Side女司書


いい?私…今回こそ司書長にこの気持ちを伝えるのよ。
今回は以前のストライキのおかげで時間もとれるようになった。
恋の邪魔者の提督はもう簡単に資料請求もできなくなったし、司書長に対しての苦手意識も持たせた。
今回こそ成功間違いなしよ!
愛する司書長…ユーノさんはどこかしら?

「あっ?クロノ?」
「何だ…めずらしいな…そっちから連絡なんてどうした?こっちは恒例ので忙しいんだが」

どうやら提督と話していたようだ…まさかまた邪魔が?
恒例…宮本さんの件ですね…私も六課のみなさんくらい大胆にならないとね…
けど…やっぱり男を立てる大和撫子の方がいいかしら…ユーノさんはどちらが好きなのかしら…
ユーノさんが好きなら私はどっちでも…キャッ///

「いやね…こっちも仕事してて疲れてるんだよ?」
「そのくらいわかっている。用軒は何なんだ?」
「うん…誰も来なくて、いなくて気づいたんだ」
「何を気づいたんだ?」
「僕ら貰えなくて寂しいだけの後始末組と忘れられた組だって。苦労してるだけだって」
「…………」

別に提督が苦労するというのはどうでもいいのですがユーノさんが忘れられるのは私もつらい…
安心してください。その寂しさを私が埋めてあげますから…

「じゃあどうするんだ?チョコをください。忘れないで下さいとでも言うのか?」
「まさか。宮本さんが捕まる、もしくは吹っ飛ばされた後にでも残念会として飲まないかい?」
「…そうだな。じゃあ取れるかわからないがお偉いさん御用達の人気店に予約をしておく」
「ああ。あの予約だけでも超難しいっていう?」
「ああ。今日の夜にでも予約できないか聞くよ」
「でも宮本さんが今夜中までに捕まるかな?」
「どうせ捕まるだろうからから問題ないさ。それにどうせならうまいところでストレス発散したいからな。明日からのためにも」
「そっか。じゃあ頼んだよ」

そう言って通信は切れた。
そんな…今夜はこのチョコでユーノさんに告白して熱い夜のはずが……どうやらあなたはどこまでも邪魔をするのですね…
…ダメ!あきらめたらそこまでよ。今からでもまだ間に合う!
それにそんなうまいタイミングで予約が取れるわけがないんだから!

「ユー…司書長。あの…受け取ってください」
「えっ?…ぼ、僕に?」
「は、はい…その是非…///」
「あ、ありがとう///食べていいかい?」
「どうぞ///」

や、やったわ私!そしてチョコを食べたユーノさん。

「おいしいよ///もしかしてこれって本命だったり…ってそんなわけないよね。あはは///」
「そ、その答えは…今夜食事しながらでもいいですか?///」

そんなことありません!本命です。お付き合いして下さい。と言おうとしたが
恥ずかしくて言えなかった。もう私のバカ…でもこれでユーノさんとお食事がきっと…
だが…

「ユーノ。今夜の予約がとれたぞ。もう仕事から上がって地上の方に来たらどうだ?」
「ク、クロノ!?」

…なんでこんな時に…提督…どうやらどうあっても私達は相容れぬ関係のようですね…
でもユーノさんならきっと私の思いに気づいている。断ってくれるはず!

「あ、あのクロノ悪いんだけど…」

ほら!やっぱり!

「おいおい…ユーノから言いだしたんだぞ?今さら断るなんてなしだぞ」
「それは…」
「仕事はこの前の件でそうないんだ。じゃあ今夜な」

そう言って一方的に切っていった。そんな…

「ご、ごめんね…あそこ予約だけでも相当なお金が掛かるんだ…だから」
「いいえ。気にしないで下さい。提督のせっかくのご好意を無駄にするわけにもいけませんし」
「本当にごめんね?それでその…答えって」
「ふふ…いいんです。今夜じゃないと意味がなかったんですから」
「……本当になんてお詫びしたらいいか…」

いいえ。ユーノさんは何も悪くないんですよ?悪いのはすべてあの男なんですから…
ユーノさんが悪いなんてことは絶対にないんです。

「そうだ!その…お詫びになるかわからないけど、今度の休日にでもホテル・アグスタで食事しないかい?もちろん僕の奢りで」
「ええ。喜んで招待させていただきますね?それでは今夜は疲れを癒してくださいね?」
「うん。ありがとう…本当にごめんね…」

だから気にしないで下さい。代わりにデートに誘ってくれたんですから。
ふふ…楽しみだわ♪

そしてユーノさんは地上に行くために仕事を切り上げて書庫を出て行った。
…あの男と飲んで司書長の疲れが癒されるわけはないわ。
でも一応あんなのでもユーノさんのお友達…殺したいけどそうもいかない。ユーノさんも人殺しに好かれたくないだろうし。
だから今回もちょっとした手違いであの資料を家庭に配送してしまおう。きっとまた苦しむだろうから。
優しくておしとやかな私はそこで我慢してあげましょう。

「さて、それじゃあ、今回は何を間違えましょうか…ふふ…うふふ…」

ああ…早く次の休暇が来ないかしら♪





……
………
……………
いや、これには突っ込みませんよ?
あの司書には出来るなら二度と関わりあいたくないんで。
とりあえず、クロノの冥福を祈ろう。

チーン

「何やってるんですか?」
気にするな。
一人の男がいなくなるかもしれないだけさ。
「はぁ…」
と、よく分からないという顔のエリオ。
「大変ですね、クロノ提督……」
待て、お前も見えたのか、キャロよ!



