三十九話 センニュウシタヒ 白バラの死の鉄槌 始動

 

 

「な、何よ・・・・コレ?・・・・何なのよ!?」

マリアは妹が残した遺書を読んでいくうちに怒りがこみ上げてきた。

余りの怒りのため、遺書を持つ手は小さく震えている。

彼女が読んでいる遺書にはシンシアが教師であるタカネザワに強姦されたこと、その時の事を映像に取られ、もし誰かに話したらこの映像を編集し、家族と学校中に流すと脅され、その後も強引に関係を迫られ、強姦され続けられた事が赤裸々に書かれていた。

そして最後には危険日にも関わらず強姦され、このケダモノの子を身篭ってしまったかもしれないと言う事が書かれており、もう自分は生きていく自信が無いと、書いてあった。

遺書の文字は所々インクが滲んでおり、それは彼女が涙を流しながらこの遺書をしたためた事が窺える。

シンシアはさぞ、無念だっただろう・・・・。

必死に勉強し、姉と同じ学校に受かり、将来を画家として期待されていたのにそれを教師とも言えぬケダモノ一匹により全てを台無しにされ、あまつさえ命を絶つ羽目になったのだから・・・・。

「・・・・シンシア・・・・貴女の仇は必ずお姉ちゃんがとってあげるからね・・・・・」

マリアは片手で遺書を握り締め、もう片方の手で棺に眠るシンシアの冷たい頬を撫でながら涙を流し、復讐を誓った。

 

一方、学院では・・・・・。

(クソっ、あのアマよりにもよって学校で飛び降りやがって、最後の最後に面倒なことをしやがって・・・・死ぬなら人知れず死ねっての)

シンシアを自殺に追い込んだ張本人、タカネザワは自殺したシンシアに対して毒づいていた。

(だが、あの馬鹿が遺書を残していなかったことには正直ホッとしたぜ。・・・・まぁ、あんな小娘の代わりなんてここなら幾らでも居るからな。それにしてもマスコミ連中はチョロイね。ちょっと涙を浮かべるだけで、コロっと騙されるんだから。さあて、次の獲物でも探すか・・・・)

タカネザワは既にシンシアを強姦した記録映像を消して証拠を隠滅し、ベンチに座りながらタバコを吸い次の獲物を探していた。

「先輩・・・・」

すると、そこにタカネザワの後輩であり、タカネザワを此処に招き入れた張本人であるサキが其処に居た。

「あん?」

次の獲物を物色している中、突然シケタ声をかけられ、不機嫌そうな表情でサキを睨むタカネザワ。

「なんだよ?サキ」

「先輩・・・・もしかしてこの前自殺した生徒・・・・まさか先輩が・・・・・」

「ンだとっ!?まさか俺がアイツを突き落としたとかほざくんじゃねぇだろうな?」

「い、いえ・・・・そうではなくて・・・・」

「じゃあなんだよ?」

「自殺の原因はもしかして先輩が・・・・」

「お前バカか?記事にも書いてあんだろうがぁ!?アイツの自殺の原因はノイローゼだよ。ノイローゼ」

タカネザワは記事が書かれている週刊誌を手で叩きながらあくまでシンシアの自殺の原因は自分ではなく過度によるノイローゼだと主張する。

「・・・・」

しかし、タカネザワの本性を知っているサキは、タカネザワに対し納得いかない様子で、サキは意味ありげな表情でタカネザワを見る。

「何だ?そのツラは?何か言いたげだな?」

「い、いえ・・・・そんな・・・・」

タカネザワの脅すような低い声を聞き、サキは咄嗟に顔を俯かせ、視線を逸らす。

「まぁいい。サキ」

「は、はい」

「この学院の生徒の中でワケありの生徒の情報を集めろ。居るんだろう?」

「えっ!?」

タカネザワの言葉にサキは言葉を失った。

ここは言わずと知れた名門のお嬢様学校・・・・

そしてその親は当然皆お金持ち・・・・

そして金持ちの親というのは何かと見栄を張る者が殆んどだ。

その中には最初の受験と言う名の関門に負けてしまった者も当然いる。しかし、その結果を認めようとしない親達の中には自らの財力・・つまり金の力を使い試験を担当した教師に対し、大金を払い裏口と言う不正を行い自分の娘を名門校へ入れる親もいる。

