九十一話 ゴエイノヒ 舞い込んできた依頼と対象者

 

 

「次のニュースです。一昨日、政治家のゴウゾウ・キザキさんとその妻、でありエターナル製薬社長兼タレントのエフィ・キザキさんの自宅で殺人事件が発生しました。・・被害者はキザキ夫妻の長女、ノア・キザキさん(15)で、凶器は拳銃によるもので、ノアさんは心臓を撃たれ即死。犯人の詳しい情報は現在捜査中とのことです。なお、ノアさん自身も双子の妹、イヴさんと共にアイドルユニットを組んでおり、今夜営まれる葬儀には・・・・」

その日、良介は自宅のリビングで一人テレビを見ていた。

何故、良介が一人なのかというと、またギンガと喧嘩して別居したわけではない。

アリサとミヤは日頃お世話になっている礼として、旅行チケットをプレゼントし、二人は現在他の世界へ旅行中。

ギンガと桜花は他の世界にいるナカジマ家の親戚の件でどうしてもその世界に行かなければならず、しかも一週間ほど、その世界に滞在しなければならなかった。

長時間事務所を空けておくわけにもいかないので良介は独り留守番をかって出たのだ。

幸か不幸か留守番中依頼らしい依頼もはいらず、今もこうしてのんびりとした時間を過ごしている。

(有名夫婦の娘の葬儀か・・・・こりゃ盛大な葬儀になりそうだな・・・・)

テレビで報道されているニュースを見ながらボォっとそんなことを考えていると、

 

ピンポーン

 

自宅の呼び鈴がなった。

「はいはい」

良介が玄関へと赴き、ドアの鍵を解除すると、

「こんばんは。良介」

はやてがそこにいた。

何となく嫌な予感がしたので、良介は反射的にドアを閉めようとしたが、はやては靴をドアと壁の間に挟み込みドアを閉めないようにした。

「いきなり何すんや!?良介」

「いや、何となく嫌な予感がしたんで反射的に・・・・」

「酷いやんか!!ちゃんとお土産も持参したんやで」

そう言うとはやては手に持ったウィスキーのビンを良介に見せる。

「はぁ〜・・・・それで?時空管理局の八神 はやて二佐殿が一般人の私に本日はなんの御用ですか?」

良介は若干の皮肉を込めて、はやてが宮本家を訪れた理由を聞く。

「なんや、独り寂しくしとると思ったからこうして態々会いに来てあげたんやで・・・・序でに夜の相手もしたろうか?」

妙に艶っぽい声で良介を誘うはやて。

「残念ながら俺はギンガ以外の女は抱かないって決めているんでな・・・・」

はやての誘惑を躊躇なく断る良介。

「そう言うと思ったわ。まっ、私の用件は良介に抱かれにいたのとちゃうからな。もっとも、用件がなければ、良介に抱かれたいっちゅうのは本心やけど・・・・」

「じゃあ何しに来んだよ?まさか酒の相手をしてもらいたいために態々来たわけじゃないんだろう?」

良介の言う通り、酒の相手が欲しければ、はやての家にはシグナムやシャマル、ザフィーラにアインスが居る。

「当たり前や。今日は良介に依頼をしに来たんよ」

「依頼?」

「ああ、ミゼット提督からのな」

「婆ちゃんからの!?」

管理局・・いや、ミッドの市民ならば一度はその名を聞いたことのある伝説の三提督。その中の紅一点、ミゼット・クローベルからの依頼をはやては伝令役として遣わされたのだと言う。

「それで、婆ちゃんの依頼ってなんだ?」

良介がミゼットからの依頼内容を聞こうとすると、

「その前に紹介したい人がいるから紹介しとくわ・・・・入っといで・・・・」

はやては自分の後ろに控えていた人物に声をかける。

そして玄関に入ってきた人物を見て、良介の目は大きく開かれた。

「ノア・・・・キザキ・・・・」

玄関に入ってきた人物は先程テレビで、死亡したと報道されていたノア・キザキだった。

 

 

