二十三話 生死をかけた戦争ごっこ
浜辺には身を隠す物がなく、この場に居ては目立つため、場所を変えようとしたら、ミミがスカモンやチューモン達の墓を作りたいと言ったので、良介とヒカリもミミと一緒にデジモン達の墓作りを手伝った。
もちろんその中にはピッコロモンの墓も含まれていたが、ドラコモンが言ったように良介はピッコロモンの死を知らないままである。
「あたし嫌・・・・あたしもう嫌!! どうしてあたし達が戦わなきゃいけないの!?」
デジモン達の墓を作り終えたミミが叫ぶ。
皆はこれまでの戦いの疲れと考える事の出来る時間的余裕が出来たせいで思考が空回りを始めてしまったようだ。
まぁ、考えてみれば普通の小学生が地球を救うため、こんな命がけで戦う状況なんてありえない。
まして、平和な日本に住んでいたんだ。
デジタルワールドとは言え、ゲームの中の世界では無い。
一度死ねばそれまで・・・・。
たとへ、前に進むしか選択がなくても、普通はもう嫌だと思ってしまうのも無理は無い。
良介自身も前世の経験なく、この世界に年相応で生まれていたらきっとそう思うだろう。
太一はそれでも前に進もうと主張し、ヤマトはそんな事は分かってはいるけど悩んでいる。他の皆も太一の意見とヤマトの意見に賛否両論となり、皆の結束がバラバラになり始めているのを感じる。
バラバラなままじゃ奴らには勝てない・・・・。
でも、ヤマトが言っていた。
『立ち止まって考えたい時もある』
実際、ヤマトの言う通りだろう・・・・ここは少し休憩したほうがよさそうだ。
そんな事を考えながら森の中を歩いていると、何かが聞こえたような気がした。
「っ!?」
敵かもしれないと思い、良介は慌てて振り返り、周囲を見回すが、辺りには人はおろか、デジモンの姿も見えない。
「今、何か・・・・」
ヒカリも聞こえたらしく辺りを見回している。
「ヒカリも聞こえたのか?今の・・・・?」
「うん・・・・」
「ヒカリ、リョウスケ。どうしたんだ?」
突然立ち止り辺りを見回している良介達の事を心配に思ったのか、テイルモンが声をかけてきた。
「テイルモン。今、何か聞こえなかった?」
「人の声みたいなの」
「人の声?ワタシは聞こえなかったが?」
「僕も。それよりも早く行かないと皆とはぐれちゃうよ」
「そうだな・・・・」
どうやらテイルモンにもドラコモンにもさっきの声は聞こえなかったようだ。
気のせいか?
それとも空耳かな?
「お前らどこに行っていたんだ!?」
「何か聞こえた気がしたんだけど気のせいだったみたい」
「良介もか?」
「え、ええ・・・・でも、ヒカリの言うとおり、気のせいだったみたいです」
「危ないから離れるなよ」
良介達は太一と合流しまた歩き始めた。
そんな皆の様子を覗っているモノが居た・・・・。
森のエリアの番人、ピノッキモンである。
ピノッキモンは森の中にある自分の屋敷の中にある部屋の中でテレビに映っている選ばれし子供達を見ていた。
「早くこっちにくればいいのに、僕、待ちくたびれちゃうよ・・・・」
「所詮人間の子供ですから・・・・」
ピノッキモンの後ろから鳥の様なデジモンが言う。
キウイモン 成熟期 古代鳥型デジモン 属性 データ
頭部に草を生やした鳥の様なデジモン。
羽根は退化していて空は飛べず、頭にかぶっているカラのような部分以外体を守る術を持っておらず、攻撃的なデジモンに狙われやすく、一時は絶滅したと思われた。
必殺技は体にかくれていたチビキウイモンが、クチバシと爆発で攻撃する。『リトルペッカー』。
ちなみに爆発して真っ黒こげになっても、チビキウイ達はあとでちゃんともどってくる。
「まったくもう、遅いんだから!!」
そう言うと、ピノッキモンは手に持っていたリモコンのボタンを押した。
すると・・・・
森を歩いていた選ばれし子供達は突如、周りの景色が流れて始めた。それも凄い勢いで・・・・。
「周りの景色が・・・・」
