魔法少女リリカルなのは Crossing of the Fate 
Stage2 「錬鉄の騎士 対 御神の剣士」

side - Emiya Shirou

とりあえず、なんだかんだで魔力を消費していたので、結局はお世話になることにした。

洋服については昔、恭也さんが着ていたパジャマを借りている。

ただ、黒一色だから・・・

(ふふふ・・・・・・先輩・・・・・・)

やめよう。カット!カット!カット!!

なんか怖いの思い出しかけたし。

魔力を消費していたので、俺はあっさりと眠りについた。



-interrude



衛宮士郎さんが高町家に泊まることになった。

魔力があるため、介入しようと思えば介入できてしまうだろう。

だけど、何かが違う気がする。

それが何かはわからないけど、でも・・・

僕の意見としてはこれ以上、無関係な人を巻き込むわけにはいかない。

ジュエルシードはとても危険だから。

そして、そんな危険なものをばら撒いてしまったのだから。

今は怪我なく上手く回収できているけど、これからもそうとは限らない。

だから、慎重に行動しなくてはならない。

なのはも傷つけさせないし、士郎さんにも知られないようにしないと。

あの人はなんとなくだけれど、お人好しだと思うから。



-interrude out




とりあえず、目が覚めたので瞼を開けた。

「・・・知らない天井だ」

どこぞの汎用人形決戦兵器に乗る主人公の台詞を吐いてみたが、状況は変わらなかったので虚しかった。

体を起こし、手足を伸ばし体の状態を確認する。

うん。問題なし。体のほうが勝手に修復してくれたようだ。

それはともかくやるべきことは山積みだ。

まぁ、飛ばされた経緯を考えてみよう。

だが、証拠などがないため、結局のところは推論になってしまうが。

飛ばされた時の状態をもう少し確認してみようと思いながら、俺は服に手をかけた。

そこで違和感に気づいた。

服が軽いのだ。

「・・・軽い。もしかして、投影しておいた宝石が全てなくなっている?」

遠坂が実験にかかりきりになっていたため、食事の時ぐらいしか姿を見せず、
投影してた宝石については実験後渡すというようになっていた。

故に、俺は飛ばされる前に投影していた宝石は全て所持していたのだが

「まさか・・・」

そうだ。思い返してみると実際に宝石剣を作成した時でさえ、
ウィンチェスター事件を起こしただけ(というには規模が大きかったが)で、平行世界の移動は成し得なかったのだ。

今回は宝石剣の一機能、その一機能を更に限定したテストだったのだ。

いくらなんでも、それだけで移動できるわけがない。

だが、今回俺が投影した宝石の大本は

「いいですよ。お姉さんならともかく、お兄さんだったら貸してあげます」

人類最古の英霊である「ギルガメッシュ」の秘蔵の宝石なのだ。
(ちなみに等価交換として、カレンが捕らえようとしたら、逃げられるように手伝ってほしいとのことだった。
 そんなにいやか?・・・いやだろうなぁ)

投影のため内蔵されている魔力量は若干下がったが、
それでも現代に存在するあらゆる宝石と比べても、とてつもない魔力量を誇っていた。

加えて、魔力の制御をするとされる宝石はあの中には一つたりともなく、代わりに全て魔力増幅や魔力吸収などの宝石ばかりだった。

・・・できすぎじゃね?

「多分、暴走した魔力に宝石が中てられて、一緒に暴走したんだろうなぁ」

暴走した実験用の魔術器具の魔力と暴走した宝石の魔力、加えて

「暴走を押さえ込もうとして、俺は駆け出したんだ」

投影しようと検索をかけたのは覚えているが、想像以上の早さで魔力が暴発したのだ。

そのせいで俺はなすすべもなく吹き飛ばされたのだろう。

頭を抱えて、今後のことを考えてみた。

俺は宝石剣を投影できても、それを元に平行世界に移動することはおろか、宝石剣の起動さえできないのだ。

よって、自力での移動は不可能。

大師父はどこにいるかわからない上、遠坂の魔法実験はいつ成功するかがわからない。

「・・・考えていても仕方がないか」

これ以上考えていても、あまり愉快な回答はでてこないはず。

とりあえず、起きて朝食の支度を手伝った方がよほど建設的だろう。

俺は着替えて廊下にでた。




   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   * 




廊下を出ると、昨日は気づかなかったが離れがあり、そこに恭也さんと美由紀さんがいた。

俺は近付き

「おはようございます」

「おはよう。早いな、士郎くん」

「おはよう。昨日はよく眠れた?」

「呼び捨てで大丈夫ですよ。それとよく眠れました」

うん。俺自身は丁寧に呼ばれることがあまりないため、普通に呼び捨てにされたほうがありがたい。

基本的に遠坂がからかう時や怒る時ぐらいしか、聞かない気がするし。

「恭也さんたちは何をしているんですか?」

「ああ、俺たちは剣術を習っていてね。これから朝の稽古だ」

高町家には道場があるのか。

俺も使えないかな?

