ああ、世界はでっかいなー
つい昨日までの2倍以上の大きさに見えるよ。
なんでだろうねー
「アギト、私お姉ちゃんになった」
「「いやいやいや」」
ルーテシアに抱っこされながらアギトとハモりながら否定をする。
もーなんかもー……あれだ。
……なんて言えばいいんだ!?
時空を駆けちまった少年
第37話
とりあえず赤ん坊になって2日目。
体はまだ大体3,4歳くらい。
意識だけは15のままだけど。
今現在ルーテシアとアギトとはスカのアジトを離れて異世界に来ている。
何番世界かはわからねえけどレリックを探すために来た世界ではある。
テントを張っての相変わらずのサバイバル生活。
ゼストの旦那は一旦離れてこの世界でレリックの捜索をしている。
いつもはなるべく別れないようにしているみたいだけど、ルーテシアが俺を迎えに行くと言ったときに二手に別れることを提案したらしい。
信頼されてはいるんだろうけど……
《 お前がそんな姿じゃ何かあったらどうすんだよ…… 》
アギトからの念話。
すまん、俺もそう思う。
本当に申し訳ない。
とりあえず俺を抱っこしている状態をなんとかしてもらおう。
「ルーテシア。そろそろ下ろしてくれ」
「……ダメ」
はい?
「今のケイは赤ちゃん。弟。だからこのまま」
いやいやいや。
何この展開!?
「お姉ちゃん」
自分を指差しそう一言。
「ぶっ……ぷくくっくっく」
笑うんじゃねえよ!
俺は笑えねえよ!
「ルールー、じゃあ赤ん坊を連れまわしてレリック探すのは危ないから今日はここで休もうぜ。旦那と合流は5日後だし」
「でも……」
「明日にはもっとおきっくなってるから大丈夫だって。それに昨日は1日中探したじゃん。休みも欲しいって」
俺は植物扱いか?
「おい待て」
「はい、それじゃ決定ー。それじゃあ昼寝でもしようぜ。ルール疲れ溜ってるじゃん」
「うん……」
そのまま俺を抱っこしたままテントに入っていく。
「お、降ろせー!」
暴れてみるがさっぱり抜け出せない。
どうもこの体の状態じゃあまったく力が出ないっぽい。
年相応のパワーのみ。
ちくしょーー
大体10分もしないうちにルーテシアは完全に寝た。
なんか横に寝かされて子守っぽく俺を眠らせようとしてたけど先に寝てしまっていた。
くそう、なんかもう威厳が……威厳が……
元からないか、シット。
起こさないようにそっとテントから出る。
外ではアギトが縫物をしていた。
「おっ、これ着ろよ」
作りかけだが明らかにサイズが5歳児あたりようのだった。
「言っとくけど多分1週間で戻るから速攻で着れなくなるぞ」
「何だよおもしろくねー」
そういう問題か。
「筋力落ちてるよな? もしその1週間で戦闘あったらどうすんだよ」
「そうならないようにしばらくここで大人しくするのがいいと思う」
「てか変態ドクターのとこにいた方が安全だったんじゃねえのか?」
「ルーテシアが拉致っていったんだろうが」
サッと現れて俺を見て事情を「子供になったんだよ。弟ができてよかったね」とだけスカに聞いてそのまま転移だぞ。
そんなこと考える暇なし。
「ちなみにこの体でだと訓練の人形作動しねえし」
子供の体であんな厳しい訓練したら体がぶっ壊れるからだと思うけど。
「んじゃ魔法の方の訓練するか?」
「頼む。それと1つ提案がある」
「なんだよ」
「1週間ずっとユニゾン続けとこうぜ。寝るとき以外。そうすればユニゾンのときの精度も何か上がりそうな気がするし
魔力を使う感覚を長く感じていられると思うんだ」
「いいけど。それにアタシは魔法の訓練集中してくれる方が嬉しいからな」
「なんで?」
「べ、別にその方が役に立てるとか……ってあーもういいから! ほら! サッサとユニゾンするぞ!」
逆切れ!?
