三十五話 静かなる侵略

 

 

夏休みにお台場とデジタルワールドで体験した壮大なあの冒険から早半年が過ぎようとしていた・・・・。

ゲンナイの隠れざる力なのか、それともアポカリモンを倒し、世界の歪みが消えた影響なのか、一部の人々を除き、大半の人々の記憶からデジモンの存在は消えており、あのヴァンデモンが起こした事件は世間ではサイバーテロ、集団催眠、自然災害etc・・・・と言うことになっており、事件の真相にデジモンの存在が公になる事は無かった。

そして今年の春・・・・海鳴でジュエルシード事件が起きる・・・・

俺は何とか海鳴に行く方法は無いかと模索していたのだが、去年の年末、親父から意外な言葉が出た・・・・

お台場で起こったヴァンデモンの事件が起こっている頃、親父はロンドンを訪問中の日本の要人警護にあたっていた。

その際、テロが起き、警護対象の要人は守れたのだが、親父と同じく警護任務に就いていた火田という警官が殉職した。

そしてその火田の家族と共に飛行機で日本に帰る途中、乗った飛行機が赤い大きなクワガタに襲われ、海に緊急着陸したと言ってきた。

(あの時の飛行機に親父、乗っていたのか・・・・)

父の言葉を聞き、あの飛行機を墜落から救ってくれた空達に感謝する良介であった。

そして、テロを防げず、仲間の警官を一人殉職させたその責任を取らされたのか、どうか分からないが、

「今年の四月から海鳴署に転勤になった」

と、言ってきた。

俺にとっては渡りに舟だったのだが、その反面、デジタルワールドを旅した太一さん達と別れるのは辛い思いがあった。

そのため、春休みになった今も太一さん達に引っ越す事を言えない状況であった。

しかし、何時までも黙っている訳にはいかないので、俺は太一さんに引越しの報告をしに、八神家に向かった・・・・。

ついでに言うと俺も突然ではあるが、丈さんと同じく、その年は受験生となり、前世でなのはが通っていた学校に受かった・・・・。

 

 

良介が引越しの報告へ八神家に向かっていたその頃、八神家では太一がパソコンで空に向けてメールを打っていた。

「そ・ら・へ。こ・な・い・だ・は・わ・る・か・つ・た、き・げ・ん・な・お・せ・よ。や・が・み・た・い・ち」

内容から察するにどうやら太一は空と喧嘩した様で、その謝罪文を打っている様だった。

しかし、自分の名前が違う漢字に変換されていたので、変換キィーを押して、自分の名前の漢字に変換する。

「・・・・ふぅぅ〜」

「あっ、メール書いている。」

 

「うぇ!?」

「空さんと喧嘩でもしたんですか?」

突然背後からかけられた声に驚き、太一は間違えて名前の後ろにハートマークを押してしまった。

太一が後ろを見ると、少しお洒落をしたヒカリと普段着姿の良介が立っていた。

「か、勝手に見んなよ!」

「すみません、裕子さんから太一さんが此処だと聞いて」

「あ、そう・・・・あれ?ヒカリ、お前は何処かに行くのか?」

太一は手でパソコンの画面を隠して、二人に文句を言った後、お洒落をしているヒカリに何処かへ行くのかと尋ねた。

「お友達のお誕生日会。そしてこれはプレゼント」

すると、ヒカリは太一の質問に答え、包装紙にラッピングされた箱を見せる。

「ふぅ〜ん・・・・くれ!!」

「ダメ」

「くれ!!」

「ダメ」

「くれ!!」

「ダメ」

太一はヒカリのプレゼントを取ろうと腕を動かしたが、ヒカリは太一の腕をヒラリとかわして兄の頼みを拒否した。まぁ当然と言えば当然だろう。

「ケチ」

太一は諦めて両手を頭の後ろに回して椅子に凭れると、ヒカリが太一の隣にやって来てマウスを動かし始めた。

 

