これは空知　　英秋　先生の作品「銀魂」の『外見だけで人を判断しちゃダメ』を元ネタに書かれています。

ナカジマ家の姉妹順はギンガ　チンク　スバル　ノーヴェ　デェイチ　ウェンディの順とします。

性格に若干の改変が見られます。

読む方はその辺にご注意ください。

では、本編をどうぞ・・・・・。

十八話　デートビヨリ　人の恋路を邪魔するバカは・・・・・・

ある日の夜、良介はゲンヤから近くの、もんじゃ焼き屋に呼び出しを受けた。

良介が呼び出された店に行くと、そこにはゲンヤ、チンク、デェイチの姿があった。

「あれ？ノーヴェとウェンディの奴は？」

ナカジマ家の新しい家族の一員となったナンバーズの姉妹のうち、ノーヴェとウェンディの姿がここには無い。

「ノーヴェ達は今日、ヴィヴィオと一緒にジムに行ってな、なのはの家で夕飯を一緒に食べるらしい」

チンクがここに来ていない妹達の行方を言う。

「そうなのか。それでとっつぁん今日、俺を呼び出した理由はなんだ？まさかもんじゃ焼きを奢るってだけじゃねぇんだろう？」

席につき、良介がゲンヤに呼び出した理由を聞く。

「当然だ。良介、お前らを呼んだのは他でもねぇ。・・・・奴がついに動く」

ゲンヤは真剣な顔で、良介たちを見回しながら言う。その顔つきはナカジマ家の父親の顔ではなく捜査官の顔つきであった。

「父様、それは確かか？」

チンクが確かめるかのようにゲンヤに聞く。

「間違いねぇ、奴の周りには常に犬（への２８号）が張っている。奴もそれに感づいてナリを潜めていたが、我慢出来ずに動き出しやがった」

ゲンヤが説明している中、デェイチはただ一人もんじゃ焼きを焼いて黙々と食べている。

「俺はもう後手に回るつもりはねぇ、上の連中がガタガタ言うつもりなら辞表を出す覚悟だ・・・・」

ゲンヤは吸っていたタバコの紫煙を吐き一息入れてからその決意を皆に言う。

「フゥー・・・・決戦だよ。奴も奴の企ても全て潰す・・・・」

「そうか、父様がそう言うのならば私たちの命も父様にあずけよう・・・・」

チンクも真剣な顔つきでゲンヤに言う。

（な、なんかヤベェことに巻き込まれていねぇか？俺）

ゲンヤ達の真剣な雰囲気にこれはかなり危険な依頼だと判断した良介。

「フッ、頼りにしてるぜ、それじゃあ俺は準備があるから先に帰る。あとは楽しんでいってくれ」

ゲンヤはタバコをくわえるとその場を後にした。

「リョウスケ、デェイチ・・・・一つ確認したいことがある・・・・」

「な、何だ？チンク」

「何？」

ゲンヤが席を外したあともチンクは真剣な顔で良介とデェイチに聞いてきた。

「・・・・奴って誰だ？」

「知らねぇのかよ！！」

良介はてっきりターゲットを知っていそうな雰囲気のチンクがターゲットを知らないことにツッコンだ。

後日、ゲンヤから決行の日と場所を聞き現場に向かう良介。

その場所とはミッドにある遊園地だった。

（こんな場所で捕物？・・・・そうか、麻薬かロストギアの取引だな？こういう人気の多い場所で敢えて行うことで犯罪の目を隠していたわけだな？）

良介は今回の犯人は中々頭がキレる奴だと思いながら入園口の近くにある茂みに身を隠した。

そこには既にゲンヤ達が到着しており、良介はゲンヤ達に合流した。

「とっつぁん他の捜査官たちは中か？」

良介は近くに他の捜査官の姿が見えないので、聞いてみた。

「いや、今回の作戦は俺たち四人で行う！！」

「マジかよ！！」

余りの人員の少なさに声を上げるのと同時に不安を感じる良介。

「来たぞ、奴だ！！」

ゲンヤが言う「奴」に視線を向けるとそこにはガン黒に金髪、サングラス、ピアスに金のネックレスといかにもチンピラ風の男が入園口に向かって歩いていた。

（ガラの悪そうな男だな・・・・確かにドラマとかで見るヤクザの運び屋みたいだ）

良介が男の外見からそんな風に思っていると、男は入園口にいる一人の女の下に歩いていった。

（奴の取引相手か？・・・・ん？）

良介が目を細め、女の姿を凝視するとそこに居たのは・・・・

「お――い、スバル！！」

「あっ！」

「わりぃ、わりぃ、遅れちまって・・待った？」

「ううん。私もさっき来た所。全然待ってないよ〜」

なんとそこに居たのはスバルだった。

スバルは遅れてきた男を笑顔で迎えている。

「なんだ、良かった。実はリニアがさぁ遅れちゃって・・・・」

男は遅れた原因をスバルに話している。

本当にリニアが遅れていたのかは定かでないが、

それを茂みから聞いたゲンヤは、

「やろぉ〜巫山戯やがって・・・・スバルはな、テメェが来るのを一時間も待っていたんだよ。手塩にかけて育てた娘の一時間・・・・テメェの残りの人生できっちり償って貰おうじゃねぇか？」

