魔法少女リリカルなのは Crossing of the Fate 
Stage5 「もう一人の魔法少女」

side - Emiya Shirou

若干のゴタゴタは合ったものの、俺はなのはとユーノに協力関係を結ぶことができたため、良かったと思っている。

手掛かりは相変わらず少ないが、違う次元世界であるユーノと協力関係を結んだため、これからはより調査等が楽になるだろう。

ちなみに、俺とユーノとの間は名前で呼び合うようにとお願いしておいた。

あちらの世界ではどちらかというと女の子との知り合いが多いため、名前で呼び合う男友達は実に貴重だと思っている。



・・・ただ、何故だろう?これからも、女の子の友達が増えるぞと俺の本能が伝えるんだが。



ともかく、やることは増えていっているが、少ない手掛かりも増えていっているのだ。状況はマシになったと思いたい。

ところで、家族になってくれた高町家の面々。それが水面下で動いていたのだ。

元の年齢はともかく、俺の外見年齢はなのはとほぼ同じ。

故に、学校についてどうするかということ。

月曜日の夕食後、桃子さんは話を切り出したのだった。




「士郎くん。今度の日曜日に聖祥の転入試験を受けに行ってくれない?」

本当にいきなりのことである。

ちなみに今日の夕食メニューは俺が作っており、五目炊込みご飯とほうれん草のおひたし、
焼き鮭に加えて全員で摘めるように肉じゃがを用意した。

特に炊込みご飯に関しては、アーチャーをも黙らせた、俺の中で究極の一品であることを注記しておく。

全員が舌鼓を打ってくれていた矢先のことである。

「聖祥?もしかして学校ですか?」

「もしかしなくても学校よ。士郎くんも学校に行かないとね」

ありがたいんだけど、俺だけが知っている事情の関係で小学校に行くのはやはり抵抗があるのだが。

「はぁ。わかりました。それでどこに行けばいいんですか?」

とりあえず納得しとこう。

やっぱり今の外見で小学校に行っとかないと、まずいだろう。

「バスで移動するんだけど、降りる停留所はそのままだからすぐわかるわ。
 ちょっと話をしておいたから、簡単な筆記試験と面接だけだから。ドリルは渡しておくわね」

どうやら、高町母にも謎な人脈があるらしい。

「そういえば・・・その聖祥ってどんな所なんですか?」

「私立の小学校でその気になれば大学までエスカレーター「って、ちょっと待ってください」うん?なに?」

今の台詞を聞いただけでも、かなりのいいところだということはわかった。

そして、いくらなんでもそこまで世話になるわけにはいかないのである。

「いやいや・・・公立でいいですよ。そこまで世話になるわけには・・・」

「何言ってるの。もう、家族なんだから気にしないの・・・」

まぁ、そんな感じで結構全力で反論したのだが・・・桃子さんは一歩も引かなかった。

結果、出世払いということになり、基本聖祥に通うことになりそうだ。



・・・いや、強いのよ、桃子さん。あくまたちが正しく真剣に誠実に正論を言うと桃子さんになるのだろう。




追記として、俺の学力だが悪くはない。

聖杯戦争後の試験では、主に遠坂の指導(ガンドとかガンドとか中国拳法とか)により、俺の成績は急上昇している。

その後も魔術の探求のため、色々教わっていることもあるのだし。

まぁ、それ以前に成人男性が小学校に落ちるってどうなのさって感じだし。




   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



本日は快晴。

そして、なのはと恭也さんは一緒に月村邸におでかけである。

ちなみに、俺は試験後合流する手筈である。

スケジュール通りなら、試験は11:00前に終わり、その後月村邸に直接向かう手筈となっている。

「じゃ、士郎くん。また、あとでねー」

「試験がんばれよ」

と二人のお見送り、そして俺も高町家に元気に挨拶をして私立聖祥に向かうこととなった。




後になって思う。

もしも、試験が今日じゃなかったら、あんな目に合わずに済んだのに、と。




   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *




問題なく試験は終了し、俺は月村邸への道筋が書かれているメモ帳を取り出した。

合否は火曜日までに伝えるので、その後急ぎで制服を作ってほしいとのことだった。

「バスで移動して、歩いてちょっとか」

道筋に沿って歩いていくと豪邸が建っていた。

とりあえず、予想はしていた。

だって、今も歩いているが全部同じ塀だし。

「・・・おいおい」

流石に日本と言う事もあって、エーデルフェルト家に比べると若干だが小さいのだが、それでも時価にすればこちらが上だろう。

過去に滞在、または潜入などを行ったことがある欧州の豪邸と比べても勝るとも劣らない。

(とりあえず、正門はと)

