魔法少女リリカルなのは Crossing of the Fate
Stage10「暴走」

side―Emiya Shirou

とりあえず、アルフの攻撃を回避した俺は遠慮なくマンションの中に入った。

「おい!」

「あれ? フェイトはどこだ?」

「おいって言ってるだろ!?」

「なんだ?」

「なんであたしは縛られてるんだ!?」

まったくわかりきったことを。

そこにいるのは『偽・マグダラの聖骸布』で縛られたアルフだった。

「いきなり殴りかかるような娘をそのままにしておくわけないだろ?」

「じゃぁ、あんたはなんで声を変えて呼びかけたんだい!?」

「そりゃ、おまえをからかうためだ」

まったくわかりきったことを・・・

俺をぶん殴りたいだろうことはよくわかるが、その程度では外れないぞ?

「ぐ!? な、なんでただの布がこんなに丈夫なんだ!?」

「そりゃ、おもいっきり強度を強化してるからな」

「ただ布を強化しただけだってのかい!?」

なんか驚愕しているが、それはそれだ。

「ま、悪かったよ。ほれ。開放するから」

「・・・なんで、あんたは自分が悪く無いかのように・・・」

ははは。ホントに悪いとは思って無いからに決まってるじゃないか。

とは、言わないでおこう。これ以上の騒動は流石にまずいだろうし。

「で、フェイトは?」

「そこのソファで寝転んでいるよ。変なことしたら、承知しないよ」

この角度からではフェイトの姿がよく見えないので、正面に移動した。

ん? フェイトがぐったりしているような・・・

「・・・っ!? 士郎!?」

俺の姿を確認するなり、なぜかいきなり跳ね起きるフェイト。

だが

「っ痛!」

と言って、また寝転がってしまった。

なんだ? なのはとの戦闘でそこまで大怪我を負ってはいないはずだが・・・

怪我の箇所は背中か。

「フェイト。背中向けなさい」

「はい?」

疑問符を浮かべながらも、素直にフェイトは背中を向けてくれた。

俺は背中にそっと触れてみた。

「っ!??」

表情は見えないが、痛そうに歪めていることは想像がつく。

取り出したるは、先日指輪と一緒に作り上げた傷薬。

そして、俺はシャツをたくし上げようとして・・・





「・・・・・・あ」





いけないいけない。このままだと、アルフにぶん殴られるところだ。

と思っていたら





「何をしようとした! この色ボケ小僧!!」





俺は後頭部に凄まじい威力の蹴りを食らったのだった・・・

く・・・やるな、アルフ。





1秒で復活。

「痛いじゃないか」

「あんたは・・・今、フェイトの服に手をかけて何をしようとした!?」

「ふぇ!?」

あ、フェイトが驚いている。

まぁ、普通異性に服を脱がされかけるなんて、この年ならないだろうし。

「いや、流石に途中で気が付いてさ。アルフ、俺が調合した傷薬使ってみてくれないか?」

「・・・効果の程は?」

「俺の友人が俺に中国拳法の絶招・・・あ、奥義のことな。それを使われても、すぐに痛みが引くし、傷の治りが早くなる」

「・・・あんたの友人も大分変人だな」

ほっといてくれ。俺も気にしてるんだから。

さてと。

「じゃ、台所借りるぞ」

「何をする気だい?」

「台所を使うなんて、料理が一番最初に思いつくんじゃないか?」

「そうかもしれないけど、あんたと料理は結びつかないよ」

そうかそうか。なんか久しぶりに嬉しい台詞を聞いた気がする。

だが、今の俺は料理人なのだ。もういい。誰になんと言われようとも、調理をしようとしている時は、俺は料理人を名乗ることにしよう。

「ふ・・・俺の料理を見て、感涙の涙を流したまえ、アルフ」

「・・・あれ? あたしなんか対応間違った??」

なんか、後ろが騒がしいが俺は振り返らない。

さて。何があるかな?

・・・あれ? 思ったよりたくさんあるな。

肉が多いのは、まぁご愛嬌だ。

だけど、調味料とか使った様子が欠片も無い?

