魔法少女リリカルなのは Crossing of the Fate
EXTRA Stage05「ネフェルファイト」

side―Emiya Shirou

「士郎・・・あたしもデートしたいー」
「却下」

いつもある光景。
俺は今度フェイトと会ったときに渡すためのアクセサリーを作っている。
すでにフェイトの魔力パターンは解析しているので、あとは形をつくるだけだ。
ちなみになのはの指輪を欲しがっていたから、似たような感じの『指輪』になる予定だ。
そのことを我が使い魔に話したら





「えっと・・・うん。頑張ってね」





と言われた。どういう意味なのだろうか?
ちなみにネフェルに聞いたら、ネックレスがいいとのことなので、それにしている。

「フェイトのためだし。どの道二番目はあたしのものだね」

とのことらしい。俺にはよく分からない姉妹間での絆があるらしい。
そんな大事な時に我が使い魔が駄々を捏ねるので、俺がそれを却下するだけのことだ。
ちなみに、我が使い魔は俺に抱きついている。
しかもわざわざ上半身を強く押し付けるようにしている。
すでに一度抗議したのだが。

「ん? 本当に嫌なら止めるよ?」

と答えは解りきっていると言わんばかりの笑顔を見せられて何も言えなくなった。
・・・・・・決して、胸の感触にドギマギしているわけではない。
・・・・・・ほ、ホントだよ?
閑話休題。
だが、今日はいつもと違って、ネフェルが諦めなかった。

「なのはちゃんとデートしたんだし、あたしにもしてよー」
「あのな・・・一応、俺見た目小学生。君は見た目大学生。この二人がデートしたら、下手しなくても犯罪です」
「むー・・・なのはちゃんとキスしたくせに」
「あれもされたんだ!」

・・・なのはからのキス要求があったのは皆知っているだろうが、あの話には続きがある。
結局、恭也さん(どうも士郎さんと美由希さんと戦闘していたようでボロボロだった)が乱入してきたので、雰囲気的に流れた。
少なくとも俺はそう思ったのだ。
だが、なのはが結局強引に飛び込んできて・・・そのまま俺たちはキスをしたのだ。
唇だけではなく、歯がぶつかったため血も出たが、キスには違いないのだろう。
・・・俺こっち来てから、奪われてばっかりだよね?
使い魔といい、その妹といい、なのはといい。
元の世界では経験豊富なんだぞ!(問題発言)
・・・言うまでもないかもしれないけど、恭也さんとの訓練がいつもの2倍(割ではない)増しになっていたりする。
ちなみに現在も継続中だ。
そんな感じの近況報告でした。
とにかく、外見と中身があべこべな俺たち。
簡単に言えば、俺はどこぞの少年探偵と同じでネフェルはその反対なのだ。

「? じゃ、アリシアの体だったらしてくれたの?」
「考えたかもな」
「本来の姿で士郎の本当の体か・・・もっとまずい絵になりそうだね」
「おま、そんなことをかんがえていたのか!?」
「まぁ、みんなから認識が変わるだけだよ。ロリコンの上位であるぺ・・・・・・」
「言うな!」

普通に禁止ワードを言おうとするんじゃない。
冷静に考えて・・・そんな光景になるわけがないんだがな。

「ん? それが望みなら幻術で周りの人にはそう見せればいいんだし」
「やめてくれない? 今後デートすることになってもそれだけはやめてよね?」
「ん。わかった」

・・・本当に分かったのだろうか?
なんか、反応みたさにやるんじゃないかと真剣に背筋が寒くなる。

「・・・というか、フェイトがいるのにアリシアに簡単になるわけにはいかないよ?」
「なんでさ?」
「フェイトはフェイトなの。フェイトはフェイト自身の魅力を使って、なんとかしないとね。あたしが変に色々やって引っ掻き回したくないの」

姉としてフェイトを見守ろうということだろう。
こいつがそういうスタンスを取ろうというのなら俺は否定しない。
放っておくのもいけないが、過保護もいけないということだろう。
・・・・・・後にこいつの過保護の線引きが非常に曖昧だということに気付くのだが、今は気付かなかったので置いておく。

