side チンク

「ハァアアアッ!!」
気合を込め、スティンガーを投げる。
出来損ないどもに突き刺さり、ISを発動。

私の意志でレプリカどもは爆散していく。
これで……17機!!

だが、粗悪品どもはまだうようよといる。
「チッ…!」
私はバックからスティンガーを取る。
見えている数と…残りの本数を鑑みて、思わず舌打ちした。
組織の連中は足止めをコイツラにさせている。
運び出すためにここにある筈のやつをだ。

つまり、これ以外に本命があるということだ。
そしてこれの生産ユニットもある。
それらを潰さない限り、任務を全うしたとは言えない。

「なかなかやるな…流石はスカリエッティの作った生きた兵器だ」
「ふん、その兵器を無断で使っている貴様らが偉そうに言うか?」
「クックック……我々があの男の造った物をそのまま使っているだけと思っているのか?」
「何だと…?」
その連中を束ねるリーダーは不敵に笑う。
「見るが良い!」
パチン!とリーダーが指を鳴らすと出来損ないがザッと道を開けた。
その奥から大型のガジェット…V型が…………。
「これこそ我らが改良を加え作り出したガジェットV型改だ!!
V型にW型のブレードタイプの多脚を装備した攻撃力を高めた改造タイプ!
どうだ、恐れ入ったか!!!」
「……あぁ、そうだな……余りに阿呆らしくてな……!!」
問答無用で私のスティンガーが突き刺さった。
「一つ言っておこう……この改良型ならドクターの作ったパターンに入っているぞ?」
「何だとぉ!?」
「底が見えたな…馬鹿どもめ!」
パクリ改良型が爆砕される。

底が見えてきたのはこちらもだがな。

さっさとしろ、宮本良介!!


side 良介


俺はようやくそいつを見つける事が出来た。
持ち上げるとズシリとした感覚。
地球のよりずっと軽いが量が量だ。
時間との勝負にこれはきつい。

だが、その問題もクリアーだ。
貨物運搬用の車両も見つけた。
俺はそいつにブツを取り付けてエンジンを始動した。
アクセルは…こいつか!
これだけわかりゃ十分だぜ!


side チンク

私の聴覚に聞こえた。
目の前ののと違う駆動音を。
なら、こちらも動く!
残骸を乗り越えて音のした方に全力で走る。
無論、土産も忘れずに残す。

「逃がすな、追え!!」
「馬鹿め」
私のISは金属を爆発物に変える。
そう、ガジェットの装甲も金属だ。
そこを乗り越えてこようとする連中を
「ランブルデトネイター!!」
一撃で撃滅する。
「おのれぇ!!!」
ふふ、私に気を取られたな。
ヤツが仕込みをもうすぐ完了するはずだ。

最初に駆動音を感知した場所には誰もいなかった。
だが、鉄骨に括り付けられたそれの先はガジェットどもを囲うように配置されていた。

「…ぉ…ぉおおおおおおおおお!!!!」

戻ってきたか。
運搬用車両を使ってあの男が帰ってきた。
ハンドルを直前で切って、ガジェットの鼻先にぶつける。
そしてヤツはそのまま飛び降りた。

私は鉄骨に括られたそれを解く。
そして、エネルギーを送り込んだ。
「っ!?何を…!?」
「見るが良い…我がISの力を!!!」

私の意思を受けてそれが輝きだす。
床を走る大きな円はガジェットを完全に囲んでいた。

「IS、ランブルデトネイターッ!!」

そして、巨大な爆発が起きた。



「ば…バカな…!あの数を……!?」
最早、動いているガジェットは一体もなかった。
流石にヤツの考えることだ。馬鹿馬鹿しいまでに派手だな。

side 良介

俺の作戦は見事に成功した。
何をしたのかというと、爆発の威力と範囲をでかくしてやったのだ。
破壊力に問題はないのだから後は攻撃範囲だけ何とかすればいい。

そして閃いた。
俺が探していたのはコンテナを積み込んだりするの使うワイヤーロープだ。
それを車両に括りつけて移動。ガジェットを囲うようにそれを配置した。

後はそれを爆発させれば良い。

爆発は中心から円状に上方向に向かって力が生まれる。
床に置くように配置することで浮いて移動するガジェットは一番強い力を喰らう。
そして円状に配置することで爆発は中心部に向けて強まっていくのだ。
金属であれば何でも爆発させられるランブルデトネイターの特性を引き出した完璧な頭脳プレーだ。


