注意 この作品はアヌビスさんの『ユメノオワリ』名無し
ASさんの『ユメノツヅキ』『ギンガエンド』を最後までご覧になってからの方が分かりやすいです。
一話 ユメガサメテゲンジツヘ
「そやな、確かにシグナムの言うとおりやな。私も本命が居れば後はどうでもええわな。なぁ、本命君
……」はやてが、ぽんっと良介の肩を手で叩く。
その後はまさに生き地獄。
目の前が突然真っ白な世界になったと思ったら、体中に走る激痛。
非殺傷設定でやられたため、死ぬに死ねず、ひたすら嫉妬の炎に身を焦がした八神家の住人に良介はボコボコにされた。
はやての再会の祝福兼
O☆HA☆NA☆SHI
ヴィータの気合が入ったお灸
シャマルの愛の鞭もとい愛の拷問
シグナムの指導という名のシゴキ
を受け、意識を遥か彼方へと飛ばし、黒こげ状態となった良介を目にしてようやく嫉妬の炎を収めた八神家の住人達。
その後は彼女たちとて、本物の鬼ではない。シャマルが応急処置の治癒魔法を掛け、シグナムが救急車を呼んだ。
しかし、良介に対するお仕置きがすぎたため、救急車の到着前に、巨大な魔力反応とキノコ雲を見た、捜査官たちに囲まれ事情聴取を受ける羽目になった。
ヴィータは「事情聴取なんて後で受けるから、今はリョウスケと一緒に居させてくれよ!!」と駄々をこねるが、そんな我儘が通用するほど世間は甘くはなかった。
問答無用の如く事情聴取のため、連れて行かれた108部隊隊舎で八神家の住人たちを待っていたのは、こめかみをピクピクと引き攣らせ、イイ笑顔を浮かべたゲンヤの姿だった。
「で?何か弁解はあるか?チビ狸共?」
ゲンヤの背後には黒いオーラが滲み出ており、さすがのヴォルケンリッター達も目の前のゲンヤの姿にビクついている。
はやて達がなぜ、あのような愚行を行った理由は知っているが、さすがに管理局の局員、しかも士官クラスの局員が私情により公共施設を消滅させて、何のお咎めもなしというわけにはいかない。
「あ、あのなぁ・・・・ナカジマ三佐・・・・これには深〜い訳が・・・・」
はやてが怯えながらも弁解を図る。
本来階級で上回る筈のはやてがゲンヤに頭を何度も下げながら弁解を図る姿は何ともシュールであった。
「ほぉー公園まるまる一個を消滅させるのにどんな訳があるのか是非聞きてぇもんだ。・・なぁ、八神二佐」
ポンとはやての肩に手を置くゲンヤ。
「「「「ひぃィィィ」」」」
その後、五時間にも及ぶゲンヤの説教の後、はやて達が受けた処罰は半年分の給料一割カットと公園の修繕費の全額負担という金銭面での大きな痛手の処分と山のようにうず高く積まれた始末書だった。
「・・・・・ん?」
目を開けると真っ白い天井が映った。
辺りを見回すうちに段々と思考が覚醒してくる。そして何があったかを思い出していく。
公園でギンガと再会して、そのまま良い感じになっていた時、空から鬼達が降ってきて、その後は・・・・・
思い出しただけでビクッと身震いをする良介。
頭を左右に振り、新たなトラウマになりそうな出来事を必死に忘れ、改めてここが何処なのかを確認する。
真っ白な天井に壁、白く清潔感があるシーツ。当たりに漂う薬品や消毒液の臭い。それらから導き出される結論は・・・・・
「病院か・・・・」
現状が把握でき、一安心したのか良介はポスンと再びベッドに身を沈める。
その直後、病室のドアが思いっきり開けられた。
時系列を少し戻し、良介が目を覚ます少し前、なのはとティアナは病院のロビーにいた。
病院に付く少し前、巨大な魔力反応と突如公園の方から見事なキノコ雲が上がり、事件かと思い出動しようかとした矢先、ゲンヤから通信を受けた。
「高町の嬢ちゃん、さっきの魔力反応とキノコ雲は見たか?」
「はいっ!!」
「公園でなにか事件があったんですか!?」
事件かもしれないと思い真剣な顔つきでゲンヤに尋ねるなのはとティアナ。
「いや、あれは事件でもテロでもない。ちょっと過激なお仕置きというかスキンシップだ」
「「はぁ!?」」
(あんな過激なお仕置きなんて・・・・された方は大丈夫なのかな?)
(あれがスキンシップ!?野菜みたいな名前の戦闘民族がミッドに来たって言うの!?)