そこにあるインターホンを押してみた。

その瞬間

『いらっしゃいませ。申し訳ありませんが−−』

と音声ロックが訪ねてきた。

どうやら科学が盛大に盛り込まれているようだ。

「あ、衛宮士郎です」

『声紋確認中・・・かしこまりました。どうぞお通りください』

と言って、正門がゆっくりと開いてくれた。

「へぇー。やっぱり便利だなぁ」

遠坂がアナログ派だったため、逆に俺は機械の操作に詳しくなった。

さすがに専門家には到底かなわないが、それでも基本的なことはできるのである。

だが、それで気付いたのだが



「あれ?声紋って・・・事前に登録とかってしないといけないんじゃなかったっけ?」



疑問に思いながら、俺は正門を超えた。

その瞬間



正門が凄まじい速さで閉じてしまい、なぜか知らないが、塀や正門が人間では飛び越えられないような高さになったのである。



「ちょ!?」

『迎撃!迎撃!不審者です!』



豪邸の方向を見ると、監視用のガンカメラもあるが、なぜか鉄製のロボットが大量に見えたりしている。

「・・・い、いつから日本は二足歩行のロボットが導入されるようになったんだ?」

あの魔窟である遠野家のメカ翡翠だって、量産化はまだのはずなのだが・・・

俺の世界の科学の数倍進んでいることが確認された瞬間だった。
(注:こんな家は月村邸だけです)

そんなことを考えている間に、すでに手持ちの武器を構えている。

今回はなのはや恭也さんのおまけとはいえ、俺も招かれたお客さんなのだ。

だからこそ、そう簡単にやられるわけにはいかない。

ならば

「・・・しょうがない。元々、そっちの不手際なんだ。突破させてもらうぞ」

正々堂々と突破させてもらうぞ!




ただ、俺はもう少し早く先週の日曜日の会話を思い出すべきだったのだ。

そう。『あの』恭也さんが『破壊』を選択しなければならないほど、ここの防衛装置は脅威的だということを。

俺は気付くことができなかったんだ。




interrude

わたしことファリン・K・エーアリヒカイトは少しですが、外の様子が気になりました。

(あれ?防衛装置が作動してる?また新聞の勧誘かな?)

屋敷の防衛装置は恭也様たち御神の剣士の実力を元に組み立てているのである。

恭也様が忍お嬢様と交際を始めたため、直に剣士としての最高クラスの力を拝見することがあったのだ。

そのため、セキュリティーの基準をこのように設定しているのだ。
(ちなみに正門にてレベルを判定するようになっていて、それは忍お嬢様のお手製プログラムです)



5:御神の剣士 上級  (基準:恭也様)

4:御神の剣士 門弟級 (基準:美由紀様)

3:格闘技の有段者級  (基準:格闘技の有段者)

2:身体能力に秀でた人間(基準:スポーツ経験者)

1:一般人



となっており、新聞勧誘の人は普通『1』のはずなのだが

(うーん。でも、音からして多分『4』・・・いえ、『5』のような気がします)

さすがに音が凄まじくなっているので、防衛装置のコントロールルームへ向かいました。

「あれ?ファリン?すごいよ、この子。すずかお嬢様と同じくらいなのに、レベル5を少しづつ突破していってるよ」

コントロールルームにてモニターで監視をしている同僚の言葉が耳に入ることはありませんでした。

だって、映っているのは・・・



   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



俺−高町恭也−は外の様子がおかしいことに気付いた。

今まで忍とお茶を飲んでいたが、なのはたちと昼食について話し合うため合流している。

だが、外の様子というか音響が凄くなっていた。

この音は忘れもしない。あのレベル5の防衛装置が作動している状態ではないだろうか。

「なぁ、忍。俺でも二度と味わいたくないような防衛装置が再度動いているような気がするんだが」

「そうねぇ・・・誰かしら?」

とある事情で月村は狙われやすい立場なのだが、どういうことだろうか。

いくらなんでも真昼間で、正面から襲いかかるような奴がいるのか?

だが、何はともあれ侵入者だ。しかも、忍のプログラムを信じるならば俺と互角かそれ以上のようだ。

侵入者が手錬れならば、俺が忍たちを守ってみせよう。

だが、なぜかなのは−そういえば、なのはは以前、ここの防衛装置を作動させたことがあったな−は青褪めた顔をして

「そ、そういえば・・・士郎くんって声紋登録してたっけ?」

その言葉を聞いた全員が顔を青褪め・・・いや、土気色にした。

そして

「し、忍お嬢様!?す、すずかお嬢様のお友達らしき子が!?っていうか、士郎くんが!!?ああ!?士郎くん罠を突破した!?」

俺は忍に防衛装置をストップさせるように命令をした・・・その後、忍の頭に拳骨を落としてやった。



interrude out



し、死ぬかと思った。

な、なんなんだこの悪質極まりない罠は!?

