機動六課とのまさかの戦闘が終わってなんかもう俺はどうなるのかどうすればいいのかさっぱりわからなくなってきた。
もうあれだ。


なるようにしかならん!


それしか言えん。うん。









時空を駆けちまった少年

第35話









戦闘終了して目を覚ましてそれからさらに1週間ほど経った。
ドラ○ンボールに出てくるメディカルポッドっぽいのからも無事退院? した。


「なるようにしかならん!!」

「……何を突然叫び出すのだお前は」


チンクに突っ込まれた。


「いや、俺の身が」

「そうそう。ドクターが呼んでいたぞ」


うげっ。





















「やあ、身体の具合はどうだい?」


チンクに言われてスカの所にやってくる。
コーヒーを優雅に飲みながらにやりと笑いながら尋ねてくる。
素なのかどうかは知らんけど何か企んでそうな雰囲気満天だ。
いや、実際色々企んでるような奴なんだろうけど。


「微妙」

「そうかい? ではこの前試作した栄養ドリンクを 「やっぱもう調子いいかも」 そうかい」


ふう……危ねえ……


「さて、それでは本題に入ろう。これは一体何なのかな?」


そうして映されるこの前の戦闘。
その映像には意識を失ってからの戦いが映されている。
どう表現していいのかはわからなかったけど言えるのは一言。


「……色々無茶苦茶だな。この状態の俺」

「そうだねえ。まさか魔法を素手でと。それにただの投擲でビルを貫通」


しっかしどう説明するかな……
下手なこと言うと、なんかもうわけわからんことが起きそうな気もするし。


「正直に全部ゲロっちまわないと結構キツい?」

「言わなかったら治療中に仕掛けた爆弾を「えー実はですね……」」


そのまま全部ゲロりました。
リアルに仕掛けられてそうだったから。
それに多分言わなかったら言わなかったでもう多分マジで俺の命はないわ。
もう抵抗できません。






















「いや、興味深いね」

「とりあえず俺の今わかってるのはここまで。後はわからない」


俺のわかってることとか全部そのまま話した。
とは言ってもジジイに教えてもらったことしか知らないし、俺の体験談でわかったことだけだけど。
その先?
んなもの俺が知りたいわ。


「しかしそんな副作用まであるのかい」

「あるんだわ」

「わかった。それでどのくらいの周期でそれは起きるんだい?」

「え〜……多分あと1,2回灰色の眼の状態になったら来ると思う」


全部話してからそのまま少し雑談になる。
あんまり親しく話したくない相手だし正直嫌いな相手だ。
でももう同じ穴のムジナな俺。
仲良くやっていくしかない。
……と思う。


「どうやら本当にわかっていることは全部話したようだね」

「もう隠す余裕がある立場じゃないからな……実際言わなかったらさっきの爆弾話は嘘だとしても何かしただろ?」

「そうだねえ。どんな……とは言わないが君の自我というものは無くなっていただろうねえ」


……やっぱし!


「まあ今回の一件は私としては喜ばしいことばかりだったよ。君も管理局に対して踏ん切りがついただろう?」


いや……それはあんま……
というか師範大丈夫かな……スバルやティアナにギンガ先輩も心配だけどあの人が特に重症だったし……


「ふむ、どうやらまだのようだねえ。私が言うのもなんだがそろそろ立ち位置をはっきりしてはどうだい?」


うっ……


「いざとなれば君を好きにどうこうできる私だが……あまり何かをし過ぎると正確なデータがどれないという恐れもある。あまり使いたい手ではないんだよ」


悪役にぴったりなニヒルな笑顔。
正直寒気がしました。
立ち位置か……
………ん?
てか俺スバル達に突撃する前にルーテシアとアギトほっとけないし恩も義理もあるから一緒にいるみたいな感じで決めなかったっけ?


「んじゃ俺はゼストの旦那と同じ立ち位置で。管理局に戻るとかはできないし地球に戻るってのもな」

「地球に戻るというのは可能と言えば可能だよ」

「はい?」


なんで? 
戸籍も俺の人間関係も全部パアになってるのに。
というか局の上層部に狙われてるんだぞ。
迷惑なことに。


「実は評議会を私の娘が殺したからもう君が怯えていた相手はいないのだよ」

「娘って……誰が?」

「君が知らない娘だよ。2番目の娘で名をドゥーエという。そこで諜報活動をさせていたのだよ」


まだ娘いたんかい!