「なぁ、アルフ? 何使っていいんだ?」

「なんでもいいよ。フェイトが何も食べてくれないから、溜まる一方だし」

「・・・わかった。フェイトに料理の素晴らしさを教えてやる」

「・・・あんた。なんか怖いよ?」

アルフの言葉は無視。

さぁ―調理開始(トレース・オン)―だ。





で、今回俺が作った料理は、醤油で味付けした桜飯。
お手軽で簡単に作れる鶏の煮物。
日本だから味わえる豆腐と大根のお味噌汁。 フェイトは食が細いようなので、徹底的に肉の油を抜いた、串焼きだ。
あと、近場のスーパーで急遽野菜を買って作った、和風サラダである。

あるものだけで、調理したのだ。

あまり、手を込められなかったのはしょうがない。

それと申し訳ないが、俺は帰りが遅くなると桃子さんには伝えてある。

なのはに電話を代わるかと聞かれたが、それは丁重に断っておいた。

「さ、食べなさい」

「う、うん」

なんか、手が恐る恐るという感じで箸を伸ばしている。

そんなに不安なのだろうか。

ご飯を一口頬張り、目を見張り・・・

「・・・美味しい」

「ん。そうか」

俺も簡単に頷きを返した。

やっぱりこの娘は素直だ。美味しいものは素直に言ってくれる。

「へぇ・・・やるじゃないか」

「・・・そっちは鶏を丸ごと焼いたものを、おもいきり頬張るな!」

アルフは肉が良いとのことなので、スパイスを聞かせたインド風の鶏の丸焼きを作ったのだが・・・

元が獣とはいえ、人間の娘の姿・・・しかも、かなりの美人さんなのに、そんな食べ方をするんじゃない。

もとから、女性に対しての幻想は粉微塵に消えているが、それでもあんまりだ。

「いいじゃないか。美味しいんだし」

「・・・はぁ。もういいよ」

文句言っても、多分聞き流されるだろう。

それはともかく。

「で、傷の具合はどうだ?」

「・・・大丈夫です。薬も効いたから」

一瞬、フェイトの表情が強張った。

・・・間違いなく、戦いの怪我ではないはずだ。

今のフェイトの表情がそれを物語っている。

「・・・何をされたかは聞いちゃダメか?」

「・・・はい。ごめんなさい」

本当に申し訳なさそうな顔をしている。

そんな顔をされると、これ以上追求できないじゃないか。





「でもな・・・俺はフェイトのことをなのはと同じ位大事だと思ってるから、無理するなよ」





うん。俺は友達だと思ってるし、なのはと同じ位大事に思っているのも本当だ。

これは紛れもなく俺の本心だ。

・・・本心なんだが・・・あれ? 何か対応まずったか?

なんか、フェイトの顔がものすごく赤くなってるんだが・・・

「・・・あんたって・・・鈍いとかスケこましとか言われないかい?」

「・・・なんでそれを・・・」

「・・・しかも天然か」

なんだろう? 非常に納得できない評価を貰った気がする。





で、フェイトがジュエルシードを探索しようとしたのだが、俺はフェイトを拘束し、ベッドに縛り付けた。

これでよしと。

「よしじゃないだろ!? 何をしてるんだい!?」

「いや。フェイトがジュエルシードを探索しようとしてるから、動けなくしてるんだが」

あんなに痛そうなのに、動くなんて身体に悪いに決まってる。

俺のことはスルーしてくれ。

「・・・確かに身体に悪いとは思うけどさ・・・なんか間違ってないかい?」

「些細なことだと思うぞ?」

アルフの疑惑の視線が強くなるが、気にしない。

とにかく、フェイトに伝えておこう。

「フェイト。君の身体はもの凄く体調が悪いと俺が勝手に判断したから、今日は休みなさい」

「いやです」

「ちなみに言うことを聞かない場合は、明日一日、海鳴公園をその姿で引き摺る・・・」

「わかりました」

「はや!?」

ふ。やはり、フェイトはものすごく『偽・マグダラの聖骸布』がトラウマになったようだ。

わかるぞ。俺もそうだから。

そのうち、アルフも分かるさ。





で、俺はなのはの所に向かったのだが・・・

「・・・」

あれ? なんか怒ってる? なのはさん?

俺と目を合わせようとしてくれない。あれ?

「なのは?」

「・・・」

また無視された? どうしたんだろうか?

(ユーノ、ユーノ。なのははどうしたんだ?)

