魔法少女リリカルなのは Crossing of the Fate 
Stage7「フェイト=テスタロッサ」


interrude

その日の天候は雨。

英国にて遠坂と歩いていたときのことだ。

遠坂が時計塔の講義の帰りで家に帰ろうとしている時で、俺はルヴィアの家での執事の仕事が早めに終わったときのことだ。

俺は遠坂と一緒に歩いていた。

「あーあ。癪だけどルヴィアとの論議してた方が有意義だったわね」

「・・・おまえたちはそうかもしれないけどな。その課程で教室を吹き飛ばすんじゃありません」

遠坂は言葉が詰まってしまう。

が、すぐに口を開く。

「ふんだ。あれはルヴィアが悪いのよ。『遠坂は口ばっかり達者で満足に宝石も用意できませんのね』なんて言うし」

「ばかもの。返す言葉で『ふん。高尚な理論を理解しようとせず、道具に頼るなんて魔術師としてどうでしょう?』なんて・・・
 それが引き金で教室を吹っ飛ばすな!新しく二つ名まで拝命しているし・・・」

もうすでに名物と化しているような気もするが、それでも俺としては肩身が狭い。

この前なんて、宝石科の教授から直に嫌味言われたし。

「ちょっと。あたしにだけはえらく毒舌じゃない」

「まさか。ルヴィアにだって言ってるよ。ただ、あっちは俺が言う前に、執事長が的確に急所を射抜いてくれてるからな。
 主人に苦言を呈するのが執事の鑑だ。って執事長は言ってるし」

「・・・あー・・・あの執事ね。確かにきついわ」

一緒にお説教されたことがある遠坂が非常にしかめっ面になっている。

あのお説教、心に直接響くからなぁ。

「で? 遠坂」

「なによ」

「俺に何か言いたいことがあるんじゃないのか?」

俺たちの歩みが止まる。

しばらくして、遠坂が口を開いた。

「・・・どうしてそう思うの?」

「なんかそんな感じがしたんだ」

理由には心当たりがある。

遠坂はまだ英国に残るが、俺はあと1ヶ月で英国を旅立つ。

ここにいて、暖かい気持ちになることは多々あるけど、それは



本当に俺がここにいていいのかと、不安になることも多かったから。



だからこそ、俺は進みたいのだ。

前へと

「そうね・・・もしかしたら言う機会なくなるかもしれないから、言っておくわ」

そう言って、遠坂は険しい顔をしていた。



「あたしね・・・あんたのお父さん・・・『衛宮切嗣』を恨んでいるわ」



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side - Emiya Shirou

懐かしい夢を見た。

俺の見ていたものが、少しだけ変わったあの日のことを。

(・・・いきなり、俺の恩人を悪く言うことはなかったんじゃないのか?遠坂)

あんなことを言われたから、遠坂に掴みかかってしまったわけだし。

結局のところ、遠坂が言ったことは当たり前のことだが、俺には見えてなかったのだ。

そのことを教えてくれた。

(ま、それでも俺は変わらずに目指しているんだけどな)

俺の夢−正義の味方になる−は変わらない。

今でも、俺は自分よりも他人が大切という、人として欠陥品だ。

そのことで・・・つい最近まで、俺はおまえに注意されていたよな。

たぶん、それは変わらない。絶対に変えられないことだと思う。

だけど・・・それでもあの日に変わったのだ。

他の奴からみれば、まだまだおかしいと言われるかもしれない。

そんな些細で当たり前なこと。だけど、俺はあの日新たに見つけ、それを力とすることができるのだから。

(さて・・・と。今日も戦闘訓練の開始としようか)

なのはの戦闘訓練を開始しよう。

――今日もいい天気だ



   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



「なぁ、なのは・・・俺に『ディバインバスター』撃ってみてくれないか?」

なのはとユーノの二人が固まった。

そんなに変なことを言っただろうか。

・・・っていうか、電波で『魔王さまー!』というのが飛んできたんだが・・・

「ちょ、ちょっと!? 士郎!? 意味分かって言ってる!!?」

「なんでさ。今後のための布石だよ」

俺としてはどうしても知りたいことがある。

具体的にいうと『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』や『全ての呪いを弾く盾(フォースシールド)』が
どの程度まで防御できるかのテストだ。

前回、フェイトの『フォトンランサー』でも僅かに損傷させられたのだ。

威力を収束こそしていたが、それでもあまり威力のないもののはず。

だというのに、俺の最強の盾があっさりと損傷させられるなど、今後の指針に多大な影響を与えている。

なのはは魔力だけならば、すでにトップレベルで『ディバインバスター』の出力は凄まじい。

現時点でこれ以上の相手はないだろう。

「でもでも!? とても危険だよ!?」

「あのな。いくらなんでも俺に直接放て、なんて言う訳ないだろ。

幸い俺の盾は少しの距離なら離れてても出せるから、そこに放てって言ってるんだよ」

そういうと、ポンと手を叩く二人。

ていうか、君たち見てたよね? 俺が離れたところで『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』出したの。

