14:22
某時空航行艦 館長席

「…以上が、今までに起きたこと全部だよ。まぁ、ざっとではあるけどね」
「…」
「しかし、彼もまたやってくれたねぇ。時間にして半日足らずで地上本部、というか管理局を上から下までてんやわんやにしたんだから。まぁ、見ているほうとしては面白いけどね」
「そうか、それは羨ましいな。なら僕と変わってみるか? 今日中に胃に穴が空く可能性について本気で考えることになるがな」
「そ、それは嫌だな。ハハハ…。遠慮しておきます」
「…中将の方はどうだ?」
「…さっき言ったような事を本気で考えているなら、聞かないほうがいいと思うよ?」
「そういうわけにもいかないだろう。…頼む」
「はぁ、分かったよ。…結論から言うとかなりお冠だね。自分の管轄下で好き勝手やられたんだから、無理もないけど。
さっきも言ったけど、中将直々の指揮の下、彼を捕獲するための戦力を投入する準備が進められている。それも後一時間足らずで準備が整って出動することになると思うよ」
「まるで犯罪者扱いだな」
「今の中将から見ると、似たようなものなんだろうね。…あと、正直に僕の感想を言わせてもらうけど、今回の件で彼の援護をするのはもうやめておいたほうがいいと思うよ? 
君が彼だけじゃなく、あの子達の事を心配しているのは解る。
けど、あの事件のあと多少良くなったとは言え、海と陸の関係はまだまだ順風満帆とは言えないんだからさ」
「ここで僕が動いたことが解ると、それを悪化させるかも知れないということか?」
「そりゃそうだよ。君は仮にも本局側の提督なんだし」
「それなら問題ない。もうやれるだけのことはやった。あとは宮本次第だ」
「あとは見守るだけってこと? じゃあ、やったことについて追求されたらどうするんだい? 
  ナカジマ三佐達に彼の力になってくれるようお願いしたんだろ?」
「僕はただ、彼の友人であり事情を詳しく知る者としてとして、
  このような事態にならないよう、同じように友人である彼らに協力を呼びかけただけだと答えるさ。
  提督としてではなく、あくまで一個人としてね」
「…詭弁だと思うよ?」
「まぁな。だが、本当の事だからな。他に言いようが無い」
「なるほどね…。それで納得してくれればいいけど。じゃあ、また新しいことが分かったら連絡するよ」
「あぁ、頼む。…なぁ宮本、君はいったいどこへ行こうとしているんだ?」



そんな会話が次元の海の合間で繰り広げられていたのと同じ頃



「そんなの俺にだってわかんねぇよっ」

ガリューが口元に指を立てて「静かに」とジェスチャーしてくる。
ええい、わかっとるわっ。
ただ、俺に突っ込めとまた変な電波が飛んできたんだよ!
って、こんなことしてる場合じゃないっ。

やばいやばい! なにがやばいのか自分でもよく解らないがとにかくやばい!!
今のスバル達に見つかるのはやばいと、俺の直感がビービーと危険信号を鳴らし続けている!
(ガリュー、アギトとルーテシアを連れてここから逃げるぞ)

了解 とでも言いたいのか。親指をぐっと立ててサムズアップするガリュー。
…お前、それ誰から教わった?
あぁ、そんなことは後でいい! あいつらに気付かれないようにこっそりと…。

俺が忍び足で窓から離れようとした次の瞬間


俺たちが居たビルから少し離れて建っている別の建造物が、轟音を立てて崩れ去った。


…へ?


一瞬、何が起こったのか分からなかった。それはガリュー、スバルやティアナも同じだったらしく、面食らっている。
が、次の瞬間に俺は悟った。
休息の時間が終わりを告げた事に…。
そして、気が付けば叫んでいた。
スバル達に気づかれる可能性など気にせずに。

「アギト! ルーテシア起きろっ! 敵襲だ! ここからすぐに離れるぞ!!」
「「ふぇ・・・?」」
「寝ぼけてんじゃねぇっ。ガリュー、ルーテシアを頼む。アギト、行くぞ!」

俺は、アギトを抱えて部屋から飛び出す。ガリューもルーテシアを抱え、それに続く。
さっき、スバル達の様子を覗ってた方の窓から、俺たちは勢いよく飛び出し、そのままスバル達の方へ走る!

「スバル! ティアナ! 怪我したくなきゃ一緒に来い! 逃げるぞ!」
「へ? 宮本さんっ!! うそ、ほんとに居た!?」
「先輩! …見つけましたよ。さぁ、今日こそ…」

あー、もう空気の読めない奴らめ!!
俺は一気に二人に近づき、二人をそのまま押し倒した!!

