八十話 続サイレンのナルヒ ハエ男&兄貴来襲

 

 

「ど、どうも。ご迷惑をおかけしました・・・・」

あれから、良介に泣きながら抱き付いていた女性は落ち着きを取り戻し、良介から離れた。

その後、女性の名を尋ねつつ互いに自己紹介と何故この村に来たのか事情を聞いた。

それによると、彼女の名前は、『豊島 みちこ』と言い、この村にはテレビ番組の取材で来たらしい。

しかし、濃霧によって他の撮影スタッフと逸れてしまい、この村を彷徨っていたのだと言う。

良介にとってテレビキャスターは、夜実島で会い、助ける事の出来なかったあの女性を思い出す。

彼女はカメラが回っている時は性格が良さそうな女性を演じていたが、カメラが止まった途端に豹変し、他人を顎で使う高飛車な性格であったが、この豊島 みちこの方はそうではない様だった。

「それで、あの・・・・救助は来るんですか?」

恐る恐るみちこが尋ねる。

「残念だが救助の見込みはない」

竹内がきっぱり言い切った。

「助けは来ない」竹内のその言葉を聞き、みちこの顔色がサッ、と変わる。

「じゃ、じゃあどうするんですか!?」

「助けが来なければ自力で逃げるしかないでしょう」

良介が鉈を両手に持ち、軽く素振りをしながら言う。

確かに良介の言う事は最もであり、救助の見込みは無く、このままこの村に居続ければ、いずれは屍人になる。ならば、自力でこの村から脱出しなければならない。幸いにもこのメンバーの中には村人である高遠がいる。彼女ならば、ある程度村の地理に詳しい筈である。

自力で村からの脱出を決めた皆は病院内にあった食糧や水、武器になりそうな物を集めカバンに詰める。

「必ず・・・・必ず生きてこの村を出ましょう」

良介の心の中には(今度こそ、守り通して見せる。今度こそ、皆でこの異界から脱出してみせる)と、意思を固めていた。

 

朝方という事もあってか院内は夜間と比べると見通しが良くなっていた。

診察室から出る時が緊張したが、一度廊下に出てしまえば後は一丸となって周りを警戒し進むだけ・・・・。

先頭は良介が歩き、最後尾は拳銃を持っている竹内が歩く。

「なんかドキドキしますね。映画やドラマみたいに・・・・」

「安野、黙っていてくれないか」

全く緊張感なく、むしろこの状況にワクワクドキドキ感を抱いている依子に溜息を吐く竹内。

しかし、彼女のおかげで少しだけ皆のピリピリした空気が和らいだ。

「ストップ!!」

突然良介が片手を上げて足を止める。

出口まであと数メートルもない。

だが良介は確かに見たのだ。フラフラと徘徊するナース服を着た屍人の姿を・・・・。

河辺 幸江の姿を・・・・。

「アイツ、あの部屋を抜け出たのか・・・・」

地下のあの研究室からベッドの拘束具から抜け出したのだろう。

しかもあの胸像を自力でどかして・・・・。

別に抜け出さなくても良かったのに・・・・。

しかし、奴らは屍人・・・・。

死ぬこともないので、体力の限界というものもが恐らくないのだろう。

あの拘束されたベッドで、あれから一晩ずっと暴れて抜け出し、胸像をどかしていたのだろう。

体力の限界がない屍人の行動によりベッドに取り付けられていた拘束具の方が限界にきたのだ。そして、爪の皮が剥がれ落ちても痛みを感じる事無く、傷つけば再生し、あの胸像の土台を何度も何度もずらしていく内に指が入り込む隙間が出来、そこから指を通し、徐々に胸像をずらしていき、そして遂には外へと出たのだろう。

