地球に一旦帰って、またミッドの方に戻って来ました。

いや〜いろいろありましたよ。

初対面で蹴られ睨まれ、風呂で殴られ、森で殺されかけ…

あれ〜?なんか地球が怖く感じる…

俺の平穏どこいったーーーー!!









時空を駆けちまった少年

第12話











〜機動六課訓練上端〜







「ほっ…よっ…っと…よし準備体操終わり。走りますか」



地球から帰ってきた翌日に見られた筋肉痛も帰って2日目の今日は無事のそこそこ抜け、朝訓練の準備体操を終えたところだった。

昨日は本当に災難だった。

全身筋肉痛なのにシグナム師範の動けば気にならなくなるとの一言でお休みはなし。

しかもチャッカマ○事件のせいでそのお仕置きとばかりに超スパルタコース…

要するにおもいっきり打ち合われて何度もボコられて医務室で回復ってコースだった。





……手加減が欲しいちゅーの…





しかもその後はシャーリーさんとデバイスもどきの開発を始めて今度は目が疲れた。

まあ疲れた甲斐あって結構進んだけど…





今日、師範は朝早くから外に仕事があるとのことで今日は1人でしていろと言ったので今までの1人のメニューを

こなそうとしていたのだ。



「……じゃあ六課隊舎の周りを走ろう。やっぱ」



最初はこの訓練場の外側を走ろうと思いここで体操していたけどやめた。

理由は超簡単。





チュドーン!! ドゴオーン!!  グガアァァァ!!





前線メンバーのいるであろう中心部から爆音と何か大きなものが吹っ飛んだり潰れたりする音やら、フリード(大)の泣き声がしたからだ。

間違いなく走ってたら流れ砲撃やら破片やらが……

くわばら、くわばら…



そう思いながら俺はロードワークに出るのだった。









「……ロードワーク終了……」



ロードワークが終わり先程準備体操をした場所に戻ってきたのだがおかしなことになった。

息切れをまったくしないのだ。

距離を減らしたわけでもなく、ペースも落とすどころかいつもより楽だったので相当早めに走ったのにも関わらずだ。

こちらに来てから色々体力が欲しいことが多かったとはいえ、そんなのでここまで体力が上がるはずもない。



「…取り合えず次はダッシュしてみよう…」



そう思い今度は訓練上の端でかつ、開けた場所を見つけたのでそこで短距離ダッシュをすることにした。



「よ〜し、じゃあ200Mダッシュ1往復キツくなるまでやりますか」



位置について…よ〜い…ゴー!!

心の中でそう合図してダッシュをする。すると



「げえっ!?」



確かにダッシュをしたのだがその速さがありえんかった。

今までのスピードより相当上がっていたのだ。

折り返し地点にも一体何秒ほどでだろうか…

あっという間についてしまい、驚いた俺はその場に止まってしまう。



なんじゃこのスピードは!?

世界獲れるんじゃねえのか!?



「おいおい…マジにどうなってんだこれ…」



脚力が異常に上がっている…いや身体能力が飛躍的に上がっているのだ。

体力も元々かなりあったほうだが今はそれも比にならないくらいになっている。



「じゃあジャンプすると……うえええ!?」



ジャンプをしてみると今度は周りの魔法で作り出された木ではあるがそれの枝の上に飛び乗れるくらいにジャンプしたのだ。

大体高さは学校の校舎の2階から3階の間くらいか…

そのくらいの高さにだ。



「……これってもしかしてすずかさんの時に暴走した影響か何か?」



もしそうだとするなら…



「ひゃっほう!!やったぜ!身体能力がすんげえ上がってる!しかも1日の筋肉痛くらいで!」



空に向かって両手でガッツポーズ!

やったね!これで師範との仕合いのときにも有利になるぜ!

魔法相手のときにも相当役に立つ!よっしゃー!!



……待てよ…こういうのは何かリスクがあったり…

知らないうちに俺の中にもう1人の俺がいてそいつに乗っとられる前兆とか…

はたまた体が化け物になる前兆とか…

寿命がかなり縮まってるとか…

そんなの嫌あああ!!



「よし!健康診断に医務室行こう!そうしよう!」



と言ってそのまま健康診断に行こうとすると



『あ〜あ〜…ただいまマイクのテスト中、ただいまマイクのテスト中』



隊舎の放送からはやてさんの声がした。

つうか部隊の責任者が放送のときにそんなのすんなよ…



『地球出身の迷子のケイ君、迷子のケイ君、今すぐ部隊長室まで来なさい』

「うおい!!」



あの人放送でも人のことおちょくりおって!!