俺はそんなに信用がないのだろうか。

「じゃ、じゃあ行くよ!」

「全力で来たまえ。白の魔法少女」

ちょっとだけ気取ってみたのだが、なぜかなのはの頬が赤かった。・・・アーチャーっていうな。

そして視界に広がる桃色の閃光。



俺は『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』を投影した。



   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



結論から言うと、前回の投影は俺の骨子が甘かったことが原因であり、そのため精度が落ちていたようだ。

確かに急いでいたとはいえ、俺の投影には本来イメージは必要ないはずなのだから、これは俺の未熟だ。

反省しなくてはならない。

とはいえ、なのはの『ディバインバスター』で花弁が一枚破壊された。

これは投影精度というより、むしろ相手側の魔法が何らかの作用を見せているためではないだろうか。

その何かはわからないが、確かに魔法威力の強化が為されているのだろう。

だからこそ、俺の盾をも傷つけることが出来るのか。

とはいえ

(やっぱり、俺の投影は普通に考えれば、破格らしいな。ユーノの反応を見る限り)

そして、『全ての呪いを弾く盾(フォースシールド)』を投影してみたが、こちらも防御できたが、若干皹が入った。

なのはの全力の『ディバインバスター』を二つの方法で防御してみせたのだが、ユーノの驚愕は想像以上だった。

なんていうか、ぶっちゃけありえねぇ。って言いたかったのではないかと思う。

これで攻撃用の『偽・螺旋剣(カラドボルグU)』や『赤原猟犬(フルンティング)』を投影したら、どうなるのだろうか。

まして『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』や『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』はもっとやばいだろう。

(・・・ますます俺の戦略の幅は狭まる・・・いや)

いっそのこと、ユーノに少しだけ話してしまおうか?

ユーノは元々、魔法世界の住人らしいし、秘匿すべき情報については秘匿してくれるうえに、知識も十分。

重要なことは話せないが、それでも宝具とはどういうものかなど、概念を話してみて、反応を窺うべきだろう。

俺自身、ヤバめな情報の整理もしておくに越したことはない。

なのははというと、知識の方がまだイマイチなため、ある程度の誤魔化しは効くだろう。

「なのは。頼みがあるんだが・・・」

「なに?」

「ユーノと相談したいことがあるから、伝えておいてくれ。固まってるし」

そして、俺は朝食の用意を手伝うべく、高町家に戻っていった。



   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



ユーノとの対談である。

早速、俺の魔術である『投影』のおさらいと『宝具』についてを話してみた。

なんか非常に痛い沈黙があるのは、うっかり(遠坂の呪い?)が発動し『宝具』が投影可能なことも口が滑ってしまったし。

「・・・つまり要約すると、『宝具』とは伝説とかで受け継がれている逸話・・・ それをそのまま
 再現することができる『武器』や『防具』と考えていいんだね」

「他にも『技』とか色々あるんだが・・・詳しく説明すると長くなるし、難しいし、そんなところだな」

「・・・で、士郎はそんな『宝具』を複製できると」

「ああ」

「・・・・・・・・・」



ええい。化け物扱いするな、このフェレットもどきが。

視線が語っているぞ、視線が。



まぁいい。化け物扱いされるのは悲しいが慣れているし。



「で、今の話から考えて俺の危険度は?」

「ぶっちゃけ、何時危険物扱いされても、文句言えませんね」



やっぱりか。くそ。

「それはどの程度?」

「確認したいんですけど、『宝具』は誰でも使用できたりする?」

「あ、それはない」

ぱたぱたと手を振る。

「そうだな・・・とりあえず投影した武具に関しては、普通になら使用できるが、真の力を発揮する−真名開放っていうんだが−
 ことはできない。まぁ、それでも普通の武器よりは性能がいいな。まぁ、結局は俺専用の戦闘道具みたいなものだよ」

「・・・非常に微妙だけど、時空管理局とかで『レアスキル』認定の可能性がありますね」

時空管理局。おそらくこの世界の魔術協会に類する組織だろう。

それにしても『レアスキル』か・・・言葉の響きはいいんだが、どういう扱いを受けるんだろうか?