これで、勝負は決したか。
頼みのレプリカは全滅。
チンク相手に生身では分が悪すぎ、形勢は逆転だ。


そう思った矢先、大地が鳴動した。


side チンク

「これで終わりだな。後はお前らが運ぼうとしている生産システムを破壊すればいい。
さぁ、命が惜しければどこにあるか喋ってもらおうか?」
「フ……」
「…?」
なんだ、笑っている?
「フッフッフ……そんなに見たいか……?
いいだろう!こうなればここでアレを起動してクラナガンごと貴様らを葬ってやるわぁ!!!」
規模の配置がおかしいだろ。
私達の方が首都よりも上か?

と、いきなり地面が揺れだした。
何かがあがってくる!?

「チンク!」
「クッ!!」
床に亀裂が走り崩れていく。
下は暗黒の海。落ちれば空を飛べない私ではひとたまりもない。
間一髪、宮本良介の手を掴み、その場から退避する。


「フフフ…さっきこう言っていたな?
改良パターンは入っていると。
なら……これも入っているかぁ!!?」

大地の底から巨大な駆動音。そして……。

「………ッ!!?」
「な…なんじゃこりゃぁあああ!!?」

現れたのは巨大な壁。
いや、V型をベースにW型の脚部、T型の触手、U型の翼。
今までのガジェットの盛り合わせ。
だがそのどれもが異常な大きさだった。

軽く20mはあるぞ!!

「クックック……これぞ切り札、
スーパーガジェット・メガリーゼだ!!
量産型ではオミットされていたがこいつには超高出力のAMCが搭載されている!!
管理局の連中ごと全てを灰燼に帰してやろう!!」
何だ!?AMC!!?聞いた事がないぞ!?

クッ!この大きさ…スティンガーではどうにもならん!
「逃げるぞ!チンク!!」
「異議なしだ!!」
私達は背を向けて走り出した。

「ハハハハハハハハハハハハハ!!!!
逃がすものか!!!
追えぇええええええ!!!!!!!」


side ヴァイス

「な…何なんだありゃぁ!?」
おいおい旦那。幾らなんでもあれはないんじゃないか?
送られてきた映像にシグナムの姐さんも、ザフィーラの旦那もシャマル姐さんも、
皆、ポカーンと口を開けていた。

急いだほうが良いな。
あんなのがいるんじゃ地上の連中だけじゃどうにもならねぇ!!
もっとも、満身創痍の姐さん達と狙撃手の俺が加わっても微妙だがな。


side ストライカーズ

「ここにいるんですか?」
「えぇ、間違いないわ……」
たどり着いたのは大型コンテナなどを扱う港。
何でこんな所にいるのかティアナにはわからなかった。

というより誰にも分からない。

「!!」
「ガリュー、どうしたの?……え、爆発?」
ルーテシアの言葉に一同が驚いた。
その言葉はこの港で何かが起きているということだ。
事故なのか、事件なのか、それは別として。

そしてギンガは良介がここにいると言った。
その二つが重なる時、一つの結論が出された。

宮本良介が何かをやらかした

その時だった。
今度は全員に分かる振動。
そして、小さいながら爆発音。
「っ!?ギンガさん!!」
「急ぐわよ!!」

ギンガを先頭に港を音の聞こえた方に走る。
そして、彼女達は見つけた。

倉庫の間から飛び出してきた男の姿を。

よかった。無事だった。誰もがそう思った。
次に出てきた少女を見るまでは。

「―――チンク!?」

ギンガの頭がフリーズした。

人気のない港の倉庫

そこの陰から出てきた男と女

宮本良介にはロ(ピー)疑惑

チンクはロリ

そしてギンガが再起動した瞬間、かつてない加速をブリッツキャリバーは見せた。
それこそ瞬間移動のようだった。


side 良介

倉庫から脱出し、俺達は運搬用道路に飛び出した。
今までいたのはカモフラージュされた倉庫だったのだ。
見た目は普通の倉庫だが、地下に色々と仕込んでいたのだ。

そして、脅威は地上に上がろうとしていた。
俺達には逃げるしか手はなかった。
途中、チンクが足止めをしたがすぐに追ってくる。
ここを即行で離れなければ!!!