「というわけでデートしようよー」
「・・・・・・」

どうしよう。
今日のこいつは絶対に退かないだろう。
なんというか、目の輝きが違う。

「わか・・・」
「士郎くん? 誰かいるの?」

と、美由希さんが俺の部屋に入ってきた。

「どうしたんですか?」
「おかしいなぁ。確かに人の・・・んー?」
「な、なんですか?」
「・・・・・・」

ネフェルを凝視する美由希さん。
え? なに?
先程まで人型形態でじゃれていたとはいえ、山猫形態に戻っているのだ。なんの不備もないはず。

「うん。ごめん。気のせいだったみたい」
「そ、そうですか」
「そうそう」

と言って、出ていった
・・・こちらの世界に来て何度も思い、驚愕している。
やはり、御神の剣士は恐ろしい。

「・・・本当に魔法使ってないんだよね?」
「・・・それはそっちが一番分かってるだろ?」

あははー。と二人して笑う。
タブーなのは分かっている。
だが、認めたくは無いが、認めなくてはならない。
ここ高町家の住人は基本的に全員おかしいのです。
ネフェルが人間形態に変化し、満面の笑みを浮かべ。

「で、さっき認めたよね!?」
「いいけど・・・条件がある」
「条件?」

ネフェルが小首を傾げ、俺は告げた。





「明日、模擬戦しよう。おまえが勝ったらデートしよう」





というわけで、朝になった。
なのはたちは別の場所で訓練をしてもらうことにした。
なのはが残念そうだったが、見せるわけにいかない。
何しろ、1週間後にネフェルと戦闘してもらうのに、余分な情報を与えるわけにはいかないのだから。
能力が未知の相手との戦闘の対処方法を教えたいので、ネフェルの戦闘方法を見せるわけにはいかないのだ。
そして、何よりも俺もネフェルの能力をほとんど知らない。
知っているのは精々幻術が使えることと雷系の魔法が使える程度だ。
どの程度の戦闘能力を有しているのか俺にはわからない。
そのテストも兼ねて俺はネフェルと模擬戦をすることになった。

「じゃ、確認。今から士郎との模擬戦で勝敗は相手の急所へ寸止めすることでいいかな?」
「そうだ」
「で、あたしが勝ったら士郎とデート!」
「ああ」

非常に嬉しそうにネフェルが言っている。
だが、俺もそう簡単に負けるわけにはいかない。
資質の時点では勝ち目がないが、俺も鍛え上げた経験があるのだ。
そう簡単には遅れを取らないだろう。

「じゃ、いくね」
「うむ」
「そうそう」

そう言って、無邪気な笑みを消し




「本気で来てね。マイマスター」




言った瞬間にネフェルの姿が消えた。
頭上に感じる殺気。
その先を咄嗟に投影した莫耶で受け止める。

「あれ? 隙を突いたと思ったんだけどな」
「はは・・・そう簡単に喰らうか」

言葉でそう返すが、背中に冷や汗が流れる。
全然気付かなかった。
これが幻術の力か。
感心ばかりはしてられない。
俺はすぐに強化を使い身体強化。その後空中に浮いたままのネフェルに蹴りを繰り出す。
少し体を離したが、そこは俺が誘導した場所。
下半身を使い、充分な威力な斬撃を放つ。
それを着地し、足払いを繰り出そうとするネフェル。

(よし)

内心、思う。
思ってしまった。
俺はそれを予想していたため、相手の足払いを透かした。
そのままカウンター。
それで終了・・・・・・・・・のはずだった。




それさえも幻術だった。




「な!?」

何時魔法を使ったのか?
それさえも分からなかった。
動揺は焦りを呼び、思考が一瞬だが止まる。
その隙を見逃すほど、我が使い魔は甘くない。

「サンダーブレイド!」

広範囲の攻撃魔法をすでに用意していた。
降り注ぐ数多の雷の剣。
それを時に回避し、時に斬り払っていく。
その威力により土煙が巻き起こり




俺はそれをチャンスとみた。




「・・・これならどうかな」
「残念だがまだ続くぞ」

黒鍵をすでに投影し、俺はそれを投げる。
ネフェルの視界からでは、煙の中からいきなり飛んできたようにみえたはずだ。
弾数は5。
最初の3本を避けるも、まだ2本ある。
避けきれないのか、2本は障壁で受けた。
だが、それには手甲作用がかかっており、衝撃にネフェルの表情が歪む。
直後、投影。更に2本投擲し、ネフェルの傍の地面に突き刺した。

「火葬式典!」

炎が包まれる。
これは回避できないだろう。
だが、その予想さえも使い魔は崩す。

「ひゃぁぁー・・・あっぶな」
「・・・今度はどんな手品を使った?」
「決闘前に緊急回避用魔法仕込んで置いたのになぁ・・・」

油断も隙も無い。
前方に居たはずのネフェルが左後方に瞬間移動していたのだ。
我が使い魔ながら、感心する。
だが、視覚に干渉する幻術はやはり厄介だ。

「幻術を何時の間にそんなに使いこなせるようになった?」
「士郎が学校に行ってる間に毎日訓練してたよ」
「・・・訓練だけでそんなに強くなったのか?」

ここにも天才がいたのか?