ヒタリヒタリと廊下を歩き回る音が遠ざかっていく。

「今だ!!皆、外まで一気に走れ!!」

良介が合図して走りだす。彼らも遅れまいと駆け出した。

その瞬間、屍人(幸江)がこちらに気付く。

屍人は驚くべき速さでスコップを引き摺りながら皆に迫る。

最後の竹内が外に飛び出ると、屍人が追い掛けてくる前に素早く戸を閉める。

だが、屍人の方も負けじと力で押し開けようとする。

この大人数で逃げれば幸江以外の屍人にも見つかる。なので、ここで何としても幸江を防がねばならなかった。

しかし、体力が無限の屍人と体力に限界のある人間。

勝負は目に見えていた。

何しろあのベッドの拘束具を破り、胸像をどかして外へ出てきたのだから・・・・。

「竹内さん!!」

先頭を走っていた良介も加わり、扉を開けさせまいとする。

牧野は手にしていたライフルを持ちながら「どうしよう。どうしよう」とアタフタしている。

全く頼りないヘタレである。

そんな牧野からひったくるようにみちこがライフルを手に持ち、

「アンタ達どきなさい!!」

両手でしっかりと支え、銃口を幸江に合わせ銃の引き金を引く。

「伏せろ!!」

咄嗟に良介が竹内を庇うように押し倒す。

半瞬後、硝子が砕ける音と肉が弾け、身体がドサッ、と倒れる鈍い音が響いた。

顔を上げると硝煙の立ち上るライフルを構えたみちこがいた。

病院内では胸に銃弾を受け、蹲る幸江の姿。

誰もが彼女を驚いた顔で見る。

その視線を一身に受けながらみちこは銃口から出ている煙をフゥーと一吹きした後、ライフルを下ろし良介に笑い掛ける。

「さっ、先を急ぎましょう」

「ああ」

ライフルを肩に担ぎ、笑みを浮かべるみちこに良介も不敵に笑みながら頷いていた。

 

 

蛇ノ首谷と言う村の山岳部で、絶えず銃声が響いていた。

放たれた銃弾は木の幹を散らした。

「くそっ、あのハエ男。調子に乗りやがって」

良介はポツリと毒づいて上空を見上げた。

犀賀医院から脱出して二時間、大勢で行動するよりはと、良介は単独行動で圭一を探し行き、竹内らの脱出メンバーと別れたのだ。

落ち合う場所は、大字粗戸と呼ばれる村の住宅地。

 

そして、場面は少し戻り、

圭一の生存を信じ、一旦皆と分かれ彼を探していた良介は突然何者かによって狙撃された。

木々の物陰に身を潜めながら足を進める。

「くそっ、どこだ?どこから撃っている?」

辺りをキョロキョロ見回していると、どこからともなく

プゥ〜ンと蚊の羽音の様な音が聞こえてきた。

最初は自分の近くに蚊が居るのだろうと思い手で辺りを払うが、羽音は一向に止まない。

姿を見せぬ狙撃手と不快な蚊の羽音、その両方にイライラ募らせる良介。

しかし、こんな時こそ冷静にならなければならない。冷静さを失えば、自分が酷い傷を受ける事をこれまでの経験から良く知っている。

その時、ふと上を見ると、

「なっ!?」

良介は言葉を失った。

なんと、人が空を飛んでいたのだ。

それも魔法を使わずに・・・・。

いや、よく目を凝らしてみると、背中には蚊か蠅の様な羽が生えており、それによって飛んでいたのだ。

つまり、今空を飛んでいたのは人間ではなく、空を飛べるように進化した屍人と言う事になる。

そして先程から止まない不快な羽音の正体はあの空飛ぶ屍人のモノだった。

どうりで手で払っても羽音が止まない訳だ。

「なのはが見たら、悲鳴をあげながらディバインバスターを乱射していただろうな・・・・」

思わずミッドに居る妹分があの屍人を見た時の予想をたてる良介。

 

そして場面は現在に戻る。

「くそっ、あのハエ男。調子に乗りやがって」

相手が空を飛びながら銃を撃ってくるのでは、とても手が出せない。

この場にミヤが居れば、ユニゾンして飛べるのであのハエ男を地面に叩き落とせるのだが・・・・。

「無いモノ強請りをしても仕方がない」

取りあえず目的はあのハエ男を叩き落とす事じゃないので、良介はやり過ごす事にした。

幸い近くに廃屋があったので、その廃屋の中に隠れ、ハエ男が去るのを待とうと考えた。

廃屋の中は埃っぽく、思わず咳をしてしまう。

と、その瞬間、

「くらえ、化け物!!」

「っ!?」

突然、側面から何者かが火かき棒を振り上げて殴りかかって来ていたのだ。

「ちっ・・・・」

良介は思わず舌打ちをし、持ち前の反射神経で突然の襲撃者を迎え撃つ。

 

ガキンっ!!

