作中でステラが言った「先輩」との出会いを書いてみました。元ネタは西尾維新先生の作品「化物語・ひたぎクラブ」です。
ステラの設定上の声と化物語ヒロイン 戦場ヶ原ひたぎの中の人が同じなので・・・・
では本編をどうぞ・・・・
六十二話 デアッタヒ 霊媒師 土御門 数多
中等部での一年を無事に終え、春休みとなったある日、僕は家族で他の世界へと旅行へ出かけた。
魔法があるのが当たり前な世界で生まれ、育ったのだ。当然ファンタジー小説やアニメで登場するドラゴンをはじめとする様々な幻獣生物がこの世に存在することは知っていた。
実際僕も見たことが有る。
そう言った幻獣生物のその中には当然あの種族が居る事も知っていた。
知っていたにも関わらず、僕は油断していた・・・・。
まさか、自分の目の前にあの種族が現れるとは夢に思わなかったからだ。
そう、旅行先で僕はアレに襲われた。
血を吸う鬼族・・・・。
そう、吸血鬼に僕は襲われたのだ。
その吸血鬼は美しかった・・・・。
血が凍るほど、その吸血鬼は美人だった。
言葉では表せないほどの綺麗な鬼だった・・・・。
今でも僕の首筋には彼女に深く噛まれ捕食された痕跡がうっすらと残っている。
それはさて置き、魔法が使えるとはいえ、一般人が吸血鬼なんてモノに襲われたとなれば、小説や漫画・アニメではこんな時、ヴァンパイアハンターや教会の武装エクソシストなんて秘密組織の人間が助けてくれるというのが相場なのだが、
僕の場合、僕を助けてくれたのは通りすがりの一人の男だった。
まぁ、助けてもらったことには変わりないので、小説や漫画・アニメの様な王道的なパターンだった。
その後、僕は何とか無事に元の人間には戻れたが、後遺症と言うべきか、常人よりも傷の治りが物凄く早くなった。
それゆえ、ホッチキスの針を口の中に打ち込まれた程度の傷なんてものの三十秒もあれば回復してしまう。
僕の秘密を聞いた彼女は完全にでは無いが、最初よりかは僕を信用してくれた。
「ツチミカド・アマタ?」
「そう。土御門数多」
僕やリディアそしてこの後輩が通う
St.ヒルデ魔法学院から自転車で20分程走った住宅街の外れにその建物はあった。元は何かの商社兼自宅だった建物だったのだが、入っていた商社が潰れ、今は何もテナントが入っていない空きビル。
噂ではこの商社の経営者一家がこの建物内で心中をはかったとも言われている。
そんないわくつきの物件など買い手がつかず、半ば廃墟と化している。
建物周りには
危険
私有地
売り物件
テナント募集
と、書かれた少し錆び付いた看板が掲げられ、フェンスで囲まれている。最も放置され続けられてきたので、あちこち隙間があり簡単に出入りが出来る状態だ。
この廃墟に土御門は住んでいる。
いや、住んでいると言うよりは住み着いていると言った方が正しく当てはまるかもしれない。
僕がその廃墟の前に自転車を止めると、自転車の後ろに乗っていた後輩も自転車からゆっくりと降りた。
「そう言えば、お前鞄はどうしたんだ?手ぶらじゃないか?」
僕は学院から思っていた疑問を後輩にぶつけた。
「教科書は学院のロッカーに置きっぱなしです。体中に文房具を仕込んでおけば鞄は不要。今のアタシは体育の着替えも要らないし・・・・」
「なるほど」
「それに両手が使えないと、いざって時に戦えないもの・・・・」
「・・・・・」
彼女からその言葉を聞き、
全身凶器。
人間兵器。
人造人間。
ターミネーター。
戦闘機人。
僕の頭の中にそんな言葉が浮かんだ。
やがて玄関に着くと、僕は後ろを付いてきている後輩の方を向き、
「ああ、そうだ。その文房具は全部僕が預かる」
「え?」
「預かるから出せ。全部だ」
「え?え?」
まるで法外な要求をされていたと言った表情をする後輩。
その様子は「先輩。頭がおかしいんですか?」とでも言いたげな顔だ。
「土御門は一見変わったおっさんでも、僕にとっては一応恩人なんだ。その恩人に武器を持った危険人物を会わすわけにはいかないから、文房具は僕がここで預かる」
「ココに来てそんなことを言うなんて・・・・先輩、アタシを嵌めましたね」
彼女が僕を睨みながらそう言う。
「・・・・」
(そこまで言われるようなことをしたかな?)