「うーん・・・毎日、士郎パパや恭也さん相手に幻術使ってたよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」




それは・・・どんな実戦でも得難い経験だな。と思う。
昨日の美由希さんを見てたら分かるけど、あの2人を相手に騙そうと思うと並大抵ではないだろう。

「いやー・・・感づかれて、時々針が飛んできたり、斬られかけたりしたんだよね」

・・・もうこいつのことは高町家のみなさんに伝えたほうがいいのではないだろうか?
なんか俺が知らない間に使い魔が死んでいたなんていう悲惨な結末になりかねない。

「あとは、この前知り合った寮の管理人さんのところで幻術訓練」
「・・・・・・俺も大概無茶するけど、それに匹敵するな」

恐ろしいことを・・・
つい先日知り合った寮の管理人さんとはさざなみ寮の管理人さんだ。
スーパーで会った瞬間、俺とあの人の腕がクロスしたのは言うまでも無い。
そして、言うだけ言ってネフェルが

「しょうがない・・・不意討ち失敗しちゃったし、本気でやるね」

そう言って、自身のデバイス(アクセサリー形態)を取り出した。
前に見た時はただの杖みたいだが・・・

「むぅ・・・胸元から出したのにそれに対する反応がないよ」
「うるさいな!? なんとなく意識の外に出してたんだから、そのことは伝えるなよ!?」

この逆セクハラ猫め。
折角媒体が文章だから伝わらないというのに、ばらしおってからに・・・

「シフト・ランス」

そう言った瞬間、杖に変形した。
そこから前回見た形態とは違い、先が二つに割れ、そこから魔力の切っ先が現れた。
しかも帯電している。
間違いなく雷属性の槍だ。

「・・・・・・っておい?」

何故か刀身だけではなく・・・デバイス全体にまで伝導しているんだが?

「デバイスがなくても魔法が使えるのは知ってるよね」

それは知っている。
最近のなのはの魔法訓練にしたって、デバイスなしで行うことにより精度のアップなどを実現している。
本来の使い魔ならばデバイスはなくても問題ない。





だが、ネフェルは正規な形の使い魔ではない。





所謂、人と使い魔の中間的存在なのである。(加えて、ロストロギアのエネルギーを取り込んでいる)
人としての能力まで持っているので、ネフェルにデバイスは有効である。
まぁ、ともかく。デバイスとは術者にとってブースターの役割も担っているのだ。

「そのデバイス専用の魔法とかも使えるようになる。所謂幅が広がるの。デバイスを持つと」
「こんなところで魔法講義か?」
「つまり・・・さっきよりも速く、正確に。そして強い魔法が放てる」
「・・・・・・」
「このデバイスは別の形式のも混じった最新版であり試作品なんだ。それと魔法は非殺傷だから安心してね」

そう言って、ランスの刀身が伸びた。
帯電している以上、迂闊に受け止めることはできない。
プレシアとの戦闘で、電撃による痺れの厄介さは再認識しているのである。
そのまま体ごと避ける。

「あまい!」

ネフェルが叫ぶと刀身が曲がり、俺に更なる追撃が迫る。

「・・・!?」

驚愕しながらも回避するべく、体を捻る。
だが、掠る。

「ぎ・・・!?」

痺れが奔る。
それを体に活を入れ、気にしないようにする。
だが、確かに俺の動きが鈍る。
そのままネフェルが突っ込んでくる。

(少しは・・・遠慮しろ!)

内心使い魔に悪態を付き、干将・莫耶を振るい、ネフェルの接近を許さない。
バックステップ後、ランスを一回転させ、その勢いのまま振るう。
そのまま身体ごと回転させ、逆らわずにもう一撃。
動きに淀みがなかった。
俺は黒鍵を投擲し、防御後の隙を狙おうとするが、デバイスを持った後のネフェルは流れるような動きで回避する。

(速度ならフェイト、力ならアルフの方が上だ。が、技量ならコイツだな)

恐らくプレシアの足りないものを補うように作られたのが、リニスだったのだろう。
大威力且つ広範囲魔法を精密に扱えるプレシア。
それを守護する形のリニス。そして、それをもとに再構成されたのがネフェルなのだ。
攻撃能力ではなく防御能力と回避能力が優れているのは予想できたことなのだ。
それも、技術型の速度重視の魔法なのだろう。
恐らくこれは使い魔全般に言えるのだろう。
主が攻撃に専念するために、守護者が守る。
当然の帰結なのだから。
それでもアルフやネフェル(アルフの場合は性格も)が攻撃の能力も持っているのは、間違いなく主の影響だろう。