俺があくまを君臨させた時と同等の寒気というか死の危機を感じたぞ!?

だが、なぜか途中で全ての装置がストップされた。

「ど、どういうことだ?」

やっとのことで正面玄関に辿りついたのだが。

「ああ・・・士郎くんか?」

「・・・恭也さん?」

そして、恭也さんが月村邸から出てきてくれた。

「すまん。士郎くんの声紋を登録してなかったから、防衛装置が作動してしまったんだ。
 それに、忍の特性プログラムで腕前を把握した上で、罠の難度が上がるようになっている。
 だから・・・大変だったろう」

つまり、俺の腕前を正門時点で把握していたがために、このような状況になったのか。

どういうプログラムを組んだんだろうか。

「ええ。大変でしたよ。何回か裏技まで使っちゃいましたし」

魔術は裏技で誤魔化しておいた。

とりあえず、強化と投影は確実に使ったと言っておく。

「ほう・・・裏技か。後で教えてくれないか」

まずい。何か心の琴線に触れることを言ってしまったかもしれない。

「いえいえ。精々この前の訓練のときに使った中国剣型の木剣を出すことの応用ですよ」

恭也さんだが、なぜかそれ以上の追求はなかった。

・・・もしかして、人に言えないような能力を持っているのを知っているのか?

だからこそ、俺の魔術について追求しないのだろうか。

なのはたちとは別の手掛かりが見付かったかもしれん。

「そうだ、士郎くん。さすがにあの罠を突破したんだから、服がボロボロだね」

「はい・・・ていうか、普通に爆発まで起きるとは思わなかったんですけど」

「あはは・・・・・・今、ノエルさんが服を用意してくれているから、着替えてくれないか?」

と俺は恭也さんに連れられて、月村邸へついに辿りついたのだった。




   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



俺は何故こんな姿をしているのだろうか。

メイド長さん−ノエルさん−が渡された服は一般にはあまり見られることのない服装だったのは間違いない。

やっぱり、何かの宇宙意志は俺に今からでも遅くないから、転職しろと強く勧めているのだろう。

だが

「ぷ・・・ぷぷ・・・、あ、あはは。も、もうダメ!似合いすぎ!?」

この『きんのこあくま』だけはなんとかしてくれないでしょうか。

ええい。このあくま属性め!

「わ、わらっちゃダメだよ。アリサちゃん。だ、大丈夫だよ?に、似合ってるから」

なぜに目を逸らすのですか?すずかさん?

体が震えていて、必死に笑いを堪えている様に見えるんだが。

「大丈夫だよ、士郎くん。似合ってるし、か、かっこいいから!」

うん。精一杯のフォローをありがとう。

でもね、微妙・・・いや、結構盛大に口元が歪んでいるから台無しだぞ?

というか、大元の原因は

「へー。似合ってるね。用意させた甲斐があったよ」

「うん。君の家事能力を見ているたびにこの



 執事服



 が似合うと思っていたけど、予想以上だったよ」

ええ。黙りやがってください、この万年バカップル二号。(ちなみに一号は高町家夫妻)

全員が今度は耐え切れずに大笑いしやがった。

とりあえず、表情は笑顔にして

「ええ。一体どういう仕打ちなのかをこの私めにご教授願えないでしょうか?当主殿」

自分なりの痛烈な皮肉を口にしてみた。

だが、俺ではやはり迫力が足りないのか、忍さんは朗らかに笑い

「あはは。ごめん、ごめん。実はうちって女系家族だから男物の服のサイズ恭也くらいのしかなくてね。
 君が着れるのこれくらいしかないのよ」

「・・・なんで、女系家族の家に執事の服があるのかを聴かせてください」

「ふふふ。だって恭也のことだから、ある日いきなり子供になっちゃいました。っていう事態があるかもしれないじゃない」

ありません。とは言い切れなかった。だって現実に俺がそれをやってるしね。

ていうか、恭也さんも不思議人間だった・・・いや、いまさらか。

「とりあえず、恭也さんのことで色々と突っ込みをいれたいですが、まぁいいです。
 で、俺に何をさせたいんですか?」

「あら?お客様に何かさせるわけないじゃない。格好は執事でも大事なお客様よ。普通にしていてね」

と言って、鈴を鳴らした。

この家は本当に日本なのだろうか?