そんな呼び出し方すんじゃねえ!!

遠くからスバルとティアナさんの爆笑の声がするじゃねえか!!ちきしょーー!!



『あっ!部隊長室までにまた迷子にならんようにな〜。以上。 ブツ…』

「誰がなるかボケエエエ!!」



最後の一言で完全にキレた俺は猛ダッシュで隊舎の部隊長室に向かう。

もちろん文句を言うのと謝罪をもらうためだ。

許さん!絶対許さん!



異常に上がった身体能力の最初の使い道は迷子の呼び出しに対するものだった。



アホかああああああ!!









      〜機動六課部隊長室〜









「誰が迷子じゃボケエエエ!!」

「うわっ!すごい早かったです!!」

「なんや意外に近くにおったんかいな。まあええわ。話に入るで」



マテヤコラ。

何、人が怒って部屋に入ってきたのにスルーして話に入ろうとしてんだ。



ダッシュで部隊長室に来て入ったら早く来た事に驚くリインと、近くにいたと推理したはやてさんが

まったりと机に座っていた。

こっちはいくら速くなってたとはいえ訓練上からダッシュできたのだ。

思いっきり疲れたわ!

はーはーはー…



「ほい、お茶でも飲んで落ち着き」

「お茶一杯で機嫌がなおるか。ったく…」



そう言いながら出された緑茶を飲む。



……

あ〜…この味久し振り…ミッドに来てから日本茶なんて飲んでねえし…うめえ…



《はやてちゃんすごいです!本当に和んでるです!》

《ほやろ?ほやろ?ホンマ単純な子でおもしろいわ〜》

「ん?どうかしました?」

「「なんでもない(です)。なんでもない(です)」」



まあいいか…それよりお茶をもう一杯…

そう思って急須を探す。



「さて機嫌もなおったようやし本題や」

「はあ…」



見つけた急須でお茶を淹れながら話を聞く。

失礼だけどいいや。放送で失礼なこと言ってきたし気にせん。



「この前街に出て服でも買ってみたら言うたやろ。お金を渡すで買ってきい」

「は?いいんすか?」

「ちゃ〜んと掃除のときのアルバイト代とシャーリーの所でのお手伝い金が入ってるです」

「それと保護に必要な経費も少し入れといたからそこそこあるで」



……いいのかそれ?

掃除のバイトだってほとんど1日しかしなかったし、シャーリーさんのとこのはどっちかってと俺の好きな物作らして貰ってるのに…



「いいんですか?」

「別にええよ。ちゃんと経費から落としたし実際ケイ君に何も使ってなかったで」

「でも無駄遣いはダメですよ」

「あざ〜っす!」



そう言って俺ははやてさんからお金を受け取りミッドの街の観光に出ることになった。

まあ帰る前に一回見て回りたいと思ってたしいい機会だ。

思いっきり見て回ろう。



そう考えながら部隊長室から出て行った。







「いいんですか?本当ははやてちゃんのお給料からもいくらか入れてたのに…」

「別にええよ。それなりにウチも楽しませてもらってるしね」

「そうですか。流石はやてちゃんです」

「ほんかわりもっと弄らせてもらうけどな〜」

「……」









      〜機動六課ガレージ〜









ふっふっふっふふ…

ついに…ついにこいつをフルに使う時が来た!!



「さあ出発だ。我が愛機よ!!」



そう言ってガチャンと鍵を開ける。

そうこれはこの世界に来てでかい団子(ガジェットV型)に壊されて(ぶつかって)大破した俺の自転車だ。

折れたハンドルは根元から新しいのに変え、潰れたタイヤはこの世界のクッション性、耐久性の高いタイヤに替え

ついでにギアの部品もいくつか変えた。

さらにバッテリー式のモーターを付けることで走行中の加速度とスピードもUP。



く〜夜中にこっそり修理、改造した苦労が報われたぜ!

