五話 ヒビノウラガワデ・・・・
時系列は少し過去に戻り、まだ良介とスバルが病院に入院していた頃・・・・・。
良介とギンガが契を交わしたあの夜の翌日、スバルは昨日の成果が知りたくてギンガを自分の病室に呼んで聞いてみた。
病室に入ってきたギンガの足取りはどこかぎこちなく、歩くのが辛そうに見えた。
スバルはギンガを椅子に座らせて、自らはベッドの上に座り、
「それでギン姉、昨日はどうだった?」
と、目をキラキラさせてギンガに昨日の成果を聞く。
「・・・・激しかった・・・・
//////」昨夜のことを思い出したのか、ギンガは顔を赤くし、俯きながら一言そう呟いた。
「えっ!?はげし・・・・? ・・八ッ、・・・・ま、まさかギン姉・・・・・・」
「・・・・
//////」「み、宮本さんと・・・・・」
「・・・・
//////」「宮本さんとやっちゃったの!?ねぇ、抱かれたの!?宮本さんに抱かれたの!?」
姉の処女喪失の可能性に驚きの声をあげるスバル。
「スバル、声が大きい!!」
「あわわわ、ご、ごめん!!」
昨日の相談から、ギンガが告白の後、良介も告白、交際スタート、キスまでだと予想していたスバルにとってこれは驚愕の真実であった。
「そ、それでどうなの?本当に宮本さんに抱かれたの!?」
「う、うん
//////」小さく首を縦に振るギンガ。
「ひょぇぇぇぇ!!」
姉のまさかの処女喪失の事実に驚きの声を上げるスバル。
その後は、ゴシップネタ好きの癖と初体験がどんなものなのか興味津々でギンガに質問をぶつけた。
「それでどうだった?」
「え?」
「宮本さん、優しくしてくれた?初めてのあれは・・・・その・・痛いって聞いたから・・・・」
「う、うん。ちょっと痛かったけど、最初は優しく手をギュッて、握ってくれたり、たくさんキスしてくれて優しかった・・・・
//////」「うんうん
//////」語るギンガも当然のことながら、聞いているスバルの方も顔を真っ赤にしている。
「でも・・・・
//////」「でも?」
「でも、私の体が慣れてくるとだんだん激しくなって・・・・・
//////」「っ!!
//////」「最後は、お互いに意識をとばしたんだけど・・・・その前に・・達した時、お腹の中に・・・・その・・・・良介さんの精が・・・・たくさん注がれてね・・・・・
//////」自分のお腹を摩りながら中で射精されたことを伝えるギンガ。
「う、うん
//////」「・・・・なんて表現したらいいのかな・・・・・・お腹の中がこう・・ホニャ〜と暖かいもので満たされて・・・・それがその・・・・気持ち良かったりして・・・・
//////」「うわぁ〜
//////」「
//////」ギンガは絶頂に達した時の場面を思い出し、スバルはその場面を想像し、互いにその後は気恥ずかしい空気が病室を包み込んだ。
「は、話はそれちゃったけど、宮本さんに抱かれたってことは、宮本さんはギン姉の告白を受けたってことだよね?これから宮本さんとの交際が始まるわけだね!?それで将来は宮本さんが私のお義兄さんになるわけだね!?」
良介が義兄になるかもしれないということで、スバルは再び目をキラキラさせて、ギンガに問う。
「ううん、告白はしたけど、良介さんからの返事はまだ貰ってない・・・・」
スバルの質問にギンガは首を横に振り、良介からはまだ返事を貰っていない事を告げる。すると、スバルは驚愕の声をあげる。
「えええええっ!!なんで!?どうして!?ギン姉、宮本さんに体まで許しちゃったんだよ!!」
「告白の返事は・・・・その・・・・良介さんにも考える時間が必要だから・・・・体を許したのは私の自己満足だからいいの」
「ギン姉・・・・」
ギンガ自身が「いい」と言ってしまえばあとは当事者同士の問題のため、スバルはそれ以上何も言えなかった。
でも、心の中では、
(宮本さん、万が一ギン姉を泣かせたら・・・・その時は・・・・・フフフフ)
万が一良介がギンガを振って泣かした時の事を考えていた。
同じ頃、病室にいた良介が物凄い寒気に襲われたのは偶然だと思いたい。
そして時系列は現在に戻り、ギンガが非番の休日を外で過ごし、家に帰ってきたとき、スバルはギンガの首に出かけるときには付けていなかったはずのペンダントを見つける。
「あれ?ギン姉?それどうしたの?今日買ってきたの?」
「えっ?ああ、うん・・・・」
「ひょっとして宮本さんからのプレゼント?」
ニヤニヤしながらスバルが聞いてくる。
「ふぇ!?
////// ち、ちがうよ、これは自分で買ったの!!//////」ギンガは頬を染め、良介からのプレゼントであるということを否定する。一応彼との約束(?)みたいのがあったためである。
「ふぅ〜ん・・・・本当に?」
「ほ、本当よ!!