そしてツンデレっぽい発言!?
ま、まあいいや。
とりあえず始めよう。
ドラ○ン○ール式訓練方法を!
ちなみになんとなく効果がありそうだと思った根拠はこれである。
男なら誰もが考えるはずだ!
日が暮れても訓練は続いた。
辺りは一部焼けてしまったようなところがあったりただ焦げただけのような跡があったりと激しい戦闘の跡なものから花火の跡のようなものまで
どう形容すればいいか微妙な惨劇っぽい感じになっている。
ルーテシアは起きてからはじっと魔法の訓練の様子を見ていた。
ちなみに今は休憩している。
《 そろそろ休憩終わりだな 》
「頑張って……アギト」
「俺の応援は?」
「アギトの方が大変……ケイ魔法下手」
……悪うございましたね!
そうさ! アギトがいねえとさっぱりだよ!
少しユニゾン状態で自分の力だけで魔法を出そうとしたらマッチの火みたいだったり、火炎放射機みたいに出たりコントロールド下手だよ!
そもそも何!? 魔法のプログラムって何さ!
呪文でいいじゃん! メ○みたいなさ!
大魔王バー○なんかそれだけで特大火柱上がるくらいなんだぞ!
「うーん……こうさ……火の魔法は魔法でももっと楽に発動させられそうなのないの?」
《 ねえだろ。古代ベルカ式も今のミッド式も魔法陣作ってそこから発動だ 》
くそう。
そんな感じで2日が過ぎた。
俺の体も戻りつつあり現在大体10歳前後。
筋力もかなり戻ってきたようだ。
ただし普通の10歳じゃありえないくらいではあるけど。
まさに異常。
ちなみに本当にずっとユニゾンしているのでずっと紅髪金眼だ。
顔を洗うとき近くの水場に移る自分の姿に激しく違和感。
もしこれで学校行ったら生活指導の先生にバリカンで刈られるな。
「……抱っこできない」
「もうさせん」
じとーといつもの無表情だがどこか視線が恨みがましいルーテシア。
どうも同じくらいの大きさになったのがお気に召さないようだ。
「次はいつ赤ちゃんになる?」
「そんなの知るかい」
とりあえずなりたくないわい。
この会話も何度目だよ。
まあ明後日か明々後日には完全に15歳の姿に戻るからそれまでの我慢、我慢。
《 ほら、無駄話してねえで魔法の訓練するぞ 》
「ういー」
そう言って集中し始める。
こういうのを瞑想っていうのかな……
まあいいや。
「…………………」
ルーテシアは無言で俺たちを座って見ている。
この数日は本当に退屈なはずなのだが黙って俺たちを眺めている時間を過ごしてくれていた。
マスターできたらお礼しねえとな。
そうやってまた日が暮れていくのだった。
時間があっという間に流れて今は深夜。
近くの林から虫の鳴き声やフクロウのような鳴き声が聞こえるような時間になった。
ルーテシアはテントに入って眠っている。
俺もそろそろ休みたいがどうも脳の疲れが一周周ってハイになったようだ。
ゆっくりとその魔法陣を思い描く。
こうやって頭に想像できるだけでも処理スピードは上がるらしい。
しばらくして手に炎が纏わる。
それをゆっくりと大きくしたり小さくしたりする。
《 ……駄目だな。これだとこの前の騎士レベルの相手との戦いじゃ勝つのは難しいぜ 》
「……どんだけやっても駄目そうか?」
《 ああ、普通の魔導士相手なら今までの方法でなんとかなるけどそれ以上の相手は無理だな》
「……本当にセンスねえな俺……」
《 体質の問題だからな……魔力コントロールを自分でできねえんじゃ痛すぎる 》
俺の特殊な体を作ってくれているリンカーコア。
こいつの周りのリングのおかげで体は相当強靭になっているけど代わりに魔力コントロールができない。
一気に放出はできるけど……
プラスの面もあるけどマイナスの面もあるんだよな。
《 怪力と頑強さ、そんでアタシの魔法を加えたお前のレベルを考えるとAAくらいじゃねえかな…… 》
……十分高いとは思う。
思うんだけど……
《 Sオーバーとかと戦闘があると思うと全然足りないんだよな……リミッター掛かってる状態の相手にも負けたしな 》
なんだよなー。
つうかアギトがいてやっとAAだろ?
