この話は、名無しASさんの『スバルエンド〜甘い一時』 『スバル追加エンド〜ゆめがさめたら〜』 を読んでからの方がよりわかる内容かもしれません。

 

 

では、本編をどうぞ・・・・。

 

 

五十六話 ミチトノソウグウヲシタヒ もう一組の宮本一家

 

 

ステラがこの世界に来て、早一週間が経とうとしていた・・・・。

その間も良介とアリサはステラが元の世界に戻れる方法を探し続けていたが、成果は未だに上がらなかった。

スバルはステラのために有休を使い、宮本家に下宿のような形でステラと共に過ごし、ギンガと模擬戦をやるなど充実した日々を過ごしている。

しかし、その一方で、宮本家の食費が前の月よりも増えていた。

なにせ、宮本家には今、大喰らいが三人に大喰らい候補が一人という現状なのだから・・・・。

そしてその大喰らいの一人、ステラももう一人の母親と過ごせて楽しそうである。

しかし、そんな充実した日々の中でも唯一ステラが苦手なものがあった・・・・。

その苦手なモノとは・・・・。

「だから、この式はここをこうしてこの数値を代入して、こうすればいいのよ。わかった?」

「う〜ん・・・・」

アリサとの勉強時間だった・・・・。

ステラの世界でもアリサはステラの家庭教師のような役割をしているらしく、そのため、この世界のアリサもステラの教育を行いしだしたのだ。

アリサ曰く、「学生なのだから勉学の時間を一分一秒たりとも無駄には出来ないわ」とのことである。

しかし、良介とスバルの娘であるステラはやはり、勉強よりも体を動かしている方が、好きなようだった・・・・。

ちなみにスバルも今、有休前に自分が受け持つ事務処理の書類を溜めるに溜めており、救助隊の上司から、「有休を出してもいいが、その代わり休暇明けにはちゃんと提出してもらうぞ」と、言われていた。

「それじゃあ有休の意味がないよぉ〜」と、言いつつもステラと一緒に過ごしたい一心でスバルはその条件を飲んだのだ。

そして現在・・・・

「スバル、ここの文字、間違っているわよ」

「えっ!?あ、ホントだ!!」

「それからここの文章の表現は、・・・・じゃなくて、・・・・よ。それからここの・・・・」

「うぇ〜」

スバルはギンガに報告書の作成を手伝ってもらっている。

やはり住む世界は違えど、ステラとスバルは親子であり、スバルの方もオフィスに詰めて事務処理を行うよりも体を動かす方が良いようだ。

(小学生の夏休みの宿題か?)

ステラとアリサ、そしてスバルとギンガの姉妹の様子を見ていた良介は夏休み終了間際になって大急ぎで宿題を片付けている小学生のイメージが浮かんだ。

スバルが報告書の山と戦い、ステラが問題集を悔いるような目で見ていると、

 

ピンポーン

 

と、突然宮本家のインターホンの呼び出し音が鳴った。

「はいは〜い。どちらさんですかぁ〜?」

アリサがステラに、ギンガがスバルにつきっきりのため、手が外せないので、良介が応対に出た。

良介が玄関のドアを開けると、そこに居たのは、黒髪の見知らぬ男とショートカットの青髪をした女だった。

「よっ!」

黒髪の男はまるでよく会う友人にするような軽い挨拶をしてくる。

まったく見知らぬ相手から・・・・いや、良介は目の前のこの黒髪の男にはどこか見覚えがある気がした。

玄関にある鏡に写っている自分の顔とこの男の顔を比較し、何となく自分と同じ面影がある・・・・。それに隣に立っている青髪の女も物凄く身近に居る知り合いにそっくり・・・・というか、スバルをちょっと大人にさせただけであった。

