キャロの説得によってフェイトは脱落。
流石にひやひやしたが、結果としては見事だった。

ゲンヤのおっさんが
「何かおめぇに似てきてねえか?」
なんて言ってやがったがそんなの知るか。

で、フェイトは今どうしているかというと

「はい、バレンタインのチョコレート」
「……お…おぉ」

108の隊舎、そのロビーで件の品を俺に手渡してきた。

でかかった。
それはチョコと呼ぶにはあまりにもでかかった。
そして重かった。
それはまさに鉄塊だった。

「うぅ〜、そこまで酷くないよ…」

いや、酷いぞ。
普通チョコはこんなにズシリとした重みを与えない。
そしてこんな両手で支えないといけないようなデカさじゃない。

見ろ、ルーテシアはよく分からんが、エリオもアギトもゲンヤのおっさんも他の部隊員もダダっ引きだぞ!?
ガリューすら引いてるぞ。

「エリオ…?」
「いえ、そんな事全く思ってません!!」
「そ、そうだぜ!?俺も昔ゃクイントのやつに毎年これぐらいのもらってたもんさ?」

他の隊員たちもうんうんと頷いてやがる。

この嘘つきども!!

クソォ、キャロもフェイトも期待に満ちた目で俺を見てやがる。
昔だったらそれも平然と無視していただろうが…
くそ、俺も随分と甘くなっちまったな。
チョコだけに。

…なんて言っても何にも変わんないよなぁ…。

だが、こんなのどっから食えばいいんだ?

オーソドックスなハート型のそれは目測で見ても厚さ7センチ。
顎が外れるって。

仕方ない。

「エリオ。ストラーダを貸せ。これを割る」
「だ、ダメです!せっかくフェイトさんが一生懸命作ったのにそれにストラーダで割るなんて絶対にダメです!!」
いや、そうしないとこれ食えないし。

いっそ食うのやめるか?
いや、そうしたらフェイトがまた復活する。
そして今度はキャロも加わる。

何かそんな確信があった。
この二人は今ものすごい一体感に包まれてやがる。


割るなって言うなら…この端のさらに角を…。

俺は意を決して歯を立てた。

……
…………
……………

「ど…どう?」
「………ふぁ…ふぁふぁい…(か…固い…)」

滅茶苦茶に固かった。
どんだけ顎に力を入れても全然進まない。
麻痺のせいもあるだろうがそれを差し引いてもこれはきつい。
歯だけじゃなくて首とかひねったりしてみるがやっぱりダメだ。
おのれ、チョコレートの分際で!!

だが、所詮ははチョコレート、
その弱点は火を見るより明らか!
俺の体温と、唾液と、吐く息によって徐々に解け始める。
そして、数分の格闘の末、

パキィン!

やつは砕けた。
ほんの一欠片だが俺は勝ったのだ。
その勝利に隊員たちはワッと歓声が沸きあがり、エリオも賞賛の声を上げた。
ありがとう、俺はやったぜ!
いつになく素直な気持ちで俺はあまねく賞賛に酔いしれた。

「ね…ねぇ、それでどうだった?」
何が?
「……だから、味…。おいしかった??」
……ん?
「もう、リョウスケ!!」
「良介さん!!」

え、何、俺が悪いのか!?

「―――っ!!」
お、どうした、アギト?
「――来る」
何が?
「バッテンチビの気配だ!!」
何!?ミヤだと!?
つまりはやてがここに向かって来てるって事か?
「おいおい、今度は八神か?だが、警報も何も――」

「失礼します」
「しますですぅ」


普通に入ってきやがったぁ!!
「やっぱりや、ここにおったんか良介!」
「は…はやて、どうしてここが!?」
「ソンなん決まってるやろ、フェイトちゃんを追ってきたんや。あれだけ魔力だしてたら嫌でも気がつくっちゅう話や」
「あ…」
時々思うが、フェイト、お前は馬鹿か?

