十六話 奇跡の進化

 

 

ビッグサイトへと歩き始めたヴェノムヴァンデモン。

「行かせるか!!グレイモン!!」

「ガルルモン!!」

「コアドラモン!!」

太一、ヤマト、良介の三人のデジヴァイスと紋章が光だし、三体のデジモンは完全体へと超進化した。

 

グレイモン超進化―――――

         メタルグレイモン―――――

 

ガルルモン超進化―――――

         ワーガルルモン―――――

 

コアドラモン超進化―――――

         ウイングドラモン―――――

 

「ギガデストロイヤー!!」

ワーガルルモンはメタルグレイモンから放たれたギガデストロイヤーに乗り、ヴェノムヴァンデモンの顔近くまで行くと、

「カイザーネイル!!」

必殺技のガイザーネイルを叩きこみ、額に傷を負わせるが、額の傷口から触手のようなものが出てきて、ワーガルルモンを捕まえる。

そこへ、

「ブレイズソニックブレス!!」

「サンダークラウド!!」

ウイングドラモンとその背中に乗ったウィザーモンが其々の必殺技を出し、触手を切り、ヴェノムヴァンデモン本体に攻撃すると、攻撃の衝撃に耐えられず、ヴェノムヴァンデモンは転倒した。

「やったか?」

砂埃を見て太一が声をあげるが、

「エサ・・ダ・・・・エサ・・」

ヴェノムヴァンデモンは何事も無かったかのように再び立ち上がった。

「な、なんて奴だ・・・・」

あまりのタフさにヤマトの声が震えている。

「ヤマトたちはビッグサイトのみんなを呼んできてくれ!!」

「ここは俺達で食い止める!!」

「ああ、わかった!!」

「無理はするなよ!!」

太一とヤマトは車へと戻る。

しかし、良介は車に戻らなかった。

「良介!!何やってんだよ!?早く!!」

「いえ、俺も此処に残ります・・・・」

「何言ってんだよ!?」

「そうだ、ここは危険だ」

「いえ、俺とウィザーモンの力でなんとか、アイツの足を鈍らせますので、太一さん達は早くビッグサイトへ行ってください」

良介とウィザーモンは魔力を使い、結界を張り、ヴェノムヴァンデモンの侵攻を遅らせようとした。

「わかった・・・・ただ無茶だけはしないでくれ」

「はい」

良介の意をくんだ裕明は太一とヤマトを乗せ、再びビッグサイトへと戻っていった。

 

「大丈夫なのか?リョウスケ?」

残った良介にウィザーモンが尋ねる。

「正直言ってちょっと自信が無いな・・・・デバイスが無いから、魔力調整が上手くできない・・・・だから長時間奴を足止めするのは無理があるな・・・・でも、短時間でもやれるならやってみる価値はある・・・・今は一秒でも奴の侵攻を遅らせるのが重要だ」

「そうだな・・・・」

良介とウィザーモンは目を閉じて集中する。

すると、良介の体の周りに虹色の魔力光がウィザーモンの周りには金色の魔力光が滲み出てきた。

 

その頃、ビッグサイトに戻った太一達は、事情を説明し、ヴェノムヴァンデモンの狙いがここに囚われている大勢の人々であることから、何とかこの人たちをすぐに避難させる必要があった。

しかし、ここには何万人という人々が眠らされている状態・・・・。

とても、今ここにいる人数で、しかも短時間でこれだけの人々をどこかに避難させるのは不可能だった。

人々を救うにはやはり、ヴェノムヴァンデモンを倒すしか術はなかった。

「一緒に行くのは私とパタモンだけよ」

テイルモンは戦いに行くのは自分とパタモンだけだと言う。

「どうして!?」

ピヨモンがテイルモンに理由を尋ねる。

「今は進化の力を蓄えておくほうがいいわ」

「そういわれると、仕方が無いわね・・・・」

理由を聞き、残ることになったメンバーは渋々了解した。

「あれ、テイルモンはなんで完全体になったのに成熟期のままなの?」

ミミが成熟期のままのテイルモンに尋ねる。

普通は体力を消耗し、成長期か幼年期Uに退化するはずが、テイルモンは成熟期の状態を維持していたので不思議に思うのも当然だった。

「鍛え方が違うのよ」

そして、ミミの疑問にテイルモンはさも当然のように言う。

そして、太一、ヤマト、ヒカリはヴェノムヴァンデモンの元へと向かった。

「光子郎、私たちも行こう」

「はい!!」

デジモンアナライザーを持っている光子郎も両親と共に向かった。

その途中、テイルモン、パタモンは進化した。

 

