「あー、この前は楽しかったなぁ・・・では気を取り直して、第二回目いってみよか」
あの一悶着を「楽しかった」で済ませるか、なかなかな処世術を身につけてきたじゃないか。
でもな、はやて。
「いきなり人を拉致りやがって、他に言うことがあんだろ、おい」
「別に？ 気に入らん上司に嫌味言われた憂さ晴らしじゃナイデスヨ？ ホント」
そうかい。
今度良いバッティング・センターを紹介してやるから、ストレス発散はそこでしろ。 マジで。
「まぁま、細かいこと気にしすぎたらハゲるで？」
ご忠告どうもだ、このやろう。
「ほんならさっそく・・・、この前はビジュアルがどうとか言ってたし、そこにポイントを当てて考えてきたで」
そう言って、例の黒い箱を漁り出すはやて。
その中一体どうなってんだ？
「言っとくけど、なるべく刃の付いてるのにしろよ、まぁ無くても別に良いけど」
「そのへんもばっちりや、ビジュアルが良くて刃付きといえば・・・」
そう言ってはやてが箱から取り出したのは、重量感を漂わせる片刃の大剣。
マテリアでもはめられそうな穴が二つ空いた特徴的な・・・。
「・・・って、おい！！ そいつはまずいだろ！？」
「なんやねん、せっかくの臨場感が台無しやんか。 とりあえ紹介だけでも・・・」
おい！ こら！？
「F○7から、『バス○ーソード』！！」
言っちまいやがったよ！ このアマ！？
「謝れ！ とりあえず各方面の方々に謝れ！！」
「ふっふっふー、そんな事言っても、持ってみたい武器ではあるやろ？」
ぐっ！
そう言われると確かにそうだ。
男として、デカイ武器ってのは実用的云々無視して、憧れるカテゴリーのひとつではある。
暫し、熟考・・・。
「よし、よこせ」
「・・・ずいぶんあっさり割り切ったなぁ」
何とでも言え。
もう俺は戻れないのさ。
「何格好つけてんのか知らんけど、じゃあポーズでもとってみよか」
言われた通りにどでかい剣を構えて、いろいろとポーズを取ってみる。
なかなかの武器の表現力に感心しながら振り回していると、柄の部分にメイドイン・シャーリーの文字。 あいつが黒幕か。
上機嫌でポーズを終えると、はやてが何やら難しい顔でこっちを見てやがる。
「何だよ、どうした？」
「・・・あかん」
「はあ？」
なにを言い出すんだ、こいつは？
「考えてみたら良介とF○7のあの人達とは性格がまったく違うわ。うん、やっぱり良介には似合わんてその武器」
言ってくれやがりました。 このタヌキ。
ていうか、まったく違うってどういうことだよ、おい。 俺に対してどんなイメージを持ってんだ。
「なんだとこの野郎！ 俺みたいに繊細な心を持つ人間はそうそういねぇぞ！！」
「その台詞、ギンガさんに聞かせてあげたいです」
俺の叫びにボソッと応えるミヤ。
いたんだ、お前。
「良介！ はよそれを渡しぃ！！ そないなもん持つなんてお母さんは許さへんよ！！」
「誰が『お母さん』だ！ あと渡したのはお前じゃねぇか！！」
その後の事は聞いてくれるな。 頼むから。
はやての奴、魔法まで使って強引に「似合わない」コーナーにあの剣を放り込みやがった。
憂さ晴らしか知らんが、付き合わされる身にもなれよ、まったく。
次は何が来るんだ？
未だに黒い箱の中をガサゴソして
『コレやない〜ソレでもない〜』
とかいってやがる…
次はいったい何を出して来るんだか…
まぁその悩んでいる間に先ほどの暴言と拉致の報いとして（秘密で）必殺『着信拒否』の刑にしてやったがなぁ…
「コレやコレ！」
おっ！何か見つかったらしいな！
「ってコレかよ！！！
こんなん持ったら俺は某氏の書いた通りの復讐鬼一直線だろ！！」
はやてが出した物それは…
「うっ…
確かにそれはややなぁ…
でも何時も傷だらけになりながら（格上の相手と）戦闘するのなんて良介そっくりやん…
それに良介と同じで無骨な所もそっくりやし…」
ベルセル○の『竜殺し』だった…
「ま、まぁ其処まで言われると悪い気分はしないが…」
「そ、そやろ！一回だけでももってくれへんか？」
って事で持ってみたのだが…
その後の記憶は何故か無い…
シグナム達の話では
「お前が行き成り黒い甲冑を纏ったと思ったら獣のように暴れだしてな」
