運命とは――何だろう?
 平凡な生活とは、何だろう?
 平和な日々って、何だろう?
 そんな事が、疑問に思う






























何かに出逢う者たちの物語・外伝
魔法少女リリカルなのは 〜二つの運命と螺旋に出逢う者〜












































「レニアスフェイト」

 艦の薄暗い廊下で、いきなりの事でビクンと反応し、背筋を伸ばす。
 そのまま、ギギギと鳴っている様な感じで、首を後ろに回す。

「また癇癪を起こしたそうだな……しかも、戦闘中に」

 先の戦闘で、癇癪を起こしてしまったレニアスフェイト。
 どんな事があっても、戦闘中の時だけは、癇癪は起こすなと念押しされていた。

「うう……ごめんなさい、ロングイ」

 凹みながら謝罪するレニアスフェイト。
 目が半泣きの状態なので、ある意味愛らしいといえる姿である。

「ふぅ……まあ、次から絶対にするなよ。ただ当分は、絶対に二人行動をとってもらうからな」

 と、すれ違いざまに、レニアスフェイトの頭を軽く撫で、近くの扉――医療室に入っていった。





「――なるほど。この数式を使って、こうすれば……あら? 矛盾発生? おっ、かしいなぁ〜」

 魔導書とモニターを見比べる。
 先ほど入力した数式が、仮想データからエラーコードが現れる。

「ここがこうなって、ああなって――よく出来たな、俺」

 魔導書を見始めてから二日目。
 モニターと魔導書を見比べて、偶然見つけた未完成の術式――サイラ式を弄っていた。
 見つけた時は、理論とつぎはぎの基礎しかなかったが、適当な組み合わせと術式の基礎で組上げ――奇跡的に組みあがっていった。
 今現在、55パーセント完成し、もうひと息という所で矛盾が発生した。
 ここまでやっておいて、適当にやりすぎた? などと考え込んでしまった。
 そこで音が響くと同時にドアが開いた。

「体調はどうだ?」

 部屋に入るなり、起きて魔道本を読んでいた時覇に声を掛ける。

「うん……それより、赤い髪の――」
「彼女なら、まだ寝たままだ」

 言いながら、ベッドの横にある椅子に座る。

「そっか……所で、そろそろ俺を捕まえた理由を教えてくれないか?」

 頬を掻きながら聞く時覇に対し、

「ああ、すまない。すっかり忘れていた」

 ロングイは、頭を掻きながら答える。

「まず理由を説明する前に、ロストロギアについて語ってからの方が判りやすい」

 と、まずロストロギアについて話し始めた。






































ラギュナスサイド編
第六話:ラギュナス







































 時覇が眠らされ、今に至るまでの経由を簡単に説明する。
 時覇が目覚めた時は、眠ってから半日後だった。
 そこで、担当医らしき人物から、大体落ち着いてから話すと言うことだった。
 それから三日たち、艦内・自分自身も落ち着いた。
 シグナムは、一応自分自身で回復はできるが、ある程度ははやてから魔力を供給している為、リンカーコアがなかなか回復できてなかった。
 本来は一日くらいで大体回復は出来るのだが、シグナム――ヴォルケンリッター達は、八神はやてから少しばかり魔力を貰うことで、活動しているからである。
 何故供給が成されていないかというと、時空拡散弾と魔力無効化弾を同時使用したのが原因である。
 今までの簡単な経由説明である。
 一応この三日間までの間に、簡単な説明と管理局とラギュナスの説明を受けている。
 ロストロギアとは――
 多数の次元世界の中で、急速に発展した世界で生み出されたモノ。
 その種類は多彩であり、同時に危険な代物である。
 故に、効果が判らず使用すると、死を招く危険性があった。
 場合によっては、世界が崩壊するモノもあると付け加える。

