三十話 女の闘い

 

 

ムゲンドラモンが倒された事により、街のエリアにて強制労働させられていたヌメモン達は解放された。

ヌメモン達は何度も良介とヒカリに頭を下げ、お礼を言うと新たなる自分達の住処を探す旅へと向かっていった。

そして良介達もダークマスター最後の一人、ピエモンとの決着をつけるため、歩き出した。

ピエモンの居城があるムゲンマウンテンへ・・・・。

辺りの地形が似たような山間部を子供達とパートナーデジモン達が歩き回っている中、

「フフフフフ・・・・選ばれし子供達、此処までたどり着くとはな・・・・そのご褒美はたっぷりとあげよう・・・・」

子供たちの様子は全てピエモンに把握されていた。

ピエモンはブランデーの入ったグラスを傾けながらモニターに映る子供達とデジモン達を見て、不敵な笑みをこぼした。

「ピエモン様・・・・」

その時、ピエモンの背後の天井から赤い二つの目が光り、女の声でピエモンに語りかけるデジモンが居た。

「ピエモン様、その役割、ぜひ私にお任せください・・・・」

「ふむ、失礼の無い様にな・・・・。最上級のお持て成しをしてやれ」

「お任せください。ハハハハハ・・・・」

不気味な笑い声と共に背後の気配は消えた。

そして、ピエモンは不敵な笑みを零しながらブランデーの入ったグラスに口をつけた。

 

その頃、丈とミミは何かの広場みたいな場所を歩いていた。

近くに有るのは、黒く染まった大きなおもちゃ達・・・・・其処はまるで、巨大な子供部屋のような場所だった。

丈達が今、歩いているのはかつて『はじまりの町』と呼ばれるデジモンが再生する町であった。

しかし、今は全体が真っ黒な闇に覆われており、デジタマも黒く染まり、町にはデジモン達の生命の息吹を感じる事が出来ない。

「ヒドイ・・・・デジタマが・・・・」

ミミが黒く染まったデジタマを見て呟く。

その時、何処からかハーモニカの音色を丈が聴きつけた。

「ん?」

「どうしたの?丈先輩?」

「今、確か・・・・」

聴き間違いじゃないかと思ったが、またハーモニカの音が丈の聴覚を刺激した。

「やっぱり!!」

丈はハーモニカの音がした方向へと走り出した。

「おい、丈!!」

突然走り出した丈をゴマモンは追いかけた。

「今のもしかして・・・・」

「ヤマトの・・・・」

ミミとパルモンもハーモニカの音を聴き、もしかしたらこの先にヤマトが居るのではないかと思い、丈の後を追った。

 

丈とミミがハーモニカの音色のする方向へ走っている時、光子郎はアンドロモンの協力の下、此処が何処なのか、現在位置を探っていた。

「光子郎、何をやっているんだよ?」

 太一が光子郎に近付き、光子郎に話し掛けた。

光子郎は、パソコンのケーブルをアンドロモンに差し込んで何かをしていた。

「此処の地形をアンドロモンに解析してもらっているんですよ。アンドロモンなら、正確に此処の地形を調べられますから。・・・・アンドロモン、お願いします!!」

 光子郎は俺達に詳しく説明してくれた後、アンドロモンに頼んだ。

「了解した・・・・」

 アンドロモンは光子郎にそう言って此処の地形を解析し始めた。すると、光子郎のパソコンの画面に此処の地形図が現れてきた。

光子郎のパソコンテクニックを見て、良介は、

(アリサも凄かったけど、ムゲンドラモンの時と言い、今回の事と言い、光子郎先輩もスゲェな・・・・先輩は本当に小学四年生なんだろうか?歳とか誤魔化しているのではないだろうか?それとも俺と同じ転生者だったりして・・・・)

と、良介は光子郎の正体に少しだけ疑問を抱いた。

すると、太一達はいつの間にかスパイラルマウンテンの頂上に来ていた。

「たしかチューモンが言っていたよね?ダークマスターズはスパイラルマウンテンの天辺に住んでいるって・・・・」

タケルがチューモンの言葉を思い出し、ダークマスターズの居所を言う。

「じゃあ、あそこに見るのが・・・・」

空が現在位置から見える城を見て確認するかのように言う。

「ダークマスターズの居城・・・・そしてそこにはピエモンが居る・・・・」

良介が緊張した面持ちで城を見て言う。

そこへ、

「何か・・・来た・・・・気をつけろ」

アンドロモンは何かを察知したらしく太一達に教えてくれた。

「オ―ッホホホホ・・・・ようこそいらっしゃいました、可愛いボウヤ達!!」

お嬢様笑いをしながらボンテージ風の黒衣と鎖をつけた色っぽいお嬢様系デジモンが突然現れた。

(お前はSMの女王様か?)

