いやはや無事戻れた戻れた。

15歳の姿に戻れたよ。

魔法もなんかパワーアップしたし、いいこと多いな、うん。





『戻ったのなら修行再開じゃああああああ!』



「ぎゃあああ! これ忘れてたああああ!?」





元に戻れたら修行クン再起動しやがった!

のおおおおおおお!? キツイのはやめてええええ!

























時空を駆けちまった少年



第38話
























「今戻った。どうやらこの世界にレリックは無いらしい」





元に戻った日の正午。

ゼストの旦那が合流した。

1人で色々調べていたようでレリックがないことがわかったっぽい。





「そう……」





ルーテシアが残念そうに返事する。

まあ目的のものなかったらなあ……





「武ノ内はどうした? 合流しているはずだが」



「あー……あいつならあそこ」





アギトが指をさすその先で















「も……もう駄目……」













バッタリと汗だくでぶっ倒れている俺。

しっかりバッチリぴくぴくしてます。

酷かった! 久々の修行だとか抜かしてあの木偶人形メニューを3倍にしやがった!

いい加減死ぬわ! ってぐわああ! 足がつるう!





「……すまん、アギト。俺は何と言えばいいのだ?」



「旦那。そこは考えちゃ駄目だ。どうしようもねえんだから」





なんかひでえ……





































しばらく休憩した後にやっぱりミッドの裏ルートを探るのがベストなのではないかという結論に至る。

特に異論はない。

ないんだけど……

スカに仕返ししてー

そしてあの眼鏡ババアの顔面に一撃入れてえー

最後発組燃やしてえー

あっ、最後の部分アギトの口癖うつった。





「裏の情報はあいつがよく知っているだろう。……ルーテシアはスカリエッティから情報を聞いてくれ。アギトも一緒にだ」



「わかった……」



「あいつって?」



「お前は以前会っただろう」



「あー、テンチョーか」





あの人どーいう人なんだよ。

なんか気になるけど知ったら怖そうなので聞かないでおこう。

しっかし……





「あの……スカに情報聞いて大丈夫なんすか? イマイチ信用ないんじゃ……」





旦那の耳元でルーテシアに聞こえないように尋ねる。

なんとなくだけどルーテシアはスカを嫌っていない傾向があるみたいだし。





「信用があるかどうかはルーテシアから聞いた内容で俺が判断する。やつはルーテシアに甘い。そうそう変な情報は渡さないだろう」



「さいですか」



「とはいってもルーテシアは物事を断片的にしか話さない。その辺りはアギトから聞く」





はー、色々考えてるんすね……





「俺はミッドに行ってから1人で店に行ってくる。やつは大勢の来客を嫌うのでな」



「人間嫌いなんすか?」



「そんなところだ」





じゃあなんで店なんて出すんだ。

客が来ないと干上がるんじゃ……

















『やあ、久しぶりだね』



「ってうわあああ!?」





突然前触れもなく通信が入ってきてそこに映るのはスカ。

し、心臓に悪いわ!

てかいつものようにすっげえニヒルな笑いで出てきやがって!