「あの、俺も道場使っていいですか?」

聞くだけなら損はないかなと思ったので、恭也さんたちに尋ねてみた。

そうしたら、あっさりと美由紀さんが

「いいよね?恭ちゃん」

恭也さんも頷いてくれたし、俺は道場に入った。




程なくして士郎さんも道場に入ってきた。俺は軽いストレッチを行い、シャドーを行った。

今日の仮想相手はセイバーだ。

セイバーの剣技は雷のように速く、そして重い。

加えて西洋剣の重量で相手の武器を叩き折る戦いをする。

シャドーとはいえ、セイバーに一瞬でも油断したら、武器を叩き折られるのは間違いない。

俺は手に持った干将・莫耶の木刀バージョン(無論、投影品)を持ち、自然体で構えた。

基本的に俺の剣はカウンターだ。

相手の剣を捌き、確実に戦闘不能にするのが俺のスタイルだ。

だが、セイバー程の剣腕では攻撃に移ることがほとんどできない。

シャドーだが、迂闊に相手に攻撃しても防御されてしまう。

そのため、セイバーの攻撃が俺の防御を上回った瞬間、シャドーを中止し、捌き方からもう一度見直す。

それを繰り返す。

セイバーたちから教授を受けられない時期が長期的にあったこともあり、可能な限り実践に近い形で体を動かそうと決めていた。

そこで俺はシャドーの相手を変えながら、連日繰り返している。




シャドーを行って約30分ほど経過したが、士郎さんがこんな提案をした

「よし、恭也。士郎くんと模擬戦をしてくれ」

その言葉で全員は驚いていた。

「ちょ、ちょっと父さん!?」

「いや、動きを見ていたんだが・・・士郎くん。君の実力を確かめてみたいんだ」

俺の動きから何かを感づいたのかもしれない。

士郎さんの実力の高さは読み切れなかったが、高町家の誰よりも優れていたのはわかっている。

だが、何故恭也さんとの戦いなのだろうか。

「いやな。恭也もそろそろ師範代級の実力になってきたと思うんだが、他者との戦闘経験が少なすぎる。
 その点、士郎くんなら申し分なさそうだ」

「・・・父さんもそう思うのか?」

「恭也・・・油断したら即座に負けると思え」

「ああ。動きを見てたから、それはわかっている」

どうやら士郎さんの親心のようだが、今の恭也さんからランサーの匂いがちょびっとするのは何故だろう?

ついでに士郎さんからも感じますよ?