そして、現れるは

「こちらでメイドをしている。ファリンと言います。よろしくお願いしますね」

あのドジっ娘メイドさんだった。

「お久しぶりです。ファリンさん」

「はい。お久しぶりです」

「あれ?ファリン、知り合いなの?」

「はい。先日、お料理のことを話してくれた子ですよ」

「ああ・・・きみがそうだったの」

なぜか、忍さんの目が怪しく光ったが・・・気にしないでおこう。

後ろのメイド長さんも気にしない。こういう時は気にしたら負けなのである。

「あの。聞きたいことがあるんだけど?」

「うん?なにを?」

「ファリンなんですけど・・・何か迷惑をかけなかった?」

すずかの質問だが、意図がよく・・・ああ、そういうことか。

「大丈夫だ。精々、頭頂部に頭突きを食らったくらいだから」

「ちょ!?士郎くん!?それは秘密に!!?」

「ファリン・・・やっぱり」

「や、やっぱりってなんですか!?わ、わたしはそこまでドジじゃないですよー!?」

『いや、ドジっ娘だし』

全員が一字一句間違いなくはもった。

わたわたしていて可愛かったが(口にでてしまったため、ちょっと一悶着あったが)、
まぁそんな感じでで月村家当主との対談を済ませた。

・・・ただ、忍さん?「なんか、雰囲気が恭也に似てるよね」って、どういう意味ですか?



   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



その後、昼食を頂きテーブルなどを外に移動を行った。

俺はというと、移動後、執事の真似事をして、お茶をなのはたちにご馳走した。

飲む前は笑っていたアリサだったが、お茶を飲んで沈黙してしまった。

「く・・・なんで、あんたはこう女のプライドを根こそぎ刈り取るのかしら」

きんのこあくま様はご機嫌ななめのようだ。

「そうか?俺の周りには家事が上手い人ばっかと食い専門の人ばっかだったから、あまり気にされなかったけど」

「そうなの?でも、これは明らかにプロの仕事よ」

「なに。これくらいは練習すれば誰でもできるさ。きんのこあ・・・じゃない。アリサだってやればできるさ」

「うん。ありがとう。だけど、途中で区切ったけど何を言おうとしていたのかしら?」

「さて、前日のうちに作っておいた俺の特製、アーモンドクッキーも食べてくれ」

「ごまかすなー!!」

アリサ、お行儀が悪いぞ?

なのはとすずかが宥めてくれているから、こちらも楽だし。

ユーノは俺の肩に乗り、

(あの・・・士郎?からかってません?)

(うん?ははは。これだけからかいがいがある娘は久しぶりだよ)

率直な感想を述べてみた。

「ちょっと!なにを笑っているのよ!」

「うん?ははは。これだけからかいがいがある娘は久しぶりだよ」

ユーノに言った台詞と全く同じ台詞をチョイスしてみた。

顔を(怒りで)真っ赤にしているアリサ嬢。

「まったく嬉しくないわよ!」

「そう言うな。誇りたまえ、君ほどからかい甲斐がある娘を俺は知らない」

「こ、このエセ執事!そこに直りなさい!」

「ははは。捕まえられると思うなよ・・・金髪ツンデレ娘」

とりあえず、火種に油を注ぐのも忘れない。だって、アリサの声聞いてると、ツンデレに見えるのだから。

アリサとの鬼ごっこが始まった。

なのはたちも笑っているし、うん。成功だろう。

あっちでは俺はからかわれる側であったが、今は違う。

うん。今ならアーチャーの気持ちがよくわかる。だってこんなにおもしろいことってあまりない。

ちなみに俺は最後まで逃げ切ることに成功した。




アリサは息を荒くしているが、俺は全く平時通りだ。

「た、タフだね。士郎くん」

「まぁね」

ていうか、この程度で息を切らしていたら、セイバーたちや遠坂たちとは渡り合えないのである。

「ってあれ?なのはとユーノは?」

「あ、なんかユーノくんがあっちの方に行っちゃったから、なのはちゃんが追いかけていったよ」

ふむ。あの二人が移動している以上、ジュエルシードの可能性が高いだろう。

水曜日の夜に確認したのだが、ジュエルシードの探知能力はなのはやユーノの方が高いことがわかっている。

おそらく、こちら側の魔法と俺の魔術の相互作用が上手く行っていないのだろう。

俺では、余程集中していないと発動前に探知するのは難しい。

「じゃ、俺がなのはを迎えに行こう。あ、俺が作ったクッキーの感想もよろしくな」

「うん」

この子はあくま属性が微塵も感じられないので、俺的にすごく嬉しい。

さてと、なのはを追いますか。



   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



途中で何か結界らしき、反応があったので俺は急いでなのはたちのところに向かっているのだが・・・

いや、なんでさ。

何か大きな、いや大きな大きな猫がいるんだが

「今回もだが・・・状況がよくわからん」

あの猫がジュエルシードを発動させたのだろうということは、なんとなくわかるのだが。

予想するに、猫が大きくなりたいとでも思ったのだろうか。

いや、それじゃ安直だしなぁ・・・

と思っていたが

(あれ?なんか魔力反応が多いぞ?)