『どうやらちゃんと元の状態に戻れたようだねえ。では一度戻ってきてくれたまえ。検査をしたいのでねえ』



「…………」





だが、断る! と言いたい。

でも無理だあー

あー……何だろうこのやるせなさ。





「やいこの変態ドクター! ケイはこれからアタシらとルールーの探し物すんだよ! そんなの知るか!」



『おや、そういえばアギトとのユニゾンでも変化があったそうだねえ。一緒に来て戦闘のデータも取ってみようじゃないか』



「んだとこらあ! そんなのしねえよ!」





スカに喧嘩腰で言い返すアギトだがスカはまったく相手にしていない感じだ。

俺がキレてもそんな感じだろうなあ。





「あー……ルーテシアの方もそっちに用事あるから行くわ」



「おい、ケイ!?」



『ルーテシアがかい? ではお茶でも淹れて待っているとしよう』



「うん……じゃあ」







そうして切れる通信。

それと同時に俺にキレるアギト。





「おい! 何だよ! 何で何も言い返さないんだよ!」



「まー落ち着けって」



「落ち着いていられるかよ!」



「あのな、どうせルーテシアがスカから情報を貰うって決まってたろうが」



「そうだけどアタシらがわざわざ変態のとこに行く必要ねえじゃねえかよ!」



「それもそうだけど、俺にとっても丁度いいんだよ」



「何がだよ!」



「一発ぶん殴る。そんでもってなんか戦闘データとるとか言ってたじゃねえか。ついでにこの前のブーメランやら使う奴もぶん殴ってやる」





その言葉に少し黙るアギト。

そして帰ってきた返事は





「……おもしれえ。リベンジだな。よっしゃ、なら乗った」





俺にだって意地がある。

スカやら眼鏡やこの前の奴らは嫌いだが、その他とは仲良く……なってるよな? ちょっと自信ねえけど。





「武ノ内、アギト。2人とも落ち着け」



「旦那!」



「今は我慢のときだ。下手に混乱を招くようなことは慎め」



「「うっ……」」



「若いからこそ感情が高ぶるのはわかる。だがそれを御しきれねば不利になることもある」



「はい……」





……くう、なんとも辛いな今の状況。

































ルーテシアとアギトと一緒にスカアジトにやってくる。

入ってすぐ空間パネルで現れたウーノにアギトとルーテシアは客室に、俺はスカのラボに行くよう指示される。

1人で歩きながら考えることはやっぱりどーしても殴ってやりたいということ。

それはアギトも一緒だと思う。

せっかくまた1段強くなれたんだからな。

前の戦いで出た魔法陣を出さない炎による魔法。

正体はよくわからないけど仮説はたった。

原因はまたも俺のスキルのおかげかなっていうこと。

今までは俺の魔力を使ってアギトが炎の魔法を出していただけだったので威力はアギト単体の威力だった。

普通の魔導士ならその魔導士の魔法の威力+アギトの炎変換による威力なのである。

だけど今の俺は魔力をアギトが炎に変え、俺がその炎を操るような形になった。

……らしい。

とりあえずこんな感じでの説明。













『いいか、つまりお前は魔力操作ができるんじゃなくて炎を操れるんだ』



『?????』



『あー、まあいいや。お前はとにかくアタシを通した炎なら自由に操れる体質になったと思っとけ。理屈は考えるな』



『わかった』



『威力が上がったのは……って説明するのメンドイな。とりあえず威力も上げられるようになったって結論だけ知っとけ』



『テキトーかよ!?』



『説明してもわからねえくせに。そもそもミッドやベルカの魔法理解できてねえのにお前のだーれもよくわからねえようなスキルを理解できるわけねえだろ』



『待て。なんか言いわけチックじゃねえか? スキルがわからないんだぞって』



『レアスキルの理屈完全にわかってたら今頃全部の魔導士がレアスキル持ちだつーの』



『ごめん。すげえ納得した』









これが昨日の会話である。

理屈はチンプンカンプンだった。

ただ俺のレアスキルが体質変換なのであり、アギトとのユニゾンで炎に対する耐性のようなものが出来てはいるらしい。

そんなんで操れるのかとも思うが炎を吐いたり纏うように扱う魔法生物がいるのだ。

多分それに近いような体質なのだろう。

って待て……

俺はこのスキルがなければ魔法(?)を使えない俺は魔法生物以下の脳みそというわけかチクショウ!