「これからまだあと3人増えるよ」

「マジかよ! 子沢山!?」


どこの家庭もビックリな程の大家族だなおい!
てか誰が産んでるの?
やっぱ1番のおば……女の人か?
うーむ……犯罪者夫婦……なんかエロい。


「話を本筋に戻そう。まあとにかくドゥーエが評議会を始末したから君は地球に帰ろうと思えば帰れるのだよ」


マジか……
でも戻っても戸籍が戻るわけじゃない。
でも……戻りやすくはなったかな。
そこの部分をどうするかは後々考えよう。
今考えてもどうしようもないし、何もできない。
焦って行動しても失敗するだけだ。


「そっか。とりあえずその娘さんに感謝します」

「どうするんだい? 地球に帰るかい?」

「うんや、まだ。戸籍がどうたらってそっちで何とかできるんだろうけど……後が怖い。自力でどうにかできる機会を待つ」

「そうかい? まあ君のような少年に何とかできるとは思わないが、気が変わったら相談したまえ」


あんましないで済むように頑張ろう……
借りというか頼み事をしすぎると泥沼になる気がする。
早いうちに解決しないといけないことがあった。


「さて、話も済んだ。これからどうするんだい? ゼストやルーテシアと合流するのかい?」

「そうする。その後はラケット修理する」


見事に折れたラケット。
シールド張れない俺には絶対に手元に置いておきたい防御品。


「直るのかい? 修繕は不可能のように思うが」

「だから原材料を獲りに行くんだ」


本当はあんまり行きたくないんだよな。
滅茶苦茶怖え世界だから。


「ああ、それなら合流の前にチンクと一緒に行ってくれたまえ。私もその原材料に興味があるんだ」

「別にいいけど」


そうしてラケット修繕のために材料の収集が決定した。




































さてさてやって来るは管理外世界というより立ち入り禁止世界らしい。
理由、滅茶苦茶危ないから。
それを知らずにここで修行してた俺。
ジジイ今度会ったら覚えとけ!
俺が立っているのはその世界の原生林の入口だ。
と言ってもアマゾンとかそんな感じじゃない。
木や草の大きさが軽く地球の2,3倍はありそうな大きさだ。
鳥の鳴き声も聞こえるが声だけで怪鳥のような生物を簡単に想像させるし、猛獣の雄叫びも聞こえる。
ちなみに異常に巨大なのは俺の立っているところよりも前だけで後方は普通の原生林である。
後方はまだ危険度の低い生物が主に生息、前方は見たまんま超危険な生物が生息している。
ちなみに俺は1,2回だけしか目の前の原生林に入ったことがない。


「ふう……怖ええ」

「着いて第一声がそれか」


ツッコミを入れたのはチンク。
回収後、俺はルーテシア達のところへ。
チンクは回収した材料の一部をスカのところへ持って帰ることになっている。
こんな世界に一緒に来させられるとは可哀そうに……トラウマにならんといいけど。


「そういえばお前のローラースケートはどうした? 服装は戦闘状態に見えるが……それにアギトがいなくて大丈夫なのか?」

「スケートはこんな原生林じゃむしろ動きにくいし、アギトはルーテシアとレリック反応あったところに行ってる」


できたら一緒に来て欲しくて連絡もとってみたけどレリックらしく反応をみつけたらしく、そっちを優先させた。
迎えに来ようかと聞かれたけどその間に反応が消えたりしたらまずいし、その間に六課に回収される可能性もあったからいいと言った。
今回はチンクもいるしちょっと心強かったりする。
1人じゃ怖い。
情けないけど。
ちなみに俺の服装は新品だ。
いつもの黒のジャージのデザインに赤のラインや装飾がされている。
テンチョーから貰った生地をアギトに頼んで縫って貰った。
魔力を込めつつ編んで貰ったからバリアジャケットと同じような感じになっている。
手には手甲をはめ、腰に刀、右手に草を切るための鉈。


