さて皆様、ここで唐突に質問をさせていただきとうございます。
私は今現在一生の……最悪の恥をかいてしまいました。
どいうすればいいでしょうか?
あなたならいかがいたしますか?
私はこう思います。

逃げてえええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!




時空を駆けちまった少年

第32話






お互いに無言で見つめ合う、俺とスバル、ティアナ、ギンガ先輩。
どうしよう。
バレた。ばっちり名前呼ばれてしまった。
一か八かここは……

一歩を踏み出す。
それに警戒してか構える3人。
それを無視して俺は屈み……


「……ケイ? それはだれのことざましょ?」


落ちたヅラをもう一回被って目線を合わさず言ってみた。


「「「あんた(あなた)のことだ!!!」」」


とりあえずツッコミで帰ってきました。
……やっぱ駄目だよなー!
シクシク……







「まずそのヅラをとってこっち向きなさい」

「……はい」


ティアナに言われてヅラをとって向き直る。
呆れてるようだがしっかりクロスミラージュでロックされてた。
シット、逃げらんねえ。


「そのまま動くんじゃないわよ。このまま連行して隊舎で話を聞かせてもらうわよ」

「あっ、それ無理」

「………撃つわよ?」


もうさっきから何発も俺に撃ってるやん。
しかも直撃させられたし。


「撃つのも連行も勘弁してください」

「あんた嘗めてるでしょ。そうね。わかったわ。撃つ!」

「ティ、ティア、ストップー!」

「放せー! このアホに一発撃ち込んでやる!」


……とりあえず俺は逃げていいだろうか。


「逃げちゃダメよ」

「…………」


後ろにゆっくり後退してたらギンガ先輩にバレてた。
先輩の笑ってない笑顔を初めて見ました。
怖いです。


「え、えーっと、なんでケイがここにいてわたし達の妨害するの?」


落ち着いたティアナを放して尋ねてくる。


「それが色々あって……その色々を言えたら良いんだけど言えないんだよ……」

「……また面倒事じゃないでしょうね」

「……さーせん」


以前とは比にならないくらい厄介です。


「……………」


ああ、ティアナからの批難の視線が痛い!


「あんた前に言ったでしょうが! 困ったことあったら相談しろって言ってあったでしょうが!」

「んなこと言われても!?」

「ティアナ落ち着いてー」


今度はちょっと困ったような感じでどうどうと抑える先輩。


「……どうしても話せないの?」

「……話したいけど、話せない」


話すと色々そっちにも迷惑がかかるし……
それに……ちと放っておけない奴もいるし、こっちでの約束とかもある。
何より……もう俺完全に犯罪者だから捕まりたくない。


「そっか……うん、わかった」


おお、流石スバル。
……って何がわかったんだ? 逃がしてくれるわけもないし……


「だったら全力で抵抗するケイを捕まえて話してもらうから!」


そう言ってものすごいいい顔で構えるスバルさん。


「ええええええええええええええええ!?」

「いくよマッハキャリバー!」

《 All right ! 》


いきなり突っ込んでくるスバルを大きくかわして距離をとる。


「ちょっと待てや!?」

「でえええいい!」


さらに追撃をかけてくるので必死になってバックで逃げる。
無視か! 無視なのか!?


「だって話してくれないからこうするしかないじゃん!」

「何か極論すぎじゃねえのか!?」

「話しかけても話してくれないんだから仕方ないよ!」


……それもそうか!
ってそれでも俺は捕まるわけにはいかないんだああああ!
こうなったら逃げきるしかない!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


とにかく必死でビルを跳び超え、路地を通り、廃墟を通り抜け、曲がったり、上がったり、下がったり、落ちたり、こけたりを繰り返しつつ必死で逃げる。
俺の人生でも体験したことないくらいの速さで逃げる。
だけど


「待てえええええええええええええええええええ!!」


普通にスバルはウイングロードに乗っかって追って来てた。
来るなあああああああああああああああ!!






****************************************************



「…………えっと」



スバルもケイ君も行っちゃった……
事情を聞こうにも聞けないから捕まえて話してもらうってスバル……
なんだかすごいこと言うようになってきたわね……


「……あの馬鹿2人は……こっちの言うことも指示も聞かないで勝手にどっかに……」


プルプルと怒りで震えながら呟くティアナ。


「ティアナ? 落ち着い……」
「ギンガさん!」
「な、なに?」


ま、まずは落ち着いて! 顔が近いから!
それに迫力があり過ぎて怖いから!


「背中におぶってください。2人を追います」

「う、うん……だ、だから落ち着いて、ね?」


ティアナもなんだか過激になってきてないかしら……
や、やり過ぎだりしないわよね?