ラボにつくといろんな機械の前にいたスカがいた。

なぜか1つだけあった地球のノートパソコンらしきまえでヘッドホンをつけて座っていて、俺が後ろに立つと気づいてパソコンを閉じる。





「やあよく来たね。ではさっそくだが血液採取と簡単にスキャンをさせてもらおうか」





殴りたい、ああ殴りたい、殴りたい。

椅子から立ち上がるとそのまま歩きだしそれについていく。

そして準備されていた病院などでも使われる患者の服を着せられデータ収集は行われた。





































「意外だったね」





スキャンのためのポッドのようなものに入れられているとスカから話しかけてきた。





「何がだよ」



「いや、もっと何か昨日のことで暴れるか罵声を飛ばしてくると思っていたのだがね。あ、もういいよ」





機械からでると自分の服に着替える。

それから計測結果を表示したのを纏めるためか先ほどの多くの機器のある場所に戻る。





「彼女達の強さはどうだった?」





空間パネルを起動させリズムよくタイプを打ちながら話しかけてくる。





「強えんじゃねえの。つうかテメエ俺のデータと一緒にあいつらもとってたのかよ」



「ああそうだよ。何せまだ稼働時間が短いからね。だがおかげで色々といいデータが取れたよ」





俺の前にもパネルを出現させ襲撃してきた3人の戦闘データだろうか何かを見せつけてくる

データデータとうるせえやつだな。

事故にみせかけてこのパソコンみたいなの1つぶっ壊してやろうか?

目を配ると丁度デスクの上にコーヒーと入室したときスカが弄ってたノートパソコンがある。

ぶっかけて壊しちゃる。





「あ、手がすべ 「うわああああああああああ!? って熱い!?」 ……」





スカの今までにないマヌケな声が部屋というかアジトにまで響きそうな勢いで発生した。

……

あ、あれ? 今俺の目の前で何が起きたんだ?

えーっと思い出してみよう。















俺が事故にみせかけて肘でデスクの上のコーヒーカップを突いて中身をこのパソコンみたいなのにかけようとしたらスカがダイブしてパソコンを庇った。













そしてまだ熱かったコーヒーに苦悶している。

……なんつー今までになかった光景だ。

というか誰も想像できんだろ……こんなの。





「あーっと……大丈夫か?」



「ケイ君! 君はなんてことをしようとしてくれたんだ!」



「ご、ごめんなさい!」





あんまりにも物凄い勢いで叫ばれてつい謝ってしまった。

てか顔近い近い!





「もし今ので壊れたらどうするんだ! これがなければアレができなくなって私がウーノに」



「私が何か?」





ってどこから現れた!?

入口からか!?

気配はあったっけ!?

突然の襲来にスカの顔もビックリな表情。





「氷をお持ちしました。大丈夫ですか?」





袋に入れた氷をコーヒーを被った場所に当てるウーノおばさ……ウーノ。





「大丈夫だ。それよりコーヒーのおかわりを頼むよ」





さっきの慌てぶりが嘘だったかのようにいつもの余裕の悪人ヅラで注文するスカ。

おい、なんだその無駄にすごそうな演技力は。





「わかりました。……ところでドクター」



「なんだい?」





……ああ、きっと正面はいつもの顔なんだろうな。

背中は汗がダラダラと見えるけど。





「先日渡したアレはもうされましたか?」



「ああ。非常に面白かったよ」



「……そうですか」



「あ、ああ」



「ではまた別のものを準備しておきます。それでは」





そう言ってラボから空のコーヒーカップをお盆に載せて出ていくウーノ。

その瞬間どっと倒れこむスカ。





「……どーしたんだ?」



「……実はね……先日ウーノにこれを渡されてね」





そう言って起き上って持ってきたのは……





「……もしかしてこれってギャルゲ?」





パッケージにはえーっと……メーカーは日本語だと鍵って書いてあるな。

うーむ……ぶっちゃけ田舎にいるからこういうの詳しくないんだよな……





「ああ……そうだ。やれといわれてね……」



「……なんでまた……まったく話が見えないぞ」



「ドクターは女というものを知らないし興味は持っていないから持てと……」





さっぱりわからんぞ……なぜにギャルゲに……





「最初は放置していたんだ……そしたら……」



「そしたら?」



「……………………」





だんまり!? 

何だ!? 一体何があったんだ!?

マジでどーなったんだああ!?





「ま、まあそんなわけで実際プレイしたのさ……」



「……で?」



「素晴らしかったね」





目がちょっとキラキラしてた。

もしかしてスカ……覚醒したのか!?





「今まで人に対してその生命の神秘や力というものにしか興味がなかったが……感情や愛というものに訴えられたよ」



「は、はあ……」



「アニメの方も見たね」





ひょいっとどこからか取り出してアニメ化されたらしいものを見せてきた。

パッケージのサイドを見ると青い色だった。





「っておいブルーレイかよ」



「ちなみに君は見たことは?」



「ない」





日本のアニメみたいだけど田舎過ぎて放送もされてないし、DVDとか置いてありそうなビデオ店が隣の市にしかない。

ジャ○プとかサ○デーとかのアニメなら放送されてるけど、その時間家にいねえし。

というか我が家にはブルーレイディスクプレイヤーがない!