(・・・知らないよ。君がなのはへ連絡をしなかったことぐらいじゃないか?)

ああ・・・あの時の電話か。

ユーノが怒っているのはなのはを不機嫌にさせたからだろうが、そこまでなのはが怒ることだろうか?

あの時は、急いでいただけなんだが。

「おーい・・・なのは?」

「・・・・・・」

で、黙々となのはは練習を行っている。

はぁ・・・しょうがないか。

「これは独り言だから、聞き流してくれて構わないぞ」

「・・・・・・」

「今日の朝に渡した指輪だが、少しだけでもいいから魔力を流すと、それだけで障壁が張れるはずだ」

指輪の使い方を教えていないから、丁寧に独り言と称して伝えておこう。

「とはいえ、あくまでも一時的なものだから、たぶんなのはが張る障壁の方が強いと思う。咄嗟の防御以外では使用しないようにしてくれ」

「・・・・・・」

「なんなら、実地練習をするから手を出してくれ」

ぴくっ、となのはが反応して俺のことをちらっと見て

「・・・練習・・・手伝ってくれる?」

「当然だろ」

と返したら、なのはが笑みを浮かべて

「えへへへ」

そのまま手を前に出した。

よし。訓練開始と行きますか。





予断だが、ユーノの目が白かったのだが・・・どういうことだろうか?





場面が飛ぶが、翌日の学校だが、なのははアリサとすずかに今の状況(まぁ、魔法とかはぼかしていたが)を伝えた。

アリサはというと、もうちょっと頼りなさいよ。となのはに言っていたが、声に明るさがあったので、怒っているわけではなさそうだ。

問題があるとすれば

「ふ・・・アリサに相談? 暴発娘に相談して爆発するかもしれないのに、そんなことできるわけないじゃないか」

と言ったら、アリサが怒って飛び蹴りをしたことだろう。(俺は無論避けたが)

ただし、教室でやったから

「し、白だ」

「ああ、白だ」

「うん。白はいいですな」

などと、男子がコメントを残した。そして『衛宮様!』と俺に向かって、男子陣は土下座してきた。

まぁ、こんなことすれば当然だが、アリサは怒る。

「ふん!」

と言いながら、俺に土下座していた男子陣を纏めて、飛び蹴りして吹き飛ばした。

・・・ただ、なんか男子が至福の表情をして、気絶していたので、非常に不気味だったのだが。

・・・そして、この瞬間、後に一大勢力となる『ツンデレ=アリサ様を愛でる会』の初期メンバーが決まったらしい。

が、俺は関与していないので、あしからず。





で、今日は家庭科の授業だ。

最近は、こんな低学年でも家庭科があるのか・・・

先生の手縫いのお手本を行って、それを真似するのだが・・・

見たところ、あまり上手くないな。

確かに針に糸を通すのは難しいと言っているが、慣れてしまえば問題ない。

俺はさっさと針に糸を通し・・・

「よっと」

今日の本題である、タオルから雑巾をあっという間に作った。

そして・・・

「えっと・・・衛宮くん?」

「はい?」

「ず、随分早いけど・・・もしかしなくても家事得意?」

「・・・認めたくないけど、大得意です」

と答えたら・・・

毛糸玉を渡されて・・・

「君は好きな物を作ってなさい」

と言われた。

その一言で、何故か女子の大部分が落ち込んでいた。

え? 何? 俺って先生から見ても異常なのか?

なのはも『うんうん』って頷くな。





まぁ、そんな感じで俺の学園生活も安定してきた。

で、俺が知りうる範囲の俺の評価だが、以下の通りだ。

『高町家の婿』『光速の足と神速のインパルスを持つ男』『雑学王』『地雷を絶対回避する男』

などと、一部微妙な評価もあるが、まぁ良しとしよう。良しとしないとやっていけない。

なのはとアリサ、すずかの共通認識は

『超絶有能執事』『天然ジゴロ』『ニブチン男』などだ。

・・・なんだろう? 目から汗が出てくるよ?