「と、まあ簡単に説明したら、こんな感じだ。質問は?」
「そのロストロギアと俺は、どう関係あるのだ? 今までの説明からすると、思い当たる節は――」

 そこまで言いかけた途端、いつも身に付けていたグローブを思い出した。

「まさか……これが?」

 と、手にはめたままのグローブを見せる。
 これを見たロングイは、口元を緩める。

「そう、それが俺たち、ラギュナスが探していたモノのロストロギア――ロストナックル、インテリジェントデバイスと言われているらしい」
「……でも、何で俺の所に?」
「それは、誰にも判らない。分かるとするなら、ロストナックルしか分からないかもしれない。まあ、ロスナ自身も分からない場合もあるが」

 苦笑しながら、妙な略し方をしたロングイ。

「ろ、ロスナって……」

 無理やり省略したのに、片側に少し肩が下がる時覇。

「まぁ、当分戦闘は無いはずだから……そうそう、レニアスたちの相手を頼めるか?」
「レニアスたちって?」

 問いを問いで返す。

「ああ、すまない。レニアスっていうのは、『レニアス』と呼ばれるロストロギアから、生まれた者たちの事を言っているのだ。一応全部で15人いるのだが……俺は、まだ10人しか会ってない」

 少し凹むロングイの背中が、少し老けて見えたのは気のせいだろう。

「……アンタ、一応この組織のお偉いさんだろ?」
「…………うん」

 涙目になった。
 時覇は何も言わず、ポンポンと肩を優しく叩いた。
 それから少し経ち、落ち着いてから思い出したように言った。

「ところで、どんな人がいるのだ?」
「まあ、色々だな」

 何故か、視線を泳がせるロングイ。

「ふぅ〜ん。で、レニアスたちをどうしろと?」
「あっ、ああ、面倒を頼みたいのだが?」
「何だかな〜と思うが、いいよ。別に」
「すまないな。特にレニアスフェイトを頼む。アイツ、目を離すとフラフラするからな」

 笑うロングイ。
 それに釣られて、微笑む時覇。

「じゃ、明日から頼む」

 そう言いながら立ち上がるロングイ。

「了解って、明日!」

 ワンテンポ置いて、驚く時覇。

「おう」

 その言葉に、満面の笑みで答えた。

「おう、って……右も左も分からん俺に、どうしろと?」

 両手を肩辺りの高さまで上げて、人差し指で左右に振った。

「それに関しては、お世話役みたいな奴を回すから、安心しろ」
「お願いします」

 頭を下げた――ロングイが。
 何故頭を下げたのか不明。

「何で貴方が下げているのですが!?」

 大阪人顔負けの突っ込みスピード。

「ははは、気にするな。個人的なネタだ。場を和ますための」
「はあ〜、そうですか」

 こめかみ辺りを、人差し指で押さえる。

「ん? 今更だが、何やっているのだ?」

 モニターの存在に気づき、覗き込んでくる。

「いや、適当に術式を作っていたのだけど、ここに来てエラーばかり起きて……」
「どれどれ――おい、これ……」

 ロングイは険しい顔をしながら時覇を見る。

「やっ、やっぱり、知識が無いものが、適当に組んじゃだ――」
「凄いじゃないか! サイラ式をここまで組むなんて!」

 肩をバンバン叩きながら言った。
 おかげで時覇は、目を白黒させた。

「こいつは三代目ラジュナスの長だった奴が使っていた術式で、当時は長以外使いこなせる奴がいなかったそうだ。おかげで、使い手が逝ってからは手付かず状態。気づいた時は、データはボロボロ。かろうじて修復できたのは、理論とつぎはぎの基盤のみ。今まで修復を試みたが、誰もここまでできた奴はいなかった」
「つまり、俺は偶然ここまでできたって事でいのか?」
「いいや、偶然も必然となり、それは実力とも言える。お前、やっぱ才能あるじゃないか?」