「じゃあ是非一緒に見ようじゃないか」





……何故だろう。

どーなってる。

何がどーなってスカがオタクになった!?

そして何気に俺に布教しようとしてきているぞ!?





「って何話あるんだ?」



「そうだね。このメーカー関連のは50話以上あるね」



「そんなに見る時間ねえよ」



「じゃあ劇場版を見よう。時間があるときにアニメ版を見てみてくれ」





劇場版まであるの!?

とりあえずなし崩しに一緒に見ることになった。

結構押し付けられてる感じで嫌々見始めたがまあとりあえず結果だけを言おう。

























ティッシュが1箱無くなった。



























あ、そーいやスカを殴りたいとか思ってたけど……なんかどーでもよくなった……

あんだけ仰天した後に泣かされたらどーでもよくなるか……

うう……ゴールしちゃダメだ。

坂道登っちゃ駄目だって……







































「んで4時間以上アニメ鑑賞をしていたんだな」



「ああ、そうだ。感動した」



「アホかあああああああ!」



「すまん!」



「ちょっとそこに正座しろこらあ!」





スカとアニメを見てからアギトと合流したのだが俺が無事かどうかを心配していたのに帰ってきた俺は感動で半べそ状態。

すぐに何をされたのか尋ねられてことの顛末を話したら怒鳴られた。

そして素直に謝るしかない俺。

ちなみに今俺たちのいるのは娯楽室らしきところだ。

棚には地球のゲーム機の本体やらソフトが大量にあった。

前にこんな場所あったっけ?





「まあまあアギトさん落ち着いて」





娯楽室に一緒にいるセインがアギトを宥める。

ここには今現在俺、アギト、セイン、ウェンディ、チンク、ノーヴェ、ディエチの7人がいる。

ルーテシアはどこかと聞くとケーキをお腹いっぱい食べたらしくそのまま別の部屋で寝ているそうだ。

ウェンディとノーヴェは2人で格闘ゲーム対戦中。

余裕の顔でコマンドを押しているウェンディと全身全霊を込めてメチャクチャにコマンドを押すノーヴェ。

あ、ノーヴェがあっさり負けた。

セインはソファーに座って順番待ち。

チンクとディエチはコーヒーを飲みながらそれを観戦している。





「なあ、そういやどーなってるんだ? 何か知らない間にこんな部屋できてるし、スカはオタクに目覚めてるし」





正座をさせられながらコーヒーを飲むチンクに尋ねる。

いくらなんでもこのアジトの雰囲気が変わり過ぎていないか?





「ああ、ドクターがウーノにゲームを渡されたのは聞いたのだろう?」



「ああ、なんか女心を知れとかなんとかでって」



「どうも便乗してウェンディが今やっているゲームをおねだりしたらしくてな。ウーノには止められたがドクターが許可して買ったのだ。部屋もついでに作った」





ついででゲーム専用の部屋を作るのかよ!?

でもなんかセインやノーヴェも一緒にやってるぞ?





「セインも元々こういうの好きだからそのままハマって、それを見ていたノーヴェをウェンディが引っ張り込んだって流れ」





ディエチが補足してくれる。

あーなるほどな。





「ぬっはっは! ノーヴェ弱いッスねー! これでアタシの10連勝!」



「んだとお! えーいもう1回だ! ぜってーお前になんか負けねえからな!」





きっとこんな感じでウェンディが挑発してノーヴェがそれに引っかかって……っていう流れなんだろうな。

単純というかなんというか。





「でもウーノおば……ウーノは何を思ってスカにギャルゲーをやらせたんだ?」



「実はこの前ウーノの集めている情報の履歴を見てみたんだ」





ディエチがそう言うが……ってインターネットみたいにそんなことできるのかよ。





「そしたら丁度ケイが赤ん坊になった頃くらいから育児関係の情報履歴が多くてさ」



「……んで?」



「……そこから今度は「夫とのうまい付き合い方」とか「気になる相手を射止めるには」とかそういう情報履歴があって」





一体何を調べてるのあの人!?