で、放課後はなのはの訓練とジュエルシード集めが主に活動している。

今日は訓練を中止し、夕食までジュエルシードを探すこととなった。

だが、最近フェイトの行動が早いこともあり、俺たちはジュエルシードをまともに集められていないのだ。

「ユーノ・・・最近、ジュエルシードの反応自体が少ないと思うんだけど、どう思う?」

「ジュエルシードの数は全部で27個。約半数が回収されていることもあるけど・・・地上のジュエルシードの数が少ないからだと思う
 だから、そろそろ違う場所を探さないと」

「地上以外の場所といえば・・・海か」

「次からは海も捜索範囲にする?」

なのはからの質問を首を横に振って

「たぶんだけど、ほとんどは地上に落ちたはずなんだ。ジュエルシードを発動させるには、動物とかの力が必要だから」

「うーんと・・・つまり、生き物に引かれて落ちた可能性が高いってこと?」

「そうだね。だけど、海にも生き物はいるから、海に落ちてる可能性は高いと思うよ」

「海の探索は後日に・・・ん?」

何故か、膨大な魔力反応を感じた。そして、遅れてジュエルシードの反応が出てきた。

膨大な魔力反応はフェイトの魔力に感じた。

「今の魔力はフェイトだと・・・」

「まさか・・・強制的にジュエルシードを覚醒させようとしているのか!?」

ユーノの驚きの声と内容から考えて・・・ヤバイな。

「なのは。急いでフェイトのところに向かって、止めてくれ。俺もすぐに行く」

「うん」

「ユーノ・・・最悪、ジュエルシードを破壊するが、問題ないか?」

「・・・奪われるよりはマシだよ。お願いする」

ユーノからの了承を得たし、最悪破壊させてもらう。

俺の中で、すでにジュエルシードは第1級の危険物だ。必要なら、宝具を使用してでも破壊させてもらう。





俺は『ヘルメスのサンダル』を投影して、現在空中に浮かぶ二人の主従コンビを見る。

つまり、フェイトとアルフの二人と現在対峙している。

「あのジュエルシードは私が封印する。邪魔をしないで」

「私だって迷わない。あなたに勝って、封印する。それに伝えたいことがある!」

すでに一触即発の空気だ。二人の中で、すでに戦闘は開始されている。

さて、どう動く?

かと思ったが、アルフが俺の前にでてきた。

「あんたの相手はあたしだよ」

「アルフか。目的は足止めかな?」

「そうだね。正直、あんたら二人は厄介だけど。やらせてもらうよ」

「まぁ、こっちもそれは好都合だ。俺はおまえたちを傷つける気はないからね」

アルフは苦笑して、表情をまた元に戻した。

「そうかい・・・なら、時間一杯付き合ってもらおうか」

「ユーノは可能な限りジュエルシードの魔力を抑えていてくれ。それとアルフ・・・最悪の場合、俺はジュエルシードを破壊する。そのことだけは頭に入れておけ」

情報は与えた。さてと、戦闘開始だ。



interlude



魔力弾を精製する。すでに幾度か相対したのだ。

相手の長所は分かっている。士郎くんからは、その相手の長所を殺せと常に言われている。

フェイトちゃんの長所はスピード。そして、近距離もこなせるオールラウンダーな点だ。

私は自分の戦闘領域に持ち込むためにも『ディバインシューター』を120%活用しなくてはならない。

それは私もわかっている。だけど、私たちが考え付くことがフェイトちゃんに考え付かないのだろうか。





答えは否だ





「フォトンランサー・・・ファイア!」

放たれる魔弾。私も解き放つつもりだったが・・・





フェイトちゃんが笑みを浮かべた。





瞬間的に、私は上空に避ける。

何か、まずい。

「勘がいいね」

「!?」

すでに、退路を予測されていたのか、上空にいた。

すでに、デバイスは鎌の状態に変化している。

「だけど、他のことを考えすぎるのはまずいよ」

振るわれる鎌は私の目からは正しく死神の鎌に見えた。

全力で後方に避け、魔弾―『ディバインシューター』―を解き放つ。

『ディバインシューター』はフェイトちゃんに直撃し、爆煙が立ち込める。

「直撃!?」

今までのフェイトちゃんの動きを考えると明らかにおかしい。

その直後、魔力が膨れ上がり

「フォトンランサー・・・ファランクスシフト!」

数えるのが困難なほどのランサーがセットされていた。

あと一手で、発射態勢だ。

『相手の攻撃が万全だったら、脇目も振らずに回避行動から入れ」

私は教え通り、さらに全力で後退する。

私のセットする魔法は『ディバインバスター』だ。

『自分の判断で回避不可能だったら、可能な限り相殺すること。それが難しかったら、相手にもダメージを与える方法を選べ』

「Flash Move」

レイジングハートが魔法を展開し、更に全力で後方に下がる。

そして、次の魔法を組む。打ち抜く!