ちなみにパーツ提供は機動六課整備班で、不必要なパーツともう使わないジャンクパーツなどを貰って組み立てた。



「いざクラナガン!!」



そんなことを言って俺はガレージからゆっくりと発進して、超都会であるミッド首都クラナガンに向かった。







       〜機動六課からクラナガンへの途中〜







途中での下り道、カーブ、その他諸々で飛ばそうかと思って走るが…急ぎでもないしまあゆっくり走るかと思い

まあ普通のスピードで走る。

改造の甲斐あってペダルは軽く、ギアも調子がいいようで加減よく比が変わる。

我ながら上出来の改造だな。うん。



しかし、しばらく走っていると…



「きゃははははは!!何あれ?今どきあんな古い自転車こいでる〜バッカじゃない!?」

「だはははは!!言ってやるなよ。どうせ田舎の世界の奴だって」

「くっくっく…そんな事実言ってやったら可哀そうだって」



やったらド派手なオープンカーに乗った見た目チャラ男が2人と相当ケバいうるせえ女が乗って俺のことを笑ってきた。

うぜえ…相当うぜえ…

確かに管理外の世界から来たが…

すげえむかつく…



「じゃあ田舎者君。せいぜいそのクラシックな自転車で頑張ってくれたまえ」

「じゃあね〜」



最後にそう言って追い抜いていきやがった……



……くっくっくっくっく…

なめやがって…クラシック?上等だよ。どうせママチャリだよ、元は…

だが許さん。俺の夜の改造の苦労の結晶を笑いやがって…

おかげで少し寝不足気味にまでなってんだ。



俺はギアを最大に切り替えペダルをおもいっきり漕いだ。

その瞬間世界が変わった。

ギアを最大に上げると同時に取り付けたモーターが回転率を上げる。

まあ所謂あれだ。

俺は風になったと言っておく。









「いや〜ほんとダセえ奴だったな〜」

「マジで今時あれはねえって」

「ママチャリだっだしね〜抜いたときの顔。あれ傑作〜」



十数秒全力で走ると目標が見え、そんな会話が聞こえた。

どっちがバカだ。

今から抜いてやるってのに……ひゃはははははは!!



そして俺はさらにスピードを上げそのオープンカーに並走する。



「あれ〜〜?おかしいな〜〜こんな古いママチャリに乗ってんのにこんな派手なだけの車に追い付いちまったな〜」

「「「んなっ!?」」」

「あっ、そっか!派手なだけだから遅いんだ!いや〜すいませんね〜。それじゃあさいなら〜。派手なだけの車のみなさん〜」



そう言ってそのまま俺は車を抜いていく。

いや〜スッキリした〜!

あの呆けた信じられないって顔。マジですっきりした〜。



しかし抜いてすぐに車の爆音が俺の後ろから聞こえ、加速した車が俺に並ぶ。

そしてそのまま俺の方に車体を寄せて威嚇してくる。



「テメエ!なめた真似してんじゃねえよ!!」

「ぶっ殺してやるよ!!」

「そのまま轢いちゃえ、轢いちゃえ!」



そう言いながらさらに寄せてくる。

こいつ等俺を殺す気か!?