僕は今までの行動と発言から心の中で自問する。
一方ステラの方としては、
これから会うであろう土御門なる人物は彼の言葉から男だと分かった。
人気の無い廃墟で男二人に対し女一人、しかも武器を建物に入る前に全て預かるというのだから警戒しないはずがない。
彼女は真剣な・・・・かなり真剣な葛藤を続けた。
もしかしたらこのまま踵を返して帰ってしまうのではないかと思ったとき、「分かりました」と、覚悟を決めたように言った。
僕としてはこの後輩の言葉はとても意外だった。
そして、
「受け取ってください」
そう言うと、体のあちこちから文房具を僕に手渡してきた。
その光景はまるでマジックショーのようで、取り出されたその量からあの時階段で見せた文房具はほんの一部に過ぎなかったようだ。
ホント、体のどこにそんな大量の文房具を収納できるのか真面目に聞いてみたいほどだ。
この後輩のポケットや制服の裏は青い猫型ロボットが持っている四次元に続くポケットなのではないのかと思えてきた。
「勘違いしないでくださいね、先輩。別にアタシは気を許した訳ではありませんので」
文房具を全て出し切り、その大量の文房具を僕に渡した彼女がそう言った。
「気を許したって・・・・」
「もしも・・・・もしも、先輩とこれから会うそのツチミカドさんが年下趣味で、アタシを騙し、こんな人気の無い廃墟に連れ込んで、ホチキスの針で刺されたことを恨んでその仕返しに淫らな行為に及ぼうとしても無駄よ!」
「・・・・」
変に自意識過剰と言うべきか、用心深いのか、ドラマに影響されすぎじゃあないのかと色々ツッコミたくなる発言を入れる前に彼女は僕にビシッと指を指しながら言い放った。
「いいこと?もし、アタシからの定時連絡が無かった場合、一千人の屈強な猛者達が先輩の家を襲撃します」
「だ、大丈夫だって。余計な心配をするな」
一応宥めはするが、この後輩はよりにもよって僕の家族を標的にしやがった。
やはりとんでもない奴だ。
しかも一千人の猛者って、大嘘つきだ。
小等部の一生徒が一千人の猛者を率いられる筈がない。
「・・・・妹さん・・・・まだ小等部に入りたてなんですってね?」
「っ!?」
「それに一千人の猛者は流石に無理かもしれないけど、アタシの父さんと母さん、それにお爺ちゃん・・管理局に割と顔が利くのよ・・・・その中にはランク
Sクラス以上の魔導士も含まれているわ。それだけの戦力があれば一つの家の家族を殲滅するには十分事足りるでしょう?」流石にこの状況で良介とスバルのことを普段の様にパパりん、ママりんとは言えなかったので父さん、母さんと言ったステラ。
ステラは自分の秘密を知ったこの先輩を探し当てたついでに、彼の家族構成、住所、親の仕事と仕事先までもを調べており、もし彼が自分に対し、妙なことをしたり、自分の秘密を他人に言いふらそうとば、すればそれをネタに脅しをかけるつもりであった。
管理局の捜査員を身内に持つだけに、そう言った事には抜かりない。
家族構成まで把握されていた。
しかも一千人の猛者は嘘だったとしても管理局や
Sクラスの魔導士は嘘ではないようだ。証拠だと言わんばかりに彼女の携帯端末を見ると、ミッドで有名なあの「高町なのは」「八神はやて」「フェイト・テスタロッサ」の三人と一緒に写っている画像があったからだ。