「ファイア!」

「ディバインバスター!」

ほぼ同時に発射される二つの魔法。

そして衝突。

私の魔法はランサーを突き抜け、フェイトちゃんに直撃した。

が、範囲が広いランサーの攻撃はほとんど相殺できずに私に突き刺さった。

だけど

「守りの指輪!」

直撃の直前。私は士郎くんから受け取っている指輪で防御を行った。

全弾防御することができなかったが、なんとか耐えてみせた。

『指輪の防御力ははっきり言って、弱いと思う。本当ならもっと時間かけて作る物だからね。それでも、射撃の弱い奴なら耐えられると思う』

うん。確かに耐えられたけど、今回は数が多かったからちょっと厳しかった。

そして、私は前を見る。

今の魔法で、私の魔力が結構削られちゃった。

う・・・こっそりと魔法練習してたのが、まずかったかな。

「・・・すごいね・・・必殺の魔法だったのに」

「ひ、必殺!?」

「必殺って言っても、非殺傷設定だから、魔力が削られるだけだよ。うん、大丈夫」

「ちょ!? な、なんか今の台詞・・・少しだけ、士郎くんの物騒な台詞集に似てたよ!?」

し、士郎くん。お願いだから、あまり物騒なことを影響させないでよ。

・・・うん。戦闘訓練の時の、後ろからの不意打ちと似たような響きだったよ。

それに、なんか嬉しそうなんだけど。

「士郎に似てきたんだ・・・うん。いいことだ」

「いや!? 良くないからね!?」

だ、ダメだ。今、否定しないとなんかとんでもない方向に向かっちゃう気がする。

「それより・・・今のどうやって防御したの?」

「・・・えへへ。士郎くんお手製の指輪の力だよ」

ちょっぴり自慢しておこう。

フェイトちゃんがちょっぴり怒っているけど、無視しちゃおう。
(注:なのはもなんだかんだで影響受けてます)

「そうなんだ・・・そういえば、決めてなかったよね」

「・・・勝ったほうがこの場にあるジュエルシードを封印するだったよね」

「それだけじゃない・・・今、持ってるジュエルシードも一つ賭けよう」

「いいよ。勝つのは私だよ」

「私が勝ちます。そして、勝ったらその指輪も貰います」

ちょ!? なんか、最後に聞き捨てならない台詞を聞いたよ!?