「え…? み、宮本さんっ!?」
「ちょっ、先輩なにするんですか? 離してください!」

二人がなにやらごちゃごちゃ言ってるが、気にしない。
何かが巨大な物にぶつかるような轟音がした次の瞬間、先ほどの建造物と同じように、ビルが崩壊した。
そう、俺たちが先ほどまで休息を取っていたあのビルである…。

「けほっ。けほ…。おい、二人とも大丈夫か?」
「あ、はい…。」
「ありがとう…、ございます。」

「…はっ! お、おい、リョー!! なんだ? これは一体何事だ?」

…やっと、目が覚めたか。このネボスケチビ。
アギトのやつも当然無事である。しっかり庇ったしな。
ガリューも、俺が何を考えているのか察しがついたらしく、ルーテシアを庇うようにして伏せている。
ルーテシアも、今ので完全に覚醒したようだ。

「リョウスケ? これは? 何が起きたの?」
「そうだよ! なんだよあれ? なんでいきなりあたしたちの居たビルがぶっ壊されなきゃならないんだよっ!!」

「あぁ、もう。落ち着け! ちゃんと説明してやるから! アレはだな…」
「…砲撃魔法」

ティアナが苦々しく呟く。
こいつ…あの状況でしっかり見てやがったのか…

そう、スバル達を庇いながらも、俺はしっかりと見た。
俺たちが居たビルを、巨大な閃光が撃ち抜く所を。

そうこうしない間に第三波。
いや…、連射で来やがった!

さすがに、あのビルを倒壊させた威力のものはチャージに時間がかかるのか、それを連続で撃って来ることは無いが、
それでもかなりの威力の魔力弾が俺たちを襲ってくる!

「だあぁぁぁぁっ! 一時撤退!!」

全員意義なし。
何故かスバル達まで俺たちと一緒に全速力で走りだした。

「ルーテシア、アギト」

俺は走りながら、索敵魔法で狙撃手を割り出そうと二人に指示を飛ばす

「解ってる! …っ!! なんだこれっ?」
「…リョウスケ」
くっ、反応なしか。
「違う! そうじゃない!! 索敵魔法自体が使えないんだよ!!」
「はぁっ!? ちょっと待て、なんだよそれ?」

『何者かがこの周辺に強力なジャミングをかけているようです。その影響で索敵、及び探知系統の魔法の使用に制限がかかっています』
と、タイミングよく解説してくれたのはスバルのデバイス、マッハキャリバー。
俺はお前のそういう空気の読めた発言の出来るところが大好きだ。

「なんとか出来ないかな? マッハキャリバー」
『残念ながら現状より強力なECM対策がなされていない限り無理です。ですが…』
「ですが?」
『状況から見て、この一連の砲撃とジャミングが宮本氏を狙ったものであることは間違いありませんし、
 ここは一つ宮本氏に大人になっていただいて、これらを行っている方々と交際していただく。
 というのが一番良い方法ではないでしょうか?』
「あ、あはは…」

…俺はお前のそういう空気を読まずに余計な事を平然と言ってくるところが大嫌いだ。

「あぁもう! 先輩がとっととなのはさんたちの中の誰かを選ばないからこういうことになるんですよっ!!」

うっさいっ! この緊急事態にそんなことぬかすなティアナ!
…とりあえず、さっきマッハキャリバーが言ってた方法は全力で却下!それ以外の方法を考えよう

「ルーテシア!」
「うん、もうやってるよ」

走るガリューに抱えられながら、ルーテシアが答える。
おいおい、状況読むのも対応するのも早すぎだろ!
こういうのを我が祖国では『痒いところに手が届く』などと言うのだろうが、
ルーテシアの年齢を考えると、この判断力は正直ビックリするレベルだぞ。

「ゼストやアギト、ドクターが色々教えてくれたから…、でも、範囲がかなり広いから」
「少し時間がかかる。ってことか?」
コクッとうなづくルーテシア。

最後に口にした一人が、いったいこの幼子に対して何を教えたのか、非常に気になるが、
それはあとであの野郎を締め上げれば済む問題。ひとまず置いておく。

今の状況はかなり悪い方向に流れている。

敵は、こちらの射程外から最大でSLBクラスの砲撃が出来る。
敵を探し出そうにも、こちらはジャミングを受けて、索敵魔法は使用不可能。
こちらのメンバーは、俺、アギト、ルーテシア、ガリュー、それにお邪魔虫なスバルとティアナ

