二十八話 街

 

 

ピノッキモンとイレギュラーではあったが、メタルエテモンを倒した子供達とパートナーデジモン達・・・・。

しかし、ヤマトは再びカブモンと共に姿を消し、丈とミミ達は各地でレジスタンス活動をしているデジモン達を探しに行き、良介はこの世界に来た時、ムゲンドラモンに宣言したとおり、ムゲンドラモンと決着するため、太一達と合流し、太一達は一路、ムゲンドラモンの下へ向かっていた。

真夏の様に焼けつける様なキツい日差しの中、砂漠に設けられたアスファルト道を黙々と歩く子供達とパートナーデジモン達・・・・。

そんな中、ヒカリの様子がおかしかった。

顔は妙に赤いし、時折苦しそうに咳をしていた。

足取りも少々フラつき、皆との距離がひらき始めている。

そして、足がもつれ、倒れそうになった所を、

「ヒカリ!!大丈夫か!?」

良介が受け止めた。

 

道の途中に屋根の着いたバス停があったので、そこのベンチにヒカリを横たえ、偵察に出たテントモンの帰りを待つ子供達。

ヒカリの額には濡れたハンカチを乗せ、少しでも熱を冷まそうとしたが、それは気休め程度にしかならない。

「きっと風邪がぶり返したのね・・・・夏風邪はしつこいって言うから・・・・」

空の見解通り、ヒカリは、再び風邪をぶり返し、熱もあった。

「ヒカリ、大丈夫?」

テイルモンが心配そうな表情でヒカリに尋ねると、

「う、うん・・・・」

ヒカリは弱々しく頷く。

「なんで、こんなになるまで黙っていたんだよ?随分前から具合悪かったんだろう?」

太一は心配ながらも、無理をして自分の体調の不調を訴えなかったヒカリに何故、訴えなかったのか尋ねる。

「だって、早くしないと地球が・・・・ゴホッ、ゴホッ・・・・」

「ヒカリ・・・・」

今のヒカリの状態を見て、太一には昔の辛い思い出が脳裏を過ぎった。

 

「やっぱりヒカリは連れてこなかった方がよかったのかもしれない・・・・」

太一と光子郎の二人はバス停から少し離れた場所で話し合っていた。

「えっ?でも、ヒカリさんがいないと、地球もデジタルワールドも救う事が出来ないんですよ?彼女も選ばれし子供なんですから」

「でも、あいつまだ小二でこないだまで風邪をひいていて・・・・あっ、タケルと良介も小二だったっけ・・・・?」

太一がチラッとバス停でヒカリの様子を心配そうに見ているタケルと良介に視線を向ける。

「どうしたんです?」

光子郎には太一の様子が少しいつもとは違う様に見えた。

「あっ、いや、なんでもない。アイツ、何にも言わないで我慢する所があるからさ・・・・」

「太一さん・・・・」

「光子郎はーん!!見つけましたでぇ!!」

そこへ、テントモンが偵察から帰って来た。

テントモンが言うにはこの先に大きな街があるとのことだった。

そこならば、もしかしたらきちんと休める場所があるかもしれないし、上手くいけば、風邪薬も手に入るかもしれない・・・・。

皆はその街へ行く事とし、テントモンが成熟期のガブテリモンに進化して、皆をその街へと案内した。

「ほら、あそこですわ!!」

眼下に広がる街並みはアメリカ、ニューヨークの街並みに物凄く似ていた。

「アメリカだ・・・・あれ?」

「この辺はイタリアですね・・・・と、思ったら凱旋門・・・・今度はフランスです」

ニューヨークの街並みの隣にはイタリアのローマに似た街並みが広がり、さらにその隣は、フランスの凱旋門があった。

そこは、地球の有名な主要都市が混ざっている何とも奇妙な街だった。

「でも、人っ子一人いない・・・・なんか変な感じね・・・・」

「デジモンも居ないし・・・・」

確かにこの奇妙な街には人はおろか、デジモンもおらず、不気味な静寂だけが漂っていた。

そんな中でもヒカリの風邪は酷くなり、とうとうぐったりとなり意識を失い始めた。

「おい、どこか休めるような場所はないのかよ!?」

「あっ、はい・・・・」

ガブテリモンは街の中にある一つの屋敷の庭に降りた。

 