*******************************************





「待てえええええええええ!!」

「だあああああああ!! 来んなーーー!」


ビルを飛び交いながら逃げる俺と、それをウイングロードで追うスバル。
しかし会話はこんな感じ。


ちくしょーー! 正体ばれたらなんか緊張感のねえ状況になりやがった!
まださっきのままの方がよかった気もするぞこの野郎!
知った顔同士なもんだから余計、素の状態が出て追ってくるからどーも止めやすくなってるみたいだ。

仕方ねえ。ここは……
えーっと……ゴソゴソと……収納空間に入れておいたはずなんだけど……
あった、あった。
マッチで火をつけて……


「喰らえい! 爆竹目くらまし!」

「きゃああああ!?」


ふははははは!! 今のうちに逃げ……


「こらあああああああああ!」


ぎゃああああ!
怯むどころか逆撫でしてしまったーー! 怖ええええええ!


「ぎゃあああああああ!」

「女の子に向かって爆竹なんて投げるなーーー!」

「ぎゃあああああ! 鬼婆ーーー!!」

「なんだとおおお!!」


くそお! これはもう倒すしかねえ!
方向転換してスバルの方に向き直し、攻撃に移ろうとするが


「ロードカートリッジ!!」


ガシャン、ガシャンとカートリッジをロードしてリボルバーを回転させまくるスバル。
………
………無理!
やっぱ反撃なし! 逃げる方に専念!


「ってぐぼはあああ!?」


さっきの反転のせいで逃げ遅れて背中からおもいっきり喰らった。
そのまま吹っ飛ばされて、ビルの屋上の上を車に轢かれでもしたかのように転がる。
このっ……俺の受身嘗めるなーー!!

必死でコンクリにぶつかる度に受け身を取る。
ダメージ0とまではいかなくてもしないよりはマシだ。
でも痛ええええ!!


「スバル! お前殺す気か!」


立ち上がって文句言う。


「じゃあ逃げないでよ!」


大声で反論されました。


「それが無理だつーの! ああ! もう! つうかこの女物の服動きづらい! そんでもって邪魔!!」


もうスカートだとか知るか! 動くのに邪魔!
つうか俺いつまで着てるんだよ!

店長から貰ったというか借りた服を脱ぎ、地面にキレながら叩きつける。


「んなっ……服着てよ! 何パンツとTシャツ一丁になってるの!」

「うっせえ! しゃーねえだろうが! 女物の服着てるよりマシだ! つうか夏の寝る時の格好は大体これだから気にしねえよ!」

「してよ!」


実はしてるわい!
流石に外でこの格好はしたくねえよ!
でも女の格好と比べるとまだこっちの方がマシなんだよ!


「よし、じゃあせめてハーパン履かせろ。その時間だけ待て」

「わかった。こっちも露出してる相手の逮捕はしたくないもん」


好きで露出してるわけじゃないわい。










「……やっぱり大人しく六課には来てくれないの?」

「悪いけど行けない」


とりあえずハーパンだけは履いて仕切り直し。
ちなみに他の服はというとただいま洗濯中でキャンプの場所で干してたりする。


「そっか……じゃあ……」

「戦るしかないよな……」


互いに構える。
スバルは右のリボルバーを溜めの形で前傾姿勢。
俺は無明を鞘に収めた状態でオーソドックスな構え。


「うおおおおりゃああ!」

「はあああああ!」


お互いに突進。
どちらも接近戦タイプ。
スバルの拳が放たれればそれを腕で弾き、俺が無明を振り抜けばシールドで防御。
俺の頭への回し蹴りが放たれればそれを伏せてかわし、顎への掌底を狙いマッハキャリバーのバックでそれを回避するスバル。

それを追って無明を下手に構えて振り抜く。
スバルはそれに向かってリボルバーナックルで拳を振り抜いてくる。


「ぐぬぬぬぬぬぬぬ!」

「くうううう!」


お互いに刀と拳での押し合いになる。
お互い身体が震え、魔力で生み出された(スバルのであって俺のは一切出てない)衝撃が周りの空気を震わせる。

しかし、だんだんと押されてきて拳が少しずつ俺に近づいてくる。

やばい。やっぱし魔力で威力強化されてる分押される……
普通に両手持ちしてたら押し負ける……
だったら……

持ち手に添えていた両手のうち左手を刀の先の方に移動させ、なんとかお互いの真ん中くらいまで押し戻す。


「この……馬鹿力……」

「そ、そういうお前もだろうが……どこにそんな馬力あるんだつーの」


お互い力み過ぎて声が震える会話になる。
だけど俺は両手、スバルは片手。
まだスバルには余裕がある。


「このぉ……カートリッジロードおお!」

「うおっ!?」


カートリッジを1発ロードしてナックルの威力を上げそのまま振り抜かれるとあっさりと押し返され、体ごと飛ばされる。
くそー……カートリッジ使われると完全にパワー負けするな。

押し飛ばされただけだったのでダメージは大して無く、宙を一回転して着地する。
ってうわっとっと……バランス崩し……

バランスを崩したと思ったら目元を魔力弾が通り過ぎて行った。
撃たれたであろう方向を見るとティアナがギンガ先輩におぶられながらこっちに向かって狙撃していた。

……危ねええええええええ! バランス崩さなかったら喰らってた!