玄関先ではなんなので、良介達は場所をリビングに移してミゼットからの依頼内容をはやては話し、良介は依頼内容を聞いた。

「さすがにこの子のことは知っているようやな?」

「ああ、今日のニュースはその子のことで持ちきりだったからな」

「ミゼット提督からの依頼はこの子の護衛や」

「ほぉ〜俺に幽霊のボディーガードをしろと?・・そう言えばニュースで双子の妹って言っていたけど、そっちのほうか?」

「うんにゃ、正真正銘この子はノア・キザキで間違いあらへんよ。そんでミゼット提督に保護を依頼してきたんは、彼女の母親エフィ・キザキさん。そんで今のところ、この子を殺そうとしたんは・・この子の父親であるゴンゾウ・キザキ氏や」

はやては机の上に母親のエフィ・キザキと父親のゴンゾウ・キザキの写真を置き、説明する。

「・・・・なぁ、それなら管理局で保護したほうがいいんじゃねぇか?」

依頼内容を聞いた良介は民間の良介よりも管理局の方が保護しやすいのではと提案するが、

「ゴンゾウ氏は管理局の中に太いパイプのような繋がりを持っとる。今、この子は世間的には死んだ事になっとる。でも、管理局で保護すれば・・・・」

「秘密が漏れ、また彼女が狙われる・・・・そういうことか・・・・・でも、何で実父が娘を?保険金狙いと言うわけでもなさそうだし・・・・」

政治家と製薬会社社長兼タレントの両親を持つキザキ家は良介が思うに金には不自由のない家の筈。そんな裕福な家が娘の保険金目当てに娘を手にかけるとは思えない。

「それはまだ調査中や。じゃ、私はこれで帰るわ。この子の事頼んだで」

「ちょ、俺はまだ依頼を受けるとは・・・・」

「あっ、そうそうこれは報酬の前払いや」

そう言ってはやては良介に有無を言わさず、机の上に値段の書かれた小切手を置くと足早に帰って行った。

 

「ったく、はやてのヤロォー・・・・」

良介は有無を言わさず、依頼を押し付けたはやてに悪態をつくが、依頼料を前払いで貰った手前、今更断るわけにはいかない。

その頃、当の護衛対象者であるノアは宮本家の浴室でシャワーを浴びている。

一時的に管理局に保護されたときは、用意された部屋でずっと篭っていたらしいく、しかもその部屋は浴槽を完備していなかったという。

ノアがシャワーを浴びている間、良介は手元にある僅かな情報から何故、父親であるゴンゾウが娘のノアの殺害を行おうとしたのか考えた。

 

父親はミッドでも管理局と太いパイプを持つ大物政治家・・・・。

同じく母親はミッドでも有名な製薬会社の社長でもありタレント・・・・。

そんな家庭で起きた殺人・・・・いや、ノア本人はこうして生きているのだから殺人未遂になるのか。

ともかく、裕福な家庭で起きた血なまぐさそうな事件・・・・保険金目的などと言う単純な動機では無い筈・・・・。

まぁ、俺に与えられた依頼はアイツの護衛だからな、犯人探しははやて達管理局の連中に任せるか・・・・でも・・・・やっぱ気になるよな・・・・。

職業柄今回の事件に対し疑問と興味が湧きだした良介。

 

良介が考え込んでいると、

「さあ、行くわよ」

シャワーを浴び終え、ギンガのコートと帽子を目深に被ったノアがいた。

「い、行くってどこに?」

「決まっているでしょ、自分のお葬式なんてそうそう見れるものじゃないわ」

ノアは今夜開かれる自分の葬儀を見に行くと言う。

良介自身も喪主を務める彼女の母親と双子の妹を一目見ておこうと思い、ノアを連れ、葬儀会場へと向かった。

「・・・・何故、父のことを聞かないの?」

葬儀会場へと向かっている車の中でノアは突然今回の事件の容疑者である父親について聞いてきた。

「あいにくと、今回俺が受けた依頼は犯人を探すことじゃねぇ。お前を守ることだ。犯人探しは管理局の連中に任せるさ」

「それは嘘。どうせ父の話をしたら私が傷つくとでも思っているんでしょう?」

「・・・・」

確かにノアの言うとおり、今回の事件が全く気にならないと言えばそれは嘘になる。

「でも、お生憎様。私は今回の事は何とも思っていないわ。・・・・父とはもう何年も前から別居状態で会っていないもの。母にはたまに会いに来てはいたようだけど、私達には決して会わなかったわ。・・・・やっぱり嫌われていたのかしら?一度、偶然街中で会った時、何かまるで化け物を見るような目をして逃げて行ったもの。ま、嫌われている理由は分からないけど・・・・」