それらの親はその後もその教師と金との繋りから成績改ざんも行なっている。

または、育った環境の影響からか、異性(男)にではなく同性(女)にしか恋愛感情を抱けない者もいる。

タカネザワは名門校の暗部とも言えるその事態に目をつけ、それら訳ありの生徒達を自らの性欲の捌け口のターゲットにすることにしたのだ。

「せ、先輩・・・・もしかしてその生徒たちを・・・・・」

「そいつらは不正をして今此処にいるんだろう?それならそれなりの制裁も必要だろう?それとも俺との関係を止めるか?それならそれでいいんだぜ。お前が俺に抱かれて雌犬みたいにキャンキャン鳴く映像を学院中に大公開してやるよ。もちろん俺の声や姿は編集するがな」

「・・・・・」

タカネザワは遂にはサキを脅し、訳あり生徒の情報を集めさせた。

 

 

その頃、町外れの墓地では埋葬の儀が執り行われていた。

「それではシンシア・アネットさんとの最後の別れになります。皆様、彼女が安らかな眠りにつけるよう祈りを捧げてください」

墓地にて神父が最後の祈りを捧げると、シンシアが納められた棺はロープと滑車を使い墓穴にゆっくりと降ろされていく。

やがて穴の底に着くと葬儀社の男達が上からスコップを使って土を被せ、棺を埋めていく。

その様子を見ながらシンシアの母親は声を殺して泣き、父親はそんな母親を抱きしめ、慰めているが、自らも涙を流して泣きたかったのだが、喪主としてそんな姿を他の参列者に見せるわけにもいかず、グッと涙を堪えてシンシアの墓を見ている。

そしてシンシアの姉のマリアはというと、

(まずはシンシアの遺書が真実だという証拠を掴まないと・・・・そしてアイツを・・・・あのケダモノを・・・・)

完全に復讐一色に染まっていた。

 

 

舞台は再び学院へと戻す。

シンシアの自殺ということで同じ学年である一年の空気は重く沈んでいる。

タカネザワはそんな一年生に対し、「何時までもクヨクヨしていては、シンシアちゃんはうかばれないぞ」と、皆を元気づける。

生徒たちもタカネザワの言葉に励まされ段々と明るさを取り戻していった。

しかし、全ての生徒がタカネザワの言葉や行動に騙されているわけではなかった。

相変わらず二年、三年の生徒はタカネザワを警戒し、そして一年の中にも警戒をする生徒はいた。

ヴァネッサ・クラインもその中の一人だった。

彼女は二階の校舎の窓から校庭で他の生徒たちと楽しそうにレクレーションをしているタカネザワを見下ろしていた。

そしてその視線にタカネザワは気づいていた。

 

ヴァネッサ・クライン

容姿端麗で頭脳明晰。

おまけに実家は代々大物政治家議員を輩出している名家であった。

家柄・容姿・頭脳どれをあげても彼女はまさに絵に描いたようなお嬢様だった。

しかも、彼女は高飛車な態度は取らず、誰でも分け隔てなく誰とでも付き合う性格のため、同学年の生徒からも人気のある生徒だった。

ホワイトローズの面々も彼女を来学期にはメンバーに加えようかと検討するほどの人物だった。

だからと言って誰にでも優しく接しているわけではない。

彼女はタカネザワから滲み出ている性欲塗れの視線に気がついていた。

タカネザワは獲物以外の生徒には好青年を演じていたが、獲物またはその候補にあげた生徒の体つきを影から念入りに凝視している。

感が鋭い生徒ならばそのタカネザワの視線に気がつく。

彼女はその家柄上政敵に狙われるとこもあるので、そう言った感覚が鋭くなるように教育は幼少の頃から受けていた。

しかし、そんな完璧そうに見える彼女にはある秘密があった。

 

深夜のとある寮の一室にて、声を殺しながら喘ぐ少女の声がそこから聞こえた。

「ヴァネッサ、いいわ〜もっと・・・・もっと私に・・・・」

「ええ、いいわよ」

そう、ヴァネッサはルームメイトと肉体関係を結んでいた。

そして彼女の下半身には見間違えようのない男性の性器がついていた。しかし、これは彼女が性別を偽ってこの学院へ入学したわけではない。

彼女は数千人に一人の割合でみられるとされる両性具有者だったのだ。

彼女は体の八割以上は女性の体なのだが、残りの一割ちょっとは男性ということなり、その影響のためか彼女は男性よりも女性の体を求める事が屡々あった。

両親もこの事に関しては悩みに悩んだが、やはり自分の子を名門校卒業者としてのブランド名欲しさに金の力を使い、彼女をこの学院へ入学させた。

この事実を知っているのは関係を持っているルームメイトと学院のトップクラスである一部の職員しか知らない事実であった。

しかし、彼女の両親の誤算は彼女が在学中に教師の皮を着たケダモノが赴任してきてしまったことだろう・・・・。

 