なのはと同じかそれ以上の魔力を感じるんだが・・・

ユーノじゃないし、誰だ?周りは木や葉が多くて見づらいため、もう少し近づく必要がありそうだ。

そして、ようやくなのはたちの姿を確認したが

(あれは・・・)



そこには宙に浮かぶなのはと、木の枝の上に立った、黒衣と黒いマントを纏った金髪の少女が杖を構えていた。



(むぅ・・・どうも、俺が知らない間に状況に進展があったようだな・・・良くない方向に)

自分の不運を嘆きつつも、脚部に強化を行いさらに急ぐ。

まだ、姿の確認だけで近接戦闘ができる間合いではない。

だが、



なのはが猫に注意を逸らしてしまった。



それを、好機と見た金髪の少女が



「ごめんね」



と唇から音を紡ぎだした。

放たれた魔法は金色をしており、収束された魔法弾という印象を受けた。

それがなのはに向かっていく。

俺はなのはに向けて

「熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!」

投影を行った。

今回投影した花弁は4枚。

全力で投影する時間がなかったとはいえ、俺が持ち得る盾の中で最強の物だ。

こちら側の魔法は神秘があまりない以上、これで大丈夫だろう。



そして、激突した。



結果は僅かに花弁の1枚目が削れた程度で済んだようだ。

・・・この程度の魔法なら『全ての呪いを弾く盾(フォースシールド)』でも、十分対応できることも同時に確認した。

が、なのはが閃光のせいで気絶してしまったのが問題だった。

「ちぃっ!?」

俺は全力で飛び、なのはを抱えた。抱えた体勢がお姫様抱っこになってしまったのは、不可抗力だ。

抱えた衝撃でなのはが目を覚ます。

「え・・・って、えええっ!?し、士郎くん」

「大丈夫か?」

「え、えっと・・・うん」

うん?なんか、おとなしくなったが・・・なんでだ?

「あ、あの・・・降ろしてくれないかな」

「ああ。わるいな。それと・・・」

「あの・・・無視しないでもらえますか?執事さん」

どうやら、金髪の少女が俺に話しかけてきたようだ。

一言だけなのはに伝えてから、降ろした。

まぁ、いきなり不確定要素が現れたのだから、多少なりとも情報を得ようとしているのか。

そして、気配を隠している何かがいる。

十分以上に合格点だが、俺の『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』に驚いてしまったようだ。

増援を含めて、彼女はまだまだ奥の手を持っているのか。

・・・ていうか、普通に執事さんと言わないでほしいんだが

「あなたは、何者ですか」

「何者って・・・あえて、言うならそこの・・・高町なのはの守護者だ」

「・・・見たこともない魔法・・・しかも、凄く強力なシールドを作りだした。ただの魔導士とは思えません」

会話から察するに、あの魔法弾はなのはの魔力量に合わせて構成したようだ。

だから、盾の強度に驚いているのだろう。

「悪いが、教える気はない。俺はなのはを守ると約束した。ジュエルシードの回収を手伝うと友達と約束した。
 だからこそ、この場を引く気は毛頭ない!」

叫ぶと同時に俺は黒鍵を2本投影する。

金髪の少女は突如現れた黒鍵に驚いている。だが

「フォトンランサー・・・ファイア!」

それを物ともせずに魔法を放つ。弾数は4発。

おそらく、牽制のつもりだろう。

驚きを瞬時に立て直したことから、戦闘経験を若干だが積んでいるものと見做す。

「ふっ!」

投擲。

確実に2発打ち落とし、干将・莫耶を即時投影。

いつもの要領で切り落とす。

(ふむ・・・黒鍵でも魔力を介している以上、打ち落としはなんとか可能。干将・莫耶でも問題なしと)

今後も戦闘経験があるとは限らないが、情報は多く必要だろう。

一瞬だが、少女が表情を悔しげにしているが

「バルディッシュ!」

『Scythe Form』

杖を金色の鎌へと変形し、こちらへ突撃をかけてきた。

「なのは!下がってろ!」

視界の端で、なのはが移動するのを確認する。

圧倒的な速さで少女が迫るが、俺は干将・莫耶を交差させ、衝撃を受け流す。

受け流すと同時に少女は少し間を広げ、幾度も突撃してくる。

なのはと同程度の年齢の子供だというのに、パワーも及第点だ。

そして、少女の速さは正しく疾風。

サーヴァントを除き、かつ速さだけならば、間違いなく俺の経験から検索しても五指に入るだろう。

だが、速いだけで技術自体はそれほどでもない。

俺は交差の瞬間、少し強めに弾き返した。

「アーク!」

『Saber!』

弾き返されながら、上空に僅かに間合いを作り、鎌を振りかぶり、こちらに飛ばしてきた。

左右に移動するが、微妙に方向を変更しているため、誘導弾と判断。通常手段での回避は難しい。

(回転しているため、干将・莫耶の防御も難しいか・・・ならば!)