「お邪魔虫なんてひどいじゃないですか〜」

ええい、うるさい。地の文に突っ込むな!
…クロスレンジやミドルレンジなら正直分はあると思う。
しかし、このメンバーではアウトレンジからあの大火力の砲撃で戦闘を挑まれたんじゃ話にならない。
火力も上。射程も上、あちらからはこちらは見えているが、こちらからは見えない。…一方的なのにも程があるぞオイ。
これでは、そのうち相手に押し切られる…。

「…マッハキャリバー、一つ教えてくれ」
『なんですか? 結婚式場の電話番号ならすぐに検索できますが?』
「違うわボケっ! いくら知り合いとはいえ、嬉し恥ずかし恋人時代をすっとばして
いきなりバージンロード歩いてキスせにゃならんのだっ!!」

ちなみに、こんな話をしながらでも砲撃の雨はまったく止まない。
しかも、自分の位置が特定されないように移動しているようだ。
砲撃が飛んでくる角度が少しずつ変わってきているのがその証拠である。

『では、恋人時代を満喫してから結婚できるように手配を…』
「そうじゃねぇよ! いいから人の話を聞けっ!! …今起きている砲撃やらジャミングやらは複数犯の可能性はあるか?」
『その可能性の確率は84パーセントです』
「根拠は?」
『これだけの出力の砲撃とジャミングを一人で同時に行うのは人間業ではありません。
  複数で攻撃を仕掛けていると考えるのが自然です。
  おそらく、ジャミングをかけつつ、自らはそれに影響されない独自の探査魔法を使用し、
  我々の位置を特定している観測手と、その者が送って来る観測データを参考に、
  今我々を攻撃している狙撃手の、最低でも二名であると想われます。』

ふむ…、俺の読みと同じか。

「なら、敵の数は、仮にお前の言う通り二名とする。
  今この状況下に置かれた俺たちは、どうすればそいつらをぶちのめせる?お前ならどうする? マッハキャリバー?」

マッハキャリバーから提示された方法は、俺が考えていたのとほぼ同じだった。

その時、俺達は瓦礫の影に滑り込む。
少しだけ一息つけるぞ。

「…よし、スバル、ティアナ、一時休戦だ。協力してくれ」
「はぁっ!? 嫌です。なんで私が」
「わかりました!」
「ちょっ、スバル! なに勝手に決めてんのよ? …あぁもう! そんな目で見るなっ。解ったわよ。
  …やるわよ。やればいいんでしょやればっ!!」

いやぁ、いいコンビネーションである。
緊急事態だから、話がさくっと決まってくれると実にありがたい。

「みんなも…いいな?」

その言葉に、アギト、ルーテシア、ガリューは頷く。
よし…。

反撃…開始だっ!!





Side ???

2/14

「さすがだな…」

私は少しだけ攻撃の手を休め、そう一人呟いた。
宮本良介。
私達はローゼン、またはリョウスケと呼んでいる一人の男。

今日、私…、ナンバーズの一人ディエチはその男の心を撃ち抜くためにここに来ている。

「ディエチ」

不意に通信が入る。
私の姉妹である同じくナンバーズのオットーの顔がそこにはあった。
彼女は、ローゼン達の位置の索的、その周囲へのジャミングを担当してくれている。
…私が無理を言って頼んだのだ。ローゼンと戦いたいがために。

「どうしたの?」
「何がだ?」
「攻撃が止んだから…。あと、少し楽しそう」

楽しい? 私が?

…確かにそうかもしれない。
私とあいつは、とある戦いの中で出会った。
訳あって今はお互いに平和な日常を満喫するよき友として過ごしてはいるが、
こうしてローゼンと敵味方に分かれて戦いの場に立つとどうしても楽しくなってしまう自分が居る事に、薄々気付いていた。

なにしろ、あいつの行動は予測できないのだ。
私とあいつが出会った戦いの中でも、あいつは私や姉妹たち、
はてはルーテシアお嬢さんやドクターの予測をも飛び越えた行動を見せつけた。見せ続けたのだ。そして、それは確実に変えていった。
私たち自身を、そしてその未来を。

だから、相棒のトリガーを引き絞るたびに私の弾丸を避けていったとしても、それを見るたびに、私は楽しくなってしまう。

次はどんなものを見せてくれるのだろうと、期待をしてしまうのだ。どんな風にあの魔法使いは未来を変えるのだろうかと。
そして、私もいつか、あんな風に何かを変えることが出来るのだろうかと…。

