ついに出会った六課のメンツ。
だけど久々の再会は感動ものじゃなくて敵対関係な感じで。
しかもこっちはフル装備じゃなくて、向こうは本気全開で……
……さて、俺はあいつらの訓練でやられるガジェットのごとく散るのでしょうか?
突撃しておいてなんだけど……激しく嫌だああああああああ。





時空を駆けちまった少年

第31話






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休日だったはずの今日。
突然かかった緊急出動と、発見されたレリックを持った小さな女の子。
そしてその子が持っていただろうもう一つを回収に向かい敵対したエリオ達くらいの女の子。
捕まえたのはいいけれど……

「あ……ああ……」

どこからか突然放たれた砲撃。
それは小さな女の子とシャマル先生、ヴァイス陸曹を乗せたヘリに直撃した。
あれは魔法じゃない……一体……
それにヘリのみんなは!?

「てめえ!」

「お、落ち着いてくださいヴィータ副隊長!」

「うるせえ! お前、仲間がいるのか!? どこにいやがんだ!」

ヴィータ副隊長がさっきの砲撃で激怒、目が鈍い色の青一色に染まっている。
さっきの砲撃のことを聞き出そうと、召喚士の女の子の胸倉に掴みかかった。
ふ、副隊長がすごく怖い……で、でも止めないと……

あ、あれ? 何かの……とても小さな駆動音が聞こえる。
何この音……まさか敵……!?

「おいどうなん、うああっ!?」

「ヴィータ副隊長!?」

突然ビルの上から飛んで来た眼鏡と長い黒髪のわたしと同じ歳くらいの女の子。
召喚士の女の子を掴んでいたヴィータ副隊長を蹴り飛ばし、そのまま流れるように召喚士の女の子を抱きあげた。

「このっ!!」

ティアがその女の子に魔力弾を数発放つ。
それに続いてわたしも突撃しようとする。
いつもだとエリオも一緒に突撃だけど、今はレリックケースを持っているからわたしとティア、ギン姉で……

「エリオ君後ろ!」

「えっ?うわっ!!」

「へっへ〜いただき〜」

なっ!?
地面からいきなり現れた!?

水色の髪のタイツにプロテクターを付けた服の女の子が、地面から突然現れてエリオのレリックケースを奪う。

「はあっ!!」

「きゃああっ!!」

「スバル! このっ……はあ!!」

っつ……!
エリオの方に気を取られた……
隙ができたところを黒髪の子に蹴り飛ばされた。
ギン姉もすぐにリボルバーナックルを放つけど、それを大きく跳躍してかわし距離を取られる。

『ティア……この女の子……』

『ええ……さっき絡まれてた子ね……』

帽子と長髪で顔はよく見えない……
さっき出会った時と変わらないどう見ても戦闘向きじゃない服装。
違う点は両腕に嵌められた手甲とあのローラースケート。
マッハキャリバーみたいな高速機動デバイスか……


「モグラ……ルー……この子を頼む」

「はいよ! ってモグラじゃねえ! ちゃんと名前で呼べ!」

「アホ! 名前バラしたら後々面倒なことあるだろうが!」


………
何か変なやり取りしてる……
というか黒髪の方の子……声が低くない?
男の子っぽいというか……体格もゆったりした服だから判りづらいけどなんかややゴッツイ気が……


「スバル! ティアナ! 逃がすんじゃねえ!」

「あっ、はいっ!」


飛ばされたヴィータ副隊長が、私たちの真横を飛行して通り過ぎ、先行。
いけない……さっき会った相手だってことで少し考え事に入っちゃった。
ティアも同じだったみたい。
わたしもティアも副隊長の言葉で思考を戦闘の方に戻す。
そしてティアが魔力弾を放ってヴィータ副隊長より先に着弾させて、さらにそこにわたしと副隊長、ギン姉が突撃をかける。

絶対に逃がさない!
疑問に思ったことは後で聞けばいい!




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ちぃ! ヴィータが突っ込んで来やがった。
一番厄介なやつがこいつだってのに!
つうかアホみたいに会話してる場合じゃなかった!