屋敷内に入った太一達は早速、ヒカリを寝室のベッドに寝かして、風邪薬を探し始めた。

しかし、なかなか見つからない。

「ねぇねぇ太一、コレそう?」

すると、アグモンが風邪薬らしき箱を見つけ、太一に尋ねる。

「やった!!これだよ!!・・・・あっ!?」

太一の顔が喜びに変わり、風邪薬の箱を開けたが、その喜びの顔は直ぐに落胆の表情へと変わった。

残念ながら、風邪薬の箱の中身は空だった。

その後も屋敷内を隈なく探したが、どうやらこの屋敷には風邪薬は無いようで、外へ探しに行くしか手は無かった。

太一達はヒカリが寝ている部屋へ行くと、看病をしていた空に風邪薬が無かった事を言う。

「風邪薬無かったよ・・・・」

「外へ探しに行ってくるしか手はありませんね・・・・」

「ヒカリさんの具合はどうですか?」

「さっき寝た所・・・・汗をかいて熱が下がればいいんだけど・・・・」

「そうだな・・・・それじゃあヒカリの事を頼むな・・・・」

「うん、気を付けてね、太一・・・・」

太一が外へ風邪薬を探しに行こうとしたが、

「いえ、風邪薬は僕と良介君の二人で探しに行きます」

「太一さんはヒカリの傍にいてあげてください」

と、光子郎と良介が探しに行くと言い出した。

「えっ?でも・・・・」

「太一さん、ヒカリさんが風邪をひいて動揺しているようですし・・・・」

「ヒカリも太一さんが傍にいれば安心できるでしょう?幸いドラコモンは究極体になれますから敵が襲ってきても何とか対処出来ますから」

「そ、そうか・・・・じゃあ頼む・・・・・」

「「はい」」

「光子郎さん、僕も一緒に行くよ」

と、タケルも薬を探しに行くと言う。

「いえ、タケル君は此処で待っていて下さい。大勢で外を出歩くとかえって敵に発見される危険が大きくなりますし、ヒカリさんが倒れているいじょう、テイルモンは進化できません。ですから、タケル君は太一さんと一緒にヒカリさんを守ってあげて下さい」

「わかった」

光子郎の説得を受け、タケルは屋敷に残る事になった。

こうして風邪で寝込むヒカリを太一と空、タケルの三人に託し、良介と光子郎は屋敷の外へと出た。

 

屋敷を出た良介と光子郎は風邪薬を求めて街中を走りまわった。

「でも、この広い街で薬局(ドラッグストア)か病院を探すって言うのも時間が掛かるな・・・・」

良介が辺りを見回しながら薬局(ドラッグストア)か病院を探す。

「えっと・・・・あった!!」

街の中を走り回っている中、光子郎は電話ボックスを見つけると、その電話ボックスに飛び込んだ。

「なにするんです?電話ボックスなんかに入って?」

「闇雲に探しまわっても時間の無駄ですからね・・・・」

光子郎は公衆電話とノートパソコンをコードで繋ぐと、キーボードを叩き始めた。

「やった!!この街の地図ですよ!!」

「それで、この街の薬局(ドラッグストア)か、病院の位置は分かりますか?」

「ちょっと待ってください・・・・」

検索をかけ、薬局(ドラッグストア)または病院の位置を検索すると、地図のあちこちに点滅する場所が出てきた。

「出ました!此処です!!」

「では、ここから一番近い此処へ行きましょう」

「そうですね」

良介達は今、自分達が居る電話ボックスから一番近い病院へと行くことにした。

光子郎が公衆電話からコードを抜き、二人は電話ボックスを後にした。

しかし、二人は知らなかった・・・・。

この行動が敵に自分達の位置を知らせていたことに・・・・。

 

その頃、街の某所にて・・・・

「回線切断・・・・」

光子郎が先程パソコンで表記した同じ街の地図が表示されていたモニターを見ていた歯車に似たデジモンがムゲンドラモンに報告する。

 

