二十五話 ウォーグレイモンVSメタルガルルモン

 

 

ヤマトとメタルガルルモンのペアは太一、アグモンペアと対峙し、その他の子供達とデジモンは二人の成り行きを見ていたが、

「お兄ちゃん・・・・」

「おいおい、冗談はよせよ。僕達仲間じゃないか」

兄の行動が理解不能といった感じのタケルと丈がヤマトを止めに入る。

「仲間?」

「そうだよ!!」

「じゃあ聞くが、一体だれが俺達を選んだんだ?」

「そ、それは・・・・」

確かにヤマトの言うとおり、皆は偶々あの時、サマーキャンプに参加し、山小屋で雪を凌いだ時に出会い、そのまま成り行きの様な形でデジタルワールドへ飛ばされた。

誰が自分達を選別したのかと聞かれたら口ごもるしかない。

「分からなくてどうして仲間だなんて言えるんだ?」

「それはそうだけど・・・・」

疑心暗鬼な場面になり、そこへ太一が言う。

「丈、言っても無駄さ、ヤマトはこういう奴なんだ」

今までの旅の中で二人は何度も同じような事で衝突してきた。

だから、太一の中ではヤマトはいつも突っかかる奴だという認識があった。

「こんな奴?・・・・お前に俺の何がわかる!?」

「わかるさ!ようするにいじけているんだろう?自分の思うようにならないから」

「へぇー・・お前はすごい奴だよ。俺がどういう奴かさっぱりわからないのに、お前にはわかるんだ?」

「もう、そのくらいで止めよう」

二人の問答に空が止めに入る。

「俺に言うなよ。ヤマトが勝手に突っかかってきているだけなんだから・・・・俺はこんな奴相手にしない」

「大人になったね、太一」

太一はあくまでヤマトとは戦わない姿勢を貫き、歩き出すが、

「そうはさせない!!」

ヤマトとメタルガルルモンは太一との決闘を望んでおり、太一達の前にメタルガルルモンが立ち塞がる。

「しつこいぞ!!ヤマト!!」

「俺と戦え!!」

「だから嫌だって!!わからない奴だな?」

「わからないのはお前たちだ!!」

メタルガルルモンが太一達に殺気を送る。

「本気か?」

「太一、下がって・・・・」

 

アグモンワープ進化―――――

           ウォーグレイモン―――――

 

「やめろ、戦う理由なんか無い!」

「そっちに無くても、こっちにはあるんだ!!」

アグモンは究極体に進化し、説得するが、効果が無く、メタルガルルモンと上空で壮絶な戦いを始めた。

究極体同士が戦いを始めると、太一がヤマトに近づき、

「やっと戦う気になったか・・グッ・・・・」

太一がヤマトを殴った。

「どうして殴ったか分かるか!?」

「ああ、俺達もやろうってことだろ!!」

「この・・・・バカヤロウ!!」

「バカヤロウで悪かったな!!」

二体の究極体のテイマー同士も殴り合いを始めた。

「どうしよう?」

「止めなきゃいけないけど・・・・」

「究極体のウォーグレイモン達をわてらに止められるわけおまへんし・・・」

デジモン達も上空で戦闘を繰り広げている二体の究極体を心配そうに見ている。

そこへ、

「気の済むまでやらせたら?」

と、テイルモンはあくまでクールに戦いを見ている。

「おい、お前には仲間を思う気持ちは無いのかよ!?」

テイルモンの言葉にゴマモンなムカッときたらしく声をあげる。

「あれば止められるとでも言うの?」

「そ、それは・・・・」

「だったら黙って見ているしかないじゃない」

「くそっ、新入りのくせに!!」

ゴマモンがテイルモンに思わず飛びかかろうとした時、

「やめなはれ、あんさんたちまで喧嘩することないでっしゃろう?」

テントモンがゴマモンを止めた。

 

「どうする?良介?」

ドラコモンが良介に話しかける。

その間にミミは泣いているし、空はそんなミミを慰めている。

(なのはとティアナみたいだな・・・・たがいに本音をぶちまけあえるような展開ならばいいのだが、これ以上殴り合いしてもそんな展開は望めないだろう・・・・)

太一とヤマトの喧嘩を見て、良介は前世で師弟関係だったなのはとティアナの二人を思い出す。

なのはの訓練に不満をもったティアナが一度、なのはとの模擬戦で危険行為をし、ぶつかり、師弟関係を無視し互いに本音をぶちまけあっていたが、眼前で殴り合いをしている二人は何時までたっても平行線だろう。

(ここはなのはではないが、二人には少し頭を冷やしてもらおう・・・・)