「流れていく・・・・」
「「「「「ええええっー!!」」」」」
「どうなっているんだ?」
光子郎がふと、地面を見ると、自分達の足元だけが動いていているのに気がついた。
「違います。僕達のいる地面が動いているんです」
「ほぉ〜らぁ〜僕って親切でしょう?子供たちが来たら・・・・何して遊ぼうかな?」
もうすぐ選ばれし子供達が来るとワクワクしながらテレビを見ていたピノッキモンはそう言うと、部屋に置いてあるおもちゃ箱へ向かい、中を漁り始めた。
そして、
「あっ!?これがね、44マグナム。破壊力があるんだよ」
おもちゃ箱から黒光りする一丁のリボルバー拳銃を取り出す。
「それから、これはダムダム弾!!・・・・これを撃ち込むとね・・お腹の中がはじけるんだ」
そう言って銃のシリンダーに弾を込め、キウイモンに銃を向けるが、キウイモンは特にリアクションを取ることはなかった。
キウイモンにはピノッキモンが自分に対し銃を撃つことは無いと確信があったのだろう。
今のピノッキモンは選ばれし子供たちに夢中で彼ら全員を殺すまでは、ピノッキモンは自分に興味は引かない、ひいては殺されないと言う確信があった。
実際ピノッキモンは銃をキウイモンに向けただけで銃を撃つことは無かった。
「こっちに跳ぶぞ」
太一が動いていない方へ指をさし、皆はそちらへと跳ぶ、すると、今度はそこの地面が動き出した。
「ねぇ、このまま進んで行ったら何処に着くのかしら?」
空が不安そうに言う。
「間違いなくこの先には敵が待っているんだろうな」
たしかにヤマトの言うとおり、この先にはピノッキモンの屋敷がある。
「そんなぁ〜」
「黙って敵の思うつぼに嵌まるのかぁ?」
「そうだな・・・・」
太一は考えるかのように呟く。
その頃、ピノッキモンの屋敷では・・・・。
ピノッキモンが選ばれし子供達の到着を今か今かと待っていた。
「まだぁ〜?」
「ピノッキモン様、選ばれし子供達の姿が見えません」
「なんだって!?・・・・ああっ!!」
ピノッキモンがテレビを見ると、キウイモンの言うとおり、テレビの画面からは選ばれし子供達の姿が消えていた。
「な、なんでぇ〜!?」
ピノッキモンはリモコンを操作し、森のエリアに仕掛けてある監視カメラの映像を見るが、どの画像にも選ばれし子供達の姿は映っていなかった。
その選ばれし子供達はというと、木の上に隠れていた。
「ここにダークマスターズの誰がいるのかしら?」
空が小声で言うと、
「おそらく、森の番人ピノッキモンでしょう・・・・」
コロッセオでピエモンから受けた紹介で、確かそう言っていたのを思い出した良介は、この森のどこかに潜んでいるであろう敵の大将の名を口にする。
「結局敵に向かって歩いていたのか僕達・・・・」
丈ががっかりしながら言う。
大休止することなく、二ラウンド目が始まったのだから愚痴りたい気も分かる。
「でも、いつかは対決しなくちゃならないんだ、同じことさ」
「分かっているよ!!そんなこと!!でも、今言わなくたっていいだろう!!」
「お兄ちゃん喧嘩しないで」
太一の意見に真っ向から反対するかのように声をあげるヤマト。そんなやや喧嘩腰のヤマト(兄)を諌めるタケル。
「タケル・・・・」
「このままじゃいつかやられちまう・・・・敵が何処に居るのか突き止めよう」
「ちょっと待てよ!」
またも喧嘩になりそうな太一とヤマト、その頃、良介はと言うと、木の上に生っていた木の実を取っていた。
腹が減っては、戦は出来ぬ、敵が自分達に攻撃を仕掛けてこない今、少しでも体力を回復するため、食糧の調達を行っていたのだ。
木の実を取り、皆の所へ行こうとすると、突然、太一の姿が消えた。
(どうやら次の策を打ってきたようだな・・・・それにしては、子供の遊びみたいだ・・・・そう、無邪気な子供の遊び・・・・自分が何をやっているのか理解できない小さな子供の遊び・・・・小さく無邪気だからこそ、やっていることは残酷になれる子供の遊び・・・・)
