ついに来たか。
機動六課スターズ隊副隊長にして、
夜天の王の守護者、ヴォルケンリッター鉄槌の騎士。

そして俺の親分。

「よぉ、今年は随分遅かったな?」
「うるせぇ!オメェが変に逃げようとかするからいらん遠回りする事になったんだ!!」
そう言ってヴィータはグラーフアイゼンを突きつける。
俺のせいかよ!

"どうするんだよ、リョー?"
"まともにやり合ったら勝ち目はない。ここは隙を見て逃げるぞ!"

今のヴィータに一見、隙はない。
だったらいつものように口八丁で隙を作るのみ!

俺がどんな事を言って隙を作ろうかと考えている間にヴィータは俺の後ろにいる奴に気が付いた。
「あれ、シャマル!?何やってんだよ、こんな所で?」
チリチリヘアーには突っ込まんのか。
「酷い!凄く見慣れた攻撃で倒れた私をほっといていなくなったのはヴィータちゃん達の方じゃない!!」
「あ…あれ、そうだっけ?」
「もうっ!それよりヴィータちゃん!もしかして良介さんにあれを渡すつもりじゃないでしょうね!?」
「――っ!?」

…あれ?
あれって何だ?チョコじゃないのか?
「もう一度言うけど、あれはどう見たって
ガトーショコラじゃないわよ!!?」

なにぃ!?ガトーショコラだと!?
おいおい、俺はヴィータが料理とかできるのかは知らんが
それは無謀じゃないのか?
あれは素人が手を出してすぐ出来るもんじゃないぞ!?

「うっせぇ!何度も失敗して…でも最後にはちゃんとできたんだよ!!
でも…それももう渡せねぇ……渡せねえんだよぉ!!」

途端、ヴィータの魔力が爆発したように膨れ上がった。
「おい!おちつけ!!」
「うっせえ…うっせぇ!!お前が……せっかく上手く出来たのに……クッソォオオオオオオ!!」

おいおい!何がどうなったらこんなになるんだ!?
シャマルに視線を送るが首を横に振るだけだ。
「こうなったらお前をぶちのめして、その上で……」
「………?」
「いっくぞぉおおおおお!!」
「どうする気だぁああ!?」

ヴィータは迷うことなくアイゼンを振り下ろす。
俺は剣を抜き、軌道を逸らすように受け流す。
と、同時にヴィータのサイドに回りこみ、一気に走る。
アギトも俺の隣を飛ぶ。

「どうすんだ!?」
「ここでやり合うのは不利だ…上に出るぞ!」
この地下道は隠密行動に向いている。だがそれはあくまで誰にも見つかっていないことが前提だ。
見つかれば移動ルートは限定される。
そして、隠れることの出来る場所も少ない。
さっきのガジェットみたいにやり過ごすなんて事もヴィータ相手では無理だ。

その上、ヴィータはベルカの騎士でありながら接近戦と射撃戦、その両方をこなせる万能型だ。
接近戦はともかく飛び道具のある相手と戦う場合の鉄則は
《遮蔽物のある場所》である。
それもこの地下道にはない。

ばれるリスクとここでやられる可能性。
その二つを考えた時、地上に出ることを選択した。

「待ちやがれぇ!!」
「誰が待つかぁ!!アギト!!」
「よっしゃぁ!ユニゾン――イン!!」
階段を上る時間はない。
一気にユニゾンして地下道を脱出する。


廃棄されたハイウェイをすれすれで飛行する。
ヴィータは赤い魔力光を纏いその上空を飛んでいる。
「逃がさねぇっ!」
ヴィータが左手を突き出すと、その指の間に四つの鉄球が生まれた。
その鉄球がふわりと浮き、
「シュワルベ――」
グラーフアイゼンが
「フリ−ゲン!!」
それらを打ち放った!

紅い尾を引きながら鉄球は俺目掛けて飛翔する。
それを一発でも喰らえば簡単に落とされる。
「ちぃっ!」
"来るぞ…左後方、35度!!"
アギトの言葉に左にターンする。
いくらコントロールが利くといっても物理法則に逆らえる訳じゃない。
鉄球はハイウェイに激突した。
派手な爆音が響き渡る。
冷静さをなくした攻撃をかわすのは容易いぜ。

この後も降り注ぐ鉄球の雨を俺はかわし続けた。


「――攻撃が止んだ?」
"気を付けろ、まだ近くにいる!"

分かってるさ、そんな事は。
あいつはそんなに簡単に諦めるような奴じゃない。
その事は俺がよく知っている。

なのに、俺はアイツを見誤った。

廃ビルの間を曲がった瞬間、
「――っ!」
あいつがいた。
その瞬間、理解した。
さっきまでの攻撃は俺をここに追い込むためにわざと外していたことに。

左右は背の高いビル。正面には紅の鉄騎。
"リョー!下だっ!!"
アギトの叫びが聞こえると同時に鉄球が地面から襲い掛かってきた。
数は――8発!

突然の対空砲火。
俺は後方に下がりながらそれらを何とか回避していく。

"ダメだ、かわしきれねぇ!!"
「どりゃぁああ!!」
最後の一発を手にした刃で弾き飛ばす。
その時、微かに違和感。

(魔力コントロールが解かれてる!?)