アギトの強さを魔導士ランクでいうならA+らしいから……
……はあ……ぶっちゃけ俺の相棒やってくれてるのマジで勿体ないわな。
レアスキルで一応そこそこアギトなしで戦えるけど。
……レアスキル?
「……なー俺のスキルでなんとか……って、またか……」
《 どうした? 》
「……襲撃だ」
林から何かが飛んでくる。
「アギト!」
《 おうよ! 》
すぐさまシールドを展開。
それと同時に久々にバリアジャケットを展開。
以前アギトに縫ってもらった服はサイズが違いすぎて今は着れない。
飛んできた何かはシールドに阻まれて飛んできた方向に戻る。
ふっふっふ、今まで何度奇襲や襲撃にあってると思ってるんだ!
無明を抜きその方向に構える。
っ……刀がいつもより重い。
つうか俺の筋力が落ちてるからか!
こんなときに来るなよクソ!
相手の数はどれくらいだ!?
探ろうとすると感じた気配の1つが突然消えたというより一瞬でその場から離れた。
「ISツインブレイズ」
!?
後ろから殺気がした。
斬り返し……無理だ!
「っつぐああ!」
《 ケイ!? 》
背中からそのまま斬られた。
だが血は出ない。
しかし痛みだけはしっかり伝わる。
なんで血が出てない!? 非殺傷設定!?
「……データでは防御する可能性の方が高かったはずですが……やはり身体能力が落ちていますか」
俺を斬ったのはこいつか……
茶色いロングヘアーに無表情な感じを受ける瞳。
さらに手には2本の……ビームサー○ル? それともライ○セイバー? どっちだ?
とにかく剣を持っている。
さらにその服装は……
「数の子スーツ!? お前ナンバーズか!? ってのおお!?」
今度は正面から斬りかかってくる。
受け止めるがやはりきつい。
突然茶髪のロングの女はバックする。
それと同時にまた先ほど飛んできた何かが襲いかかってくる。
「っ……うらあ!」
刀でそれを打ち落としその何かは地面に刺さる。
……でっけえブーメランかこれ!?
「はあああ!」
「うお!?」
突然林から別の数の子スーツを着た女が飛び出してきた。
長身の薄いピンクのロングヘアーに鋭い目つき。
両手にはここに刺さっているのと同じブーメラン。
「なんだってんだちくしょお!」
「ISスローターアームズ」
「うっそ!?」
ブーメランを投擲したと思ったらその軌道がメチャクチャだ。
カーブしたりフォークのように落ちたりとさっぱり読めない。
というか使用者の方にリターンしたと思ったら投げてもいないのにまた俺の方に向かってきたりする。
最強の変化球使いかこいつは!?
「撃ち落とすぞ!」
《 ブレネン・クリューガー! 》
炎弾を出せるだけ出して撃ち落とそうとする。
だがどうも向こうの操作精度の方が圧倒的に上なだけでなく威力も比べ物にならない。
簡単に斬り捨てられる。
「くっそ!」
弱攻撃じゃどうにもならねえか!
バックしながら無明で迎撃を……
「失礼」
「うがっ!」
しまった! こいつのことが頭から抜けてた!
2度も死角から攻撃される。
今度は背中を思いっきり斬られ、その勢いで吹き飛ばされる。
げっほごっほ! 息詰まる!
……やっぱ血は出てない……殺す気では来ていない?