「はぁ〜やりづらいタイプだ・・・・」
残酷であるが、無垢ゆえに戦うとしたら、小さな幼児相手にしている気分だ。
その幼児をいずれ殺さなければならないと思うとやりにくい。
「タケル、お前だけは絶対俺が守ってやるからな」
良介がピノッキモンについて考えていると、ヤマトとタケル以外の子供は何処かへ消えていた。
「僕達、ここまでみんなで戦ってきたんだよ?それなのにどうしてお兄ちゃんは僕だけを特別扱いするの?」
「タケル・・・・」
「僕だって一緒に戦ってきたんだよ!?僕はお兄ちゃんのお荷物になるほど頼りない!?」
「タケルそうじゃない・・・・俺が、俺が言いたいのは・・・・」
「何?」
(タケル、ヤマトさんが言いたいのは兄故に弟を心配する一種の家族愛なんだよ・・・・そしてヤマトさん、タケルは貴方が思っているよりも強くなっている・・・・一人で自立したいと思っているんですよ。・・・・お袋かクイントならば気のきいた言葉をかけられるのだろうが、今のこの場で他人の俺が言っても事態は改善しないし、かえって悪化するかもしれないな・・・・家族の問題は当人達で解決してもらったほうがいいな
)良介はヤマトとタケルを横目で見た後、ドラコモンに木の実を渡し、他のデジモン達にも木の実を配った。
「あ、食べ物だ!!」
「ホントだ!!」
「木の上に生っていたんだ。『腹が減っては、戦は出来ぬ』ってね。皆、これを食べて少しでも体力を回復してくれ・・・・それじゃあ俺とドラコモンは周囲を偵察してくるよ」
「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」
デジモン達が木の実を食べながら驚いたように言うが、
ドラコモン進化
―――――コアドラモン―――――
何かを言う前に良介はドラコモンを成熟期のコアドラモンに進化させ、背中に乗ると空へと舞い上がった。
上空から森のエリアを見渡しながら飛んでいると、森の中に変な形をした屋敷を見つけた。
「良介、アレが多分ピノッキモンのアジトだ!!」
「よし、やるぞ!コアドラモン!!」
「ブルーフレアブレス!」
突然コアドラモンの攻撃を受け、ピノッキモンが驚いた様子で家から出てきた。
「よぉ」
屋敷の前にコアドラモンを着地させ、良介は不敵な笑みを浮かべながらピノッキモンに声をかける。
「な、なんだよ!!お前は!? 僕の遊びを邪魔しようとして!!」
(はぁ〜究極体とはいえ、やっぱり内面はガキだな・・・・)
「まぁいいや・・・・それなら俺が遊んでやるよ」
「ホント!?じゃあ、戦争ごっこをしよう!!君にはこれを貸してあげるよ」
そう言って、ピノッキモンは一丁のマシンガン(シュタイヤー
SPP)を投げ渡した。「ん、じゃあ遠慮なく借りるぞ」
「あれ!? なんで平気で持てるの!?」
ピノッキモンがマシンガンを平然と持っている良介に意外そうに尋ねる。
(コイツ、最初から俺を丸腰にするつもりだったな・・・・)
「俺はそこら辺の子供と違うの。俺以外でも銃を持ち、撃てる子供なんて紛争地帯には大勢いるぜ・・・・」
「ふぅ〜ん、じゃあ、始めよう。戦争ごっこを」
「いいだろう。だが、最初に一言お前に言わせてもらうぜ」
「ん?なに?命乞いなら無駄だよ」
「いや・・・・撃っていいのは撃たれる覚悟があるやつだけだ!!お前にその覚悟はあるかな?」
こうして生死をかけた戦争ごっこが始まった。
ピノッキモンは余裕があるのか、始めに「ハンデをあげる」とか言って良介に暫しの時間をあげた。
良介はコアドラモンを成長期のドラコモンへと退化させ、屋敷の中へ入った。
「誰か来る・・・・」
「誰だろう?」
「きっと、ピノッキモン様の新しい玩具だ」
良介とドラコモンがとある部屋へと入ると、そこにはキノコの様なデジモンと大きな花の顔をしたデジモンが居た。
マッシュモン 成長期 植物型デジモン 属性 ウィルス