「・・・・」

「他人であるあなたにこんな事言っても意味ないか・・・・」

「・・・・・」

ノアは車窓の外を見ながら呟いていた。

 

 

「ほぉ〜こりゃ、すげぇな・・・・」

葬儀会場に着くと、良介はそのあまりにも壮大な会場に感想を漏らす。

会場は葬儀場の中でも一番大きなホールを使用し、祭壇にはノアの大きな遺影が設置され、その周りを色とりどり、数多くの花が飾られていた。

そして弔問客の数もそれに比例しているくらい大勢いたし、皆政財界や芸能界で有名な人物ばかり。

「別居状態とはいえ、両親の知名度からすれば当然か・・・・」

「知らないの?私達、ユニットを組んで歌手活動をしているのよ。写真集も幾つか出しているし」

「そう言えばお前の母親と死んだ叔母と同じユニット名だったな」

「そう。かつては母達が作ったユニットなの・・・・叔母様が亡くなった後、私達が継いだの・・・・つまり私達は母達の後継者ってことね」

「おいおい、いくら娘だからってそこまで同じ道をたどらなくてもいいんじゃないか?他にやりたい事だってあるだろう?」

「いいえ。私達が母達と同じ道を辿るのは必然・・・・だって私達は・・・・」

「私達は?」

ノアが自分の正体を明かすような事を言い、良介がそれを尋ね聞こうとすると、祭壇の前に喪服を着た女の人と少女が出てきた。

「あれがお前の母親エフィ・キザキ・・・・そして双子の妹イヴ・キザキ・・・・」

そう、祭壇の前にいるのはノアの母親であるエフィ・キザキとその娘であり、ノアの双子の妹イヴ・キザキであった。

まず、母親のエフィが喪主としてマイクで弔問客に言葉を述べる。

「本日はご多忙の中、娘のノアの為にご会葬いただきまして誠にありがとうございます。多くの皆様のお見送りをいただきまして故人であるノアもさぞかし感謝していることと存じます」

エフィが弔問客に感謝の言葉を述べると、会場は、

エフィ!!

エフィ!!

と、エフィコールに包まれた。

「おいおい、本当にこれが葬儀か?まるでコンサート会場の雰囲気じゃねぇか」

良介の言う通りエフィコールに包まれた会場は葬儀会場というよりは、コンサート会場でファン達が歌手の登場にコールを送るのと同じ様だった。

「いいのよこれで」

しかし、偽装とはいえ故人役であるノアはこれで良いと言っている。

「何故?」

「だって私達は母達であり、母達もまた私達なのだから」

そして祭壇の前で母の隣にいる妹を見つめている。そして妹イヴの方もその視線に気がついたのか、ノアに微笑みを返す。

「?」

良介にはノアの言っている事があまり理解できなかった。

エフィコールに包まれている中、弔問客全てがエフィコールをしている訳ではない。

「どうしてゴウゾウさん来ないのかしら?」

「娘さんの葬儀だって言うのに・・・・」

「喪主も奥さんのエフィさんが務めているし・・・・」

「噂じゃあ、ゴウゾウさん、ノアさんを殺した容疑者らしいわよ」

「嘘!?本当に?」

弔問客のヒソヒソ話から父親であるゴンゾウの事だと分かった。

確かにノアが車の中で言っていた通り、父親であるゴンゾウは今日の葬儀にも参列していなければ弔問の代理人も立てていない。

ノアの言うとおりやはりゴンゾウは何らかの理由でノアの事を嫌っており、キザキの家は仮面夫婦なのかまたは家庭は崩壊寸前なのだろうかと良介はそう思いつつ、これ以上この場にいるのはあまり芳しくないと判断し、

「行くか?」

と、ノアにこの場から立ち去るかを聞く。

「ええ」

ノアも母親と妹の姿を見て満足出来たのかこの場から去ることに同意した。

 