「なぁ・・・それって認定されると『脳をホルマリンに漬けられる』とか『一生幽閉』とか・・・
そんな人道に反するような扱いって受ける?」

「受けないよ!? 時空管理局をどんな所だと思ってるんだ!?」

「俺の世界の魔術協会はそれが普通なんだよ!?」



ええい。ここまで俺の世界の魔術協会はやばいところだったのか。

『封印指定』でよく聞く内容を言ってみたのだが、ユーノは悪質なギャグの一種だと受け取ったようだ。

・・・ていうか、俺の世界の魔術協会って他の世界で類を見ないほど、極悪なのではないだろうか?

ユーノが凄く嫌そうな顔をしているし

「と、とにかく・・・時空管理局は法を守るところです」

「そうか・・・でも、それって結局のところ、知らない世界からすれば勝手に介入する組織だろう?」

言葉こそ立派だが、本当に信用できるのだろうか。

俺は疑念を持っているし。

「いえ、基本は管理している世界だけを対象としていて、よっぽどの危険がない限り、世界にいきなり介入することはないですよ」

「それでも、だ。話を聞いている限りだと、実質的に世界を支配しているように感じるんだ」

管理世界の法を守る、そして法を作れるということは、世界を支配しているということと同義だろう。

それで多くの人が守られているから、肯定しなくてはならないが・・・俺個人はあまり好きじゃないのだ。

「士郎?」

「・・・なんでもない。忘れてくれ」

そうだ。組織である以上、確執もあるだろうことは予想できるが、現実に世界を守り、救助していることは賞賛しなくてはならない。

一人ではできないことを行っている組織だ。俺の個人的感情だけで判断するわけにはいかない。

「それはともかく『レアスキル』認定を受けると、時空管理局では好待遇を受けられて、昇進も早いって聞くよ。
 他にも色々な面で好待遇のはずだ」

「いや、時空管理局と接触を持つつもりはないから、俺は」

・・・後日、接触することになるのだが、それは後の話。

「まぁ、こんなところだが、俺の能力は非常にヤバイことがわかってしまったな」

「・・・自分で危険だと思わないの?」

「いや、思ってはいるんだが・・・どうも俺と他者の認識にまだ差があるようなんだ」

まったく不思議だ。俺からしてみれば当然のことなんだがなぁ・・・

とりあえず、ばれないように行動しよう。

それがベストだ。

最悪の最悪は『レアスキル』に認定されるよう、鋭意努力するしかないというのも確認したし。




「・・・ところで士郎? 『宝具』の真名開放って他の人じゃ本当にできないの?」

「ええっとだな・・・パスが繋がっていて、その他にも色々な条件があってそれをクリアすればできるぞ」

「パスを繋げる? どうするんです?」



・・・説明中



ユーノが顔を真っ赤にして倒れてしまったのは余談である。



   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



さて。連休を利用した温泉旅行まであと1日となった。

俺はというと『翠屋』のランチタイムの忙しさから開放され、現在出かけている。

目的としては買い物である。

「温泉旅行用の用意、か。そういえば、あっちでも温泉に行こ・・・」

ダメだ。思い出すな。

あれは間違いなく黒歴史だ。

「・・・ははは。・・・なんでこんな記憶がすぐに出てくるんだろうか?」

とりあえず、当時はかなり苦渋の記憶だったとは思うのだが・・・

(思い出せば、いい思い出に・・・なるわけないよなぁ)

どうすればあんなことになるのだろうか。



セイバーが出された料理に文句を付けたことだろうか?

アーチャーが料理人に喧嘩を売り、勝利したからだろうか?

ランサーが女性陣に身体的なことでからかったことだろうか?

キャスターとアサシン(なんかマスター権を葛木の眼鏡に移行したとか)が喧嘩をしたからだろうか。

ギルガメッシュが調子に乗って、『ウォッカ』飲みほして暴走したからだろうか

etcetc・・・



無論、休息になるわけがなく、1日目の夜に温泉宿が半壊したため、逃げるようにして家にもどったが・・・
(ちなみに、遠坂がルヴィアに借金して返済した。そして、俺は売りに出された)

ま、まぁ今回はそんなことはないはずだ。

ともかく、温泉旅行で必要なものを心の中でリストアップしていく。

(タオルと石鹸とか色々か)

そして、あの公園である。

(・・・もしかして、今日もいるかな?)

フェイト=テスタロッサ。黒衣の魔法少女のことである。

現段階での戦闘能力では、おそらくなのはよりも上だろう。

そして、たい焼きを二人分買い、俺は辺りを見回した。

(あ、いた)

約700M先と言ったところだろうか。

視界が開けているので、よく見える。今日は使い魔であるアルフはいなかった。

そのまま声をかけようかと思ったが・・・

(それじゃ、おもしろくないな)

さて、どうするか。

面白い方法ならば、間違いなく『マグダラの聖骸布』を使うべきだが、俺は女性ではないので扱いきれないだろう。

と、そういえば

(・・・別に聖骸布じゃなくて、丈夫な布なら問題なくね?)