「行きます!」

「絶対に負けないから!」

こうして、私たちの戦いは再開された。



Interlude Out



俺はと言うと、現在アルフの拘束を完了した。関節技の脇固めで動きを止めている。

「えっと。俺からの忠告なんだけど、パワーもスピードも凄いけど、動きに無駄が多いぞ」

「く・・・け、結局一発も当たらなかった・・・」

なんか、アルフがショックを受けている。

まぁ、渾身の一撃も俺はしっかりと回避し、カウンターでアルフを吹き飛ばしたりしたしね。

「な、なんでだ!? いくらなんでも、あたしの方が身体能力は上だろう!?」

「いや、確かにそっちのが上だけど、動きが読みやすいよ。わざわざ人間形態で戦うんだったら、最低限の技術がないと」

正直、アルフの方がステータス的に上の部分があるので、本来なら梃子摺るのだろうが、如何せん馬鹿正直すぎる。

そもそも、なんで人間形態で戦うのだろうか。

余分なフェイントなどなく、相手を威嚇し、渾身の一撃をもって仕留めるのが獣の戦い方である。

アルフの戦い方は獣形態の戦い方なので、それを人間形態で使おうとすること自体、間違っている。

つまり、獣形態で戦えばもっと強いはずだが。

「うぅぅっ・・・」

「まぁ、落ち込むな。俺との相性が悪いということもあるから」

「だ、だからって・・・肉弾戦で人間・・・しかも、子供に負けたんだぞ!?」

「・・・あ、そっちね」

いかんいかん。最近慣れてきたこともあって、自分が子供という自覚が薄かった。

「今日は俺の勝ちということで。それはともかく・・・空を見ろ」

「なんか、二人とも盛大に戦ってるね。魔力もいい感じに放出されてるよ」

「俺からすると、9歳の女の子がこの状況を作り出してるのに、違和感持ってるんだけど」

「あんただって、同い年だろ!?」

アルフの台詞は無視だ。

なのはも何故か非常に動きがいい。魔力弾を精製しながら、他の魔法を使うなど、すごい上達している。

一方のフェイトはスピードを使いながら、試合の駆け引きも上手くなったように見える。

二人とも凄い才能だ。でも、まだフェイトのほうが強い。

だが、なのははその差を俺が渡した指輪で埋めている。

「だけど・・・まずいかもしれないね」

「まずいって・・・何が?」

「いや、あの二人が全力で戦っているから、魔力が充満してるだろ? ジュエルシードに影響がないかと思ってね」

言われて、ジュエルシードの方を見たが・・・





その瞬間、ジュエルシードの魔力が膨れ上がり、ユーノが吹き飛ばされていた。





「な!? まずい!?」

俺はすぐさま、アルフの拘束を解除して

「アルフ・・・戦闘は一時中断。封印手伝え!」

「ありゃ、まずいね。わかったよ」

俺たちが頷きあったがその前に





なのはとフェイトがジュエルシードの元に向かっていた。





そして、二人は同時にデバイスを突き出した。





デバイスが交差した先にはジュエルシード。その次に感じたのは白い閃光だった。





なのはとフェイトが別々の方向に、同時に吹き飛ばされたのを脇目で確認した。

なのはの傍にはユーノが、フェイトの傍にはアルフがすでに移動している。

だが、なのはとフェイトもすでに態勢を立て直し、ジュエルシードに向かっている。

少し遅れて、互いのパートナーが駆け出し、俺もジュエルシードに駆け出している。

よし。全員無事・・・





その瞬間、ジュエルシードから凄まじい魔力の衝撃波が全方位に放出された。



interlude



私たちの戦闘でジュエルシードは半覚醒状態になってしまった。

・・・士郎の指輪に気を取られすぎたけど、そこは気にしないで。

流石にまずい。私たちの魔力で今までのジュエルシードよりも魔力が多い。

なのはもジュエルシードに向かっている。

渡すわけには・・・引くわけにはいかない。

私はあの娘のことをすでにライバルと見ている。

戦っていて、気付いた。あの娘は強くて、諦めない良い娘だ。

負けられないし、負けたくない。

なのははまだ高速移動魔法―『フラッシュムーブ』―が展開されていない。

私は『ブリッツアクション』ですでに移動中で、アルフも私のすぐ後方にいる。

私の方が速い。だが、ジュエルシードが白く発光していて、気付けば、魔力の衝撃波が私に迫っていた。





(よ・・・避けられない!)





それを知覚した瞬間、前方に7枚の花弁が出現した。





(これは・・・士郎の防御魔法!)

アルフも展開しようとしていたが、士郎の方が一瞬速かった。

これで!

「・・・!!」

後ろでアルフが叫んでいるが、先程の衝撃波で耳がよく聞こえない。

今は封印しないと・・・

私はジュエルシードを掴み

「止まれ・・・止まれ・・・止まれ!」

手が痛いが、それでも封印できた。

良かった。母さんも喜んでくれるはずだ。

そうだ。士郎にお礼を言わないと・・・うん。お礼だ。ほ、褒めてくれるかも・・・なんて思ってないよ?