「んじゃそろそろ入るけど……マジで気を付けてな」

「ふん、何を臆病なことを」


そうして原生林へと足を踏み入れる俺達だった。















前後左右を確認しながら前に進む。
油断はできない。


「お前の目的の木はまだなのか?」


特に怯えない感じで進むチンクが尋ねてきた。
もう少し警戒したらどうだと言ったら感知センサーがあるからすぐにわかると言われた。
メッチャ便利だな。
俺はそんなのねえから気配をかなり注意して読まないと駄目だというのに……
気配がどうこう言ったけどそっちも生体反応、熱感知センサー、赤外線感知センサーみたいな機能まであるらしく逆に前にいて欲しいなと思った。
いや、マジで。


「あ〜どうかなあ……あの木動くし前に場所にいねえと思うんだよな……」

「……はっ?」

「こう枝を触手みたいに伸ばして猛獣を食うというか吸収してくし、魔法というか魔力攻撃まったく効かんし」

「……そんな木があるのか?」

「あるんだそれが」


俺も捕まった。
そして吸収されかけた!
そのときは必死でだったなあ。
そのときマジで死ぬと思って必死でいたら眼を初めて自分の意志で出せるようになったんだよな……
なんとかその枝をぶった切って必死で逃げて来て、そのときの枝を元にラケット作ったんだ、いやはや懐かしい。
そして身体が震えそう。


「大きさはどんなくらいなのだ?」

「その辺の木よりでかいぞ」

「上空から探した方が早いのではないか?」

「上を見てみ」

「上?」


そう言って2人で上空を見る。





ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

ガアアアアアアアアアア!





まさに怪鳥と言えるサイズの巨大な鳥と、トカゲを連想させるような翼竜のような生き物が飛んでいた。


「……なるほどな」

「無理だろ?」

「トーレなら狩れそうだな」

「マジかよ!?」


どんな戦闘力だよお前ら。
……とりあえずなのはさんやらシグナム師範と同等なんだよな……恐ろしい。
むっ!
チンクと空を見上げていると何かを俺の最近鍛えられてきた危険感知センサー(命名俺)が反応した。
その瞬間背後から巨大なイノシシのような生き物が突撃して来た。
その大きさはもの○け姫の白い猪神並だった。
でかっ!


「ぎゃああああ!」

「な、何だこれは!?」


叫びながらその突進を木に必死で登って回避する俺と、その巨体に驚きながらジャンプして木の枝に逃れるチンク。
突進を失敗して別の木にぶつかってそのままなぎ倒していく巨大イノシシ。
危ねえ……さっき気付かなかったらミンチで餌になってた。
どうも俺は気配を読むことよりも自分の命がピンチかどうかの方に敏感らしい。
普通は逆らしい。
やったね! これで死ぬ確率は少し減る! とか喜んでいたけど回避できるかどうかは別だったりするらしい。


「ってやっば! Uターンしてきやがった!」

「ISランブルデトネイター!」


チンクが巨大イノシシに向けナイフを投げつける。
それは直撃と同時に大きな爆発を起こした。
あのナイフ爆発できるの!?
ということは前に俺あんなので囲まれてたのかよ! 怖っ!


「ふん、獣ごとき……」

「いや、多分だけど生きてるぞ」

「そんなわけ……って何ぃ!?」


爆煙が晴れたら怒ったような表情で巨大イノシシは立っていた。
毛が幾分か禿げ、火傷のような痕も見えるがそこまで大きいダメージを負ったような感じはしなかった。
チンクは予想以上に少ないダメージに驚く。
いや……あの爆発であんだけのダメージじゃ驚くわな。


ブゴオオオオオ!!


怒り狂った巨大イノシシは俺たちの乗っている樹に体当たりをかましてくる。
その振動で大きく揺れる。
うおお!? 落ちるーーー!
揺れで落ちないように馬鹿でかい樹の幹にしがみつく。


「どういう耐久力をしているんだあのイノシシは!?」

「知るか! 無駄に怒らせるなよ! てか熱センサーとかでもっと早く察知して回避できたんじゃねえのか!」

「モードをオンにしていなかったのだから仕方ないだろう!」

「なんでしておかねえんだよ! 忘れてたのか!」

「なっ!? そ、そんなこと……あるわけなかろう」


おい。なんで最後の部分が小声になる。


「ゆ、油断していたのだ! そもそもそこまでしなくとも感知できるはずなのだ!」

「できてねえだろうが!」

「ぐっ……ええい! うるさい! 今はこいつをなんとかしないとならんのだ! 気が散る! 話しかけるな!」


有耶無耶にしやがった!?
とりあえずあれか?
ここの生物の気配の隠し方がうますぎて機械が察知できなかった。
もしくはチンクの機械がぶっ壊れてた。
俺としては前者な気がする。
はっ!? つまり俺の臆病な性格ゆえの危険感知センサー(命名俺)は最新技術を超えるのか!
なんかカッコ……よくない……というかむしろカッコ悪……
って、あれ? なんか考え事してるうちに揺れなくなった。
というか巨大イノシシが下にいない。