「そうだぜ！シグナムのヤツと二人で足止めして！」
「私のクラールヴィントでその剣を奪っも止まらず…」
「最後は私となのはちゃん、フェイトちゃんのトリプルブレイカーでとめたんやで…」
てな感じだったらしい…
そんなわけで俺は今病院で入院中だ…
良く生きてるなぁ俺様…
あとアレは速攻で「それ以外」のボックス行きになった…
「今回は少し趣向を変えようと思うんよ」
例の黒い箱を漁りながらの、はやての第一声がコレだ。
もう説明なんて必要ないだろ？
「はいはい、お嬢様。 今回のお戯れは何でございましょう？」
多少の嫌味を含んで大げさに言ってみる。
いろんな武器を提供してくれんのはありがたいけど、それ以上に胃の痛い事件に発展するんだよな、これが。
「う〜ん、なあ良介。 グーでの戦闘って強い方？」
そりゃまたいきなりだな。 グーでの戦闘ってことは、殴り合いの事か？
「そうだな・・・。 その辺のゴロツキならともかく、本当にその道を極めた格闘家には・・・うん、負けない自身はある」
別に無理してプロ相手に勝つ必要はないからな。
「ほんなら今回の武器はこれや『リボルバー・ナックル（ドリル付き）』！！」
おぉ、格闘武器か。
確かに今までのとは少し趣向が違うな、それも男の憧れのドリル付きとは・・・、はやての奴、にくい演出をしてくれるじゃないか。
「ふっふっふー、やっぱり男臭い展開といえば、夕日の川辺での殴り合いやね」
どこか恍惚とした表情でそんなことをのたまう我が家族、そりゃもうすこぶる怖い。
ていうか何だその頭の痛いシチュエーションは、お前は俺に何を求めてんだ？
クロノあたりとの男同士の友情か？
「はいな、取りあえず付けてみよか」
言われるままに装着。
う〜ん、こういうのを付けると何だか勝手に自分が強くなったように錯覚するのは何故だろうな。
ドリルも回転させてみる。
「おおおおお！ こりゃ愉快だ！！」
さて、一通り楽しんだところで、感想を聞こうか。
「何や、倒したボスの能力を得たキャラクターみたいやな」
それなんてロッ○マン？
じゃなくて、似合うか似合わないかを聞いてんだよ。
「う〜ん、似合うって聞かれたら似合うんやけど・・・、やっぱり良介のスタイルには合わんきがするな」
似合ってはいるが、こいつで闘っている姿が想像できないらしい。
うん。 俺も想像できない。
こんどギンガあたりに、格闘術の手ほどきでも受けようかな。
「！？ そんなんあかん、あかんよ良介！！ シュヴァルツェ・ヴィルクングなら私が教えるから！？」
あの、魔力を込めたパンチの事か？
俺が教えて欲しいのはそう言うのじゃなくて、もっとこう、体捌き的な・・・。
「リョウスケさん！ そういうことでしたら喜んで引き受けます！！」
「んな！ ギンガ！？ どこから来たんや！？」
その後は、はやてとギンガとの間で似合う・似合わない戦争があったが、思い出したくもないことだったので、忘れることにしよう。
そういえば最近フェイトの姿を見ないな。
やはりあれか、"パ”ルディッシュの一件でかなり凹んだか？
「リョースケー！！」
前言撤回。
こいつがそれくらいでへこたれる訳がない。
どうしたよ？
「えっとね…頑張ってリョウスケに似合いそうな武器を探して来たんだ……これならきっと凄い似合うはずだよ？」
ほほう、こいつは期待して良いのか。
「はい！」
そう言って笑顔で差し出したのは……おい。
「刃が無いぞ？」
「うん」
「柄だけだぞ？」
「うん」
「これは何だ？」
「アルテ○ウエポン（Ｆ○７仕様）！」
きたか、第二段。
「これはね、使う人の生命力によって攻撃力とか刃の大きさとかが変わるんだって。
これを持ってた蔵宇土さん（仮名）でもかなり大きい刃が出てたから
きっとリョウスケだったら……ザンバーぐらいの大きさになる…と思うの……そしたら…お揃い…だね…？」
エーイ、顔を赤らめてモジモジするな！！
こっちの方が恥ずかしいわ！
「これ、手に入れるの苦労したんだよ…」
「…？」
「蔵宇土さん（仮名）に譲ってもらおうとしたら色んな人が出てきて…。さすがに疲れちゃった…。特にあの長い刀の人は…」
よし、聞かなかったことにしよう。
…しかし、これは確かに良いかも知れんな。
