めて斬りかかってきた。

高速で振り回される二刀。

最初は無明で捌くがどんどん圧され捌き切れなくなってくる。





「はあああああああ!」



「ちっ……調子なるんじゃねえぞ!」





手甲をした手も含めての防御に集中する。

右手の無明で右側、左の手甲で左側を守り隙を窺う。

持ってる武器やらスピードから接近戦タイプだと思う。

もし何か大技を仕掛けるとするとこの距離からだ。

大技ってのは溜めの一瞬ができる。

狙うならそこだ。

だがその予想は外れた。

ディードが一瞬にして目の前から消えたのだ。





「また消えた!?」



《 またかよ!? 》



「ISツインブレイズ!」





声とともにまた俺の死角からの攻撃が放たれた。

しかしそれを感じたと同時に俺の体は動いていた。

死角からの振り降ろされた斬撃をさっきとまったく同じように受け止めていたのだ。





「うらああああ!」



「ぐっ……」





振り返りそのままディードの腹部に今度は直接の蹴りをぶち込む。

飛行してバックに飛んだせいで威力が完全に伝えることができなかった。

というよりも向こうの反応が速く掠った程度と言った方がいいかもしれない。

あれで反応できるとかどんだけポテンシャルが高いんだよ戦闘機人ていうのは。





「追撃いくぞ!」



《 うおっしゃ任せろ! 》





アギト単体での炎熱強化を行ってもらう。

俺も炎を出してアギトの炎熱能力も付加しての魔法は初めてだ。

多分だけど相当の威力を出せるはず!

腰を深く落として左手に無明を持ち替えたことで空いた右手を思いっきり引いて力を込める。

イメージするは右手に宿る巨大な炎!

そしてそれが持つ巨大な拳と爆発的な破壊の力!





「見た目はまんまあれだけど自主規制でこーいうぜ! “ 烈火拳 ”! 」





右の突きから放たれた巨大な拳の形をした炎。

俺ごときがあんなすげえ海賊のマネをするのは失礼だとは思う。

だけど、だけど俺だって男の子だ!

炎を操れるのだったらやってみたいじゃないか!

烈火拳は振り飛ばされたディードを飲み込もうと襲いかかる。





「くっ、はああああ!」





二刀を交差させ受け止め、そのまま烈火拳を斬り裂こうとする。

だけど……





「そーは問屋が卸さんのだ」





エアローラで上に思いっきり跳ぶ。

そこから正面から烈火拳を受け止めているディードに向かって空気砲を4発連発して放つ。





「そんなっ……」





俺のその追い討ちを目の当たりにして為すすべなく受けるしかなかったから出た言葉だったのだろう。

防御も回避もできない。

すべての空気砲を喰らい、抑えがなくなった巨大な熱量を持った炎がディードを飲み込み壁に吹き飛ばしたのだった。





「……終わったか?」





いつもはここから逆転というかひっくり返されるから確信を持てない。

手ごたえは確実にあったしノックアウトもさせたと思う。

非殺傷設定のため炎で攻撃はしているが相手を燃やしつくすということはない。

そのためディードを壁に叩きつけたことで炎は起きておらず粉塵だけがまっている。

目を凝らして相手を確認する。

そこには壁にもたれかけてグッタリとしているディードの姿があった。

意識は……ない。









『……戦闘終了』





アナウンスとして部屋に流れるトーレの声。

それはこの模擬戦が終了したことを告げるものだ。

つまり





「うおっしゃあああああああああああああああ! 勝ったああああああああああああ!」





俺の勝利を宣告したことになったのだ。

























苦節……年はいってないけど長かった……

思い返せばまともな勝ちなんかなかったよな。

どれだけ走ったことか……どれだけ体をいじめ抜いたことか……どれだけ吹っ飛ばされて宙を舞ったことか……





どれだけフルボッコという名の修行やバトルをしたことか!!





とにかく勝った勝ったんだ!





「ひゃっほう! 勝った! 勝った!」





もーどーやってこの勝ちを喜べばいいんだ!

ついに完勝! やったよ完勝!

もはや原始人みたいに勝利の踊りをしながら喜ぶ俺。

ユニゾンも解いたがアギトはこの変な踊りに何も言わない。

むしろアギト自信も嬉しそうに笑ってる。

そーだよな。

今までお前とユニゾンしていても相手が悪過ぎて苦戦か負けてたもんな。





「アギト!」



「おう!」





とにかくそのままハイタッチ。

サイズの違いがあるから力加減はしてたけどパチーンといい音が響いた。

今日はうまい飯が食えそうだ……っと忘れるとこだった。

このまま放置したら約束破ったことだけじゃなくてこのことでもチンクにぶっ殺される。

って……





「やばい……約束のこと頭からぶっ飛んでた」



「無視しろ。無視しろ。向こうからふっかけてきたんだ」





どうなのだこれは?