 

良介の鉈と襲撃者の火かき棒がぶつかり合う。

そして、互いにその正体を見ると、

「け、圭一!?」

「りょ、良介さん!?」

良介を襲撃してきたのは、なんと探していた圭一だった。

 

「良介さん無事だったんですね。あの後、姿が見えなかったから心配しましたよ」

「ああ、俺もだ。それで、あれから何があった?」

良介が圭一にあの後、離れ離れになった後、圭一の身に何が合ったのかを尋ねた。

「いや〜色々ありましたよ」

圭一は良介にこれまで自分が体験してきた事を話した。

 

教会から出て、村のとある場所で謎の少女と出会った圭一は、彼女があの儀式の生贄役にされていた事を知り、教会に戻らず、そのまま村を彷徨う事となった。

途中、畑の中で、焚火の後を見つけ、其処に刺さっていた火かき棒を武器に屍人と戦いながら少女を守り抜いていた。

日が落ち、その日は田堀と呼ばれる土地にある大きな廃屋の屋敷にて、二人は夜を明かすことにした。

「何なんだよ?この村もアイツらも君も・・・・」

圭一は此処にきてようやく村の住人である彼女にこの村の事、屍人の事、そして彼女自身の事を尋ねた。

「・・・・変な奴だって思っているんでしょう?アタシの事」

「思っているよ」

「アタシだってこんな村大っ嫌い!お前の事、あんな気持ち悪い奴らと一緒にはさせないから、安心して」

「えっ?どういう事?おい?」

どうも会話が噛み合わない。

そして彼女はその場に横になると、

「寝る」

一言そう言って寝てしまった。

「なんだよ?良く寝れるよな?この状況で・・・・」

圭一は彼女の行動に呆れながらも、自身も疲労の為、何時の間にか眠ってしまった。

しかし、夜、その屋敷に屍人が襲撃してきた。

突如、静まり返った廃屋にガタガタがと何かを取り外すような音が聞こえ、二人は飛び起きた。

「なんだ?あの音!?」

「アイツら・・・・」

圭一と少女は、屍人と入れ違うように廃屋から無事に脱出した。

 

そしてその後、この蛇ノ首に辿り着き、今度はそこの廃屋にて夜を明かしたのだが、外を出ようとしたら、あのハエ男が襲い掛かってきて身動きが取れなかった。

そんな時に良介が此処に来たと言う訳だ。

 

「兎も角、此処を脱出して、大字粗戸って所に行くぞ」

「そこに何かあるんですか?」

「ああ、村で会った生存者達がいる」

「じゃあ、ちょっと待っていてください。もう一人、連れがいるんです!」

圭一はもう一人の連れてくると言って、廃屋の奥に姿を消した。

その間に良介は建物の裏口から外の様子を窺った。

表にはまだあの屍人(ハエ男)がいる。

空を飛んで的確に発砲してくる、あの屍人(ハエ男)が・・・・。

 

良介は一度、外へ出て辺りをちょっと見てくると、声をかけると、

廃屋の奥からは「分かりました」と言う圭一の声を聞き、外へ出た。

外は静まり返っていた。

良介は物陰にゆっくり足を進めるがある程度進めると一度、足を止めて上を見上げる。

道路に面した一本の電柱の上に、あの屍人はいた。

虫の様な羽を生やした背中を見せている警官の姿。手には警官に支給される拳銃を持っている。

三人一緒に出ては、誰かが見つかりあの銃の餌食になってしまう。

それを防ぐにはやはりあのハエ男を倒さなければならない。

(何とか、あの銃を奪えないだろうか?)