パタモン進化―――――

         エンジェモン―――――

 

テイルモン超進化―――――

         エンジェウーモン―――――

 

「あら、今度は天使さんに変身したの?」

二体の天使型デジモンの姿を見て、住江は呟く。

「変身やのうて、進化です」

テントモンが住江に補足する。

「なんだね、この成熟期や完全体とは?」

政実はデジモンアナライザーで表示されたデジモンの進化クラスを見て、光子郎に尋ねる。

「デジモンの進化段階です。下は幼年期で、下から順にレベルアップしていくんです」

光子郎が両親にデジモンの成長段階を説明している間に裕明が運転する車はヴェノムヴァンデモンとの戦場近くまで来た。

良介とウィザーモンの結界は未だに働いており、ヴェノムヴァンデモンの進行方向には虹色と金色のスパークを放っている壁が立ちふさがっている。

ヴェノムヴァンデモンはまず、食事の前に自分の進行を邪魔する輩の始末からすることにし、必殺技のヴェノムインフューズを撃ちまくった。

ヴェノムインフューズを食らったビルは一瞬の内に消え去った。

「な、なんて・・・破壊力だ・・・・・」

ヴェノムインフューズの威力を見た裕明は驚き、他の皆は声も出せないほど、驚いた。

戦っているメタルグレイモン、ワーガルルモン、ウイングドラモンはヴェノムヴァンデモンに手も足も出ず、吹き飛ばされてしまう。そして、メタルグレイモンたちはエネルギーが切れて成長期まで退化してしまった。

結界も良介の体力に限界がきて、消滅してしまった。

「大丈夫か?」

倒れそうになる良介ウィザーモンが支える。

「あ、ああ・・なんとか・・・・」

乱れた呼吸でなんとか返答する良介。

 