「も・・・・もしかして・・・・未来の・・・・俺と・・・・スバル・・・・?」

良介が恐る恐る男と女の正体を問うと、

「ああ、俺は今から十年後の宮本良介だ」

「・・・・ってことは、隣にいるのは、やっぱり・・・・・未来の・・スバル・・・・?」

「そうですよ〜。未来の良介さんのお嫁さんのスバルでぇ〜す!!」

異世界のスバルが茶目っ気たっぷりにウィンクしてみせる。そしてさりげなく、隣に立つ未来の自分に腕を絡める。

「・・・・・・」

異世界の良介とスバルはてっきりこの世界が自分達の世界の過去だと勘違いしているようで、この世界の良介がギンガと結婚している事を知る由も無かった。

「ま、まぁここではナンだ・・・・取り敢えず上がってくれ・・・・」

いつまでの玄関前にいて誰かに見られるのも厄介だったので、良介に促され、異世界の良介達(自分達)を家にあげる。

「懐かしいな・・・・」

リビングへ入ると、異世界の良介が一言呟く。

「ホントだね。今じゃもうあっちこっちリフォームしちゃっているから・・・・あっ、この置物まだ壊れてないんだ・・・・あっ、この絵もまだある・・・・」

異世界の良介とスバルはリビングの中を思い出に浸るように見ていた。

そこに、

「やっぱり!パパりん!ママりん!」

異世界の良介達の声が聞こえたのか、ステラがリビングに現れ、異世界の良介達の下に走り寄っていく。

「おお、ステラ。元気そうで何よりだ」

「心配したんだからね」

走り寄っていったステラを異世界の良介達は優しく抱きしめる。

映画やドラマのワンシーンではないが、親子の感動的な再会の場面であった。

 

ステラと異世界の良介達の声を聞きつけ、ギンガとスバルがリビングに来た。

それと、

「コラ、ステラ。まだ勉強の時間は終わって無いわよ!!」

突然ステラが部屋から飛び出していったのでアリサがステラを追う形でリビング入ってきた。

妙な形であるが、宮本家にいた全員がリビングに集まった。

 

リビングに集まったギンガ、スバル、アリサの視線はステラを抱きしめている異世界の良介達に集中した。

「えっと・・・・」

「どちら様・・・・?」

「でしょうか?」

アリサ、ギンガ、スバルの三人はステラが抱きついている見知らぬ人に何故か、セリフを三人で分けて尋ねた。

 

鉢合わせをした後、互いに紹介しようと言うことになり、現在の宮本家+スバルと異世界の宮本家の三人は向き合う形でソファーに座った。

「えっと・・・・ギン姉、今日は家に何か用があったの?」

開口一番、異世界のスバルがギンガに尋ねる。

「えっ?」

突然の質問にギンガは言葉を詰まらせる。

「あぁ〜もしかしてママりん、何か勘違いしている?」

「えっ?勘違い?」

「ここはママリンたちの過去の世界じゃなくて別の世界の過去なんだよ」

「・・・えええええっ!!」

ステラの指摘に声をあげ、驚く異世界のスバル。

「ステラ、それはどういうことだ?」

未来の良介は未来のスバルと違い冷静にステラの言った「別の世界」の意味を聞いている。

「ああ、それなら私から説明するわ」

アリサが未来の・・・・異世界の良介達に平行世界について教えた。

 

「成程、そういう事か・・・・確かに、この世界に来てから妙だとは思ったんだ。もし、この世界が俺たちの知っている世界ならば過去にこうしてステラに会っている筈なのに俺たちの記憶にはそれが全く無かったからな・・・・」

異世界の良介はアリサの説明を聞き納得した。

「それじゃあこの世界の良介さんは誰と結婚しているの?あっ、まだ誰とも結婚していないとか?」

異世界のスバルがこの世界の良介に結婚しているのか?そしてその相手は誰なのかを聞く。やはり、住んでいる世界は違うけれど、自分の旦那の事が気になるようだ。

「この世界の俺は・・・・と言うべきなのかな? 俺はギンガと結婚している」

良介は自分がギンガと結婚している事を話すと、

「ええええっ!!ギン姉とぉ〜ぉ!?」

相変わらずオーバーなリアクションをとる未来のスバル。

そんなにギンガが結婚している事が意外だったのだろうか?

まぁ、ステラの話から聞いたもう一人のギンガは数多くの男達からの告白やプロポーズを蹴っているらしいので、もう一人のスバルから見たら、異世界の姉が結婚している事実を聞いて驚くのも仕方がなかった。

しかもそのお相手が異世界の自分の旦那という事も驚きの一因となっていた。

 