そしてある日、タカネザワはその獣並みの嗅覚と勘でヴァネッサが訳ありの生徒ではないかと思いサキに彼女の写真を見せ、調査をさせた。

タカネザワの命令を受けたサキは犯罪だと知りながら学院のメインコンピューターにハッキングをかけ、ヴァネッサの情報を引き出し、その情報をタカネザワに渡した。

 

後日その情報を受け取ったタカネザワは早速彼女を呼び出した。

「それで何の用ですか?」

突然訳も分からず呼び出されたヴァネッサは怪訝な顔つきでタカネザワに要件を聞く。

「いやぁ、君の家って代々大物議員を輩出してきた名家なんだってね?しかもお父さんは今も大物議員として活動中だそうじゃないか」

意味ありげな笑を零しながらヴァネッサの実家の事を尋ねるタカネザワ。

「何が言いたいんですか?」

「もし、そんな名門家のご令嬢が実は体に秘密を抱えて名門のお嬢様学校に入学しているなんて事実が公になれば大変だよね?」

「っ!?」

ニヤついた顔をするタカネザワ。そしてその反面ヴァネッサの顔からは血の気が引いていく。

「娘のスキャンダルが公にならば次の選挙でお父さん落選しちゃうかもしれにようね?そうなったら政治家としての命脈も途絶えちゃうかもしれないよ」

「・・・・」

「大丈夫だよ、そんな顔をしなくても。大事な秘密を外部には漏らしたりしおないよ。ただ、一つ僕のお願いを聞いてくれればだけど・・・・」

「・・・・お願い?」

不安げな表情をするヴァネッサに対し、タカネザワは邪悪な笑を浮かべていた。

 

 

妹の葬儀・埋葬を終えたマリアは急ぎ、妹の遺書に書いてある事が本当のことなのかをタカネザワに問い質すため、タカネザワがいるであろう美術準備室へと向かった。

美術室から入り、準備室の扉の前までマリアが来たとき、中から人の声が聞こえた。

タカネザワの他に誰か居るのかもしてないと少しだけ扉を開け、中の様子を探るマリア。

そこでマリアが見たのは人の皮を被ったケダモノが新たな獲物を捕食している光景だった。

「ほぉ〜こりゃ、驚いた。両性具有者っていうのは聞いたことがあるけど、実際に見たのは始めてだ。へぇ〜用を足すときはどっちから出るのかな?」

タカネザワはヴァネッサを裸にし、声を出せないように布で口を塞ぎ、同じく暴れないように布で手を後手でに縛っていた。

そして彼女の性器をマジマジと見ていた。

「これなら男でも女でも相手に出来るな、羨ましいことで」

「・・・・・」

「でも俺はやられるよりやる方が好きなんでね。俺の時は女の体で頼むよ!!」

そう言うとタカネザワは自らの性器をヴァネッサの秘部に突っ込んだ。

「んぅー!!」

突然自分の体に異物を突っ込まれたヴァネッサは涙を浮かべながら悲痛な声をあげる。

「おい、サキちゃんと撮っているか?」

ヴァネッサを犯しながらタカネザワは背後でカメラを構えているサキに確認する。

サキは複雑そうな顔でただ頷くだけだった。

「シンシアもあんな風に・・・・それにあの二人・・・・グルだったの・・・・・」

妹が残した遺書が事実だった事

そしてタカネザワの協力者がこの学院でも生徒や他の教師から信頼があるサキだったという事実がマリアから理性を徐々に失わせていく・・・・。

だが、それ以上に目の前の光景にやり場のない恐怖と怒りがこみ上げ、マリアはその場から逃げ出した。

いや、逃げ出してしまった・・・・。

 

ヴァネッサにとって地獄とも言うべき時間が終わった時、タカネザワは更なる地獄を突き付けた。

「ふぅ〜サイコーだったぜ・・・・また明日も頼むな。お嬢様」

タカネザワの邪悪な笑を見て、ヴァネッサの精神は崩壊した。

(犯された・・・・汚されてしまった・・・・その上、自分の秘密まで知られてしまった・・・・)

自分の体の秘密を知られた上、純白までも奪われてしまった。

今は、タカネザワは自分の体を目当てとしているが、その内自分のこの事をネタに親から大金をせびるかもしれない・・・・断れば父の政治家としての命脈が閉ざされる・・・・。