「ドラコモン、上のバカ二体の相手を・・・・俺はこのバカ二人を止める・・・・」

「分かった」

 

ドラコモンワープ進化―――――

           スレイヤードラモン―――――

 

ドラコモンは究極体に進化し、空へと舞い上がり、良介は取っ組み合いをしている先輩達に近づく。

そして、

「いい加減にしろぉ!!」

良介は声をあげ、スレイヤードラモンはフラガラッハで二体をバインドの用に雁字搦めにする。

「良介?」

突然響いた大声に思わず殴り合いを止める二人。

「とりあえずヤマトさん・・・・歯ぁ食いしばれ!!」

「えっ?」

 

ドガっ

 

「ぐっ・・・・!!」

良介はヤマトを思いっきり殴った。

「なっ!?良介?」

良介の行動に太一までもが唖然とする。

「あんた、馬鹿か!?自分で弟を護るって言っておいて心配かけさせて、これじゃあ本末転倒じゃねぇか!!挙句の果てに何してんだよ!?なに仲間同士で戦ってんだよ!!」

「・・・・」

仲間同士で戦ったという指摘よりもタケルの事を言われ、ヤマトはがっくりと項垂れる。

「少し頭を冷やせ・・・・」

項垂れるヤマトに良介はそう捨て台詞を吐き、二人から遠ざかる。

 

(ん、この感じ・・・ああ、あの光か・・・・)

「ん?ヒカリ、どうかした?」

「この子達が・・・・」

ヒカリの方へいくと、ヒカリの目の前にはキラキラと光る何かがいた。

「そう・・・敵じゃないのね・・・・」

なんとなくだが、自分達は敵ではないということと、ヒカリの体を少し貸してほしいと言っているのが良介にもわかった。

なぜヒカリの体で良介の体ではないのかというと、良介の体では、良介の中にあるリンカーコアの影響で自分にも良介にも何かしらの影響が出る可能性があり、ヒカリの体ならば特に問題ないとのことだった。

「ヒカリ、大丈夫か?」

「うん、平気・・・」

(まぁ、ヒカリ本人が良いって言っているなら・・・・まあ、悪い奴じゃないみたいだし・・・・でも、傍から見たら俺もヒカリも危ない電波な奴だと思われそうな光景だよな・・・・)

良介がそう思っている中、ヒカリの体の中に何かが入っていった。

そして、ヒカリの紋章が輝きだし、皆を包み込んだ。

 

気がつくと皆は光の中に立っていた。

「これは・・・・」

「どうなっちまったんだ?」

ほんのさっきまで森の中にいたのに、突然眩い光に包まれたと思ったら、真っ白い空間にいるのだから良介とヒカリを除く皆の戸惑いは当然の反応だった。

「光あるところに闇はある。光と闇はちょうどコインの表と裏のような関係・・・・しかし、闇の力が増大すれば・・・・」

ヒカリの体を借りた何ものかが、闇の力が増大した場合の仮説を唱えると、辺り一面が、暗闇になる。

それはまるで新月の夜の様であった。

そして、向こうには昔見た光景が広がった。

そう、デジモンとの初めて出会った場所・・・・光が丘・・・・。

そして光が丘の夜空にはグレイモンと緑色の大きなオウムの様なデジモンがいた。

 

パロットモン 完全体 巨鳥型デジモン 属性 ワクチン

時空の裂け目を通って別のデジタルワールドから飛来した巨大なオウム型の怪鳥デジモン。強力なパワーを発揮する足のツメを持ち、腕にはホーリーリングが2つ装着されている。

必殺技は雷を落とす『ミョルニルサンダー』

 

「あの鳥、4年前の!?・・・・完全体だったんだ・・・・」

光子郎はパソコンを使い、パロットモンの事を調べた。

『皆さんの世界で4年前、誤って二つのデジタマが人間界に渡ってしまいました』

「な、なにを言っているんだ?ヒカリ?」

自分達の知らない事実を語るヒカリに太一は不審を感じ、ヒカリに声をかける。

「太一さん、今喋っているのはヒカリじゃありません。何かがヒカリの体を借りて喋っているんです」

良介が太一に先程あった事を話す。

「ワタシはデジタルワールドの安定を望むものです」

「なら、あなたはデジタルワールドの神様?」

「違います。ワタシもデータからできています。ただ、自分の体を持っていないんです」

「なら、なんでヒカリの体を使っているんだ?」

「本当はファイル島にいらした時、すぐにでも話したかったのですが、ワタシの言葉を中継できるのはこの方だけなんです。そちらの方は言葉を聞くだけなら出来るのですが・・・」