まあとにかく様子を見なければ……

そう思い倒れたディードに近づき様子を窺う。





「「こ、これは……!?」」





俺とアギトは驚愕した。

息もあり脈も正常だ。体を見たがとくに酷く折れたとかそういうのも見受けられない。

まあダメージはダメージなのでぐったりはしているけど気絶しているだけだと思う。

だが……1か所だけ酷い場所があった。





「非殺傷設定はしたのに……」



「むしろそのせいでなったんじゃねえか……?」





これは……一体どうすれば……



































「弁明はあるか?」



「………………………」





今の俺の状況説明。

ディードとの模擬戦が終了後もはや娯楽室と化しているナンバーズの広間にいる。

俺を見下ろしているのはウーノ、トーレ、チンク、セイン、ノーヴェ、ウェンディの6名。

オットー、クアットロは治療室。

ディードは処置して自室で眠っている。

セッテはさっきの戦闘をトレーニングルームで見直しているらしい。

ディエチは晩飯を作ってる。





「……ないっす……」





ちなみにこのお叱りはディードとの戦闘のことではない。

こっちはどっちかっていうとディードが悪いという感じになった。

チンク達は俺から喧嘩をふかっけたわけじゃないし仕方がないという感じ。

トーレはそのことではなく単純にふっかけておいて負けたことが許せないらしい。

戦闘機人としてのプライドがどーとかだそうだ。

では何故怒られているか。





「いくら何でもあれは駄目ッスよ……あれは……」



「流石にセインさんもあれはちょっと……」



「あれは嫌だな……お前と同類に見られる」



「ちょっと待てや最後」



「中途半端に戦うとああなるものなのか……ああなるならむしろ清々しく散った方がいい」



「いや……アタシもやった側だけどあれは申し訳ねえ……」





なんか遠くを見つめるように呟く皆様。

ああ、でもきっと俺もああなるのだろうな……



















「まさか非殺傷設定の炎で攻撃してそれが直撃したら “ アフロ ” になるなんて……」

















そう! ディードは俺の烈火拳を直撃してその結果綺麗な茶髪のロングヘアーがアフロになってしまったのだ!

それはそれは見事なアフロだった。

小学生と思えない老け顔青髭いろいろな毛がボーボーなリーダーの町のボス的存在のアフロ小学生も真っ青なほどに!





「女の命の髪を……」



「あ、セインて女の自覚あったのか」



「今の言葉はセインさんに喧嘩売ってるとみなすからな」



「さーせん」





いや……なんというか美少女だよ? 口にはしないけど。

でも戦闘機人だーとーとかこーとかいうから性別とか気にしねえと思うこともあったりしたわけよ。





「いや、本当もうどう謝罪すればいいか……」





このタイミングで広間というかもう娯楽室でいいや。

その扉が開く。

そこにいた人物が室内に入ってきてみな押し黙る。





「ぶっふ……ぶくっくっく……ぐっぼは!?」





ごめん。俺だけ笑いを堪えてます。

そして怒ったチンクに脇腹を思いっきり蹴られて呼吸困難です。

お、おのれ……後で仕返ししてやる……





「ディード大丈夫? あとでドクターのところに一緒に行って治してもらいましょう」



「はいウーノお姉さま。よろしくお願いいたします」





ウーノの言葉に丁寧に返事しながら脇腹を押えて屈み、悶え苦しむ俺に近づいてくる。

苦しんでる俺が見上げやすいところまで近づいてくるとディードがそこで止まる。





「何故……」



「ん?」



「何故あなたなんかに……」





ギリっと拳を握り締めたのが目に映った。

悔しいのか?

そっか……悔しいんだな。

だがあえて言おう。





「それはお前、悔しさにおいては俺はここの中の誰よりも感じまくってるからな。今日初めて悔しい思いをした奴に負けねえよ」





ぶっちゃけ俺の本音。

一方的に雑魚やらなんやら過去にほざいてしかも今日向こうから挑んできてこんどは逆ギレ?

ざけんなコラア!

俺は聖人君子でもすげえやさしいギャルゲやハーレム恋愛モノのどんな奴にもやさしい主人公じゃねえんだ! 皮肉の1つも言うわ!