俺が必要なのは非常に丈夫な布であり、その布は投影できる。

そして、俺の強化は未熟な時でさえ、ポスターに強化をかければ『ゲイボルグ』と数合だが、打ち合うこともできた。

聖骸布を使用するにあたっては、布槍術で飛ばせばよいだけのこと・・・

それに別の観点で確かめたいことがある。



決まれば即決! −投影開始!

(行けーー!!)



・・・こうして、俺はフェイト=テスタロッサを釣り上げた。当然

「フィッシュ」

決め台詞は忘れない。そして、フェイトが口を開いた。

「な、なにがあったの?」

「やぁ、フェイト。二日ぶりだ」

俺は平時と変わらずに挨拶をしてみたが、相手はまだ状況が掴めていないようだ。

掴めてたら大したものだが。

「って、違う! な、なにをするんですか!?」

「いや、たい焼き二人分買ったから一緒に食べないか?」

「・・・そのこと言うためだけに、こんなことをしたんですか?」

実に簡単な疑問をありがとう。

「あげるから、食べなさい」

「いりません」

「じゃ、解放しないぞ」

ちなみに、まだフェイトは赤い布(俺命名『偽・マグダラの聖骸布』)で拘束中である。

公園を通り過ぎている人たち全員が俺たち−というかフェイト−に注目している。

やはり恥ずかしいのか、顔を赤くしている。

「う、うう・・・わ、わかりました。食べます」

「あ、嘘だったら、もう一度拘束するから。分かってると思うけど、逃げられないからな」

心の中で『知らなかったのか? 大魔王からは逃げられない』とか嘯いてみる。

そんなある意味、死刑宣告の台詞を吐いた。フェイトは顔を青褪めさせているが、気にしない。

俺はフェイトの拘束を解き、たい焼きを渡した。

「・・・どうやって食べればいいんですか」

「そのままかぶりつくんだ。あ、焼き立てだから頭の方が熱いかもしれん」

餡子が詰まっている以上、当然熱いだろう。

「なんだったら、少しづつ食べたほうがいいぞ?」

「はい」

そうして、少しづつ食べながら、ついに餡子に到達したようだ。

だって、表情が明るくなったし。

「おいしい」

小さな声だが、確かに聞こえた。

「・・・まぁ、気持ちはわからなくもないが、あまり無茶をするなよ」

「どういうことですか」

「顔色が良くない。あまり、食べていないだろ?」

以前と比べても、あまり顔色も良くないのがわかる。

そのくせ、風邪をひいているようには見えないから、食事を抜いているのではないかと思ったが、ドンピシャだ。

「まぁ、相手にそんなことを言われると癪かもしれないが、やっぱり食事は取らないと力がでないんだ。
 食事してなくて、負けたなんて言い訳にもならないんだからな」

「・・・うん」

当然だが、あまり反応がないな。

そんな風にして、たい焼きを食べていると

「あの・・・なんで、そんなことを言うんですか?」

フェイトが質問してきた。

まぁ、普通に考えれば敵に塩を送っているしな。俺は。

「わたしたち・・・敵同士なのに・・・」

「そうかもなぁ。だけど、俺は味方でも敵でも傷ついてほしくないんだ。まして、女の子だったら尚更だ」

そう言うと、フェイトがキョトンとして・・・そして、少し微笑んだ。

「今日のことはお礼・・・言いませんよ?」

「俺のお節介だから、気にするな」

「そうですね。あの布のせいで目立っちゃいましたから、むしろマイナスです」

やっぱり、あの布は受けがよろしくないようだぞ

――俺は天に見えるカレン(死んでません)にそのことを伝えておいた。



それにしても・・・

「綺麗な髪だな」

「ふぇ!?」

なんかフェイトが驚いているが、俺は特に気にしない。

何故か執事のバイト中に髪を梳いたりしていたし、衛宮の家でもセイバー達の髪を梳いたりした。

一番綺麗だったのはライダーだったが、フェイトのは色合いといい艶といい、実にセイバーによく似ている。

「なぁ、触ってみていいか?」

「ど、どうぞ・・・」

そう言って、俺はフェイトの髪を触ってみる。

髪の毛から、女の子特有のいい匂いがする。

それに、とってもサラサラだ。

でも、ツインテールにするにあたって、少し髪にダメージを与える結び方をしている。

うーん・・・梳いてみたいなぁ。

「なぁ、フェイト」

「は、はい!?」

「一旦、ツインテール解いてくれ。今から梳いて、同じように作るから」

コクンと頷くフェイト。あれ? なんで顔が真っ赤・・・っていうか首筋まで赤いんですけど?

