Sideはやて

廃棄都市部を越えてクラナガン上空をわたしらは飛んでいた。

シグナムが余計な事せんかったら…
ザフィーラが黙っとったりせんかったら…

今頃、良介を捕まえられてたかも知れんのに!!
いや、過ぎた事を言うとっても何にもならん。
ダメダメなわたしの騎士達にはきっちりお仕置きはしたし。

せやけどこれは厄介や。

――残り3時間。

クラナガンの夜は賑やかや。
人通りも多い。
その中で一人の人間を見つける事のなんと難しいことか。

何で……?何で逃げるん……?
あの時、言うてくれたやろ…?
『愛するはやてのために戦う自分は世界一強い、
はやてに愛される器であると証明し続けてみせる』って……!!
それやのに、部隊の新人にギンガにナンバーズ、他にもきっと預かり知らん所でもイッパイ…
関わる女のほとんどにドンドンとフラグ立てていって…!!

(んなこと言ってねぇし濡れ衣だぁーーーーーっ!!)

なんか聞こえたけど今は関係無しや。
あぁ、なんか考えとったら腹立ってきたわ…。

「はやて…こっからどうすんだ?この人ごみからじゃリョウスケ見つけるのは難しいよ…」
"そうですね…これは流石に……"
わたしと一緒に来たヴィータが下を見ながらつぶやいた。
そしてわたしの内側からも不安の声が聞こえる。
わたし一人やったらきっと焦って、手痛いミスを犯していただろう

でもヴィータの不安そうな顔を見たおかげで逆に冷静になれた。

「大丈夫や…焦ったら負けやで?」
「でも…どうすんだ?あと3時間しか…」
「あと3時間……確かにこのだだっ広い首都全てを捜索するのは不可能や。
せやけど…その必要はないねん」
「え!?」
そう、いつも良介は事ある毎にやる事がある。
日本の伝統。
今回はそのお株を奪わせてもらうよ。
"どうするですか…?"

「日本の伝統……コトワザや!」

「コト…?」
"ワザ…ですか?"
そう、偉大なる先人が残した戒め、教え、心理と真理。
それを身近なものに喩えて短く簡潔な文章にしたもの。
その一つを使う!!

「つまり…『果報は寝て待て』や!!」

「………え?」
"それって…何もしないって事ですか?"

「ちゃうよ。何もせんのやなくて、待つんや。無闇矢鱈と探すよりずっと確実や。
あと3時間…良介が大規模なトラブルを巻き起こすのには十分すぎる時間や!!」
そう、それこそ災害特異点の名に恥じん程のでっかいのを。
「ええか、検索を最大で行うよ。異変を絶対見落とさんようにするんや!!」


Sideストライカーズ

「本当に待ってるだけでいいのかな…?」
スバル呟いた。
「そんな事言っても…」
と返すエリオ。
アタシだって疑問はあるわよ。でもギンガさんがそうしろって言うんだから。
「ティアナさん、大丈夫ですか…?」
「ん?一応ね…」
アタシは気遣ってくれるキャロの頭を撫でる。

さすがにキタけどね、あれは。

別れた後、地上部隊をキャロがどんな手を使ったのか、あっさりと誘導して道を作った。
(ついでに地上部隊が回収していたバイクも返してもらった)
その後、クラナガン入りしたのを受けてこうしてアタシ達も移動…したのはいいけど。

「待ち合わせ場所決めてなかったのは痛かったね……」
もしかしてワザとかも。
ありえる。先輩なら。

で、とある一角にある公園で小休止。
偶然出ていた蕎麦屋の屋台(先輩いわく、ヨタカソバとか言うらしい。意味は知らないけど)で食事中だ。

いまいちこの箸って使いにくいわね。
エリオとキャロも苦戦していたが、スバルが使い方を教えてすっかり慣れていた。
うぅ〜、ムカつく。
なのはさん達も使うの上手かったな。

話が逸れた。
ここには今、ギンガさんはがいない。
どこかと言うと……

「ギーンねぇーーーーーーーっ!!
お蕎麦のびちゃうよーーーーーーっ!!」

公園にある一番高い場所。一段高い丘の上にあるモニュメントの上にいる。
「聞こえないわよ」
「う〜…」
そんぐらいで拗ねるな。

何をやっているのかというと例のセンサーに反応がないか感じているとの事だ。

宮本良介センサー。

二人の母親であるクイントさんがこの力の持ち主だったらしく、
その娘であるギンガさんもその力に目覚めた。
同じ娘なのにスバルにはそれは目覚めていないのは、ただ目覚めていないだけなのか。
それとも、外見的にも近いギンガさんだからこそ目覚めたのか。
とりあえず、アホ毛は関係ないようだ。
どちらにしても羨まし…ゴホン!
どうでも良い能力だ。

「でも、ここで待ってるだけで見つかるんですか?」
「……大丈夫」
ここまで黙って蕎麦を啜り続けていたルーテシアがしゃべった。
「3時間もあったらきっと何か起きる。
其処に行けば…きっと会えるから」
「そ…そうね……」
どういった信頼なんだろうか?
確かに何かがあると絶対にそこには先輩の影はある。
なら、ここは待つのが定石か。

でも、このお蕎麦って美味しいわね。
先輩…お腹空かしてなきゃいいけど…。
……って何を心配してんのよ!!
あの人のせいでこっちはこんな時間まで引っ張りまわされているってのに!!
どうしてこうなったんだろう?
ただ、このチョコを渡す為だけだった筈なのに……ん?