むしろもっと言ってやるわ。





「雑魚、雑魚呼んでた奴に負けた気分はどうだ。残念でしたね」





あ、駄目だ……どんどん頭が熱くなってくる。

いろんな怒りの感情が湧いてくる。





「ケイ……少し落ち着け」



「うっせえ黙ってろ!」





チンクがヒートアップしてきた俺にストップをかけようとするがそれを黙らせる。

俺は立ち上がってディードの胸倉を掴んで大声で怒鳴り散らす。





「一方的にやってきて負けたら怨む? マジふざけんなよ! 戦闘機人で人間より優れてますってか? 調子こいてじゃねえぞ? お?」



「っ……それは」





向こうも大声で反論してこようとする。

さらには俺の腕を掴んで物凄い力で振りほどき反撃にでようとする素振りがあったがさらに胸倉を強く掴み足が半分地面についていないぐらいまで持ち上げる。



「反論する気か? してみろよ。全部否定して叩き潰してやる」



「くっ……」



「いい加減にしろ!」



「落ち着くッス! 確かにディードにも非があるけど」



「俺にもあるってか!? 俺一方的にやられただけだぞ!?」



「だから落ち着けつってんだろ! 頭に血上らせるな!」





チンク、ウェンディ、ノーヴェが俺を捕まえてディードから離す。

同じようにディードもトーレとセイン、ウーノに捕まり離される。





「あーもう離せ! こいつだきゃあぶん殴ってやる!」



「頼むから落ち着いてくれ! 妹の無礼は姉の私の責任でもある! だから落ち着いてくれ!」





チンクが俺の腰辺りをホールドして抑えるがパワー系でないチンクには俺は止められない。

脇を後ろから捕まえているノーヴェと前から俺を抑えつけているウェンディがいてやっとのようだ。





「チンク姉は関係ねえだろうが! 今はキレてるこいつが悪いんだよ」





ノーヴェが俺の後ろからチンクに視線をやりながら叫ぶ。





「それは賛成だ。俺もチンクは悪くないと思う」





体の力を抜き、それに安堵したのか3人の力も一瞬弱まる。





「だけどこいつを殴る殴らないはまた別だ!」





またすぐ力を入れて3人を振りほどいてディードに殴りかかろうとする。

だけど結局振りほどけない。

ええいこいつらどんだけパワーあんだよ!





「いい加減にしろ」





そんな俺の目の前にアギトが浮きながら怒っている。

今まで俺に飛ばしたことのない眼をしながら睨まれ俺は止まる。





「……なんでだ」



「みっともない真似するなよ。お前はアタシのロードだ。これ以上暴れるのはアタシが許さないしさせない」





みっともない?