「リョウスケさぁあああああん!!」

と、向こうから来るのはギンガ!?
渡りに船とはまさにこの事だ。
あいつがいれば素早く逃げられる!

あぁ、あいつが来るのがこんなに嬉しいなんて初めてだぞ?
ほら…向こうもあんなにスピード出して……。
リボルバーナックルなんてカートリッジ使ってるし……?

は?

「何をやってるんですかぁアアアアア!!」
「何がですぁあアアアアア!!??」
振り下ろされた一撃を回避する。地面にぶつかった瞬間、
コンクリートが吹っ飛んだ。
殺す気!?

「人が心配してたってのに……こんな人気のない場所でチンクと何をやってたんですか?」
「いや…落ち着け!それどころじゃない、一大事なんだ!」
「え〜え〜、一大事ですよ!これ以上無いって程に!!」
くぁあああ!わかってねぇええ!!!

クソ!時間が無い!!
「ギンガ!!!」
俺はギンガの手をとった。
「っ!!?」
突然の行動にギンガの顔から怒りが一瞬だけ消える。
この隙を逃さず一気に事態を…いや、今一番はここから逃げることだ。
簡潔に、今必要なことを伝えるんだ!!

「俺にはお前が必要なんだ!!すぐに逃げるぞ!!」

パーン!

うぉおお!?
いきなり撃たれた!?
「なに言い出してるんですか、先輩…?」
「そうです!いきなりギン姉に……そんな…!
なのはさん達に何て言ったら良いんですか!?」
はい?何言ってんだコイツラは?

あぁーもう!こうなったら
「スバル!」
「は、はい!?」
「俺と一緒に来い!!」

パーン!

スバルが撃たれたぁ!?
「先輩…本当にどうしちゃったのですか…?」
いや、お前がどうした。
「いたた…いきなり撃たないでよティア!?」
頑丈だな。流石だ。

「うぐっ!?」
今度はギンガが俺の襟首を掴んできやがった。
「何ですか?私の次は妹ですか?舌の根も乾かないうちに…?」
だからぁ!!
「いい加減にしろ!来るぞ!!」
「そうだった!」
俺はギンガの肩を掴み、チンクは俺におぶさった。
「は!?何です一体!?ふざけないで――」
「いいからここから離れろぉ!!」

と、俺が叫んだと同時にチンクが爆発で埋めた入り口が吹き飛んだ。
そして現れたそいつの姿に全員が呆然とした。



夜の静寂を乱す破壊の巨人。
最後の最後でとんでもないのが出てきやがった!!

すいーとうぉーず りざると

現時刻 23:27

『時空開放同盟』
切り札発動
スーパーガジェット
メガ・リーゼVSチンク、良介、ストライカーズ
戦闘開始
というより撤退戦

取得アイテム

新しい服(着物風)

夜天の王
鉄槌の騎士
突如現れた巨大兵器に唖然

白の魔王
同じく

金色の死神
港に向けて移動中
映像が送られてくる
驚愕

炎の剣精
金色の死神の肩の上
映像に同じく驚愕

黒の提督
突然の事態に説教終了
現場に急行

翡翠の提督
良介のスキルに驚き
とある所に映像をリアルタイムで送信

地上部隊
再びフリーズ

108部隊
「おいおい、冗談じゃねえぞ?」

巨大兵器
AMC起動
港を包囲するようにユニットを展開
直後、強力なAMFが出現
内部での魔法行使が困難になる

最強のメイドさん
送られてきた映像に倒れる
「何やってのよ…!」

2/14終了まで



―0時間33分―






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