良介が突然現れたお嬢様系デジモンに心の中でツッコミを入れていると、

「なーんか・・ヤな感じのデジモン」

「あれ、何てデジモン?」

空とヒカリの目つきが変わって、ジト眼でお嬢様系デジモンを睨んでいる・・・・。

(怖ッ!!二人ともマジ切れしているよ!!)

そんな二人の姿を見て、良介は若干引いた。

「あれはナイトメアソルジャーズの一人、レディデビモンだ」

アンドロモンがお嬢様系デジモンの正体を教えた。

 

レディデビモン 完全体 堕天使型デジモン 属性 ウィルス

高貴な存在の女性型堕天使デジモン。その強力無比で高純度のダークサイドパワーのため強力で、個人の端末で育て続けた例は限りなく0に近いといわれている。

必殺技『ダークネスウェーブ』は、コウモリのような暗黒の飛翔物を無数に放って相手を焼き尽くす。

もう一つの必殺技『プワゾン』は、相手の持つパワーをダークエネルギーと相転移し、敵を内から滅殺する。相手のパワーが大きいほどこの技は完全なものとなる。

 

「疲れたでしょう?ゆっくり休んでいいのよ・・・・永遠にね!!」

そう言うと、レディデビモンは腕の長い爪で太一達に襲い掛かって来た。

「えいっ!!」

そこへ、アグモンが飛びかかり、

「ベビーフレイム」

至近距離から必殺技の火球をぶつけるが全く効果がなく、反対にアグモンがレディデビモンの手で弾き飛ばされてしまった。

「アグモン!!」

 

パタモン進化―――――

           エンジェモン―――――

 

ピヨモン進化―――――

           バードラモン―――――

 

テントモン進化―――――

           カブテリモン―――――

 

テイルモン超進化―――――

           エンジェウーモン―――――

 

ベビドモン進化―――――

           ドラコモン―――――

 

ドラコモン進化―――――

           コアドラモン―――――

 

