Side ???
う、嘘だろ・・・?
アタシは目の前の光景が信じられずに居た。
それは、この場に居た全員が同じ。
今の現実が信じられずに、ただ呆然としていた。
「・・・ウソだ」
そんな現実を否定したくて、アタシは必死な思いで否定の言葉を紡いだ。搾り出した声は、いつもより掠れていた。
あいつは、アタシの子分は、こんなことで死ぬようなやつじゃないっ!!
いつだって、あの時だって、どんな時だってあいつはダメだと思っても切り抜けてきた!
アタシがどんな攻撃をしても、平気な顔してひょいひょい避わしてきた! だから今回だって・・・。
「ウソだウソだウソだウソだっ!!
・・・リョウスケ! とっとと出てこいよっ! どうせその辺に隠れてるんだろっ!? リョウスケ! リョウスケッ!!
・・・どうしてだよ? なんで出てきてくれないんだよっ!?
怒ってるのか? だったら謝るから! お前が許してくれるまで何度でも謝るからっ!!
だから・・・、だからちゃんと出てきてくれよ! お願いだよ! リョウスケっ!!」
けど・・・アタシの必死な叫びに、答える声はどこからも聴こえなかった。
Side 良介
正直に言おう。今回は本気でもうダメだと思った・・・。
ったく、少しは加減しろってんだ
おそらく、あの場で茫然自失となっているであろうなのは達に対して俺は毒づいていた。
しかし、ほんとに間一髪だった。
今、俺を抱き締めている金色の死神・・・フェイトがあと一瞬でも送れていれば、俺とアギトは瓦礫の下敷きになっていただろう。
「・・・死神はやめて欲しいな。リョウスケ」
気にするな。精一杯の敬愛を込めた呼び名だ。
それはさておき。
「ほんとにありがとな。フェイト」
「ううん、間に合ってよかったよ。もしリョウスケになにかあったら、私・・・」
あぁ、そんな泣きそうな顔をするな!
さすがに今回はやばかったけど、俺はちゃんとここに居るんだから。な?
「・・・うん」
”・・・なぁ、仕方ないとは思うんだけどさ。アタシの事も忘れないでくれるとありがたいかな?”
そう、俺とユニゾン中のアギトが不満有りげに呟く。
「ご、ごめんね。別にアギトの事を忘れていたわけじゃないよ? ・・・あ、いけない。こっちも忘れるところだった」
”おい、今『こっちも』って言わなかったかっ!? おい、聞いてんのかっ!?”
そんなアギトの言葉を軽く流しつつ・・・強くなったなぁ。
フェイトは通信パネルを開く。
相手は・・・キャロ?
『フェイトさん! 良介さん達は大丈夫ですか? さっきの凄い音は一体・・・』
「キャロ、リョウスケ達は大丈夫。無事に合流出来たよ。これから予定通り、二人と首都の方へ向かうね」
「よぉキャロ。お前達も心配するな。フェイトのお陰で俺もアギトもほぼ無傷だ」
少々肝は冷やしたがな。
『良かったです! それじゃあ、ギンガさん達の体力が回復したら、私達もすぐに追いかけます』
『宮本さん!』
いきなり、通信しているキャロに割り込むようにしてギンガが入ってきた。
『無事なんですね? あぁよかった。私の宮本センサーに反応があったから、なにかあったんじゃないかって心配してたんですよ?』
・・・よし、お前、その妙なセンサーは今すぐ外せ。
今の状況を察知出来たという事は感度は良いようだが、そんなもん度々使われたらいい迷惑だ。主に俺がな。
『そういう訳にはいきません。貴方を更正させていくためには必要な技能ですから』
「ギンガもリョウスケもそこまでだよ。・・・早く移動しないと、なのは達に気づかれちゃう」
「っと、そうか、それじゃあとっとと逃げるぞ。二人ともまたな」
『はい、三人とも気をつけてくださいね』
『宮本さん、すぐに追いつきますから待っていてくださいね』
ギンガがそう締めると、通信が切れる。
「さて、とっとと行くか」
”おぉ。やっぱり地下道から行くのか?”