「メールを出すなら此処をクリック」

ヒカリはそう言って、送信ボタンを勝手にクリックしてメールを送信して玄関に向かって走って行った。

「なっ!?お、おい!!勝手に送るなよ!!」

「折角教えてあげたのに」

ヒカリは不機嫌な顔をして太一にそう言って、友達の誕生日会に行った。

暫くすると、パソコンの画面に「メールの受信は拒否されました」と表示された。

「メールの受信は拒否ィ?何だよ!?空の奴、俺からのメールは受け取れねぇのか・・・・あ、あああ、アアアァ!!?」

「随分と嫌われましたね・・・・?」

太一はメールの受信が拒否された事に苛々して、椅子をガタガタさせながら空に文句を言っていたら、椅子がバランスを崩して太一は倒れてしまった。

「だ、大丈夫ですか!?」

「あ、ああ・・・・」

良介が太一の手をとって太一の体を起こす。

「メールを受信拒否に頭まで打って・・・・今日は厄日ですね」

「・・・・」

良介の鋭いツッコミに最早何も言えない太一であった。

その後、二人はリビングに移動して、太一がキッチンに在る冷蔵庫の扉を開けた。

「ねぇ、何か無いの?」

「ん?」

太一は机の上に買ってきた食材を並べる太一の母である裕子に、少し不機嫌な顔をして聞いた。

「はぁぁ〜ヒカリの奴は今頃友達の誕生日会でケーキか・・・・」

ケーキを食べているヒカリを想像し、羨ましそうに言う太一。

「ケーキ位私が焼いてあげるわよ」

太一の言葉から、ケーキを作る事が決まり、太一と良介も手伝う事となった。

(なんか・・・最初の方向性からどんどん離れて行くな・・・・)

良介としては引越しをする報告に来た筈なのに、いつの間にかケーキ作りの手伝いとなっていた。

ケーキに使う食材を冷蔵庫から出していると、

 

ピンポーン

 

インターフォンが鳴ったので、太一は右手で卵を持ちながら玄関に行った。

「はぁはぁはぁはぁ」

太一が扉を開けると、そこには肩で息をしている光子郎の姿があった。

「よう、光子郎。上がれよ」

太一が光子郎に上がる様に薦めると、

「た、卵が・・・・」

「あ?」

「卵が孵ったんです!!」

光子郎がそう言ってきたので、太一と良介は太一が右手に持っている卵に視線を移した。

「ち、違う!デジモンの卵です!」

「デジモン?」

光子郎は何の卵が孵ったのかを声をあげて言った。そして良介もデジモンと言う言葉に反応した。

 

デジタマから孵ったデジモンを見るため、三人は太一とヒカリの共同部屋に居た。

「それでさっき言ったデジモンって・・・・」

「コイツです・・・・」

「何だ?コイツ?クラゲみたいだな」

太一は光子郎のパソコンの画面に映し出されたクラゲの様なデジモンを見て、素直な感想を言った。

 

クラモン 幼年期 種族不明 属性 なし

コンピュータネットワーク上に突如出現した正体不明のデジモン。

コンピュータネットワークの中で病原菌の様に繁殖して、軽度のネットワーク障害を引き起こす。

必殺技は巨大な目から泡状の物体を出す『グレアーアイ』。

 

光子郎曰く、ロスに住んでいる大学にも席を置く小学生(つまり、アリサ並みのものすごく頭のいい小学生)が調べたところ、コンピューターのバグが寄り集まってデジタマが作られた、ということらしい。

「俺も小学生だけど、小学校しか通ってないぞ」

太一は悔しいのか、皮肉めいた声で言う。

「日本は飛び級制度をとっていませんからね」

緊張感のないまま、話を進めていると、突然パソコンが鳴った。

皆がほんの少し眼を離した間にデジモンの姿が変わっていたのだ。

 

ツメモン 幼年期U 種族不明 属性 なし

クラモンがさらに進化した幼年期デジモン。

凄まじい速さでデータを侵食し、ネットワークを狂わせる能力を持つ。移動スピードも速いため、ツメモンに進化してしまうと、捕獲するのも難しくなってしまう。

必殺技は触手の鉤爪で斬りつける『ネイルスクラッチ』。

 

