徐々にだが笑顔を取り戻しつつある青年――。

本来の優しい笑顔に戻りつつある彼の顔を見て、なのはは嬉しく思った。

いろいろな物に触れて、いろいろな人と触れ合って、立ち直りつつあるシック。

……学校と管理局、二つの板ばさみになっている為に彼と話しをしたり、一緒に何かする機会に

何かと恵まれない事もあるが、自分が空いている時はなるべく、彼と一緒に居る事にしよう。

そう思っていた――時だった。

 

コンコン

 

自室の扉がノックされ、家に帰っていたなのはは誰が来たのだろうか、と思って立ち上がる。

 

 

「はーい。」

 

『――あ、俺。シックだけど……』

 

「ふぇっ!?し、シック君!?」

 

『今――大丈夫そうじゃないね、出直そうか?』

 

「だ、大丈夫!問題ないよ!?大丈夫だから!?」

 

『そ……そう?そ、それじゃあ……』

 

 

がちゃり、とドアを開けて――普段着の、無地のTシャツにズボン、と言う質素と言うか地味というか……。

まぁ、そんな感じのシックが手に小包を抱えて入ってきたのだ。

 

 

「ど、どうしたのシック君?」

 

「あ、いや……なのは――その、明日暇?」

 

「明日……うん、暇だよ?」

 

「じゃ、じゃあさ――」

 

 

顔を真っ赤にしながら、そしてシックは一握りの勇気と度胸を全力全開にして――踏み出した。

あの日自分を助けてくれた少女に恩を返すために、今をくれた女の子に御礼をするために。

 

 

「明日、俺と一緒にどっかいかない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――翌日

 

 

髪を整える、服装をチェックする、持ち物、財布、ハンカチetc――。

服は自分が持ってる奴で一番可愛い奴を選んだ、滅多な事ではつけない甘い匂いの香水も吹いた。

昨日は……突然の誘いの為、あんまり寝る事が出来なかったけど……大丈夫、眼の下にクマなんて出来てない。

 

 

「―――よ、良し。大丈夫だよね?問題ないよね?」

 

 

改めて自分自身の格好を見てみる。

……多分、問題ないと思う。と、言うか問題ないと思いたい。

 

 

「うん、大丈夫―――。」

 

「なのはは何時でも可愛いわよー。特に最近は。」

 

「はにゃあああああああっっっ!?」

 

 

突如、後ろから母・桃子が現れ、思いっきり驚いたなのはは妙な悲鳴を上げて飛びのく。

バクバク鳴っている心臓をどうにか押さえようと、正常な状態に戻そうとするが、暫くは無理だろう。

そして、大好きな男の子(※本人は気づかれて無いと思っているようだが……)からのデートのお誘いを

受けて舞い上がっている我が子を見て、桃子は笑顔になって――。

 

 

「今日は思いっきり楽しんできなさい。……あ、晩御飯を済ませてくる場合は電話頂戴ね?」

 

「う、うん。……それよりもお母さん……何時の間に私の部屋に入ってきたの……?」

 

「ついさっき。ノックしても返事が無かったから。」

 

「……………」

 

 

さらりと答え、そしてバツの悪そうな表情をしているなのはを見て微笑むと――窓の外を指差す。

 

 

「ほら、早く支度を済ませちゃいなさい。シック君、待ってるわよ?」

 

「――!、にゃああああっ!?時間、5分オーバーしてるー!?」

 

 

大慌てでバッグを手に持ち、バタバタと階段を駆け下りていくなのはを優しい表情で見つめる桃子。

なのはが大慌てで玄関から出て――私服(※美由希がコーディネイトした)姿のシックの所に向かい、そして

二人で話しながら歩いていく様子を見て……やはり変わらず、優しい表情を浮かべたまま、その様子を見守っていた。

 

 

なのはと一緒に家を出て、二人で並んで歩く中――シックはどこに行くかを悩んでいた。

彼女は飾らない性格であり、ドコに行こうとも喜んでくれるだろうが……やはり、シックも男の子。

女の子を誘った以上は男の面子と言う物も保ちたい、しかもシックは――年上なのだ、なのはの。

男子の面体、年上としての面子を保つ為、大して読みもしない若者向けの雑誌を買って来たのは良い。

……だが、雑誌の中で紹介されている店……、どれもこれもがなのはと合ってない。

そんな気がふつふつと頭をよぎり―――。

 