どうしようもねえ馬鹿だな…ここの場所を考えろよ…

そう考えながら自転車のスピードをやや緩める。





「スピード上げるのはいいけどよ…場所考えろよ…」

「ああっ!?今さら命乞いか?」

「いや、前前」



そう言って前を指差す。

そこにはガードレールのないカーブがあり、先には砂浜があった。

六課隊舎は海沿いにあり、街の中心部に行くには海沿いの道を走る必要がある地形だ。

それなのにこの車はカーブの外側に海があるの忘れてるようで曲がり切れるかどうか考えてないようだ。

当然今のスピードじゃ車みたいな大きな乗り物では曲がり切れず…



「「「うぎゃああああああ!!??」」」



その3人が乗った車は砂浜に突っ込み、車体を横にして止まろうとしたが止まりきれずに海に突っ込む。

一方俺はスピードを緩めていたためドリフトの要領でそのまま車体を横にズラし急停止をかける。



俺悪くないよな?ただ自転車で飛ばしてただけだし…



生きているかと思いしばらく見ていると海に突っ込んだ車から3人が出てきた。

ちっ…生きてたか…



「もう最低!!アンタとなんか付き合ってらんない!!」

「知るかよ!俺だっててめえなんざお断りだ!!」

「くっそ!動けこのポンコツ!」



しかも元気なようで俺安心。救急車いらねえな。うん。

それじゃあ気を取り直して街に向かおう。



そのアホ3人を無視することにして俺は自転車を走らせる。

今度は飛ばさないでな。







     〜ミッドチルダ首都クラナガン、ショッピング街〜







到着〜。

自転車をこいで数十分。無事に目的地まで辿り着いた。

看板の文字が読めなくて買い物できるのはどの辺かと交番の人に聞いたというのは内緒だ。

帰ったらネタにされる。

次来るときは翻訳に使ってたインテリジェントデバイス持ってこよう。

…機会があればね。



「チャリ置場チャリ置場っと……ない?」



自転車を駐輪場に置こうかと思い探すが周りに見当たらない。

あれ〜?…どうしよう…

探すのもめんどくさいし…



よし、そこの路地裏停めちゃえ。

俺はショッピング街の端の辺りの路地裏を見つけたのでそこに自転車を停める。



「これでよしと……しかしこの路地裏…なんか道が続いてるな…危ない裏の店とかホームレスとかいそうな感じだな…」



賑やかな表の通りと違ってこの路地裏は危険な人達がいっぱいいそうな廃れた感じのする道が続いていた。

簡単に言うと廃棄ビルとビルの間がいくつも重なって迷路のような感じがする。



「よし……行かないこと決定!」



見なかったことにしてそのまま表通りに向かう。

まあ自転車置いておいて不安だけど昼間なら大丈夫だろ。

流石に昼間に活動する怖い人がこんないかにもな所をそう都合よく通るはずないない。













しかしこのショッピング街すげえな…

歩き回ってみるとわかるが相当な店数がある。

正直どの店に入るか迷ってしまう。田舎者だから目線があちこちにいってしまうし。



「マジですげえなここ…」



きょろきょろしながら歩いているとやたらでかい声が聞こえてきた。





「このアマ!!ざけんじゃねえ!!」

「はあっ?そっちから突っかかってきたんでしょうが」

「しかもそっちからのナンパッス。振られたからってキレてんじゃねえッスよ〜」

「うるせえよ!サッサとついてくればいいんだよ!」

「顔がいいからって調子のんじゃねえよ」





あまりの都会振りに感心していると何やら老けた感じのピアスやらグラサンやらそういうのを付けたいかにも怖いお兄さんな感じの

体格のいい男3人が水色の髪と赤髪の女に突っかかってた。

話の内容的に女2人はナンパされたがそれを断ったようだ。

それで男3人は逆ギレ……へえ〜ナンパでのゴタゴタなんか初めて見た。

レアな光景だな。

周りの人はみんな見て見ぬ振りを決めこんでいるようだ。誰もそこに目をやらない。



俺も怖いし目をやらんとこ…

サッサと服買いに行こうとそのまま通り過ぎようとした。





    ゾワッ…





!?何だこの殺気!?

何と言うか狩りを行う際に獣が出す殺気とは違い、少しではあるが禍々しさを感じる人間味のあるというかそんな殺気が俺の背後からした。

標的は俺ではないみたいで、そこまで強いわけでもない。

多分本気ではない程度に出しているんだろうが、素手でも人を殺せる奴が出しているのだろう。

そもそも殺しが簡単にできるやつしか出すことができないのが殺気だ。



「っ!!」



慌てて微かだが殺気を感じた方向を向く。

そこには先程のナンパされてた女2人としていた男3人がいる。



まさかナンパ失敗くらいで殺す気か!?



「あんた達うざいッスね〜…どうしよっかセイン」

「ん〜…チンク姉に怒られそうだけど殺っちゃう?」

「そッスね〜もう街に顔出せないのが勿体ないッスけど」



そう言いながら女2人の拳が握り締めるのが見えた。

それと同時に2人の目が歪み、影が差す。



殺気の元は女2人の方かよ!?

やべえ!警戒音がなってやがる。マジで殺しにかかる気だ!



「あん?おもしれえ戦る気か?」

「上等じゃねえか…」

「潰して薬漬けにして売り飛ばしてやんよ…」



おい気付けよ男3人!!

アンタらじゃ勝てねえって!!

つうか最後の人のセリフ怖っ!!つうかいろいろと危ねえ!!





「はい!はい!はいはいはい!!喧嘩やめましょう!喧嘩やめましょう!」

「っつ!?何だテメエ!!邪魔だ!どきやがれ!」



俺は女2人が3人を殺しに掛かる前にその間に割って入る。

あ○ある探検○のノリで止めに入った。

おちゃけた感じで入ったが正直恐ええええ!!つうかこうでもしねえと気が紛れねえ!

なんでこんなのに割って入らねえといけねんだよ!

でも目の前で人殺されるのも夢見が悪くなるしどっちも嫌だーーー



「何あんた?」

「こいつ達の仲間ッスか?なら殺っちゃうっスよ〜?」



ノオオオ!仲間だと認識されかけとりますがな!