「進化した・・・・」

そして一通のメールが来た。

「オナカスイタ」

「アァ、腹減った?」

「このデジモンからのメール?」

太一はメールの内容を読んで、呆れた声でメールの内容を言った。

良介はデジモンがメールを送ってきたことに意外性を感じた。デシタルワールドから帰ってからドラコモンが良介にメールを寄こしたことなんてなかったため、デジモンはメールを送ることは出来ないのだと思っていたからだ。

すると成長期Uに進化したクラゲこと、ツメモンは、データを食べ始めた。

「こいつ、データを食べて大きくなるんです!すごい食欲だ・・・・今はまだ幼年期ですが、このまま進化を続けるとネットワーク上のあちこちのデータを食い尽くしちゃいますよ・・・・!!」

「データが壊れるとどうなるんです?」

「あらゆるコンピューターが暴走しちゃいますよ」

「マジかよっ!!」

一気に危機感を感じた太一と良介、光子郎は裕子がお茶を持ってきてくれたのと同時に部屋を飛び出した。

裕子はお茶の入ったコップをお盆の上に乗せ、持っていたのだが、突然出てきた子供達を器用に避けた。

「どうしたの、そんなに慌てて?」

「父さんのパソコン借りるよー!!」

「あの、すでに混乱が生じ始めているようですけど・・・・」

良介がテレビに映っているニュースを見ると、外ではすでにコンピューターの暴走が伝えられていた。

「じゃ、じゃあこれを持って行ってくれる?」

裕子が呼びとめると、光子郎と良介は一気に麦茶を飲んで、コップを裕子が持っていたお盆に戻した。

「あら、そんなに喉が乾いていたの?」

 

「「御馳走様です!」」

太一が最初、メールを打っていた父、進の部屋に入ると、パソコンをセッティングし始めた。しかし、太一がパソコンのセッティングに戸惑っていたため、途中から光子郎が変わった。

「な、なぁ、あのクラゲみたいな奴、ネットの中から消去する事は出来ないのか?」

 

「消去ってどうやって!?」

太一が不安そうな顔をして光子郎に聞くと、光子郎は少し怖い顔をしながら太一に聞き返した。

「ウィルスバスターみたいなワクチンソフトを使うとか・・・・」

「それか、電話会社とか、コンピューターの専門家にあのクラゲの事を教え・・・・」

「無理ですね」

光子郎が太一と良介の言葉を遮ってそれを否定した。

「さっき僕が話したロスのメール仲間が、色んな機関に奴の事を知らせた様ですが、相手にしてくれなかった様です。それにワクチンソフトも奴は無効化してそれさえも食べていました・・・・」

光子郎は太一と良介に理由を話し終え、パソコンのセッティングを終えるとパソコンを起動させた。

すると、画面には先ほどとは違う姿のデジモンがいた。

「ァア、もう進化している・・・・」

「成長期になった、ってことですか?」

「やべぇよ、光子郎!」

 

ケラモン 成長期 種族不明 属性 不明

ツメモンが進化した成長期デジモン。

体格も大きくなり、その大きな口でツメモン以上のデータ量を侵食することができる。1秒間に100メガ以上のデータを侵食するために、ケラモンに進入されると同時にデータが破壊されてしまう。非常に陽気な性格で、破壊行為は遊びの一環だと思っている。

必殺技は笑いながら(?)口から破壊力抜群の光弾を吐き出す『クレイジーギグル』。

 

太一が進化したクラゲの姿を見て余りの進化の速さに驚きそう言って、光子郎は少し焦った顔をしながら言ってきた。

「今の内にコイツを倒さないと、これ以上進化されたら・・・・」

「でも、どうやって?」

「そ、それは・・・・」

どうにかして、デジモンの進化を止めなくては・・・・しかし、光子郎にも対応策が浮かばない。

「コイツが進化するのを、只見ているだけなのかよ!?」

「確かに、コイツを倒すには他のデジモンを送り込むしか手はありませんね・・・・」

「はぁぁ〜こんな時アグモンが居てくれたらなぁ・・・・」

太一は顔を下に向けて、大きな溜め息を吐いてアグモンの事を呟いた。

「それを言うなら俺だってドラコモンに会いたいですよ・・・・」

「「はぁぁ〜」」

太一と良介が共に溜め息をついた時、

「太一ぃ」

「この声って・・・・」

聞き慣れた懐かしい声が聴こえてきた。

「ぁぁぁぁ、アグモン〜」

 