良介はクラナガンの宮本家ではなく、港の近くあるセカンドハウスの方へと向かった。

それはノアが一時的とはいえ、管理局に保護されていたので、そこから情報が漏れると思ったからだ。

そうなれば宮本家の方では簡単にバレてしまうと思ったからだ。

幸い良介の家族は今、他の世界に行っているので、ノアの命を狙う輩が来ても人質に取られる心配はない。

良介は先程の葬儀場の興奮した空気にあてられて熱くなった自分の体を冷まそうと独り茫然と海を見ている。

その傍では護衛対象のノアが恐らく捨て犬なのだろう一匹の子犬とじゃれ合っている。

(変な奴だ・・・・実の父に殺されかけても平然として、おまけに自分の葬儀も見に行きたいと言うわ、あの葬儀とは言えない葬儀会場でも平然とすましていた。・・・・大人っぽいんだか、子供っぽいんだか)

チラッと子犬とじゃれているノアを見たあと、良介は再び海に視線を向ける。

やがて、子犬を抱えたノアがパタパタと良介にむかって走ってきた。

「ねぇねぇこの子飼ってもいい?私に懐いて離れないの」

「却下!!そんな汚い捨て犬。おまけにお前の生活費全部今回の依頼料で賄っているんだぞ。その上、犬の餌代なんて加算されたら赤字になっちまう」

「酷い!!まだこの子、子供なのよ!?誰かがちゃんと面倒をみないと死んじゃうかもしれないのに!?」

子犬を飼うことに反対する良介にノアが声をあげる。

その直後、良介はノアの背後から殺気を感じ、咄嗟にノアの体を抱き物陰へと押し倒す。

「ちょ、どこ触ってんのよ!?」

「いいからお前はその場から動くな!」

良介が物陰から出ると、そこには黒いスーツ姿に覆面を被った男達がいた。

「その方はゴンゾウ・キザキ氏の娘、ノアお嬢様だな?」

リーダー格の男がノアの正体を確認するかのように良介に尋ねる。

「だとしたらどうする?」

「こちらに渡してもらおう」

「悪いが、アイツを守る事が今回の依頼でね・・・・」

「フッ、交渉決裂というわけだな・・・・」

リーダー格の男が部下の一人にアイコンタクトをとると、部下の一人が良介に殴り掛かってきた。

だが、何度も修羅場を潜り、格闘タイプの戦闘を得意とする女房と幾度となく模擬戦をしている良介にとって殴り掛かってきた男は女房と比べると大したレベルではなかった。

男の腹に蹴りを入れ、倒すと、間髪いれずに今度は男たちに向かって行く良介。

男達を殴り飛ばしている中、良介に殴り飛ばされたリーダー格の男が背後から良介を拳銃で仕留めようと銃を構えたとき、良介は愛刀を投擲し、投げられた刀は男の右肩に突き刺さった。

「ぐっ!?」

「一端の探偵だと思って舐めんなよ」

「くそっ、次は容赦せんぞ!!」

男は刀を強引に引き抜きその場に捨てると、部下共々逃げ去っていった。

逃げ去っていく男達を見て、良介は暫くは周辺を警戒したが、もう襲撃の気配が無いと分かると警戒を解いた。

そしてふと、足元を見ると金色のバッジが落ちていた。

「ん?何かのバッジ・・・・奴らのか?」

良介はバッジを拾い、そのバッジを見ながら考え込む。

 

今回の容疑者でありノアの父親であるゴンゾウ・キザキにここの居場所が既にバレていたということはゴンゾウは管理局との繋がりからノアが生存し、俺(良介)の元に居ることを知った。そして人海戦術を駆使し、クラナガン全域に手下を使ってノアを探させていたというわけか?

となるとゴンゾウはノアの抹殺を相当急いでいる事になる。

ゴンゾウはノアに何か知られたくない秘密でも握られたのだろうか?

それならば何故ノアは管理局にそれを伝えなかったのだろうか?

管理局もその秘密に関与しているのだろうか?

それに母親のエフィもあの葬儀の様子はとても普通じゃない。

父親にしろ母親にしろこれは何かとんでもない事情がありそうだ。

 

「ふぅ〜」

良介は考えるのを止め、愛刀を拾い、刃に付いた血を拭うと、物影で隠れているノアの下へと向かう。

「ノア、兎に角中へ・・・・」

良介がノアに声をかけると、

「お前も・・・・捨てられちゃったんだね・・・・私と一緒だね・・・・」

ノアは子犬を抱きながら泣いていた。

世間では故人となっているため母親と妹の前にはおいそれと出ていけない。そして父親からは命を狙われ、不安と恐怖・・・・そして寂しさからノアは泣いていた。

そんなノアの心の支えになっているのは今、ノアが抱きかかえている一匹の子犬なのだ。

その子犬をノアから取り上げてしまえばノアは今度こそ本当に一人ぼっちなってしまう。

海鳴に流れ着く前まで孤独を愛してきた良介だが、最初から孤独に慣れていた訳ではない。

最初の頃は一人では辛かったこともあった。

それに似た辛さを目の前の女の子に背負わせるのか?