(良かったな、フェイト。やっぱりおまえはプレシアの娘だよ)

場違いにそう思う。
そして、それを思うと何故か俺も笑顔ができてしまった。
ネフェルが怪訝な表情を浮かべるが、俺は笑みを消しネフェルを睨みつける。

「さて、自分の使い魔にそう簡単にやられるか!」
「ふふーんだ。勝ってデートするんだから!」

こうして、傍迷惑な主従の私闘は佳境を迎えるのである。





撃ち合い、鍔迫り合い、フェイント・・・
ありとあらゆる攻防を行い、最後に立っていたのは俺だった。
ネフェルは片膝をつき、俺を見ていた。

「俺の・・・勝ちだな」
「うーん・・・」

お気楽にネフェルは見える。
だが、勝機はない。
ほぼ魔力が空のはずなのだから。

「いやー・・・経験値ってバカにできないね」
「スペック的には俺はそんなに強くないよ。シミュレーションだったら、大体のヤツに負けるはずだし」

絶対の事実。
俺はどの距離でも闘えるが、それでもそれはただ戦えるだけに過ぎない。
相手の得意分野で攻められた場合、俺は負ける。
それはクロノたちとの戦いで再認識している。
例外(宝具やハイパーモード含む)があっても、使えなければ何の意味も無いのだから。

「うん。強かったよ」
「そうか。負けを認め・・・」





「あたしの勝ちだね」





その意味を問い質そうとした瞬間





バチィッ!!





音がしたと思った瞬間、俺の身体に痺れが走っていた。

「やぁ・・・流石にしんどかったよ」
「・・・・・・」
「最後の瞬間に入れ替わることができたんだ。そうじゃなかったら負けてたね」
「・・・・・・」

ふふーん。と鼻高々な様子だ。
おそらくネフェルにとって絶対的に自信を持った攻撃だったのだろう。
だが、俺から何の反応も無いので、心配して顔を覗き込んできた。

「士郎?」
「あいよ」

返答し、そのままネフェルの手を掴んだ。

「にゃぁっ!?」
「さっきまで雷喰らってたから、捕まると痺れるぞ」

返事が出来ないのは百も承知。
ま、すぐに収まる類のものだから、問題ないだろう。
そうして、俺はネフェルを押し倒して。

「チェックだ」
「う・・・な、なんで耐えられたの!? 人どころかアフリカ象でも一瞬で昏倒できるはずなのに!?」
「そんな危険な電圧だったのか!?」

恐ろしい事実である。
できれば知りたくなかった。

「ああっとな・・・理由を挙げるとすれば、この体」
「そうか。士郎の身体って・・・」

うむ。かの有名な蒼崎特性の人形だ。
元が低すぎたということもあってか、かなり魔法防御力が上がっている。

「加えて、経験。プレシアの電撃喰らってたのが幸いしたな」

アレ以上の電力は流石にないだろう。
実際、喰らってなかったら、間違いなく立っていられなかった。
それでも充分以上痛いけど。

「まぁ、最後の理由としては」
「まだあるの?」





「おまえがとっても主人想いだってこと」





そう言って、取り出したのはネフェルに渡すはずのリクエストされたネックレスだった。
使うはずなどなかった。
だが、ネフェルと整合を取るために魔力などを少し調べさせてもらったのだ。
なにせ、コイツとの契約のさいに使ったのはジュエルシードなのだから。
安全性は確保しなければならなかった。
で、ネフェルにすこしだけ、魔力をネックレスに送り込んでもらったことがあり、それが発動したというわけ。
何気にこいつは主を立てるのだ。
はっきり言って、無意識的に発動したのではないかと思う。
出来すぎである。

「ありがとう」
「うう・・・そんな」
「わるいな」
「むぅ・・・じゃ、最後に負け惜しみ言うね」

そう言って、何故か頬を赤らめ、そわそわ・・・いや、もじもじか? をして。

「や、やさしくしてね」
「・・・・・・何のことだ?」
「ほら。今、あたし押し倒されてるし」

現状を確認してみる。
少年(若すぎ)が大学生くらいの女性(精神年齢は低い)を押し倒している。
俺の体がもう少し育っていたら確かに犯罪だな。と確かに思う。
そして、気付いたので押し倒しを解除し、俺はネフェルの頭をはたくのである。
こうして、俺の辛勝で命令権を勝ち取ったのである。