五体のデジモンに囲まれ多勢に無勢な中でもレディデビモンは余裕の表情を浮かべていた。

「フフフフ・・・・さぁ、たっぷり可愛がってあげるわ・・・・ダークネスウェーブ!!」

レディデビモンの攻撃を受け、レディデビモンを囲んでいた五体のデジモン達は一端レディデビモンから距離をとった。

そこへ、

「スパイラルソード!!」

地上からアンドロモンが援護に回る。

しかし、アンドロモンの攻撃をレディデビモンは片手で弾いてしまった。

「メガブラスター!!」

「メテオウィング!!」

「ブルーフレアブレス!!」

ガブテリモン、バードラモン、コアドラモンの攻撃もレディデビモンは手で簡単に払いのけてしまう。

「ヘブンズナックル!!」

しかし、エンジェモンの攻撃は自分(レディーデビモン)と相性が悪いらしく、手で弾くことなくかわすが、その隙をついて、

「ホーリーアロー!!」

エンジェウーモンが光の矢を放つが、その攻撃はギリギリ所でレディデビモンの体をかすり、決定的なダメージを与えることは出来なかった。

しかし、今の攻撃にレディデビモンはキレたらしく、一直線にエンジェウーモンの下へ行き、エンジェウーモンの顎にアッパーをくらわす。

「よし、僕も!!」

アグモンが自分も進化し、レディデビモンと戦おうとすると、

「待て、まだだ。アグモンはもう少し待機しろ」

太一が止めた。

「どうして太一?僕が究極体になればあんな奴」

アグモンは太一に不満をぶつける。

「光子郎、アイツのデータ、分かるか?」

「は、はい・・・・レディデビモンは・・・・完全体のようです」

光子郎が、デジモンアナライザーでレディデビモンの情報を調べた

「完全体か・・・・」

光子郎からレディデビモンの事を聞き、太一は何か考え始めた。

「良介、空、タケル、お前達三人は丈とミミちゃん、ヤマトを連れて来てくれ」

太一が突然、空達にそう言ってきた。

皆は太一の言葉に呆気を取られた。

「えっ?戦っているのよ?」

「そうです。この状況で戦力の分散なんて危険です」

空と良介が太一に「何を言っているんだ?」と言う感じでその真意を問う。

「アイツだけなら残りのデジモンでも倒せる筈だ。いざとなればウォーグレイモンという切り札もいる」

太一はそう言ってアグモンを見た。

「僕が切り札?エヘヘへ・・・・」

アグモンは太一の言葉を聞いて、嬉しそうに笑った。

「だったら、コアドラモンだって・・・・」

「コアドラモンだからこそだ」

「えっ?」

「アイツの飛行能力ならすぐに戻ってこられるだろう?それにここがホントに奴らの本拠地なら必ずアイツがいる筈だ・・・・ダークマスターズ最後の一人・・・・」

「ピエモン・・・・」

「アイツがいつ出てくるのかが問題なんだ。何しろとんでもなく強い」

「だから、ピエモンが出てくる前にお兄ちゃん達を連れてくるんだね?」

「太一さんの言うとおりだ・・・・そんな先まで読んでいたなんて・・・・」

「サッカーと同じなんだ・・・・」

「えっ?」

「ヤマトにミミちゃん、それに丈が抜けて分かったんだ。ただ・・我武者羅に戦うだけじゃダメなんだ・・・・これ以上、チューモンのような犠牲を出さないためにも・・・・」

「太一・・・・」

「太一さん・・・・」

太一の作戦の真意を聞き、皆驚きと感動を感じた。

 

「此処は任せて!!」

「頼む!!」

「すぐに戻るから!!」

エンジェウーモン達を信じ、エンジェモン、バードラモン、コアドラモンは一時戦線を離脱した。

「はぁ!!」

エンジェウーモンが戦線離脱していくデジモン達を確認したその隙を突いて、レディデビモンがエンジェウーモンの背中に蹴りを入れ、エンジェウーモンは岩肌に叩きつけられる。

「やったわね!!」

すると、今度はエンジェウーモンがレディデビモンの顎にアッパーをくらわす。

「さっきの太一の言葉、必ず丈先輩やヤマト君、ミミちゃんに伝えてくる」

「ああ・・・・急いでくれよ!!」

三人は急ぎバラバラとなったメンバーを探しに空へと舞い上がった。

 

その頃、ハーモニカの音色を聞きつけた丈とミミは、湖の近くでハーモニカを吹いているデジモンを出会った。

 

エレキモン 成長期 哺乳類型デジモン 属性 データ

ツノモンの哺乳類的要素を残して進化した哺乳類型デジモン。

とても好奇心が旺盛でいたずら好きな性格はツノモンから引き継いでいる。

また、エレキモンは9本の尻尾を持っており、戦闘時には、孔雀の羽のように尻尾をひろげ敵を威嚇する。

必殺技は『スパークリングサンダー』。

 

「君だったのか・・・・僕はてっきり・・・・」

ヤマトではなく少し落胆した感じの丈。

「はじまりの町があんなになっちまって・・・・俺、すっかりやることがなくなっちまってな・・・・」

はじまりの町で、生まれたばかりの赤ちゃんデジモン達の世話をしていたエレキモンだったのだが、始まりの町が闇に覆われ、赤ちゃんデジモンが生まれない状況下で、まるでリストラにあったサラリーマンのように落胆しているエレキモン。