そう言うとゲンヤは狙撃銃型のデバイスを男に向ける。

「おい、良介、お前ちょっと土台になれ」

「待たんかい！！奴ってあれか！？スバルの彼氏！？」

『奴』の正体が犯罪者でなくスバルの彼氏と知った良介は即座にゲンヤに対しツッコミを入れる。

一方、ツッコまれたゲンヤは、

「彼氏じゃねぇ！！あんなチャラ男、パパはぜってぇ認めねぇよ！！」

と、声をあげ、彼氏の存在を否定する。

「やかましい！！こっちは折角の休日を返上してわざわざ来たのに、娘のデートを邪魔するだァ？くだらねぇ、帰る！！」

スバルと彼氏のデートを邪魔する・・・・そのあまりにもくだらない依頼のため良介は帰ろうとする。すると、ゲンヤが良介を引き止める。

「おい、ちょっと待て、俺がいつそんなこと頼んだ？」

「ん？」

ゲンヤの言い分ではデートの邪魔ではないらしい。

では何か？

「俺はただ・・・・」

「ただ？」

「あの男を抹殺したいだけだ！！」

「もっと出来るか！！」

ゲンヤの依頼はデートの邪魔ではなく彼氏の抹殺だった。

「あんなチャラ男がスバルを幸せにできると思うか？いや、俺だってスバルが好きになった相手を認めてやりてぇよ。悩んで色々考えた・・・・それで抹殺しかねぇって結論に・・・・」

「色々考えすぎだ！！しかも物騒な方向に！！おい、チンク、お前からも何か言ってやれ、この親ばかに」

良介はチンクにゲンヤを止めるように頼む。

するとチンクは、

「誰がチンクだ？殺し屋チンク１３と呼べ」

「何やってんのお前？そもそもお前の番号は五番だろ？それにサーティーンってなんだよ？」

「不吉の象徴だ。知らんのか？・・・・父様！！私も手伝ますぞ！！私は男のくせにチャラチャラ着飾った軟弱な奴が大嫌いなんだ！！」

同じく狙撃銃型のデバイスで武装するチンク。

「チンク・・・・」

「大切な妹のスバルをあんな奴にやれるか！！行くぞ、父様！！」

「おう！！」

茂みから勢い良く飛び出して、行くゲンヤとチンク。

「お、おい」

良介が止めるのも聞かず、二人のそのままスバルと彼氏の後を追って遊園地の中へと入っていった。

「やべーな、アイツら本当に殺りかねないぞ。おい、デェイチ止めに行くぞ」

良介は残ったデェイチと共に二人を止めに行こうとしたが、

「誰がデェイチ？」

「え？」

良介が振り向くとデェイチはいつの間にかグラサンをかけ、自分の愛銃「イノーメスカノン・狙撃銃バージョン」を持っている。

「私は殺し屋デェイチ１３」

「お、おい！」

「面白そうだから行ってきまーす！！」

久しぶりに狙撃が出来る機会が巡ってきて嬉しいのだろう。デェイチは猛スピードで遊園地の中へと入っていった。

「それで、そんとき俺、言ってやったったのよ・・・・」

スバルと彼氏が楽しそうに会話をしながら遊園地の中を歩いていくと、その背後からサングラスをかけた怪しい三人組がその跡をついて行く。他の客はその三人組の姿を見て、引いている。