「あれ? イノシシは?」


隣のチンクに尋ねるとチンクはぽかーんと口を開けて真上を見ていた。


「おい、どーした?」


無言で上を指差す。
んっ? 上?


「って……ええええええええ!?」


なんと巨大イノシシがロー○バトラーのようなもはや木の幹だろうと思えるほどのぶっとい木の枝のようなもの巻かれていたのだ。
驚くことに木の本体らしきものがここからは見えない。
原生林の木の間を掻い潜ってきたようなところから姿が見えている枝もあれば、明らかに周りの木のてっぺん辺りから姿を現している枝もある。
つまり本体はただでさえ巨大な原生林の木よりも遥かに巨大だということである。
暴れまわって脱出をしようとするが余計強く絡まっていく枝。
辺りに必死な雄叫びが木霊する。
こ、この木はまさか……


「な、なんなんだこれは……」

「……多分今回の目的の木だ」

「こ、これがか!?」


真上で起きている必死に逃げようとする巨大イノシシと木の枝のバトルを指差してチンクが叫ぶ。
お、俺だって叫びたいわい。
俺の前に会ったやつはこんなバカでかくなかったわい!


「「 あっ…… 」」


巨大イノシシが木の枝に串刺しにされ止めを刺された。
力の入っていない足をだらーんとぶら下げ雄叫びも止んだ。
そして枝はそのまままた森の奥へと姿を消す。


「「……………………」」


俺とチンクの間に沈黙が起きる。


「……本当にあれか?」

「ああ、本当にあれだ」

「……他のサイズにしないか?」

「奇遇だな。俺もそう思っていた」

「ではあちらの方向に行こう」


そう言って枝の消えた方向と逆方向に進もうとしたらガシッという音が聞こえる。


「「んっ?」」


2人揃って音の聞こえた場所を見る。
ほぼ同時のタイミングで俺もチンクも自分の足首を見ていた。
そこにはさっきの木の枝の細いバージョンが巻きついている。
互いに顔を合わせる。
そしてもう一度捕まった足首を見る。
そのままものすごい力で引っ張られた。


「ぎゃあああああああああああ!?」

「うわああああああああああ!?」
























そのまま引っ張られ、原生林の木々の間を絶叫マシーンのごとく進んでいくというか戻っていく。
ちょっと面白い!
でもこの後のこと考えると怖ええ!


「くっ、このっ! ええい! 離せ!」


引っ張られながらも器用にもがいて木を外そうとするチンク。
あーあー、無駄なことをー
どうせ外れねえよ。
パターン的に。
しかしこれはどこまで引っ張られるんだ?
そう思っていると突然開けた場所に出る。
それと同時に枝が上昇し、ただでさえ巨大な原生林を空から見下ろすような形となる。
そして俺たちの前にその木の本体の姿が目に入る。


「って、ええええええええええええええええええええええええ!?」

「な、何なんだこの大きさは!?」


まるで森の中に山が1つぽつんとあるかのような大樹がそこに生えていた。
木の幹の直径だけで数百メートルありそうなほどの太い幹。
天にも届きそうなほど伸び、原生林を覆い隠すように伸びた枝と鮮やかに生える深緑の葉。
あまりの巨大さとその美しさに神々しいオーラすら感じた。


「あっ、さっきのイノシシの死体だ」


見ると別の枝に捕まった既に死体と化したイノシシが大樹の根元に持っていかれていた。
そして根が影になって見えなくなったと思うと大樹の枝だけがそこから戻ってきたのだった。
……………
……………


