[機動六課・医務室]

    Side ケイスケ




 「……はい、これでよしっと」

 「ありがとうございました、シャマル先生」

 「いいのよ、別に。それにしても運が悪かったわね」

 「本当ですよ」


次元の裂け目から飛び出てきた自転車(二人乗り)に轢かれた俺は、医務室に来たのだが、金髪のセミロングで温厚な美人――シャマル先生によると軽い打撲らしい。

有り得ねぇ……。

自転車とはいえ、結構なスピードが出てたし二人乗りだったんだぞ?

はっ!?もしかしてこれがギャグ補正ってやつzy……



        <世界の修正力を受けました> 




………コホン。

何だか理不尽を感じたが、この事は気にしないでおこう、うん。


 「それで、自転車に乗ってた二人はどうなったの?」

 「たしか……」


今は確か、取調だったはずだな……。




  [機動六課・取調室前廊下]

    Side ケイ




訳が分からない、まったくもって。

熊に追われて崖に落ちたと思ったら訳が分からんとこに来て、しかも……。


 「…………」


白い髪、女顔の男にメチャクチャ殺気ぶつけられるしで訳が分かんねぇ!?

大体、何でケイオスは殺気をぶつけられて平気そうな面をしてんだよ!


 「あの〜……、俺達はどうなるんですか……?」

 「いいからとっととついてこい」」


俺が訊ねてみるが白髪の男は教えてくれない。

自転車で男の人を轢いた俺達は白髪の男によって、目の前にあった建物に連行された。

どうなるんだろう、俺達……。


 「秋人さ〜〜ん!」


ん?金髪のえらい美人がこちらに小走りで来ながら……。


 「キャッ!?」


転けた。

そりゃあもう盛大に。


 「「「…………」」」

 「痛たた……」


………今、何も無いところで転けたよな、あの人……。


 「こ、この二人が例の?」

 「あ、ああ…」


あ、誤魔化した。 

秋人と呼ばれた白髪の男も顔がちょっと引きつってるし。


 「コホン、それじゃあ事情を聞きたいからそっちの君から入ってね」


確かに、いつまでもここにいても意味ないな。

そういうわけで俺は廊下に留まり、ケイオスは金髪の女性の言葉に従い、部屋の中へと入っていった。




  [機動六課・取調室]

    side ケイオス




 「改めて自己紹介するね。
私は時空管理局執務官のフェイト・T・ハラオウンです、よろしく」


初っぱなからインパクトのデカイ出会いをした女性はどうやら時空管理局所属の執務官だったらしい。

ん? 前に聞いたことある名前だな……、いつだっけ?


 「君はケイオス・ルーヴェンセインさんであってるかな?」

 「調べたんですか」

 「うん、悪いとは思ったんだけどね、ルーヴェンセイン元二等陸曹」


そこまで調べたのか。

まあ、得体の知れないやつらが局員を轢いたんだから調べるのは当然だろうね。

 「ところで、これって時空漂流者になるんですか?」

 「う〜ん、君はともかく、もう一人の子はそうなるかな」


時空漂流者とは、希に出来る時空の歪みに迷いこみ、元の時空に帰れなくなってしまった人のことだ。

しかしまさか稀にできる時空の穴に飲み込まれるとはね……。

俺の運が悪いのか、それともケイの運が悪いのか。

判断しずらいなぁ。


 「それで、どこの世界から来たのか教えてくれないかな?」

 「第97管理外世界、地球の日本から来ました」

 「え!?」


出身世界を言ったら、何でかは知らないが驚かれた。

 「? どうかしましたか?」

 「まさか私と同じ世界の人とは思わなかったから」

 「という事は貴女も?」

 「うん、地球の日本からなんだ」


凄い偶然もあるもんだ、まさか同じ世界から来たとか。


 「じゃあどうしてミッドチルダに来たの?」

 「実はですね……」

 「実は……?」

 「熊に追われ崖から落ち、時空の穴に飲み込まれました」

 「………………え?」

 「どう思います、これ?」

 「え、えっと、どう思いますって言われても……」


どう思うか聞いたら困った顔された。

なんで?


 「あ〜……、とりあえず色々手続きとかがあるから地球に戻るのは2、3週間後になるけどいい?」

 「別にいいですけど、学校の方はそちらで何とかしてくださいよ?」

 「うん、わかった。
それじゃあルーヴェンセインさんの事情聴取は終わり、悪いけどもう一人の子を呼んできてくれないかな? 一応事情聴取しとくから」

 「はい、わかりました」

ケイを呼ぶために、俺は取調室から出ていった。




  [機動六課・取調室前廊下]

    Side 秋人



ケイスケを轢いた餓鬼らをはやての指示どうりに取調室へと連行、それと同時にフェイトへ連絡した。

しかし、今俺の隣にいるやつはともかく、今取り調べを受けているやつは何者だ? 