「クタバレ!」

ヴェノムヴァンデモンはアグモンたちを踏み潰そうとした。

そこへ、

「ホーリーアロー!!」

「ヘブンズナックル!!」

エンジェモン、エンジェウーモンの攻撃がそれを阻んだ。

「邪悪な力め!!」

「もう一度、滅ぼしてくれる」

「オ前ラガ俺様ヲ滅ボスダト?・・・・ケッ」

結界が無くなり、太一たちがアグモンの元へ到着する。良介もドラコモンの下へ向かう。

「ドラコモン大丈夫か?」

「それはこっちのセリフだよ。また無茶をして・・・・」

「すまん・・・・」

「ごめん、俺たちじゃかなわない」

「あいつ強すぎるよ」

ガブモンとアグモンはヤマトと太一に支えられながら言う。

「あの怪物も完全体なのか?」

政実が光子郎にヴェノムヴァンデモンのクラスを聞く。

「調べてみます」

光子郎がパソコンでヴェノムヴァンデモンを調べると、奴のクラスは完全体の更に上のクラス、究極体ということが判明した。

「きゅ、究極体!?」

初めて聞いたクラスに光子郎は思わず声をあげた。

「完全体より上の進化があったのか!?」

ヤマトも光子郎同様、驚きの声をあげた。

「ケッ、キカネエナ、オ前ラノ攻撃ナンテ」

ヴァンデモンには有効だった光属性の攻撃も究極体のヴェノムヴァンデモンには効果が無く、かすり傷一つもつけられなかった。

「頑張ってエンジェモン!!」

「エンジェウーモン!!」

タケルとヒカリは自身のパートナー達に声援を送る。

「そうだ、あの予言の続きは?」

裕明があることに気がつく。

そう、あの予言にはまだ続きがあったのだ。

光子郎がパソコンを操作し、予言の続きが書かれているページを画面の上に表示する。

「天使たちって・・・・あの二人?」

住江がヴェノムヴァンデモンと戦っているエンジェモンとエンジェウーモンに視線を向ける。

「エンジェモンとエンジェウーモン・・確かに、彼らが天使達ですね」

「では、次の守るべき人というのは?」

「タケル君とヒカリさんだ。次は最も愛する人だけど・・・・」

光子郎はそこで、つまずいた。

タケルやヒカリがあの年で異性に対し恋愛感情を抱いているとは思えなかったからだ。

「ワテらにおきかえてみまひょう。天使がワテとしたら、守るべき人は光四郎はんや」

「そうか!最も愛する人はお父さんとお母さんだ」

「せや!ヒカルはんとタケルはんが最も愛する人と言うと・・・・」

「家族だよ。・・親・兄弟だ!」

テントモンと政実の助言で予言のほとんどを解読したが、後半の「矢」の部分だけがどうしても理解できなかった。

「でも、愛する人にどうして矢を?」

「天使・・・・ローマ神話に出てくるキューピッドは愛の矢を放つといわれてるけど・・・・」

「人に愛を与える矢・・・・」

「それや!!光子郎はん!!」

「そして、運命を見る子供というのは・・・・」

「多分・・・・俺の事ですね・・・・」

運命の紋章を手に良介が名乗り出る。

「でも、矢を放つなんて」

「いや、それしかありまへん!!」

「おい、まだ推理の途中!?」

テントモンが話をサクサクと進めていくので、光四郎はあわてるが、

「どう思う?」

「きっとそれだ!!ヒカリ!!」

「タケル!!」

矢を撃ちこまれるかもしれない太一とヤマト本人はテントモンの推理に賛成する。

「「お兄ちゃん・・・・」」

「エンジェウーモンの光の矢を!!」

「エンジェモンの希望の矢を!!」

「俺たちにむけて放つんだ!!」

「でも、そんなことしたら・・・・」

「お兄ちゃん達が死んじゃうかも・・・・」

あのヴァンデモンに致命傷を与えた矢なのだ。ただの人間がそんなものを受ければ怪我だけじゃ済まないかもしれない。

ヒカルとタケルは自分達の兄に矢を放つことに戸惑いが隠せない。

そんな二人の肩に手を置く人物がいた。

「「良介君!?」」

「・・・・信じるんだ、二人とも・・・・自分達の家族を・・・・自分達の仲間を・・・自分達の運命を・・・・運命は・・自分の手で切り開ける筈だ」

「そう言う事だ。俺達は大丈夫だ!」

「ああ、だから・・・・」

「うん、分かった・・・・私の光を!!」

「僕の希望を!!」

(オレの根源・・・・そう、家族を・・・・クイント・・そしてギンガを・・・・みんなを、守ると決めた。これは俺自身で・・・・俺の意思で選んだ運命だ!!)

「ヤマト!!やめて!!」

「太一!!無茶しないで!!」

「二人とも、自分達パートナーを・・・・二人を信じるんだ」

「「ドラコモン!?」」

最後まで反対していたガブモンとアグモンを説き伏せたのはドラコモンだった。

「僕は信じている。自分達で選んだこの選択を・・運命を・・・・奇跡は・・必ず起こる・・・・」

ドラコモンは拳をギュっと握り奇跡を信じた。

そしてテイマー達も、

「俺の無茶はいつもの事だろう?」

と、太一がアグモンに問い、

「ここは俺達に任せろ!!・・・・怖いか?」

ヤマトもガブモンに言った後、太一に問う。

「怖くない・・・・と言えば嘘だ・・・・」

「俺もだ・・・・」

顔を見合わせるヤマトと太一。

二人はお互いの手を強く握りしめる。

「俺が逃げないようにしっかり掴んでいてくれ・・・・・」

「俺の方こそ・・・・」

「信じれば奇跡は起こる・・・・運命は自分の手で切り開ける!!」

「奇跡よ・・・・」

「起きよ!!」

そして、二本の矢が二人に放たれる。

良介からも、莫大な虹色の光が紋章から出て突風と共に解き放たれた。

そして、辺りを光が包み込んだ。

 

アグモンワープ進化―――――

         ウォーグレイモン―――――

 

ガブモンワープ進化―――――

         メタルガルルモン―――――

 

ドラコモンワープ進化―――――

         スレイヤードラモン―――――

 

光がおさまると、三体の究極体デジモンが生まれると言う奇跡が起こった。

 

ウォーグレイモン 究極体 竜人型デジモン 属性 ワクチン

超金属「クロンデジゾイド」の鎧を身にまとった最強の竜戦士であり、グレイモン系デジモンの究極形態である。

人型の形態をしているが、スピード、パワーとも飛躍的に向上している。

両腕に装備している「ドラモンキラー」はドラモン系デジモンには絶大な威力を発揮するが、同時に自らを危険にさらしてしまう諸刃の剣でもある。また、背中に装備している外殻を1つに合わせると最強硬度の盾「ブレイブシールド」になる。