「もしかして食われた?」

「そ、そうではないのか?」

「……俺らもああなるのか?」

「ああ、きっとそうなのだろうな」


2人でしばしの沈黙。
そして


「でええいい! 斬れろ! 斬れろ!」

「ええい! いい加減爆砕しろ!」


無明を抜いて枝に斬りかかる俺と、ナイフを何本も投げつけて爆破させ砕こうと必死になるチンク。
でえい! なんつう頑丈さだ! まったく斬れん!
十数回同じところを斬ってようやく斬れた。
チンクの方も十数本近くナイフを爆破させてようやく脱出が可能となった。
そのままどちらも宙に吊られていた状態だったので支えを失い下に落ちる。
まるで足場のように密集した他の木の枝に乗っかり、巨大なその樹を見上げる。


「うひゃ〜、でけええ」

「ここまでくるともはや驚きしかないな……」


さてさて、こんな馬鹿でかいのどうやって切りとろう。


「戻って他のを探すぞ。これでは」


チンクの言葉を遮り思ったことを口にする。


「いんや、こいつから切り取る」  

「なっ!? お前正気か!?」


正気じゃい。
だけど考えてみろ。
ここまで巨大になった樹を元にラケットを作れたら相当なレベルアップしたものになるぞ。
こっから先は化け物クラスとの戦闘があるだろうし、多分前の強度のままじゃ簡単に折られる。
だったらここで一発すげえのを手に入れておかないと死ぬ確率大だ。
……まあ今も十分危なさそうだけど。
その理由をそのままチンクに伝える。


「はあ……まったく……なぜ私がこう苦労をせねばならん。いいだろう。こいつを採取するが危険になったら貴様を餌にして私は帰るからな」


それひでくねえ!?
いや、まあ確かに俺の個人的な理由でここに来たし、お前もそのせいでここに来させられたんだけどさ。
もう少し優しさがあってもいいんじゃない?


「むっ、来るぞ!」


再びぶっとい枝が俺達に襲いかかってくる。
ミンチにしようとするかのように叩きつけられた1撃は周りの木々を押しつぶし、横薙ぎに払われると木々を軽々と吹き飛ばす。
それらをなんとか回避しながらも枝に向かって斬撃や爆破を繰り返す。
しかし一向にダメージはない。
外皮が相当固えのか!?
だったら……


「チンク! 爆破させないでナイフを木の表面に刺せ!」

「命令するな!」


そう言いながらも爆破させないでスティンガーと呼ばれるナイフを襲いかかってくる枝に刺す。
そこに向かって飛びかかる。


「どりゃあああああああ!!」


収納空間から市販のトンカチを取り出しスティンガーの持ち手部分を垂直に打ちつける。
って1回じゃ全然中に刺さらねえ!?
このおおお!
枝にしがみついてそのまま連打、連打、トンカチ連打。
その間にもしがみついている枝は激しく動くが手は離さない。
よっしゃ! 奥まで刺さった! 離脱!


「爆破させろおおお!」

「ISランブルデトネイター!」


木の枝の中で爆発を起こす。
よっしゃ! これで回収はできるは……
回収できるだろうと喜んだが目の前に映るのはちこっとだけ抉れた太い木の枝だった。
えっ!? あれで切り取れないわけ!?
というか砕けろよ! 


「! 避けろ!」

「えっ? うおおおおお!?」


チンクに大声で叫ばれ俺の背後から別の枝が叩き潰そうと襲ってきていた。
やばい! 回避できねえ!


「ぎゃああああ!」


俺自身は縮こまり無明を垂直にしてつっかえ棒のようにして木の枝に潰されるのを防ぐ。
無明の半分くらいが木に刺さり、その微妙な隙間に身を縮めた俺がいた。
あ、危ねえええ! 死ぬかと思った!


「!? うわああっ!」

「チンク!」


俺が助かったと思ったが今度はチンクがピンチとなる。
今度は枝ではなく木の蔓が数十本も現れチンクの体を縛り付ける。
しかもその縛り方がなぜか簀巻き風ではなく、脇やら股やらに巻きついていた。


「ま、まさかこれは……」

「な、なんなのだこれは!? 知っているのか!?」

「噂に聞いた触手プレイ!?」


18歳以上のエッチなゲームとかアニメでよくあると聞いたことがある!
というかちょこっとだけパソコンで画像は見たことはあるけど実際に見ることになるとは!
あっ、ちなみに俺はまだそういうのを持っていない。
だってあだ15だもん。
買えません。


「貴様は馬鹿だあぁあぁあああぁぁぁぁああああ!」


チンクがドップラー効果を起こしながら蔓に引っ張られて根元の方に引き寄せられていく。
すまん! 今考えることでも言うことでもなかったよな!
てかチンクが食われる!