「なぁ、タケルとパタモンどうしている?元気か?」

エレキモンはタケル達の事を聞いてきた。

彼はかつてタケルとパタモンの二人と交流を持っていた。

「あ、ああ。元気だよ。タケル君もパタモンも・・・・」

「今、ちょっと別行動だけど・・・・」

丈とパルモンがエレキモンにタケル達の事を教える。

「そうか・・・・そいつはよかった・・・・」

エレキモンはタケル達が元気だと知ると少しだけ安心した表情をすると、また顔を俯かせてしまった。

「ねぇ、私達と一緒に来ない?」

「えっ?」

「ダークマスターズを倒さない限り、町は元に戻らないんでしょう?デジタマも」

「私たち、ダークマスターズを倒すために仲間を集めているの」

ミミとパルモンがエレキモンを誘った。

「だ、ダークマスターズを倒す!? すげぇこと考えているんだなお前等!!」

とんでもない目標にエレキモンは声をあげる。

「考えるだけじゃだめだ、もうすでに戦いは始まっているんだ」

「タケルもパタモンも戦っているんだよ」

「タケルもパタモンも・・・・」

ゴマモンの言葉を聞き、エレキモンは目を閉じ考える。

そして、

「そっか、それじゃあ俺も負けちゃらんねぇな!!俺も行くぜ!!」

エレキモンも丈達と共にダークマスターズと戦うこととなった。

「ところで、君の持っているそのハーモニカは?」

丈はエレキモンが持っているハーモニカの出所を聞いた。

「これか? この岸に落ちていたんだ」

「えっ?落ちていた?ちょっと貸して」

「ん」

丈はエレキモンからハーモニカを受け取ると、そのハーモニカを調べ始めた。

「やっぱり、ヤマトのハーモニカだ」

「じゃあ、この近くに・・・・でもこの先は・・・・」

ミミ達の眼前には大きな湖が広がっている。

「泳いでいったのかな?」

ゴマモンらしい考え方であるが、さすがにヤマトでもこの大きな湖を泳いで渡る事は出来ないだろう。

「そういや、昨夜、スワンボートが沖に出て行くのを見たぜ。てっきりナイトメアソルジャーズの連中がふざけているのかと思ってよぉ」

「スワンボート!?」

「間違いない!!きっとヤマト達だ!!」

丈は湖の向こうを見ている。きっとヤマト達の事を考えているのだろう。

「ねぇ、ミミ君」

「なぁに?」

「仲間も増えた事だし、もう僕とゴマモンが居なくても大丈夫だよね?」

「どういうこと?丈先輩、どっかいっちゃうの?」

「僕はヤマトを追ってみるよ」

「じゃあ、私達皆で・・・・」

「いや、僕とゴマモンだけで行く」

丈は、自分とゴマモンだけでヤマトの後を追い、ヤマトと合流すると言う。

「どうして?」

丈の提案に理解できないのか、ミミは声をあげる。

「皆、自分の道を行こうよ・・・・」

「自分の道?」

丈はミミに自分の道の意味を語り始める。

「ミミ君は仲間を集める道、太一達は戦いの道・・・・いや、太一達だけ戦わせておけないよ。僕も戦わなくちゃ・・・・でも、僕は強い訳じゃないし、ゴマモンも究極体になれる訳じゃない・・・・だから僕達が居ても足手まといになるのかと思っていた。でも、僕には僕にしか出来ない事が有ると思うんだ・・・・きっとヤマトもそれに気づいたんだ。だから僕もヤマトの後を追う!!・・・・なんて勝手にきめちゃったけど・・・・よかったのかな?」

「良いに決まってんじゃない。丈がそう決めたんだから」

ゴマモンは丈の決意を励ます。

「行かせてやろうぜ、見かけより骨があるじぁねぇかよ」

「・・・・うん」

オーガモンの言葉を聞き、ミミも丈の決意と行動に賛同した。

 

その頃、レディデビモンと戦っているエンジェウーモンは

「ダークネスウェーブ!!」

無数のコウモリを両手で受け止めていた。

そしてガラ空きとなった背後にレディデビモンは廻り込むと、エンジェウーモンの髪を鷲掴みにし、ジャイアントスイングをかける。

 

ガブテリモン超進化進化―――――

           アトラーカブテリモン―――――

 