「すぐに逃げろ! 引きつける!」

返事を聞かないでルーテシアをセインに預けると、突撃してくる3人を抜いてこちらに飛んでくるティアナの魔力弾に向かう。
くっそ、ラケット抜く暇ねえ!
避けるとルーテシア、セインに当たる可能性がある。
だったら……

「はあっ!」

手甲で魔力弾を弾き落とす。
数発弾き落としたことで、小さな爆煙が俺を包みこむ。
威力も制度も前とダンチだな……完全に直撃コースの上に回避し辛くなってる。

ちっ……しかも爆煙で姿が見ねえ、これも狙いかよ。
気配でなんとかわかれとも言われたことあるけど戦闘でそんなすぐ見つけられねえっての……

「「リボルバー……」」

両サイドから気配と人影!!
スバルとギンガ先輩か!

「「キャノン!!」」

姉妹の魔力を乗せた拳がサイドから飛んでくる。
それを片腕ずつで受け止めようとする。

「っつ!!」

っつ〜〜〜〜〜……この馬鹿力姉妹が!!
腕がめっちゃ痺れた!
防御用に手甲なかったら腕持ってかれたぞ。
単純な破壊力は前の改造野郎の方が上だろうが貫通力ならこっちの方が上だぞ!?

受け止めたのは受け止めたが、身体が防御のために力を入れたのと打ちこまれた衝撃で強張る。
スバルとギンガ先輩はそれで決まらなかったことに驚きはするがすぐに一歩分後ろに下がる。
ラッシュが来ない……?
ってことは……


「ラケーテン……」

ヴィータが真上から変形させたグラーフアイゼンを振り降ろそうとする。
くっそ、このっ……腕が動かん! 動け! 動け! 動けえええ!!

腕の痺れとさっきの姉妹での攻撃に体が固まったせいで防御しようにもできず、回避もできない。
くそが!

右足に全力とまではいかないが力を込め蹴り出す。
右足に履いたローラースケートのホイールに内蔵されたモーターがその力を吸収し、駆動系に推進力を伝達する。
その力はホイールを高速回転させ火花を散らしながら、前へと進もうとする。

「ハンマー!!」

一気に振り降ろされる一撃。
その一撃に前へ抜けようとした右足を振り上げ、アイゼンの柄部分に蹴りを入れる。

「ちぃ!」

蹴られたアイゼンにその小さな体を引っ張られ、俺との間に距離を作ってしまうヴィータ。
一方俺は、抜けた足を振り上げたせいでバク宙のように回った体はその勢いに引っ張られる。

へっ!
この状況には練習中何度もなったからな!
着地はもう完ぺ

完璧と思おうとした瞬間頭のヅラと帽子がズレて落ちそうになる。

ってやばっ!? これ外れたら俺の正体バレる上に生き恥晒すことに!?

とにかくなんとかヅラと帽子が落ちないようにしようとしたら、体勢が余計崩れて、一回転した後地面にへばり付くように倒れた。

……痛い。
って、でもいつまでも倒れてる場合じゃねえ。

すぐに倒れた体勢のまま帽子とヅラを深くかぶり直し立ち上がり、後ろに跳んで距離を置く。

……バレてないよな?

フォアードの面々の方を見るが、視線は飛ばされたヴィータの方に向かっていた。
ほっ……ズレたところは見られてないっぽいな。

「ヴィータ副隊長の一撃を……」

さっきの連携での一撃を凌いだことに驚いているスバル達。
うん……俺も凌げたことにビックリしてる。




しっかし……ここでじゃジリ貧だな……
連携されると勝ち目がない。
1対1は結構経験したけど1対多数での実戦はあんま経験ないぞ……
その上このヅラと服のせいで動きづらいったらねえ。


「ちっ……思ったよりやりやがる……」


お褒めの言葉をどうも……でもこちとら必死なんだわ……
下手にこっちから手を出しても、すぐに囲まれる……
厄介なのはこいつらのレベルと、その各人の個性が別々な上特化されてることだな……
パターンはある程度出てくるけど、それに対応できるのは相当なランク者……
1人潰せば穴ができてくんだろうが……ぶっちゃけその1人を潰そうとして接近してもフォローが入るから難しい。

1人ずつ潰す……この策が一番いいんだろうけど……

ヴィータを見る。

……いや……特化技能だと多分AA行ってる4人に正式なAAが1人、しかもそこにこのAAA+って……
どう考えても1人すら潰せませんよ……
どうする……逃げるか?
だけどこの距離じゃすぐに追いつかれるし……