断じて仲間じゃねえ!俺はこんな怖い人と喋れません!

つうかこの女2人の方も怖えええええ



よし!サッサとこいつ等を止めて離脱だ!



「あーーーーー!!!あれ何だ!?」

「「「「「あん?(はあっ?)(えっ!?何かあるッスか!?どこどこ!?)」」」」」



おもいっきり男3人の後ろの空を指差し叫ぶ。

正直効くわけねえと思ったがこんな状況でするとか予想してなかったのだろう。

男3人どころか女の方も引っかかりやがった。

つうか赤髪のほうが本気で信じて探してるし…



男共がよそ見をしている間に女2人の手を掴み、そのまま引っ張って逆方向に猛ダッシュをかけて逃げる。

本当なら弱者の方の男どもを引っ張って逃がすべきだが…

こんな怖いやつ引っ張っていったら後が怖い。

それに男なんか引っ張って逃げたくねえ。

てなわけで危ないけど女の方を引っ張って逃げる!

さっき街に出てこれなくなるから勿体ないって言ったから、こっちから突っかからん限り殺そうとしてこないだろ。



とりあえず怖い兄ちゃん達と女2人に一言…

馬鹿は見る〜。



「あっ!テメエ待ちやがれ!」



3人が追いかけようとしてくるが今の俺の速さについて来れるわけもなくすぐに振り切って姿が見えなくなった。

ふう…危ねかった…

あんな怖い人に絡まれたくねえっての。





安心していると水色の髪と赤髪の2人が話しかけてきた。



「あんた何?」

「さっき何があったんスか?何も見えなかったッス」



赤髪はまださっきの信じてるし…



「あ〜何と聞かれてもな……」

「あんま変なこと言ってるとあんたを殺すよ?」

「だからさっきは何があったんスか!?答えるッス!」

「ええい!揺するな!脳をシェイクするな!」



赤髪が早くさっきの指指したのは何か教えろと催促して、俺の肩を掴み揺すってくる。

脳がぐるぐる回るからやめい!!



「さっきのはあの怖い兄ちゃんを騙すための嘘だ!それと水色!人を殺そうとするな!マジ怖いから!!」

「ちょっ、嘘!?嘘に引っかかったんスか!?この嘘つきめー!成敗するッス!」

「ウェンディ!話がややこしくなるからおとなしくしろ!」

「だって騙されたんスよ!一発殴るッス!喰らえ!」

「うおっ!?」



おもいっきり右ストレートが飛んできたのでそれをかわす。

早っ!?つうか威力絶対高いこのパンチ!……まあスバルの方がすげえ音出してたけど…



「危ねえわこのアホ!!」

「よけといて言うな!それにお前の方がアホだろ!なんだよあの割り込み方!」

「ああっ!?うるせえ水色!アホって言った奴がアホだ!」

「それだとアンタもアホってことッス!や〜い!アホセインとアホ……」



アホの続きに名前を入れようとしたのだろうが俺の名前がわからずにセリフが続かない。

数秒ほど沈黙が続きその沈黙を向こうから破ってきた。



「「……あんた名前何?」」

「今更かよ!?」



はっ!?つうかこんな会話してる時点でアホじゃねえか俺!!



「まあそれはいい…どうせもう会わないし…取り合えずさっきみたいに本気で人を殺そうとするな」

「仕方ないじゃん。あいつ達ムカついたし」

「そもそも顔だけって何スか。セインはそうでもアタシは違うッスよ」

「ウェンディ…それはどういう意味だ…」

「さあ〜?」



…あっ…そういうこと…

ボリュームがってことね……たしかに水色の方…セインだっけか?

洗濯板だわ…



「もういい…とにかく喧嘩もするな、殺しもするな…了承?」

「ちぇ〜…わかったよ…」

「しょうがねえッスね〜了承しとくッスよ」



わかれば良し。ではサッサと去ろう。



「んじゃな〜」

「「バイバイ〜〜」」



ふう…異世界の女は過激で強いんだな…

スバルもティアナさんもすげえ強いみたいだし……

はあ…

意外に危ないみたいだし目的の物サッサと買って暗くなる前に帰ろう。

















さっきの物騒な女2人と別れてからしばらくして服屋を見つけたのでそこに入って適当に2,3着選んで買った。

値段もまあお手頃な物を買ったので財布の中身に余裕は結構ある感じになった。

余った金でどうするか……

悩んだ結果もうすぐ昼飯時なので食いものでも探そうと思い、食いもの屋が並んでいる所へ向かった。









「ここもすげえな…」



目的地に来ると目の前には喫茶店やレストラン、異世界の食べ物の店だろうか…見たことのない雰囲気の店まであった。

他にも露店のような感じのアイス屋やクレープ屋もある。



いやはや…どれを食べようか…

んっ?この匂いは…



なにか香ばしいソースの匂いがすると思いそちらを見るとなんと異世界のくせにたこ焼き屋があった。

しかもその横にはベビーカステラまで売っていた。



どこの祭りだよオイ!?