そう言ってデジタルワールドの安定を望むものは気まずそうに良介を見る。

「あ、俺の場合だと体の中の魔術の塊とあまり相性が悪いらしくて・・・・」

良介が自分の体を貸せない訳を話し終えると、皆の体が浮いて、グレイモンとパロットモンの場所まで飛んでいった。

「あれは、四年前の俺とヒカリだ!!」

「あそこで電話をかけているの僕だ!!」

「私もいる!!」

「私も!!」

「あ、僕とお兄ちゃんだ!!」

「僕もいます・・・・」

道端には四年前の太一とヒカリの姿があり、その他にも団地のベランダや通路には四年前の皆がスポットライトのような光に照らされている。

「この光はなんだ?」

「皆さんのデータをスキャニングしている所です」

どうやらこの光はただの光ではないようだ。

「あれ?良介君は?」

タケルは道端にも団地のベランダや通路にも良介の姿が無い事に疑問を持ち、良介の居場所を聞く。

「もう少し向こうだよタケル・・・・俺は少し違う形でデジモンと会ったんで・・・・」

「その方の言うとおり、その方はデジモンたちがデジタルワールドへ帰ったあと、もう一個渡ってきていたデジタマを拾いました。本来なら私達の誰かが回収するハズだったのですが・・・・」

「本来なら?・・・・それに誰かって?」

「見てください」

バトル後の場所から少し離れた場所に四年前の良介の姿があった。

良介はまるで何かに呼ばれるように路地裏に入り、暫くしてからデジタマを抱えて出てきた。

「偶然、彼がやってきてあのデジタマを拾っていきした。そして、彼はデジタマに入っていたデジモンとの適正がとても高かったのです」

「適正?それにさっき言った誰かって?」

「それも含めて説明しましょう」

光のゲートを潜ると、場面が変わり、研究所みたいな場所になった。

「此処何処なの?」

「どこかで見た記憶はあるんですが・・・・」

皆で研究所の中を歩いて行くと、ガラスケースの中にデジタマが保管されていた。

保管されているデジタマの殻にはデジヴァイスと紋章がコードで装着されていた。

すると、ローブを着こんだ数人の人たちがやって来た。

「あ、スミマセン。お邪魔しています」

丈がやって来た人たちに挨拶をするが、ローブの人々は丈の言葉を無視し、何かの作業を始めた。

「何だ?コイツら?返事ぐらいしろよな!!」

ゴマモンが文句を言うが、デジタルワールドの安定を望むもの曰く目の前の人たちは立体映像でこれは過去の記録映像だと言う。

「これは、ヴァンデモンの城にあった石盤だ」

「ゲートもあるわよ」

「やっぱりそうだ、ここはヴァンデモンの城にあった部屋だ」

「でも、あの人たちは何をやっているんだ?」

「ここは、デジタルワールドが暗黒の力に覆われた時の準備をしていました。そして、皆さんのデータをもとにデジヴァイスと紋章を作ったのです」

「あ、あれは俺のデジヴァイスと紋章・・・・」

ローブを着た人が良介のデジヴァイスと紋章を何かの機械に入れると、デジヴァイスと紋章が消えた。

(なるほど、あれは転送装置か・・・・)

良介は何故パソコンの画面からデジヴァイスと紋章が出てきたのかこの映像から知った。

「それじゃあ、アンタたちが俺達をえらんだのか?」

「そうです」

「どうして俺達が選ばれたんだ?」

「太一さんとヒカリさんは現実世界に迷い込んだデジタマをグレイモンまで進化させましたね?」

「勝手に進化したんだよ」

「勝手に進化することは無いんです!!あなた達といたからグレイモンまで進化できたんです」

「でも、俺達何もしてないぜ? あの時はデジヴァイスも紋章も無かったし」

「デジヴァイスをただの進化の道具とお考えならそれは間違いです。デジヴァイスは皆さんの特質に合わせて正しく進化させるもの。紋章も同じです。それぞれの紋章の意味はご存知ですよね?」

「俺のは、勇気だ」

「私は愛情」

「純真!