「このっ……調子に乗るなよ!」
ダメージでふらつくが立ち上がり炎弾を2人の方に放つ。
しかしあっさりとかわされそのまま高速で接近してくる。
正面から斬り返すために烈火刃を発動させて構える。
だが茶髪ロングの姿が一瞬で消える。
「ツインブレイズ」
「うっが!」
後ろからの振り降ろしの攻撃。
「ブーメランソード」
「のっご!?」
のけぞったところで腹部に横薙ぎの一撃。
交互に剣の2連激を喰らう。
鈍い音が暗い夜の中に響き、その場に倒される。
《 しっかりしろ! おい! 》
「くっは……かっは……はあ……はあ……」
駄目だ……体の耐久力も反応速度も力も全部落ちてる。
というかそもそもこいつら速過ぎる。
ブーメランで誘導されたところで死角から攻撃来るし、死角に注意を張り過ぎるとブーメランの方が対処しようにも刀が重くて……
制空圏は張ってはいるけど捌き切れない。
「斬られてない分まだマシ……っ……」
無明を杖代わりにして寄りかかりながら立ち上がる。
剣術、対術中心で攻撃じゃだめだ……
それにもう攻撃を喰らい過ぎてほとんど動けない。
魔法でなんとか……でも
《 アタシに任せろ! お前はあいつらの方に集中してろ! 》
《 すまん 》
くそ……結局こうなるのかよ。
元に戻ってもこのままでいそうだぞこのままだと。
「まだ立ちますか」
「対象の耐久度は以前のデータと比較して20%以下。現状を見る限りデータの収集は可能と判断」
「では攻撃を続行」
淡々とわけのわからないことを呟く数の子スーツを着た2人。
そのまま2人同時にまた突っ込んでくる。
《 ブレネン・クリューガー! 》
マシンガンのようにとにかく炎弾で弾幕を張る。
それと一緒にふらつく足で後退。
だが2人は弾幕の隙間をかいくぐり、それぞれの剣で斬り進む。
先に斬りに来たブーメランの方を無明で受け止めるが、2撃目にビームサー○ルみたいな剣の方が腹を斬ろうとする。
俺の意思とは別に腹にシールドが張られる。
アギトが張ったようだ。
だがあっさりとそれは砕け、そのまま俺は吹っ飛ばされる。
「ぐあああああ!」
林の中に吹き飛ばされ、木に叩きつけられる。
そのままズルズルと地面に落ちる。
「はっ、はっ、はっ……っつぐ……」
《 おい! しっかりしろ! 》
だ、駄目だ……魔法が一切効かねえ。
アギトだけでやってるから結局は中の上くらいの強さの魔導士並みにしかならねえんだ……
ユニゾンデバイスは本来ブースターみたいなもんだって聞いたけど元の数値が0だからな。
上の上……Sオーバー魔導士との戦闘を想定して作られた戦闘機人相手じゃ無理かよ。
《 ち、ちきしょー……アタシの能力がもっと高かったら…… 》
《 あ、アホ……俺のセンスの無さが原因だろうが……今は泣き言言ってもどうしようもねえ 》
どうする……
今の状態で灰色の眼になれるか?
《 アギト……無明に烈火刃を 》
《 なっ……お前子供の姿でなって大丈夫なのかよ!? 》
《 わからんけどやるしかねえだろ…… 》
最大威力の一撃で一発KOするしかねえ。
眼を発ど……っつ!!
眼と頭に激痛が流れる。
駆けだそうとしたが頭を手で押さえ、前のめりになり倒れそうになる。
っーー今の体で発動は無茶過ぎたか!
「ISレイストーム」
上空からの2人とは別の声がした。
それと同時に俺の両手両足を光る紐状のものが縛り、身動きが取れなくなる。
バインド!?
微妙に違うか! なんだこの縄みたいなものは!
「対象の変身の失敗を確認。これ以上のデータ収集は危険と判断」
上から空間パネルを広げて数の子スーツにズボンを履いた……男か? 女か?