てかもう追いつかれた! 逃げられない!
そんな馬鹿な!? ドラ○エの大魔王戦じゃないんだぞ!?
ただ単純に俺のレベルが足りないのか!?
……足りないんだろうな……

さて……この状況……完全に逃げても囲まれるのは変わらない。
だけど倒そうにもすぐにフォローが入って倒せない。
……こりゃ完全に捨て身のつもりでやるしかないな。

集中……集中……

スバルがリボルバーを回転させながらパンチを放つ。

目をこらせ、離すな。
最小の動きで無駄なく、素早く次のアクションを。

右足に重心を乗せることで体を右に沈め、それでパンチをかわす。
そしてそのまま前に蹴り出しスバルと交差し、そのままギンガ先輩とティアナの方に真っ直ぐ進む。

よっしゃ、うまくかわせた! 
このままティアナから倒す!


「ティアナ、降りて!」


降ろしてそのまま左腕のリボルバーで攻撃を放つ先輩。
それをスバルのときと同様にかわすが読まれていた。
右方向に抜けようとしたところを左の膝の一撃を腹に入れられる。

―――かっは!?
い、息が止まる!
だ、だけどここで止まったら何も変わらん!

歯を食いしばり、耐える。
そしてそのまま腹に入れられた左足を掴み、先輩を投げ飛ばすようにして前に進む。

決まったと思える一撃に耐えて突っ込む。
一瞬驚いた様に見えたティアナだけど、すぐに弾幕を張り距離を取ろうとする。

逃がさねえ!

ラケットも出して弾幕を打ち返したり、弾いたりして距離を詰める。
そして俺の距離に入る。
左手に持った鞘付の無明を横薙ぎに振り降る。


「うらああああ!!」

「っ……モード2!」


肩を狙った一撃をティアナは2丁にしたダガーモードで受け、後ろに飛ぶ。
逃がすか!
そのままそれを追うように飛び込む。


「クロスファイヤー……」


構成が速い!?
威力より発射のスピードを選んだな!?
やばい! このままじゃ自分から突っ込むことに。


「シュート!!」

「間に合ええええ!!」


至近距離の発射に対してすぐにラケットを振るのはほぼ同時だった。
ティアナの魔力弾は数発俺に入った。
だが急所は外れ、威力も高くない魔力弾は俺を止めるまでに至らなかった。
振り抜いたラケットは数発を弾きながらティアナの体の胸元を掠めて行った。

ダメージでその場で膝をつく。
ティアナも一歩分後ろに跳んで距離をとる。

その瞬間、

ティアナのバリアジャケットのラケットが叩いた部分が弾けた。


「……えっ?」

「……へっ?」


破れたように散るバリアジャケット。
そして外気に晒されるティアナの胸。
スバル程の大きさはなくとも、形は綺麗に整い白く綺麗な肌、自己主張はそこまでしていなくとも十分な大きさを持つそれ。
それが今俺の目の前に晒されたのだった。

……生で初めて見たかも。
前に銭湯で半裸というかバスタオル姿も見れたけどなんというかどう言うか。
スタイルやっぱいいよな。
しかもスゲー綺麗な形で真白な肌で……
なんてか……表現しきれないというかどういうか……
とにかく御馳走様です。
もう人生終わっていいかなーって思うくらいいいモノ見せてもらいました。

ちなみにここまでの思考に要した時間、0,2秒。

あまりの事態に思考が付いていかないティアナ。
そして同じように呆ける後ろからカバーに入ろうとしたスバルとギンガ先輩。
そしてガン見してもう何かイロイロ考える俺。

……はっ!? いつまでもこんないいモノだけど見てる場合じゃなかった!
できたら撮影したいというか脳内にもっと焼きつけたいけど、
今は絶好のチャンス!