「これは私の予想だけど……多分ウーノはドクターと子供を作りたいんじゃないかな」





ええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?





「ちょ、ちょっと待て。そもそもスカはそのなんだ……女に興味はあるのか?」



「さあ?」



「あーあったりするんじゃないの? じゃないとワタシら全員女にしないでしょ」





いや、セインの言うこともわかるけどさ。

たしかに何年もこんな地下に潜伏するのに男ばっかいてもムサいだけで嫌だけどさ。





「……ええ? あるのか?」





わからん……さっぱりわからん。

そういやスカのコードネームみたいなのは“無限の欲望”だっけか?

そうなると性欲もあるのか? ないのか?

てか無限の性欲とかあっても嫌だな……





「多分その辺りが曖昧だったからウーノは興味を持てと渡したのではないのかというのが私たちの推論だ」



「明らかに興味の持たせ方間違っているだろ」





興味を持つようになっても二次元になるんじゃねえのか?

いつものニヒルな笑いとかマッドサイエンティストお約束の発狂したような高笑いのときに

胸ポケットには美少女フィギアとかいくらなんでもミスマッチすぎる。





「変態がさらに変態になるな。すっげえキモい」



「アギト……お前も同じもの想像したのか」





でもまああれだな、俺もギャルゲー主人公ってすげえ美少女にモテるとかハーレム作れるとかって聞くからすげえ羨ましいんだよな。

一体どんな羨ましい状況になっているんだろうか。

くそう、なんか見てみたくなってきた。





「ケイ〜次対戦しねえッスか?」



「あ、やるやる。でも説明書見せてくれ。それからやるから」



「じゃあセインさんやるー。ほらノーヴェ、どいたどいた」



「だあー! くそおー! 何で勝てないんだよ!」





ボタン適当にしか押さないからだろ。

つっても俺も結構適当に押す派だけどさ。

目の前で同じことして負けてるやついるから一応読んでおこう。





「そういや他のナンバーズ何してんだよ。全員ロールアウトしたんだろ?」



「オットーは今ポッドで昨日のダメージの修復。クアットロがやっててディードはその付き添いをしています。セッテはトーレと空戦トレーニングです」





アギトの質問に答えるディエチ。

説明書を読みながら聴き耳を立ててみたが……そっか、そっか1人は修復中か。

ざまあみろ。





「ケイ……1つ言っておこう」





チンクがコーヒーをテーブルに置きやや殺気を含んだ目でこっちを睨む。

……流せる感じではないな。





「今回はこちらの方に非があるとはいえ妹が怪我を負わされて私は心中穏やかではない」





チンクの発言に部屋中の視線は俺とチンクに集まる。

そしてその張りつめた緊張感の中ゲームのBGMと打撃音だけが響く。





「襲撃したことは謝罪する。だがもしこの件でこれ以上お前が妹達に何かをするなら……」





チンクの殺気が強くなる。

妹思いなチンクなら確かにそう考えそうだな。

けど俺も悪いけどだからってあいつら許せるほどできちゃいない、いないんだけど……





「あー……まあ正直まだムカついてるちゃあ、ムカついてるけど……仕返しはしない」





後頭部をぽりぽりと掻いて視線を流す。

まあムカついてるけど……まあ、なんだ……ここはもうこれ以上引っ張らないでおこう。





「そうか……すまなかったな」





安堵したように一息つき頭を下げるチンク。

本当しっかりしているというか好感を持てるな。

こっちもこれ以上引っ張るわけにはいかない気にさせられる。





「あーうん、こちらこそ」





俺も頭を下げる。

アギトはちょっと納得いかないようだったけどチンクの謝罪の言葉にこれ以上何も言えなくなったみたいだ。

見た目はお子様なのに中身は本当に姉ちゃんなんだな。





『 K.O!! 』



「あああああ!? ウェンディいつの間に!?」



「はーいアタシの勝ち〜」



「卑怯だ! あんな場面で1人だけずっと攻撃し続けてるとか!」





……さっき響いてた打撃音ってセインがこっそりコマンド打ってたんだな。

視線だけはこっちに持ってきてたけど手だけ動かして。

セコいな……ってかあんなときくらいゲーム中断しろよ。





「あっはっはー! ていうかケイがこれ以上アタシらに攻撃するわけないじゃないッスか。そうじゃなきゃアタシを助けてなんかくれねえッスよ」





