池から、ガリューに助け出された俺を待っていたのは・・・・。
「リョウスケ・・・、大丈夫? ガリュー、ありがとうね。」
「良介さん!」
「良介さん! 私たちのこと解りますか!? しっかりしてください!!」
「全く、いつもいつも・・・、ほら、リョウスケ! しっかりしろよ!」
予想通りの紫のむしっ子、ルーテシアであった。
が、居たのはルーテシアだけではない。
アギトにエリオ、キャロが居た。
お前ら、なんでこんなとこに・・・?
・・・数分後、俺たちは池の近くに座り込んでいた。池に落ちて濡れた服は、エリオが持ってきてくれた代わりの服に着替えた。
新しい服は、少し和風チックで俺の好みだった。
動きやすいのも○である。
キャロとルーテシアが、医療箱片手に怪我が無いかと俺の身体をチェックしてくれたのだが、
派手に吹っ飛んだ上に高高度からの着水ダイブを行ったのにも関わらず、出来たのは擦り傷や打ち身程度。
つまり、ほぼ無傷だったのだ。
なんていうか・・・、ギャグ補正すげぇなおい。
いや、こいつらの準備の良さにも驚いてるけどさ。
そしてアギトはというと・・・。
「おし、出来た! ・・・ほれ、アギト様特製の薬湯だ! これで、身体の痺れも抜けるはずだぜ。」
「お、さんきゅー。」
そう、俺がメガ姉さんに、痺れ薬を盛られた事を知ると、俺が持っていたクッキーを1枚取り出し、そこから薬の成分を分析。
そそくさと周辺から、使えそうな薬草をピックアップ。
そうこうしている間に、痺れ薬を中和するための薬湯を煎じてくれたのだ。
(・・・普段からはあの姿は想像できないよな。まぁ、ゼストの旦那の為によく作ってたって言ってたしな)
「ん、どうした? 人の顔じっと見て?」
「いや、なんでもねぇよ。さて、ごちそうになるか。」
受け取ったカップの中には、俺の世界でよく知られている「あの商品」に似た色合いの液体が入っていた。これはまさか・・・。
ごくごく・・・。
「・・・苦い! もう一杯!!」
「青汁じゃねぇっ!! つか、薬を適正量以上飲んだら、身体に悪いだろうが!!」
って、お前、ずいぶん昔のCMなのによく知ってるな?
そんな事を思いながら、試しに腕を上下に動かしてみる。
・・・を? 心なしか動きがさっきより良くなってる?
「そんなにすぐ効くわけねぇだろ!
ったく・・・、リョウスケが盛られた痺れ薬、結構強力なやつだったから、もう少し経たないと完全回復って訳にはいかねぇぞ?
・・・それまで、絶対無茶とかすんじゃねぇぞ?」
なんというか・・・、相変わらず素直じゃない奴である。
ティアナやヴィータあたりとキャラがかぶ・・・げほげほっ
それはさておき、ちゃんと礼は言わないとな。
「あぁ。わざわざこんな所まで来てくれて、ありがとな。アギト」
そう言いながらアギトの頭を撫でてやる。
「う、おい! こら! やめろって・・・」
俺の手の中で、ちょこまか暴れるアギトを撫でながら、他の皆にも礼を言っておく。
「ルーテシア、ガリューにエリオ、キャロも、ありがとうな。」
「「いえ・・・」」
一部のズレも無く返事をするエリオとキャロ。
って、こいつら双子かよっ!?
ガリューも、満足そう・・・?な顔を浮かべている・・・と思う。
うむぅ、喋らないから、今ひとつ感情が読み辛いな。
そう思ったのが解ったのか、ルーテシアが。
「ガリューも『問題ない。』って。私もだよ、リョウスケ。それに・・・。」
「それに?」
「頼まれたから。」
「へっ!?」
「今日は『バレンタインデー』って日で、リョウスケがとんでもない目に遭うかもしれないから、力になってくれって頼まれたんだよ。
私もルールーも、エリオとキャロの二人もな。」
俺の手から脱出して、髪を整えながら答えるアギト。
そのアギトの言葉に頷くチビッ子三人組。
予想もしていなかった言葉に、俺は驚きを隠せなかった。
(頼まれた!? えっと、状況から察するに、あぁ、察する必要もないか。今、こいつらの口から聞いたんだから。
俺を助けるようにって誰かが頼んだ事だよな・・・? 誰がそんなことを?)