あぁあああああああああっ!!!!

そうだった!その為に探していたんだったぁ!!
すっかり忘れてた…。
「スバル…あんた、チョコどうした…?」
「え?あぁ、宮本さんにあげるやつ?渡したよ」
はぁ!?一体何時!!?
「地下道で走ってる時。
『こんなタイミングで渡すんじゃねぇ!!』って怒られたけど」
「ふ…ふ〜ん……キャロは…?」
「えっと…ルーちゃんと朝に…」
「へ…へぇ〜……」
つまりあたしだけ?この面子で渡せなかったのは。

あのギンガさんはきっと渡しているだろうし。
アタシ……何やってんだろ。

と、その時。
ギンガさんがアタシ達の目の前に降りてきた。
「見つけたわ!!行くわよ!!」
「はい!!」
「フリード、お願い!」
「ガリュー、行こう」
「行くよマッハキャリバー!!」
各々が気合を入れる中、アタシは一人心が重かった。
「どうしたの?」
ギンガさんが顔を覗きこんできた。
「いえ……何でもないです」
「そうは見えないけど…?」
ダメだ。隠せないぐらいに顔に出ている。
このまま隠そうとしてダメなら吐き出す方が良い。
その方が楽になれるから。
でも他のには聞かれたくないから念話で。
『ギンガさん…』
『…!?……どうしたの?念話なんて』
『ギンガさんは…その…先輩に……』
『ん?何…?』
『……チョコ……渡し…ましたよね…?』
数秒の沈黙。答えは返ってこない。
アタシはちょっとだけ顔を上げた。

………ん?

ギンガさんの目が見開かれていた。
驚愕とそのほか色んなものが混じった…
言ってはいけないが面白い顔だった。
『……忘れてた…』
「えぇ!?」
アタシは思わず声に出していた。
あのギンガさんが、忘れていたって!?
「あの人をどうにかすることばかりで…すっかり自分の事を忘れてたわ……」
なんと因果な性分なんだろうか。
「もしかしてティアナも…?」
こくりとアタシは頷いた。

アタシ達はガッシリと抱き合った。
この日、スバル以上の友情が手に入ったような気がした。


「二人とも何やってるのかな…?」
「女同士の友情…」
「悲しくも美しいですね……」
「えぇ、分かるの!?キャロ、ルーテシアちゃん!?」


Side良介

「うぉおおおおおおお!!!?」
「まてぇ!!ミヤモトぉおおおおおおおおお!!!!」
俺を追って地位も名誉もある男が空を翔る。
その手には氷河の化身たる杖を持ち、
その心には悪鬼のごとき執念を燃やす。

一体、何でこうなったんだ!!?


すいーとうぉーず りざると

現時刻 21:25

超有名料理店→クラナガン大通り

良介VSクロノ・ハラオウン
戦闘開始
(一方的な追撃戦)

取得アイテム

痺れ薬入りクッキー(7枚)→ロスト
アギト→ロスト
折れた『無銘』→ロスト
新しい服(着物風)

有名店店内

炎の剣精
氷漬け

金色の死神
BJを展開するも氷漬け

緑の司書長
氷漬け
お届け間違い第三弾、発生フラグ

有名店のオーナー

店中が氷のインテリアに早変わり
目の前で噂のトラブルが見れて感激のあまり写真を取りまくる

一般市民

駆け抜ける男を指差しながら
「あれ、宮本良介だ?」
「何だ、またなんかやらかしたのか?」
などと言いながら慣れた感じで避難開始
同時に管理局に通報

地上部隊
包囲網を突破された事に驚愕
一路首都へ

白の魔王
体力回復
首都へ移動開始

夜天の王(ユニゾン)
鉄槌の騎士
トラブルを感知
一直線に移動

ストライカーズチーム+鋼の追跡者
宮本センサーに感あり
移動開始

流星の射手、鋼の追跡者の間に熱い友情
鋼の疾走者、複雑な気持ち

黒の提督
孤独の剣士追撃

首都の一角
町の気温がぐんぐん下がる
ホットの売り上げが上がる

ナンバー5
ナンバー2を発見
妹に任せて孤独の剣士を追う

ナンバー11
ナンバー2の回収を無理やりやらされる
仕方なくチョコを姉に託して帰還
ナンバー11半分脱落
(敗因 姉妹の繋がり)


剣の騎士
盾の守護獣
未だに気絶中
次の日の風邪フラグ成立

2/14終了まで



―2時間35分―






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