二人はまず、メリーゴーランドに乗った。

二人が乗ったメリーゴーランドから少し離れたメリーゴーランドから彼氏を狙撃銃で狙う怪しい三人組の姿があった。

「ヤロォ、やりやがるな。最初にこれを選ぶとは・・・・」

ゲンヤはスコープで狙いを付けるが常に上下に揺れ狙いが定まらない。

「狙いが定まらん。何か気持ち悪くなってきた・・・・」

チンクもずっとスコープ越しで乗っていたため、酔ってきた様子。

デェイチは元々狙撃手だったため、酔ってはいない様子だが、やはり上下に揺られているため狙いが中々定まらない。

「それより、こいつはいつ奴らに追いつく？距離が一向に縮まらねぇ・・・・」

いつまでもスバル達に追いつかないメリーゴーランドに疑問を持つゲンヤ。

「縮まるか！！これはメリーゴーランドだぞ！！この下の土台ごと一緒に回ってるんだよ！！永遠にこの距離で回り続けるわ！！」

三人組のさらに後ろにいる良介が前にいる三人に言い放つ。

「遊園地なんて来たことねぇからよくわかんねぇよ」

意外に父親らしからぬ発言をするゲンヤに、

（ギンガやスバルを連れてきたことないのかよ！？）

と、心の中でゲンヤにツッコム良介。

「早まった真似すんなよ。ようはあの二人の仲を引き裂けばいいんだろう？他に方法はいくらでもあるだろう？」

「なんだ？リョウスケ、仲間に入りたいのか？殺し屋同盟に入りたいのか？」

チンクが良介に仲間になりたいのかと尋ねると、

「お前らが血迷ったマネしないか見張りに来たんだよ！！」

と、良介は三人を止めに来たことを強調する。

二人はメリーゴーランドを降り、次にコーヒーカップに乗っている。

「俺はあんたらみたいにあの男の全てを否定することは出来ねぇよ」

当初はヤクザの運び屋かと思っていたが、相手が犯罪者ではなく、スバルの彼氏となると話は別だった。

「どう見ても悪い男だろう？アレ。だって穴だらけだぞ！！自らの体に好き好んで穴を開けるなど信じられん！！」

確かにチンクの言う通り、彼氏は耳の他にも鼻や唇の下にもピアスをしている。

しかし・・・・

「チンク、お前の言っている意味がわかんねぇよ！！」

良介にはチンクが毛嫌いする理由がイマイチ分からなかった。

「ああいう年頃の娘はねぇ、チョイワルな男にコロっと靡いてしまうもんなんだよ。そしてちょっと火傷をして大人になっていくんだよ・・・・」

と、デェイチが哀愁を漂わせながら言う。

「デェイチ、お前いくつだよ？」

そんなデェイチに良介は年齢を尋ねる。

「おい、俺はこんなチョイワルな顔をしてんのに、クイント以外の女からもてたことねぇぞ？どうしてくれるんだ？」

「知るか！！」

流石にゲンヤの顔の悩みは良介の知るところではない。

コーヒーカップを降りた二人は再び遊園地の中を歩いていると、スバルの目にジェットコースターが映った。

「ねぇねぇ次はアレに乗りたい」

目をキラキラさせ、ジェットコースターを指さすスバル。そんなスバルに対して彼氏の方はというと・・・・。

「おいおいマジかよ。俺ダメなんだよね、アアいうの」

スバルは乗る気満々なのだが、彼氏の方は乗る気がないらしい。

「怖いの？」

「怖いっていうか、気分が悪くなるんだよね」

「やっぱり怖いんだね♪」

「ちげぇーよ。いいから一人で乗ってこいよ」

「え〜嫌だよ〜一緒に乗ろうよ〜」

スバルは彼氏の手を引き、ジェットコースターに乗りたがるが、彼氏は頑としてジェットコースターには乗りたくないらしくその場を動ことはしない。

そんな彼氏の背後に迫る銀色の影があった。

「ガタガタ言わずに早く乗れよ。ホルスタインヤロウ」

チンクは彼氏の背後からダガーナイフを突きつけ、彼氏にジェットコースターに乗るように脅しをかける。

「騒いだら体に穴がもう一つ増えるぞ」

「ひっ！？」

「ん？どうしたの？」

彼氏が突然大量の汗をかいているのに疑問をもったスバルが彼氏に聞く。

チンクの姿は彼氏の体で隠れており、スバルからは見えていない。

「あ、いや・・・・やっぱり乗るか？」

「ホント！？ヤッター！！」

スバルは彼氏とジェットコースターに乗れるということで大喜び。

「なぁ、本当に大丈夫なのか？」

ゲンヤが良介にこの作戦が上手くいくのかを聞いてきた。

チンクはスバルたちのすぐ後ろの車両に乗り、残りのメンバーは距離を開け、最後尾の方の車両に乗る。