「知識です」

「で、僕は誠実で」

「僕のは希望!」

「俺のは・・・・」

ヤマトは紋章の意味を言いにくそうだ。

「友情だったよな?」

「あ、ああ」

言いにくそうなヤマトに丈が代わりに言う。

「で、俺のが運命・・・・」

「それは、四年前の皆さんが持っていた。最もすばらしい個性です。でも、そのすばらしい個性を忘れていたらどうですか? また、デジモンたちを悪用するかもしれない。履き違えたりしたら・・・・?」

「あっ・・・・」

「・・・・」

太一には何か思い当たる節が有るようで、良介も同じくドラコモンを破壊竜に進化させてしまった事に気まずくなる。

「やっと気づいてくれましたね?」

「ということは、僕らは元々持っていた自分らしさを再発見するために苦労してたってわけだな」

(まったく、丈さんの言うとおりだな・・・・クイントの奴に二度も会ったし・・・・)

「でも、太一さんとヒカリさんは分かりますけど僕らはデジモンを進化させたことはないんですよ?」

「皆さんのデータを検討した結果。太一さんとヒカリさんに共通するものがあったのです・・・・それが何を意味するのかはまだ分かりませんが・・・・」

「それにしてもこのデジタマは?」

タケルがガラスケースに近づく。

「分かりませんか?」

「ひょっとして僕達?」

「はい」

「どれが私達だろう?」

「紋章の絵を見ればわかるよ」

デジモン達は紋章に描かれている絵を頼りに自分達のデジタマを探し始めた。

「これは私ね」

「オイラのはコレ」

「でも、なんで俺は皆と少し違うんだ?」

「良介さんは確かに共通するデータがあったものの、皆さんとは少し違うデータもあったのです」

「少し違うデータ?」

「デジモンとの適合性との高さといい、運命の紋章の持ち主となりえたことといい、また特別な存在なのです。それは良介さん本人も多い当たる節があるのではないでしょうか?」

そう言われ、魔術の外に皆に黙っている事、自分が転生者である事、そして前世と違いこの後世で、クイントとギンガの運命を変えようとしている事を指しているのだと良介はそう思った。

「しかし、私達の計画はダークマスターズに知られてしまいました・・・・そして彼らは計画の妨害を始めました」

突如、研究所に響き渡るサイレンの音、

扉が強引にこじ開けられ、そこからロボットのようなデジモン達が大量になだれ込んできた。

 

ガードロモン 成熟期 マシーン型デジモン 属性 ウィルス

鉄壁の防御力を誇るマシーン型デジモン。

感情が無く、インプットされた命令を忠実に行う。

必殺技は侵入者を追い続けるミサイル『ディストラクショングレネード』。

 

ガードロモン達が迫ってくると、良介とドラコモンを除く皆は逃げていく。

「ちょっ、皆さん!!なんで逃げるんですか!?」

「なんでって、敵が迫ってきているんだぞ!!お前も早く逃げろ!!良介!!」

「コレ、立体映像ですよ・・・・」

良介が冷静に指摘すると、皆は「あっ」っという顔になり逃げるのを止める。

ガードロモンは必殺技のディストラクショングレネードで設備ごとローブを着た人たちを吹き飛ばしていく。

「また、新手が来たぞ!!」

ガードロモンの他にもう一体別のマシーン型デジモンが姿を現した。

 

メカノリモン 成熟期 マシーン型デジモン 属性 ウィルス

小型デジモン専用のパワードスーツデジモンであり、デジタルワールド初の乗り物型デジモンでもある。自ら行動することはできず常に他のデジモンが操縦しないと活動できない特異なデジモンである。

必殺技は、メカパワー炸裂のコークスクリューパンチ『ジャイロブレイク』と、胴体に埋め込まれたリニアレンズから照射される『トゥインクルビーム』。

 

そして最後に現れたのはダークマスターズのリーダー、ピエモンだった。

ピエモンはガラスケースを割ると紋章を奪う。

「ハハハハハ!!」

紋章を奪いうすら笑いを浮かべるピエモン。

そこへ、

「ピエモン、お前には渡さないぞ!!」

剣を手にした一人の男がピモンに斬りかかった。

「ゲンナイ・・・・」

「ゲンナイさんなの?」

タケルが意外そうに言う。確かにパソコンの画面で見たゲンナイと今、目の前でピエモンと戦っているゲンナイとは似ても似つかない。

ゲンナイはピエモンには勝てないと判断したのか、メカノリモンのコックピットに剣を刺し、乗っていたバケモンを引きずり下ろすと、メカノリモンに乗り、デジタマとデジヴァイスを持って敗走する。

「追え!!逃がすな!!」

ピエモンの命令を受け、ガードロモン達がゲンナイの乗ったメカノリモンを追いかける。

「私たちも追いましょう」

皆も空を飛び、ゲンナイを追う。

ガードロモンの攻撃を受けたメカノリモンは大きくグラつき、やがて一つのデジタマが森の中へ落ちていった。

「あ、あれは私・・・・」

テイルモンは落ちていくデジタマを悲しそうな目で見ていた。

「だから私は一人だけ逸れ、皆と離れて育ったのか・・・・」

「でも、今は一緒よ」

「そうだよ、今はこうして、皆といる」

ピヨモンよドラコモンがテイルモンに言うと、

「そうだな」

テイルモンはいつもの調子を取り戻した。

やがて、ゲンナイが行きついた先は・・・・。

「ファイル島だ」

そう、太一達が初めてデジモン達と旅をしたファイル島だった。

そしてデジタマは長い時を過ごし、やがて孵化をし、誕生したデジモン達は自分達のパートナーを待ち続けた。

そして、ある日空から太一達がこの世界へやって来てデジモン達は自身のパートナーと出会った。

 