「このっ! 連れて行かせるかよ!」


先ほど俺を潰そうとした枝に刺さった無明の持ち手に手をかけ、武器にして突撃しようとする。
だが、握ってから微動だにできなかった。


「……ふん!」


まったく動かない。
というか抜けない。


「ふん! ふん!」


もう一度やる。
まったく抜けない。


「ふんがあああああ!!」


両手で持って思いっきり引きぬこうとするがまったく抜けない。
ええい! なんだこんなときにいいい!


「このおおっ〜〜抜けろ〜〜〜!!」


そうしているうちにもチンクが根元の方に引き寄せられる。
蔓に縛られた状態で抵抗してはいるが抜けだせそうにない。
急がねえと!


「ふぬぬぬぬ!! ふぬがああ! ふんがあああ!」


背中に背負うようにして抜くために力を込める。
だがそんな俺をまた別の枝が正面から再び叩き潰そうと襲いかかってくる。
ぎゃああああ!


「くそったれえええ!」


眼を灰色にして力を解放する。
抜こうとする力がさらに上がり、ついに無明が抜けた!
って……


「あああれええええーーー!!」


すっぽ抜けたと思った瞬間その勢いは衰えず、むしろまるでそれを加速にしたかのように体ごと風車のように丸ノコして飛んで行ってしまった。
世界が回るうううううう!
無明と一緒に回転しながら飛んだ俺はそのまま枝に真っ直ぐ飛ぶ。
そして刃が回転によって威力を増した一撃として枝に大きく食い込んでいく。
うおお!? すげえ威力!!
よし、丸ノコ斬りと名付けよう。
太い木の幹のような太さの枝を見事に斬りおとし回転が止まる。
それと同時に落下しながら蔓に捕まったチンクを追う。


「うらあああ!」


そしてチンクを縛っていた蔓をぶった斬る。
よっしゃ! 間に合った!
そのままチンクを捕まえる。


「大丈夫か!?」

「すまない。ところでどう着地するのだ?」


えっ?


「…………ぎゃあああああああ! 落ちるうううう!」

「やはり考えなしかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


ごめんーーーー!
はっ! そうだ! こいうときこそ魔力放出でショックを吸収するんだ!
捕まえたチンクをそのまま胸元に抱きよせて頭を抱える。


「な、何をする!?」

「落下の衝撃を殺す! しっかり捕まってろ!」

「わ、わかった!」


柔らかい小さなものにギュっとしがみつかれる感覚がする。
ふむ……機械が体に組み込まれてるとは思えない柔らかい体だな。
やっぱ女子なんだな。
よし! こういうときくらい男らしいとこ見せねえとな!
地面とぶつかるタイミング絶対間違えるんじゃねえぞ俺!
地面に目を向け、タイミングを計る。
よし、今だ!
と思った瞬間。


「ええええええええ!?」


突然目の前に黒くて巨大な何かが根元からニョキっと出てきた。
ちょっと待てええ! そこ落下コースーーー!?


「ぎゃあああああ!」


何とか溜めた分の半分ほどを放出してショックを殺そうとする。
そしてそのまま突然生えてきた謎の黒いものに








スコーーーーーーーン!!






というような擬音が聞こえてきそうな音とともにぶつかった。


「痛えええええええええええええええ!!」


ぶつかってそのままぽーんと跳ね返って地面に落ちる。
チンクの方はしっかり抱え込んでいたので無事なようだった。


「だ、大丈夫か!?」

「あ、アホみたいに痛い! 何だったんだ今の生えてきた黒い物体は!」


打った頭を抑えながら悪態を吐く。





「ぐあああああああ! い、痛いーーー! な、なんのだあああああ!」






突然頭上から響くような俺でもチンクでもない声がした。
だ、誰の声だ!?


「って、うおおおおお!? なんじゃこれ!?」


そこには馬鹿でかい亀の顔があった。
そしてなんか痛そうな顔して上空に叫んでいた。
なんだこの亀!? どっから現れた!? というかこんなサイズのいるのか!?