待て・・・、待てよ俺っ!! ここまで聞けば、命令した人間は俺の味方と判断するのが定石。
いや、そうとしか考えられないだろう。しかし、今日は俺にとって悪夢の日である。
そう、どんな事が起こるか予測など・・・出来ない!!
それはつまり・・・、ルーテシア達が『あいつら』の誰かと繋がってる可能性はある。ということである!
「・・・なぁ、正直に答えてくれ。その頼んだ奴って」
俺はそこまで言うと、一気に空気を吸って
そして、吐き出した。
「なのはか? フェイトか? はやてか? あぁ、それともシャマルやヴィータか? それともナンバーズの誰かか?
なぁ、こうして助けてもらったからさ、お前たちが誰に頼まれたとしても恨まねぇよ。あぁ恨まねぇさ。
でも、頼む!あいつらに引き渡す前に、心の準備だけはさせてくれ!一体、お前らを使って俺を捕まえようとしたのは、どこの誰なんだぁぁぁぁぁぁっ!!」
「アホかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
スパコーーーーーーーーーーンッ!!
アギトがどこからか持ち出したハリセンがうなりをあげる。
それが、早口でやや錯乱気味にまくし立てる俺の後頭部に直撃した音が、辺りにこだました。
「・・・落ち着いたか?」
「はい・・・。」
現実へと戻ってきた俺の目の前にいらっしゃるのは、ご立腹なご様子のアギト。
なんか、家のメイドさんが怒った時の空気と似ているのだが・・・。
「ったく! お前! あたしたちを疑うってどういう了見だよっ!!
アタシだけならともかく、せっかく来てくれたルールーにエリオやキャロまで疑うんじゃねぇっ!」
「うぅ・・・、すまん。もしもの可能性について考慮してみたら、錯乱してしまった・・・。」
憤慨するアギト。責められる俺。
あぁ、なんかいつもの図だ・・・。
「『錯乱してしまった・・・。』じゃねぇっ!
お前、いくらなんでも言っていいことと悪いことってのが・・・」
「アギト、もういいよ? 私達は気にしてないから。それに、無理ないと思う。アギトも見せてもらったでしょ?
リョウスケが『バレンタインデー』に酷い目にあってたの」
「そうだよ、アギト。だから僕達、良介さんの力になろうって決めたんじゃないか。」
「だからね? アギト・・・。」
チビッ子三人組が横からアギトを宥めている。
俺が全面的に悪いのだから、全員で攻め立ててもおかしくないのに・・・。
「・・・ったく、解ったよ。けど、リョウスケ! 今度やったら、遠慮なく燃やしてやるからなっ!!」
「あ、あぁ。みんな済まなかった。許してくれ。」
そう言いながら、俺は頭を下げる。
「でも、そうすると、誰がお前たちにこんな事を頼んだんだ?」
「それは、私から説明します。」
この中に居る、誰の者でも無い声がした。
それと同時に、俺の後ろに気配が生まれる。
その突然の訪問者に空気が一瞬で変わる。
俺は、自分の身体がブルブルと震えだすのを止められなかった。
そう、俺はコイツを知っている。
こ、この声は・・・、まさか!!
その声の方向に、俺は意を決して振り向いた。
自分の予想と違うことを期待して。
しかし、その期待は裏切られた。
そこに居たのは、そう、俺の天敵こと、ギンガ・ナカジマその人であった。
ーとうぉーず りざると
現時刻 10:29
近くの森林の池
ルーテシア、エリオ、キャロ、アギトと遭遇。
アギト特製の薬湯により、少しだけ麻痺回復(完全回復まではもうちょっと)
すったもんだの漫才の末、ギンガとも遭遇。
取得アイテム。
痺れ薬入りクッキー(11枚)
新しい服(和服チック)
アギト特製の薬湯
アギトのハリセン
2/14終了まで…
−13時間31分−
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