それを防ぐためには・・・・・。

防ぐためには・・・・・・。

ヴァネッサは机の引き出しを開け、そこから薬の入ったビンを取り出す。

それは入学前、母から「もし、女性の体を求めてやまないような夜にはこの薬を飲みなさい」と、言われた睡眠薬だった。

ただし、この睡眠薬は強力で一回の服薬につき、一錠が原則だった。それ以上摂取すれば脳の働きに支障をきたす恐れがあるので気をつけろと言われていた。

しかしヴァネッサは入学後、母から言われたそのいいつけを破り、ルームメイトと肉体関係を結んでいた。

これはきっと罰なんだ・・・・

母のいい付けを守らなかった私に対する罰なんだ・・・・・

そう思いながらヴァネッサはビンの蓋をあけ、手のひらに大量の錠剤を乗せると、それを一気に口の中に押し込み、コップに入っていた水も口に入れ、水と共に大量の錠剤を飲み込んだ・・・・・。

意識を失ったヴァネッサをルームメイトが発見したのはそれから30分後の事だった。

ヴァネッサは急ぎ病院へと搬送され、命は取り留めたものの植物人間状態となり、意識を何時取り戻すのかは医師でもわからないという最悪な診断が下された。

 

 

生徒の自殺の次には生徒の薬物による自殺未遂。

このような事が二件も立て続きに発生し、学院側は大慌てであった。

そしてその事態を起こしたタカネザワ本人はシンシアに次、ヴァネッサまでも自殺未遂という面倒ごとを起こした事により不快指数が上昇中だった。

(くそっ、お嬢様っていう生き物はなんでこんなにも脆いんだ?・・・・それとも世間に出たばっかりの箱入り娘だからか?くそ、ここを出たあとには彼女の実家に俺の生活の援助をと思ったのになぁ・・・・)

ヴァネッサの予想通り、タカネザワはこの学院との契約が終了した暁にはヴァネッサの実家を揺するつもりであった。

シンシアがもし自殺をしなければ恐らくマリアの実家の脅すつもりだっただろう。

(折角の金ヅルを逃がしたのは辛いが、まぁいい。ここには大勢のお嬢様がいる。俺の奴隷も金ヅルも選り取りみどりだ。でも、次の獲物は二年か三年のお嬢様にしたほうがいいか・・・・こうもすぐに死なれちゃあ俺が犯人だってバレるかもしれないからなでも、あいつら警戒心が強いからなかなか手を出せないんだよな・・・・サキの奴に今度は上級生の訳あり生徒の情報をのみを集めさせるか・・・・)

こうしてタカネザワは次のターゲットを二年、三年の上級生に絞った。

そんな中、マリアの方も妹の復讐のため動いていた。

まず、マリアは共犯であるサキと接触をして、妹が残した遺書のコピーを見せた。

遺書のコピーを見たサキは顔色を青くした。

マリアはサキを問い詰め、タカネザワを管理局へと告発するため協力を仰いだが、サキはこれを拒否した。

「何故ですか!?アイツは犯罪者なんですよ!?先生は同じ女としてアイツを許せるんですか!?」

「貴女だって女なんだし何時かわかる時が来るわ。どんなに悪い人だとわかっても大切な人を売るような事出来ないわ」

サキがタカネザワを告発しないその理由は「彼を愛しているから」

それにサキの話では例え告発しても法で裁かれるのは暴行障害であり、刑も数年の懲役ぐらいの事、妹の件を殺人罪で裁くことは出来ないと言われ、更にはこの件を黙っていてくれればシンシアがタカネザワに強姦されている記録映像を全て渡すとまで言ってきた。

実はサキは万が一のため、タカネザワが撮っていた強姦記録をダビングして密かに保管していたのだ。

「妹さんには悪いけど、この件にはもう首を突っ込まない方がいいわ。でないともっと面倒な事になるかもしれないわよ」

「先生があのケダモノに密告して私もあのケダモノに犯されると言いたいんですか?」

「・・・・・」

妹の死の真相と懲りずに強姦を続けるタカネザワを目撃しているマリアは既にまともな思考回路をしておらず、「法で裁けないなら私が裁きます」と言い残し、サキの下から去った。

 