みっともなくて上等じゃねえか。

いい加減嘗められっぱなしは嫌なんだよ。





「……だから落ち着け。今はまともに考えられないけど後になってから後悔するのはお前だぞ?」





アギトの表情と口調が柔らかくなる。

それは俺のを諭すようにゆっくりとやさしく、そして今の俺の醜態に悲しそうにだ。





「お前いつも言ってたじゃねえか。ナンバーズとも仲良くやっていきたいって。最近は少しいい感じになってたんだろ? 今のままじゃ信用なくすぞ?」



「っ……」



「お前が一方的に言われてたのはアタシも見てたし気持は一緒だ。だけどここは暴れる場所じゃない。それはわかってるだろ?」





体から力を抜いて抵抗をやめる。

それを感じとって3人も俺を抑えるのを止める。

そうだな……アギトの言うとおりだ。

今の俺の行動はただ癇癪を起しただけだ。

これ以上……いや、今の時点でもやり過ぎだけどここからは俺自身を下げることになる……





「アギトごめん……ナンバーズのみんなもすいませんでした」





頭を下げる。

誰も何も言えなくなる。

ただ静まり返るだけだ。

俺は頭を下げたまま上げない。

本当に後悔した。

キレたたび後悔するのは情けない、最初からキレるなと思う。

だけどこれは一生治らないと思う。

人間である以上感情はあるし、後悔もある。

きっと感情はあっても後悔はしないとう奴はどこか冷たくなっている人間だと思う。





「……はあ……何というか……」



「馬鹿だな」



「でもいい馬鹿ッスね」



「ディードいらっしゃい。とにかく先に髪をなんとかしましょう。どうにも見ていて笑いを堪え切れないわ」



「ですが……」



「ほら、いーのいーの。とにかくここで話はお終い。それともセインお姉さんもついていくか?」



「私はセッテの方を見てこよう。今丁度もう1度戦闘訓練をつけてほしいと連絡がきた」





ナンバーズがぞろぞろと先ほどまでの張りつめた空気を解いて動き出すのがわかった。

そしてそれでも頭を下げいている俺の背中にだれかが乗りかかる。





「ほらほら、いい加減元気出すッス。アタシはケイのこと大好きなんスからいつまでも暗いままは嫌ッスよ」





ウェンディがいつものいたずらっぽい笑顔でそう言ってくれた。





「はあ……まあ手のかかる弟ができたということにしておこう」



「まー馬鹿やってくれるのが減ると外行く以外にセインさん楽しみないし」





チンクとセインも声を掛けてくれた。

……やっぱ怒った後は謝るのって大事だな……

むしろ腹を割って話したって感じで少しスッキリした。





「ぐっふう!?」





と思ったらノーヴェに鳩尾を綺麗に突かれた。





「今回は流してやる。でも次はキレんじゃねえぞ」





それだけ言ってノーヴェも部屋から出て行った。

ぐっふ……ま、まあ迷惑かけたんだから当然というかまだ優しい罰だな……





「まっ……今回は勝ったのと醜態曝したのでプラマイ0だな」



「……結構厳しいなアギト」



「なんならマイナスにするか?」



「反省してます……」



「よろしい」





そのまま暗い雰囲気を吹っ飛ばそうというセインの号令の元みんなでゲーム大会が催された。

クアットロとオットー、セッテ、ディードは参加しなかったがスカもウェンディに引っ張られてやってきた。

どうも本格的にオタクになりつつあるようでスカ自身も結構楽しんでいた。

その晩の飯はうまかった。











                                             つづく







      おまけ1







オットー「……す、すごい頭だね」



ディード「……そう?」



オットー「……気にならない?」



ディード「別に」



オットー「そ、そう……そう言えば僕もここから見てたよ。体は大丈夫?」



ディード「うん、大丈夫。オットーはどう?」



オットー「僕もクアットロお姉さまのおかげで大分良くなったよ」



ディード「そう、よかった……」



オットー「……ちょっと申し訳ないと思っちゃった」



ディード「……でも私はやっぱりオットーをここまで傷つけたのが許せない。どっちが悪いとか悪くないは私達には関係ない。それが任務だった」



オットー「うん、そうだね……どうすればいいのかな」



ディード「……わからない」



クアットロ「はああ〜……まったくオットーちゃんもディードちゃんも毒されちゃって……そんなの考えなくていいの。私達は戦闘機人。

      ドクターの命ずるまま動いて弱者をぶっち殺して潰して蹂躙する。それでいいしそれが楽しいのよ」



ディード「クアットロお姉さま」



クアットロ「だから何もする必要はないの。今はあの餓鬼の好きにさせてやりなさい。それじゃあ私はそろそろ眠るわん。睡眠不足はお肌の大敵ですもの」



オットー・ディード「「 …… 」」















クアットロ(……もう駄目ねん。今のドクターも他のお姉さまや妹達も……ドゥーエお姉さま……こっちはもう腐ってしまいましたわ……例の計画……

      実行は近い内の方がいいかもしれません)















      おまけ2  〜翌日ケイと木偶人形修行中〜





ケイ「ん? どしたんだ? てか髪戻ったんだな」



ディード「…………」



ケイ「昨日は悪かった。俺やっぱまだまだでさ」



ディード「…………」



ケイ「……せめて何か言ってくれない?」



ディード「……経験」



ケイ「えっ? 何? ってぐぼほお!?」(組手中だったのに喋ってたので思いっきり隙を突かれて殴られた)



ディード「……お姉さまたちとの経験の共有だけでなく私だけの経験が強くなれるのです」



ケイ「……んで?」



ディード「………………」



ケイ「……とりあえず木偶人形とやってみる?」



ディード「…………」(こくり)













木偶人形「『隙だらけじゃあああああああああああああ!』」



ディード「そんな全然見えなっ!? きゃああ!?」(宙を舞った)



ケイ「………………なんてか……実はディードも結構バカなのか?」



木偶人形「『がーっはっはっは! まだまだじゃ小娘―――!』」



ケイ(もしかしてこの木偶人形はナンバーズが束になっても勝てないんじゃ……)

















          あとがき





ケイ完勝!!

いやー長かった。

ここまですっきりと勝てる話は初めて書けた気がします。

スペック、装備もかなり強化されてきているし勝てないとむしろおかしかったのですがね(汗)

そして書けば書くほどアギトが保護者になっていくという。

しまいには他の作家の皆様にはもうケイはアギトEDでいいじゃないかということまでw

しかしEDとパートナーは違うということでアギトEDはありません(ぁ

というかケイにそういう相手はできるのか!?