ズキリと何か嫌な感じがした。





「ようするに今回は模擬選だったと思えばいいんスよ。多少の怪我くらいするッスよ」



「だーからって今のは反則だ! 無効!」



「えー」



「えーじゃない!」



「あーもううっせえお前ら!」





そのまま喧嘩しだす2人と仲裁?をして乱闘しだすノーヴェ。

ディエチがソファーに座りながら何かを言うがまったく聞いていない。

だが俺にはその光景があまり目に入って来なかった。

俺の思考は別のことを考えていた。

……さっきの胸の痛みは何だ?



















                                       つづく













おまけ1









ディード「オットー……大丈夫?」



オットー「うん……」



クアットロ「ディードちゃんも気にしなくても大丈夫よん。ポッドにはいってはいるけどダメージはそんな酷くはないしすぐ治るわん」



ディード「…………」



オットー「大丈夫……だからそんなに怒らないで」



クアットロ「そうよん。チンクちゃんも言ってたじゃない。『今回は私たちにも非があるが腹が立つのはわかる。私の方から奴には言っておく』 って〜」



ディード「…………」



クアットロ「まああんなクソガキでも一応ドクターの研究対象ですものねえん。丁重に扱う必要はあるかもしれないわねえ〜」



ディード「…………」



クアットロ「まあ……今回完全に元にもどったってことでまた新しい戦闘データが必要かもしれないですけど……今ドクターは変な趣味に走りだし

      ちゃってるから誰かが自主的に集める必要があるかもしれませんわねえん」





ディード「失礼します」



クアットロ「あらん? ディードちゃんどうしたのん?」



ディード「いえ、別に……」



クアットロ「あら、そおん? じゃあオットーちゃんは私がしっかり治してあげるから安心してねえ〜」













         おまけ2











ウェンディ「ひゃっほーー!」



セイン「うがー! まただー!」



ノーヴェ「だああもおおお! ゲーム変えたのに何でだー!」



ディエチ「これ結構おもしろいね」



チンク「何のゲームをしているのだ?」



セイン「スマ○ラ。人数多いからパーティーゲームの方が楽しいって言われていやってるんだけど」



ノーヴェ「そういやあの馬鹿どこ行った?」



ディエチ「なんかアギトさんと一緒にトーレとセッテの訓練見てくるって」

















          おまけ3









ケイ「…………滅茶苦茶速いな……2人とも」(トーレとセッテの空戦シュミレーションを見ながら)



アギト「まあSオーバー魔導士とかもこんなレベルだからな。相手しようと思うとこのレベルは欲しいだろうな」



ケイ「……他人の高レベル戦闘をちゃんと見るとすげえ自分が弱く感じさせられる……」



アギト「安心しろ」



ケイ「ん?」



アギト「お前は弱い」



ケイ「はっきり言うなよ!?」



アギト「でも弱いからまだまだ伸びるだろ。1段強くもなったんだ。自信もてよ」



ケイ「……おう」(ちょっと照れてる)



アギト(たまには持ち上げてやらないとな。精神的な部分で)















         あとがき







はい、スカ一行がだんだん壊れ始めました。

スカリエッティは正直オタクになる要素満載な人物だと思います。

マッドサイエンティストも1つのことに没頭してるんですからそのベクトルが違う方に向けばハードなオタクに……

ケイの能力UPについては本当少ししかなくて本当にすいません。

簡単に言うと炎の竜滅魔導士のような感じにアギトとユニゾンすればなれるという感じでお願いします。

あの漫画だと結構感覚で竜滅魔法を使っているようなのでケイに向いているのはこういう魔法かなと思ったんです。

さて、まだまだ原作みたいに黒い感じの残るキャラ、馬鹿な作者によって改変されているキャラが増えてきました。

そろそろ六課や原作の最終決戦を書きたいなと思いつつ中々進めていない駄目作者ですが次回もよろしくお願いします。











Web拍手返信







※ただ寝てただけなのにエライ目にあったケイ君乙www そしてスカよ、何ギャルゲ主人公じみた事してるさwww?