//////」「・・・・そう、ギン姉がそう言うならそういう事にしておいてあげてもいいよ」
「そ、そういう事って、どういうことよ!!本当に本当なんだからね!!
//////」ビシッとスバルを指さしながら念を押すギンガ。
「はいはい」
相変かわらずニヤニヤ顔でギンガを見るスバル。
これ以上スバルと話しているとボロが出てしまいそうなので、ギンガは急いで自分の部屋へと駆け込んだ。
部屋へと駆け込んだギンガはそのままベッドにダイブし、興奮がさめるまで、枕に顔を埋めた。
次第に興奮が冷め、冷静さを取り戻していき、枕から顔を上げると、枕元に置いてある写真立てを右手に取って持ち上げた。
写真立ての中の写真は以前、シグナムと良介が剣術稽古をしていたときに撮ったもので、真剣な顔つきで剣を振っている良介の姿が写っている。
「良介さん・・・・
//////」ギンガは写真を見ながら左手で今日買ってもらったペンダントを大切に撫でた。
時系列は再び時間を過去に戻し、良介とギンガがアクセサリーショップに居た頃まで戻る。
その日、フェイトはなのはとヴィヴィオの二人を連れて夕食を外で食べるため、フェイトが運転する車で日が落ちたクラナガンの繁華街に来ていた。
停止信号が灯り、車を停め、ふと車窓の外を見ると、路上で商売をしているアクセサリーショップの前で良介の姿を見つけた。
(あれ、あそこにいるのは・・・・)
助手席に座るなのはに声をかけようとした時、良介が隣にいた女の人の首にペンダントをかけているのを見てしまった。
「っ!?」
それはどう見ても恋人同士が行いそうな雰囲気。
思わずその光景を見てしまったフェイトは視線をそらさず、固まってしまった。
「どうしたの?フェイトちゃん?信号、進めになってるよ。窓の外になにかあるの?」
なのはの言葉にハッと正気に戻ったフェイトは「な、なんでもないよ」と言って車を走らせる。
どうやらなのはは良介の姿に気がつかなかったようだ。
レストランに着き、ヴィヴィオが満面の笑顔でお子様ランチに舌鼓を打ち、なのはがそんなヴィヴィオの口元を布巾で拭きながら自分も料理を食べている中、フェイトは先程見た光景が頭から離れなく、運ばれてきた料理も手つかずのまま。
「どうしたのフェイトちゃん?料理冷めちゃうよ。気分でも悪いの?」
心配になったなのはがフェイトに声をかける。
「えっ?だ、大丈夫だよ」
「そう?」
フェイトはなのはを心配させまいと少し冷めてしまった料理を口に運ぶが、味を楽しむことは出来なかった。
そんな様子のフェイトをなのはは心配そうな表情で見ていた。
「それでフェイトちゃん、何があったの?」
レストランから帰り、ヴィヴィオを寝かしつけたなのはがフェイトに質問をぶつける。
「えっ!?」
「レストランに行く途中、何かあったんでしょう?だからフェイトちゃん、レストランでずっとボォっとしてたんでしょう?」
「・・・・」
「ねぇ、何があったの?」
「リョ、リョウスケが・・・・」
「兄さんが?」
「・・・・女の人に・・・・ペンダントをあげてた・・・・それが、まるで恋人同士みたいだった・・・・」
「っ!?」
フェイトの言葉を聞き、なのはの思考が一瞬停止した。
兄さんが?
女の人に?
ペンダント?
恋人?
「そ、それでその女の人は誰だったのかな?」
若干声が裏返っているが、なのははフェイトにその女の人が誰だったのかを聞いた。
「顔はわかんない。後ろ姿で、人ごみも多かったから・・・・でも髪は長かった・・・・」
良介と面識のある髪の長い女性・・・・
二人はとりあえずその条件に当てはまる人を思い浮かべた。
髪が長く、良介と面識のある女の人と言えば、
クロノの親であるリンディ
はやての守護騎士の一人でもあり、剣友のシグナム
六課時代、デバイスのメンテナンスを担当していたシャーリー
そしてスバルの姉のギンガ・・・・。
海鳴にも該当する女の人は沢山いるが、ミッドに来ている可能性は低いので除外。
もしかしたら、仕事の関係上知り合った人かもしれない。
二人は良介の相手が誰なのか気になり、悶々とした気分で夜を過ごした。
あとがき
今回は三話と四話の裏側、別の人たちの視点で描いて見ました。
あの夜の翌日、スバルとギンガはどのような会話をしたのか?
ギンガは良介のデート後、どうしたのか?
そして、二人のデートを目撃した人物、それはフェイトでした。
なのはの小説を書いていながら、原作であるアニメを見ておらず、ミッドの交通機関の信号が日本と同じく青が進め、赤が止まれか、わからなかったので、若干遠まわしな表現になってしまいました。申し訳ありません。