そして、ある日の放課後

美術準備室にて一人仕事をしているタカネザワにマリアが訪ねて来た。

「君は?」

「先日自殺したシンシア・アネットの姉です」

「そうか、あのアネット君の・・・・今回のことでは辛い思いをしただろう?」

慰めるような優しい声でタカネザワはマリアに語りかける。

「ええ・・・・まさか妹が・・・・妹が教師である貴方に殺されるなんて思いもよりませんでしたから」

「何を言っているのさ。彼女の自殺の原因は過度のノイローゼだよ。そりゃあ彼女の容態に気がつかなかった僕にも多少の責任はあるかもしれないけど、殺したなんてオーバーだよ」

「そうですか・・・・なら、コレを見てもそんな事が言えますか?」

マリアはそう言うとタカネザワの足元に向け、一枚の紙を投げつける。

タカネザワがその紙を拾い、内容を読んでいくと彼の目が大きく見開かれ、顔色が少し青くなる。

「妹は・・・・妹は私の目の前で校舎から身を投げたんです・・・・・・」

マリアは事の顛末をタカネザワに語り始めた。

シンシアの様子が変わったのはクラスのみんなから見ても明らかであった。

あんなにクラスメイトと気軽に話していたシンシアが突然周りのみんなと話さなくなり、クラスメイトとの間に壁を作ってしまったのだ。

姉のマリアはシンシアのルームメイトから相談を受け、シンシアと話し合おうとしたのだが、シンシアは姉のマリアさえも避けるようになった。

そんな日が続き、マリアの不信感はどんどん強まり最終的にある日の昼休みにシンシアのクラスに押しかけたのであった。

しかし、シンシアは教室には居なかった。

クラスメイトに妹の行方を聞くと「何か思いつめた様子で屋上へと行った」と、聞きマリアは屋上へと向かった。

そして屋上の扉を開けた瞬間、目に飛び込んできたのは屋上のフェンスを乗り越え、身を投げようとしている妹の姿だった。

「や、止め・・・・シンシア!!」

マリアの声が妹に聞けたのか聞こえなかったのか定かではないが、シンシアはマリアが駆け寄る前に校舎の屋上から身を投げた。

そして屋上に残された妹の靴の下にその手紙はあった・・・・。

 