「気持ちは解るけど…、今は集中して。ボクたちは絶対勝つんだから。…っ!! なに? これ!?」
「どうした、オットー?」
「…データ送るよ。リョウスケが何か仕掛けてきたみたい」

そう言って送られてきたのは、ローゼンが居る周辺の地形データ。
…なるほど、これは慌てるわけだ。
そう思うと、私は相棒のスコープ越しからローゼンの居る位置を見てみる。
そこには、スバルが居た。
ただし、人数は『1人』ではない。

同じ顔が3人から4人居る…。
なるほど、これはオットーが慌てるはずだ。

(そういえば、ティアナが向こうにいたんだ)

だが、問題ない。
既に彼女の使用する魔法…幻術の構築ロジックは解析済みなのだ。
だから、こうやってちょっと目を凝らしてみるようにすればみるみる間にどれが幻術か見分けることが…あれ?

(解析不可能っ!? 構築ロジックが変えられてるって事っ!?)

考えてみれば当然だった。
彼女にしてみれば、一度は破られている術。
それを、何の改良も無しに今の今まで放っておくか?

…答えはノーだ。私だったら術の構築を基礎部分から作り直す。それも、前を越える出来栄えにしようとするだろう。

そうこうしている間に、人数は20人に倍増していた。
こ、こんな魔力消費の多い魔法でここまでの人数を出すなんて…。
あのティアナという子、私達と戦った時よりもずっと強くなってるっ。
それらが散開して移動してくる…こちらに向かって。

射線から位置が割れるため、一つ所にじっとしているのはまずい。
一度撃ったらすぐに狙撃場所を変える。それは狙撃手の基本である。

先ほどの攻撃から移動してなかった事に舌打ちしつつも私は、すぐさまに移動を開始した。
ジャンプしつつ、けん制程度に攻撃。
幻影達を狙い打つ。
が…、あちらの移動速度の方が早い上に、攻撃も全て回避されてしまう!

スバルが履いているあのローラーブーツの機動力は、飛べない私には脅威でしかなかった。

くっ、このままではいずれ…。

意を決した私は、足を止め、IS:へヴィバレルによって弾丸を生成する、ただしいつもの弾丸ではない。
…これは生成に多少時間を食うし、弾速もそれほどではない。
でも、今の状態を続けるよりはましである。

私は、生成できた『それ』を発射する。
私が生成した巨大な弾がスバルと幻影達の頭上へと到達すると、私はこう呟いた。

「…ブレイク」

私のその声を合図に、弾は分裂し頭上から雨のような散弾をスバルとその幻影に撃ちだした。

…確かデータでは、ティアナの幻影は物理衝撃に弱かったはず。ならこれで!
私の狙いどおり、散弾は幻影達を次々と消してくれた。
残ったのはスバル一人。もらった!
そう思った次の瞬間

「そうはさせねぇぞ ディエチ」

私の横には、私の首筋に刀を押し付けているリョウスケの姿が何時の間にかあったのだった…。



Side 良介

なんとかなったようである…。
今、俺はアギトとユニゾン中。

俺の手の中にあるのは、本物の刀ではなく、炎の魔力を凝縮して作った魔力剣とも言えるシロモノ。
で、なんで俺がそんなものを持ってディエチにこうして突きつけているかと言うと…、ティアナとルーテシアのお陰である。

…俺があの状況で立てた作戦はこうだ。

「ティアナが幻影を作ってお前らを陽動する。で、幻影達には相手の攻撃射線をずっとおっかけてろという指示を出した。
ルーテシアはティアナを強化魔法で補助しつつ、インゼクト達を使ってお前らの捜索を頼んだ」
「射線を追いかけるように指示したのは、捜索範囲を絞り込むため?」
「あぁ、機動力のあるスバルあたりでおっかけまわせば、絶対今みたいな行動に出てくると思ってたからな」

…いくら魔法弾が思念によって遠隔操作できると言っても、
それはなのはで言う所のアクセルシュータークラスの攻撃での話だと俺は思っている。あの火力である。
必ず射線軸の先に居ると俺は踏んだ。そいつが、追っかけまわされればどうするか?
足を止めて追っ手を全部潰す手を使おうとするだろう。そこを狙ったのだ。
つか、SLBやディバインバスターが避けたと思ったら90度以上曲がっておっかけてきたらいくらなんでも怖すぎるだろ…。