「というわけで、士郎。手合わせをお願いする」

クールな表情なのだが、その心は猛っており、実に楽しそうだ。

・・・実はこの人バトルジャンキーだったのか。




小太刀という武器がある。

今、恭也さんが使用しているのは小太刀の姿をしている木剣だが、面倒なので小太刀と明記する。

本来の小太刀は守りのための刀剣であり、熟練者が扱うと真実鉄壁である。

そのため、攻撃力では若干劣るとされている。

その前述の武器を恭也さんは使用している。

だが、目の前の恭也さんを見る限り、懸念は全く心配ないようだ。

一瞬で俺の間合いに入り込み

「ふ!」

空を切る音が迫る。

その攻撃は正しく疾風だろう。

「せっ!」

木剣が甲高い音が響き渡る。

だが、恭也さんの空いた片方の小太刀が俺に襲い掛かる。

二刀流を扱う流派は実の所、凄く珍しいとされている。

第一の理由として、刀剣は重いということだ。

だが、目の前の恭也さんは如何に小太刀といえど、片手でそれを御し、凄まじい連撃を加え、足捌きも見事だ。

どれほど鍛錬を積んだのだろうか。

思いながら防御するが、またしても左右から風を切る音がする。

感心ばかりはできない。

俺と恭也さんの戦いは始まったばかりなのだから。




side - Takamachi Shirou




今、士郎くんは恭也の連撃を捌ききった。

明らかに年に似合わない錬度だった。

「美由紀へ打ち込むのより速いはずなんだがな」

「俺はともかく、俺に戦い方を教えてくれた人たちはとんでもない人たちばかりでしたから」

戦いの場でありながら軽口を叩いているが、両者の目は隙を探している。

「す、すごい・・・士郎くん、あっさりと恭ちゃんの攻撃を捌いた?」

美由紀も驚愕している。

まぁ、無理もない。

見た目がなのはと同い年くらいの子供がここまでの練度を持っているとは、普通は思えないだろう。

だが、驚いたのはここからだった。

恭也は士郎くんとの間合いを詰め、斬撃を放つ。

斬撃は鋭さと速さを増しながら、士郎くんに打ち込まれていく。

だというのに、それらを全て目で見、軌道を把握しそれを捌いている。

確かに、それ自体は確かに基本だがここまでのレベルで再現するとは。

(防御だけなら、恭也と互角以上か?)

一合、二合、三合・・・果てなく続けられる恭也の連撃と捌く士郎くん。

だが、士郎くんの右側頭部に僅かだが隙ができ始め、それは徐々に大きくなっていく。

(少しづつだが隙ができてきた・・・これなら恭也の勝・・・ち!?)

隙ができたと思われた側頭部への攻撃を、右手の木剣で難なく防御し、左手の木剣で攻撃を加えている士郎くんの姿があった。

「っ!!?」

恭也も驚愕の表情を隠せずにいた。

恭也は後ろに体を引き、それを避けたが、逆に士郎くんが追撃した。

その斬撃は綺麗な円を描きながら、恭也の体に吸い込まれる。

恭也はそれを受け流しながら、体勢を整えた。

この攻防を見て気づいた。

((まさか・・・自ら隙を作っていたのか!?))

奇しくも恭也と私は同時にその回答を得て、戦慄を覚えた。

あの隙の作り方は非常に自然だったのだ。

つまり、士郎くんは恭也の技量のほとんどを見切った上で、不自然がないように隙を作ってみせたのだ。

一体どれほどの戦闘経験を積んでいるのか、予想がつかない。

だが、逆に少しだが士郎くんの底が見えた。




彼は防御こそ神業じみているが、攻撃に関しては一流の域にはまだ到達していないということ。




もし、一流の域に到達していれば先程の一撃で恭也は敗れていただろう。

(腕前に関しては見積りが甘かったか)

俺は少しだが、懸念していた。

−もしかしたら、士郎くんが「龍」の者ではないかと

倒れて病気ということを装って、家族を襲うのではないか。

そう思っていた。

だが、鍛えられた剣腕と彼の目をみてそれはありえないと確信した。

(これほどまでに純粋に努力を重ねられる人間を疑うとは・・・俺も修行が足りない)

剣士として、そして一人の人間として恥すべきことだ。

だから。



−俺は恭也に伝えた。
 目の前にいる少年と純粋に競い合えと。



「恭也!今までにお前に教えた全てを士郎くんにぶつけろ!」




side - Emiya Shirou




士郎さんからの指示を聞いた恭也さんの雰囲気が変わった。

(なんだ?)

「士郎」

「?なんです?」

「きみは・・・強い」

穏やかに紡がれる言葉だが、逆に圧迫感が増している。

この感じは・・・何かまずい。

「ここからは、ただの剣士ではなく・・・『御神の剣士』として相手をさせてもらう!」

(速い!)

相手の速度がまた速くなった。

だが、見えないほどじゃない。

先程と同様に捌こうとした。

その瞬間

「!?」

俺の捌こうとした木剣を小太刀はすり抜けた。

(くっ!?)

何が起きたのか判別できない。

考える前に俺はその一撃を回避した。

だが、追撃が迫る。

「はぁぁっ!」

(さっきまでと気合が違う!?)

自己暗示。

これは試合において重要な要素なのは、間違いない。

何故なら明確な目標を持ち、相手に振るわれる剣とただ振るっているだけの剣では

速度が違う。
鋭さが違う。
そして何より、重さが違うのだ。

おそらく、今までの恭也さんも本気だったが、ただ心の中で本気だと思っていただけだ。

今は違う。

あの攻防で俺はやばいスイッチを押してしまったようだ。

今の恭也さん心の奥底まで完全に本気になっている。

(原理は詳しくわからんが、ガードをすり抜けるのなら!)