「き……」


自体を理解し真っ赤になって叫び、胸元を隠そうとするティアナに向かって突っ込む俺。
後にこのシーンだけ振り返るとやったらスローモーションに見えたのは俺の一生の秘密となった。
バレたら俺は死ぬ。


「きゃああああああああああああああああ!」

「貰ったあああああああ!」


胸を隠すことに思考が行き、奪い取りやすい状況になったクロスミラージュを隠した瞬間に奪い取る。
そのまま


「ケイ遠投ーーー!!」


力任せにどこかに投げ飛ばした。
きらーんと擬音が聞こえそうなくらいに綺麗に飛んでいったのだった。
うむ……強肩になったな俺。


「このドスケベがー!」

「どわああ!?」


胸を片手で隠しながら右ストレート。
危ねえ!? 何だ!? スバルのパンチより鋭い音したぞ!?
喰らってたら終わってた!!

ティアナは眼尻に涙をため、胸を隠しながらその場にしゃがみ込みものすごい形相で睨みつけていた。


「変態! 馬鹿! スケベ! 死ね!」

「すいませんでした!」


ソッコーで頭を下げて謝罪する。
というか俺も予想だにしなかった。
ま、まさかラケットにあんな効果が……


「こんのぉ……馬鹿ケイーーー!」

「うぎゃああ!?」


謝罪中に今度はスバルが突っ込んできて殴りかかってきたのをなんとか回避。
あ、危ねえええ!


「ティアに……女の子になんてことするの!」

「俺だってしたくてしたわけじゃねえよ!?」

「それが見た奴のいうセリフ!?」

「み、見てない! ギリギリ見えなかった! 見えなかったですともティアナ様!」


ごめんなさい。
補正かかるような部分までバッチリ見てしまいました。
一生の思い出にします。


「……ティアの右胸にホクロあったの見えた?」

「えっ? あったっけ? 綺麗な肌だなと……」


もっと生傷多いかなーとか思ってたけどそんなこと全然なくて……
あっ……


「女の敵ーーー!」

「ぎゃあああああああ!! また突っ込んでへぶうううううう!?」


目の前から突っ込んでくるスバルに集中して避けようとしたらノーガードで真横から顔面を殴られ吹っ飛んだ。
ぐっへ、どべっ、のべっしと言いながら2,3度地面を跳ねるように吹っ飛ぶ。

が……がっは……い、今の一撃は……

見るとそこには阿修羅が立っていた。
その顔は素敵なほど綺麗に微笑み、バックには炎が燃え、綺麗な笑顔であるはずなのに影をかぶっていた。

そのお方のオーラにさっき激怒していたスバルも隣で委縮している。


「ケ イ 君 ?」

「ひっ……」

「そ れ は 何 か な ?」

「ら、ラケットであります」


怖ええ。
何だこの威圧感!?
全身ガクガク、ブルブル震えるんすけど! 


「そっかー、女の子の服を破るためのデバイスなんて持ってるんだ」

「い、いえですね……これは魔力を弾くものでして……」


はっ!? もしかして!

魔力弾く → バリアジャケットは魔力でできている → 当然弾く → ジャケットを破ってしまう

……なんて素晴らし……じゃなかった。
なんて恐ろしい使い道が!
これさえあれば六課なんて目じゃない!
今のティアナみたいに破れた部分隠すことに精いっぱいで戦闘なんてできない状況に!
……何かティアナの女の子っぽい仕草ってレアな気がする。
てか見れたの初めて?


「思いだしてんな馬鹿ケイ!」

「さ、さーせん!」


魔力弾をデバイスなしで撃たれた。
とりあえず威力とかはそんななかったからラケットで適当な方向に打ち返しておいた。


「とにかくそんな女の子の敵みたいなデバイスは没収!!」

「なんだと!? これ入手にどんだけ苦労したと思ってるんだ!」


スバルの理不尽な要求は断固拒否させてもらう!


「ダメよ」

「嫌です」

「ダメ」

「嫌だつってんだろ」


ナカジマ姉妹と低レベルな言い合い。


「そう……」

「じゃあ……」


二人が目元に影を作りながら前屈みになり突撃の構えを作る。


「そのデバイス……」

「ぶち折る!!」


と言って2人同時に突っ込んできた。
何故かさっきより速えと思うのは気のせい!?
というかさっきからデバイス、デバイス言ってるけどこれデバイスじゃねえし!!

声を上げながら2人で打撃の攻撃を繰り出してくる。
スバルが右拳を撃って、それをかわせば先輩が左から蹴り。
それを受け止めれば腹に左を打ち込むスバル。
それも防げば回し蹴りが飛び、しゃがめばアッパーをスバルが。

でえええええいいい!! この姉妹の接近戦コンビネーションやばすぎ!