良介は一度、圭一と連れがいる廃屋へと戻る。

「どうでした?」

「駄目だ。アイツ、ピッタリと張り付いていやがる。警官だけに張り込みとかが得意な様だ・・・・」

忌々しそうに呟く良介。

何か奴の注意を引き、アイツを地面に引きずり降ろす手は無いかと廃屋を物色すると、棚にこの村の日報があった。

 

広報はにゅうだ

平成○×年7月号

羽生田酒造協会では、3日「第33回羽生田村きき酒大会」を羽生田村公民館で開催した。優勝の栄冠を手にしたのは駐在巡査の石田 徹雄さん。

石田さんは獲得した賞品を手に喜びの表情を見せていた。

 

日報には、記念品の酒を手に満面の笑みを浮かべる石田巡査の写真が飾られていた。

その写真に写っている警官の顔は今まさに電信柱の上にいるハエ男だった。

(へぇーあのハエ男、酒好きなのか・・・・)

日報をその場に捨てた後、再び廃屋を物色する。

すると、棚に酒の入った一升瓶が置いてあった。

(酒・・・・そうだ。これがあれば・・・・)

「ちょっと此処で待っていろ」

良介は酒瓶を持って再び外へ出る。

 

そして再び、あのハエ男がいる電信柱の近くに行くと、都合よく、電柱の近くに送電線が入っている水たまりがある。

送電線を視線で追ってみると、近くの作業小屋へと続いている。

そこで、良介は作業小屋へと入り、レバーを下げ送電を止め、水たまりに酒を垂れ流す。

そして再び、作業小屋へと戻り様子を窺う。

すると、あのハエ男は酒の匂いに釣られて水たまりへと近づいてくる。

その姿は夜の外灯に寄ってくる虫と同じだった。

ハエ男が水たまりの中の酒を飲んでいる中、良介は配電盤のレバーを上げ、電気を流す。

すると、ハエ男がいる水たまりに電気が走る。

「うぎゃぁぁぁぁぁー!!」」

水たまりに居たハエ男は突如流れてきた電流をくらい、跳ね飛ばされて、蹲る。

手に持っていた拳銃は電流を受けた衝撃でハエ男の手から離される。

それを幻視で見た良介は、またレバーを下げ、送電を止めて、蹲るハエ男の傍に近寄る。

そして、落ちていた拳銃とハエ男の腰から拳銃のホルスターや手錠、警棒等の装備を根こそぎ奪った。

 

「もういいぞ、あのハエ男は倒した」

廃屋の中に居る圭一と少女に声をかける。

「誰?」

圭一の連れていた少女は疑わしそうに良介を見てくる。

そこで、圭一が彼女に良介の事を説明すると、良介に対し、少しは警戒を解いたようだった

「えっと・・・・はじめまして。宮本 良介です」

「・・・・古手・・梨花」

良介が少女に名乗ると、古手 梨花と言う名の少女は無愛想にそう言った。

 

ハエ男が起きる前にこの蛇ノ首谷を後にしようとした時、不意に梨花が足を止めた。そして何かに怯えるように空と海面を繋ぐように伸びる光を見つめる。

「村ごと私達が、この世界に取り込まれたんだ。此処は・・現世でも、あの世でもない場所・・・・この世とあの世の狭間の世界・・・・」

(なるほど、異界だとは分かっていたが、この世界はそんな位置にあるのか・・・・)

隣の町までの街道が途中で切れ、赤い海が広がっている光景を見ている良介にとって、この村が異界に飲まれているのは理解していたが、今村がどんな異界に飲まれているのか分からなかったので、梨花の説明で、現状をより正確に理解できた。