俺も生命力にだけは自信がある。
月村の血とか色々入ってるしな。
よし、一回使ってみるか。
柄を握り、意識を集中する。
「…おぉ！！」
「凄い…リョウスケの大きい…！こんなになるなんて…！」
待て、その発言はすっごく誤解を招く！
「…ぃ…ぁ……ん……！！」
うわ、彼方から魔王の叫び声が！！
それからどうなったか、よく覚えていない。
ピンクの閃光と黄色の雷光とが激しくぶつかり合って…。
そこまでで俺の記憶は消えた。
ただ一つ確かなのはアルテ○ウエポンがうちのメイドさんによって元の持ち主に返された事だけだ。
はやて曰く
「あんなん、ライ○・セ○バーと一緒やん」
だそうだ。
勿論、似合わないボックス行きだった。
「どうでしょう兄さん、ここで一度接近戦用から離れてみては？」
どこから沸いて出たんだなのは？
「ひどいです沸くってそんなボウフラみたいに！っとそれはともかくこれを」
渡されたのは・・・・・・・・・・・・
「おい、これツイ○バスターライフルじゃねえか！！」
馬鹿かコイツは？ハッ！まさかかつての仕返しを！？
なのは恐ろしい子！！
「気に入りませんか？それならもうひとつレイジングハートＲ−ＧＵＮ仕様がありますけど？」
あんな終末兵器まだあったのか！？
「どっちも地獄じゃねえか！何その地獄の二択は？」
だいたい俺の魔力じゃ撃てないだろうに
「あっ魔力の心配は要りません私のカートリッジを沢山つめましたから」
笑顔で言うなのは、顔に出てたか俺？
「まあいい、ならば使ってやろう行くぞ！！」
密かに憧れがあったので内心ワクワクしてたりする
・・・・山が消し飛んだじゃねえか！？
なんて威力だよオイ！
結果は似合う似合わない以前の問題だ「それ以外」のボックス行きになった…
「うう私のＳＬＢとお揃いにしたかったのにぃ」
お揃いって物騒さでは確かにおそろいだがな！！
「で、今度は何を持ってきたんだよ、はやて？」
「ふふ〜ん、今まで色々とやってきたけど…」
お前のうさ晴らしからな。
「やっぱり良介にはこれが一番や！」
ジャジャーン！て自分でＳＥ付けて取り出したのは…
「おい」
「何や？」
「俺の目がおかしくないなら」
「うん？」
「木刀じゃねぇかぁああああ！！！」
このマメだぬき！最初に言っただろう！こういうのはビジュアルが大事なんだよ！！
ついでに刃が付いたものにしろって言っただろ！
「ふっふっふ〜、私がただの木刀で笑い取ろう思うんやったら大間違いやで…？」
何だと？笑い取ろうとしたのか！？
「……そういえば、あの木刀どうした？貸したまま帰ってこないって美由紀に言われたんだが？」
「あぁ、あれならちゃ〜んと私が私室に保管しとるよ」
「返せよ」
「……さて、取りい出したるこの木刀」
ごまかしたっ！？
「ただの木刀とは訳がちゃう。その刀身に闘神の力を与えられた次元世界最強の木刀、その名も『阿修羅』やぁ！！」
おぉ、名前を聞いたら何だか凄そうだぞ？
勿論、俺の木刀は返してもらうがな。
後、着信拒否の刑は継続だ。
それはさて置くとして
この阿修羅、なかなかに凄そうじゃないか。
「そうやろ？なんたって刀よりも強いし、よく切れるんやて？」
…それは木刀なのか？
こんなの何処から仕入れてきたんだか？
「ちなみにこちら、東京は北区にあります骨董品屋『如月骨董品店』様のご提供です」
「あの銭ガメんとこじゃねぇかぁ！！！」
ふざけんな！あいつのせいでどれだけ苦労させられたと思ってんだ！！
（その苦労はサムライソード…にて語られます）
「さてそれじゃ、試し切りやな？」
オイ待て、何を言ってんだ？それってレヴァンティンか？
「せやからホイ。これ切って？レヴァンティンの刀身の予備フレームやから試し切りにはもってこいやで？」
そんなもん切れるかぁ！！へし折れるのが関の山だろ！！
これ木刀だぞ！？
「大丈夫×２これは最強の木刀なんやから」
くそ、どうなっても知らんぞ！？
俺は意を決して木刀を振りぬいた！！
キィイイイイイイイン！！
「嘘だ…」
「ホンマに切れた…」
うおい。ホンマって言ったか、今？
しかし凄い切れ味だ。どうなってんだ？
「これはシグナムが怒るで…」
怖い事言うな。