やや重心を後ろにずらすと前傾姿勢を取っていつでも距離を縮められるように構えるフォアード陣。

くそ……うまく逃げづらい距離を置かれる。

前衛に構えるスバル、ギンガ先輩、ヴィータ。
そのやや後ろで突撃体勢を取っているエリオ。
狙いをつけ構えるティアナに、デバイスのコアを輝かせブーストをするキャロ。

各人の配置を確認した瞬間。
ティアナとエリオの姿が消える。

「なっ!?」

それとほぼ同時に上空から、収束されその威力を砲撃並に高めたクロスファイアシュートが俺を直撃した。

「がっは!?」

殺傷設定じゃねえけど痛みは変わらない。
外傷はほとんどないが、痛みと魔力へのダメージで目がチカチカする。

やばい、次喰らったら意識飛ぶかもしれん。

「サンダー……」

声のする方を見る。
そこには上空から巨大化したフリードから飛び降り、ストラーダに魔力変換により電気を帯電させ振り降ろそうとするエリオがいた。
フリードの背中には先ほどの砲撃を放ったティアナの姿があった。

ああ……つまりさっき消えたのは幻影かよ……

体がフラつき、視界がチカチカする中で収納空間に手を伸ばす。


「レイジ!!」


エリオの上からの振り降ろしの電気付与の一撃にタイミングを合わせラケットを横から振り当てる。
振り当てると言っても体は満足な体勢じゃないから、本当に小突くくらいの一撃というより一発。

それの一発が当った瞬間エリオのストラーダに帯電していた電気は弾け飛び、エリオの軌道もそれによってややズレる。

このラケットの原材料となった樹は魔力に対しての耐性と一定のレベルまでは弾く特性を持っていた。
その特性を持った樹から削り出したラケットはエリオの魔力による電気を弾く。

しかし、物理的な勢いまでは消せるわけではない。
電気を弾いたことにより軌道こそはズレたがエリオの一撃は俺を掠め、ハイウェイを大きく破壊する。
その衝撃で元々フラついていた俺の体は飛ばされ、壁の方に押しつけられた。

や、やべえな……
服も所々破れてるし、体中擦り傷やらで血だらけだ……
ただでさえ元々あった擦り傷がさらに擦れやがった……
とにかく、サッサと立って次の行動を……


「そこまでよ。危険魔法使用……はしてないけど公務執行妨害で逮捕します。武装を解除しなさい」


立ち上がると俺の前を囲む無数の魔力弾。
そしてクロスミラージュをモード2であるダガー形体にして俺に突き付けるティアナ。


「手間かけさせやがって……仲間の居場所やらなんやら全部吐いてもらうからな」

「昼間のこととかも聞かせてもらうからね」


悪いがヴィータ……俺はどこにアジトあるかとかは全然知らんからな……
それとスバル、正直それは今話すことじゃねえ。


「今すぐ武装を解除してください。今ならまだ弁護の機会があります」


あはは……そりゃ無理ってもんですよ先輩……
六課に捕まって全部話す……てのは一番楽だよ……でもそれででっけえ迷惑がそっちに掛かる……
だから今は行くわけには行かないんですよ……
六課に行くのは"今"じゃない、まだ"先"だ。
それまでは踏ん張れ俺!

目を閉じて力を溜める。
血が疼くように身体が熱くなる。
全身に力が湧くかのように、体中の血管が膨張するような感覚がする。
流れていた血もすぐに止まり、全身の筋肉が力の解放を行いたがる。
眼が熱くなり、その色を黒から灰色へと変化させる。

「!? 何かする気だ! すぐに抑えろ!」

「このっ! クロスファイアシュート!!」


ヴィータが指示を飛ばし、ティアナは即俺を囲んでいた魔力弾を放つ。

「うらああああああ!!」

その俺に向かってくる魔力弾を加速がつきだす前に全弾ラケットで打ち返す。
打ち返された魔力弾は全員に直撃し、爆煙を上げてこの場の全員を包みこむ。

すぐに次の手だ! 攻撃される前にもう一撃放ってからこの場を離脱する!