で、結局。
休日。駅前に俺は移動している。
目当ての人物を見つける。
男性に話しかけられているところから察するにナンパされていたようだ。
まぁ、見た目は理知的で美人だし。

「おーい。ネフェル」
「あ、士郎」

そう言って、ナンパ男を視界から外して俺のところにやってきた。
・・・なんで真っ白になって、固まってるんだろう?
そういえば、今の男以外にも何人かが真っ白になっているのだが。ざっと数えて6人程。
たぶん、ネフェルにナンパしようとしたヤツらだと思うのだが・・・
なんで俺がネフェルと待ち合わせしているかと言うと。

「俺はネフェルとデートするんだな。これが」
「士郎? どうしたの?」

待ち合わせの15分前に到着したのだが、すでにネフェルはいた。そしてナンパされていたのである。

「さざなみ寮の人たちがコーディネイトしてくれたの。どう? 似合う」
「ああ。可愛いよ」

素直にそう応える。
嬉しそうに頬をかくその仕種はとても魅力的だった。

「そ、その・・・負けた身としてはとても恐縮なのですが、デートを始めましょう」
「ああ。わかった」

俺はネフェルとの戦いの後、こう命令した。

『とりあえず、今日の戦いで怪我したので、これから1週間一緒に必要なものがあったら一緒に買いに行くぞ』
『え?』
『まぁ、平日はないかもしれないけど、休日はフェイト用のアクセサリー作りの本番だから、その材料を買いに行かないとな』
『え? え?』
『それに付き合うこと』

こうして、俺の命令は終了。
そして現在、俺はネフェルとデートである。
まぁ、結局勝っても負けてもデートはする予定だったのである。

「あの模擬戦の意味はなんだったの?」
「意味? おまえの戦闘能力の確認したかっただけ」
「・・・勝っても負けてもデートする気だったの?」
「ああ」

まぁ・・・俺の口から『デートするぞ』というのが恥ずかしかったので、上手い言い訳探してたら、あんな形の命令になっただけだ。
結局のところ、デート自体に依存はないのだから。

「えへへ・・・」
「なんだよ」
「顔が真っ赤だよ?」
「・・・うるさい」
「何気に士郎もツンデレ?」

・・・俺はアリサを笑うことができないのかもしれない。





後日談

少し前に話したかもしれないが、なのはとネフェルは模擬戦を行うことになっていた。
そして、それが行われた。
幻術を使いかく乱するネフェルが優勢だったが、それを一撃必殺の砲撃を持つなのははよく喰らいついていた。
一進一退の戦いはネフェルの制御ミスで出来た隙に、ディバインバスターを撃ちこんだなのはの勝ちだった。
恐らく今回勝てたのはネフェルの戦闘経験の不足だろう。
もう少し経験を積ませていれば、制御ミスも減ったのではないかと思う。
さざなみ寮での訓練にしても、やはり幻術しかしてなかったのがマイナスだったのだろう。
課題が多く浮き出たのである。

「うう・・・」
「俺の時の集中力はどうしたんだよ」
「だって、あの時はデートの権利がかかってたから・・・」

どうやら、前回の景品であるデートが上手く作用して強くなっていただけみたいです。

「し、士郎ー・・・負けちゃったから士気を上げるためにデートして?」
「だめ」

・・・まぁ、なんだかんだで俺たちは上手くやっているのではないかと思う。





番外編
題名『どのようにして某寮の管理人と知り合ったのか?』





それは肉屋さんや八百屋さん、魚屋さんをはしごして、あとはスーパーでスパイスなどを買って帰るだけの日のことだ。
隣に背の高い男の人と一緒に入ったのだ。
本当に最初はそれだけだった。
入ってすぐにルートを自分の頭にシミュレート。
移動を開始した。



驚いたことに。



全く同じルートを



全く同じタイミングで



曲がったり



並走する男が



いたのだ。



顔を見合わせる。
俺は見上げ、青年は見下ろした。
なぜか、相手の目を見た瞬間に電撃が走った。





次の瞬間、俺とその人――後にその人の名前は『槙原耕介』と知った――の腕がクロスした。




こうして俺たちは出会い、そしてその瞬間に友になったのだった。




後書き

申し訳ないっす!!
結局2ヶ月という期間が開いてしまいました。
ごめんなさいです。会社の先輩に誘われ、モンハンやったりしてました。
今回はネフェルのお話です。
戦闘能力的にネフェルはテクニカルタイプで幻惑させるスタイルで戦います。
ツボに嵌ると強くなるように設定しており、この世界では幻術があまり普及していないので、逆に経験豊富な魔導師に優位に立てるよう設定されています。
あと、業務連絡でクリスマスSSか年始用のSSを現在作成中です。
スケジュール次第ですが、間に合わせるようにしたいと考えています。
できなかった場合は・・・そ、その時は生暖かく迎えてください。
あと、私の執筆状況に劇薬を投入します。つまり、新SSも現在作成中です。
こちらはstsのオリキャラで再構成になると思います。
主人公は某銀○の白○叉さん風味な感じになっています。
あと私の構想通りなら『士郎くん』の2割〜3割増しでやばい発言を繰り返す予定です。(ちなみに当社比)
こちらも読んでいただけたら幸いです。
では、拍手の返信です。