大きく後ろに跳ぶが追ってくる。
ちぃ、ラッシュで潰す気だな!
どうやって倒す……
あんまり殴りたくないってのもあるんだけど……
腹辺りはNG。
女の腹殴ると将来なんか子供ができなくなることがあるとかどうとかって言われたことあるし。
顔は絶対駄目。
女優じゃねえけど女優以上の美人、美少女の顔に傷はまずい。
関節……でいくか。
それかもう一回ひん剥くか。
……フェミニストのつもりないけど……
やりづれえええええええええええええええええええ!

2人同時に前から飛び込んでくる。
それに向かってローラースケートでの蹴りの空気砲弾を放つ。

2人の間を割って、体勢が崩れたところをスバルに突撃をかける。
右手にもったラケットを振ってそれをスバルはシールドを張る。
完全に割るまでに至らなくてもシールドに亀裂が入る。
そこに蹴りのおまけを追加。
スバルを蹴り飛ばす。

後ろからギンガ先輩が来る。
方向転換をせずに後ろに逆立ちのようにして蹴って拳を蹴り上げる。
お互いにすぐに体勢を立て直してそのまま1対1での近接戦闘になる。

拳、蹴りが交差する。
防御と回避、攻撃と防御とお互いに打ち合いながら、先輩はブリッツキャリバー、俺はローラースケートで高速で移動する。
ビルの壁や屋上などを飛び交い走る俺。
ウイングロードを展開して先回りや追撃をする先輩。
そこにスバルも入り、また1対2になる。

くそ、手が追い付かん!

スバルのリボルバーを受け流そうとしたが失敗し、体勢を崩す。
しまっ……


「はあああああああ!」


そこに先輩の右ストレートが顔面に入る。
そのまま後ろに飛ばされ地面を滑る。


「はあっ……はあっ……」

「はあっ………」


距離が生まれ、ラッシュが一時止まる。
俺も顔を抑えながらゆっくり起き上がる。
くそお……口の中がズタズタだなこれ……痛え。
歯は……折れてないな……よかった。
だけどそこら中傷だらけだな……膝やら肘やらだけじゃなく他の部分まで擦れた……。
ヒリヒリしやがる。
ぶっちゃけ泣きたいくらい痛い。


「はあっ……しぶとくなってる……」

「はあっ……はあっ……まだやる?」


……ん? 少しというか……結構肩で息している?
俺も結構疲れてるけど……まだやろうと思えばまだまだ行ける……
待てよ……向こうはルーテシアとアギト、ガリューと連戦だよな……
勝機はあるかも。

口にラケットを咥えてすぐに持てるようにして、両手をつかず離れずの距離で前に突き出して構える。







*************************************************





ケイとの戦闘……
正直驚いた。
だって魔法使ってるわけでもないのにここまで逃げて、まだ立ってる。
しかもこっちは肩で息してるのに向こうはまだそこまで息切れしていない。
……どんな体力……


『スバル、ディバインバスター行ける?』

『うん、大丈夫』


ギン姉から念話が来る。


『わかったわ。手数の速さなら1対1でも私の方が勝つわ。スバルは隙を作るからそのときに一気に決めて』

『了解』


ギン姉が前へ出ようとするのと同時にディバインバスターの準備に入る。
あんまり持久戦にできない……
ただでさえ地下での戦闘で魔力も消費してるのに……
ここで一気に決めないと。

ギン姉が先に突っ込む。
わたしは後ろで魔法の構成をして時間差で突撃。

ギン姉とケイが打ち合う。
最初の1撃をかわしたけどすぐにギン姉の2撃目。
それを左で弾いたところを素早く3撃目。
今だ!


「スバル!」

「了解――!」


威力はヴィータ副隊長曰くわたしの方が上だけど、手数だとギン姉がダントツで上。
実際さっきの攻防で体勢を崩してるのはその手数でケイの防御が間に合わないとき。
そして今防御をして3撃目が出た。
ここで隙ができる!
そう思って飛び込んだ。
でも


「だらああああ!!」

「なっ!?」


3撃目も弾いただけじゃなくて、ギン姉おでこに頭突きを入れた。
そのまま跳んで私に向かってくる。
しかも口に咥えたラケットを手に持ってる。

駄目、間に合わない!


「すまんーーー!」


そう叫びながら胸元を打たれてジャケットが弾けて素肌がさらされる。
そう思うならするなーー!
このド変態―――!!
でも、すぐに再構成すれば


「マッハキャリバーもすまん!」


そう言って消えたり出たりしている鞘付の刀を振りかぶるケイ。
まさか……


「戟墜!!」


空中で思いっきり足のマッハキャリバーの本体の宝石部分を叩かれる。
宝石部分にヒビが入る。
そんな!? マッハキャリバーが!?