こちらも干将・莫耶を投擲し、軌道を逸らす。間髪入れずに再投影、投擲。

二度の投擲でアークセイバーを地面に叩き落すことに成功した。

だが、少女はわかっているとばかりにこちらへ突っ込んでいる。

更に投影を行う。少女の動きは微塵も揺るがない。

だが、スピードにしても確かに速いのだが

(制御が苦手なのか)

圧倒的な速度を持つが故に、速度を制御できていない。

そのため、連打するようには動いていなく、一撃一撃の間が空きすぎている。

故に、速いのだが至極

「読みやすい」

「!?」

干将を受ける瞬間に手首を回転させ、バルディッシュを弾く。

少女の体勢が流されているうちに、首筋へ当身を狙う。



その瞬間、上空から何かの気配を感じた。



少女への攻撃を中断し、干将・莫耶にて上空からの攻撃を受け流した。

明らかに、少女よりも重い一撃である。

そして、俺は一旦間合いを取り、距離を離した。

「新手・・・いや、監視してた奴か」

「ぐるるる」

増援の正体、それは赤い狼だった。



interrude



(フェイト!大丈夫かい!?)

(な、なんとか)

正直、かなり危なかった。

あのままなら間違いなく戦闘不能にされていただろう。

(あたしが抑えているから、今のうちに封印を!)

(アルフ!?)

いくらなんでも、アルフ一人に任せる訳にはいかない。

いや、戦力がわからない以上二人がかりでも無理かもしれない。

現実に、私の攻撃は全て受け流されているのだから。

(あいつ・・・隠れてたはずのあたしの気配まで読んでた。並みじゃないよ!封印して即時離脱しないと!)

(うん・・・わかった)



何が失敗だったかといえば、今この時が一番の失敗だったのだ。



私は一瞬、心構えを解いた。解いてしまった。



「なのは!その位置から封印しろ!ユーノは、なのはへの攻撃を防御だ!」



私たちに戦慄が走った。

白い少女はすでに『Sealing Mode』への移行を完了している。

心構えを解いたのをこの少年は敏感に察知したのだ。

すでに少年は駆け出している。だが、アルフもすでに動き出している。



交差したはずのアルフと少年。

だが、勝負は一瞬。

動きを見切れなかったが、アルフの頭がなぜか跳ね上がり、少年の腕の力で地面に叩きつけられた。

「がはっ!?」

アルフの驚愕と衝撃によるダメージの声。と同時に少年は私に向かって、駆け出している。

判断に迷う。

封印か?アルフの救助か?それとも自身の防御か?

迷ったのは一瞬。防御を固めようとした。



だが、その一瞬はすでに致命的だった。



服の首の後ろの襟を掴まれ、私の体はそのまま宙を舞った。
(後に聞いたのだが、背負い投げというらしい)

「きゃぁぁ!?」

「よっと」

地面に叩きつけられると思ったが、寸前に力の調整が行われたらしく、優しく降ろされた。

「ジュエルシード・・・シリアル14、封印!」

そして、それとほぼ同時にジュエルシードが封印されたことを知った。



interrude out



ふむ。上手くいったか。

なのはを助け出した後に、隙を見て『Sealing Mode』に変形させておいてくれと言っておいた。

相手側の新手−おそらく、サポート要員−がいることを気配で察知しており、少女たちの動機はともかく、ジュエルシードが目的のはず。

デバイスを持っていたこともあり、封印を行うのは金髪の少女だと当たりをつけてもいた。

だが、同時に隠れて見ている以上、新手は余程金髪の少女を信頼しているだろうということも推測できたのだ。

ある程度互角の戦いをすれば、新手がでてきて、ジュエルシードを優先するはずだと思い、そのように戦いを進めたのだ。

そして、ジュエルシードに注意を向けた瞬間に動揺させるように仕向けた。

あとは、動揺している相手など料理するのは比較的容易い。

その結果がコレだった。

「士郎くん。封印完了したよ」

「よし。じゃ、当面の問題はこいつらだな」

金髪の少女がビクッと震えた。

何が目的でジュエルシードを狙っているのか。

組織的な犯行か。そうでなくても、他に何人いるかとか聞くべきことは山ほどあるのだ。

「まず、君の名前か・・・」

「士郎くん!危ない!?」

気配の感じるままに、干将・莫耶を頭上に掲げて、攻撃を受け流そうとする。

だが、先程の不意打ちよりも更に力が倍加した攻撃であり、さらに尋問しようとしていたため、万全の体制でもなかったのが災いした。

「ぐっ!?」

「アルフ!」

俺はなのはたちの所へ吹き飛ばされてしまう。

金髪の少女が赤い狼を見た瞬間、安堵のため息をついた。

ちっ、1時間は気絶するようにしたはずだが、浅かったか?それとも、主人の危機を敏感に察知したのか?

