地上へと出た俺とアギトは、気配を消しつつ辺りを覗う。
首都クラナガンは・・・あっちか。
距離は結構あるな。だが、それも当然と言えた。
今、俺達の居る廃棄都市部自体がかなりの広さなのだ。

「でも、移動できないほどの距離じゃありませんよね」
「あぁ。これならなんとかなりそうだ」
「だな。ルールー達が頑張ってくれてるし、なんとかなるんじゃねーか?」

地上部隊の様子は、そこからではさすがに分からなかったが、戦闘音が遠くから聞こえる。・・・何が起こってんだ?
まさか、俺たちを追っていたガジェットが勢いよく地上に飛び出し、地上部隊と交戦している音とはこの時は夢にも思わなかった。

首都への方角と大体の距離は分かった。ここに長居は不要である。
とっとと地下道へと戻ろう。
そう思って、俺とアギト地下道へ戻り、少し歩いて気付いた。

先ほどの様子をプレイバック。

『でも、移動できないほどの距離じゃありませんよね』
『あぁ。これならなんとかなりそうだ』
『だな。ルールー達が頑張ってくれてるし、なんとかなるんじゃねーか?』


今、ここに居るのは俺とアギトの二人のみ。
つまり・・・、一人多くないかっ!?


それに気づいた瞬間、俺の胸から手が飛び出してきた。

「リョーっ!!」
アギトの悲痛な叫びが地下道に響く。
くっ、こんな事が出来るやつは一人しかいない!

「ふふふ。やっと見つけましたよ良介さん」

その声は俺の後ろから聞こえた。
そう、ヴォルケンリッター・湖の騎士。シャマルであった。
「くっ、シャマル!! てめぇ、もうちょっと存在感出して登場しろ! おかげで気付かなかったじゃねぇかよ!」
「そんな! 私がまるで空気のようだったって言うんですか?」
「そう言ってるんだよっ」
「そうですか、つまり私は『空気のように生きていく上で必要不可欠な存在』という訳ですね?」
そんな事は一言として言ってない!
自分の都合のいいように解釈するんじゃねぇっ。

「て、てめぇ! リョーに何すんだ!」
「動かないでアギトちゃん。・・・やろうと思えば、良介さんの心臓を握り潰すことも出来るのよ?」
「くっ・・・」

そんな事をしては意味がない。
アギトも分かってはいるが、シャマルが放っている妙な威圧感に圧されている。
かく言う俺も、打開策をあれこれ考えつつも、気おされてたりする。今日のこいつは一味違う感じがする。
くっ、これもバレンタインデーマジックってやつか?

「良介さん、あなたの選択肢は一つだけです。私の愛を受け入ること。
そして、夕日の見えるバルコニーで愛を語らい、夕日の見える砂浜でお約束な追いかけっこをして、
あなたが私を捕まえて愛を語らい、そして星が綺麗に見える丘で寄り添って愛を語らう・・・。
そんな素晴らしい未来を選ぶのが、あなたの選択です!」

あぁ、なるほど。それは素晴ら・・・って、あほかっ! それのどこが素晴らしい未来なんだ!?
そして、どんだけ愛を語らえば気が済むんだっ!? 
俺はそんな未来はいらねぇっ!! 
「そんなっ!? 私の夢なんですよ!? というか、ついさっきまでそんな素晴らしい夢を見ていました!! 
あぁ、きっとあれは予知夢だったんです! 私と良介さんが歩むべき素晴らしき明日への道! 
良助さん、私と貴方で夢を現実にしていきましょう!!」

知るかぁぁぁぁぁぁっ!!
つか、そんなのはホントに夢の中だけにしてくれっ!!
現実で俺を巻き込むな!

「・・・まぁいいです。もうあなたは私の手の中。その考えは、これからじっくり変えていけばいいんですから。ふふふ」
底冷えのする笑みを浮かべるシャマル。
いや、お前がそれやると本気で怖いからっ。
「さぁ、良介さん。まずは私の愛がたっぷり詰まったチョコレートを食べてくださいね?」

く、万事休すか?
俺がそんなことを考えていると、シャマルの様子がおかしい。何かを探しているような・・・?