*****************************************************



よっしゃ! デバイス破壊成功!
ついでにできたぜ夫婦手!!

両手をつかず離れずの距離で前に出して、片手で防御してももう片方の手がすぐに防御と攻撃の手に回る空手の技。
普通だと死に手のはずの後者の手が防御に回せるから手数の多い相手に有効だった。
覚えておいてよかった!

着地してすぐに追撃がないかを確認。
デバイスの機能が停止してジャケットの再構成をできないスバルが胸元を隠しながら縮こまっていた。
少し離れたところにいるティアナを確認するとスバルと同じように下手に動けない状況。

さて……先輩はさっきの頭突きでノックア

そう思って油断したのがいけなかった。
額から血は流しているもののリボルバーナックルを回転させながら攻撃の体勢に入って俺の目前にいた。


――――――――――……っ


反射的に持っていたラケットを防御に回そうとしてしまった。
先輩の左拳がラケットとぶつかる。
押し合う先輩の拳と俺のラケット。
魔力を散らしている光と火花が出る。
しかしどんどんこちらが押され、そして少しずつ罅がラケットに入る。

鈍い何かが折れる音が響く。

そしてそれと同時に小さな爆発が起きて先輩も俺も飛ばされる。

今度は転ばずに着地したが、それは向こうも同じだった。
まああんな小さいのじゃそうだよな。
だけどさっきの音って……

右手に握っていたラケットを見る。
フレームが3,4ヵ所折れ。各部に罅が入り、持ち手部分も折れ、上部がひっついているだけの状態になっていた。
修繕不能なほどに完全に破壊されていた。

………


「ああああああああああああああああああああああ!?」


折れたーーー!
すげえ折れ方しやがった!!
どーすんのこれ!? ぜってー直らねえ!


「よ、ようやく折れたわ……」

「折らないでくださいよ!?」

「そんなエッチなもの許すわけないでしょ! というかスバルとティアナをどうするの! お嫁に行けなくなるじゃない!」

「あんだけレベル高けりゃ引く手あまたでしょうが!?」


むしろ嫁にしたくないという奴がいるのなら見てみたいわ!


「とにかく……いい加減にしなさい。大人しく連行されなさい!」

「前に補導されたときみたいに行けたらそりゃ気は楽ですけど!?」


まあ補導は補導でテンパったけど。


「じゃあその気分で」

「行けるわけねえだろうが」


スバルがアホのたまった。


「こんなあられもない姿にしておいてそーいうこと言うんだ!」

「こんだけ傷だらけにしておいてそーいうこと言うのか!」


はっ!? いかん、また低レベルな会話に!


「……ていうか……」

「何?」


よく見るといつの間にか戦闘可能はギンガ先輩1人。
しかも疲れているし、少し足がおぼつかないご様子。


「……これってもう逃げようと思えば無理して戦闘しなくても逃げ切れる方が確率高いよな?」

「「あっ……」」

「グッバイ」


そう言って背を向けて全速力で逃走を図る。
ふははは! さらばだ!


「待ちなさ……くっ……」


やっぱ無茶をしたんだな。
あんだけ思いっきり頭突きしたのにすぐに起き上がってくるからダメージでうまく立てないみたいだ。
先輩はその場で膝をついて追いかけてこない。


「一応謝っておきます! ごめんなさい!」


そう叫んでビルを飛び越えようとした瞬間。
俺の目の前を何かが大きく抉って行った。


「うおおおお!?」


とっさに急ブレーキを掛けて止まる。
何じゃこれ!?

まるでミサイルが落ちたかのように抉られたビル。
瓦礫とかしたコンクリートが崩れ落ち大きな音と塵を辺りに撒き散らす。

その何かが飛んで来た上空を見上げる。
そこには



「……このまま逃がすと思ったか?」



ピンク色の髪を後ろに束ね、片手に炎の剣を持ち、騎士甲冑に身を包んだシグナム師範が空にいた。

………………
…………………
……………………
このタイミングで師範かよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?


もう嫌ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!