「太一!!」

「お前さえ居てくれたらぁ・・・・」

 

「た〜い〜ち!!」

「アグモン!?アグモンなのか!?ど、何処に居るんだ、アグモン!?」

太一は三度目の呼び掛けでようやくその声の主がアグモンであることに気付き、部屋中を見渡すが、アグモンの姿はない。

「太一さん、これ!!」

 

光子郎のパソコンを覗くと、そこにはゲンナイとアグモンの姿があった。

「アグモン!!」

「太一!!」

太一に見つけてもらえた喜びからか、アグモンはピョンピョンと飛び跳ねていた。

「ホントにアグモンだぁ・・・・!!」

「ほっほっほ。久しぶりじゃのぅ」

「光子郎はん、元気でっか?」

「テントモン・・・・」

「良介、生きているか?」

「ドラコモン・・・・」

画面には一緒に旅をしたデジモンたちの姿が次々と現れていた。

「ところで、奴の事は知っておるかの?」

 

「はい、ネットの中に現れた新種デジモンですね?」

光子郎が代表してゲンナイに答えた。

「ホッホッホッ、流石じゃのう。」

 

「危険だよ太一、ソイツはとても凶悪なデジモンなんだ!」

 

「ほっといたら、とんでもない事になりまっせ!」

「嗚呼。だけど、どうやって奴を倒したら良いか・・・・」

太一はアグモン達の話を聞いて、話を途中で詰まらせた。

凶暴なデジモンが目の前に居ても対応策がなく、困っているのが現状だったためである。

「僕たちが戦うよ」

「アグモン・・・・でも・・・・」

「俺たちがネットの中に入り込む」

「良介達がデジタルワールドを助けてくれたように・・・・」

「ドラコモン・・・・」

「今度はわてらが光子郎はんをお助けしまっせ」

「テントモン・・・・」

アグモンの言葉を聞いて太一がアグモン達に何かを話そうとした時、ガブモン・ドラコモン・テントモンが太一の言葉を遮って真剣な顔をしながら太一達にそう言ってくれた。

「頼んだぜ、みんな。お前らだけが頼りなんだ。光子郎、良介、二人ともデジヴァイスは?」

「もちろん持って来ています」

「俺も・・・・」

三人がパソコンの前にデジヴァイスを掲げた。

 

「よし、俺たちのデジヴァイスでお前達を進化させてやるぜ!」

「オッケー!!」

「よし、今からアグモン達をネットの中に送り込が、其れ迄待つんじゃ!」

 

ゲンナイは太一達にそう言って、アグモン達をネットの中に送り込む準備を始めた。

 

「よ〜し、そうと決まれば皆に連絡だ!」

太一は立ち上がって、リビングに在る電話を使って皆に連絡しに行った。良介と光子郎も、太一の後を追い掛けてリビングに向かった。

「これで一安心ですね・・・・」

「えぇ。一時はどうなるかと思いました」

電話している太一を見ていたが、太一の顔はどんどん曇って行った。

 

太一はリビングに出て電話機を取ると、共にデジタルワールドを旅した仲間である選ばれし子供に連絡した。

最初に電話を掛けたのは、生真面目と言う言葉が似合う年上の選ばれし子供・城戸 丈。

少し待っていると、丈の母さんに電話が繋がった。

 

「もしもし八神ですけど、丈は?」

太一は名前を名乗って、丈の事を聞いた。

すると、

「えっ、入試?入試って中学の?あっ、はい、失礼します」

丈は今、私立中学の入試に行っているので家には居ないらしい。

次に電話を入れたのが、太一のライバル的存在、石田 ヤマト。

少ししてからヤマトの父さんに電話が繋がった。

「もしもし八神ですけど、ヤマトは?えっ、ヤマト出掛けているんですか?タケルも一緒に?えっと、二人は何処へ?ぇえ、島根?」

「島根・・・・」

「島根・・・・ですか・・・・」

太一の話を聞いていた良介と光子郎が、声を低くして「島根」と呟いた。

「あ、あの、電話番号を教えてくれませんか?」

太一はヤマトの父、裕明からヤマト達が居る場所の電話番号をメモして、「失礼しました」と言って電話を切って教えて貰った番号に電話を掛けた。

「出ろ、出ろ、出ろ、出ろ・・・・・」

太一は焦る気持ちの所為か、何度も「出ろ」と言う単語を言い続けた。すると漸く、ヤマト達が居る島根の家と電話が繋がった。

 