右足を大きく、そして連続で……で打ち抜く。
それによりホイールが高速回転を起こす。
その動作を一瞬で行うことによってホイールに急加速、急停止の制動エネルギーが発生。
本来なら人間の筋力ではそこまでの速度は出せない。
だがその速度の再現を可能にするのがこのローラースケートによる加速能力。
さらにそこに現段階で既に人間の筋力ではない俺の身体。

生まれた制動エネルギーは空気中にその解放場所を求め移動する。
その結果打ち抜かれた方向へとそのエネルギーはベクトルを持ち、力の解放を行う。

つまり

「ぬおぉりゃあああ!!」

その制動エネルギーは空気の砲弾として蹴り出した方向へと解放される。

放たれた真空の砲弾は舞っていた爆煙を吹き飛ばし、さらにフォアードメンバーをもその衝撃で吹き飛ばす。
直撃は誰にもすることはなかったが、抜けた砲弾は反対車線のハイウェイの壁に大きな穴を開ける。

よし、隙ができた!
逃げるなら今だ!

そのまま俺は真後ろに跳び、廃棄都市のビルの中へと逃走。
そのまま入り組んだ道をひたすら進み、撒くことに徹した。






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げっほ、げっほ……
撒きあがった爆煙のせいで少し噎せる。
倒れた体を起こして現状を把握しようとする。
どうやら先ほどの衝撃波は誰も直撃してなかったみたいね……
でも……

直撃した反対側の壁……
まるで自動車が衝突して破壊されたようにへこんで穴が空いてる。
……魔力弾以上砲撃魔法以下って所の威力ね

「スバル、エリオ、大丈夫?」

「こっちは大丈夫」

「こっちもです」

立ち上がって返事するメンバー。
よし、まだ戦えるわね。

「くっそ……ぜってー逃がさねえ! ロングアーチ! すぐにサーチしろ!」

『は、はい!』

アルトに指示を出してさっきのやつの生体反応を探させる副隊長。

『先ほどの砲撃でのジャミング晴れました! ヘリは無事です! なのはさんが間一髪で防御しました! 次いでフェイトさんが砲撃地点に向かってます』

よかった。
ヘリは無事……
それに安堵の色を一瞬見せる。
副隊長も一瞬見せるが、すぐに気を引き締め次の指示をする。

「よし、あっちはなのはとフェイトに任せろ。アタシ達はさっきの奴を追う」

「「「「「 はい!! 」」」」

6人で先ほどの手甲とローラースケートを装備した女を追おうとするけどなのはさんの通信が入る。

『ごめんヴィータちゃん。さっきの砲撃の犯人と一緒に幻影使いが一緒だったみたい。幻影で十数の方向に逃げられた』

「幻影の解析はどうした?」

『すいません。パターンを変えられました。今解析してるんですが……』

「ちっ……仕方ねえ。わかった。アタシが逃げた方向のうちの1つを追う」

そこに八神部隊長からの通信も来る。

『こっちの方から超長距離砲撃魔法でも支援する。幻影とわかったらすぐに放置しておいて。ガジェットと一緒に私がこっちから攻撃する』

『了解』

そうして通信が切られる。
通信が切れるとあたし達の方に向き直す副隊長。

「わかったと思うけどアタシは幻影使いの方を追う。さっきの奴はお前らで捕まえろ。できるな?」

「はい! 任せて下さい!」

スバルがいつものように明るく返事する。

「チームリーダーはティアナだ。指示は任せたぞ」

「はい、了解です」

異論はないかとフォアードメンバーに目線を配るとみんな返事の代わりに頷く。
よし、今度こそ……

「あれ? リイン曹長は……」

そういえば姿がない……


『ごめんなさいです、さっきの融合騎も逃げようとしたので追ったのですが逃げられてしまいました』

リイン曹長からの念話が来る。
どうも全員に見事に逃げられてるみたいね……

「ちっ……完全にアタシ達の失態だな……幻影使いと砲撃使い、それとさっきの奴だけでも最低限捕まえるぞ」

『はいです。レリックも持っていかれて……』

「あっ、それでしたら」

レリックは封印処理してキャロに持たせていたことを報告する。
さっきの戦闘でキャロに何もさせなかったのは敵の接触をさせないため。
接近タイプだったみたいだから、後方の一番倒しやすいキャロを狙われると、封印したとはいえレリックに直接攻撃をしてしまう可能性がある。