                                   つづく


       おまけ


その頃のエリオ


「よいっしょっと……急がないと……この瓦礫をどかせてストラーダを……」

(必死で発掘中)

「……どうしよう……このでっかい瓦礫まではどかせない……」

(流石に大き過ぎる瓦礫はどかせず結構困難を極めていた)





あとがき


……更新が……更新が……
なんだか最近筆が中々進みません。
SSで結構盛り上がるところにも関わらず乗らないなんて……Orz
コンビネーション使う相手を想像して書くのは物凄く難しいです。倒すのを想像するのも難しいです。

正体がバレてからの戦闘……一気にシリアスさが抜けました。
違和感を感じる読者の方もいると思いましたが……顔見知りと考えて書いてたら自然とこうなってしまいました。
ご了承いただけると助かります。

さて、新人フォアードを無事倒せた(ひん剥いた)ケイ。
次回はついにシグナムとのバトル。
一難去ってまた一難なレベルの話ではない状況。
ああ、きっとまた書くのに時間がかかります。気長に待っていただけると幸いです。
それでは次回もよろしくお願いします。


    
     Web拍手返信


※自分は最近なのはのアニメを友人に進められstsから見初めて一気にはまってしまった者です。 
なのは結構いいじゃん!!と思い高いテンションでss探しをしてみましたところこの作品に出会いました。
最初の展開から次々思いもしなかったどんでん返しの連続で読んでて飽きなく逆に物語に引き込まれてました。
(プロローグから30話一気に読みましたwww) 作者のケイさん、これからもがんばってください。 
p.sケイが鬼神化してローラースケート使ったら6課のメンバーが倒せそうと思っている自分ガイルw

>なんとそこまで楽しんでもらえるとは……本当にありがとうございます!
>どんでん返しのネタや発想は他の投稿作家の人と相談しながら一緒に考えたりもしているのでそう言って貰えると考えた甲斐がありますw
>鬼神化は結構チートの部類になりそうで不安ですが使う場面は一応決めてます。
>そこまで行けるよう頑張ります!


※投稿読みました。主人公の強さは弱体化ですか。個人的には少し残念です。もちろん一般人である彼の性格を考えると当然と納得ですが、
主人公云々というよりそのレアスキルをもっと活かして欲しかったので。
初めて読んだ時、リリカルのSS設定として凄く斬新でケイさんの発想アイディアに大変驚きましたし。
加えてメタモンチックと書いてありましたが、僕はファンであるロックマンシリーズみたいだと感じていたので、
もし武器や能力の募集があったら送ってみたかったんです。
いきなりこんな事を送って申し訳ありませんでしたが、あくまでケイさんの手腕に感動してのいちファンの感想だと思って下さい。

>いえいえ、謝れることは何もないですw むしろそう思うのが当然な未来ですから(汗
>せっかく苦労したんだから無駄にするなよと思うのは人として当然かと。
>もし無事完結して、それからも書く時間などがあったらもしかしたら違う未来で書くかもしれないですね。
>4期が面白ければそれに影響されるということも無きにしも……
>とりあえず今の自分の中では投稿での未来かなと思っています。


※成人した主人公の未来はある意味納得!!彼って某イタリアンマフィア10代目に選ばれたダメ中学生、
某竜の騎士の相棒である元敵前逃亡当たり前のヘタレ大魔道士、某セクハラ三昧の煩悩文殊使い達と根底は同類だと思いますし。
彼の三人も序盤や前半は逃げ回ってばかりで、周りの状況に追い詰められたり仲間や師匠に背中や尻を叩かれたりして漸く重い腰をあげて戦った訳ですし、
そうでなければ戦いの世界で関わる事もなく、ヘタレ男として一生を生きたでしょう。
彼等みたいに未来で仲間やその家族が虐殺されていた、共に戦った勇者が平和になったのに居ない、
本気で愛し合った女性を相手が望んだとはいえ世界なんかと引き換えに手に掛けたような体験をしない限り、
戦いが終われば主人公は修業もせずフツーに暮らしていくでしょうし、当然と言えますね。
そんな下手をすれば廃人になってもおかしくない経験をしないで済んだ分主人公は幸運かもしれませんね

>戦闘でのヘタレっぷりは煩悩文殊使いみたいにしたいですねw ボケ、突っ込みしつつ戦闘みたいなw
>今回の話で分類は間違いなく煩悩野郎になってしまいましたが(笑)
>普通の暮らしを戻そうとして奮闘しているので事件が終われば一気に気が抜けると思います。それはもう


>ケイ「あー……だりぃー……眠みぃー……学校サボろ……」

>母「いい加減起きなさいー!」

>ケイ「あと5分……」

>母「朝食抜き!」

>ケイ「起きます! 起きます!」


>みたいにw


※主人公の戦闘手段に非殺傷設定が無い以上は遅かれ早かれ人を手に掛ける事はぶつかる壁だからその事実に悩む展開は大賛成です。
むしろ良いタイミングで持って来て下さったと思います。ですが以前の投稿ラジオで未来の主人公が普通の生活に戻ったら
修業もしなくなりより心までヘタレているというのは釈然としませんでした。
いや普段はそれで弄られるのはありですが人を殺すというという重い体験をした以上根底やいざというときの点では成長や戦いに身を置かずとも
ある程度の訓練は続けるなどが無くてはせっかくここまで盛り上げたシリアス展開がスポイルされてしまって大変惜しいと感じてしまいます。