確かにこの三人だけでも僕の家を殲滅する事は可能だ・・・・。
っていうか、この三人の中で、一人だけでも十分可能な戦力だ。
僕の秘密を見せても、やましい事をするつもりも全くないのだが、彼女は僕のことを完全に信頼したわけではないようだ。 土御門はこういうのは信頼関係が大切だと言たいたから現状を鑑みると決して良い状況ではない。
だが、仕方がないと思う。
僕はただの案内人でここから先は彼女自身の問題なのだから。
金網の隙間から敷地内に入り、固くなっている入口のドアをこじ開けるようにして建物内に入る。
まだ夕方だが、電気もまともに通っていないので中は薄暗い。さらに長い年月放置されていたので、足元にはガラクタやらゴミの類があちこちに散乱している。うっかり歩いていると躓きそうになる。
そして僕は気が付いた。
そもそも彼女とのきっかけは彼女がバナナの皮で滑って転んだことだった。ならば、僕にとって何の変哲もないただの空き缶であっても今の彼女にとって、それは十倍の質量を持った空き缶なのだ。
相対的に考えればそうなる。
十倍の重力に十分の一の重力という風に簡単に割り切れる問題ではない。
体重が軽いイコール運動神経が高いと言うことではないのだ。
最もステラ本人は最初そう思っていたが、実際体重を無くした後に試してみたが、それが自分の望んだモノとは全く別物だと自覚することとなった。
彼女が文房具を手放したくなと言っていたのはあの大量の文房具が彼女の身を守る武器でもあり、重石の役割を担っていたのだ。
そう考えれば分かる気がした。
鞄をもたない理由も、持てない理由も・・・・。
さっきは無神経な事を言ったな・・・・。
そんな自己嫌悪を抱きながらも僕は彼女を土御門の下に案内し続けた。
「・・・・こっちだよ」
出入口付近で所在なさげに立っていた彼女の手をとり、僕は彼女を導くように歩き始めた。
唐突だったためか、彼女は少し驚いた表情をしたが、素直についてきた。
「先輩・・・・」
通路を歩いていると、今度は彼女が唐突に話しかけてきた。
「ん?」
「『不死身の体って便利だね』って言ったらやっぱり傷つきますか?」
彼女からの質問に僕はこう答えた。
「今はそうでもない。・・・・」
そう、今はそうでもない。
春休み中にその言葉を言われたら傷つくだろうが、人間に戻った今はそうでもないのだ。
「便利と言えば便利だし、不便と言えば不便かな」
「ふぅ〜ん。どっちつかずな答えですね」
「それにもう不死身じゃない。傷の治りがちょっと普通の人よりも早いだけで他は普通の人間と変わらない」
「そうなんですか・・・・機会があれば色々試したかったのに・・・・・ちょっと残念」
「僕の知らないところで何やら物騒な計画が進行していたようだな・・・・」
「そんな大したことじゃありませんよ。ちょっと技受けの実験に手伝ってもらうかと思っただけですから・・・・最近、ちょっとスランプ気味なので、激しいかもしれませんが・・・・」
「僕はダミー人形か!?」
「それにしてもよくこんな廃墟で生活出来ますね?そのツチミカドって人・・・・」
ステラは荒れ放題のビル内を見回しながら呟く。
(コイツ、あっさりと話題を変えやがった!!)