どちらにしても、失策だった。

そして、足元に魔方陣が広がった。

「これは!?転送の!?」

逃がすわけにはいかない。

俺は咄嗟に手持ちの干将・莫耶を投擲しようとするが、すでに転送が終わってしまった。

「逃がしたか」

「追いますか?」

「いや、こっちは誰も怪我してないし、追う必要はない」

「でも、士郎は・・・」

「いいんだ。それにたぶんまた会うことになるはずだ」

明らかにジュエルシードを狙っている以上、こちらもジュエルシードを追えばまた巡り合うだろう。

ただ、なのはが難しい顔をしていることに、俺はまだ気付いていなかった。



   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *



その後、お茶会は終了した。

戻った直後に、アリサが見事な飛び蹴りを繰り出してきたが、俺は化勁で受け流した。

アリサが転びそうだったので、綺麗に着地させてやった。

ただ、余計な一言(ヒント:アリサはスカートを履いている)を言ってしまったため、再度攻撃をされた。

なぜか、この攻撃は避けられなかった・・・それ以外は避けたけどね。

・・・何気にすずかは笑っていたなぁ。止めるなりしてほしかったよ。

まぁ、それはともかく。

恭也さんは月村家でちょっとした話し合いがあるので、先に帰ってほしいとのことだった。

その帰り道

「士郎くん、ユーノくん」

「なに?」

「私に魔法と戦い方を教えてほしいの」

なのはが驚きの言葉を発した。

隣のユーノも相当驚いている。

「なぜ?」

「あの娘・・・私が戦わないといけない気がするの。だって、あの娘は・・・」

「?」

「・・・なんでもない。でも、今日みたいなことはきっと起こるから。士郎くんたちだけに戦わせたくないんだ」

なのはが何故こんなことを思うのかは俺にはわからない。

だけど、今までのなのはが浮かべた目の全てと比べても、さらに真剣だった。

なのはの直感があの少女の何かに反応し、それを止めたいと思っている。

なら、俺はそれを手助けするべきなのかもしれない。

だけど・・・本当にいいのか?

「なのは・・・一つだけ確認させてくれ」

「?」

「戦うということは、結果的に相手を傷つけるということでもあるんだ。
 今日の戦いで、俺はなるべく、傷つけないように立ち回ったけど、それでもやっぱり傷つけたと思う。
 絶対に傷つかないなんてことは、悲しいけどないんだ。

 それでも、君は戦うというのか?」


「・・・戦うよ。戦う理由はまだ明確に出てきていない。
 あの娘の戦う理由もわからない。

 だけど、あの娘は悲しい目をしてた。そんな娘を放っておけない。

 力がほしい。彼女の悲しみを背負えるだけの強さを。

 今はそれ以上の理由はいらないよ」

・・・なのはが言った悲しい目。

俺はそれを感じ取れていない。

だけど、人のために戦いたいと願っている娘がいる。

・・・なら、俺もそれ以上の理由は要らない。

なのはの直感を信じよう。

「・・・わかった。なのはの強化メニューを少し考えようと思う。いいな。ユーノ」

「・・・わかったよ。僕も手伝う」

例え、なのはが傷つきそうになったとして、俺が守り抜いてみせる。

誓いを新たに、俺はまた一歩づつ進んでいく。



interrude



私は彼女の瞳が忘れられない。

だって、彼女の瞳は、私の隣にいる男の子と同じ目をしてた。

士郎くんとあの娘。

顔立ちはもちろん髪の色も何もかも違うけど、それでも似てると思った。

あの孤独を知っていて、どこかに行ってしまいそうな悲しそうな目。

だからだろう。私は士郎くんと友達になりたいと思い、士郎くんは友達になってくれた。

なら、あの娘だってきっと・・・きっと友達になってくれる。

そう思うから。

この人たちの悲しみを少しでも背負うことができるのなら・・・

私は戦う。

そのためにも、強く。強く。

魔法や力だけでなく、心も強くならないと。

私も今日誓う。今日からは悩むだけではなく、一歩づつ確かに歩いていくと。



interude out



 魔法少女リリカルなのは Crossing of the Fate Stage5 「もう一人の魔法少女」 End
 Next Stage 「戦闘訓練と穏やかな日常」




タイガー道場!! Stage5!!




注:)基本的に恐ろしくギャグ空間です。
   拒否反応がある方は読まないでください。



イリヤ:えーと・・・何がどうなったの?