この手の技は、自分の動きを予想させた上でタイミングを調整するか、俺の動きからタイミングを読んだりするところから始まる。

つまり、戦闘のリズムをどうにかすることが第一条件のはずだ。

ならば、相手の思惑を外す動きをすればいいのだ。

先程までは受ける防御だったが、今からは

(思い切り打ち付ける!)

攻める防御に切り替えた。



だが、



そんな小細工。



なんの役にも立たなかった。



打ち付けた木剣からの衝撃が体に走った。

木剣ではなく、体に直接走ったのだ。



「ぐぅ!?」

衝撃で木剣を落としそうになる。

呻き声を上げながら、後ろに後退する。

だが、またも疾風となって恭也さんは襲い掛かる。




袈裟、払い、逆払い、振り下ろし・・・




視界全てを埋め尽くすかのごとき、剣撃。

全ての攻撃を目で追うのが困難になってきた。

(今の状態で受けきることはできない!)

ギリギリのところで回避しながら、思考を働かせる。

ガードをすり抜ける斬撃−『貫』−と衝撃が走る斬撃−『徹』−。
(後に技の名前は聞いているため、これより下にある地の文は技名で記載します)

俺の目でも、どちらが使われるか・・・モーションから判断できない。

(衝撃が走る斬撃はともかく、もう片方なら!)

『貫』に対しては、(困難だが)いつも俺が使用する自ら隙を作る剣技を応用し、全てのタイミングを操作すればいい。

だが、『徹』に関しては勝手が違う。

元々、俺の剣は相手の攻撃を捌く所から始まるが、『徹』はその第一前提を呆気なく打ち壊しているのだから。

(最悪の場合は、掠るのを前提に全部避けるしかない!)

相手の攻撃が速過ぎるので全てを避けるのは絶対に無理だ。

だが、それをやらなくては勝てないのなら、俺はそれを実行する。

常に1%、またはそれに満たない勝率を拾い上げ、勝ち上がる戦い。

それが




衛宮士郎の戦い方なのだから




一歩を踏み出し、相手の攻撃を叩き落した。

先程よりも少ないが、衝撃がダイレクトに伝わる。しかし、俺はそれを無視する。

無視して、僅かな−隙とはいえないような−隙を見計らい、攻撃する。

驚いたような表情を恭也さんは浮かべるが、即座に一歩引いた。

情報を収集するための、感覚が鋭くなる。




見逃すな。相手は剣士としては間違いなく格上。




2流の俺では絶対に到達できない領域への才能を持つ男だ。




(やはり、どの攻撃からでも今の技は放てるのか)

『徹』に関して感じたことは、今のように攻撃を叩き落せば若干だが緩和できること。

だが、それでもいつまでもできるものではない。

今のは不意打ちに近い形だったからこそどうにかなったが、やはり連撃に対応させることはできない。

そして『貫』に関しては、間合いをもとに戻したことから、必要な条件があり、それが戦闘のリズムであるという推測を強めた。

(この条件で戦闘理論を組み立てると・・・やはり、可能な限り回避すること。そして、全てのリズムを変えなければならない、か)

非常に困難であると言わざるを得ない。

恭也さんの斬撃は非常に鋭く、普通に回避するのさえ困難なのに、加えて全てリズムを変えろというのだ。

さらに、意識してリズムを変える以上、反射的に受けることも困難にしている。

(くそ。せめてもう少し情報が拾えれば)

だが、ここで一つの転機が訪れる

「恭ちゃん。士郎くん。戦ってる最中に申し訳ないんだけど・・・」

と、美由紀さんが

「もうすぐ朝ごはんの仕度始まっちゃうから、そろそろ終わりにしないと」

この戦いの終幕の鐘を鳴らしてくれた。

だが、恭也さんは構えを解かなかった。

「士郎くん」

そして、士郎さん(今思ったけど、ややこしいな)がロスタイムを告げた。

「なんでしょう?」

「聞いての通りだ。時間がないので最後の勝負だ。・・・恭也も、な」

そう言って、恭也さんが後方へ軽く跳び、間合いを開けた。

驚愕する。

着地と同時に、恭也さんの纏う雰囲気が俺の知っている訓練相手の、その「必殺の一撃」の雰囲気に似ていた。

(これは・・・アサシンの「燕返し」やランサーの「刺し穿つ死棘の槍(ゲイボルグ)」を使う前の空気に似てる!?)