ハグルモン 成長期 マシーン型デジモン 属性 ウィルス

歯車の形をした変種のマシーン型デジモン。

体内にも無数の歯車が組み込まれており、常に歯車が回転をしている。そのため1つでも歯車が抜けてしまうと、全身の歯車が回転を止めてしまい、生命活動を維持できなくなる。

必殺技はコンピュータウィルスを組み込んだ黒い歯車を相手の体内に埋め込んで、狂わせてしまう『ダークネスギア』。

 

「ムゲンドラモン様、奴らは病院、ドラッグストアに関するデータを収集した模様です」

「病院?ドラッグストア?・・・・場所を表示せよ」

「はっ・・・・この十二箇所です」

「・・・・それらを攻撃目標とする!!メタルエンパイヤー軍団出撃!!」

「「メタルエンパイヤー軍団出撃!!」」

ムゲンドラモンの命令の下、街のあちこちの隠し通路や隠し扉からはメカノリモンと戦車に似たデジモン、タンクモンが次々と出撃していった。

 

タンクモン 成熟期 サイボーグ型デジモン 属性 データ

戦車の姿をしたサイボーグ型デジモン。

タンクモンは「傭兵デジモン」の異名を持ち、自らの得となることであればワクチン属、ウィルス属のどちらにも荷担する。重量級のパワーと全身に付いた重火器で向かってくる敵を粉々に粉砕する。非常に争いごとが好きで、あちらこちらで起こる争いに赴いている。

必殺技は頭部の砲身から超強力なミサイルを発射する『ハイパーキャノン』。

 

さらにイタリアの街の部分にあったコロッセウムの床が開くと二体の機械竜型デジモンが空へと飛び立った。

 

メガドラモン 完全体 サイボーグ型デジモン 属性 ウィルス

完全体の中の竜型サイボーグデジモンの中で最強最悪のパワーを誇るといわれている暗黒竜デジモン。

強力なセキュリティーで守られているコンピュータネットワークへ簡単に侵入でき、ホストコンピュータの破壊、改造をいとも簡単に行ってしまう。

必殺技は両腕から有機体系ミサイルを無数に発射する『ジェノサイドアタック』と、あらゆる物質を切り裂く事ができる『アルティメットスライサー』。

 

ギガドラモン 完全体 サイボーグ型デジモン 属性 ウィルス

メガドラモンをさらに改良した竜型サイボーグデジモン。

飛行能力、攻撃能力がメガドラモンよりも向上されている。

必殺技はメガドラモンの『ジェノサイドアタック』よりも威力がある有機体系ミサイル『ジェノサイドギア』と、強靭な爪の力であらゆる物質を切り裂く事ができる『ギルティクロー』。

 

街中に敵が出現した事を知らず、良介と光子郎の二人は病院内の薬剤倉庫で風邪薬を探していた。

しかし、薬剤庫にある薬瓶のラベルには薬の名称は書いてあるが、分かりやすく、風邪薬とは明記されておらず、薬剤に関してド素人の二人が沢山の薬の中から風邪薬を探しだすのは困難であった。

「うーん・・・・どれが風邪薬なんだ?光子郎さん、分かりますか?」

「いえ、まったく・・・・こんなとき丈さんがいてくれたら・・・・」

光子郎は物知りであったが、流石に医学、薬学の知識までは兼ね揃えていなかった。

「丈さん?」

「丈さんのお父さんはお医者さんなんですよ」

「そうなんですか・・・・・」

(なるほど、それでオーガモンの応急処置が出来た訳か・・・・)

良介は丈が森で怪我をしたオーガモンの処置が上手かった事に納得した。

「そうだ」

光子郎は薬剤庫にあった電話からコードを抜き、自分の持っているコードとパソコンを繋ぐと、薬剤に関するデータを収集し、検索をかけた。

 

「第一目標内でアクセス反応を確認しました」

「目標を第一目標に限定する攻撃準備」

ムゲンドラモンの命令が下り、メカノリモン、タンクモン、メガドラモン、ギガドラモンが良介達のいる病院に迫って行った。

 

「これですか?」

良介が光子郎に薬の入った瓶を見せる。

光子郎は病院内の薬剤バンクへアクセスし、どれが風邪薬なのかを検索したのだ。

「はい、間違いありません」

病院が包囲されようとしている中、漸くお目当ての風邪薬を見つけた良介達。

「それじゃあすぐに戻りま・・・・」

二人が太一達の待つ屋敷に戻ろうとした時、

 

ドゴーン!!