異世界で日本の露店を見るとは思わなかった…異世界だとどんな味だ…気になる…

よし!買う事決定!

そう思いたこ焼き屋の方に近づく。



しかしその店の前には、なにやらちっこいフードに包まれた置物が…

なんだこの置物……まあ関係ねえや。



「おっちゃんたこ焼き1つね〜」

「は、はいよ〜」



なんでどもった?

つうか何か置物の方見て苦い顔してたな…この置物がどうかしたのか?



そう不思議に感じて置物を見る。



「この置物がどうか…………って子供!?置物じゃない!?」

「………」





置物だと思っていたら歳はエリオ達くらいだろうか。

紫色のロングで人形のような印象の女の子がフードを被って立っていたのだ。

これにはおったまげた。



「い、いやな…さっきから店の前で立っててな…まったく動かねえしどうしようもねえんだよ…」

「いや…どうしようもないって…」



さっきから立ってたって……こんな子供が立ってたら少し分けてやれよ…

食べたいから立ってたんだろうに…



「…たこ焼き食べるか?」

「いらない」

「……………」



じゃあなんで立ってた、このお子様は!?



「食べたいから立ってたんだろ?」

「ううん…ゼストがここで待ってろって言ったからここで待ってるの…」



誰だよゼストって……この子の保護者か?



「店の前で待てって言われたのか?」

「地図の目印がここ…」



そういってフードの下から地図を出して見せてくる。

その地図にはたしかに目印がこのたこ焼きやが建っているであろうところについている。



……普通ならこの辺で適当に待てって意味でとるだろ…



「兄ちゃんワリイけどその譲ちゃんどかしてくれねえか?営業がしづらくてよ…」

「はあ…まあいいっすけど…」



確かにこんな風に子供に店の前でずっと立ってられても困るよな…



「じゃあそこにベンチがあるからそこで待とう」

「………」

「立ってるの疲れるだろ?」

「………」

「お〜い。聞いてるか〜?」

「………」



……反応なし!

くあああああ!!こいつ本当に子供か!?無表情過ぎだ!

どういう教育してるゼストとかいうやつ!!



「とにかくここじゃ邪魔だからベンチに行くぞ」

「行かない…」

「行くぞ」

「行かない…」

「行くぞ」

「行かない…」



無限ループ確定だな…

仕方ねえ…



「おっちゃん、たこ焼きまだ?」

「んっ?できてるが…どうする気だい?」

「まあいいから、いいから」



おっちゃんから焼きたてのたこ焼きを受け取り、子供の目の前で蓋を開ける。

すると焼きたての香ばしいソースの匂いが俺と子供の間に迸る。



「お〜うまそ〜。しかも焼きたてでホカホカだな〜。食ったらうまいだろうな〜」

「………」

「俺の世界の食べ物なんだけど…ここまでうまそうなのは滅多にないだろうな〜」

「………」

「ここで食べれないと後悔するだろうな〜」

「………そう…」



よし!反応があった!もう少しか!



「昼にも丁度いい時間だし…昼飯には最適だな〜」

「……そうなんだ…」



もう一押し!!