 その言葉に言葉が詰まる。
 誰にも認められず、誰にも求められず、日々過ごしていた者にはこの上ない言葉である。
 ロングイは肩を竦める。

「……じゃ、しっかり休めよ」

 肩を軽く叩く。
 力なく頷くだけの時覇。
 ロングイはそのまま部屋を出て行き、ドアは閉まる。

「才能、か……認められたのか、俺は――」

 魔導書を閉じ、ベッドに倒れこむ。
 そして、子供の頃の出来事を思い出しつつも、再び眠りに付くのだった。





 薄暗い部屋の中。
 明かりといえば、ある人物の目の前にあるモニターの明かりのみ。
 あとは、機材に布が被さっており、床にも埃が積もっている。
 あからさまに長年使っていない部屋だと一目で判る。
 唯一の例外は、使っているモニターとモニター周りの機材、座っている椅子と周りの床に埃がほとんど無い程度。
 そして、砂嵐のモニターから機械音の声が聞こえてきた。

『例の計画は?』
「問題は無い。だが、このまま行けば計画に支障が出てくる」

 モニターに、ある人物が言った。

『何故だ? 理由を聞こう』
「言葉道理だ。管理局ならまだしも、騎士が動き出した」
『……の連中か』
「そうだ。管理局に手は回っていても、そっちには無理なはずだ」
『それに関しては、問題ない。既に何人か潜ませておいた』

 ある人物は眉を顰める。

「俺は、前に言ったからな? どうなっても知らんからな」
『計画に支障がなければ、な』

 そこで通信は終わった。

「…………はぁ。本当に……わかっているのかね」

 そこで、機材の電源を切ったのであった。





「ここね。ロングイが言っていた者がいる場所って」

 待機状態のデバイスを操作しながら呟き、氷の様に冷たい雰囲気を出す、青いポニーテールの女性。
 ドアから三歩手前で止まると、周りに浮いていたモニターを消す。
 終わったと同時に、デバイスを胸ポケットに仕舞いながら、ドアの前に立つ。
 そこでドアは開かれる。

「失礼し……何、やっているのですか?」

 ドアより見かけない女性が入ってきて、口元を引き攣らせながら言い放つ。
 その目線の先には――

「どうも」

 昔CM宣伝で、ゲームキャラたちがしていた踊りを、汗を垂らしながら踊っていた。

「いや〜、運動もかねて少し暴走を」

 誤魔化し笑いをしながら弁解する時覇に対し、

「……元気で何よりです」

 僅かに沈んだ感じで答える女性。

「で、アンタがロングイの言っていた……」

 置いてあったタオルで汗を拭きながら尋ねる。

「ええ、レルナス、レニアスレルナス。レルナスでいいわ」

 完全に突き放した様な言い方で帰ってくる。

「レルナス、か……レルナでいいか?」

 タオルを置く、身なりを整えて聞き返す。

「別に構わないけど」

 淡々と答えるレルナス。

「じゃあ、着替えるから」

 ベッドから降りて、服を取り出す。
 そして、服を脱ごうとした時に手を止めた。
 振り向くと、レニアスレルナスが見ている。

「あの、出てってもらえませんか?」
「わかった」

 すんなり出て行くレルナス。
 その行動に、何か釈然としない蟠りを感じつつも、着替えに専念した。
 で、三分後。

「お待たせしました」

 着替え終わって、医務室から出てくる時覇。

「遅い」
「いや、カップラーメンが出来る時間程度だと思ったので――」
「それでも遅い」

 言葉に上乗せするように口を尖らす勢いで答える。

「…………案内お願いします」

 ラチが開かないと判断し、本題を切り出した。

「こちらです」

 すぐに背を向け、歩き出す。
 レルナスとはぐれない様に、後を付いて行った。





「ここが食堂です」

 感想――転校してきた気分です。
 何か、特別な施設を見せてくれるかと思いきや、やはり部外者。
 今の所、特別・特殊施設区域には入れてもらえず、一般的な部分しか見せてもらっていないからである。