大 河:ふふふ、苦節1週間。長きに渡る苦渋の日は今日を持って、良き思い出となったわ。
    今日この時を持って!アインツベルンの城−否!藤村城は私の物となったのだ!

イリヤ:・・・えーと。とりあえず、突っ込みとして。
    一週間は全然長くないし、どこが苦渋?寝てただけじゃない。それとなに勝手にお城を自分の物にしてるんすか!?

大 河:ふふーん、だ。今日からここはタイガー道場第2支部なのだ!

イリヤ:か、勝手!勝手すぎるっす!?ていうかセラとリズは!!?

大 河:ああ。あの二人?セラちゃんはうるさかったから、こう竹刀でぶっ叩いたら飛んでいっちゃったわよ

イリヤ:ちょっと!?

大 河:リズちゃんはいい子ねぇ。弟子一号の命令って言ったら、すぐに納得したわよ

イリヤ:騙されてる!?騙されてるから!?リズー!?

大 河:問題ナッシング!じゃぁ、ちゃっちゃと行くわよ!
    本日のゲストは、『あれ?メインヒロインなのに人気投票○位』の桜ちゃんでーす

 桜 :ふふ・・・藤村先生ってぱ・・・言っちゃいけないことぐらい弁えられないのかしら

イリヤ:ひ、ひぃーー!?い、いきなり黒くなってるっすよ

大 河:ふ。弟子1号よ問題ないわ

黒 桜:問題おおありだと思いますけどね・・・くすくす

大 河:問題ナッシング。くらえ!『全ての不条理を引き起こす竹刀(虎竹刀)』!!

黒 桜:そんな・・・も・・・のーーーー!?
    (はるか彼方へ吹き飛ばされる)

大 河:ふ、甘いわね、桜ちゃん。私の竹刀はすでに『エア』よりも高出力になってるのよ!!
    しかも、回数に制限なし!副作用もないのよ!

イリヤ:す、スゴイっす!?なんか、本格的に不条理になってますね、師匠!

 桜 :い、いいんですか?イリヤさん?

イリヤ:・・・復活はやいわね

 桜 :う、ううう・・・言わないでください

大 河:さて、本日のお題は『士郎の国外旅行(無常編)』です。
    士郎はどこに行ったかを解説したいと思います。

イリヤ:うう・・・なんで、虎竹刀を拭いてるんですか?
    とりあえず、イギリスを中心に活動していて、主に神話が多く残っているギリシャなどを中心です。

大 河:まぁ、士郎がセイバーちゃんをサーヴァントにしているため、円卓の騎士についてよく調べていることも、確認済みです。

 桜 :あと・・・やっぱり、イギリス料理が舌に合わなかったらしくて、一時料理の出店をやってました。

大 河:・・・相変わらず、料理にはうるさいのね

イリヤ:うるさくした張本人が他人事のように言うのね

大 河:てい!

(ばしっ!)

イリヤ:い、いた!?

 桜 :それはいいんです・・・ええ、それはいいんですよ・・・ふふふ

大 河:あれ?なんで、黒化しそうなのかしら?

イリヤ:あー・・・あれじゃないですか?士郎が滞在している先で女の子にちょっかい出して、人様に言えないことをしていたことが
    多々あることを思い出したんじゃない?

黒 桜:ふふふ。先輩が望むなら(ぶつぶつ)

大 河:これ以上、桜ちゃんからの事情聴取は難しそうね

イリヤ:・・・っていうか、桜、ほとんどしゃべってないんだけど

大 河:(無視)さてさて、これにてタイガー道場閉幕です

イリヤ:ご静聴ありがとうございました!



・・・・・・終わっとけ

END?


あとがき

とりあえず、順調になのはフラグは消化していると思っています。

月村邸の防犯設備ですが、基本は罠で撃退の方向で動いており、もし突破してもノエルが撃退するという鬼式トラップになっています。

これに恭也が白兵戦を仕掛けると、ちょっとした部隊なら全滅できるのではないかと思います。

ちなみに私のSSはとらハの設定も流用していますので、ご了承ください。

感想ありがとうございます。

感想は何よりも励みになるので、今後も継続してくれるとありがたいです。

指摘があれば、ご連絡ください。

あまりにも内容が矛盾している場合は、修正を行いますし、それ以外でもSS内で解説を追加したりなど、状況に応じた対応を行います。

あとメールにて感想を頂いた方もいらっしゃいますが、現在使用しているmailやウィルスソフトが勝手に迷惑メールに
振り分けていたりするので、一部の方に返信することができない状態だったりします。

設定は現在変更中ですが、念のため、返信を希望される方はメールの本文にメールアドレスを記入していただけるとありがたいです。

確認次第、返信を行いたいと思います。

メールアドレスの点については、各自でご判断ください。

長々と後書きと本文を読んでいただき、誠にありがとうございました。






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