俺達は地下道を移動しながら今後の動きを確認していた。
エリオ達の話によれば廃棄都市部とクラナガン間の地上ルートは完全に封鎖されているらしい。
ということはこの地下道にも人員を割いている可能性がある。

やはりここはギンガ達に動いてもらって脱出ルートの確保をしてもらうのが手っ取り早いか。

「でも、どうやって部隊を引き付けるんです?」
「やっぱりクラナガンから離れた方がいいんじゃ?」
と、スターズ。
分かっていないな、こいつら。
「それはダメですよ、スバルさん、ティアナさん」
「え?キャロ?」
「どうしてダメなの?」
「クラナガンから出ると一気に隠れる場所が減ってしまいます。そうなったら逃げ切るれる可能性は0に近いです。
ここはあえて首都内に逃げ込む方が安全です!」
おぉ、俺が言おうとした事をあっさりと言われてしまった。

「ハァ…純真無垢な子がどんどん穢れて行く気がするわ……」
それはどういう意味だ、ギンガ?


「じゃあ、僕達がこのまま地上の部隊をひきつけて、その間に脱出、という事でいいですか?」
エリオの言葉に頷く一同。
後、6時間弱。その間を逃げ切ればこの騒ぎも終わりだ。
地上の連中も俺を追う理由をなくすだろう。
「あの〜、いいですか?」
なんだ、ハチマキ?
「宮本さんが普通にチョコを受け取ればいい話じゃないんですか?
ほら、フェイトさんみたいに」
却下だ。
「えぇ〜っ、何でですか!?」
受け取ったら別の物も受け取らされるわ!
それの代償は俺の人生だぞ!?
フェイトのあれは奇跡だ。
キャロとフェイトの性格があったればこその、な。
「でもでも〜!」
なんならお前がやってみるか、なのはの説得。
「ごめんなさい」
即行で謝った!?


「じゃあ、私たちは地上で行動します」
おう頼んだぜ、ギンガ。
「気をつけてね。アギト、良介をお願い…」
「へへ、分かってるよ!」
「それじゃ宮本さん、また後で。無事だったら今日の借りはアイスで返してくださいね?」
縁起でもない事言うな!?
「あ、そうだ。これをゲンヤ三佐から預かってきました」
そう言ってエリオはBJのコートの後ろから布に包まれた何かを取り出して俺に差し出す。
何だコリャ?
布を解くと…こ、これは…!?
俺は鞘からそれを抜き放った。

そう、それはまさに刀剣型のアームドデバイスだった。

反りのない片刃のそれは何処となくレヴァンティンを彷彿とさせた。
と、何かが床に落ちた。
…手紙?
俺はそれを拾い、読んだ。
『これを読んでるってこたぁ、まだ生きてるな?
これは個人用カスタムデバイス素体の試作品だ。
フレーム系はレヴァンティンを基にして作られた物で、
カートリッジシステムやAIを組み込んでいってオリジナルを作るんだが、こいつにはそれらが入ってねぇ。
あくまでも一種の簡易デバイスとしての機能しかないが、
頑丈さだけはなかなかの物だ。

一応、護身用ってことで持っとけ。

追伸
壊してもいいが、ちゃーんと持ち帰れよ?
そいつにゃデータ収集用のチップが埋め込んであるんだからな』


………あのおっさん、ひとの不幸でデータ取る気か!?
まぁいいさ。
ここはありがたく使わせてもらおう。
ちゃーんと持ち帰ってもやるさ。

チップが無事かは知らんがな。

おれはA・デバイスを腰に差した。
うむ、やはりこの服には剣が似合うな。
刀だったらもっといいのだが。

「気をつけて下さいね?」
「頑張って!」
うむうむ、お前達はそのまま素直に育ってくれ。
それはきっと大事なものになる。
主に俺の平穏のために。



「さて…あいつらも行ったしこっちも動くか?」
だな。
しっかしあれだな。さっきまでワーワーやってたのが急に静かになると――
「寂しいのかよ?」
清々しいな。
「――おい」
アギトの突っ込みは無視して俺は地下道を進みだした。


やがて、開けた場所に出て、そこにある階段を俺は上っていった。
「おいおい!地下道を行くんじゃなかったのか!?」
あのなぁ。このまま進んでも何処に出るか分からないんだぞ?
一旦、上の様子を見ておかないとクラナガンまでどのくらいとか、どの方角とか、情報が必要なんだよ。
インテリデバイスなら情報もすぐ手に入るが、俺らはそうじゃないだろ?
「むー、確かに…」
だろ?なら黙って付いて来い。


「でもなぁ〜……な〜んか、裏目に出そうなんだよなぁ……」



すいーとうぉず りざると

現時刻 18:12

地下道→地上へ

ギンガ、ルーテシア、スバル、ティアナと別行動

取得アイテム

痺れ薬入りクッキー(7枚)
新しい服(着物風)
アギト
A・デバイス『無銘』←適当に命名


八神一家
大規模演習と良介の手配に関して
彼の捕獲に出撃
鉄槌の騎士、追従
盾の守護獣、逃走を試みる→失敗し、首に縄


金色の死神
ガジェットと交戦する地上部隊を支援
部隊配置などに関する情報、カートリッジの予備を入手

白の魔王
剣の騎士
廃棄都市部上空で再交戦
剣の騎士、当初の目的を完全に忘れている
夜天の王ダメ出しフラグ

湖の騎士
廃棄都市部到着
とある地点の上
下には地下道入り口
VS湖の騎士フラグ

最強のメイドさん
怒りチャージ中

2/14終了まで



―5時間48分―






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