そうこうしているうちに、フェイトは髪を解き

「よし、じゃ・・・」

「何をやってるかぁ! このエロガキ!!」

突如現れた、赤い髪のお姉さんに襲撃されてしまい

「ぷろぉぉぁぁぁぅっ!!?」

俺は吹き飛んでしまった・・・



が、1秒で復活。俺の目に飛び込んできたのは、フェイトのストレートヘア姿が見えた。

隣には、獣耳を生やしたお姉さん・・・獣耳?

「もしかして・・・使い魔のアルフか?」

「あんた・・・何をしてたんだい!」

あ、決定。この口の悪さは間違いない。

「何って・・・フェイトの髪を梳いてツインテールにしようとしてただけじゃないか」

「そ、そんなことであんな空間が作れるか!?」

あんな空間? なんのことだ?

「何を言ってるかはわからんが・・・じゃ、やり方教えるからアルフが梳いてくれ」

なぜか、フェイトがホッと息を吐いたが・・・だからなんなんだ?



俺は懇切丁寧にフェイトとアルフにツインテールの正しいやり方を教えた。

このやり方なら、比較的、髪へのダメージも少ないはずだ。

「・・・あんたって・・・ホントにわけがわからないよ」

「何がだ?」

「戦闘はこなすくせに、無愛想なくせに人をからかうのが好きみたいだし・・・それに髪型についても妙に詳しいし」

間違いなく褒められてないな。

ていうか、あまり文脈が繋がってませんよ?

とりあえず、家事全般についてはまだ知られていないので、今は黙っておこう。

「まぁいいじゃないか。さっきフェイトにも言ったけど、俺も人を傷つけるのは好きじゃないんだ。
なるべくなら無傷で終わってほしいと思ってるし」

「・・・その割りには、さっき妙に丈夫な布で私を吊り上げませんでしたか?」

「傷つけてはいないだろ?」

おもいきり釈然としていないが、まぁそんなところだ。

やっぱり、マジメな子ほどからかうのはおもしろいな。

「それより、フェイト」

「うん。いこう」

「あ、帰るのか?」

「ええ。さようなら」

「そうじゃないだろ」

フェイトとアルフはおもいきり怪訝な顔をして

「また、会おう。こういう時はこう言った方がいいぞ」

「・・・ええ、また」

そう言って踵を返して、フェイトは駆け出した。



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あたしは正直微妙な気持ちを持っている。

フェイトが珍しく機嫌がよく、口元にもうっすらと笑みを浮かべている。

それはいい。まぁ、あの坊主が原因なのがちょっと気に食わないが、それでも笑みを浮かべさせてくれたのだ。

感謝くらいはしてやろうじゃないか。

・・・非常に鈍感な奴という印象を受けてはいるが・・・

それに比べてあの鬼ババはなんだ。

同い年くらいの子供でさえ、フェイトに笑みを浮かべさせることができるのに、あいつは・・・!

落ち着け。あの坊主との戦いだって、落ち着くことができずに、成す術もなくやられたんだ。

同じ失敗は二度としないようにしなくちゃ。

「アルフ・・・ジュエルシードはどこ?」

「ここから2kmくらい先だよ。魔力が漏れ出しているから、そろそろやばいよ」

そう言って、ジュエルシードの魔力が大量に漏れている。

これは・・・覚醒したみたいだ。何か大きな生き物がそこにいる。

同時にあたしは封鎖結界を展開する。

それを好機とみたか、尻尾らしきものを振り回して、あたしたちどころか周りの木も吹き飛ばしている。

「アルフ!」

フェイトが戦闘態勢を整える。

あたしは肉弾戦が得意だから、そのまま突っ込み、相手にパンチを叩き込む。

・・・うへぇ。ヌルヌルする。

なんてったっけ? この気持ち悪い生き物? 確か、ヘミだかヒビだかそんな種類の奴だ。

「ふん。とっとと片付けるよ!」

相手の頭に全力で突き下ろし、地面に叩きつける。

だけど、相手は全く効いていないのか。すぐに体勢を元に戻し、大きく口を開けて威嚇してくる。

(この!)

再度、突撃。だが、今度は相手が何か紫色の液体を吐き出した。

あたしは防御せずに跳躍して、回避する。

眼を疑う。



着弾した地面は何故か融解していた。



(これは毒!?)