「あ、言い忘れとったけどそれ、破損させたりしたら弁償か新しいの取って来いってゆうとったで？」
ふざけんな。
またあの苦労をさせる気か！？
今更だが絶対に壊せねぇ……。
「宮本ぉ！！」
うわぁ！
「シグナム！？どうしたんや？」
「主はやて、私の…レヴァンティンがないのです！シャーリーにメンテナンスをしてもらうのに預けておいたのですが…」
「……」
「……」
（おい、あの予備フレームって…）
（シャーリーの所から借りてきたんや、無断で…）
危険度急上昇を確認。
撤退開始。
「ヌァアアアアアアッッ！！！！」
ヤベ。
「みぃ〜やぁ〜もぉ〜とぉおおおオオオオオオオオ……ッ！！」
「ち、違う！俺じゃなくはやてが…いねぇ！！？」
ここで俺の記憶は消えた。
気が付いた時はベッドの上で包帯ぐるぐる巻きだった。
ちなみに阿修羅は最強の木刀とはいえやはり木製で…
見事に炭になりやした…。
あぁ…銭ガメのイヤな笑顔が目に浮かぶぜ…。
「先輩…これで私と模擬戦してください」
そう言ってティアナは持ち手しかない刀を渡してきた
「おいコラ。どうやってこんなので戦えというんだ」
「大丈夫です。刃の部分は先輩の気で作れます」
ま、まさかこれは某黒猫のテロリストの親分の見えない琥鉄か！？
じゃあまさかテロ親分の溺愛するガンマンって…
「あっ、後これはクロスミラージュの改良のテストも含んでますので」
そう言ってやけにごっつくなり黒くなったクロスミラージュを見せてきやがった…
マジかよ…まさかこいつに狂ったくらい愛を言うように俺の意識が飛んだりしないだろうな…
「待って下さい！！その模擬戦は危険だから私が先にします」
そう言ってなのはが話に入ってきた。いや、お前の方が模擬戦したくないぞ俺は
そう言おうとなのはの姿を見た瞬間俺は驚いた
「なんでおまえ黒い猫耳なんか付けてんだよ！？しかもジャケットまで黒いし！？」
よく見たらレイハ姐さんまで黒く変わっていやがった。…白い悪魔から黒い猫の殺し屋に転職したのか！？
「ティアナ。兄さんの武器探しは今のところ大事になってるから変わってあげるね」
「ちょ、ちょっと待って下さい。これはクロスミラージュのテストで…」
「テストなら私がしてあげるから」
「そう言う問題じゃないんです。今回は近接戦闘をテーマにしているから先輩じゃないと無理なんです」
「シグナム副隊長がいるでしょ？」
「今まで教わったことないんですけど」
……なんやら口論になってきたな…これどうしようか…
勿体ないが俺の死亡フラグになりそうだからそれ以外に入れとこう…
（※中の人繋がりです）
「良介、これ持ってみ？」
あん？
無理やり両手に握らされた物体を見る。
黒い剣と白い剣？
「黒い剣が陽剣干将、白い剣が陰剣莫耶。 かの有名な夫婦剣『干将・莫耶』や！！」
おおい。
そんなの何処で手に入れてきたんだよ…。
「へっぽこの弟子が鍛錬に使ってて、道場に忘れてったのをパチってきたんよ」
無断拝借かよ！
ん？マメ狸、お前に弟子なんて居たっけ？
「細かい事気にしたらあかん！！」
…細かいか？
「とにかく、ちょお使ってみ？」
まあ、良いか。
二刀は慣れて無いからやりずらいけど、何かしっくり手に馴染むんだよな？
なんでだ？
「ほう、中々様になってるやん」
そ、そうか？
お、シグナムだ。
おーい、ちょっと相手役してくれよ具合見てみたいからよ。
「む？ ふむ、鍛錬か良いだろう。 私も直ったレヴァンティンの具合を見たいしな」
よし行くぞ。
先手必勝ーーー！！！
「む！（レヴァンティンで受け止めようとする）」
せえい！！
ブン！
ガシッ！…カシャーーーン（干将・莫耶がガラスのように砕け散った）
…………は？
「……何？」
俺もシグナムも余りの出来事に動きが止まってしまった。
俺が手に持っていた干将・莫耶は砕けた後影も形も無くなっていた。
「…やっぱ本人以外には使えないのか、あいつの投影がへっぽこなのか…」（ぼそり）
…おい、チビ狸。
これは一体どういう事だ？
あん？
「えーと、…………ほなさいならーーーー！！（脱兎）」
マテやコラーーーー！！！（ダッシュで追いかける）
「えっと、私はどうすれば良いのだ？」
仕事してろ。