「何か?」

 不思議そうな目で見てきた。

「いや、何でもないです。何でも」
「そう、ならいいわ」

 また背を向け、別の場所へ向うレルナスの後を慌てて追う。
 そして、いくつもの扉やすれ違ったメンバーに会釈をしながら、少し違った扉の前まで来た。

「ここは?」
「開発室よ」

 そう言いながら、扉の横にあるパネルを押す。

「開けろ」

 有無言わさずのお言葉。

『たく……誰だ? って、レニアスレルナスか。開いているぞ』

 声からして、成人女性くらいの声が聞こえてきた。

「そうか……失礼する」
「失礼します」

 普通のドアより横幅が苦い近く会ったので、二人並んで開発室に入れた。

「来たか」

 そこには、ロングイと、橙色のシュートヘアに白衣を着た女性がいた。

「桐嶋を連行してきた」
「案内でしょうが」

 レルナスの天然ボケに、即突っ込みで看破する白衣の女性。

「時覇、艦内の様子は大体わかったか?」
「ええ、お陰で転校生の気分を味わえました」

 苦笑するロングイと時覇。

「なぁ、ちょっとええか?」
「はい、何ですが?」

 後ろから来た問いに、返事をしながら振り返ると、白衣の女性がいた。

「アタシはティシェルナ。三番目のレニアスだから、宜しく」
「はい、桐嶋時覇といいます。時覇でいいので」

 互いに言い合い、ティシェルナから握手を求め、しあう。

「時に時覇」
「はい?」

 時覇は、一瞬駄洒落かと思ったが、ロングイの目は真剣なので、どうやら違うらしい。

「俺たちの仲間にならないか?」





「俺たちの仲間に、か」

 そう呟く時覇。
 先ほどロングイのいきなりの誘いに戸惑う結果となった。
 少し時間をくれと言い残して退室。そして、ちょうど昼時との事なので、食堂に足を運んできたのだ。
 それから20分間、料理を口に入れては2分くらい止まる。また口に放り込んでは2分くらい止まる。それの繰り返しだった。
 その繰り返しの合間に、レルナスが声を掛けている。

「……は、・きは、桐嶋時覇」
「あ、ああ、何ですか?」

 向かいの席にいるレルナスが、また声を掛けられた(通算11回目)――が、中々反応しなかったので少し不機嫌だった。

「どうした、食べないのか?」
「いや、食べるけどさ……少し考えていただけだから」

 そうか。という仕草をし、再び食べ始めた。
 どうやら、開発室の時の問いを考えていたために、食事の手がまた止まっていた様だ。
 それから、また再び食べるが次第に遅くなり、また止まる。それの繰り返しだった。

(ロングイ、聞こえるか?)
(な、何だ、レルナス? お前から念話してくるなんて)
(時覇の様子を改善したい。いい案を希望する)
(いや、いきなり言われても……)

 髪の毛を掻き揚げながら、

(さっきから食事の手が止まっている。これでは、体調にも響く)
(わかったよ……所でレルナス)

 その声の質に、少し戦慄が走る。

(なんだ?)
(時覇にホの字?)
「消えろ!」

 バンッとテーブルを両手で叩く。
 その衝撃で、少しだけテーブルの上に置いてあった全ての物が、僅かに飛び跳ねる。
 ついでに前に居る時覇や、周りの者たちの顔が向いた。

「あ、あの、レルナ、さん? 何か、気に入らないことでも……」
「へ?」

 我に返り、ふと僅かに零れた料理と周りの視線に気が付く。

「あ、いや……すまない。先ほどまで念話をしていた」

 追加で勢い余って、立ち上がっていた事に気が付き、身なりを整えなおしながら座りなおす。
 そしてレルナスは気を取り直し、再び料理を口の中に放り込むのであった。
 それ故、周りの連中のヒソヒソ話が、いつもより長いことには気がつくことはなかった。