どんな毒かは知らないが、これは食らうとまずい。

フェイトは防御が苦手だが、この毒の強さを考えると、もしかしたらあたしの防御でも難しいかも。

(ふん・・・あたしとフェイトのコンビネーションなら問題ないさ)

フェイトをちらっと見ると、頷いた。

さぁて・・・狩らせてもらうよ。



あたしとフェイトは着実に相手を追い詰めていった。

時に防御に専念したり、呪文詠唱の補助に回ったり、逆に攻撃したりと変幻自在にコンビネーションを繰り返す。

そして、ついに地面に這い蹲せることに成功した。

(よし。トドメ!)

「!? アルフ後ろ!」

後ろを見ると、尻尾を魔力で伸ばして後ろから、不意打ちが仕掛けられていた。

(まず!? 避けられ!?)

あたしは衝撃に耐えるべく、歯を食い縛った。

その瞬間



空気を裂きながら、一本の剣が飛んできた。



あたしに当たるはずだった尻尾を吹き飛ばし、そして、蛇の頭部に突き刺さり、地面に縫い付けられた。

「・・・え?」

あたしの声だったのか、フェイトの声だったのか、未だに判別できない。

そして



――フェイト、アルフ。蛇から離れろ



あの坊主の声がした。そして、その声の剣呑さにあたしたちは後ろに跳躍した。



――壊れた幻想(ブロークンファンタズム)



閃光、そして爆発。

「うっ!!?」

なんて・・・威力だ・・・

あの坊主はただの一撃を持って、あの蛇を完全に殺した――いや。

――辺りに蔓延していたジュエルシードの魔力も、ほとんど吹き飛ばされている。
  恐ろしい魔法だ。

そして、宙に舞うジュエルシード。

ただ、すごい疑問がある。

(ど、どこから撃ったんだい?)

少なくとも視認できるところからではない。



つまり、超遠距離からの狙撃で、尻尾と頭を同時に狙撃したのだ。



そして、さらに疑問。

なぜ、封印しにこない?

「ふぇ、フェイト・・・」

「うん・・・」

あたしたちは、あの坊主が攻撃してこないことを確認し、ジュエルシードの封印を行った。

今度は普通の矢が飛んできた。そして、それには手紙が括りつけてあった。

(フェイト、アルフへ。俺はジュエルシードが封印できないから、封印してくれて助かった。
 俺では、ジュエルシードごと機能停止にすることぐらいしかできないので、本当にありがとう。

 今日のジュエルシードは、そちらで保管してもらえると助かる。
 だが、いつかなのはとジュエルシードをかけて戦うことになると思うので、もし勝ったら、
 ジュエルシードを素直に渡してもらえるとありがたい。

 では、今後の健闘を祈る。

 P.S 二人のコンビネーションの練度はまずまずだが、いかんせんバリエーションが少ない。
     今後の研究に期待する。                     衛宮士郎 より)

「あいつ・・・」

本当に見逃す気なのか?

今なら、狙撃で簡単に強奪できるはずだが・・・

1分ほど待ってみるが、全く追撃がこない。

どうやら、本気のようだ。そして、フェイトは俯いて

「アルフ・・・」

「フェイト・・・もしかして」

「特訓・・・しよう」

あたしは頷いた。

今日、確信した。今のままじゃ、あの坊主・・・士郎に勝てない。

あたしはフェイトの使い魔だ。誰であろうとフェイトを守ってみせる!



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「ふう。成功か」

とりあえず『偽・螺旋剣(カラドボルグU)』から『壊れた幻想(ブロークンファンタズム)』を使用してみたが、問題ない。

ジュエルシードの魔力もかなり減らすことに成功した。

「ま、これでフェイトとの遠距離戦をする可能性が薄くなったかな?」

狙いは二つあった。

まずは、あの主従コンビのコンビネーション戦闘が、どの程度の練度かを確認したかったこと。

それと、俺がフェイトと戦う場合、フェイトとの遠距離戦を避けるためだ。

フェイトのみならず、『ミッドチルダ式』の魔法を相手に遠距離戦のみでの戦いは避けたい。

相手は、『プログラム精製+魔力精製 → 発射』という方式(つまり第1段階をほぼ同時にできる)を取れる。

だが、俺はというと『投影 → 狙いをつける → 発射』という方式に加えて、基本的に移動しながらは撃てないのだ。

かなりのロスがある上に、相手はその気になれば移動しながら、放つことも可能だと聞いている。

無論、狙撃という観点ならば俺は負けない自信があるが、その状況だけではない。

むしろ、狙撃という状況自体が少ないはずだ。

だからこそ、今日の狙撃でこう相手に認識させたい。



――俺を相手に遠距離戦はダメだ、ということを



俺の遠距離戦の手札を曝け出したが、長所しか見せないようにしたのはこのためだ。

あれだけの大威力の攻撃ができる以上、危険だと思ってくれればよしなのだから。

(情報はあればあるだけ有利というわけではない・・・ってことだ)