「これが俺の・・・いや「御神の剣士」の奥義であり」

−回避しろ。と本能が警鐘をならす。
 この感じは俺が経験している戦闘理論から導き出される確信だ。

あれは剣士として、最高の領域の技であり・・・

−殺気が背中に集中している。

必殺の一撃だ!

−反射で避けろ。喰らえば負けだ!

いつものごとく、脳から直接情報が来ているかのような錯覚を受けた。

「俺の最後の一撃だ」

「最後」の時点で、後ろに重心を込めながら、体を反転させた。

反転中、すでに前方にいたはずの恭也さんの体が見えなくなっている。

「『薙−」

反転先で姿を確認する。

何時の間にか、小太刀はすでに抜刀術の体勢となっている。

そして、力ある言葉が

「旋!!』」

解き放たれた。

高速の四連抜刀が迫る。

一刀目を回避し、二刀目は右の木剣で受ける。

三刀目を左の木剣で受けきった。

だが、ここで詰みだ

俺は四刀目を回避するのは不可能だ。と判断した。

腕が三本あるか、または偶然に縋るしかない。




そして、偶然は起きた。

浮かせていた踵を地面に付けた瞬間、俺は滑って後ろにそのまま倒れた。




本当にギリギリの防御していたため、受身も取れなかった。

感じからして汗で滑ったようだ。

あの高速の四連抜刀にもし鞘があれば、俺は三撃目の防御さえ不可能だったはずだ・・・

「む。偶然に加えて、鞘で剣速を加速させていないとはいえ、恭也の『薙旋』を避けたか」

見物していた士郎さんの感心、いや驚愕の声か?

そこには、四刀目を振り抜いている恭也さんの姿があった。

勝負は以前付いていない。

俺はあの高速の四連抜刀−『薙旋』と言ったか?−を避けたとはいえ、すでに転んでいる。

すぐにでも動けば決着は付くはずだ

だが

「俺の負け・・・か」

恭也さんは負けを認めた。・・・はい?

よほど俺は間抜けな顔をしていたのか。

「言っただろう。俺は今の『薙旋』が最後の一撃だと。それを避けられた以上、俺の負けさ」

「そんな・・・どう見たって、恭也さんの勝ちです!」

「だが、俺は・・・」

「いえ、これは譲れません・・・」

こうして俺と恭也さんの戦いは、両者が相手の勝ちを主張して終わるという妙な結末となった。




   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   *   * 




結論を述べると、戦いは引き分けということになった。

「恭也も士郎くんもいい戦いだったぞ」

とのことだった。

まぁ、褒められたのだし、納得はできないけど、納得するしかない。

俺自身の欠点も見つけられたことだし。

「風呂が沸いているし、道場を片付けたら入ってきなさい」

と言われたので、折角だから、厚意を受け取ろうと思った。

−この言葉を聞くまでは




「じゃ、士郎くん。一緒に入ろうか」




・・・・・・は?美由紀さんと!?

「ちょ、ま!?な、なんでですか!?」

「なんでって?」

「い、いや!?え?だ、だって俺、男だし・・・」

我ながら凄まじい狼狽だと思う。

そして、俺は今日新たな真理を俺は手に入れた。




無邪気な一撃は時に凄まじい威力になるのだ。

「え、でも士郎くんは『子供』じゃない」




・・・・・・泣いてない。俺は泣いてなんかないぞ・・・・・・orz





ちなみに、美由紀さんは意外に着痩せしていることを風呂場で確認しました。

そして、体を丁寧に洗われました。




・・・ちょっと、気持ちよかったので自己嫌悪になっています。




 魔法少女リリカルなのは Crossing of the Fate Stage2 「錬鉄の騎士 対 御神の剣士」 End
 Next Stage 「海鳴探索」



タイガー道場!! Stage2!!




注:)基本的に恐ろしくギャグ空間です。
   拒否反応がある方は読まないでください。




イリヤ:Stage2「錬鉄の騎士 対 御神の剣士」如何でしたでしょうか?