僕は心の中で、生意気な後輩に文句を言いつつも、
「あ、ああ、随分な変わり者でね。でも、僕や君の様な怪奇を専門に取り扱っているんだって・・・・」
話題は変えられたが、ちゃんと質問に答える所、彼は素直というか真面目な性格だった。
そんな会話をしている内に僕たちは土御門の居る部屋まで着いた。
「おお、アララギ君。やっと来たのか」
元が商社のため、机はたくさんあり、顔の左半分に刺青がある男、土御門 数多は机を並べその上にマットを乗せた簡易ベッド?の様な上に座って僕たちを出迎えた。
「なんだいアララギ君。今日はまた違う女の子を連れているんだね」
「やめろ。人をそんな安いキャラ設定にするな!それに女の子を連れてきたのは今日が初めてだろうがぁ!!」
「あれ?そうだっけ?」
土御門はとぼけるように言う。恐らく僕をからかっているのだろう。そして土御門の視線は彼女へと向けられる。
「ふぅ〜ん・・・・はじめましてお嬢さん。・・・・土御門です」
「はじめまして。宮本ステラです。・・・・先輩とは同じ学院の先輩後輩の仲で、先輩からツチミカドさんの話を教えてもらいました・・・・」
(へぇーちゃんと挨拶は出来るんだ・・・・)
ステラの今までの態度からいきなり失礼な事を言うのではないのかと思っていたが、どうやらそれは杞憂だったようだ。
まぁ、躾に関しては、アリサが結構力を入れているからだ。
「あぁ〜そう・・・・」
土御門は意味ありげに頷く。
「先輩からアタシを助けてくれるって聞いたのですけど・・・・」
「助ける?そりゃ無理だ。君が勝手に一人助かるだけだよ。お嬢ちゃん」
土御門は茶化すような口ぶりで彼女に言った。
「・・・・・・・」
土御門の発言を聞き、彼女は目を細める。
彼女はあからさまに訝しんでいる・・・・というか睨んでいる。
「おぉおぉ〜心地いい殺気をぶつけてくるじゃんかお嬢ちゃん・・・・・まっ、何にせよ」
彼女は殺気を飛ばしているというのに土御門は至っていつもと変わらない様子。彼女の年格好から例え彼女が襲いかかってきても勝てると思っているのだろうか?
「話してくれないと話は進まないかな。大丈夫、秘密はちゃんと厳守するから平気、平気」
「あ、ああ。まず僕が簡単に説明すると・・・・」
彼女が何時までも黙っていたので、僕が代わりに説明しようとしたら、
「いいですよ。先輩・・・・。自分で・・説明しますから・・・・」
「でも・・・・」
「自分で・・・・出来るから・・・・」
彼女は静かにそう呟いた。
「おもし蟹だよ」
「おもし・・蟹?」
「うん。ある地方の山間の民間伝承だよ。地域よっておもし蟹だったり、重いし蟹、重石蟹、それにおもいし神ってのもある。まぁこの場合は蟹と神がかかっているってわけだ」
「でも、地方の?それも山間の?」
「場所そのものに意味は無いんだよ。そういう状況になればそれは生じる・・それだけだ・・・・」
「ふぅ〜ん」
土御門の言葉を聞き、僕は理解出来た様な、出来ない様な複雑な感じだった。
「この場合別に蟹じゃなくてもいいんだよ。兎だって話もあるし、それにアララギ君の時のように美しい鬼だって言う話もある。ま、お嬢ちゃんが蟹だって言うなら今回は蟹なんだろうけど」
「なんなんですか?それは?名前なんて別に関係ないじゃないですか」
土御門の話を聞いていた彼女が決論を急かすように聞くが、土御門は至って冷静でいつもの自分のペースを崩さない。
「名前はとても重要だよ。名は存在其の物を示すものだ。もし、それが偽りだとしたら
それは、その存在その物も偽り、と言う事になる。それにさっきも言ったけど、元は蟹じゃなくて神なのかもしれない重いし神から重石蟹へ派生したってことかもしれない。まぁ、お嬢ちゃんは運が悪い中では運が良い方だよ」「どうしてですか?」
こんな状況になって運が良いなんて言われれば困惑するか、バカにされたのかと思い、ムッとするかのどちらかだ。
彼女の場合は後者のようだった。
「神様なんてものはどこにでも居るからさ。どこにでも居てどこにでも居ない。お嬢ちゃんがそうなる前にあったし、無かったと言えば無かった事になる」
