で、今回はお前か。
「は〜い、皆さんが色々面白…ゲフン。
師匠のために頑張って似合いの武器を探してるって聞きまして…。
今回はこれです!!」
と言ってシャーリーが出してきたのは…。
薙刀?
「はい!薙刀です!!」
はぁ〜。おまえなぁ、薙刀ってのは女が使う武器だぞ?
イヤ、偏見とかじゃなくて。
「そのぐらい知ってますって」
じゃあ何だ?
「とりあえず持つだけ持ってくださいよ?」
…まぁ、一見普通の薙刀だし、変な仕掛けとかないようだし…。
…興味がないといえば嘘だしな。
俺はシャーリーから薙刀を受け取った。
「うん、普通の薙刀だ……?」
ん?何だ、今の声は!?
その時、奴の眼鏡がギラリと光ったのを俺は見逃さなかった。
「こ…コイツは…!?」
俺の服が……巫女装束になっている!?
いや、それだけじゃない。
鍛え上げられた胸筋にえらく豊かな実りがぁ!!
ごつごつと男らしかった指が…
細く白い指にぃいい!!
「は〜い、師匠。鏡をどうぞ〜」
シャーリーが鏡を向けた。
そこに映っていたのは…長い黒髪の女だった。
「誰だアアアアアアア!!!?」
甲高い声が響いた。
間違いなくそれは変わり果てた俺の姿だった。
「で、これは何なんだ?」
「戦国の時代、蘇った魔物を封じ込めた軍神の使者とそれと共に戦った巫女がいたそうです。
これはその巫女が使っていたもので、これを使うとその巫女の力と共に
使い手も巫女そっくりに変化してしまうんです!!」
「嬉しそうに言うなぁ!!」
こいつ、俺で実験しやがったのか!
恐ろしい奴。
「で、元に戻るには?」
「あぁ、それは薙刀を手放せば良いだけですよ」
「兄さ〜〜〜〜〜ん!!」
「センパ〜〜〜〜〜イ!!」
うあ!あいつらが向こうから!!
「酷いじゃないですか、勝手にそれ以外になんてーーー!!」
「あたしと模擬戦、してくださーーーいっ!!」
まだやってたのか。
しかしヤバイ。せっかく死亡フラグを捨てたってのに!!
「大丈夫ですよ、師匠」
「何?」
「今の師匠はどこから見たって綺麗な巫女さんなんですから」
そ、そうか!今の俺は俺であって俺じゃないんだ!!
ヒャッホウ!ビバ巫女さん!!!
「あれ?シャーリー?兄さんを見なかった?」
「て言うか…誰ですかその人?」
おぉ、マジに気づいてない。
これは使えるかも…。
「この人は……」
ん?何だ?いやな笑顔を浮かべてるぞ?
「師匠の許婚さんだそうです♪」
「「「……は?」」」
おいおい!何言ってんですか、このメガネは!!
うぁ!物凄い殺気がぁ!
「兄さんの…」
「先輩の…」
「「許婚ぇええええええ!!??」」
そして俺は魔王とその弟子に追い回される羽目になった。
しかもどこで聞いたか、シャーリーの戯言を鵜呑みにしたほかの連中まで加わって…
「結局このパターンかぁあああ!!」
「う〜ん、やっぱり師匠にはあれが似合うなぁ〜…」
言うまでもないが不思議な薙刀はそれ以外行きになりました。
ついでにこの許婚騒動で元に戻った俺が、また追い回されたのは別の話。
「ちっとまつです」
「なんだお前か」
良介はなぜか身の丈に会わないほどの大きな杖を持ったミヤをみていた。
「みんなからの聞きました良介に会う武器は私が選んだもの意外は似合いません」
そうしてわたされたのは何故か聖なる力が満ちている杖であった。
「これはまさか・・・聖杖ユニ○ーン・ホーンか」
「そうです これで後は私とユニゾンすればとってもお似合いです」
「そうはさせません」
「そうだぜロードはあたいのロードなんだ勝手に決めるな
このバッテンチビが」
何故か行き成り沸いて出た白い悪魔事なのはと同じくミヤと同じ融合機であるアギトが現れた。
「なんでですが折角 ある人から無理を言って借りてきたのに」
「「あれは聖なる女性専用の武器です」」
(たしかに・・・ユニコー○・ホーンだしな)
結局はこれも似合わない箱入りになった。
最もその後の記憶は良介にいなきづいた時には何時ものベットに寝ていたことだけは確認が出来ている
序にアギトとミヤも一週間近く姿を見てはいない。
「侍君、侍君、コレなんかどう?一応刀だから侍君好きでしょ。」
とうとう、忍までやって来やがった。
畜生、こいつらとことん俺で遊ぶ気満々だろ!?