「話を本題に移すけど、ステラの世界の俺とスバルがここに来たってことは、やっぱりステラを迎えに来たってことでいいのか?」

良介が別の世界の自分たちがここに来た要件を確認する。

「ああ、そうだ」

異世界の良介がこの世界の良介の質問を肯定する。

まぁ、自分達の娘を迎えに来る以外この世界に来る要件なんてないのだから、当たり前と言えば当たり前である。

「迎えに・・・・ステラを・・・・」

スバルが誰にも聞こえないような小さな声でつぶやく。

その声色はどこか寂しそうで、何かに堪える様にきゅっと唇を結んだ。そのことに気がついたのはステラの母親の方のスバルを除いて誰も気がつかなかった。

「それにしても二人とも過去の・・・・それも平行世界であるこの世界によく来れたわね」

アリサが平行世界の良介にどうやってこの世界に来れたのかを尋ねる。

「ああ、まずステラが消えた事を聞いて、その場にいたステラの友達に詳しく事情を聞いて、広場を隈なく搜索したんだ。そして現場から魔力を無くしたロストギアを見つけてな、それに魔力を戻して、調べた所、転移系能力を秘めたモノだと分かったんだ。その後は意外と簡単だった。マリエルとシャーリーにそのロストギアの履歴を調べて座標を調査し、魔力を吹き込んでここに来たって訳さ」

「成程、現代の魔法技術ではまだ無理かもしれないけど、十年後の未来ならそれも可能かもね。それで帰りはどうするの?」

「それも問題ない。同じ能力を秘めたロストギアを持ってきてある。それにはちゃんと元の時代の座標を記憶してあるから何時でも元の時代に戻れる」

証拠と言わんばかりに異世界の良介はポケットから青い石を出し、この世界の宮本家の皆に見せる。

おそらくこの青い石が時空転送を可能とするロストギアなのだろう。

「何つーか、ずいぶんご都合主義な気もするな・・・・・」

異世界の良介の説明を聞き、良介が少し呆れ気味にツッコム。

「魔法技術なんてそんなもんさ。あやふやと矛盾とご都合主義の塊のようなもんだろう?」

「た、確かに・・・・」

異世界の良介の言葉に納得するこの世界の良介。

まぁ、生き返ったり、女になったり、子供になったりと地球では考えられない体験をしてきた良介にとっては十分に納得できることだった。

「ね、ねぇ。りょ、良介さん」

「「ん?」」

この世界のスバルが良介に話しかけると、二人の良介はスバルに視線を向ける。

もう一人の自分も宮本なので、スバルはあえて、良介の名前を呼んだ。

しかし、ここにも良介は二人いたので、その両方の良介からの視線を受けるスバル。

「えっと・・・・ギン姉と結婚していない方の良介さん」

「なんだ?」

「あの・・・・その・・・・どういう経緯でその・・・・別の世界のアタシと結婚したのか聞きたいなぁって思って・・・・」

ゴシップネタが好きな癖ともう少しステラと一緒に居たいという思いからスバルはもう一人の良介ともう一人の自分がどういう経緯で結婚したのかを聞く。

「あ、それは私も興味があるわね」

「わ、私も・・・・」

「俺もだ・・・・」

アリサ、ギンガ、そしてこの世界の良介本人も別の世界の宮本夫妻の結婚経緯が知りたい様子。

「まぁ、構わないが・・・・それなら俺の方ももう一人の俺がどんな経緯でギンガと結婚したのか気になるな。・・・・お互いに情報交換兼昔の思い出話しといこうか?」

「そうね。アタシもギン姉がどんな結婚生活をしているのか知りたいし」

こうして、二つの宮本家の思い出話が交わされた。

「あれはたしか・・・・」

まずは、スバルと結婚した方の良介が結婚に至る経緯を話した。

 

 

それは、良介が復活し、墓地からクラナガンへ向かい、ナカジマ姉妹の行方を探している時だった。

ミッドの西部にあるナカジマ家を目指していた良介は道端に捨ててあった週刊誌の表紙に書かれてある記事を偶然見た時、良介は目を見開いた。

その週刊誌の表紙には、

『訓練中に大事故。JS事件を解決に導いた六課隊員、重傷』 という記事の見出しを見て思わず良介はその週刊誌を拾い、中身を確認したところ、スバルが訓練中に事故に遭い病院に運ばれた事を知った。

搬送された病院の院長は良介と飲み友達だったので、良介は早速その病院に赴いた。

死んだはずの良介が目の前に現れたので、病院の院長は腰を抜かすほど、驚いていた。

その後、院長からスバルの容態を聞き、良介の死の影響から心身ともに参っている事を聞き、一計を案じた。(詳しくは名無しASさんのスバルルートを読んで下さい)