「あーっ!アギトちゃん!!どうしてここにいるですか!?」
突然ミヤのやつが大声を上げた。
「へ、そんなの決まってるだろ。ロードを守るのも融合器の使命だぜ?」
「良介はミヤのアナザーマスターです!即刻そこをどくです!!」
「へへーん、やなこった!」
コイツラ…毎度毎度よく飽きねぇもんだ。

「ぁあああああああ!!!」

今度はなんだ!?
見るとはやてが驚愕してやがった。
その視線は…ロビーのテーブルに注がれていた。
その上にあるのは鉄塊…
もとい、フェイトのチョコだ。

そこに付いているのは…俺の歯形だ。

「そ…そんな……ウソやろ…」
お、オイ、落ち着け。
「誰のや、誰のチョコなんや!良介!!っ!!まさか…!」

はやての視線がスライドしてフェイトに重なる。
頬を染めて視線をそらすフェイト。待て。
それだけで答えは要らなかった。

「そ…そんな……なんでや、何で私やのうてフェイトちゃんなんや!?」
「そうです!なんでアギトちゃんなんですか!」

あぁ、事態は悪化の一途をたどってやがる。
本調子の俺ならさっさと逃げれるのに抜けきらない麻痺のせいで誰かの力がないとそれも出来ない。

(良介さん!)
(ん、エリオ?)
(ここは何とか引き付けますからガリュー達と逃げてください)

俺の前に立つようにゲンヤのおっさんとエリオが進む。
その後ろに俺はゆっくりと隠れ、徐々に後ろに下がる。
おっさんが何事かをはやてに話しているがフェイトがなんか言ったせいでさらに炎上している。
いや、むしろそれが狙いか?

そうこうしている間に俺はルーテシア、ガリューらと共に隊舎の外に脱出することに成功した。


ガリューに抱えられ離れていく108部隊の敷地に雷光や白い閃光が走ったりしたのを俺は見なかったことにした。





side スターズ



「あれ、ヴァイスさん。珍しいですね、チョコレートなんて?」
「あ、あぁ今日はバレンタインって日だからな。キャロがくれのさ」
「バレンタイン…?」
「なのは隊長の出身地、地球の風習らしい。
何でも『好きな男』や世話になった人に自分の気持ちを伝える代わりにチョコを送るんだと」
ティアナはその『好きな男』という部分にものすごく嫌なものを感じた。
「去年なんてものすごかったんだぜ?旦那のせいでな」
「宮本さんの…?」
「あぁ、うちの現隊長陣そろい踏みで大暴れさ。本局のお偉いさんまで出張ったって噂もあってな」
「へぇ〜…ティア、どうしたの?」
「別に…ところでそのバレンタインていつなんですか?」
「あぁ、今日だけど?」

数分後、六課敷地内から二人乗りのバイクが一台、発進した。


すいーとうぉーず りざると

現時刻 11:35

108隊敷地内→廃棄都市部に移動中

ルーテシア、ガリュー、アギトと行動
麻痺回復まであと僅か

取得アイテム

痺れ薬入りクッキー(11枚)
新しい服(着物風)
アギト特製薬湯
アギトのハリセン→ロスト(108隊舎内)
アギト
(頭に乗ってる)

夜天の王(ユニゾン)VS金色の死神、ライトニング
戦闘開始

白の魔王VS剣の騎士
戦闘開始

鉄槌の騎士、盾の守護獣、夜天の王の召還を受ける

ナンバーズ、追跡開始

森の中の追いかけっこフラグ消滅
鋼の追跡者、宮本センサー発動

セッテ、ノーヴェ脱落
(アクセル100連発、それぞれ47発目、74発目)

湖の騎士
夢の中でチョコレートを渡す

スターズ発進→某菓子屋

黒の提督
報告を受けて神経性胃炎発病

地上の法の守護者
宮本良介の逮捕命令発令

2/14終了まで

―12時間25分―






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