逆に情報を出し、



相手の思考を操作する。



今回の意図はその点にあるのだ。

そして、結果は成功したと思う。だが

(なんで、俺はアドバイスまで送っちゃうんだろうなぁ)

理由としては、俺はなのはとフェイトの二人を一騎打ちさせたいのである。

あの手紙を見れば、コンビネーション戦闘に重点を置くはずだ。



なら『フェイトの個人戦闘能力はあまり上がらない』はずだ。



だが、同時に二人の戦いを見て勿体無いなぁとも思っているので、アドバイスしてしまった。

自分の性格に難儀しながら、俺は帰ることにする。

(さて・・・正直にフェイトにジュエルシードを取られたと言うか)

フェイトに関しては、背後関係に予測がついた。

今までの状況から考えるに、彼女自身はジュエルシードを必要としていないはずだ。

なのはと特訓をしているが、それでもジュエルシードの探索は行っている。

だが、現時点で見つかっていない。それに加えて、魔力を感じて現場に向かっても、すでに無くなっていることがあった。

このことから、フェイトはすでに複数のジュエルシードを回収しているはず。

そして、今日も回収しているが、何かに使う様子が見当たらない。

このことから、現時点で考えられるのは、フェイトは目的がないのに集めているか、
それとも多くのジュエルシードが必要なので待っているか。

またはその両方か。

時空管理局の人間というのも考えたが、仮にもこちらでいう警察組織。

強奪に近い形を取っているので、今回は除外した。

(ジュエルシードを集めている以上、複数必要なことは間違いないはず。
 目的については・・・フェイトにはなく、加えてフェイト自身も知らない可能性が高いな)

もしも、明確な目的があれば、俺に襲撃をかけるのは間違いない。

前回言っていた傷つけたくないということが本心でも、今回は前回と違い、俺はフェイトを『偽・マグダラの聖骸布』で拘束したのだ。

十分に攻撃の理由になるはず・・・

(・・・つまり彼女自身はジュエルシード自体に目的はない・・・
 ということは、フェイトの目的は集めるのを指示した人間、または組織。それが目的か?)

まだ幾つか予想は立てられるが、これが一番しっくりときそうだ。

まだ、フェイトのことが詳しくわからないので、詳細は詰められないが、このあたりに動機がありそうだ。

だが、それをなのはたちに伝えていいものか・・・

(・・・まだ確証もないから、俺の心に秘めて置くか)

狙撃後、考えながら歩いていたが、高町家に到着した。

「あ・・・温泉旅行の用意するの忘れてた」

抜けてるなぁ、俺。




今日の魔法訓練は平時に比べて、魔法による戦闘能力の向上が認められた。

そして、対フェイト用の訓練プログラムも同時に行われることとなった。




 魔法少女リリカルなのは Crossing of the Fate Stage7 「フェイト=テスタロッサ」 End
 Next Stage 「海鳴温泉」



NG集

フェイト吊り上げ後

「あ、ありのまま今起こったことを話すよ!
 『ジュエルシードを探すため、広域探査をかけていたら、何故か宙を舞って、あの男の子の足元で転がっていた』
 な、何を言っているかわからないと思うけど、私も何が起こったのかわからなかった。
 時空管理局とか、ロストロギアとかそんなチャチなものじゃない。もっとも恐ろしいものの片鱗を味わったよ」

「オーケー。フェイト、おまえ結構余裕あるな」

たぶん、電波が飛んできたんだろうが、この状況でそんな台詞が吐けるとは、お兄さん予想もしてなかったよ。

結論:流石に、フェイトにジョ○ョネタを本編で公開する度胸がなかった。




タイガー道場!! Stage7!!




注:)基本的に恐ろしくギャグ空間です。
   拒否反応がある方は読まないでください。



イリヤ:えー。現在、師匠はバーサーカーと戦闘中であります。



大 河:ふん! 甘いわね! 甘々よ!!

バーサーカー:■■■■!!



イリヤ:まぁ・・・普通に考えて、師匠がおもいきりくつろいでるんだから、当然よね。



大 河:今日は地獄を見てもらうわよ・・・バーサーカー!!

バーサーカー:■■■■!!



イリヤ:今回はあたしだけでやらせてもらいます。っていうか、以前言っていた掲示板の内容の予告編です。
    どうぞ!!



嘘予告



注)この嘘予告が公開されている場合、サイト管理人であるリョウさんの許可を得て公開しています。
  また、シャレが分かる方のみ読んでいただけると幸いです。



機動六課の閉課式前。機動六課演習場に謎の生物が突如出現した。その名は!?