「士郎くん!!」

声のした方を振り向いた。





そこにいたのは、血塗れで倒れた士郎の姿だった。





「・・・え?」

私はその声を出すのが精一杯だった。



interlude Out



衝撃波が走る瞬間、俺はフェイトに『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』を投影した。

それだけではなく、なのはも近いこともあり、急いで『全ての呪いを弾く盾(フォース・シールド)』投影した。

だが、それが限界だった。

俺は向かう衝撃波になす術もなく、吹き飛ばされたのだ。

いや、吹き飛ばされただけじゃない。

この感じからして、身体の各部から大量に出血しているはずだ。

アバラも折れているな・・・

ただ、吹き飛ばされた時、アルフが心配気な声を出してくれたのが、無性に嬉しかった。

「士郎くん!!」

なのはの声だ。よかった。無事だったか。

だけど、悲痛な声だ。ごめんな。

「なんで・・・なんで、こんな無茶を」

フェイトはともかく、なのはとジュエルシードの距離は離れていた。

なのはの障壁だって間に合うはずだし、ユーノだっていた。だけど、俺は見過ごすことなんてできない。

もし、あれがなのはやユーノの防御力を上回っていたら・・・

そんな想像がすぐに過ぎってしまった。だから、俺は全力で投影した。

ただそれだけなんだ。

「だって・・・あのままだったら・・・なのはや・・・フェイトが怪我してたじゃないか」

「わ、私だって・・・防御できるもん・・・」

「・・・かも、な。だけど・・・俺は見過ごすことなんて・・・できない。もしかしたら、怪我してた・・・かもしれないんだ」

俺は人が傷つくのが見たくない。それだけだ。





「それに・・・俺が・・・傷ついただけで・・・すんだんだ・・・これで、いいんだ」





その言葉を聞いたら・・・なのはが泣き出してしまった。

ごめん・・・親父。俺、また女の子を悲しませてしまった・・・





それが、俺が今日最後に思ったことだった。

そして、意識を失う直前、治癒のために魔術回路に魔力を流した。



魔法少女リリカルなのは Crossing of the Fate Stage10 「暴走」 End
Next Stage 「クロノ・ハラオウン」



タイガー道場!! Stage10!!

注:)基本的に恐ろしくギャグ空間です。
   拒否反応がある方は読まないでください。

イリヤ:とりあえず・・・イリヤ城に絶対防御発動



大 河:『全ての不条理を引き起こす竹刀(虎竹刀)!』

バーサーカー:『究極!!射殺す百頭(ナインライブズ)!』

ライダー:『騎英の手綱(ベルレフォーン)!』



もの凄い爆音が響き渡っています。

イリヤ:はぁ・・・疲れるなぁ。

???:ふむ。なかなか爽快な音が響いているな。

イリヤ:いや・・・突っ込む気力ないからね、小次郎。

小次郎:しかし、正気になったバーサーカーか・・・面白い。

イリヤ:お願いだから、あんたまで混じらないでよ。

小次郎:何を言っている。正々堂々と1対1ならともかく、あのような乱戦に混ざるつもりは毛頭無いぞ。

イリヤ:そう・・・本当に疲れてるんだから、これで勘弁して・・・

小次郎:ふむ・・・で? 今日は一体何を解説すればよいのだ? はっきり言ってネタ切れだろう?

イリヤ:あまり内輪ネタを暴露しないでほしいんだけど・・・

小次郎:些細なことだ。

イリヤ:うー・・・ごめん・・・今日は限界・・・

小次郎:・・・まぁ、これからも加速度的に酷くなるかもしれんが、奮起しろ。



静寂・・・3名が倒れ伏している。



終わっとけ

後書き

な、難産だった。

最近、特に忙しくて、予定していた日をオーバーしてしまいました。

誠に申し訳ありません。今年一杯これが続く可能性が高いです。

楽しみにしている方にはご迷惑をおかけしています。

今回の内容で、以前から感想掲示板で書いていました『士郎は怪我してなんぼ』という公約は一部達成できたと思ってます。

士郎は今後も怪我や苦戦する予定です。

では、8話の拍手の返信です。

>Crossing of the Fate saikou desita >最高です!
ありがとうございます。これからも鋭意製作します。週一が守れるかはわかりません。ですが、頑張ります。

>今回も楽しませてもらいましたよ!なのはフラグも立ったし、後はなのはが士郎フラグを立てれば完璧ですね♪
さて、鈍感士郎は立てられるのか? 私も疑問です。もしかしたら、外伝みたいな形で書くかもしれません。

>ぐはっ、くっ作者は私を萌えころす気なのか
このSS書く上で気をつけているのが、萌え要素の増加を目標にしています。だから、この感想は最高の褒め言葉です。

>とりあえず言わせてもらう…私は貴方のSSが好きだと、言う訳でこれからも頑張ってください応援してます
ありがとうございます。応援感謝です。上記でも書きましたが、投稿ペースが遅れると思いますが、頑張ります。

感想ありがとうございました。

では、次の話にて会いましょう。








作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板
に下さると嬉しいです。