「ど、どうしたんだよ?」

「どうしよう!逃げ場なんてない!!」

首を横に振りながら、何かに絶望したような声を張り上げる梨花に対し、圭一は笑いを溢した。

「今更なに言ってんだよ。この村嫌いなんだろ?確かに変な奴だと思っているけど、こんな所に居たらそうなるのもしょうがないと思うよ。一緒に頑張ろう!そんで、この村からも逃げだそう!あの変な兄貴からもさ」

あまりにも優しい言葉に美耶子は顔を恭也に向ける。

「お前・・・・」

「お前じゃなくて、前原 圭一」

彼女が何に怯えているのか分からない。

そんな彼女に必要な物は口先ばかりの慰めではなく、心からの言葉。

さっきまで暗い顔をしていた梨花に初めて笑顔が浮かんだ。

「圭一・・・・ありがとう」

一時和やかな空気が流れる。

「あぁ〜お前ら、ロマンスの邪魔をして悪いが、まったりするのは、この村を出てからでいいか?」

良介とて空気を読みたかったのだが、状況が状況なので、やむを得ず二人に声をかけた。

「「・・・・・//////」」

良介に声をかけられ、二人はバッと視線を逸らした。

(この二人、夜実島の須田と美耶子そっくりだ・・・・偶然って怖いね・・それともこれが吊り橋効果ってやつなのか?)

あの島での似た様な事が良介の目の前で繰り広げられていた。

 

「それよりもさっき言った『兄貴』って?」

圭一の発した『兄貴』と言う言葉に首を傾げる良介。

「ええ、彼女と会った時に一度だけ会ったんですけど、なんか、鼻持ちのならないやつでした」

圭一が兄貴の事を良介に伝えると、

「昨日のお返しだよ!」

その本人、古手 淳がライフルを構えて三人の背後から現れた。

淳が持っているライフルの銃口は圭一に向けられていた。

引き金が引かれる寸前、良介は手に持っていた鉈の片方を淳のライフルに向かって投げつける。

ライフルに鉈が当たった瞬間、淳は思わず引き金を引いた。

しかし、その弾は三人に当たる事はなく外れ、良介は淳の鳩尾を殴りつけ、淳を倒した。

「やべっ!!反射的に倒しちまったが、此奴誰?」

「梨花の兄貴です」

「ああっ、さっき話していた鼻持ちならない兄貴か?」

「そう」

梨花も倒れている淳を見て首を縦に振る。

「どうしよう?この人?」

「行こっ!圭一!良介!」

躊躇う圭一の背中を押したのは怯えた梨花の声だった。

圭一は頷くと梨花の手を引いて駆け出した。

「お、おい!?此奴ここに放置しておいて大丈夫か?」

と、言った良介であるが、二人は淳を放置する事を決め、

良介も一応彼はまだ人間ではあるが、連れて行けば行ったで、圭一と梨花との間に面倒事が増えそうなので、せめてもの情けで、目立たない物陰に彼を寝かせ、自衛手段でもあるライフルも置いて、その場を去った。

意識を取り戻すまで屍人に見つかるか見つからないかは全て淳の運次第だった。

 

「っ!?誰だ!?」

大字粗戸のある廃屋にて竹内が物音に反応して銃を向ける。

みちこもライフルを向ける。

その場にいた誰もに緊張が走った。

「皆無事か?」

そこに現れたのは良介と高校生くらいの男女の二人。

三人の姿を見て、竹内達は警戒を解く。

「りかちゃん・・・・?」

ふと春海が、少年に守られるようにしている少女に声をかけた。

「春海・・か?」

少女も驚いたように呟いた。

「春海も巻き込まれたのか?」

「うん・・・・でも、先生と宮本さんが助けてくれたの・・・・」

「そうか・・・・」

梨花も春海も決して人付き合いが上手いとは言えない。

しかし、二人の様子を見る限り、この姉妹程年の離れていた二人の女子は親しげに話していた。

その姿に圭一と高遠は意外そうに見ていた。

 

 

おまけ

 

 

フランクフルト

 

 