毒々しいキノコの形をした小型の植物デジモン。
マッシュモンの身体からはあらゆる症状を引き起こす、毒性の強い小型キノコ爆弾が生えている。このキノコ爆弾を受けると笑いが止まらなくなったり、身体が麻痺してしまったり、今までの記憶が消えてしまったりと、様々な症状がおきる。
性格は非常に意地悪で弱い者いじめが好きだが、恥ずかしがりやの一面も持っており、いつも顔半分を隠している。
必殺技は小型キノコ爆弾を一斉に放出する『ポイズン・ス・マッシュ』。
ブロッサモン 完全体 植物型デジモン 属性 データ
巨大な花の姿をして、身体からは何本もの触手を生やした植物型デジモンの完全体。
乾燥した場所を嫌い、いつも水辺のある地域に生息している。
植物にしては珍しく非常に寿命が長く、季節が変わる度に身体(顔?)の周辺にある花びらが抜け落ち、新しい花びらを付ける変わった特性を持っている。
必殺技は触手の先に付いている小型の花を手裏剣のように飛ばす『スパイラルフラワー』。
「・・・・とりあえず、そこの棚の影に隠れるか」
「そうだね。あっ、君達ピノッキモンが来ても言わないでね」
そう言って良介とドラコモンは部屋にあった大きな棚の影に隠れる。
その直後、ドアが開き、ピノッキモンが姿を現す。
「ねぇねぇ、ここに人間の子供とデジモンがこなかった?」
「ああ、それでしたらそこの棚の影にいますよ」
マッシュモンとブロッサモンはあっさりと良介とドラコモンが先程隠れた場所を喋る。
「そっか、よし。手をあげろ!!・・・・ん?」
ピノッキモンは銃を突きつけながら棚の影に潜んでいるであろう良介とドラコモンに言うが、そこには誰もいなかった。
「いないじゃないか」
「えっ!?そんな筈は・・・・」
「確かにそこへ・・・・」
マッシュモンとブロッサモンが確認のため、棚に近づくが、ピノッキモンの言うとおり、そこには良介とドラコモンの姿はなかった。
その良介とドラコモンは三体の注意が棚に集中している間にドアの近くにいた。
元々、ピノッキモンの屋敷に居たと言う事はこの二体もピノッキモンの仲間だと思った良介は最初からこの二体のデジモンを信用しておらず、ピノッキモンが来ても自分達の隠れ場所を言うに決まっていると織り込んでいたのだ。
そのため、あえてコイツラを時間稼ぎのために利用しようとした。
「嘘つき!!」
ピノッキモンはマッシュモンとブロッサモンに銃口を向け、引き金を引いた。
バン!!×2
ダムダム弾を無防備状態でしかも至近距離からくらった二体は粒子となり消えた。
「もう、頭にくるなぁ〜」
良介とドラコモンはマッシュモンとブロッサモンの二体が射殺されている間にその部屋を脱出した。
「なんて奴だ。あっさりと自分の仲間を射殺するなんて・・・・」
「待てぇ〜」
後ろからピノッキモンが追ってきた。
「しかたない、やるか」
(ティアナほど、射撃が上手いわけではないけど、撃てない訳じゃない)
良介はマシンガンを器用に扱いながらピノッキモンの攻撃が当たらないように動き回る。
「なんであたらないんだよ!!」
拳銃を乱射しながらその弾にあたらない事にピノッキモンは癇癪を起こす。
「下手なんじゃないの?ホラホラ、鬼さんコチラ」
挑発を混ぜながら良介はピノッキモンを引きつける。
「当たれェ!!」
ピノッキモンからの攻撃を避けている中、良介は最初、ピノッキモンが子供達を監視していた部屋に飛び込み、床に落ちているリモコンを踏むと、森のエリア内の地面がまた動き出し、バラバラになった子供たちが一堂に集った。
「皆!無事か!?」
「良介君とドラコモンがいない」
「二人なら辺りを偵察しにいったきり帰ってこないの・・・・」
「なんだって!!」
「きっと、ピノッキモンの所よ!!」
「それじゃあ早く助けに行かないと!」
「ああ、みんな行くぞ!!」
太一はそう言うが、
(でも、タケルやヒカリを連れて行ってもいいのか?)