「痛いーー! だ、誰じゃああ! ワシにぶつかってきたのは!」


おもいっきり睨まれる俺達。
そのでかさと迫力に圧倒されて声も出ない。
ああ、もう俺ここで食われて死ぬのかな……


「って……人間か? なんでこんなところにおるんじゃ?」

「はっ?」


いきなり睨みをやめて不思議そうに俺たちを見下ろしてきた。
というか今頃気づいた。
この亀喋ってるううううううううううううううううううううう!?






































「はあはあ。なるほど、なるほど。俺と同じでどっかの穴に落ちたと思ったらこの世界いたと」

「そういことじゃな」


色々な事情と言うか話し合いが行われて色々解決した。
この巨大亀。
もともとは人間がいる世界のバカでかくなる種類の亀らしく、キャロの実家の所のように半分神様みたいな感じで崇めらてたらしい。
そんなもんだからある程度の人間の言葉は理解できるそうだ。
ただそれがもう気が遠くなるほど大昔らしく、もう数千年ほどこの世界で生きているらしい。
しかも驚きなことにさっきまで俺達が戦闘していた木はこいつの背中の甲羅から生えていた!
なんで生えているかと聞いたら。


「寄生されたんじゃ。神経系を犯されそうになったんじゃが魔力でバイパス繋いで逆に乗っ取ってやって今じゃワシの手足じゃ。がっはっは!」


とのことだ。
滅茶苦茶だ!


「しかし何か鳥でもいるのかと思ったら人間とはの〜。見るのも久々じゃわい」

「ところでさあ、さっきの俺の話で言ったんだけどその背中の木を一部くれない?」

「やじゃ」


いとも簡単に断られた。


「ただじゃやらんわい」


ええい、元神様扱いの亀のくせにケチくさい。
いいじゃないかこんなでかいんだから!
というかでかすぎて見上げながら大声で叫ばないと会話にならないんだぞ!


「ではどうすれば譲ってもらえるのだ?」


チンクが尋ねる。
どうやら交渉をするつもりのようだ。
一応こいつもスカに回収を命令されてるから聞くだけでもしないとまずいんだろうな。


「ワシの体の一部を寄こせと言われておるんじゃ。それなりのものは貰わんとな」


まさか腕1本寄こせとか言い出すんじゃねえだろうな。


「それなりって……」

「うむ、そこのお譲ちゃん」

「な、なんだ」

「パンツをくれたら譲ってやろう」

















……はっ?
今何て言ったこの亀。


「お譲ちゃんの今吐いているパンツを譲ってくれたらワシの背中の木の枝をやろう」

「アホかああああ! このドスケベ! なんつうアホなもんを要求するんじゃあ!」

「なんじゃと! アホ言うんじゃない! 誰もおらん世界で女もおらずどれだけ寂しいと思っておるんじゃ!」

「よくそんなので神様扱い受けられたなおい!」

「がっはっは! ワシの一族が神扱いであってワシ1柱が神なわけではないわ!」


ええいこのドスケベ亀め!
実は穴に落ちたんじゃなくてエロ過ぎて仲間にでもこの世界に飛ばされたんじゃねえのか!?


「おい! チンクも何か言ってやれ!」

「悪いがそれは無理だ」


そりゃそうだよな!
もっと文句言ってやれ!


「うむ、そうか。残念じゃ、では交渉はなかったことに……」








「そもそも履いていなのだからな」














……はい?
なんかトンデモない言葉は出たような気がするんですが。


「お、お譲ちゃんすまん……今なんと?」

「だから履いていないと言ったのだ。そもそも戦闘機人の私達はこのスーツは支給されていて下着を着る必要がない」


なにー!?
そ、そうだったのか!?
ということは他のやつらもみんな下は直!?
ノーパンノーブラ!?
エロい格好だなあとは思っていたけどそこまでエロかったのか!
ん? 何だ? 雨が降ってきたのか?
てかこの雨赤い!?


「ぬ、ぬおおお……」


赤い雨が降ってきたかと思ったら亀が鼻血を吹いていたのだった!
ぎゃああああ! 血かよこれ!!



「何か他の物で代用はできないのか? こいつが用意するぞ」


そう言って俺を指差しながらさらりと言う。
って俺かよ!


「待てい! 何で俺!?」

「仕方ないだろう。私は持っていないのだ他で代用するしかあるまい」


わかってない! この子何かわかってない!