「それ、シュレディンガーの猫ですか?それとも禅問答ですか?」
「神道だよ。いや、修験道だったかな?ま、ともかく勘違いするなよ、お嬢ちゃん。君は何かの所為でそうなったんじゃない。ちょっと視点が変わっただけなのさ」
「視点が?・・・・一体貴方は何が言いたいんですか?」
「被害者面が気に食わねぇっつってんだよ」
「っ!?」
唐突に辛辣な言葉を土御門は言った。
その言葉に彼女のリアクションが気になったが、彼女は何も言わなかった。
てっきり先程の様に殺気を土御門にぶつけるかと思ったが、
彼女は土御門の言葉を甘んじて受け止めていた。
そんな彼女を見た土御門は、
「へぇー」
意外にも感心していた。
「なかなかどうして。てっきり我儘なお嬢ちゃんかと思っていたけど、どうやら違うみたいだな」
「どうしてそう思ったんですか?」
「おもし蟹に遭うような人間は大抵そうだからさ。遭おうと思っても遭える相手じゃない。通常、障る神でもないしね」
障らない・・・・。
障らないし襲うこともない。
それはまさに人畜無害な存在を意味する。
「ただそこにいるだけでお嬢ちゃんが何かを望まないかぎりそれは実現しないんだ。最もそこまで深入りするつもりはないけどね」
土御門の言葉を聞き、ステラは外見冷静に装っているが、内心は動揺しまくっていた。目の前の一見胡散臭そうなこの男の言っている言葉が全て自分の内心を見抜かれているような錯覚に陥ったのだから。
「・・・・いいよ。わかった。体重を取り戻したいって言うなら力になろう。アララギ君の紹介だしね」
「助けて・・・くれるんですか?」
震えるような声で彼女は土御門に聞いた。
登場人物紹介
トウマ・アララギ
この話の主点である『僕』
St.
ヒルデ魔法学院中等部の二年生。春休みに他の世界に旅行に出かけ、そこで吸血鬼に襲われ、自らも吸血鬼になってしまう。
そこを偶然知り合った土御門に助けられ、人間に戻るが、正しくは吸血鬼もどきの人間で、傷の回復が常人よりも異常に早い。
魔力ランク 不明
魔力光 不明
所持デバイス 不明
外見・容姿(作者のイメージ) とある魔術の禁書目録の主人公 上条 当麻
イメージ
CV 神谷浩史
土御門 数多 (つちみかど あまた)
怪異を専門に扱う霊媒師。
怪異を調べながら、怪異に憑りつかれた被害者を救済しながら放浪する謎の男。
今はミッドのとある廃墟に住み着いている。
顔の左半分に刺青がある男で、一見うさん臭いが、かなりの実力者であり、吸血鬼化したアララギを人間に戻した実績がある。
外見・容姿(作者のイメージ) とある魔術の禁書目録の登場キャラ 木原 数多
イメージ
CV 藤原啓治
おまけ
グランセニック兄妹 その1
処女と童貞の定義
「はじめまして。ラグナ・グランセニックです」
良介とアリサは、この日はじめてヴァイスの妹のラグナと出会った。
「へぇーヴァイスの妹さんか?はじめまして俺の名前は宮本良介だ。よろしく」
「私はアリサ・ローウェルよ。アリサって呼んでね」
「はい」
「それにしても兄妹だけにやっぱり似ているな」
良介がヴァイスと並んで立っているラグナを見比べる。やはり血の繋がった兄妹だからか、二人ともどことなく同じような面影がある。
「そうですね・・・・互いにまだ性体験もありませんし・・・・」
「性っ!?」
妹の発言に驚くヴァイス。
妹のラグナは年齢的に当然として、ラグナの口からヴァイスのアダルトな秘密、いまだにヴァイスが童貞と言う事実が暴露され、どう反応していいのか判断に困る良介。
そこに、
「そういう意味じゃないと思うわよ。ラグナ」
アリサが間違った捉え方をしている「似ているの」の部分をラグナに指摘するが、
「大体、処女と童貞は同列にはできないわよ」
アリサの指摘も微妙だった。
「「なにこの羞恥プレイ・・・・」」
良介とヴァイスの二人は呆れながらもアリサとラグナのやり取りを見ていた。
グランセニック兄妹 その2
妹は思春期?