 

突如病院が揺れた。

「な、なんだ?」

「地震か?」

良介達が病院の正面玄関に行くと、そこには沢山のメカノリモン達が待ち構えていた。

「て、敵だ!!」

「なんでここが?」

何故此処に敵が集まっているのか理由は分からないが、この状況がかなりマズイ事は直ぐに分かった。

 

「トゥインクルビーム!!」

メカノリモンが撃ってきたビームによって病院の玄関口と待合用のソファーが一瞬で消滅した。

そのあまりの威力を見た良介達は急いで病院内に逃げ込んだ。

しかし、逃げ込んだ先に壁を壊して病院内に侵入してきたタンクモンが立ち塞がった。

「わぁぁぁぁ!!」

「こっちからも・・・・」

「なんでワテらがここにおるってバレたんやろう?」

「此処に入るのを見られたのかもしれません」

すると、背後からはメカノリモンが追いついてきた。

「げっ!!」

「後ろからも・・・・」

「トゥインクルビーム!!」

メカノリモンがレーザーを放ち、

「ハイパーキャノン!!」

タンクモンも砲身から砲弾を打ち出す。

「皆、こっちだ!!」

良介達はすぐ横にあった部屋に飛び込み、その部屋の窓から脱出した。

「ぎゃわぁぁぁ!!」

「ぐわぁぁぁぁ!!」

その直後、メカノリモンとタンクモンの技同士がぶつかり合い大爆発が起こった。

さながらアクション映画のワンシーンの様であった。

静かだった街がたちまちタンクモンとメカノリモンが縦横する戦場となった。

「まったく、どれだけいるんだ?あいつら?」

とあるビルに隠れながら街中を走り回り、自分達を探しているタンクモンとメカノリモンを見ながら呟く良介。

「相手は成熟期レベル・・・・僕が行って殲滅してこようか?」

「待ってくいださい、敵の正確な戦力が分からないのに危険です」

ドラコモンが打って出ようとするのを光子郎が止めた。

「じゃあ、どうします?闇雲に逃げ回ってもあの数じゃあ必ず見付かりますよ?」

「今、敵の正確な戦力と安全に戻るルートを探しているんです。・・・・今はヒカリさんの下に薬を届けるのが第一優先ですから・・・・」

「へぇ〜そんなことも出来るんですか・・・・」

良介は光子郎のパソコンの画面をのぞきながら感心するかのように言った。

「やった!敵の配置が出ました!!」

「「おおー」」

光子郎のパソコン技術に思わず声をあげた良介とドラコモンだった。

 

「ムゲンドラモン様、B−129でアクセスを確認しました」

「攻撃目標変更、B−129」

ムゲンドラモンの攻撃命令を受けたタンクモンとメカノリモン達は良介達が隠れているビルに移動を始めた。

「あっ!」

「敵が・・・・集まってきている・・・・・」

敵の配置図を見て、唖然とする良介と光子郎。

「はっ!まさか・・・・!?」

此処に来てようやく光子郎は自分がパソコンを使いアクセスしている行為が敵に自分達の居場所を教えているのだと気がついた。

「良介!!」

「えっ?」

「わぁ!!」

良介が窓に目を向けると、窓からメガドラモンが良介達目掛けて突っ込んできた。

 

ドラコモン進化―――――

           コアドラモン―――――

 

「ブルーフレアブレス!!」

メガドラモンは突っ込んできたは良いが、窓枠にスッポリとはまり、出られない状態で暴れている。そこをコアドラモンが頭部めがけてブレスを撃ち込むが、完全体な上に防御が高いメガドラモンを倒すことは出来ず、良介達はひとまず、コアドラモンに飛び乗り、隠れているビルから逃げ出した。

 

そんな街で起きている戦闘をスパイラルマウンテンの頂上にある城でピエモンがカクテルが入ったグラスを片手に見ていた。

「面白みがないな・・・・それだけに、まったく隙が無い。まさに破壊のために存在するデジモン、それがムゲンドラモン。選ばれし子供達の命運もここで尽きたか・・・・残念だよ?遊んでやれなくて・・・・アディオス」