「いいかチンク……この亀はな……」

「よし、お譲ちゃん。譲ってあげよう」


























はっ?



「わ、ワシは感動した……それだけで十分じゃ……譲ってあげよう。好きなだけ持って行きなさい」

「感謝する」


……駄目だこいつら……もう色々と……


「よかったな。よくわからないがタダで貰えたぞ」


俺の肩をポンと手をのばしながら嬉しそうなチンク。
違うぞチンク……
この亀は脱ぎたてパンツよりも興奮できる話を聞いたからくれたんだ……
けしてタダじゃない……
というかお前も履け。








***************************************************************








その後亀の背中の木の一部を分けてもらいアジトに戻った。
身体の一部なだけあって好きな形状にして切り離せるらしく、俺はラケットの形状で、チンクは正方形の形で分けてもらった。
加工が大変そうで困ってたけどそこだけはありがたかった。


「やれやれ。流石の私も色々と疲れた」

「俺は精神的に疲れた……」


特に亀との会話の後半……


「あっ、チンク姉おかえり」

「お帰りッス!」


赤毛コンビのノーヴェとウェンディと出会った。
もちろん2人とも全身タイツな服。
……この下はノーパンノーブラ……


「……何だよその目は。気色悪いな」

「何スか? 欲情? 欲情したッスか!? 何ならサービスするッスか?」


ジト目で睨んでくるノーヴェ、むしろ面白がってセクシーポーズをとり出すウェンディ。
や、やめろ! いろいろと背徳感となんだか嬉しいようなものが同時に目に入る!


「お、お前らも下着くらいつけやがれーーー!」


俺は逃げだした。
もう何か色々と純情で難しい年ごろなんだもの!
まだ彼女もできたことのない童○なんだもの!
ちくしょおおおおおおおおおおおおおおお!




「……何だあいつ?」

「さあ……」

「うーん、アタシのお色気にやられたっスかねえ……」








                                      つづく






    おまけ1





セイン「あれ? どしたの?」

チンク「いや……何故か下着を着ろと言いながらケイが走り去っていったのだ」

ノーヴェ「わけわかんねえてえの」

セイン「下着? ブラとか?」

チンク「よくわからんがそういうことだろうな」

ウェンディ「チンク姉はむしろいらねえんじゃねえッスか?」

チンク「何故だ?」

ウェンディ「だってつけなくてもいいサイズのセインがつければきっと大きくなるからってつけてるんスよ? チンク姉はセイン以下じゃねえッスか」

セイン「ウェンディ……余計なこというな……」

ウェンディ「あっ……ごめんッス! そしてさらば!」

セイン「笑いながら謝んじゃねえ! 待てコラ逃げるなーーーー!」




チンク「……やはり小さいのか?」

ノーヴェ「別に気にしなくていいと思うよ。……てかそんな胸元を確かめなくても……」

チンク「ふむ……つければ大きくなるのか……ん? というかセインとウェンディはしていたのか?」

ノーヴェ「ウェンディはしてねえよ。セインだけ」

チンク「ああ、ならばデマだな」

ノーヴェ「そうだな」






     おまけ2  (ケイが18歳以上になった時のある日の会話)



ケイ「なー」

亀「なんじゃ?」

ケイ「あの時チンクを蔓で捕まえたとき鳥だと思っていなかったらお前もしかして触手プレイしてたのか?」

亀「ふっ……エッチなものが解禁された歳になっても貴様はまだまだ青いな」

ケイ「何がだよスケベ亀のくせして」






亀「真のスケベはお触りまでに決まっているだろうがあああああああああ!!」





ケイ「何いいいいいいいいいいいい!? そうだったのかあああああああ!?」



                                    おわれ







あとがき


というわけでラケット復活! ついでにパワーUPしました。
どんなパワーUPかは次回の戦闘まで出ないかもですが。
そして何気にアホな今回の話。
しばらくこんな感じですはい。
シリアスがかなり続いただけにギャップもありますが……自分は書くようになってからライトノベルを少し読むようになって
ギャグの強い戦闘の作風の話が好きなんだなあとわかったのでこうなってきました。
そろそろナンバーズの残りも出したいなあと思う今日この頃。
そして夏休みが色んな用事でほとんど家にいなかったため書けなかったというこの頃。
そして就職活動も始まるという……ペースは落ちますがなんとか連載は続けたいと思います。




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