「大丈夫だよ。チンクは結構世話好きな奴だからな。妹に害をなすような輩には一切容赦しないから任せても大丈夫だろう」

「・・・・らせ」

「えっ？」

彼氏にダガーナイフを突きつけながらチンクは彼氏に何かを要求する。

「汚物を漏らせ・・・・ジェットコースターが戻って来るまでしてなかったら殺す」

「ええええ！！」

チンクからの要求を聞き、顔を青くする彼氏。

「ん？どうしたの？気分でも悪いの？やっぱり降りる？」

突然顔を青くした彼氏を心配するスバル。まさかダガーナイフで脅されているとは知る筈もなく、気分が悪いのかと思って、ジェットコースターから降りるかを聞く。

「降りたら殺す」

チンクは間髪入れずに彼氏がジェットコースターから降りることを許さなかった。

「うるせぇ！乗るって言ってんだろうが！！」

「　？　」

彼氏が何をムキになっているのか分からないスバル。

やがてジェットコースターは動き出す。

「ぬぉ〜思ったよりキツイ」

ゲンヤの予想より、ジェットコースターはスピードがあった。

「どうだ？様子は？」

良介が前を覗こうとすると、

「わぁぁぁぁぁー」

前からチンクが降ってきて、良介の顔面にチンクの腕が当たった。

「痛ってぇ、何やってんだお前！？」

チンクは必死に良介たちが乗っている車両の座席の背もたれに必死にしがみついている。

「ベルト締めるの忘れた！！ベルト締めるの忘れたァァァー！！！！」

何時もは冷静な筈のチンクがテンパリまくっている。

「た、助けてくれ〜父様〜リョウスケ〜」

「ったくしょうがねぇな！！」

ジェットコースターに乗っている間、ゲンヤと良介はスバルたちの様子よりもチンクを助けるのに精一杯だった。

やがてジェットコースターは乗り場へと戻った。

「あー面白かった。ん？どうしたの？」

スバルはジェットコースターに乗り始めてから俯いたまま、悲鳴はおろか、一切口を開かない無言の彼氏を見る。

「あれ？乗る前より、座高が高くなっているようだけど・・・・？」

「ご・・・・ごめん・・・・俺・・・・俺・・・・・ちょっと漏らしちゃった・・・・」

彼氏が脂汗をいっぱいかいてスバルに恐る恐る言う。

「えええええ！！」

それを聞きスバルは驚く。

そんな二人の様子を見ながら、

（すまねぇ、お前に恨みはねぇが・・・・許せ・・・・）

と、心の中で良介は彼氏に謝った。

しかしその直後、

「・・・・実は・・その・・・・私も・・・・」

スバルは顔を赤くして衝撃の一言を言う。

「「「「ええええええ！！」」」」

スバルの言葉を聞き、驚きつつドン引きする良介達。

そんな良介達を余所に互いに漏らしたということでスバルと彼氏の仲はより一層深まった。

「おい、どういうことだ！！さっきよりも仲良くなっているじゃねぇか！！」

作戦が失敗したことにゲンヤは良介を攻める。

「お前の娘こそどうなってんだ？普通漏らすかぁ？一体どういう教育してんだ！？」

良介とゲンヤが言い合っていると、

「二人共・・・・スバル達、先に行っちゃうよ・・・・」

デェイチが指摘したとおり二人はジェットコースター乗り場の出口に向かっていた。

「え〜あの状態で！？」

ゲンヤが漏らしたまままの状態で出ていく二人に驚きの声をあげる。

「なんてこったい。あの状態で引かねぇとは・・・・我が娘ながら恐ろしい」

ゲンヤはベンチに座りガックリとしている。

「いや、本当に恐ろしいよ」

良介もゲンヤの言葉に同意する。

「お前、このことを他人に言ったら殺すからな・・・・」

声を低くし、良介を脅すゲンヤ。しかし、そんなゲンヤに恐れることなく良介は指摘する。

「とっつぁん、安心しな、スバルは漏らしちゃいねぇよ。・・見なよ、ヤロウは着替えているのに、スバルは着替えていねぇ」

「ケツに挟んだままなんじゃねぇか？」

平然と酷いことを言うゲンヤ。

「そんな訳あるか！！とっつぁん、スバルが大切じゃねぇのかよ！？・・スバルはな、あのヤロウを傷つけないためにわざと、あんな嘘をついたんだよ」

「何ぃ！？」

「リョウスケ、というと、アレか？スバルはあの程度では全然引かない。スバルはアイツのそういう汚い部分も含めてあいつを優しく包みこんでいるということなのか？」

「そういうことだ・・・・」

チンクの予想に頷く良介。