しまった!!
俺がヴィータを見た時、すでに発射体制だった。
巨大な鉄球を打ち出すために六角栓の鉄槌を振り上げて、

「コメット・フリーゲン!!」

そして、打ち出された。
いや、マジで死ぬって!!
横にはビル、上に逃げ切るだけの機動力はない。
だったら…!
「アギト、ユニゾン解除だ!」
"なっ!何言ってんだよ!?"
「急げ!!」
"〜〜っ!ユニゾン・アウト!!"
アギトが俺とのユニゾンを解除した。

俺は単独で空を飛ぶことは出来ない。
つまり空中でユニゾンを解けば後はただ地面に向かって落ちるのみ。

そう、自由落下だ。
地球上においては秒間9.8m/s2の重力加速。
上に飛ぶよりも、下に飛ぶよりも初動の速さはある。
高速機動の出来ない人間の唯一の回避手段だ。

コメットフリーゲンは俺の髪を掠めて背後にあったビルに直撃した。
かわしたは良いが、このままだと別の意味で死んじまう!!
「っ!リョウスケ!!」
ヴィータが叫んだ。

「リョーっ!!」
アギトが俺目掛けて突っ込んでくる。
「ぉおおおおおおおおおっっ!!?」



「―――ふぅ〜、間一髪だったぜ…」
"この馬鹿!!何て無茶しやがんだよ!!"
そう言うなって。あの状況じゃこれしかなかったんだ。

俺は地面すれすれでアギトと再ユニゾンに成功し、再び空を舞う翼を得た。
紐無しのバンジーなんて金輪際やらんぞ!!

「リョウスケ…よかった…」
「オイ、親分!幾らなんでもこれはやり過ぎじゃないのか!?」
「ふんっ!オメーだったらこれぐらい何ともないだろ?」
どういった信頼ですか?それ。
「前はアタシのギガント・シュラークを喰らっても生きてたじゃねえか?
だったらこれぐらいじゃ倒せねえ…そんぐらい分かってんだよ」
………う〜ん、あの時の素直さは何処に忘れてきたんだろうな。

人間は大人になる時、子供の時にあった何かを忘れていくと物の本に書いてあった。
こいつも、そうなんだろうか?

と、そんな事を考えていると…

「兄さーーーーんっ!!」
うぐっ!この声は!?
「っ!?ミヤモトっ!!?」
まさか…!?

俺は恐る恐る声の方向を見上げた。

ついに遭遇した、してしまった。
我が妹、高町なのは。我が剣の師、シグナム。

二人ともBJがボロボロで、所々から僅かながら出血もしているようだ。
一体何があったんだ?こいつらがここまでになるなんて。

「シグナム!今まで何やってやがった!?はやての召還にも応じねぇで…!」
「ヴィータか。すまん高町を止めようと――」
「それって5時間も前じゃねえか!?…まさか今までずっとか?」
「……」
痛い沈黙。やがてシグナムはこくりと小さく頷いた。

「このっ…バトルマニアがぁ!」
ヴィータの怒声が響いた。

「せやなぁ…それはあかんなぁ?」
「っ!!!」
くそぉ、あいつまで来たか!!

なのは達とは逆の方角にあいつはいた。
剣十字の杖と黒き魔導書を携えて。
漆黒のインナーの上に白いジャケットを纏う、
気高き夜天の王。
そして首に縄をうたれた青い狼……ん?

「おい、そこの」
「何だ?」
「……いや何でもない」
俺は何も言ってやれなかった。
いや、言えないさ。
似合ってるぞ、なんて。

「リョウスケー!!」
怒りのこもった妖精の叫び。
はやての脇にミヤの姿もあった。
「どういうつもりですか!!ミヤというものがありながらどうしてアギトちゃんとユニゾンしてるですか!!」

うぉおお!何だこの状況は!?
残り僅かだというところで一気に全員集合かよ!?
前方にはヴィータ。両サイドにはなのは、シグナム、はやて、ミヤ、ザフィーラ。

完全包囲。
逃げ場など何処にもない。
ここまでなのか?

しかし、無理だと言われれば、そういう状況になれば尚更…!
俺は逆らってみせる!!
絶対に逃げ切ってやる!
そう決意を固めた、その時だった。

グゴゴゴゴゴ・・・・・・!!

不吉な音が響いた。
振り返って見上げればさっきコメットフリーゲンを打ち込まれたビルの外壁に激しい亀裂が走り出していた。
元々弱っていたものに強力な魔法を打ち込まれたことでついに崩壊を始めたのだろう。

そして自重を支えられずついに崩れた。
俺の真上に。

「兄さん!!」
「ミヤモトォ!!」
「良介!!」
「リョウスケーッ!」
「逃げろぉーーっ!」

ダメだ、間に合わない!!

「クッソォオオオオ!!」
目の前に絶望の壁が迫った。


『Sonic Move』


瓦礫がハイウェイを押しつぶし、粉塵が辺り一帯を白く染める。
耳をつんざく轟音に顔をしかめてしまう。
その壮絶な光景を俺は少し離れた場所で眺めていた。

俺の前には黒き戦斧。それを掴む装甲に包まれた指。
俺の頬を撫でるのは美しい金糸。
耳に届けられるのは澄み切った響き。

「間に合った…怪我はない、リョウスケ?」

柔らかな腕に俺は抱きしめられていた。


すいーとうぉーず りざると

現時刻 18:45

地下道→地上→ハイウェイ上

取得アイテム

痺れ薬入りクッキー(7枚)
新しい服(着物風)
アギト(ユニゾン中)
Aデバイス『無銘』
よく分からない信頼

ヴィータVS良介
戦闘継続

白の魔王、剣の騎士
夜天の王、盾の守護獣
爆音のする方角に移動→良介とついに遭遇
フラグ、尚も継続中

金色の死神
良介と合流

ストライカーズチーム
遥か彼方から響く轟音に何かを感じる

鋼の追跡者
宮本センサーに感あり

地上部隊 彼女のいない隊員達
美女、美少女に慕われる孤独の剣士に嫉妬→戦力増強

最強のメイドさん
翡翠の髪の提督より連絡
現在の状況にあきれる
(チャージ30%までダウン)

2/14終了まで

―5時間15分―






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