「ほらほら、そんな胡散臭そうな物を見るような目で見ないで。綺麗でしょ、この刀。」
しかも持ってきた剣はなんだか涙が出るくらい怪しい雰囲気はなってやがんし。
深紅の鞘に収まった、刃紋の綺麗な刀だけど、刀身までほんのり赤に染まってるってどういうことだよ。
「それねぇ、うちの倉庫の中に入ってたんだけど、【吸血鬼】っていう銘なんだって!侍君にぴったりでしょ?」
「・・・・・・ちなみに聞くが何でだ?」
どう考えても俺よりお前にぴったりだ。しっかり御同族同士親交を深め合っていてほしい。
取り敢えず、面白そうと言う理由でこちらを巻き込むな。
「だって、侍君なら吸われたとしても体力と血だけは有り余ってるじゃない。精力も絶倫そうだし。」
「忍、人間はな、下ネタに入ったらもうおしまいだって知ってたか?」
がーんと口で言う忍はどう見ても楽しそうで全く反省した様子は無かった。
まあ、この位でへこたれる様な人生送ってねえからな、こいつも俺も。
とにかく、折角持ってきてくれたのだから見てみるが。
「・・・・・・忍。」
「なぁに、侍君♪」
鞘から抜いた瞬間から何かが急激に抜けていくような虚脱感。俺はコレにとっても良く似た感覚を知っている。
この命そのものが吸い取られるような感覚はどっかの馬鹿が首筋から俺にもたらすものに良く似てる。
この目の前でにこにこ笑ってる金持ちは絶対解ってて持ってきやがったな。
「マジでお前の同類かい!!」
「刀と同類ってひどいなあ、こんなかわいい女の子に向かって♪」
いくら怒ってもまるで暖簾に腕押しで効果なんぞ無かった。
そうやって怒っている間にいつの間にか刀身からは血が滴り始める。
真面目に吸血鬼じゃねえか、この刀。握ってる腕を介して血やその他諸々を抜いてやがる。
「この刀はねえ。血を吸えば吸うほど切れ味を増すんだって♪
一説には何メートルもの先の敵を、刀を振っただけで切り裂いたって伝説もあるんだよ。」
「マジで妖刀の類じゃねえか、それじゃあ!」
大体そんなもんが世界中にごろごろ転がってられてたまるか。
俺は刀に付いた血を落とすために刀を一振りした。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
目の前の現象に愕然とする俺と忍。
いきなり飛び散った血が巨大な斬撃みたいになって途中にある物全てを豆腐みたいに切り裂いて収束した。
本当に刀を振った先十数メートルまで直径50センチ程度の裂け目ができました、まる。
ちなみに途中にはレヴァンティンがありました、まる。
「れ、レヴァンティン。」
綺麗に真っ二つに分割されたレヴァンティン。その眼前でシグナムは両膝を突いて唖然としている。
「・・・・・・」
とりあえず、物騒な妖刀を鞘に収めた。不満そうに刀が震えたのは気のせいだろう。
それを驚きと気の毒そうな顔をしている忍に返す。
そして、一切物音を立てないように伝統技、忍び足でその場を離れようとした瞬間、背後で巨大な熱を孕んだ魔力が吹き上がった。
ギシギシと一瞬足を凍りつかせて後ろを見ると、そこには紛うことなき真正の灼熱魔神がゆらりと立ち上がっていた。
ぼくは全力でにげました。そしたら、炎を噴射するようにして限界速度を超えたシグナムに捕まりました、まる。
何とか燃えカスになるのを回避した俺は全身火傷状態の中、
事前に体力と血を吸いまくってくれた有難い刀様を「それ以外」の箱に叩き付けたのは言うまでも無かった。
sideシグナム
「すまんがレヴァンティンの修理を頼む」
「……また折れたんですか?」
シャーリーの言葉が私に容赦なく突き刺さった。
これで二度目。
「堅牢で知られるアームドデバイスが、わが愛剣がこうも容易く折られるなど…」
到底受け入れられる事ではなかった。
無論、魔力を込めてこそその真価を発揮するとはいえ
二度目は妖刀、一度目など木刀に折られたのだ。
三度目は絶対にあってはならない!
騎士の誇りに賭けて、必ず!
私が心に鋼の誓いを立てた時、ドアが開きヴィータが入ってきた。
「お、シグナム。何やってんだ?」
「あ、いや、ちょっとな…」
いかん。ヴィータはこの前のことを知っている。
また折られたなどと知られたら何を言われるか。
「もしかしてまたレヴァンティンを折られたのか?」
グサ。
見えぬ刃が音を立てて突き刺さった。
ヴィータはいたずらっ子のような顔でこちらを見ている。
おそらくからかうつもりで言ったのだろう。
だが、痛烈な一撃だ。
「そうなんですよ〜。また折られたんですって、レヴァンティン」
と、シャーリー。
「は?おいマジかよ!?何やってんだよ、シグナム!
そんなんじゃ
ヴォルケンリッター失格だぜ?」
ドスゥ!!
鈍い音ともに見えない杭が胸に突き刺さった。
足から力が抜けて崩れるように倒れた。
「お、おい、シグナム!?」
「……いいのだ…どうせ私は騎士失格なのだ…
愛剣を二度も折られるダメなニートなのだ…」
「し…シグナムさん…?」
「今まで世話になった。私は旅に出る。主はやてにはよろしく言っておいてくれ」
「でるなぁああ!!」
……と、こんな騒ぎが起きていることなど俺には分かる筈もなかった。