 

良介の策は見事成功し、スバルは本来の明るさを取り戻したのだが、運悪く(?)見舞いに来たなのはとティアナの二人と鉢合わせをし、感動の再会から一転、スバルの一言から地獄の鬼ごっこへと発展し、逃げ回っているうちにフェイト、ギンガ、はやて、シグナム、ヴィータ、シャマルもそれに途中から参戦し、クラナガン全体を巻き込んだ大逃亡劇となった。

しかし、多勢に無勢。

しかも相手はAクラスからSクラスの管理局が誇るエース揃いの魔導士達ばかり・・・・

哀れ良介は管理局が誇る魔導士達の餌食になってしまいました。

 

めでたし めでたし・・・・・・

 

 

 

 

 

 

ではなくて、

せっかくあの世から五体満足で復活したにも関わらず、良介はボロボロになり、病院に搬送された。

ちなみに良介をボロボロにした後、なのは達は全員ゲンヤにキツイお灸を据えられた。

逃亡劇の際、なのは達は良介が逃げ回っていた山を消滅させたのだから当然と言えば当然だろう。

 

「くそっ・・・・アイツら手加減ってモノを知らねぇのか?」

病院に搬送され、体中を包帯で巻かれた良介が独り呟く。

「まぁまぁそれほど、宮本さんが皆に好かれているって言う証拠ですよ」

良介の病室に入り浸っているスバルが良介を励ますように言う。

「お前はあの時、あの場に居なかったからそんなことが言えんだよ。あの時のあいつらの顔を思い出すだけで身震いがするぜ・・・・」

身体を震わせながらスバルにあの時の出来事を言う良介。

どうやら新たなトラウマが出来た様であった。

 

「宮本良介復活ス」この事実はまたたく間に管理局内を駆け巡り、良介と親しかったハラオウン親子や三提督、聖王教会のカリム、シャッハ達からは復活祝いと言うことで様々な品が良介の下に届けられた。

届けられた品は花束や記念品よりも高級菓子や果物が多かった。

その理由は良介なら食べ物の方が喜ぶから・・だそうだ。

事実良介は滅多に食べることの出来ない高級菓子や果物に舌鼓を打ち、満足そうだった。

そんな高級菓子を食べている良介を羨ましそうに見つめるスバル。

その目はおあずけを食らっている子犬のようでシュンとしながらも貰えるのではないかと期待を込めた目をしていた。

そして何故、スバルが良介の病室に居るのかと言うと、スバル曰く、「一人で病室に居てもつまらない。それに宮本さんはアタシの彼氏なのだから、彼女のアタシが同じ部屋に居ても全然おかしくない」との事だ。

しかし、スバルがそれをなのは達の前でソレを言うたび、良介はなのは達からの嫉妬の視線に晒されたりしている。

 

「・・ムシャ・・ムシャ・・」

「・・・・・・」

「パク・・・・パク・・・・」

「・・・・・・」

「ボリ・・・・ボリ・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・だぁー!!その目を止めろ!!スバル!!」

「だって、美味しそうなんですものそのお菓子・・・・・」

スバルは我慢の限界が近づいているのか、口からヨダレが出初めて、その様子は本当に犬のように思えた。

もし、スバルのお尻に犬の尻尾が有れば思いっきり振っていたことだろう。

「少しだけ・・・・少しだけそのお菓子くれませんか?宮本さん」

「お前の少しはあまりあてにならないんだが・・・・」

「むぅ〜そんなことありませんよ。アタシだってちゃんと空気も読めますし、物事を弁えることだって出来ますよぉ〜これでも訓練校は上位の成績だったんですよぉ〜」

「ホントか?大体、俺が入院する羽目になったのはお前がなのは達の前で空気を読まなかったのが原因だろうが」

ジト目でスバルを見る良介。

本当に空気を読めるならば、病室でなのはとティアナがいる前で堂々と恋人宣言なんてするはずがない。

「本当ですよぉ〜」

スバルの言うこと全てを信じる訳ではないが、このまま一人で高級菓子を食べてしまうと、スバルが泣きながら殴ってきそうなので、良介は渋々お菓子の一つをあげることにした。