「私の名前はビクトリーム! 『華麗なるビクトリーム様』だ! 言ってごらん?」

『か、華麗なるビクトリーム様?』



そして、機動六課と戦闘が開始された!

「我が体は『V』の体勢で待機せよ!」

(・・・何の意味が?)(ティアナ)

(か、かっこいい(よ、です))(スバル、エリオ、キャロ、ロングアーチ一同)

一部・・・いや、大多数の人間に憧憬を与えながら、激闘が開始された!



その圧倒的強さに機動六課は震撼する!だが

「我が体、撃沈!! ブルァアアアアアッ!!」

(つ、強いけどバカだ!!?)(全員)

彼はバカだった。



そして、日本の伝統が体言されたある新兵器が!

「ふはははは!! これぞ! 『こんなこともあろうかと!』作っておいた巨大ロボ!『メカビクトリーム様』だ!」(スカリエッティ)

「てめぇかぁぁっ!? こんなはた迷惑なもん作りやがったのは!!?」(良介)

(どげしっ!×10)「ぐはぁぁぁぁあぁっ!?」(スカリエッティ)

天才マッドサイエンティストが作った『メカビクトリーム様』が『ビクトリーム様』に強奪された!!



脅威の性能を誇る『メカビクトリーム様』!! それは隊長格を持ってしても変わらなかった。

「う、嘘!? ディバインバスター・エクステンションでも傷一つつかない!?」(なのは)

「トライデントスマッシャーが弾かれる!!?」(フェイト)

「くっ!? ヨーヨーが邪魔で近づけん!?」(シグナム)

「なにぃーー!!? あ、あのロボットまで分離するのか!?」(ヴィータ)

「ふははははは!! どうだ! 恐れ入ったか!『レッドロリータ!』『バストショック!』『エレキヤンママ!』『ショットサタン!』」

圧倒的な魔法防御を誇る『メカビクトリーム様』!!

っていうか、色々危険だぞ!? ビクトリーム様!!?



だが、突破口は開かれた。

「ふははははは!! この『メカビクトリーム様』は我が動きに完全にリンクしているのだ! 
 この通り。私が転んだ痛みも『メカビクトリーム様』へと伝わるからな!!」

「つまり・・・中に突入して、あんたを倒せば『メカビクトリーム様』も壊れるっちゅうことやな?」(はやて)

『・・・・・・・・・』(全員)

「し、しまったぁー!?」(スカリエッティ)

ビクトリーム様のうっかり発言と設計上の不備により勝機が見えた!!



だが、突入するのは非常に困難だった。そこに

「ローゼンはあたしたちが守るっす!!」

突如現れた謎になっていない謎の姉妹たち!!



そして、時空管理局を守るため・・・

「最高級メロンは俺のもんだぁー!!!」(良介)

「ふん! 私がいただいていくぶるぁぁぁぁー!!!」

えーっと・・・本当に時空管理局を守るためですよ? 本当ですよ?



二人はついに激突する!!



To a you side 外伝Victory 『逆襲のビクトリーム様!』


エンディングBGM:『ベリーメロン〜私の心をつかんだ良いメロン〜』


近日後悔・・・じゃなくて、近日公開予定・・・はありません。



イリヤ:・・・ねぇ、予告編も公開しない方がよかったんじゃない?



END?



大 河:ふふーん。やっぱりあたしの勝ちね。

バーサーカー:■■■■!!?

???:そういう訳にはいきません。あなたは桜を傷つけたので、全身全霊を持って倒します。加勢しますよ、バーサーカー。

大 河:な!? あ、あなたは!?




終わっとけ



あとがき

やっちまった・・・

何を公開しているのだろうか、俺は。

とりあえず、後悔はしないことにします。ええ、きっと。

今回は、主な内容としてはフェイトと(士郎は無自覚に)甘々空間を作りやがるという話で間違いないです。

拍手の返信です。

・士郎は自分を強くみせることが上手いのです。
 単一技能では負けてしまうのが、士郎クオリティだと認識してます。

・魔導「し」の件については了解しました。素で間違えていました。
 ディバインバスターの威力については、今回で追記としました。
 このSSはリリカル重視なんですよ・・・悲しいですが(泣
 色々、小細工してsts編(があれば)では、魔王に見せないように頑張り・・・たいなぁ。

・うちの大河は恐ろしい子です。
 あっという間に、その他のサーヴァントの強さを凌駕していますし。

最近、私生活が忙しいので、SSを作る余裕が少なくなっていますが、なんとか週一で投稿できるように頑張ります。






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