「もしもし、東京の八神ですけど!」

「もっぺん言ってくれんかね?」

電話に出たのはヤマトとタケルの祖母だった。

「だ、だから東京の八神です!す、すいませんがヤマトに大事な用件が有って!」

ヤマトの祖母は耳が遠いらしく、太一は大声をあげている。

「ヤマト・・・?あぁ〜それはウチの孫ですわ」

「で、ですから大事な用件が有って!」

「そうですか、ヤマ・・・・・」

すると会話が途中で終わって、電話が切られた音が聞こえてきた。

「切りやがった・・・・」

「く・・・・くっくっくっ・・・・」

太一が何とも言えない顔をして光子郎達にそう言うと、良介は必死に笑いを堪えようとしていたが、隠せず、口から笑い声が聞こえた。

次に太一は太刀川 ミミに電話を入れたが、電話に出ず、留守電につながった。

「ミミでーす!伝言よろしくね!」

「ミミちゃん!太一だけど、この連絡を聞いたら直ぐに俺に連絡をくれ!」

太一は留守電にメッセージを入れ、電話をきった。

「クソッ、ドイツもコイツも・・・・」

「まぁ春休みですから仕方ないですよ」

太一は少し苛立ちながらそう呟いて、良介はそんな太一を宥める様に言う。

次に友達の誕生日会に行ったヒカリに連絡を入れようとした。

「ねぇ、ヒカリが誕生会に行った家の番号分かる?」

太一は後ろを向いて裕子に聞くと、裕子はケーキの粉作りをしている光子郎と卵をかき混ぜている良介にケーキ作りを教えるのに夢中になっていた。

「こ、こうでしょうか?」

「そうそう、粉が固まりにならない様に気を付けてね。」

「母さんってば!!」

「はいはい!其処にメモが在るでしょ!?森さんってお家」

太一はヒカリの居る森という家に電話をいれた。

「えー、未だ帰れないよ。お誕生ケーキの蝋燭も吹き消してないんだよ」

誕生日会の会場では未だケーキの蝋燭も消してないらしく、ヒカリはまだ帰れないと言ってきた。

「分かったよ!じゃあ、蝋燭を消したら直ぐに帰って来いよ!!」

太一はヒカリにそう言って電話を切って、電話の子機を持ってケーキ作りを手伝っている良介と光子郎の方を見た。

「光子郎、良介、どっちでもいいからさ、空の家に電話してくれない?」

太一がそう言うと、光子郎と良介は頭に?マークを浮かべて太一の顔を見てきた。

「空さん?太一さんがした方が・・・・」

「良いから、ほら!」

 

