いきなり揺れだした地下。
地震か!?
いや、何か違う。振動が定期的に起きている!
それに音が大きく……?
「音…?」


ドガァアアアアアアアアアアン!!!


突如、俺達のいる区画の壁がド派手な音を立てて吹っ飛んだ。
大小さまざまな破片が降る中、俺の目に宙を舞う鬼神が見えた。

「ドゥウウウエェエエエエ!!!」

「ギ…ギン姉!?」
「ギンガさんッ!?」
そう、それはギンガだった。今度こそ本物だろう。
壁を突き破った勢いで区画に飛び込んでくると着地。
床を削るようにブレーキを掛ける。
大丈夫か、ブリッツキャリバーッ!?

「はぁ…はぁ……大丈夫でしたか…?」
ギンガはゼーゼーと息を乱しながら俺に聞いてきた。
今にも死にそうな顔をしているお前に言われてもなぁ。
「一体何があったんですか?」
「あれ…ティアナにスバル?どうしてここに…?」
「まぁ色々とあって。それよりどうしたの、ボロボロじゃない!?」
確かに、ギンガのBJはそこらじゅうが破けていた。露出した肌にはいくつもの傷があった。
「ここに来る途中…ハイウェイが崩れて……
そのまま地下十数メートルまで落ちたの…すぐにウイングロードで脱出しようと思ったんだけど……そこに…ドゥーエが…」
「で、やられたのか?」
「違います!一緒に連れてきていたガジェットの集団に足止めされて…
さすがに15機も相手にするのは魔力的にも体力的にも無理で…半分ぐらいで撤退してきました……」
「……大変でしたね…こっちも他のナンバーズと交戦しましたし…」

「で、ドゥーエは…?」
俺が無言で指を差す。
そこにはさっきの破片が命中して目を回しているドゥーエがいた。
ギンガはちらりと俺の出したクッキーを三枚つかみ、
「ふん!!」
「ふげ!?」
口に押し込んだ。顎を押さえて強制的に噛み砕かせる。
「さぁ…よく味わいなさい……あなたの姉と妹のコラボレーションよ!」
「フグッ…フグゥ〜ッ!!」
うわぁ、えげつねぇ。
スバルもティアナも背中に見える夜叉に完全におびえきってるぞ。
ルーテシアは…しっかりガリューが目を押さえてやがった。
さすがだ、ガリュー。どっかの犬とは大違いだぜ。

「さて、これからどうします?」
さっきまでの事をなかったことにして、俺達は話し合った。
視界の端に痺れて動けなくなったのがチラチラ見えるが気にしない。
う〜ん、現状は厳しいな。
まず、先ほど戦闘を行ったルーテシアとティアナ、ここまで来るのとガジェットとの戦闘をしたギンガは魔力も体力も厳しいだろう。
スバルも…さっきのあれで本調子じゃない。
それは俺のせいだが。
ガリューもルーテシアが最優先だからな。
とすると、まともに動けるのは俺とアギトか。

なら、話は早いな。
「こっからは俺独りで行く」
「なっ!?」
「何を言ってんですか!何のためにここまで来たと思ってるんですか!?」
「え?チョコ渡すためじゃなかったっけ?」
「スバルうっさい!!」
「えぇ〜っ!?」
ま、ほっとこう。
俺はギンガに向かい合う。
コイツが頷けばそれで話は通るからな。
「どうして今更そんな事を言うんです!?ここまで頑張ってきたのに!後ちょっとです、一緒に――」
「それじゃダメなんだよ」
「え――」
「いいか、今このメンバーの中で満足に動けるのは俺だけだ。
スバルもティアナもルーテシアもこの先訪れるであろう最悪の事態に対処できるとは思えない。
数の子もそうだが、この先出てくるのは…」
これ以上言わなくても分かるだろう?
「確かに…あの人が出てきたら……
でも…それはあなただって同じじゃないですか!?」
「そうかもな?だが、何とかするさ。ここまでお前らのおかげでほとんど怪我もない。それに…」
俺は心配そうな顔で飛んでいるアギトをつまんで頭に置いた。
「一応、ユニゾンも使えるようになったしな」
「リョ…リョー……」
ギンガは少し考えて、頷いた。
「分かりました。私達は一旦下がります」
「えっ、ギン姉!?」
「そんな!?」
驚くスターズ。お前らヤル気になってたのか。
「ここにいるだけが手段じゃないわ。闘争経路の確保ぐらいならできるわ」
「「………」」
どうやらこれで自由に動けそうだ。
それでも心配そうな顔の二人に
「大丈夫だ」
と声を掛けた。
「ライトニングのチビどももきっと俺を探してるだろうし、フェイトがくれば安心度も増すってもんだ」