と言ってもスバルはまだ、両手がギブスで固められているので、良介が食べさせる形となった。

「ほら、スバル。口開けろ」

「宮本さん、あの時みたく。ちゃんと『あーん』って言ってくれませんか?」

「甘ったれんな。あの時も言っただろう?してほしかったら、メロンを用意するんだな」

「むぅ〜だったらギン姉となのはさんに宮本さんに泣かされた〜ってチクちゃいますよ〜」

勝ち誇った笑みを浮かべながら良介に「あーん」を強請るスバル。

「くそっ、またそれかよ・・・・・」

「はやく〜はやく〜」

「わ、分かったよ。ほら、あーん」

「あ〜ん

スバルは差し出されたお菓子を満面の笑みで食べる。

もし、この場をなのは達が目撃すれば病室に血の雨が降るのではないかと内心ヒヤヒヤした思いの良介。

「ここは病院だから怪我をしてもすぐ治療してもらえるから大丈夫だよ」とか平気な事を言って、悪魔の様な笑みを浮かべ、背中からは魔界の瘴気のようなダークオーラ全開の姿が目に浮かぶ。

そんな良介の内心を知る由もなくスバルは良介から食べさせてもらったお菓子を満面の笑みを浮かべて食べている。

「・・・・・」

スバルがお菓子も食べている姿に良介の中で突如、庇護欲めいたものが生まれた。

あの世でクイントに言われたことも影響しているのだろうが、それ以前にお菓子を食べるスバルの可愛さの威力が物凄かった。

それは言葉では表せないぐらいのもので、良介の体に電流が走った。

「す、スバル・・・・もう一つ食べないか?」

「えっ!?いいんですか?」

「あ、ああ・・・・」

「わ〜い。それじゃあ次はこれを下さい」

「あ、ああ。ほら、 あ〜ん」

「あ〜ん

満面の笑でお菓子を食べるスバル。良介はスバルのこの笑をもっと見たいそんな意欲がかきたてられた。

「スバルこれはどうだ?これも?それにこれもなかなか美味いぞ!!」

そんな調子で良介はスバルにまるで餌付けでもするかのように高級菓子を与え続け、残っていた菓子全部をスバルに与えてしまった。

スバルが満足そうに自分の病室へと帰った後、良介は独りベッドの上で項垂れ、「なぜ全部やっちまったんだ」と、後悔の念にかられていた。

 

 

おまけ

 

面接

 

ルーテシアの場合

 

「なぁ、ルール」

ある時、良介が素朴な疑問をルーテシアにぶつけてみた。

「なに?」

「ルーテシアも将来は管理局で働くのか?」

「そのつもりだけど、今はお母さんと一緒にカルナジ―ラの世界で開拓業をしているの、それが終わったら、嘱託からでもやろうかなって思っている」

「でも、ルール」

「なに?」

「お前、面接とか大丈夫か?」

学業に関しては母親のメガーヌが教えるだろうし、魔法の腕前は既にJS事件で把握済み、

ならば、残る課題としては、ルーテシアの無表情と、世間の一般常識の欠如が問題だ。

「面接・・・・やるの?」

「そりゃあ嘱託試験には必ずあるさ。練習やってみるか?」

「うん」

こうしてルーテシアは良介相手に面接の練習をする事となった。

 

「えーと・・・・では、まず最初に管理局に入局したら、貴女は何をやりたいですか?」

「・・・・その質問・・・・考えていなかった・・・・」

「おいおい、必ずと言っていいほどこの質問は最初に出るぞ」

「う〜ん・・・・」

ルーテシアは良介の言葉を聞き、考え込む。

「そう、難しく考えなくてもいいんだぞ・・・・管理局に入って自分がやりたい事を言えば良いんだよ」

「それじゃあ、妻子が居る上司との背徳恋愛」

「・・・・真っ先に出てくるのがそれか?」

ルーテシアのやりたい事を聞き、良介は顔を引き攣らせた。

母親のメガーヌもそれに近い行動でルーテシアを身篭ったことからルーテシアのやりたい事があながち冗談ではない気がしたのだ。

 

 

あとがき

良介君がスバルにお菓子をあげる場面の構図は恋姫無双で関羽(愛紗)が呂布(恋)に食事を試しに与え、呂布の食べる時の顔が可愛く、つい、沢山与えてしまったシナリオに類似する感じです。

本編と違いスバルの話は日常生活を省いたダイジェストで、二人が結婚するまで書くつもりです・・・・。

期待していたかもしれない読者の皆さまスミマセン・・・・

では、次回にまたお会いしましょう。

 

 




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