とにかく茶髪ロングにそっくりな顔のやつが降りてきた。
「了解。戦闘はここまでとしましょう」
「了解」
すっと構えを解く剣の2人。
……データの回収? ここまで?
どういうことだ?
「初めまして。ナンバーズNo7セッテです」
「ナンバーズNo8オットー」
「ナンバーズNo12ディードです。ナンバーズ最終ロット。つまり最後の3人です」
……そういや前にまだ増えるとか言ってたな。
「……ていうか何でそんなのが俺を攻撃してきた」
小さい体のままで怒気を飛ばす。
だが3人はそれを気にもせずこちらをただ観察しているだけ。
「クアットロからあなたの情報をいただきました。そこから私たちの目的のためにプラスになるとは思えないので排除を提案しました」
ピンク髪の長身のナンバーズ……セッテだっけ?
無表情にそんなことをあっさりと言いやがる。
「しかしドクターの研究には利益があると言われ却下をされました」
じゃあ何で攻撃してんだよ。
「ですが子供の姿での戦闘能力のデータが必要なのではないかとクアットロが言ったところドクターも必要と判断されたので今回のデータ収集を行いました」
ディードが説明を続ける。
「その結果、本来の年齢時と比較して総合的に15%以下の戦力に低下。ただしこの年齢の平均運動能力、その他と比較すると異常な数値ではある」
オットーとかいうやつが画面を操作しながら付け加える。
そんなの測らなくてもわかるわ。
「……ナンバーズのとのデータ共有で過去の戦闘、今の戦闘を経験しましたが元に戻っても相手にならないでしょう」
……
「おいそこのノッポ。今なんつった」
「さして問題になるような存在ではないと言ったのです」
このアマっ……
殴りかかってやろうと力を込めるがバインドに掛かっているせいで動けない。
「シュミレート結果……勝率95.89%……」
「雑魚……というわけですね」
オットーとディードが淡々と呟く。
表情の変化は無かったが今の俺には嘲りしか感じられなかった。
《 こいつら…… 》
アギトの口調に怒気が含まれる。
悔しいのだろう。
だがそれ以上に
「黙れよ」
キレているのは俺だった。
「黙れよテメエらああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
頭が熱くなる。
そもそも俺は小さい頃は結構ヒステリック気味だった。
小さい子供はそんなものだが大きくなるにつれて治ってはいった。
だがその代り溜めこむようにはなってしまったのだ。
ストレスや怒りの原因が溜って溜って、それが限界までいくとどんな些細なことでも我慢できない性格である。
要するに溜めこむ性格なのは損なのは知っているがどうも治せない。
今回は特にキた。
「ざけんなよ! いつもいつも馬鹿やらアホやら好き放題言われて、それでも前向きにしてたら終いにゃあ雑魚扱いか!?」
確かに頭が良くないし、賢いわけでないのは自覚はあるが言われて腹が立っていないわけではない。
「ああそうだろうな! 結局は俺は負けっぱなしだ! センスがねえさ! だけどなあ!!」
必ずしも努力に結果が伴うわけじゃない。
だけど努力はしてきた。
結果を出したやつに努力をしなかったやつはいない。
「テメエらにそう簡単に雑魚なんざ言われたくねえんだよおおおおおお!!」
心の底からの思いを喉が裂けるほどの声で叫ぶ。
胸が熱くなる。
頭が熱くなる。
手も足も。
全身が燃えるように熱くなっていく。
《 な、なんだこれ!? お、おい! なんか体燃えてるぞ! 》
アギトの言葉に気づいて自分の体を見る。
すると本当に俺の体が燃えていた。
というよりも炎が噴き出している感じだった。
《 アタシが変換したわけでも魔法を発動したわけでもない……魔法陣もない…… 》
「……そんなのどーでもいい」
俺の突然の変化で驚いたナンバーズの3人は一旦距離を置いて身構える。
オットーはバインドを強化、巨大化をして強制的に締め落とそうする。
「とにかくあいつらをぶっ殺す!!」
感情の爆発にあわせて吹き出る炎の量が爆発的に増える。
それは手足を縛っていたバインドを消し去った。
「なっ!?」
オットーが驚愕する。
やっとその無表情崩しやがったなこのクソが!