>釈然としない方もいらっしゃいましたか……
>そうですね、殺したという過去を持ちながらそうなるのは少しおかしい感じもするでしょう。
>ただいつまでも引きずるような「殺し」についての答えは出さないつもりなので自分らしく生きることが優先になるかなと思いました。
>ちょっと碌でもない答えを出すんですけどね(汗)


※そ、それは角のレガ○ア! やっぱりA・Tでしたか……なんだかケイさんとはとっても仲良くなれそうな気がします。
牙じゃなく角を選ぶ辺りとか特に。他にも出してもいいんじゃないでしょうか? カートリッジロードしてフォームチェンジ!とか。
風のレ○リアでもない限り能力は個体差でしょうし、炎は……いまいち能力が分からないから無理ですかね。
……いや待てよ、そのネタ俺がやる頃には既に二番煎じに……

>なんと、他にも出す気のお方がいらっしゃっとは!?
>角は最高ですね。形はともかく撃つと斬るな攻撃が可能なんですからw
>炎も痺れます。この2つが自分の中で1番、2番を争ってますw
>カートリッジでフォームチャンジは……ちょっとしないかと(汗)
>あまりカートリッジで○○というのは個人的に好きではないので(汗)


※さりげなくケイが強くなっている…、が!!今回また新たな死亡フラグが立っちゃった!!安心したまえ、骨は拾って粉にして海に流してあげるから…(泣笑)

>はい、さりげなく、じっくり強くなってますw
>急なパワーUPはちょっとここまで書いておいてするのは……と思ったので。

>ケイ「流すな! ちょんとご先祖様の墓に入れてくれ! というか死んだことにするな!」

>今回過去最大級の死亡フラグが立ちました!


※面白かったです 頑張って下さい

>はい!がんばります!時間はかかりそうですが頑張ります!


※ヘタレなケイよ、君に良いものをあげよう。これがあれば、世界を我が物にする事が出来るぞ! つ四次元ポケット

>ケイ「よっしゃー! 動くな! さもなくば地球破壊爆弾を……って空っぽ!?」
>スバル「今回の恨み……」
>ティアナ「晴らさせてもらうわ……」

>ケイ「ぎゃああああ!! 中身なければ意味がねえええ!」(その後しばらく誰も姿を見なかった)


※今更で申し訳ないのですが以前学校の怪談番外編を読んだ時にティアナの行動に少し疑問を覚えました。
民間協力者として現地在住の主人公に協力を要請するのは納得出来ます。
しかし、協力させるのに武器を突き付け脅迫して、録に確認・説明もせず同行させてデバイスを所持していないことで逆切れ、
揚げ句何回か危ない所を助けられておきながら理屈をこねてまともな謝礼一つ支払わないのには正直プロとしてどうかと思います。
これは他人の尊厳を軽々しく扱った行為で主人公だからというのでにしては度が過ぎており、公正であるべき執務官を目指す者として
不的確な行為だと感じましたよ?

>あ、あはは(汗)
>少しギャグだからとやりすぎましたか(汗)
>不快にさせてしまいすいません。
>外伝? シリーズはどちらかというと本編でできなかったはっちゃけをしたくなる時に書くのでその気が強くなってしまいました。
>すいませんでした。次回はその辺りも気をつけながら書きたいと思います。


※まさかエア・ギアネタとは?!!そういえば、あの作品のラスボスの武内ブラザーズも人造生命体ですね。
何と言うか、欲望のたがが徹底的に外れた所、大胆なテロを実行する度胸、他人の命を平気で弄ぶ所が同じく造られた存在である
スカリエッティそっくりなんですが?ただ、スカリエッティはモラルを逸脱してはいますがナンバーズをある程度娘として見たりするなど
生命に対して歪んではいますが愛情を持っているのに対し、武内兄弟は自分を指示した人間の脳を破壊したりするなど平気で仲間を含め他人の命
を命と思わない、もっと言うなら他者の生命を自分等と対等に見ないと精神がより人外に近くなってると感じます。
少なくとも原作の悪行を見たらフェイトが怒り狂い金の死神と化しそうです。

>そ、そこまでは考えないで書いていた……(汗)
>どうしたら高速戦闘について行けるかなと考えていて決まったネタだったもので(汗)
>うーむ、生命とかを考えると……とりあえずジェネシスは完璧にフェイトが出っ張って何かいいますね。
>そして全員感電させられそうですww










作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板
に下さると嬉しいです。