「頂きま〜…」





     くきゅる〜





「………………」

「……お腹空いた…」

「ぷっ…あははははは!!」

「…どうして笑うの?」

「い、いや、なんでもねえ…くくくっくく…い、一緒に食べるか?」

「…いいの?」

「その代わりベンチで座ってだ。ここじゃ食べられないからな」

「でも……」

「あのベンチでならここに待ってろって言った人も見えるだろ?」

「でも目印はここ…」



……中々融通のきかん子供だな…

頑固なのか…言われたことに対して律儀なのか…なんというかこの世界の子供は達観してるというか…



「あのな…さっきの地図だと目印はあのベンチだと思うぞ?」



実際は適当にこの辺でってことだろうけど…



「…でも」

「今なら隣の店のカステラもつくぞ」

「…でも「行く!!ベンチに行く!!だから食べさせろ!!」…」

「お、おう…」



まだ何か言おうとしていたがベンチに言って食べると言ったしまあいいか…

つうかいきなり声が変わってしかも口調が変わったな…

まあここからどくならいいか…



「んじゃ先に待ってろ。ジュースも一緒に持って行ってやるから」

「うん…」

「よし、いい子だ」



そう言って頭を撫でてやる。

撫でても無表情なのは変わらんかったが、それでも腹が空いたときの反応は子供らしかったのでなんとなく安心できた。

もう少し子供らしさが出てもいいけどな。



「てなわけでおっちゃんたこ焼きもう1つ、隣のおばちゃんカステラ1つ」

「おう、サンキューな」

「あいよ、さっきのお譲ちゃんもいるしね…おまけで多めに入れたげるよ」

「おばちゃん最高!」

「あははは、ありがとね」





カステラ屋のおばちゃんからカステラを受け取り、自販機でジュースも買ってさっきの子供の座っているベンチに向かう。

座っていてもフードを被ったままでこちらを見て待っている。

無表情だけど早く食いたいんだろうな。

うん、結構結構、子供はたくさん食べんとな。

俺もまだ子供だけど。





「ほれチビッ子。またせたな。食いな」

「…うん…」



たこ焼きを渡すと素手で掴んで食べようとしやがった。

おいちょっと待て。



「爪楊枝使え」

「…爪楊枝?」



爪楊枝知らんのかい…こいつスプーンとかしか使わない外人系のほうだから爪楊枝とか知らんのだな…

日本文化が偏ってしか入ってねえじゃねえか。



「これだこれ。これで指して食うんだ」

「わかった…」

「熱いからしっかり冷まして食えよ」

「っ!!」



遅かった…熱い状態のまま食べたから熱がってやがる…

それなのに無表情をギリギリで保っているが熱がっている…器用な顔をするな…



その顔をこちらに向けやや涙目でジュースを催促してくる。

俺はジュースのプルタブを開け渡すと、すぐにそれを飲みだした。

その行動も無表情……



ここまで来ると面白いしか感じん。



「…熱かった…言うの遅い…もういらない」

「聞かずに食べるから悪い。ほれ、冷ましてから食べてみろ」

「……ふ〜ふ〜…ぱくっ………おいしい…」



楊枝で刺してたこ焼きを差し出すと今度はしっかり冷ましてから食べた。

おかげで味を感じられたようだ。

おいしいと言ってどんどん食べていく。



「じゃあ俺も……あれ?」



何故か俺の分が減っていた。

まだ1つも食ってなかったのに2,3個ほど減っている。

おかしいな……



「…どうしたの?」

「いやなんでもねえ。気にすんなチビッ子」

「そう……ルーテシア…ワタシの名前…」



唐突に自己紹介かい!