※Asでシグナム戦にはエミヤの宝具、鶴翼三連をぜひ!(他に使う機会なさそう)
剣士で強いのって原作だとシグナム位ですからね。他だとまずい結果になりそうですし。

※いっそ、宝石の爺に子供化殺人貴を送ってもらい士郎とガチバトル、士郎と同じくらいフラグ乱立とかやってほしいっす
多分、収拾つかないです。この2人って原作者が明言してましたが、徹底的に仲が悪いみたいです。ただ、苦労は分かり合っているので、周りは誤解するというのが私の独自設定です。

※結構どのSSでもUBW時に「いくぞ○○、△△の貯蔵は十分か」を使うのが多いんですけど、アニメ14話でアーチャーが使う「ご覧の通り、貴様が挑むのは無限の剣。剣劇の極地。恐れずしてかかってこい!!」こっちのほうが自然でいいと思うんだけど駄目なんだろうか?
それも格好いいですね。実は迷ったんですが『王道でいけ』と友人に言われたので王道になりました。

※なのは×Fateの二次創作をしてみたかったのですが、ここの方が魅力的に思えてきましたwこれからも頑張って下さいm(__)m難しいかと思うのですが、出来ればバーニングアリサを採用してアリサやすずかをStSまで残してほしいです(懇願いや、自分の二次創作ないし三次創作のプランなんですけど…是非iseizinさんが書いた士郎が絡むバーニングアリサを読んでみたいです!
ありがとうございます。バーニングなアリサさんなら登場するのにうってつけな方法がありますから・・・ね(邪笑

※Crossing of the Fate毎回とてもおもしろいです。突然ですが、イリヤを出しちゃうのはどうでしょう。無印……は終わったからA's時もしくはAfterで、なのはやフェイトといるところに突然空間が割れてイリヤが出てきて、士郎に抱きつくわけです。そこでなのはたちは爽やかな笑顔で「士郎君、その子だれ?」と士郎にせまり、士郎は姉だと紹介するって感じで……どうでしょうか?長々とすいません。
本人ではない。こちらの世界のイリヤを出しても面白いかな? と考えたことがあります。・・・時期的にはちょうどいいし書いてみようかな?

※extrastageなのは見ました士郎結局キスしたのか?
とりあえず、今回の最初の方に顛末を書いておきました。もうちょっと引っ張りたかったですが、私の執筆スピードの関係で真相公開しました。

※A's を期待します. 韓国で応援します. 体お大事に.
何度か送って貰っている方と同一人物かな? 違いましたらごめんなさい。遅筆ですが、執筆は続けていきますので、ご容赦ください。

※桜が相手だったときのような答えですね。あれ?イメージカラーとか色々重なる部分があるような?
桜の時のイメージで書いてます。士郎だったら、己の理想を自分の世界で体現したいと考えていると思ったので。なのははピンクよりも私は白だと思ってます。まぁ、怒ると怖いところは似てますけどね

※質問です、この作品の世界に、とらハのキャラは、何人ぐらい存在しているのでしょうか?
私は全員いるとは思いますが、書けるかは別問題ですね。とりあえず、3のさざなみ寮の人間は全員います。フィアッセとのちょっとした話は考えています。

※出来れば士郎が帰らなくて、それぞれの個別エンドを所望したいのですが…
今のところ個別ENDの方が若干多いですね(微差ですが)。先に考えてみましょうか。書くとしたら人気あるフェイトからになりそうです。

※ルールブレイカー1発でA’s編の問題は実は片付くんだよな…とは思いませんか?ドラマないけど・・・w
私なりの考察ですが、それ以外にも影響及ぼしそうなんですよね。例えば、某子供先生の吸血鬼に使う場合も吸血鬼化の解除も同時に行いそうだし(魔法で吸血鬼になったという設定だったので)。そんな理由でこちらの士郎はすぐには使わないと考えてます。