 それから、子供のときから教わっている食器の片付けタイム。
 食堂のおばちゃん――通称おばやんに、心配そうに声を掛けられた。が、理由を説明したら納得してもらえた。

「もし困ったことがあったら、いつでも声を掛けてぇな」

 などと、優しい声で答えてくれた。
 正直嬉しかった。
 迷っている訳ではない。ただ人生の最大の分岐点にいることだけは、間違いないからだ。
 この選択肢を選ぶことで、これからの人生に後悔する。
 それだけは避けたいからだ。
 今までの世界――朝起きて学校へ行って、帰り際にバイトして寝る。これが平日の過ごし方。
 土日と休みは、一日バイトか、無駄な時間を過ごしている。
 家族関係は、ハッキリ言って冷めている。俺を除いては。
 俺がいない時は、家族で出かけたり、外食を食べたりと円満の限りを作っている。
 だが、俺がいる時は『暗い』の一言だ。
 例えるなら、健康的に体の中に突然悪性のガン細胞があると通告された様な、そんな感じだと思う。
 ……己の表現力の無さに絶望するが、今は関係が無い。
 とにかく、考えは纏まっている。
 だが、踏む切りがつかない。ただ、それだけなのだ。





 食器を片付け終え、レルナスに黙って廊下に出てさ迷っていた。
 そして、腰掛が出来るほど幅かある窓枠の端に腰を下ろし、背を預ける。
 窓と対となる場所には休憩室が設けられているが、あえて窓枠に座る。

「根性無しだな、俺」

 そうはき捨てるように呟いた。
 それから、時空空間の眺めている時、足音が聞こえてきた。
 その足音はどんどん大きくなり、後ろ辺りで止まった。
 その人物がレニアスレルナスだと、何と無くわかった。

「探しました」

 素っ気無い言葉。
 決まり文句と言えば、そこまでの言葉である。

「……何を考えているのですか?」

 これも素っ気無い言葉。だが、少し心配そうな声だった。

「……自分自身の弱さに、呆れていただけ」

 ゴツンと、窓に額をぶつける。

「元の生活に戻っても何も変わらないと判っているのに、それにすがり続ける自分がいる。それが……、何でも無い、忘れてください」

 妙な言葉使いではあるが、何かあることくらい先の言葉と雰囲気でわかる。

「……すがりたくなる事くらい、私にもわかる」

 レルナスは時覇の横に座る。

「私が、ロストロギア……レニアスから生まれた事は、聞いたばかりだったですね」
 苦笑し合う二人。

「そして、複製から生まれたレニアスはその複製の元になった人物の記憶までも、そのままコピーしてしまう。故に、自分自身が始めのうちは本物だと誤認してしまう。場合によっては、レニアスが本物を消す場合があるのです。恐怖本能、と答えるべきでしょうか。比較され、否定されるのが」

 体を丸めるレニアスレルナス。
 それと同時に時覇は立ち上がり、自動販売機の所まで歩き出した。

「レルナさん、何か飲みます?」

 と、言いながらコインを入れ、ボタンを押す。

「……アナタのオススメ」

 ガコンッと、薄暗い廊下に響き渡る。

「了解。それじゃ」

 ジュースを取り出して、再びコインを投入。
 ボタンを押す。
 ガコンッと、薄暗い廊下に、再び響き渡る。
 取り出し、レスナスに放り投げる。

「おっと」

 驚きながら受け取り、爪に指を掛けたまま缶の蓋を眺める。
 時覇の方は、缶を振りながら戻り再び窓枠に腰を下ろし、カシャと音を上げながら、そのまま一口。
 その音に反応し、レスナスも蓋を開け一口――全身にカミナリが落ちた。
 なんとも甘く、なんとも苦く、なんとも酸っぱく、なんとも言えないこの苦味。
 しかし、一糸乱れぬバランスの均衡が存在するのか、なんとも言えない味が口の中に広がる。
 全身の細胞が強制的に活性化され、額からは汗が流れる。
 さらに、感覚がどんどん研ぎ澄まされ、味覚の感度を上げていく。
 その結果――