「うぇ!?」

太一はそう言って光子郎に電話の子機を投げると、光子郎は驚きながら電話の子機を受け取った。

「太一さん、今空さんと喧嘩しているらしくて・・・・」

「えっ・・・・」

良介から太一が自分で空の家に電話をかけない理由を聞いた光子郎は「やれやれ」といった感じで空に電話を掛けた。

「何?他のお友達も呼ぶの?」

「俺もウーロン茶」

「何よ、返事位しなさいよ」

太一は椅子に座って素っ気なくウーロン茶を頼むと裕子は呆れた声で太一に言ってきた。

太一に代わり、空の家に電話をかけた光子郎だが、電話の途中で家に帰宅したらしい空は八神という名前を聞いて、

「いないって言って」

と電話の対応をしていた自分の母親にそう告げ、そのまま部屋に戻ってしまった。

「いないと言ってくれと申していますけど・・・」

「すいません、またお電話をさせて貰います」

光子郎はそう言って電話を切った。

「転送完了成功です!」

漸く転送の準備が出来、アグモン、テントモン、ドラコモンがネットの中を移動し、ケラモンが居るサイト内へと向かった。

結局他の仲間には連絡がつかず、太一、光子郎、良介の三人で対処する事となった。

「頼むぜアグモン!」

「油断するなよドラコモン!」

「テントモン、先制攻撃です!」

接近する三体のデジモンに気がつかず、ケラモンは食事を続けている。

背後から三体のデジモンの必殺技をくらったケラモンは必殺技をくらったにも関わらず、体には殆ど傷が無くてアグモン達に玩具を見る様な目で見ていた。

すると光子郎のパソコンに、ケラモンからメールが届いた。

其処には「アソブ?」と表示されていた。

「何が遊ぶだ!こんな奴、さっさと倒しちまおうぜ!」

「テントモン、進化です!」

「ドラコモンも進化だ」

太一達のデジヴァイスが光り出した。

 

アグモン進化―――――

           グレイモン―――――

 

テントモン進化―――――

           ガブテリモン―――――

 

ドラコモン進化―――――

            コアドラモン―――――

 

それぞれ成熟期に進化した三体のデジモンはケラモンの攻撃を交わしながら、攻撃を仕掛けていく。その攻撃は外れることなく、どんどんケラモンに当たる。

「なんだ、こいつ弱いじゃん」

「待って・・・・!」

煙が消えると、先ほどとは違う姿形のデジモンが現れた。ケラモンがまた進化してしまったのだ。

「進化した!?」

「いや、大丈夫。こっちと同じ成熟期になっただけです」

「でも、油断は出来ませんよ」

三体は敵と対峙するが、クラゲは手足を長く伸ばし、空高く飛び上がった。

そして、三体の元へ一気に飛びかかってくる。

三体ともバラバラに散会し、クラゲの攻撃を避け、一斉に攻撃するが、ダメージはまるで与えられていなかった。

「全く効かへんで」

「攻撃は確かに当たっているはずなのに」

「どうなっているんだ、あいつの体は!?」

攻防を繰り返しながらクラゲのタフさに驚く三体。

やがて、クラゲの攻撃がグレイモンとカブテリモンに当たってしまう。コアドラモンはグレイモンたちを庇いながら、攻撃を避けるので精一杯の状況。数の上では此方が有利な筈なのに、実力差ではクラゲはあの三体以上の攻撃力と防御力を兼ね揃えていた。

「グレイモン!」

「太一さん、良介君!分かりました。奴は完全体なんです!!」

「完全体!?」

 

インフェルモン 完全体 種族不明 属性 不明

手足の長い蜘蛛のような姿をした完全体デジモン。

頭や手足を伸ばした状態の通常形態と、手足を本体にしまいこんだ繭形態をとることができる。

繭形態になるとあらゆる攻撃を跳ね返すほど防御力が上がるが、一直線にしか進めず、軌道をかえられないのが欠点である。

強固なセキュリティーを物ともせずあらゆるネットワークに侵入することができる。

必殺技は口の中の銃口から、凄まじい破壊力のエネルギー弾を打ち出す『ヘルズグレネード』と、繭形態で敵に突進する『コクーンアタック』。

 

「じゃあ、奴は成熟期を素っ飛ばして二段進化を!?」

「それならこっちも完全体に進化だ!!」

デジヴァイスが再び光り、完全体に進化する、という時にインフェルモンに攻撃され、三体は進化中の無防備状態だったので、ガードすることも避けることも出来ず、まともにインフェルモンの攻撃をくらってしまった。

「進化中に攻撃!?」

進化中に攻撃を受けたダメージは大きかったらしく、成長期へと退化した。

(汚いけど、戦略的には理に適っている)

良介は悔しさに顔を歪めながらもインフェルモンの行動を完全に否定する事は出来なかった。

邪魔者を退けたインフェルモンはその隙に突然現れた出口に入っていき、どこかへ行ってしまった。

 

 

あとがき

僕らのウォーゲーム編開始です。

そして、なのは編への布石も打っておきました。

東京のお台場から海鳴まで行き来するのは辛そうなので・・・・。

では、次回にまたお会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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