「はは……」

『ナイスですよ、ティアナ』

「キャロはレリックを六課に運べ。スバル、ティアナ、ギンガ、エリオでさっきの奴を追うんだ。リインはアタシと合流だ」

『了解です』

「「「「「了解しました!」」」」」

そのまま全員散会。
ヴィータ副隊長は空に上がり幻影使いを、あたし達はさっきの女を追う。

さっきの戦闘でみせたラケットと衝撃。
それがさっきの水色髪のレリックケースを持って行った奴と同じで魔法以外の能力の可能性もある。
もしかしたらまだ何か隠している可能性もあるわね。

「さっきの犯人、まだ何か手を隠してる可能性もあるわ。魔法も使って来なかったけどもしかしたら何かの能力かもしれない。予想外のことでもすぐに
 反応できるよう想定しておきなさい」

「了解」

「こっちもです」

「指示よろしくねティアナ」

返事を返し、4人で追う。
……にしても気になってたんだけど……あのやや低い声……女の声にしては低すぎよね?
しかもなんか聞いたことあるような掛声というかなんというか……

そんなことを考えながらロングアーチが追尾している生体反応を頼りに追う。
まあ捕まえればわかるわね。






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「はぁ、はぁ……ぶっは〜……」

どのくらい逃げたかな……
2,3キロくらいは離れたと思うけど……

今の俺の場所は廃墟と化したビルの中。
その支柱に寄りかかり座り込んで少し休憩。
眼の方もいつもの黒色に戻っている。

「やっべえ……最近眼を使い過ぎだ……」

どうもピンチっぽいのが多すぎる。
あんまなりすぎるの良くないんだよな……体への負担とかその他色々と……

つうかセインとかまだか?
いくらなんでも遅くね?
まあ六課が総出してるの考えるとかなり難しいんだろうな……
リミッター制限されたオーバーSと戦ったけどそれでも手加減されて上に、ボロ雑巾にされるレベルだし。

ふと思い出すはなのはさん。
……願わくば……あの人は俺の方に来ませんように。
トラウマくさいです。

ぶっちゃけ倒すとか無理。
なんとか逃げきらないとな……最悪の場合俺1人で振り切ることも考えないと。

……っと思ったけど早速見つかったか……
ビルの外と中の両方に気配がある。
さて……問題はどういうコンビネーションで来るかだな。
素手で戦うのとかきつい……無明を……

無明を取り出し鞘から抜こうとするが、躊躇う。

……まあ鞘ごと叩いてもいいよな。うん。思いっきり叩けばダメージいくし。
さあ来るなら来い。

気配が1つどんどん近付いてくる。
ちょっと離れた気配はいくつかとか、どのくらいとか細かいことまではまだわからない。
でも近づいてくるくらいならわかる。

……気配はあるけど姿はない。
ティアナの幻術で姿消してるな。
足音から察するに……駆動音とかないからエリオだ……

気付いてるとバレれると一気に攻められそうだな。
よし、ここは気づいてないフリだ。
まだだ……まだ近づいてくる……

そして飛びつけば攻撃できるところまで近づいてきた瞬間

気配が膨らんだ!!


「はあっ!!」

「うわっ!?」


飛びかかってきた気配に向かって振り抜く。
ストラーダに鞘に仕舞われたままの無明がぶつかり、エリオの体勢を崩す。
そのまま振り上げ脳天に叩きこもうとする。
隙を作って攻撃されると焦るエリオの顔が目に入る。

……くっそ、脳天は駄目だ。せめて肩に……

その瞬間もう1つの気配の膨らみと同時に発砲音が響く。
ちっ、ティアナも近くにいるとは思ってたけどやっぱここでフォローに入るのかよ。

エリオへの振り降ろしをやめ飛んでくる魔力弾を鞘に仕舞われたままの刀身で打ちおとす。

「くっ……エリオ! 一旦離脱!」

「はい!」

崩れた体勢を立て直して距離を取ろうとするエリオ。
こんなチャンスに逃がせるかよ!

無明を振り落とし、ストラーダを上から思いっきり叩く。
エリオに握られたまま地面に穂先がつくとその上に右足を乗せ、抑える。

そのままエリオのストラーダを掴んでいる片手に左足を乗せ、そのまま踏み込むことでホイールを高速回転させる。

「熱っ!!」

手の上でホイールを回転させられ、起きた摩擦熱に耐えられずにエリオはストラーダを握る手を外す。
今だ!!
そのまま俺がストラーダを掴み振り回す。

片手だけで掴んでいるエリオを振り飛ばしストラーダを奪う。
エリオとかはやっぱ殴ったりし辛い……
だから!!