「俺達はいったいどうすればいいんだ?」

「それは分かりません。でも、皆さんなら自分達の力で答えをみつけられると信じています・・・・」

その言葉を最後に過去の映像は終わり、元の森のエリアに戻った。

ヒカリの体を借りていたデジタルワールドの安定を望むものはヒカリに体を返し、ヒカリが目を覚ました。

「大丈夫か?ヒカリ?」

「ヒカリ、無事か?」

「ヒカリ、なんとも無いよな?」

「どこか痛いとことか無い?」

「大丈夫」

「そうか・・・・それでヒカリさっきのことなんだけど・・・・」

「さっきの事?」

体を貸していたヒカリには先ほど見た過去の光景は記憶には無いようだった。

「あ、いやいいんだ・・・・ヤマト、コレで選ばれし子供たちの答えは分かったよな?」

「ああ」

「やっぱりこの世界の歪みを正せるのは俺達しかいない。また一緒にやろう」

太一はヤマトに手を差し伸べるが、

「すまん・・・・」

「ヤマト・・・・俺、間違っていたのかな?」

「いや、悪いのは俺だ・・・・」

「そうじゃなくて、俺が今までやってきたことだけど・・・・」

「俺なんかが偉そうに言える事じゃないんだけど、正しいとか間違っているとかじゃ、無いと思うんだ・・・・ただ、お前にはお前の道があるように俺には俺の道がある。自分の道がどんな道なのか、俺には分からない。お前と戦えば少しは分かるかと思ったんだが・・・・謝って許してもらえるとは思っていないが、すまなかった・・・・でも、俺は自分の道を探したい。いや、探さなきゃいけないんだ!だから、俺は皆と別れて行動する・・・・ツノモンと二人だけで・・・・」

「考え直してください。ヤマトさんの紋章、ヤマトさんの個性は・・・・」

別れて行動すると言うヤマトを光四朗は止めにかかる。

しかし、

「いいじゃないですか、ヤマトさんが別れて行動したいと言うのなら、別れて行っても・・・・」

良介はヤマトの好きにさせる。

「お、おい良介」

「なんであおるような事を!?」

「さっきヤマトさんが言ったじゃありませんか。『自分の道を探したい』って・・・・自分の道を探すため、一人旅に出ることもまた自分で決めた道です。それにどの道を選んでも行き着くところは同じだと思っています」

「そうね、分かったわ」

「ああ、ヤマト必ずまた会おう」

良介の言葉に太一と空は納得した様子。

そしてヤマトはツノモンと共に皆の下から去って行った。

ヤマトを見送った後、太一達も出発するが、ミミは立ち止っている。

「ミミちゃん?」

「ごめん空さん。私行かない」

「『行かない』って?ここに残るの?」

「うん。これ以上皆が傷つくのみてられない」

「それじゃあ僕もここに残るよ。ミミ君一人じゃあ危険だから」

突如、ミミはここに残ると言い、ミミの護衛役として丈も残ると言った。

「説得して説得できたら太一たちの後を追いかける」

「わかったよ、丈」

(さて、俺はどうするかな?・・・・ここはピノッキモンのエリアだし、ミミさんと丈さん二人を残しておくのも危険だし、せめて、究極体一体でも居た方がいたほうがいいだろう)

「太一さん、俺もミミさんと丈さんと共に残ります」

「良介、お前もか!?」

「ええ、丈さんたちがダークマスターズに遭遇したら危険だと思うんです。せめてピノッキモンを倒すまでは丈さん達と行動を共にします」

「わかった。それじゃあ、気をつけろよ」

「ええ、太一さん達も気をつけて・・・・」

選ばれし子供達はそれぞれの道を歩み出した。

ヤマトは自分を見つめなおし、自分の道を探すために・・・・

ミミ達は戦いから少し離れるために・・・・

そして太一達は先へ進むために・・・・。

 

 

あとがき

ピノッキモン編もようやく中盤に差し掛かりました。

少し良介君とドラコモンの出会い設定が強引ですが、目と瞑ってもらえると、幸いです。

では、また次回にまたお会いしましょう。




作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板
に下さると嬉しいです。