エンジェウーモンのピンチにガブテリモンは完全体のアトラーカブテリモンへと進化した。

レディデビモンはエンジェウーモンを投げ飛ばすと、投げ飛ばされたエンジェウーモンをアトラーカブテリモンが受け止める。

「大丈夫でっか?」

「ちょっとどいて!!」

エンジェウーモンはアトラーカブテリモンの手の中から物凄い勢いで飛び出すと、レディデビモンの頬に平手打ちをくらわす。

「なによ!!」

すると今度はレディデビモンがエンジェウーモンの頬に平手打ちをする。

レディデビモンから平手打ちを食らうと、今度はエンジェウーモンがレディデビモンに平手打ちをする。

両者はその繰り返しをしている。

「おっかねぇ・・・・」

太一は、二体の女同士の戦いを見てそう呟いた。

「怒ると怖いんですね・・・・女の人って・・・・」

「負けちゃダメよー!!やっちゃえ!!やっちゃえ!!!」

光子郎は、エンジェウーモンを物凄い形相で応援しているヒカリと平手打ちをし合っているデジモン達を交互に見てそう呟いた。

良かったな、光子郎・・新たな知識が増えて・・・・。

アンドロモンは、口をポカーンと開けて驚いていた。

優秀なコンピューター頭脳を持つアンドロモンでも目の前で繰り広げられている女同士の戦いには理解不能な様子だ。

「生意気なんだよ!!」

レディデビモンはエンジェウーモンに回し蹴りをくらわせ、地面へと叩きつける。その所為で、エンジェウーモンを中心とする大きなクレーターが出来た。

「もらった!!ダークネススピア!!」

レディデビモンは左手をスピア状にして、エンジェウーモンを串刺しにしようと迫った。

そこへ、アトラーカブテリモンがエンジェウーモンを自身の固い背中で守った。

その結果、レディデビモンの左手のスピアが折れ、エンジェウーモンは無事だったのだが、

「ちょっと、邪魔!!早くどいて!!!」

「あっ、え、えろうすんまへん〜」

自分を守ってくれたのに邪魔者扱い・・・・ドンマイ、アトラーカブテリモン。

「遊びは終わりよ!!覚悟しなさい!!」

エンジェウーモンが眩い光に包まれる。

「な、なにを!!ダークネス・・・・」

「ヘブンズチャーム!!!」

レディデビモンが技を繰り出す前にエンジェウーモンのヘブンズチャームがレディデビモンの体を切り裂いた。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!?ぴ、ピエモン様ぁぁぁぁー!!!!」

レディデビモンは、エンジェウーモンの必殺技であるヘブンズチャームをくらい悲鳴を上げながら粒子となって消えた。

「やったー!!」

「ふぅ〜・・・・」

レディデビモンを倒したエンジェウーモンはテイルモンに退化し、ヒカリの腕の中へと飛び込む。

アトラーカブテリモンもテントモンへと退化し、

「こ、光子郎はん、せ、背中、何ともなっておまへんか?」

光子郎に先程レディデビモンのスピアをくらった背中に傷が無いか見てもらった。

幸いな事にテントモンの背中には傷は無かった。

しかし、レディデビモンを倒した勝利の余韻に浸る間も無く、太一とアグモンは正面を睨んでいた。

「来るぞ・・・・」

「「えっ?」」

皆が太一の見ている方を見ると、そこには堂々と此方に向かって歩いてくるピエモンの姿があった。

「ピエモンだ」

太一は単眼鏡でこちらに歩いてくるのはピエモンで間違いない事を確認する。

ピエモンの実力ならば奇襲攻撃も可能な筈なのに敢えてそれを行わず、堂々と太一達の前に現れる辺り、やはり何を考えているのか分からないデジモンであった。

奇襲などせずとも戦って勝てる自信があるのか?

または、奇襲などせず、堂々と戦う騎士道や武士道の様な精神をもっているのか?

全くもって謎である。

「ダークマスターズ最後の一人・・・・」

「よし、アグモン、頼む」

OK、太一」

 

アグモンワープ進化―――――

           ウォーグレイモン―――――

 

残念ながらピエモンが来る前にヤマトを連れて来るという太一の作戦は頓挫してしまった。

しかし、ただ何もせず待っていると言う事は向こう(ピエモン)はさせてはくれないだろう。

太一はアグモンを究極体のウォーグレイモンに進化させ、ヤマト達の到着を信じ、それまで時間稼ぎをすることにした。

果てしてヤマト達は間に合うのだろうか・・・・・?

 

 

あとがき

ダークマスターズ編も終盤に入りました。

しかし、まだアポカリモン、ウォーゲームとなのは編までまだ道のりがありますが、お付き合いの程、よろしくお願いします。

では、次回にまたお会いしましょう。




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