※ヴォルケンズのフラグを要求します!!!
やっぱり多いですね。この要望。とりあえず『鉄槌』はいけそうです。

※先の話ではありますが、脳髄の人たちと士郎が遭遇した場合には興味がありますね。なんせあの人たち自分の幸せを省みないで正義のために尽くすという意味で同類な訳ですからして。評議会システムとして意思決定を行うと言う事は重責であると同時に膨大な仕事量を抱え込むと言う事にも繋がるわけで休息は入れるでしょうが趣味に使える時間が有るか怪しい所。てか脳髄になった時点で食欲、性欲、睡眠欲、独占欲等々の欲望から開放され満たせない状態ですからな。どんだけ使命感に溢れてるのかという話ですわ、個人として己の正義である「全てを救う」を求めて足掻き、1を切り捨てる(悪を成す)者と、組織の長として己の正義を求めてそれを実現する為に悪しき手段も視野に入れる者との邂逅ですな〜、
とりあえず、士郎は『切り捨てる』行動は認めてません。故に対立は間違いないかと。必要な行動だろうと犠牲を嫌うと思います。それに士郎の主観では、しなくてはならないという犠牲ではなく、本来なら出る必要のない犠牲ですからね。

※拍手レスを読んで士郎に想いを寄せる女性が増える度にセイバーは直感で感じとり機嫌を悪くしそうですねww
いずれ、小ネタで考えてみたいと思います。

※山猫(リンクス)、渡烏(レイヴン)はおそらくアーマードでコアな作品で、空気〜はACfaの水没王子(笑)でしょう。
※渡り鳥と山猫は多分、アーマ−ドコアのリンクスとレイヴンだと思いますよ?
それはまだやったことがないですね。いずれ調べてみ・・・るまえにSSをなんとかしないといけませんね

※サイマテだと 未来の士郎の可能性であるエミヤの天敵は 桜 イリヤ 凛だけど、ここの士郎の天敵は 桃子 リンディ 恭也で決まりだな〜
なんでこんなことになったんだろう? と自問してます。桃子さんをもうちょっと際立たせたいなぁ。と思っただけなんです。いや、まじで。

※母親連盟にクイントさんの名前が…!?救済するんですね!?5番と6番(に?)は食べられこと確定済み!?
クイントさんも登場したら、士郎に強いでしょうね。それと士郎は食べる側だと思いますよ。するならですが。まぁ、切嗣さんの本音か戯言かは今後の展開次第でということで

※フェイトのアドバンテージ(自分だけキス)が消えた・・・ ここでなのはが逆転!!
は、してませんでした。今回の話で色々と同点になったんじゃないかと。死亡フラグも乱立しましたが(笑

※iseizinさん、NEUTRAL ver.βというサイトにある“Sword of A's”という小説を読んでみてください。リリなの×Fateの小説の中では最も文章力の高いと思う作品で、必ず参考になると思います!
超参考になってます。書くのにふんぎりを付かせてくれた作品で、私の全SSの中で5指に入ります

※もし、士郎<大人版>と桃子さんが結婚したら絶対に黒衣の死神と魔王が暴走しますね
それだけで済むのか本当に心配です。リリカルだけじゃなくとらハ陣営も大暴れな展開になりそうです。

※iseizin様へ切継good job 、コトミーも草葉の陰で泣いておることでしょう。ところでもしもカレイドルビー がこの世界に来たら、(士郎の女性関係がルビーにばれる ->ルビーにより凛に(脚色されて)ばれる ->約束された勝利の剣)のコンボをぜひ!!
ルビーがこなくても、過去の行動で悟られているでしょう。問題は人数が何人か? という点ですね。どちらにしても『約束された勝利の剣』は確定なのです。

※士郎更新楽しみにしてましたこれからも頑張って下さい。
ありがとうございます。今後も頑張ります。・・・更新遅くても見捨てないでもらえると嬉しいです。

※士郎、完全なロリコンフラグたてました。イリヤは実は年上でした、なのでギリセーフですが。なのはは15歳以上年下なので完全アウトです
確かにアウトです。ただ、現在型月の設定で精神年齢も下がっているっぽいんですが・・・実年齢がやっぱ問題か。すんません。弁護はなしの方向で

※あの、士郎の年齢をカミングアウトするらしいですが、今回のコレ(なのはとキス)は完全な破滅フラグじゃ・・・大丈夫か士郎?なんか最終的に自己の消滅とか願いそうで怖いですがwww
うん。女性陣は問題ないだろうし、士郎は現在自分からしたことはないですからね。流石に士郎が女性として意識するのはもうちょっと年を取らないと