二人の思惑を知る由もなくゲンヤは
「公園の方はこっちで処理をしておくから気にするな」
と、言って通信をきった。
取り敢えずゲンヤの言葉を信じ、二人はスバルの見舞いへと向かった。
そして今、二人はスバルの病室の前に居る。
訓練中に起きたスバルの事故の後、二人は激しく気落ちしていた。
「あの時、無理にでも止めていればこんなことには・・・・・」それが今の二人の心情であった。
事故の後、二人は一度だけスバルの見舞いをしたが、その時の光景に二人はおもわず目を背けてしまった。
包帯とギブスで固められた体に治療用機器のコードやチューブが幾つも付けられたスバルの体。
弱々しく呼吸をするスバル。
それはもう生きることに疲れ、死神の誘惑にすぐにでものってしまいそうな弱々しい姿であった。
それから二人は直接スバルの見舞いはせず、時々担当の医師にスバルの容態を聞くだけだったが、いつまでも現実から逃げているわけにはいかなかった。
それはスバルも同じことだった。
そう思った二人は意を決し、スバルの見舞いへと訪れたのであった。
スバルの容態は医師から聞いていた。
「体の方は順調に回復へと向かっているが、精神面の方はショックが激しく、未だ回復の見込みは・・・・」
と、医師は無念そうに言っていた。
だからこそ、二人は今日ここへ来たのだ。
ここに来る前、二人は色々な事を考えた。
スバルと話、励まそう。
少しでもいい元気になって欲しい。
スバルに諭そう。
良介(兄)がどんな人だったのかを。
スバルに怒ろう。
いつまで現実に目を背けている気か?
スバルに謝ろう。
スバルの心の傷をあえて無視してしまったことを。
スバルに、スバルに・・・・・・・・。
「スバル、開けていいかな?」
スバルの病室の扉をノックするなのは。
しかし、中からは何の反応もない。
「開けるわよ、スバル」
ティアナが声をかけた後、扉を開け、二人はスバルの病室へと入る。
病室に入った二人の目に飛び込んできたのは生気を感じない虚ろな目で窓の外を呆然としながら眺めているスバルの姿だった。
訓練校時代からの相棒であったティアナには今のスバルの姿が信じられなかった。
訓練に失敗し、教官から怒られても決してへこたれることのなかったスバルが・・・あの元気の塊で出来ているようなスバルが今じゃ生きる屍となっている。
面会時間に制限があるため、まず、なのはがスバルに近寄り声をかけた。
「・・・・スバル・・・・そのままで良いから聞いてほしいの」
なのははスバルの塞ぎきった心を解きほぐそうと語り始めた。
まずはスバルに謝罪し、スバルが心の中で自分自身を痛めつけ傷ついていたにもかかわらず、それを気がつかないふりをしていた事、
そして次にもう一人の兄のような存在、宮本良介という人間がどんな人間だったのか、今のスバルの現状を兄(良介)ならばどう思っているかなどであった。
語っていく内に途中今までこらえてきたものが堰を切って溢れだし、なのはは、涙を滲ませながら語り続けた。
ティアナもなのはの話を聞いているうちにもらい泣きをしている。
しかし、当のスバル本人は反応を一切示さず、ただ呆然としているだけ・・・・・。
スバルのその態度にティアナがとうとうキレ、スバルの胸倉を掴む。
「スバル!あんたはまだ、先輩が死んだのは自分のせいだなんて、自惚れているの!? それは先輩に対して失礼よ!!いい加減現実から目を背けるのはやめなさい!!」
もしこの場に良介が居たら、「お前が言うセリフか!?」と、ツッコミをいれていたことだろう。
それほどティアナの発言は普段、良介に対する態度からは考えられない言葉だった。
涙を浮かべつつスバルを睨むティアナ。
するとスバルの目からも無意識ながらも涙が流れ始めた。
医者の見立てでは何かしら感情の変化があれば回復の兆しであると言われ、涙を流したことでスバルの塞ぎ込んでいた心が開きかけた証拠でもあった。
面会時間はあっと言う間に過ぎ、スバルの心を完全には開くことはできなかったが、涙を流すと言うきっかけを掴むことができたのだ。あとは時間をかけながらスバルの心を取り戻して行こう。
二人がそう決意しながら病院のロビーに差し掛かった時、息を切らせながらロビーを走り抜けていく少女と妖精の姿があった。
「アリサちゃんにミヤちゃん!?」
「なのはにティアナ?」
少女の名前はアリサ・ローウェル。
良介がまだ海鳴に居た頃、法術で生き返らせた天才少女で良介の助手兼メイドでもある少女。