スカ「?何のことだい? ギャルゲ主人公のようなこと?」



ケイ「……自覚なしとかもはや重症だな」



スカ「まあケイ君はあれだね。“ハルハラ”と同じようなポジションだしねえ」



ケイ「漢字の読みが違う!? てかそれ最悪っすねえ!?」



スカ「語尾に「それと便座カバー」とつけてみないかい?」



ケイ「誰もつけませんからね!?」







※面白かったです。 頑張ってください。



>ありがとうございます! どんどん変な方向に突っ走っていってしまっているけどがんばります!





※なんの覚悟も無い奴が、他人のドクロ(信念)に手を出すなっ





ケイ「……すいません」



その他全員(((((((( 未だに信念なかったのか!? ))))))))))))



ケイ「でも生きるのに必死なんです!」







※副作用は発情期でも全然問題なし!! むしろやってそのままgo!





>なんですって!?

>というかあれですよ? 副作用が発情期になっちゃたらもう修羅場ですよ!?

>ケイなんかじゃ理性持ちませんよ!? ナンバーズ襲っちゃいますって!

>ちなみにそうなったらすずかと同時期に発情期になって一気にすずかEDへ……







※ルーテシアに弟扱いされたり、無双が始まりそうになったらルーテシアに止められたり、さりげなくルーテシアに弱くなっているケイ君乙(笑)

取り合えず努力とは無縁の数の子に雑魚言われたくはないですね(怒)頑張れケイ君!

例え才能がなくても頭が悪くても主人公っぽくなくても君は主人公だ!!(邪笑)





ケイ「おう! がんばる! 俺は主人公なんだ!」



謎ジイ「まあ主人公の特性の1つであるギャルゲ主人公体質はスカリエッティに持って行かれたがの」



ケイ「うるせいやい! い、いつか俺にだって春が! 春が……春が……来るのかなあ……来てくれるのかなあ……」(部屋の隅で体育座り)







※新作読みました!ラストの数の子組登場ですか。…うん、流石にあそこまで言われたら、

才能ないなりに数々の努力をしている彼でなくても頭に来るでしょうねェ。

私もあの言葉を聞いてカ・ナ・リ頭にきましたから。そしてケイくんのパワーアップ!これは魔力変換資質(炎)ということでいいのかな?

これならアギトとの相性もさらにバッチリでしょう!私、これでもアギトエンドを3割ほど期待していたりしてwww

さて、力が弱体化した彼がここまでの戦闘をしたと言うことは前回に戻ったらどれくらいの力を出すことができるやらかなり期待しています。

それでは、また次回も楽しみに待っております!!!





>今の時期はとにかく悔しさを感じる場面が多くなりますね。

>努力をして勝利する。この辺りはどこぞの史上最強の弟子の影響が大きいですね。戦闘での妄想でも参考にさせていただいています。

>しかしアギトEDってww サイズが大きくなってもそれはまずいでしょうww

>次回はちょっとまた変な戦闘フラグが立ってしまいました。とりあえずそろそろまともな勝ちが欲しいですねマジで。

>最後に、続きが遅くなってしまいすいません。







※男はな、注意深く罠をこばむアタマも要るんだぜ。それを磨かねえで、ただヒトのハナシを丸っぽ信じ込んで、ダマされたのをまだ、

他人のせいにしてたんじゃあ、強くなっちゃいかねえなァ。





ケイ「難しい……強くなるのってマジで難しい……」



ゼスト「……経験を積み己を磨き揺るぎない自信の像を作れ」



ケイ「信念って感じっすか?」



ゼスト「そうだ」



ケイ「はあ……」(ぶっちゃけ信念、信念というが……必要なようなそうでなくてもいいような……よくわからん)



ゼスト「……今すぐ理解できるわけもないか」



ケイ「難しいのはわかります」



アギト「それって全然わかってねえじゃねえか」


















作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板
に下さると嬉しいです。