「はああああああああああああああ!!」

ストラーダを思いっきり地面に突き刺す。
その突撃槍の部分の8割がコンクリートの地面に突き刺さる。
さらに跳びあがり蹴りで釘を打つかのように地面に埋め込む。

「ストラーダ!?」
「っ…こいつ、大人しくしなさい!!」

ティアナが魔力弾を撃って牽制する。
その魔力弾を避けたり、無明で叩き落とす。
その間に、飛ばされたエリオが握り部分まで含めて完全に地面に埋まったストラーダを掘り起こすために近づいてくる

掴む部分すらないから抜くことはできないと思うけど念のため……

無明を抜いてストラーダの真上の天井を斬る。
斬られた天井の瓦礫がそのまま真下に落ち、地面に完全に突き刺さった上に瓦礫で完全に埋めて掘り出せなくする。

瓦礫が落ちたことで埃と破片が舞いエリオは口元を抑えながらストラーダのあるであろう位置を見る。
すぐに抜き出すことができない状況だと見て悔しそうにそこを見る。

これでエリオは脱落。
……すまん! マジですまん! いつか何か奢るから勘弁!

そのままビルの窓のはまっていない窓枠から外に飛び出す。

中での気配は2つ、外の気配は2つ。
数はさっきと合わねえけど……来るとすると……

「うりゃあああ!」

上から声が。
見ればウイングロードを駆け、スバルが突進してくる。

やっぱ来た!

放たれるリボルバー付の右拳を鞘付の無明で払う。
体勢が崩れ、叩かれたことに痛みを現す表情のスバルの首に足をかけ、そのまま下に足で押すように落とす。
地面ギリギリのところでウイングロードを再展開して尻もちをつく。

すまん、思いっきり蹴り飛ばしたんじゃなくて引っ張ったみたいな感じだからそこまでダメージないだろうけどすまん!

空中での攻防の後、当然飛べないし足場を作れない俺はそのまま落下。

「はああああああ!!」

ってうげええ!?
ギンガ先輩が時間差で突っ込んできた!?
突き出そうとした左腕をさっきと同じように払い落そうとするが、その左拳が止まり蹴りが飛んでくる。

フェイントかよ!

脇腹に入った蹴りに一瞬息が止まる。
こなくそっ!
脇腹に入った足をそのまま挟み込んでジャイアントスイングを……

「ギン姉を放せえええ!」

んなっ!? もう後ろに回り込んで。
やばい! 顔面直撃コースだ!

俺はすぐに先輩の足を放し飛んでくるスバルの拳を避けようとするが、その拳は鼻先を掠めメガネを弾き飛ばす。

やばっ!? メガネが!?

すぐに顔を左手で抑えながら、そのまま後ろに跳んで距離を置く。
その瞬間銃声が先ほどのビルからしたと同時に頭部に激痛が走る。

「いでええ!!」

いってえええ! 頭に直撃した!!
あーっくそ!! ティアナの魔力弾だな!
攻撃されてなんとか捕まえても、反撃しようとしてもすぐにもう1人がサポートに入るからこっちから攻撃しようがねええ!

頭を抑えしゃがみこんで痛みを堪える。

ってやばっ! こんなことしてる間に次が……

と思ったら何か手に違和感が……
なんていうか……頭を抑えてるんだったらするはずの感覚が……

頭を撫でてみる。

短い……
しかもなんかさっぱりした。


「……えっ?」

「あ、あれ?」


なんかスバルとギンガ先輩の立っているであろう場所から声がした。
嫌な汗がダラダラと出る。
嫌な予感がビンビンする。
そ〜っと視線を前に向ける。
そこにはさっきまで俺が被ってたヅラと壊れたメガネが落ちていた。

……まさか……


「………もしかして………ケイ?」


スバルのボソっとした声が周りの空気を静かにさせた。

ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
バレたああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!