この少女も良介の死を悲しみ、心に深い傷を追った一人でもある。
良介の葬儀の時は気丈と振舞っていたが、やがて会場に誰も居なくなると棺にしがみつき大声を上げて泣いていた。
葬儀後もやはり人前では気丈に振舞っていても夜になると一人寂しく枕を濡らしており、心配したなのはが暫く一緒に住もうと言って、ミッドにあるなのはの家で過ごしていた。
ある日、なのはがアリサの部屋を尋ねると、アリサはカミソリで自分の手首を切ろうとしていた。
「あ、アリサちゃん!!何やってるの!?」
「は、離して!!」
アリサの行動に驚きながらもなのはがアリサの自殺を止めようとアリサの両腕を抑えるが、アリサは普段からは考えられないほどの物凄い力でなのはを振りほどこうとする。
「だ、ダメェー!!アリサちゃん!! ふぇ、フェイトちゃん!!ちょっと来て!!」
「なのはどうしたの・・アリサ!!」
慌ててなのははフェイトを呼び、呼ばれたフェイトはカミソリを片手に持つアリサと必死にアリサを抑え込もうとしているなのはに驚き、なのはからアリサが自殺しようとしていると聞き、二人がかりでアリサを止めた。
この時アリサは「これ以上良介の居ない世界に居るのは耐えられない。良介の所に逝かせて!!」と泣きながら叫び続けた。
半狂乱になりながら泣き叫ぶアリサに対しなのはは、おもいっきりアリサの頬を叩いた。
そして目に涙を浮かべながら「そんなことをすればきっとあの世で兄さんはアリサちゃんの事を嫌いなるよ!」と、アリサを説得した。
なのはに頬を叩かれ、カミソリを落とし、床に力なく座り込むアリサ。
そこに二人の大声を聞き、ヴィヴィオと良介の忘れ形見とも言えるユニゾンデバイスのミヤも泣きながらやって来てアリサを説得。
その後、アリサは良介のためにも自分は精一杯生きてやると決意し、徐々に元気を取り戻しつつあった。
「アリサちゃんとミヤちゃんもスバルのお見舞いに来たの?」
「えっ!?ゲンヤさんから何も聞いてないの?」
「どういうこと?」
アリサが先ほどゲンヤから受けた連絡内容を二人に話すと、二人の目は大きく見開いた。
そしてまずは先ほど訪れたスバルの病室へと向かった。
面会時間は過ぎているがそんなのは関係ない。この報告を知ればスバルは心を取り戻すだろう。皆はその確信があった。
アリサから聞いた話をスバルにすると生気を失ったスバルの目には生気が戻った。
そして皆はある病室のドアを思いっきり開けた。
そしてその病室のベッドの上には一人の男の姿があった。
時系列を戻し、良介は突然開けられた病室のドアを目にやる。
そこには久しぶりに会った妹分達と助手兼メイドの少女に相棒のユニゾンデバイスの姿あった。
「よ、よぉ・・・・久しぶり・・・・・」
突然の訪問に若干引きつつ左手を上げ、声をかける。
沈黙が病室を包むがそれはすぐに破られた。
訪問者たちの歓喜の声によって・・・・
「良介!!」
「マスター!!」
「兄さん!!」
「先輩!!」
「宮本さぁぁぁん!!」
皆再開の嬉しさか、歓喜の涙を浮かべ良介の傍に雪崩込む。
アリサは「バカ」を連呼しながら良介の胸板をポカポカと叩き、ミヤは「皆をこんなに泣かせるなんてリョウスケはとんでもないマスターですぅ」と、頬を膨らませながらも嬉しそうに言って、スバルは
「宮本さん!うわぁぁぁん」
と、号泣しながら良介に抱きつく。
「先輩・・・・」
「兄さん・・・・嘘じゃないよね?・・・・幽霊でもないよね?」
「ああ、ちゃんと足だって付いてるし、心臓だって動いている」
「兄さぁぁぁん!!」
「先輩!!」
感極まってなのはとティアナも良介に抱きつく。
「ただいま・・・・皆・・・・・」
「「「「おかえり(なさい)(ですぅ)」」」」
涙で顔を濡らしながらも皆はとびっきりの笑顔で良介の帰還を祝った。
孤独だった筈の剣士がもはや孤独でないことを改めて実感した瞬間でもあった。
あとがき
名無し
ASさんの許可をいただき、ギンガ追加エンド?ユメガサメタラの続編を書かせていただきました。流れは、良
×ギンです。なのに第一話はギンガが未登場で終わってしまった。orz今回はギンガシナリオの中で、スバルとの再会をさせたかったので、このような形になりました。名無し
ASさんのスバルシナリオのスバルより重傷だったのは、完全にパラレルだと割り切ってください。次の話からはギンガを登場させます。では、またお会いいたしましょう。
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