必殺技は大気中に存在する、全てのエネルギーを1点に集中させて放つ、超高密度の高熱エネルギー弾『ガイアフォース』。

 

メタルガルルモン 究極体 サイボーグ型デジモン 属性 データ

 

ほぼ全身をメタル化することでパワーアップした、ガルルモンの最終形態。メタル化をしても持ち前の俊敏さは失っておらず、全身に隠されている無数の武器で敵を粉砕する。

鼻先にある4つのレーザーサイトからは不可視のレーザーを照射しており、赤外線、X線などあらゆるセンサーを使って前方の対象物を分析することができるため、視界の届かない暗闇のなかでもメタルガルルモンから逃げることは不可能である。また、背部から伸びたアームからビーム状のウィングを放出して超高速でネット空間を飛び回ることができる。

必殺技は全ての物を氷結させてしまう絶対零度の冷気を吐出す『コキュートスブレス』。

 

スレイヤードラモン 究極体 竜人型デジモン 属性 ワクチン

 

クロンデジゾイドの鎧鱗(がいりん)で身を包んだ竜人型デジモン。

伸縮自在の大剣「フラガラッハ」を帯びており、スレイヤードラモン独自の究極剣法「竜斬剣」を極めている。

「竜斬剣」には壱から参までの3種類の型があり、壱の型『天竜斬破』は回転体術によって加速された剣を脳天から垂直に打ち込み相手を両断する。

弐の型『昇竜斬波』は剣で練った竜波動を下方から上方に向けて解き放ち、剣圧だけで相手を切り捨てる。

参の型『咬竜斬刃』は、至近の間合いまで踏み込み「フラガラッハ」を相手に巻きつけ、巻きつけた刀身で相手の全身を削り取る。

 

「さあ、本当の戦いはこれからだぜ、不死身(アンデット)の王様」

三体の究極体デジモンはヴェノムヴァンデモンを睨む。

世界の存亡を賭けた戦いはいよいよ本戦を迎えた・・・・。

 

 

おまけ

 

時系列はヴァンデモンを倒し、囚われている人々がいるビッグサイトへ向かっている途中での良介とウィザーモンの会話。

 

「なぁ、ウィザーモン・・・・」

良介はウィザーモンに小声で話しかける。

「なんだ?」

「蘇生させてくれた事には感謝しているんだが、一つ気になることがあるんだが・・・・」

「どうした?何か体に不具合が生じたのか?」

「ああ、実は・・・・俺の心臓・・・・動いていないんだが・・・・」

良介は自らの心臓の位置に右手を置き、鼓動を確認しているのだが、良介の心臓からは鼓動が一切無い。

「それに関しては問題ない。後、二、三時間もすれば再び動き出す。それまでは、君の体内にある魔力の塊が心臓の代わりをしている・・・・」

「体内にある魔力の塊?・・・・リンカーコアのことか?」

「リンカーコア?それが君の中にある魔力の塊の名称なのか?」

「あ、ああ・・・・」

「そうか・・・・」

そう言うと、ウィザーモンは良介をジッと見る。

「な、なんだよ?」

あまりにもジッと見られたため、良介は居心地が悪くなり、ウィザーモンに尋ねる。

「いや、大したことではないのだが・・・・そのリンカーコアとやらなんだが、君を蘇生させる前よりも蘇生させた後の方が、何故か動きが活発になっている・・・・恐らく私の魔術とエンジェウーモン、エンジェモンの奇跡の力によって増大し、活性化させられたのだろう・・・・」

「そ、それって・・・・」

「早い話、今の君は物凄い魔力を貯めた魔力タンクと言う訳さ。でも、魔力があるだけで、魔力の調整や魔術を使うにはちゃんとした訓練が必要だ」

「そ、そうか・・・・ま、まぁ気長になんとかするさ。今は魔術の修行よりもヴァンデモンを倒すことが先決だからな」

「そうだな・・・・」

二人は魔術については当面置いといてまずは、ヴァンデモンの件を先に解決することにした。

 

 

あとがき

ドラコモンの究極体への進化がご都合主義で申し訳ありません。

そして前世と違い、この後世の良介君の魔力が比較的にパワーアップ!!

でも、チートまでにはいかせないつもりです。

では、次回にまたお会いしましょう。