「こうやってここに瞬時に来たのは、ルーテシアお嬢さん? ひょっとして、私を見つけたインゼクトを目印に跳んだの?」
「ご名答。あいつの転移魔法で跳ばして貰った。
どうせジャミングするなら、召喚師と使役する守護獣とのリンクも出来ないようにするべきだったな。
…多少難しかったみたいだけど、ルーテシアの腕前だったら問題なかったぞ」

ー優秀な召喚師は、優秀な転移魔法の使い手でもあるー
これはキャロが以前言っていたこと。
なので、ルーテシアに跳ばしてもらったのだ。
…ディエチの元へと。

「あの状況下で瞬時にこれだけの戦法を練れるのはさすがだよ。
でも、なんて言うか・・・、正におんぶにだっこ。他力本願な戦い方だよね。ローゼン」
「うっさいわっ! 痛いからそこに触れるなっ」

「じゃあ、最後の質問。なんか、話を聞いていると最初から攻撃してきたのが私だって気付いてたように感じるのは気のせい?
ローゼンの作戦は、狙撃手の機動力が追撃する人間より低いのを前提としている。
もし、空を飛べたり、スバルより早く移動できたら、この作戦は根っこからダメになるよ?」
「解ってたさ」
「え?」
「最初からお前じゃないかと思ってたんだよ。…なんて言うか、やり口がまるで決闘を申し込まれているように感じたからな」

そう、俺は二回目の砲撃の時点でこいつが相手ではないかと薄々感づいていた。
理由としては、一回目の砲撃から二回目の砲撃まで、少し間が開きすぎていたような気がしたこと。
…まるで『これから自分と戦おうよ』と言われているかのような感覚を覚えた。

まぁ、ほぼ直感的に思ったことなのでその根拠はこじつけに等しかったりする。
そして、俺がそう思ったのにはもう一つ理由がある。

「砲撃って事で、なのは達の可能性も考えたがそれはすぐに外した。
あいつらなら、一発目で俺たちのいるとこにぶっ放してるからな」
「…なのはさん達怒るよ?」

あいつらにそんな権利はない。なぜなら、去年それをやらかしているからだ。しかも、俺の自宅に…。

「そっか。…ローゼン、私達の負けだよ」
「ディエチっ!? でも…」

突然通信越しに割り込んできたのは、オットー。
・・・なるほど、ジャミングはお前の仕業か。

「こちらの位置をつかまれた以上もう勝負は決まったよ。オットーは私より見つけにくいだろうけど、それでもすぐ見つかる。
…どちらか一人が見つかれば、それはもう王手。かくれんぼと同じだよ。これはそういう勝負だと思って、私はやっていたから」
「ディエチ…」

やけに潔く負けを認めるディエチ。

「ごめんねオットー、せっかく協力してくれたのに」
「ボクはいいよ…。悔しいけど、また来年頑張ろう。…さ、ここの土を持って帰ろう」
「そうだね、また来年…、ローゼンとこうして戦えるように!!」
「うん!!」



…いやぁ、なんか微笑ましいシーンだなぁ。



って、そんなわけあるかぁぁぁぁぁっ!!
俺のバレンタインを、甲子園と一緒にするんじゃねぇっ。しかも『また来年』ってなんだっ!?
俺は、こんな大騒ぎはこれっきりにするつもりなんだよっ!!

俺が声を大にしてそう言おうとした次の瞬間


「宮本さんっ!! よかった、無事だったんですね!!」

そう、俺に呼びかける声。
俺の身体はブルブルと…。

「もうそれはいいですからっ!!」

姉妹揃って地の文に突っ込むんじゃねぇっ!
…ちっ! やっぱりしぶとく生きてやがったか。

そんなことを思い、俺はその声の方に振り向く。
そう、そこに居たのはギンガ・ナカジマであった….


すいーとうぉーず りざると

現時刻 14:50

廃棄都市部 そこの一角

ナンバーズ、ディエチとオットーと戦闘突入。
が、スバルとティアナの協力もあり、これをなんとか退ける。
そこにギンガ到着。

取得アイテム

痺れ薬入りクッキー(11枚)
新しい服(着物風)
アギト→現在良介の中


ライトニング
廃棄都市部到着まで後少し。
スターズ遭遇フラグ継続

ナンバーズ、ディエチ、オットー脱落。
(理由:見つかっちゃいました♪ てへ♪)

剣の騎士、白の魔王をストーカーの如く追跡する。
白の魔王、それに恐怖を感じ足を速める。


湖の騎士
夕日の見える砂浜で恒例の追いかけっこをする。捕まえられ愛を語り合う(夢)

地上の法の守護者
廃棄都市部に戦力投入準備を急ぐ。

2/14終了まで

―9時間10分―






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