ピエモンは子供達の手向けの様にグラスを傾けた。

 

「ターゲットを見失いました。奴らまた逃げたようです」

「ぬぅ〜」

ハグルモンの報告を聞き、ムゲンドラモンは何故良介達が攻勢に出ないのかが気になり始めた。

なんとか、敵の追撃を振り切り、街の教会に隠れた良介達。

そこで、光子郎は何故、敵が正確に自分達の居場所を突き止められたのかを話した。

「迂闊でした・・・・敵は僕がアクセスした信号で居場所を突き止めていたんです」

「いや、光子郎さんだけのせいじゃありませよ。俺の方も迂闊でした。敵が出てきた時点に気が付くべきでした。・・・・この街が敵のテリトリー内だということにもう少し早く気が付いていれば・・・・・」

「今は互いに悲観している暇はないよ。何か対策を立ててヒカリに薬を届けないと」

「そうやで」

「え、ええ・・そうですね・・・・」

光子郎は、今度は敵の作戦を利用する絡め手で包囲網を抜ける作戦を立てた。

「正面からの突破は不可能です。それなら敵の作戦を利用しましょう。これは居場所を特定できないようにするソフトなんです」

ジャミングソフトを使い、ルートの検索をする光子郎。

 

その頃、屋敷内でヒカリの看病をしている太一は、まだ戻ってこない良介達に苛立ちを感じていた。

「くそっ、まだかよ?」

「うぅ〜」

そんな時、ヒカリが熱のせいか、うめき声をあげ、太一は急ぎ額の濡れタオルを一度取り、洗面器の水で濡らし再びヒカリの額に乗せる。

太一の様子がいつもより変だったので、空が太一に声をかけた。

「大丈夫よ、光子郎君も良介君もきっと薬を手に入れてもうここへ向かっているかもしれないわよ?」

「そんなことわかっているさ!!」

太一が思わず声をあげる。

「あっ・・・・すまん・・・・空・・・・」

「・・・・太一・・・・太一、あなた少し変よ?いつもの太一らしくないわ。何か焦っている様よ?何かあったの?」

「・・・・」

太一は空から視線を逸らし、熱でうなされながら眠るヒカリを見て、呟くよう過去の辛い出来事を話した。

 

太一の話では、当時小学二年生だった太一がある日風邪で休んでいたヒカリを無理に外へ連れ出してしまい、その結果、ヒカリは風邪をぶり返し、高熱を出し倒れ、救急車で病院へ搬送され、三日間生死の境を彷徨う程の重症になったことがあると言う。

そして退院したときに、太一に倒れてしまった事を謝り、その優しさが逆に当時幼い太一の心に傷を残してしまった。

自分の軽率な行動で死ぬかもしれない事になったのに・・・・

恨まれてもしかたがなかった筈なのに、ヒカリは倒れた自分が悪いんだと思い、太一に謝ってきたのだ。

その時、太一は自分が情けなく惨めで声をあげて泣いた・・・・。

 

「こいつはそういう奴なんだ・・・・いつも人の事ばっか考えて、自分が辛いとか苦しいとか絶対に最後まで言わないんだ・・・・本当はこっちの世界に来るのも嫌だったのかもしれない・・・・だけど、世界の運命とかっていわれたら、絶対に断れないんだよ、ヒカリは・・・・・」

「太一・・・・」

「だから、俺がしっかりヒカリの事を見ておかないといけないのに・・・・それなのに・・・・」

「・・・・」

声を殺しながら無く太一を空は優しく抱きしめた。

それはお母さんが泣く子供をあやすかのようだった・・・・・。

タケルとデジモン達は外を見張っていたので、太一と空の話や行動を知らなかった。

 

 