ヴァイスがある日、風邪を引き寝込んだ。
当然、仕事も休み、今は自宅で療養中。
そんなヴァイスを見舞うためにシグナムがヴァイスの家に見舞いに来た。
ピンポーン
インターフォンを鳴らすと、妹のラグナが応対のため出てきた。
「はぁーい」
「こんにちは、私はヴァイスの上官で八神シグナムと言う。今日はヴァイスの見舞いに来たのだが・・・・」
シグナムが来訪目的を言うと、ラグナはシグナムをジッと見つめている。
(不審と思われているのだろうか?)
シグナムは自分をジッと見てくるラグナに戸惑う。
「ああぁ〜」
しかし、シグナムの予想は外れ、ラグナはポンっと手を打つと、
「出張ヘルスの方ですか?お見舞いプレイとはなかなか斬新ですね〜?」
「なっ!?
//////」ラグナのあまりにも偏りすぎた言葉にシグナムを頬染め、言葉を無くした。
その後、誤解を時、シグナムはヴァイスの部屋へと案内された。
ヴァイスは部屋のベッドに上半身を起こした状態で、床の上に座っているシグナムと話していた。
「元気そうで良かった。二日も寝込んだと聞いて少し心配していた」
「大丈夫ですよ。もう治りかかっていますから、明日には出社出来ます」
ヴァイスは意外にも治りが早く明日には出社できると言っていたため、シグナムは一安心した。
「と、ところで二日も寝たままだとその・・・・たまっているだろう?」
「はい?」
「・・・・私でよければ・・・・その・・・・気持ち良くしてやるぞ・・・・
//////」シグナムは頬を赤く染め、少し顔を俯かせ、上目でヴァイスを見上げた。
ヴァイスの部屋の隣はラグナの部屋だった。
ラグナは自分の部屋で本を読んでいると、突然隣の部屋からヴァイスの声が聞こえた。
「痛っ!!し、シグナム姐さん、もっと優しくほじってくださいよ!!」
「えっ!?」
兄の言葉を聞き、ラグナは壁に耳を寄せた。
「お前が動くからだ。私のテクニックを信じろ」
「ひぅ
//////」「どうだ?気持ちいいだろう?」
「え、ええ・・・・すごくいいです・・・・」
「えええぇぇぇぇぇぇー
/////////」ラグナは顔を赤く染め、叫ぶ。
一方、ヴァイス(兄)の部屋では・・・・。
「こう見えても私は耳掃除が得意なんだ。よく主はやてにしてやっているんだぞ」
シグナムがヴァイスの耳を耳掻きで耳掃除していた。
まぁ、シグナムの膝枕ということでヴァイスにとっては天国には変わりなかったが・・・・。
「それじゃあ、明日」
「ええ、明日」
「体には気をつけろよ」
シグナムは要件を済ませると帰っていった。
「あ、あの・・・・お兄ちゃん・・・・」
「ん?」
シグナムが帰った後、ラグナがオドオドした様子でヴァイスに話しかけてきた。
「お尻・・・・大変でしょう?・・コレ・・・・使って・・・・」
そう言ってラグナが取り出したのは真ん中に穴の空いている座布団だった。
(思春期前なのに考えは思春期だ。・・我妹は・・・・)
ヴァイスは妹の親切心に戸惑いを隠せなかった・・・・。
あとがき
ミチトノソウグウ編と違い、現在のステラは、怪奇に見舞われて、軽い人間不信に陥っているため、性格や言動がアグレッシブになっています。
決して二重人格や猫を被っていた訳ではありません。
元に戻れば、スバルの様に明るい性格の少女に戻ります。
ヴァイスの妹のラグナちゃんは、結構兄思いの性格だと思い、おまけの様な事になりました。