「父様、大変だ！！アレを！！」

「「「ん？」」」

デェイチが突然声をあげたので、皆が二人を見ると二人は観覧車へと向かっている。

「あの二人、観覧車へ向かってる。間違いないキスするつもりだよ。観覧車と言えばキスだよ！！」

デェイチが以前、ドラマで見た展開を思い出して声をあげる。

「そうなのか！？」

「い、いかん！スバルが危ない！！行くぞ！父様！！」

「おう！！」

「・・・・」

ゲンヤ、チンク、デェイチはその場から走っていった。それを良介はただ黙って見ていた。

「しっかし、スバルお前スゲェな。普通引くぜ、彼氏が漏らしたら。俺もう終わったと思ったもん」

「私はそんなことで、あなたを嫌ったりはしないよ。それにあなただって私が漏らしても引かなかったじゃん」

「あっ・・・・だって・・・・それは・・・・」

「それは？」

「それは・・・・お前のことが・・・・す・・・・」

「す？」

「す・・・・す・・・・」

彼氏がスバルにまさに今告白しようとしたその時、二人の乗っている観覧車のすぐ横にヘリコプターがピッタリついた。

「え？」

「な、なんじゃあ、ありゃ！？」

突然現れたヘリコプターに驚く二人。

やがてヘリのハッチが開くと、そこには狙撃銃型デバイスを構えたゲンヤたちの姿があった。

「殺し屋ナカジマ１３」

チンクが自分たちの正体を名乗った後、

「「「お命頂戴する！！」」」

参上したその目的を三人は声を揃えて言う。

「ハァ！？なに無茶苦茶なこと言ってんだ！？」

「きゃぁぁぁ」

ゲンヤたちが彼氏に狙いを定めたその時、

「待ちな！！」

一人の男の声がした。

皆がその声をした方を見るとそこには観覧車の屋根に乗り、サングラスをかけ、手にはバズーカ、背中には黒い翼を生やした銀髪の男がいた。

「なっ！？」

「あれは・・・・」

「りょ、良介！？」

ゲンヤたちはいつの間にか自分たちの傍から消えていた良介があんなところにいるので驚きの声をあげる。

「良介？それは誰のことだ？俺は通りすがりの探偵、メロラー１３！！人の恋路を邪魔するバカは・・・・消え去れ！！」

良介・・もといメロラー１３は手にもったバズーカをゲンヤたちの乗ったヘリに向けて撃った。

「「「うわぁぁぁぁー」」」

ヘリは観覧車の隣にある人工湖に落ちた。

「メロラー１３？」

「カッコイイ！！」

「二人いつまでも仲良くな・・・・じゃあな」

メロラー１３は颯爽と去ろうとしたが、

「あの！！もうこんな脱糞野郎とは別れるので私と付き合ってもらえませんか！？」

スバルが突然観覧車の扉を開けたので、扉に張り付いていた彼氏はそのまま下の湖に落っこちていった。

「はぁ？うわっ！！」

「キャッ」

メロラー１３も突然の交際宣言に驚きバランスを崩し乗っていた観覧車の屋根から転落、驚いたミヤも突然ユニゾンを解除してしまいメロラー１３もとい良介もそのまま湖に転落した。

湖から命からがら這い出でたゲンヤたちを待っていたのはこめかみを引き攣らせながらイイ笑を浮かべたギンガだった。

なぜここにギンガがいるのかと言うとゲンヤたちがヘリをチャーターしている間に良介が電話を入れミヤと共に来てもらったのだ。

そして何故、ギンガの機嫌が悪いのかというと、良介と過ごせる筈だった折角の休日がゲンヤのこんなくだらない依頼のために、潰された為である。

「良介さんから電話を貰って来てみれば・・・・父さん達は一体何をやっているのかな？・・かな？」

低くドスのきいた声でゲンヤたちに問うギンガ。

「ぎ、ギンガ・・・・」

「あ、あの、これには深いわけが・・・・」

「ひ、一先ず落ち着こう。・・話せばわかる」

三人はギンガの放つ黒いオーラに恐怖で顔が引き攣り、声が裏返っている。

「問答無用！！」

しかし、三人の抵抗も虚しく三人はギンガによって再び湖に投げ飛ばされた。

「「「ア――――ッ！！！！」」」

『人（スバル）の恋路を邪魔する奴はギンガに殴られ反省しろ！！』そんな言葉が宙を舞う三人の脳裏に浮かんだ。

あとがき

銀魂ネタのクロスを書いていて、ゲンヤのとっつぁんの声が大川氏から若本氏へと脳内変換されました。

でも若本ボイスのゲンヤのとっつぁんも合っていそうだと思います。

スバルがどんな経緯でチャラ男と知り合ったかは読者の皆様のご想像にお任せします。

では次回、またお会いしましょう。