その頃、アクセス信号をキャッチしたメタルエンパイヤー軍団の司令部では、

「アクセス確認・・・・なっ!!これは・・・・!?」

光子郎が使ったジャミングソフトの効果のため、街の地図には至る所にアクセス信号が点滅し、どの信号が本当の信号なのか特定不能となった。

「いかがなさいます?ムゲンドラモン様?」

居場所が特定出来ず、攻撃命令が出せない。

そうなれば、当然攻撃も出来ない。

ムゲンドラモンは最後の手段に打って出た。

「これよりプランZを実行する!!」

「しかし、あの作戦は・・・・」

「選ばれし子供達を殲滅するのが第一優先である!!直ちに実行せよ!!」

「は、はっ!!プランZ発動!!」

「プランZ発動!!」

「プランZ実行!!」

地上にいるメカノリモンとタンクモンは地下へ速やかに退避し、空を飛んでいたメガドラモンとギガドラモンは突然街に対し、必殺技を放ち始めた。

「ジェノサイドアタック!!」

「ジェノサイドギア!!」

二体の機械竜デジモンの両手から放たれるミサイルによって、街の至る所で爆発が起き、ビルは崩れていく。

その光景はさながら怪獣映画の様であった。

「奴ら一体何を?」

「滅茶苦茶に撃ってますなぁ〜」

「ま、まさか・・・・」

光子郎はメガドラモンとギガドラモンの行動の意味を瞬時に理解した。

「僕の作戦が裏目に出たようです・・・・」

「えっ?」

「それはどういう・・・・」

「敵は僕達を探すのを止めたんです・・・・」

「連中諦めたんですか?」

「いえ、僕達を探さない代わりにこの街ごと僕達を吹き飛ばす気なんです」

「「「ええっー!!」」」

敵の目的は街ごと自分達の殲滅だと知った良介達は急いで皆の待つ屋敷へ急いだ。

ドラコモンかテントモンが進化して空を飛べば早かったのだが、それでは敵を皆の下へ案内してしまうので、仕方なく、良介達は走って皆のいる屋敷の所まで向かったのだ。

幸い良介達が屋敷に辿り着いた時には屋敷はまだ無事だった。

「良かった無事だったんだ」

「早く、皆を避難させないと・・・・」

屋敷が無事だった事で、ホッとする良介と光子郎。

良介達が屋敷の庭に入った瞬間、屋敷にミサイルが命中し、屋敷は木っ端微塵に吹き飛んだ。

「そ、そんな・・・・」

「太一さん・・・・ヒカリ・・・・空さん・・・・タケル・・・・・」

(守れなかったのか?俺は・・・・皆を・・・・・)

皆が唖然とした表情で燃え盛る屋敷を見ていると、

「ミサイルがっ!!」

光子郎が自分達の上に落ちてくるミサイルに気がつく。

進化させるにはもう時間が無い・・・・。

絶体絶命のピンチに陥った良介達。

そこへ、

「ヘブンズナックル!!」

迫りくるミサイルが光る拳により弾道が変更され、空中で爆発した。

良介達が後ろを振り向くと、そこにはエンジェモンがいた。

「「「「エンジェモン!!」」」」

「光子郎さん、良介君大丈夫?」

「タケル!!」

「ピヨ?」

「よっ、危ない所だったな?」

「太一さん!!皆!!」

「無事だったんですね?」

「ああ、爆撃が始まった時に避難したんだ」

「そうだったんですか・・・・良かった」

皆が再会を喜んでいると、突然地面が割れ、そこからムゲンドラモンが姿を現した。

「ムゲンドラモン!!」

「これで終わりだ・・選ばれし子供達・・・・・」

「逃げろ!!」

進化させている時間がなく、皆は一先ず目の前にあったビルに逃げ込んだ。

しかし、入口が二つあったので、皆は自然と二組に離ればなれとなってしまった。

そこへ、

「∞(ムゲン)キャノン!!」

外に居たムゲンドラモンが必殺技の∞キャノンを子供達が逃げ込んだビルへ撃ち込み、皆は瓦礫と共に奈落のような暗黒の地下に落ちて行った・・・・。

 

 

あとがき

ムゲンドラモン編へと突入しましたが、原作の通り、ムゲンドラモン編は次回で終わります。

薬の探査に原作と違い光子郎と良介を向かわせましたが、いかがでしたでしょうか?

多少なりともオリジナル色は出せたでしょうか・

では、次回にまたお会いしましょう。

 

 




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