                                       つづく




   おまけ


グリフィス「そんな馬鹿な!?」
アルト「なんでこんなところにいるの!?」
ルキノ「地球に帰ってたんじゃないの!?」
シャーリー「……というか何で女装?」
グリ・ルキ・アル((( 確かに…… )))



あとがき

……2か月ぶりの投稿とあいなりました。
春休みに入って相当時間あると思ってたんですがまったくありませんでした。
しかも書こうとしても筆がまったく進まないという。
やっとここまで書けたーーー!
けれどまだここで3分の1くらいかなと思います。
そしてつい六課のメンツと会合でしかも正体もバレました。女装していたのもバレて一生の恥もかきました!
これから一生このネタで弄られるでしょうw
次回はスバル、ティアナ、ギンガの3人の包囲状態での戦闘となります。
なるべく早く書き上げたいです(泣)
それでは次回もまたよろしくお願いします。



     Web拍手返信



※新しい武装のソレって……もしかして元ネタ、A・Tですか?あの、違ってたらごめんなさい。
でも、俺ソレと似たようなシューズが出てくる漫画が大好きで… 二次小説書くなら自分でも使おうかなーなんて思っててですね。
つまり何が言いたいのかといえば、仲間がいたのか、イヤッホー!って事なんです。

>まさにその通りだったりしますw
>1人での場合移動がずっと走りになるのは辛いなとか、体1つでとかは辛いかなと思って出してしまいました。
>というか単純に自分が好きだからというのもありますが(こら
>今回ので1つどでかい技出してしまいましたが、あれ以上のすごい技は自重しようと思います。出してる時点でやり過ぎですので(汗)

※此れからも頑張って下さい

>はい! 投稿ペースが落ちましたががんばって上げようと思います! ありがとうございます!

※なんかケイの考え方が某種の准将みたいに思えました。自分は戦うべきではあるが殺したくはない。
この矛盾をケイさんがどう書いていくのか楽しみです。頑張ってください

>やっぱり人間同士で殺すのは辛いです。でも戦わないといけない。
>それを考えてると戦争のこととかも考えてしまいます。
>戦時中の人たちはどう思って戦っていたのか、死んでいったのか、想像もつきません。
>そんな人たちの辛い覚悟には及ばない考えの出てくるSSですが、これからも頑張らせていただきます!

※色々と言いたい事は有るが、とりあえず、この店長とか言う奴が一番ウザイ

>あ、あはは……まあ普通にいたら社会不適合者ですからね。というかだからこそミッドの裏で危ない仕事してるんですが。
>そんな世界に入ったばっかりのケイだからそんな人を1度は会ってみるといいかなと思って出してみました。

※まさかアレは某漫画の某スケートシューズでは?

>はい、まったくもってその通りです。
>やり過ぎてしまいすいません! でも炎の道とかにマジで痺れていました(コラ

※ケイの死亡フラグの多さに泣いた

>ケイ「ありがとう! こんな俺に泣いてくれておりがとう!」
>アギト「これからもいっぱいあるけどな」
>ケイ「いやああああああああああああ」

※う〜ん、15歳の地球出身の男の子にはかなーーーーーーーーーり厳しい状況。
しかし!!その葛藤を越えてこそ漢というもの!!!ケイよ!!!○志を抱くのだ!!!!

>ケイ「おう! 大使を抱くぜ!」
>ルー「字が違う。大志」
>ケイ「………………」

>なんというか……正直最近やりすぎたorz と思ってます。話を難しくして自分の首を絞めてどうする俺!(泣)

※ 早い段階で逃げるを選択しなかったって、何時、平穏無事な状況に戻れる機会が有りましたっけ?教えてくれませんか? 

>そうですね。1つとしてはジジイが助けに来た時点で泣きつけばある程度なんとかしてくれたでしょう。
>それとアギトと初めて会った時、あそこでアギトの言ったように戦闘に出なければこういったことにもならなかったでしょう。
>まあそれをしてたら物語にならないのですが(汗)
>物語は戦うことを覚悟せずに始めてしまって今は泥沼な状態な感じですが、その最初の頃に「逃げる」ような選択肢をしておけばこうはならなかったと
>思います。

※ なんか暗い空気に持っていきたいが為だけにケイに殺しをさせた様にしか見えないんですけど?

>暗い雰囲気を出すというよりも話の流れ的にこうなると思い書きました。
>設定上ケイは非殺傷設定を持っていません。
>つまり戦いの中で人を殺してしまう可能性が高く、それを早い内に経験しておかないと後で大変になる(キャラの心境もSSの執筆にも)と
>思ってこの段階で出しました。
>ただ設定の立て方をミスったせいで今シリアスな感じで相当詰まりやすくなってしまいました(泣)









作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板
に下さると嬉しいです。