大 河:ふむ。作者はどちらかというと戦いが苦手らしいから、出来の良し悪しが判別できないわね

イリヤ:まぁ、シロウの戦闘技能に関しては本編のアーチャーを見て、これぐらいならできるんじゃないかなぁ。
    という観測を元に作っているのよね

大 河:ま、それはともかく今回は剣術がでてきたので、士郎の剣術や訓練方法について解説するわよ。
    ちょっと、纏めたから下見てね。

   ・士郎の剣は基本アーチャーと同じで、とにかく防御して反撃。
   ・徹底的に実戦に使うもののみを昇華している。
   ・基本である「干将・莫耶」での戦い方は、その他の武器でも同じように戦う。
   ・訓練相手は肉弾戦が得意な相手に依頼して行っている。

大 河:こんな感じね。

イリヤ:一番上と二番目はその通りだけど、三番目は明確に描写されていたっけ?

大 河:三番目に関しては明確に描写はされていないけど、基本的に士郎は才能がありません。
    だから、結局のところ戦い方は限られているので、今回は戦い方を統一しているという設定にしています。

イリヤ:あと、最後の訓練相手はセイバーだけじゃないの?hollowでライダーの戦い方を使用したら、凄くセイバーが怒ってたじゃない。

大 河:それなんだけど、hollowの後、一部のサーヴァントに説得されて渋々納得したらしいの。
    曰く、士郎の戦い方は経験に左右される。にも関わらず他の者と戦わないのは意味がない。って

イリヤ:うーん。理屈はわかるけど、セイバーそれで納得したの?

大 河:セイバーちゃんは理があれば、承諾するわよ。ただ、個人的に納得できなくて、しばらくは不機嫌だったけどね。

イリヤ:ふふ。セイバーらしい。ま、正しいことを素直に聞くことができるからセイバーは偉いわね。
    どこかの誰かさんとは大違い。

大 河:そうよね。説得しても全く聞かない誰かさんとは大違いね。ところで、誰かさんって誰?

イリヤ:・・・あ、師匠も知っている人ですよ。(誤魔化しておこう)

大 河:そっかー。ひどいなぁ。

イリヤ:・・・それはともかく、今回誰かFateキャラは呼ばないんですか?

大 河:うーん。次回から呼ぶ予定よ。今、出演交渉中なのよ

イリヤ:え?交渉中ですか?

大 河:っていうか、今頃大乱闘になっているはずよ。
    ・・・とりあえず、黒い極光が見えたから逃げてきちゃったけど。

イリヤ:・・・も、もしかして血で血を洗う大戦争状態になっているでありますか?

大 河:というよりも、聖杯戦争よりも苛烈になっているみたい。
    収集つかない感じだったし。

イリヤ:あ、あの師匠?も、もしその勢いのままこられたら、シロウより先に私たちがBAD END になっちゃうんじゃ?

大 河:・・・考えられるわね

イリヤ:・・・

大 河:・・・

2 人:・・・・・・・・・(沈黙中)

イリヤ:じ、実家のお城に戻らさせていただきます!

大 河:ちょ、待ちなさい!それだと、この道場が打ち切りよ!?

イリヤ:し、師匠は命と出番どっちが大切なんですか!?

大 河:どっちもよ!

イリヤ:即答!?い、いや、確かにどっちも大切だけど。

大 河:いい!?仮に今の状態で打ち切りになると、逆に戦争という爆弾にガソリンを撒き散らすことになるのよ!
    だったら、生き残れる可能性があり、かつ出番も貰える様に頑張りましょう

イリヤ:・・・わ、わかりました。師匠・・・シロウじゃないけど、退路はないんですね

大 河:その通りよ!では、みなさん。ばいびー

イリヤ:(な、なんでこんなに軽いの?)


終幕


後書き

本編でもオチはつけてみましたが、いかがでしたでしょうか。

美由紀嬢ですが、士郎という弟分ができたので、現在舞い上がっていますが、それだけです。

決してフラグは立てていませんのであしからず。

とりあえず、戦いに関しては今はこれぐらいが精一杯です。

今の自分の実力ならBESTなんじゃないかなぁ、とも思っていますが、どうでしょう?

毎度のことですが、ご指摘がありましたら、お知らせください。

タイガー道場もなぜか、道場主と弟子1号の命の危険性が増大しましたが、こちらは仕様です。

黒い極光については皆さんのご想像にお任せします。

では、次回の後書きにて会いましょう。





作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板

に下さると嬉しいです。