「ぶぅふぅっ!」

 面白いくらい噴出してくれた。
 渡した缶は『100%黒酢和えのギュグナ』という表現不可能な味かつ、新暦初の黒歴史の一品と豪語されているジュースである。
 出た当初は、面白半分と興味で買っていったアースラのメンバー全員が飲み――撃沈したという曰く付きのシロモノとだけ答えておく。
 ちなみに買ってきたのは、鉄槌の騎士。

「――――――!」

 声にならない声を上げ床に塞ぎ込む際、缶の音が廊下に鳴り響く。
 実にいい音である。
 咳き込みつつも睨み付けながら、中身の入ったままの缶を専用ゴミ箱に突っ込むと、勢い良く襲い掛かってきた。
 時覇も中身の入った缶を窓枠に置いて、ダッシュで逃げ出した。

「とぉぉぉぉぉきぃぃぃぃぃぃはぁぁぁぁぁぁぁ!」

 奈落の底から這い上がる様な声を上げながら追う、レニアスレルナス。
 振り返る事無く、必死で逃げる時覇。
 先ほどの憂鬱な気分や、暗い空気はどこへ行ったのやら。
 今はただ逃げる者を追いかけ、追う者から逃げる。
 ただそれだけ。
 それから考えればいい。
 そう思っていた。
 だが、そんな想いとは裏腹に、戦いは始まろうとしていた。
 長い、長い旅路という名の戦いが。
 だが、その旅路の果ての結末に、光も希望も無い。
 ただの深い闇と絶望の二つしかないのだから。












































ラギュナスサイド編
第六話:ラギュナス・END























































リョウさんもとい――リョウスケ&○○○○に感想を言ってもらいましょう!


※今回は『ルーテシア&フリード』で、お願いします。



主人公「何でルーテシアにフリードなんだ? 意味が分からん」

ルーテシア「ガリューの方がいい」

フリード『……』

主人公「落ち込んでる!? ほら、励ましてやれ」

ルーテシア「……焼けば美味しいかも」

フリード『……!?』

主人公「逃げたじゃねえか!? どういう褒め方なんだよ!」

ルーテシア「二人で遊ぼう」

主人公「わー、この人自分の事しか考えてませんよ!?」







あとがき
 相変わらず無計画というべきでしょうか。
 今回ついにラギュナスサイドの製作を……していたりしてなかったり。(汗
 色々追加修正を加え、ボリュームアップ!
 こちらも13話目で最終回。そして、次章へ!
 こっちはストライカーズを交える予定。
 っと、言っても、既に世界観が変わっているので、オリジナル設定で行きます。
 口調、性格、目的、目標は変えませんが……。
 とにかく色々起こります。
 なを、この話の最後の一文通り、深い闇と絶望しかありません。
 確実に原作・オリジナル関係なく、メイン及びサブキャラクターから死人は出ます。
 これは本当です。
 ですので、注意文を記載しないと。
 今後読むときは、お気をつけてください。
 では、次の話でお会いしましょう。






今回の没ネタ

「それに関しては、お世話役みたいな奴を回すから、安心しろ」
「お願いします」
 頭を下げた――ロングイが。
 何故頭を下げたのか不明。
「何で貴方が下げているのですが!?」
 大阪人顔負けの突っ込みスピード。
「ただの話を伸ばすためのネタ」
「生々しいから辞めよう!」
 ホントである。
『書いているお前が言うな!』
 ごもっとも。






制作開始:2006/10/29〜2007/1/7
改正日:2007/3/29〜2007/4/1

打ち込み日:2007/4/1
公開日:2007/4/1

修正日:2007/9/27




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