海鳴で癖は強いが様々な人達と出会い触れ合い、そしてギンガと結婚した今、良介は人の温もりの大切さを学んだ。

ならば良介の答えは当然、否である。

良介は泣きじゃくるノアに声をかけた。

「ノア、腹・・・・減ったろう?今日はレトルトやインスタントで勘弁だが、明日はちゃんとしたモノを食わせてやるからな・・・・それにドッグフードもな・・・・」

「・・・・うん」

最初は良介の言葉の意味がわからないようだったが、「ドッグフード」と言う単語で良介が子犬を飼うことを許したのだと分かると、ノアは涙を浮かべた顔でも気にせず微笑んだ。

ノアの微笑みを見た良介は強がって大人ぶっていてもノアは十五歳の少女なのだと改めて認識した。

 

 

おまけ

 

とある朝のひとコマ

 

ある日スバルが宮本家に泊まりに来た。

ステラが元の世界に帰った以降、スバルは良介に甘えることが増えた。

アリサは良介をめぐってギンガとスバルの仲が悪くなるのではないかと危惧したが、それは杞憂に終わった。

スバルは兄妹以上のスキンシップはとらないし、ギンガも何故スバルがこのような行動に出たのかは理解しているからだ。

朝、スバルが寝ぼけ眼の状態で宮本家のリビングに降りてきた。

「ふぁ〜オハヨ〜ギン姉〜アリサさん〜」

「おはようスバル」

「おはよう。これで寝ているのは良介だけね」

リビングではアリサとギンガがテレビを見ていた。

「それじゃあ〜アタシが起こしてくる〜」

スバルがフラフラしながら良介を起こしに向かう。

「スバル・・あなたちゃんと起きているの?」

「大丈夫〜」

後ろからギンガの心配そうな声を聞きながら・・・・。

「あっそうだ・・・・起こすと言えばアタシ一度アレやってみたかったんだ・・・・フライパンで起こすのやってみたかったんだ・・・・」

スバルの頭の中ではフライパンをお玉で叩きながら良介を起こしている自分が居た。

そこでスバルは良介の寝室に行く前、台所によってから良介を起こすための道具を持って良介の居る寝室へと向かった。

「えっ!?」

その途中スバルとすれ違ったミヤは「ギョっ」とした顔でスバルを見ていた。

 

「うぅ〜ん・・・・」

良介はスバルが起こす前に自力で起きた。すると、タイミングよく寝室の扉が開き、スバルが入ってきた。

「ん?スバルか?おはよ・・・・っ!?」

良介は寝室に入ってきたスバルに朝の挨拶をしようとしたとき、体中を戦慄が走った。

なぜならば、スバルが手に持っていたのはフライパンとお玉ではなく包丁だったのだ。

良介が「ぎょっ」としているにも関わらず、スバルは未だ自分が手にもっているのが包丁だと気がつかず、一言こう呟いた。

「宮本さん起きちゃったのぉ〜?・・・・残念・・失敗だぁ〜・・・・・」

良介が起きていたるのを見たスバルはすごすごと部屋を去って行く。

スバルの去り際に言ったその言葉を聞き、良介からは嫌な冷や汗が流れた。

(ざ、残念!?失敗!?・・・・スバルの奴まさか俺を殺そうとしたんじゃあ・・・・)

「ちょっとスバル!!アンタ何持ってんの!?」

「危ないからそれを今すぐ置きなさい!!」

一階からはアリサとギンガの大声が聞こえた。

それ以降、スバルがお泊まりに来てもスバルが良介を起こしにくることはなくなった。というか、良介がギンガとアリサにスバルを起に来るのを止めるように言った。

 

 

あとがき

はやて経由から妙な依頼をうけた良介君。

これからどうなることやら‥‥

一応、良介君は探偵と言う事で、ミッドでも彼方此方に隠れ家を持っている設定です。

では、次回にまたお会い致しましょう。