俺はふたりを試す為に殺気をぶつけてみたのだが、隣のやつは普通に反応し、取り調べを受けているやつは受け流していた。

それにより最低限の強さがわかった。

……まあいい、それでも俺は負けないがな。

そんなことを考えていると取り調べをしていたやつが出てきた。


 「ケイ〜、次はケイの番だって」

 「わかった、ケイオス」


隣のやつ――ケイに、取り調べが終わって出てきたやつ――ケイオスが声を掛けた。

ケイと呼ばれたやつは取調室に入っていき、この場に俺とケイオスだけとなった。


 「「……………」」

沈黙。

互いに話すことなどなく、廊下は再び静かになる。


 「………あの」


そんなとき、ふと、ケイオスが声をかけてきた。


 「……何だ?」

 「もしかして相沢秋人さんでしょうか?」

 「今は八神秋人だ……、だが、なぜ俺の旧姓を知っている?」


なぜ今日会ったばっかりのやつが俺の旧姓を知っている?


 「そう構えないで下さいよ、ただ親代わりの人達にあなたたちのこと聞いてただけなんですから、秋ちー」


………秋ちー?


 「色々聞きたい事があるがまずは一つ、秋ちーってなんだ」

 「秋人さんのニックネームですよ、秋人だから秋ちーです」

 「何なんだ、それは!?」

 「どうせ少し長い付き合いになりそうなんですからね、親しみを持つためにです」

 「ぐっ……」

 「いいじゃないですか」

 「ああ、もう!好きに呼べ!」

 「分かりました、秋ちー。
あ、俺の事はケイオス・ルーヴェンセインだからケイオスと呼んでください」

 「わかったよ、ったく話が逸れた……」

 「まったくです」

 「お前のせいだろうが!」

 「?」

 「そこで不思議そうな顔!?」




               <不毛な言い合いが続きました>                       




 「……で、誰なんだ? ケイオスの親代わりってやつは?」


まったく、ここまでこぎ着けるまで大分掛かった……。


 「ギル・グレアムさんですよ」

 「……あいつか」


十年前の闇の書事件にて、はやてを殺そうとしていた俺の抹殺したい人物の一人だ。


 「グレアムさんは両親が死んだ俺を引き取ってくれた恩人ですからね」

 「ふん、また偽善に決まっている」

 「それでも、その偽善に俺は救われましからね」

 「……そうか」


……たしかにこいつにとってはグレアムは大切な人なんだろうな……。


 「そういえば……」

 「ん、どうした?」

 「神楽坂銀丸さんって方はお元気ですか?」

 「銀丸……」


もしかして、とは思ってはいたがやっぱり銀丸の事をグレアムから聞いていたか……。


 「グレアムさんが十年前の闇の書事件の時に、世話になった人だって言ってましたから一目会いたかったのですが……」

 「それは無理だ」

 「どうしてですか?」


そう、もう会う事は叶わない。

何故なら……。


 「銀丸はもう、この世には居ないからだ」


 「……そうでしたか、いつ頃お亡くなりになったんですか?」

 「いまから七年ぐらい前だな」


あれからもう七年も経つのか……。


 「七年前に何があったんですか?」

 「色々あったんだよ……」


神楽坂銀丸。

闇の書に封印されていた古代ベルカの決戦魔導兵器の一つ。

人の形をし、銀色の髪と緋と翠のオッドアイが特徴で、インテリジェントデバイスのAIを超えるAIを持つためか、感情すらあるという特殊な兵器であり、 特に近距離においては比類なき強さを誇るやつだった。

ったく………。

……そろそろ取り調べも終わっただろう。


 「…………はぁ」

 「ごめんね、大分待った?」


そして予想通り、ケイとか言うやつとフェイトが取調室から出てきた。




  [機動六課・部隊長室前]

    side ケイ




…………はぁ。

ここはミッドチルダっていう別世界?

しかも魔法が一般に出回っている?

んなアホな………と言いたいところだが、バインドとかいう実物を見せられたなら納得するしかないじゃねぇか……。

それで、ここは時空管理局とかいう様々な時空を管理する組織の一課とか。

訳わかんねぇ、要は警察と軍を合わせたようなやつだろう?

しかもケイオスのやつは、一時期管理局で働いた事があるとかことがあるとか言いやがるし(これはケイオス自身が話した)。

ケイオスは、五歳から八歳のころまで働いてたらしいが……、雇用年齢低すぎだろ!

本当、訳わかんねぇ。

それはともかく、今からここの責任者に会うらしい。

どんなやつなんだろ?

厳ついオッチャンか?


 「はやて、二人を連れて来たよ」

 「どうぞー」


フェイトさんがノックをして声を掛けたら、若い女性の声が返事を返した。

え?


 「「「「「失礼します(する)」」」」

 「いらっしゃい」


中で待っていたのはいかにもな机に座っている栗毛のショートの女性と、ここに着いたとき轢いたがたいのいい男、それとこの場には場違いなボン太くんがいた。

なんでボン太くんやねん!!







あとがき

火矢威です。

皆さん、初めまして&お久し振りです。 
中々進まないせいか第一話から随分と日にちがたってしまいました(汗)

さて、本編の方なのですが、リリカルなのは(無印)の頃から変わっています。

どう変わったかは3、5話ぐらいに書く予定でして、そこで詳しく紹介されるオリジナルキャラクター「神楽坂銀丸」が死してなお、この物語の鍵を握るキャラクターです。

まあ、3、5話に行きつくまでどれくらい日にちが要るのかは分かりませんが(汗)







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