むしろできないからこそケイなのだと思ってます!

どんどん内部で緩くなりつつあるスカ一味。

そして裏で色々起きているということもあったりするのでした。

あと、もう少しで最終決戦に入れそうです。

それではまた次回もよろしくお願いします。











Web拍手返信





※確かにケイは、どう贔屓目にみても、ろくでもないダメダメなクソガキだけど、能力も、経験も、目的も、

何もかもが借り物のお前らナンバーズより一兆倍はマシだ。





>まだこの段階だとディード、オットー、セッテの後発組は感情というものをよくわかっていないと思ったので結構酷めのことを言いました。

>だからこそデータ上での計算を優先し物事を考えて捉えやすくなっている感じになるかなと思いました。

>感情などはこれからだせるようにしていこうと思います。





※修行くんのあの修行って何度やってもヘビーなの? もしかして段々修行レベルが上がってるのかな?…かな?





ケイ「上がってる! あれは絶対上がってる!」



木偶人形「『さー今日も修行じゃああ! これつけて走れ!』」つ亀の甲羅



ケイ「それ本当に20キロで済んでるのか? いっつも重く感じるぞ」



木偶人形「……デハハジメマス」



ケイ「返事しろ!」



木偶人形「『ゴタゴタ抜かさず走らんかあああああ!』」



ケイ「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ」











※久々の投稿乙です。まぁ、さすがに案だけ数の子にやられてすぐに許せるものではないですからねぇ、

しかし、それでもチンクの妹を傷つけられた(理不尽な)怒りと、ちゃんと悪いと思ったことに対しては頭を下げるということにはやっぱ

お姉ちゃんなんだなぁと思った……小さいけどwww

それにしても、ケイ君は毎日毎日木偶人形に殴られ続けることにより、耐久力はついていると思うし、

接近戦においての慣れはそれなりに高い気がするのだが……6課とあそこまでやれないかww

なんだかんだ言いつつチャンと成長しているんだな。てか、木偶人形って、

今現在管理局のランクで言うと今現在どれくらいでケイ君と特訓しているのだろう?そしてその設定はどれくらいまで強くなるのだろう?

まだまだ木偶人形に隠された秘密がありそうだ。





チンク「小さいとは何だ! 私はただ成長が遅いだけだ!」



ケイ「ほお……じゃあ数年後はどんなんだ?」



チンク「そうだな、姉としてはきっとセインのようにほっそりと、それでいてトーレほどではないにしろウェンディより体の凹凸が」



ケイ「ぷっ……」



チンク「笑ったな? 今笑ったな? 歯を喰いしばれ」(マウントポジションとってスティンガーを刺そうとする)



ケイ「ごめんなさい!」



木偶人形「『今回はワシへの拍手が多く感動じゃ! だがあえて言おういろいろな謎はあるが秘密じゃ! 何故ならその方がカッコイイからじゃ!』」



ケイ「……なあ……実は通信機かなんか入ってないか? むしろお前とあるグルメ世界のロボットと同じか?」



木偶人形「アラカジメ質疑応答をインプットサレテオリマス」



ケイ「嘘だ!」















ティアナ「へっくし……」



スバル「ティア風邪?」



ティアナ「……なんか台詞をパクられた気がするわ……」



スバル「?」







※まぁ、信念とか何とかというものは結構必要になってくるものだけどな。

それは別に創作物の中だけではない。現実世界だって、たとえば学校の部活でいう誰誰に勝つとかどこまで上り詰めてやるとか、

そういう信念、または目標を心に持つことは訓練をする上でもあるのとないのとじゃかなり違ってくるものだ。

努力は人を裏切らないというが、同じ力同志のもので戦う場合、運もあるだろうがやはり最終的に勝ちにこぎつけるものは

「勝つ」というより想いの強い方だと私は思っている。





>そうですね、私も高校時代は部活小僧でした。

>最後の夏……全国クラスの部員達ばかりでしたが大会に出れないのは嫌だと必死に練習しました。

>レギュラーこそは逃したものの学校での個人戦出場枠の中に入り込み悔いのない試合をすることができました。

>信念というカッコイイ物言いとは違いますがどちらかというと執念や意地などの方が強かったかなと思います。

>信念や覚悟は大事だと私も思います。

>ですが……この作品のケイにはそんなカッコイイ信念というものより生き残るための執念や我儘から出る意地などの方が似合っていると思うんです。

>そして何より……



>信念なんてかっこいいもの持ってしまったらヘタレじゃなくなってしまうじゃないですか!!(ぇー
























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