「・・・あれ? おかしいな? 確かここにあったはずなのに。
・・・無い。無い無い!! チョコレートが無い!
どうして? なんで!? せっかく頑張って調合したのにー!!」

・・・チョコレートは調合するもんじゃねぇぞ?
あぁ、そんな事はどうでもいい!
シャマルは今『両手』で何か探し物をしている!
「アギト!」
「おぉっ! ・・・燃えちまえぇぇぇぇっ!!」
「シャマル・・・、覚悟は出来てんだろうなぁぁぁぁっ!?」

「え? ま、待って! 良介さんもアギトちゃんも、待って!!
い、いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

・・・何が起こったのかは知らんが、旅の鏡を解除したのは失敗だったな。
今まで押さえつけられてうっぷんが溜まっていたのか、アギトの結構加減なしな炎熱魔法と、俺の剣戟がシャマルを襲う!
地下道に、シャマルの悲鳴が響いた。



・・・戦いは、空しい結果しか生み出さないのかもしれない。
そんな言葉が、ふと胸をよぎった。
「うぅ・・・、ひどいです。良介さんもアギトちゃんも。恋する乙女にこんなことするなんて」
「うるせぇっ! リョーにあんなことしたお前には言われたくねぇよっ!!」
全く同意見だ。

俺とアギトが、この後に響かない程度にシャマルをぶっ飛ばしてから少し経った。
シャマルはすっかりしょんぼりモード。
これでもう襲ってくるような事はないだろう。・・・とりあえず今回は。
今のシャマルの髪は、アギトの炎熱魔法の影響でかるーくチリチリな感じになって少し面白かったりする。
「面白くなんてありません!! うぅ・・・今度こそいけると思ったのに」

そんな会話をしているところに突如念話が届く。
『良介さん、聞こえますか?』
『キャロか。どうした?』
『はい、ギンガさん達の協力で逃走ルートの確保が完了しました。
そのデータをデバイスの方に送りましたから、それを参考にそこから脱出してください!』
『・・・今確認した。キャロありがとな。しかし、ずいぶん早かったな。もうちょっとかかるかと思ってたんだが』
『ちょっとだけ、裏技使っちゃいました』

・・・いったい何をしたんだお前は?
頼むから、あんま妙な真似はするなよ? 俺がギンガ達に怒られるんだがら。
『そんな事より、急いでください! 八神部隊長達がそちらに・・・』


「向かってるぜ? で、アタシは先行してきた」


その声は、俺とアギトの後ろから聞こえた。
「へへ・・・、会いたかったぜぇ。リョウスケ」
・・・そういや、こいつも今日は全く見かけなかったよなぁ。
そんな事を思いながら俺が振り向くと、そこには予想通りのやつが居た。

そう、ヴォルケンリッターが誇るツンデレチビッ子。
鉄槌の騎士・ヴィータがそこに居たのだった・・・。




すいーとうぉず りざると

現時刻 18:30

地上→地下水道へ

ギンガ、ルーテシア、機動六課フォワード陣と別行動
移動目標を首都クラナガンに決定。
移動開始。
シャマルVS良介
勝者:良介(勝因:ナゾの現地生物のおかげ)
シャマル脱落
ヴィータに発見される。

取得アイテム

痺れ薬入りクッキー(7枚)
新しい服(着物風)
アギト
A・デバイス『無銘』
地下水道の逃走ルートデータ

八神一家
夜天の主、盾の守護獣を引っ張りつつ廃棄都市部に進軍中
鉄槌の騎士、孤独の騎士と接触
バトル発生5秒前

ストライカーズチーム
地上部隊と接触
桃色の召喚師の活躍により孤独の剣士の逃走ルートの確保に成功
年長組が桃色の召喚師の今後に不安を覚える

金色の死神
ストライカーズチームと接触
桃色の召喚師の成長に驚く
彼女らと地上部隊から入手した情報を元に孤独の剣士の元に移動中

白の魔王
剣の騎士
廃棄都市部上空でまだまだ交戦中
剣の騎士はまだまだクライマックス状態
夜天の王ダメ出しフラグ継続中
白の魔王『少し・・・頭冷やそうか?』フラグ発生

最強のメイドさん
怒りチャージ中(現在60%)

ナゾの現地生物
湖の騎士から拝借した物の中身を食べる
・・・ここではないどこかへトリップした


2/14終了まで



―5時間30分―






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