「分かっていただけましたか?それは妹が残した遺書です」

マリアがシンシアの遺書であると宣言すると、タカネザワは往生際が悪く、

「ふん、こんなもの出鱈目に決まっている」

と、遺書を破り捨てた。

「大体これが君の妹の遺書だという証拠はあるのかい?証拠もなしに変な言いがかりは止めてもらいたい」

「なら筆跡鑑定にでも出しますか?もしこれが妹の筆跡と一致すればこの遺書の内容は事実ということになりますね」

「ハハハ、何を言っているんだい?遺書は残念ながら僕が知らずに破いてしまったじゃないか?それともコレを張り合わせるつもりかい?」

そう言ってタカネザワは床に落ちている遺書を拾い上げると今度は細かく破り始めた。

「別に構いませんわ。ソレ、遺書のコピーですから」

そう言ってマリアはポケットから大量の紙を取り出し部屋一面にばら蒔いた。

まき散らされた紙は全てシンシアの遺書のコピーだった。

「犯罪者である貴方に本物の遺書を渡すわけがないじゃないですか」

「貴様」

タカネザワがマリアに近づこうと足を動かした瞬間。

「動かないで!!」

マリアの手にはナイフが握られていた。

「アンタのしたことは犬にも劣る行為よ!私は迷わない!人間の皮を被ったアンタを刺すのに躊躇なんてしないわ!!」

「わ、分かったよ。分かったから落ち着いて話し合おう」

「アンタと話すことなんて無いわ!!」

そしてマリアは渾身の力を込め、タカネザワの腹部にナイフを突き刺した。

タカネザワは苦しみながら後退るが、ある一定の距離をとると突然何事もなかったかのように平然とした。

「なっ!?」

マリアが驚くのも無理は無かった。

タカネザワは服の下に薄い防護服を着ていたのだ。

「お前のおかげで助かったぜ、サキ」

そう言うと準備室にサキが入って来た。

サキはマリアがタカネザワの殺害を考えているのではないかと思い、タカネザワに注意するように呼びかけていた。

「さぁて、先生にケガを負わせようとした悪い生徒には御仕置きが必要だな」

タカネザワはあの邪悪な笑を浮かべながらマリアに迫ってきた。獲物のナイフはタカネザワの手の中、マリアは一転してピンチに陥った。

しかし、マリアとて一筋縄にはいかなかった。

サキがタカネザワに密告する可能性も十分視野にいれていたマリアは万が一失敗した時の為に盲まし様の煙玉を持っており、それを床に叩きつけ、急いで準備室から逃走した。

「待ちやがれ!!」

しかし、マリアの誤算はタカネザワの性欲に対する執着が物凄く強いということだった。

犯すにはもってこいの条件をマリアは自らの行動によりタカネザワに与えてしまったのだ。

捕まれば性欲の奴隷にされる、マリアは死にもの狂いで逃げたが、マリアも所詮お嬢様、運動が得意という方では無かった。

ジリジリと縮まるマリアとタカネザワの距離。

もうダメかと思ったとき、突然マリアの手が引き寄せられ、マリアの体は近くの倉庫の中へと引きずり込まれ、倉庫のドアのカギが閉められた。

「ちきしょう、どこに行きやがったあのアマァ〜」

外からはタカネザワの低い声が聞こえる。

走っている時は今までの恐怖を我慢していたが足が止まっているこの状況になると今までの恐怖が一気に爆発しそうになり、声を出しそうになるが、そこを、マリアを倉庫へと引き込んだ人物の手がマリアの口を塞ぐ。

暫くそんな緊張した状況が続いたが、ようやくタカネザワの気配が付近から消えると、マリアの口を塞いでいた手は退けられた。

「ぷはぁ・・・・ハァハァハァハァ・・・・」

極度の緊張と走ってき事、口を塞がれていた事で呼吸を整えるのにマリアは暫しの時間が必要だった。

そして自分を助けてくれた人物をマリアは呼吸を整えながら見た。

「大丈夫ですか?」

「あ、はい・・・・助けて頂きありがとうございます」

マリアがその人物を見ると、その人物の制服は自分が着ている制服とは別の白い制服だった。

「ほ、ホワイトローズの方でしたか・・・・」

「ええ、ホワイトローズの一人、アンネ・フランソワと申します。見たところ追われていたように見えましたが何かあったんですか?」

緊張が抜けた事でマリアは突然泣き出してしまった。

「えっ?えっ?わ、私のせい?」

突然泣き出してしまったマリアにアンネはタジタジだった。

その後、アンネはタカネザワに見つからないようにマリアを自分の部屋へと連れていった。

モタモタしているとタカネザワがマスターキーを持ってこの倉庫の扉を開けるかもしれなかったためである。

事実倉庫に隠れているとき、タカネザワが倉庫の扉のドアノブをガチャガチャと弄っていたからである。

 

自分の部屋についたアンネはマリアを落ち着かせようとハーブティーを出した後、訳を聞いた。

マリアは当初は黙り込んでいたが、アンネはその制服から一般生徒ではなく、学院の生徒会でもあるホワイトローズの一員、ならばタカネザワの件も何とかしてくれると思い全てを話した。

 

妹のシンシアの自殺の原因

 

タカネザワとサキの関係

 

つい先日、自殺未遂を起こした生徒がタカネザワに強姦されていたところを見た事

 

その生徒を見殺しにしてしまった事

 

そして自分がタカネザワを殺そうとした事

 

「そう・・・・そんなことが・・・・」

「・・・・」

「心配いらないわ。妹さんの仇はバラの精霊様がきっととってくれるから」

「バラの精霊?」

「ええ、学院に悪しき者が入り込んだとき、バラの精霊が現れ、その悪を消し去ってくれるの。・・・・この学院に昔からある言い伝えよ」

「はぁ・・・・」

「暫く貴女は休学するといいわ。この学院にあの獣がいる間は危険でしょうから」

「・・・・・はい」

「手続きとかは私達がしておくから、すぐに学院を出たほうがいいわ」

マリアはアンネにそう薦められ、ホワイトローズの面々の護衛の下その日の内に学院を出た。

準備中、タカネザワがマリアに話があると身柄の引渡しを要求をしてきた。

話がある何て言うが、彼が人気のない部屋にマリアを連れ込んで強姦しようとすることは明らかであった。そんな分かりきった事態に態々マリアを差し出す訳にもいかなかったので、アンネは言葉巧みにタカネザワを退散させた。

去り際に彼は舌打ちをしながら去っていった。

そしてマリアも無事に学院を出ることが出来た。

 

 

あとがき

マリアの過去話では主に学院の暗部の活躍を描こうと思います。

注意として過去の出来事なのでアリサは登場しません。

ここに至ってアンネのファミリーネームが思い浮かんだのでアンネをフルネームで登場させました。

二次元のお嬢様学校のイメージだと百合っぽいイメージの他に裏で暗躍する組織とかがありそうなイメージが浮かびます。

では、次回にまたお会いしましょう。




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