「あぁ、空を飛んでたんじゃ昼間のこいつみたいに見つかる可能性高いからな」
そう言いながら俺はフェイトの方を見る。
「うぅ・・・、リョウスケのイジワル」
いや、仕方ないだろ?
いくらお前が天然入っているとはいえ、あれはないぞ。あれは。
「私は天然じゃないよっ!! ・・・はぁ、もういいよ。バルディッシュ。道案内お願いね」
『Yes Sir』
そうして、俺たちは再び地下道へと入りミッドチルダ首都クラナガンへと移動を開始したのだった。
Side ???
目の前には散々たる光景が広がっている。
私の仲間である鉄槌の騎士・ヴィータと高町なのは、そして主はやては、その光景に叫び、絶望し、涙していた。
しかし、私は彼女達とはまた違った心境でそれを見ていた。
なぜなら、その光景の中に、私達が捜していた男が居ない事を知っているからだ。
あの一瞬、宮本の頭上にビルの一部が落ちてきて、それがぶつかろうとしていた瞬間『彼女』は来た。
フェイト・T・ハラウオン。
我が友であり仲間。
彼女もまた、宮本に対して好意を抱く女性の一人であった。
彼女が宮本を助けるために使っていたのは『ソニック・ムーブ』と呼ばれる高速移動を可能とする魔法。
私はそれを見切る、というよりは感じ取ったというのが正しいのかもしれない。そのくらいの速度で彼女は宮本を助けに入った。
おそらく、この中でそれに気付いたのは私だけ。
・・・ならば、やることは一つである。
『・・・行くのか?』
突如、私に対して念話が届く。
『なんだ。お前も気付いていたのか』
『あぁ。だが、もし気付かなかったとしても、あの男がこんな簡単に死ぬとは思わないがな』
『確かにな。・・・主には伝えなくていいのか?』
『伝えて欲しいのか?』
『いや、このままで頼めるか?』
『了解した。気をつけていくがいい』
『すまないな』
『気にするな。たまにはこういうのも面白いだろう』
『そうか。あぁ、それと・・・』
『なんだ?』
『その姿、とてもよく似合ってるぞ』
『・・・言うなっ!!』
私は、念話の対話相手の、首に縄の括りつけられている、正に『飼い犬』と呼ぶに相応しい姿をからかい混じりで誉める。
そして、大事な相棒であるデバイス・レヴァンティンを強く握り締めると、主達に気付かれぬようにその場を離れた。
そう、成すべき事を成すために。
すいーとうぉーず りざると
現時刻 18:59
ハイウェイ上→地下道
フェイトと合流。
首都クラナガンへ向けて移動再開。
取得アイテム
痺れ薬入りクッキー(7枚)
新しい服(着物風)
アギト(ユニゾン中)
Aデバイス『無銘』
ヴィータVS良介
戦闘中断
目の前で起きた状況に呆然。ヴィータ戦意喪失
白の魔王
その場で孤独の剣士救助開始
夜天の王
地上部隊に救助の援助を要請するため連絡中
盾の守護獣
孤独の剣士の無事を知りつつも事態を傍観
ダブルブレイカー+鉄の伯爵によるフルボッコフラグ発生
剣の騎士
孤独の剣士と金色の死神を追うためその場を離脱
孤独の剣士+金色の死神との戦闘フラグ発生
ストライカーズチーム+鋼の追跡者
孤独の剣士の無事を知り全員安堵
今のうちにこの場を離れ、孤独の剣士達を追う算段を立てる
地上部隊
夜天の王から齎された、孤独の剣士の救助要請に驚愕
部隊の一部人員を割いて、ただちに現場に直行させる
最強のメイドさん
『腹が減っては戦は出来ぬ』と言わんばかりに美味しい夕飯を堪能中
本日のメニュー:玄米ご飯 ジャガイモとタマネギのお味噌汁 ほうれん草のおひたし ブリの照り焼き 山芋のお漬物
(チャージ20%までダウン)
2/14終了まで
―5時間01分―
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