という疑問を心の中で思っていた。
「タケル、お前はここに残ってくれ」
太一がその事を決断する言う前にヤマトはタケルにこの場に残れと言った。
「えっ? 何言っているの?おにいちゃん!?」
「タケルはまだ子供なんだぞ!」
「やっぱり僕って頼りないの
!!?それに良介君だって同い年だよ!? お兄ちゃんは良介君のことは心配じゃないの!?」タケルが大声でヤマトに言うと、
(確かに良介は俺達よりもデジモンとの付き合いが長いし、どこか大人びた所もあった・・・・だから、俺はどこかで良介なら一人でも大丈夫だと思い込んでいた・・・・でも、言われてみればあいつはタケルと同じ学年だし、自分の事をかえりみない奴だった・・・・)
ヤマトが良介の事を思っていると、
「お話はそこまでです
! ピノッキモン様は只今、お遊びの時間です。邪魔はしないで下さい・・・・リトルペッカー!!」キウイモンが皆の前に立ち塞がった。
コロモン進化
―――――アグモン―――――
「ベビーフレイム」
「マジカルファイヤー」
「プチサンダー」
「プチファイヤー」
アグモン、ピヨモン、テントモン、ガブモンの攻撃でキウイモンから吐き出されたチビキウイモン達は倒されたが、尚もキウイモンは攻撃を止めず、吐き出されては撃破する攻防戦が繰り返されていた。
太一達がキウイモンの相手をしている中、良介は未だにピノッキモンの相手をしていた。
「やーい、一人ぼっち!!友達が一人もいない孤独野郎〜」
「な、なんだとぉぉぉ!!」
相変わらず良介はピノッキモンを挑発しまくるが、その挑発が前世の海鳴に辿り着く前の自分自身に言っているようでやや自己嫌悪になりそうになった。
「やーい、悔しかったらお前も友達を連れてきてみろー!! まっ、友達が一人もいないお前じゃ無理だろうけど〜」
「なっ!?わかったよ。つれてきてやるよ!!」
ピノッキモンはムキになり、良介との戦争ごっこをほったらかしてどこかへと向かった。
「良介、ちょっと来て」
ピノッキモンが何処へいくと二階の一室からドラコモンが出来てきた。
良介がピノッキモンを引き付けている間にドラコモンにはこの屋敷の調査をしてもらっていたのだ。
ドラコモンが案内した部屋には大きな紙に描かれた森のエリアの地図と皆の人形があった。
「なんだろう?この人形?」
良介が丈の人形を倒すと、近くにあったテレビでは突然丈が倒れる映像が映った。
「あ、イタっ!!」
「どうしたの?丈さん?」
「今、誰かに倒された」
「ええっ!?大丈夫?丈さん?」
「この人形・・・・そうか、この人形を使って皆をバラバラに転移させていたのか・・・・」
良介は地図をビリビリに引き裂き、テレビの画面を叩き割って皆の人形を全て持ち去ってピノッキモンの屋敷を後にした。
ちなみに地面の仕掛けを動かすリモコンは先ほど良介が偶然踏みつけた時に壊れてしまったので、もう地面が動くことはないだろう。
「やっぱりあいつとはやりづらいし、この人形さえあれば皆がバラバラに転移することはないだろう」
良介は子供のような無邪気さと前世の自分と同じく孤独を抱いているピノッキモンと戦うにはどこか後ろめたい気持ちがあった。
弾の切れたマシンガンを捨て、良介がピノッキモンの屋敷を出ていくと、出ていく良介の姿を見ているデジモン達が居た。
「ピノッキモン様の玩具よ」
「関わるとロクなことがないである。見て見ぬフリをするである」
「それもそうね」
二体のデジモン達は屋敷を去っていく良介を追うことも背後から攻撃することもなく、ただ見ているだけであった。
「メテオウイング!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」
ピヨモンが成熟期のバードラモンに進化し、キウイモンを倒した。
しかし、ガブモンは進化する事が出来なかった。
ヤマトがガブモンをメタルガルルモンにワープ進化させようとしたのだが、デジヴァイスも紋章も光る事はなかった。
ヤマトが愕然とする中、
「皆さん、ただいま」
良介とドラコモンが皆と合流した。
「良介!!お前、今まで何処に行っていたんだよ!?」
「ちょっとピノッキモンと遊んでいました」
「「「「「ええっー!!」」」」」
良介の答えにヤマトとガブモン以外のメンバーは驚愕の声をあげる。
「それで大丈夫か?怪我とかしていないか?」
太一が確認するかのように良介に尋ねる。
「大丈夫ですよ・・・・あっ、コレ皆さんにお土産です。ピノッキモンはこの人形を使って皆を操作していたんですよ」
良介はピノッキモンの部屋から持ち出した人形を皆に配る。
「これが俺?全然似てないな」
太一が自分の人形を手に取りながら言う。
「ミミちゃんの可愛いわよ」
「嘘!!私こんな不細工じゃないわよ!!でも、お土産にとっとこう」
空とミミは互いに笑みを浮かべている。
「「見せて、見せて」」
パルモンとピヨモンは自身のテイマーの人形を見たがっている。
「あれ?ヤマトさんは?」
良介がヤマトにヤマトの姿をした人形を渡そうとしたが、そこにはヤマトとガブモンの姿無かった。
「ヤマトならさっきあっちに・・・・」
「「「「えっ?」」」」」
丈はついさっきヤマトとガブモンが人知らずに歩いて行くのを目撃していた。
丈が指さすさきは鬱蒼と茂った木々がヤマトの心情を現すかのように静かに生い茂っていた。
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あとがき
ようやくピノッキモン編に突入しました。原作では、ピノッキモンの相手はタケルがしましたが、この世界では良介が相手をしました。
メタルシードラモン編では対して役に立てなかったので・・・・。
原作同様、ピノッキモン編は少し長引きそうです。
オリジナリティーが出せるか、分かりませんが、頑張ります。