「うらあああ!」
駆けだしながら右手を前にのばすとその延長のように炎が腕のような形になって伸びる。
「!?」
オットーの顔面をそのまま炎の腕が掴み、さらに伸ばして後ろの林の木に叩きつける。
「がっ!?」
「そのまま死んどけやあああ!」
追い討ちに炎を纏った状態でドロップキックをドテッ腹にかましてやる。
声をにならない声をあげてそのまま沈むオットー。
「オットー!?」
「くっ……」
「あー、やっと1人だ。次お前らだ。いくぞこらあああ!」
セッテ、ディードへとそのまま駆けだした。
が
「ぬぐっは!?」
突然真横から飛び出してきたガリューにラリアットをかまされて止められた。
勢いをつけ過ぎていたせいで息が詰まった!
「うっげほお! ごっぶ!」
し、死ぬ!
四つん這いになって咳き込みながらガリューの方を見るとその後ろに見えるはルーテシア。
ただし恐ろしく機嫌が悪い。
しかも半眼でこっちを睨んでる。
「ケイ……」
「うっげっほ、ごっほ……な、なん……うげえ……」
「……うるさい。寝るの邪魔しないで」
……いやいやいや。
「そっちのナンバーズの方もうるさい……サッサと帰って」
「いえ、ですが……」
「ドクターの指示ですので」
ルーテシアの迫力に圧され気味なのか、ルーテシアの方が立場的に上位だから遠慮気味な感じがした。
とりあえず間違いなく敬意を持って対応はしている。
「……………………」
「……わかりました。ドクターからはお嬢様には手を煩わせないようにともいわれましたので」
「今日は失礼させていただきます」
そのままオットーを抱えて消えるセッテとディード。
それを確認するとテントに戻って再び眠りに入ったのだろう。
辺りはまた夜の静けさを取り戻した。
「……なあ……」
《 ……なんだよ 》
「……俺の怒りはどうすればいいんだ?」
《 アタシに聞くなよ…… 》
どないせーちゅんやー
つづく
おまけ (とりあえずその後)
ケイ「あー……月が綺麗だな……」
アギト「そうだなー……」
ケイ「これって漫画だったらそのままカッコよく勝つとこだったよな……」
アギト「だろうなー……」
ケイ「はは……ははは……」
アギト「ははは……」
ケイ・アギト「「 あっはっはっはっはっはっはっはっは!! 」」
ルー「……うるさい」←アスクレピオス起動
あとがき
はい、今回ケイは魔法をパワーUPさせました!
どーいう魔法かは次回の中ではっきりさせますが一応レアスキルを利用した魔法にしています。
どんなかというとある妖精の尻尾の名前のついたギルドのドラゴンの異名を持つ季節の名前の主人公の魔法のような感じです(笑)
色々な細かい魔法とかも考えてみたんですがケイは頭良くないのであんま合わないなと思ってこうしてしまいました(コラ
そして初めて意識あり状態、灰色の眼なし状態で無双できそうな感じだったのにルーテシアにストップかけられましたw
どこまでも締まらないやつなのは意識があるとどうしてもできない主人公でした。
次回は再びのほほんにしたいなーと思います。はい。
では次回もまたよろしくお願いします。
Web拍手返信
※時空を駆けちまった少年の感想 やっべティアナかわいいっすね!なんだかんだで、ケイとはいいコンビなのかもしれません。
ただ、二代目魔王になるのは確実ですね!