どうやらチビッ子って呼び方がお気に召さないご様子。



「武ノ内ケイだ。ケイとでもケイお兄ちゃんとでも好きに呼べ」

「じゃあケイ…」

「呼び捨てかい!」

「…好きに呼べって言った…」

「ま、まあそうだな…それでいいや…」



こんな歳下に呼び捨てにされるとは…

つうかこの答、今までで最速の返答だったぞ…



「んで?ルーテシアは何してんだ?ゼストとかいう人はお父さんか?」

「探し物…ゼストはそれを手伝ってくれてる人…今だけ用事で別行動…」

「成程ね。見つかるといいな」

「うん…」



探し物か…とことん異世界の子供の行動はわからん。

俺の世界じゃこの歳はランドセル担いで小学校が普通だってのに…



「…ごちそうさま…カステラ食べていい?」

「ん?いいぞ。つうか袋ごとやるから待ちながら食べな」

「…いいの?」

「遠慮するな」

「ありがとう…」

「おう」



たこ焼きも食べ終わりルーテシアはカステラを食べている。

俺はその様子を見ながらやや冷めてしまったたこ焼きを食べる。



「ゼストって人はいつ頃戻るんだ?」

「わからない…でも夕方前に戻るって言ってた…」

「そっか…」



夕方前には戻るね……

じゃあそれまで待つか……いくらなんでも1人で置いとくのは心配だしな…



「じゃあそれまで俺も一緒に待つな」

「…どうして?」

「ルーテシア1人で待たせるのは心配だ」

「大丈夫…」

「大丈夫でもいいから待つ」

「…だって丁度来た…」



そう言ってその人物がいるであろう方向を指さす。

丁度来たって……タイミング良すぎ…



その方向にはこれまたフードを被った人物がいた。

ただその人物はかなり大柄な男でフードの上からでも相当鍛えているのがわかる。

さらに雰囲気も重い空気を纏っていて相当な強さを持っていることが感じられる。



「すまない、待たせた…隣の少年は誰だ?」

「ケイ…お昼ご飯食べさせてくれた…」

「そうか…すまん。礼を言う…」



ルーテシアはゼストとかいう人にそう言ってベンチから立ち、その隣に並んでフードの袖を掴む。

相当懐いているんだな。

見た目は怪しいが、怪しくない人物か。



「いや、別に大した事はしてないんで…じゃあなルーテシア」

「うん…じゃあね…」

「では行こうか。ルーテシア…」



そして2人は歩いて行った。



しかしあの2人……フードなんか被ってたけど恥ずかしくないのか?

なんか目立つ気がするぞ…



「じゃあ俺ももう少しブラついて帰るか」



こうして俺もその場を離れさらにクラナガン観光を続けることにしたのだった。



今回は割と平和だったな〜〜このまま続けこの平和。







                                 つづく









      〜おまけ1〜





「いや〜、にしてもさっきの奴結構変わった奴ッスね〜」

「だな〜あたし達機人なのに結構普通に話してきたし」

「つ〜か気付かないでしょ。見た目は同じ人間なんスから」

「まあね〜…でもさ…あいつ走ったときついてくので精一杯だったよな…」

「そういえば…つうか普通の人間じゃ出せない早さだったような…」

「………」

「………

「「まあいっか〜(スか〜)、どうせ魔導士だったとかだろうし」」

「次どこ行く?」

「う〜ん…とりあえず遊びまくるッス!」

「だな〜。よ〜し!次はゲーセン行こう!」

「お〜!」







   〜おまけ2〜







「旦那、用事は済んだのか?」

「いや、まだだ。昼を一緒にと思って戻ったが…すまんがまたどこかで待っていてくれ…」

「まあルーの面倒はアタシに任せなって」

「すまない…アギト、口にソースがついているぞ」

「えっ?あっ!あははは…にしても結構うまかったなあのたこ焼き」

「うん…おいしかった…」

「にしてもルールー、アタシがベンチに座ろうぜって言ったのに座らねえのにあいつが言ったら座るのかよ」

「言ってない…アギトが勝手に言っただけ…」

「まあ、そうだけどよ…でも結果的には座ったし…」

「すまない。俺の目印が悪かった…以後気を付けよう…」

「旦那はルールーに甘いんだよ!普通あそこは座るって!」

「アギトうるさい…」

「うっ……そ、そうだ!アタシにもそのカステラだっけか?くれよ」

「ダメ…ワタシの…」

「え〜いいじゃねえか」

「ダメ…」

「…どうやらさっきの少年と仲良くなったようだな…」

「くっそ〜くれよ!」

「ダメ……ぱくっ…」







〜あとがき〜





はい、ついに登場しました数の子とルーテシア。

アギトもおまけで登場。本編の中でもセリフだけで出ていたりケイのたこ焼きこっそり食べてたりと密かに出ていましたね。

次回はクラナガン観光午後の部です。

今回のおまけは次回の話に繋がってたり……





    〜web拍手返信〜



※血を吸われて嬉しい人がいたら、それは変態という名の紳士しかいないよねケイ君。



>ケイ「変態じゃねえ!それに紳士ですらないだろそれ!」

 すず「でも気持ちいい感じもあったでしょ♪」

 ケイ「どういう原理だよあれ!絶対なんかフェロモンとか出てるって!」

 すず「じゃあもう一度して出てるか確認しよ♪」

 ケイ「ぎゃああああ!!」



※ケイ哀れすぎ、不幸の星の元に生まれたとしか思えん。



>もしかしたら某事務員を超えているかも…(ぇー





※女性達が理不尽過ぎるように感じましたが、特別好かれてるわけでもなく面白かったです。



>実は個別メインの話でフラグを立てる予定が…

 けれどもくっつく話はIFでしかないかと…





※ケイ、今の内に新作マンガをチェック、そしてゲーセンへGOだ



>ケイ「それは死ぬかもしれないから今の内に楽しめと!?」

 ケイ「そうじゃないにしても地球に帰れないしミッドの言葉読めないし!」






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