※こういうほのぼのした感じのお話って大好きです!
※good job !
※とても、おもしろかったです!次の話を楽しみにしてます^^ がんばってください
※To iseizin>これからも更新がんばってください。
ありがとうございます。これからもこのような評価を頂ける様、頑張ります。

※iseizinさんへ 恭也はそんなシスコンではありませんが…原作とかアニメとかホントに見ました?
※iseizinさんより ギャグの為か知りませんけど、キャラを不当に貶めるのはどうかと思います
二次の設定が先行してしまい、不快な方もやはりいらっしゃったようで、申し訳ありません。原作は一通りやり、アニメもみました。次回以降は気をつけます。

※A'S編、STS編までできることなら続けてほすぅいディス!!
頑張ります。現在、鋭意構成中です。

※山猫や渡烏というのはAREMORED COREというロボットアクションゲームの傭兵の俗称です。最新作とその一つ前に赤弓、虎、式、綺礼、キャス子が出てたので…。美由希!そこで呼ぶのはトーマスじゃなくてタイガー・ジョーだ!!!(恭也の中の人的な意味で)
不勉強で申し訳ないです。タイガーさんが来たら・・・うん。士郎くんお星様になるっぽいな。

※おもしろかったです!A's編頑張って下さい!!
うっす。2月位に始められたらと思います。

※ホムンクルスとプロジェクトFや戦闘機人・サーヴァントと守護騎士たちとか近いけど違う設定って多いですよね、その辺のことを聞いたら何を思うでしょうね。
士郎が仲良くなれるきっかけはやっぱりイリヤやセイバーたちのような存在を知ってるからだと思います。だからこそ、フラグも簡単に

※原作でも影の薄いクロノとユーノ、物語の書き手としては扱いずらいですか
まぁ、男キャラですし。ただ、クロノの小ネタは幾つか浮かんでますが、ユーノくんがイマイチです。

※もし型月世界の魔術協会と聖堂教会が、リリカル世界の海鳴のHGSや夜の一族・久遠・ざから・退魔組織のことを知ったらそれぞれの目的の為外道行為確定な気がします。最も万が一そうなった時はあのクソッタレ龍などの過去の境遇から怒り限界点突破のHGSシスターズ・久遠・御神不破流の生き残り女剣士(復讐鬼モード)を筆頭としたさざなみ寮を中心に集結した海鳴・神咲・夜の一族・香港警防隊(+妖怪)連合軍の前に、二大組織が最期の時を迎える姿が目に浮かびますが。ぶっちゃけあの二大組織個人的には一遍滅びた方がいい気もしますしそれも有りかと。
まぁ、するでしょうね。本来の魔術師は目的のために手段を選びませんから。ただ、壊滅寸前まで壊されてもギリギリで少数が逃げ出しそうな気がします。抜け目のなさはそれ以上っぽいし

※今回の士郎となのはの会話からとても片方が小学生のものとは思えないくらい大人な感じ
なのはの精神年齢が高すぎたかなぁ。とは思いますが、まぁ原作も小学生っぽい考えじゃないし、ちょっと恋愛要素も加えて、さらに大人にしてみました。

※Crossing of the Fate感想。聖祥って中学から男女別だし士郎学校行かずに次元世界駆け巡って正義の味方やってそう。それで紛争が続く世界でssxのルネッサ拾って助手にしたり……あれ?確かfateでそんなのいなかったけ?ほら、zeroで…
うちのSSでは桃子さんが大激怒なさいますね。ちょ・・・拾ったら、悪魔や雷神、夜天の王を中心に荒れ狂いますよ? (肉体関係になりそうだし)

※Crossing of the Fateの感想。もう最高です!一気に読んでしまいました。続き頑張って下さい。更新がんば〜
が、頑張ります。今度こそ、期限内になんとか

※「iseizinさんへ」「Crossing of the Fateの感想」stage2で士郎に『薙旋』を出した恭也ですが、目の前で『ナインライヴス・ブレイドワークス』なんて薙旋以上の人外技見せられたらどういう展開になるんでしょうか?
どうなっちゃうんですかね? 驚愕は間違いないです。・・・それに触発されて『閃』がいつでも発動できるなんて状態になったりする? (成長するという意味合いで)

※iseizinさんへここの士郎、良い味でてるぜ。たいころアッパーのアイリシナリオでハーレム建国している士郎に母として怒るシーンがあったけどここでは、桃子さんがそういった事するのか気になるぜ。
まぁ、もうなってますね。ただ、桃子さんも納得してしまうという図も同時に頭に浮かんでしまう私はやっぱり駄目人間でしょうか?




皆様感想ありがとうございます。なるべく早くあげられるよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いします。









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