>ケイ「2代目魔王だってさ! ……って待て……なぜそこで俺にSLBをかます準備を……」
>ティアナ「魔王上等じゃない。いえ、むしろなりたいわね」
>ケイ「ま、待て! 魔導士としてはこれ以上ない褒め言葉だろうが女子としては (光の中へと消えた)
※うおっとケイ君暴走か!?ここでみんなを動けなくしてからおいしくいただくという鬼畜王への道がスタートということですね分かりますwww
>実はそんな感じになるダーク話を考えたことありますw
>そしたらエロくてなんだがやばいものになりそうなんで書けないッス(汗
>100%R−18ものにww
※自分がドレだけ不幸だと思っても、ソレは他人に不幸を振り撒く免罪符にはならないんだぜ
>そうですね。原作でクロノも似たようなことを言っていましたね。
>でもそれでも認められないからこそ人は悲しい事件を起こすんでしょうね。
※ま、私としては六課の怠慢ぶりに嫌気がさしていましたし、シグナム達も人の話を聞かず、自分の身勝手を相手に押しつけてくるだけで
少なからずイラついていましたから、これでちょっとはすかっとしましたよ。
あとは、彼がもう少し戦闘に対して覚悟を持てたらいいですね。力を手にするということは相手を傷つけるとこで、
それは時に人を死に至らしめてしまうことさえある。それを覚悟できるものが力を持つことを許され、振るうことを許される。
そして、同時に戦闘に出るということは自身に死の危険が付きまとうということ。
撃っていいのは撃たれる覚悟のあるものだけだ。彼には、もう少しそこら辺を理解してほしいですなぁ。ま、それは六課の甘チャンどもも同じですがね。
>実はケイの戦いへの覚悟の部分に対してはあまり書くつもりはなかったりします。
>家に帰るというのを最初の目的に戦って、そこから話が進むにつれて目的が変わっていく感じにするつもりなので覚悟よりも必死さを重要視して
>いこうと考えています。
>ただ作者の好み上文面、話の進み具合はギャグが強めになってしまいますが(汗)
※ケイ、犯罪者の君には3つの道がある。1つはナンバーズの誰かと結ばれるか、2つ目はロリコン(ルーテシアEND)になるか、
最後はある意味有名なハーレムルート、忠告だけしとくけど最後だけはお勧めできないなにせそれをやろう
としたらスクー○デイズみたくなるからだ。因みにどうなっても責任は持てない、まぁ自分なりに頑張んな
>ケイ「ハーレムは男のロマンだよな! やれるもんならやってみてえよ!」
>全キャラ「「「「「「「 無理、無理 」」」」」」」」
>ケイ「ですよねーー!」
>ルー「ロリコンED……」
>ケイ「ああ、それも無いから安心しろ。娘みたいなもんだし」
>ルー「……おとうさーん」(棒読み)
>ケイ「娘よ!」
>アギト「……ルーが毒されてきた……」
※授かった力で不幸になったのは、君がそれを選んだからだ、その気になれば人間は何でもなれるし、何処へだって行ける。
それだけの力を持ちながら情けないことを言うなっ!
>ケイ「さーせん! でもそれ以上に六課は非常識な強さっす!」
※どんなに不幸な人間でも完璧に不運の犠牲者じゃ無いんだよ、最後は結局自分しだいなんだよ。
>はい、その通りだと思います。
>ケイには最後まで前向きに頑張らせていくつもりです。
>成長もさせますが、賢く、シリアスな成長はさせないつもりですが(ぁ
※「時空を駆けちまった少年」を1話から35話まで全て拝見させて頂きました。
1話1話にある「おまけ」が話しをヨリ面白く引き立てているところが、良かったです。次回を楽しみにしています。
>ありがとうございます!
>一気に読んでいただけるとは……うれしい限りです。
>おまけは裏話や次回に続いたりするので実は結構重要だったりする回もあったりします(笑)
※時空を駆けちまった少年、面白いです。
>ありがとうございます!
>これからも頑張って書いていこうと思っていますのでよろしくお願いします。
Web拍手いつもありがとうございます。
Web拍手は管理人のリョウさんによって作者別に分けられていますので題名、もしくは作者名など何かわかるワードを入れて送信お願いします。
作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル、投稿小説感想板、