ある日、六課のWF陣+良介はクラナガンの町を歩いていた。

この日FW陣は非番と言う事で久しぶりの休暇を満喫していた。

その中でスバルは先ほどコンビニで買ったフランクフルトを食べながら歩いている。

するとスバルはうっかりフランクフルトを落としてしまった。

しかし、フランクフルトが地面に落ちる前にティアナが手を伸ばした。

だが、

「ぎゃぁぁぁぁぁぁー!!」

竹串の尖った先端部分が手に刺さってキャッチをミス。

フランクフルトは再び宙を舞い、今度はキャロが手を出すが、

「うぎゃぁぁぁぁぁー!!」

やはり手に竹串の先端部分がヒット。

あらぬ方向へ飛んでいくフランクフルト・・・・。

そこへ良介がスライディングで飛び込み、豪快にフランクフルトを弾き飛ばしてしまった。

「やべっ!!」

そして空中を飛来するフランクフルトは近くにいた通行人の顔面に直撃。

「うぎょー!!」

またも飛来するフランクフルトは、今度は別の通行人の背中の中にスポッと入った。

「いやぁ!!何っ!?虫!?うわぁぁぁー!!」

背中をまさぐっている中、運よく竹串を掴むとその通行人は思いっきり投げた。

すると、エリオの腹部に竹串の先端が直撃。

「うぐっ!!」

思わずその場に腹部を抑え、蹲るエリオ。

そしてフランクフルトは・・・・

 

ポトッ

 

結局・・・・地面に落ちてしまった。

「あ〜あ〜」

スバルは地面に落ちたフランクフルトを見つめた後、

「まっ、いっか」

そう言って何事もなかったかのようにフランクフルトを拾って食べ始めた。

((体張ったのに意味なかった))

(って言うか落ちた食い物を食うなよ)

手に竹串が刺さったティアナとキャロは痛い目に合ったのに、その苦労が水の泡となり、憔悴し、良介は地面に落ちたフランクフルト(食べ物)を平然と拾って食べるスバルにつっこんだ。

 

 

登場人物・登場兵器

 

 





古手 梨花

名前は竜騎士07の作品「ひぐらしのなく頃に」の登場人物と同じ名前であるが、この世界では、原作のSIRENに登場した神代 美耶子の位置にあたいする人物。

羽生田村の旧家・古手家の末娘。村で数十年に一度行われる秘儀の生贄”神の花嫁”として育てられる。

離れに軟禁され、世話係以外との接触を絶たれた環境で育ったせいか、かなりの世間知らず。

容姿 プリンセスソフトより発売された、SAKURA ?雪月華?の登場人物、出雲明日香をイメージして下さい。

イメージCV田村 ゆかり

 

 

羽屍人

赤い海へ海送りされた半屍人が変異する、いわば屍人の第二段階の一つ。

甲殻類のような頭部と、背中から生えた虫のような4枚の羽根が特徴。

上空から攻撃してくるため、飛び道具を持っていなければ基本的に撃退することはできない。

 

 





ニューナンブM60

日本の警察官や皇宮護衛官、海上保安官等が使用する制式採用の回転式拳銃。1951年頃に開発を開始し、1960年、警察庁に採用されたことから名称に"M60"が付いている。

S&W M36を参考に開発されたといわれ、使用弾薬の.38スペシャル弾、装弾数5発は同じだが、ニューナンブM60の方が一回り大きい。

民間への市販や輸出はされていない。また完全官給品なので、正確な性能、生産情報も含め全て機密事項となっている。情報公開法により警察納入価格は公開対象となるはずだったが、「公開3年間猶予」が適用され、生産停止となりS&Wリボルバーが採用されて3年が経過し、価格も公式にはわからなくなっている。

 

 

あとがき

圭一久しぶりの登場。

良介君と合流した事で、今後は彼も行動を共にします。

SIREN本来のヒロインは前に使用してしまったので、今回のサイレンネタでは、別のゲームのヒロインの名前と容姿を使用しましたが、中の人がなのはの人と同じだったので、このヒロインを採用しました。

現在良介君が装備している鉈については狩猟鉈の形状をご想像下さい。

では、次回にまたお会い致しましょう。

 




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