「「「………はい?」」」

ん、なんか俺ミスったか!?
「どういう事ですか、先輩…?」
「何で…フェイト隊長は安心なんですか?」
「ちょっと…聞かせてもらえますか?」
いや待て。何だその殺気は!!
じりじりと詰め寄られる俺。
何でこうなるんだ!?

「ここに来る前…」
ルーテシアが唐突にしゃべり出した。
三人の視線がそっちに注がれる。
「おっきなチョコ、食べてた……」
「………」
「………」
「…………誰のかな?」

「あの、金髪の人の」

よし逃げよう。
そう思った矢先、ギンガの手が俺を押さえていた。
「どういう事ですか……?」
「先輩……まさか…フェイト隊長の事を…?」
「え、そうなんですか!?」

クソォ!何でこうなるんだ!?

と、その時。
何かがギンガの来た方向から聞こえてきた。
「何、誤魔化そうとしてるんですか!」
「はっきり答えてください!!」

あー、うっさい!!

俺はその音がなんなのか考えた。
そして、あることを思い出した。

―違います!一緒に連れてきていたガジェットの集団に足止めされて…―

その後こうも言ってなかったか?

―さすがに15機も相手にするのは魔力的にも体力的にも無理で…半分ぐらいで撤退してきました……―

て。じゃあその残った7〜8機のガジェットは今どうしているのか?
決まっている。
ギンガを追ってきているんだ。

「ヤバイ、ここから逃げるぞ!!」
「っ!逃がしません!!」
「違うわ、バカたれ!あれを見ろ!!」
俺が指差した先に……やはりいた。
ガジェットの群れ………

むれぇ!?

そこにいたのは7、8どころじゃない。
20はいた。

流石にこれは逃げるしかない。

俺達は一斉に逃げ出した。

追うガジェット軍団。

地下道の追いかけっこの始まりである。


あ、ドゥーエどうしたっけ?





「ひ……酷いわ………ご主人様………ガクッ」
ガジェットの大群に轢かれて気絶しました。



すいーとうぉーず りざると

現時刻 16:55

廃棄都市部 地下水道

ガジェットと追いかけっこ

取得アイテム

痺れ薬入りクッキー(7枚)
新しい服(着物風)
アギト
ドゥーエ→置き去り
ドゥーエのチョコ→結局そのまま受け取らず

ライトニング
廃棄都市部上空に到着
地上の異様な光景に唖然

八神一家VS金色の死神
戦闘終了
金色の死神撤退
(決まり手 チームワーク)
部隊副隊長より連絡
状況整理のため六課に

金色の死神
撤退方向に白の魔王、剣の騎士を確認

三竦みフラグ

湖の騎士
絶望から這い上がる
二度目なので復活も早い
移動開始

ナゾの現地生物
湖の騎士の懐から抜き取ったリボン包装の何かを持って消える


地上部隊
廃棄都市部の封鎖完了
行動開始

無限書庫司書長
黒の提督に連絡

黒の提督
連絡を受けて胃痛再び

2/14終了まで



―7時間05分―






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