 

「……私は、シック君とならどこでも良いよ?」

 

 

笑顔で、裏の全く無い笑顔でこう言われた。

 

 

「……ごめん、この雑誌見て――参考にして、回ろうと思ったんだけどさ、なんか……違うんだよね。」

 

「私は構わないよ?」

 

「いや、なのははそう言うけど……やっぱり、俺も男としての面子があるんだ……。

 女の子誘っておいて、女の子が喜んでくれないってのは……いただけないかな、と。」

 

 

雑誌を見つつ『あーでもない、こーでもない』と難しい表情で雑誌を見つづけるが―――。

やはり、妙案は浮かばなければ自分ではドコに行けば良いか解らないと言う悪循環。

……頭から煙を噴出してフリーズしているシックを見て、なのははクスリ、と笑顔を浮かべる。

 

 

「無理しなくても良いよ?私はドコでも構わないから。」

 

「………次回までに勉強しておきます………。」

 

「そ、そこまで深刻に考えなくても良いよ?」

 

 

表情がコロコロと変わるシックが面白いのか、なのははシックを見て微笑む。

そして、未だに難しい顔で思案して『どよーん……』なオーラすら纏っている彼の手を取る。

行き成り手を握られた事でシックは驚き、顔を上げると――そこには笑顔。

 

全く裏の無い、そして屈託の無い笑顔のなのはが居た。

 

問答無用で人を惹きつける笑顔を直に『魅てしまい』、一瞬だけドキリとするシック。

だが、次の瞬間になのははシックの手を取って走り出し、シックもあわあわしながらもそれを追う。

 

二人の手は――しばらく離される事は無かった。

 

 

 

 

しばらくの間、二人で走り――海鳴の商店街へと辿り着いた二人はそのまま商店街を見て回る。

ウィンドウショッピングを行ってキャイキャイ言っているのかと思えば……そうでもない。

なのはは何も買ってないが、その隣に居るシックは違う。

画材店で一通りの画材を買い揃えていた、色鉛筆を始め、普通の人間は使わないだろうパステル類。

他にも絵筆数本、後は新しいスケッチブック……など、結構な量の画材を買い込んでいたのだ。

 

 

「シック君って絵を描くんだね。」

 

「まぁ、若者らしくない趣味だけど……うん、絵を描くのは好きだよ。

 風景画とか物とか、後は……まぁ、アニメとかゲームに出てきそうなロボットとか?」

 

「そうなんだ……ね、シック君。今度、シック君の絵、見せて欲しいな。」

 

「うぇ!?お、俺の絵を!?……いや、その、あんまり……上手くないし……。」

 

「……駄目?」

 

「…………笑わないって約束するなら。」

 

 

二人して商店街の中を歩き、笑顔で(※一名はしかめっ面だが)買い物を進めていった。

穏やかで優しい時間が二人の間に流れ、二人とも時がたつのを忘れて遊んだ。

まぁ、立ち寄ったゲームセンターでなのはがトンでもない腕のゲーマーだったと知った時は驚いた。

格闘ゲームをやれば乱入者を余裕で蹴散らし、ガンシューティングゲームでは二人分のコインを入れて

二挺拳銃は当り前、しかもスコアランキングに『N・T』と自分の記録を残していく徹底振りだ。

 

 

「……凄いね、なのは。」

 

「そうかな?配置とか敵の出てくるタイミングを覚えれば出来る物だよ?」

 

 

ニコ、と可愛らしい笑顔を浮かべながらサラリとそんな事を言うなのはに苦笑するシック。

ひときしり遊んだ後、ふと――空を見上げてみると日は落ちかけ、辺りも暗くなり始めている時刻。

 

 

「さてと……そろそろ、帰ろうか。」

 

「あ……うん、そうだね。」

 

 

シックは笑顔で何を思う訳でもなく、手を差し出し――なのはも握った。

 

 

「「………あ。」」

 

 

そこで二人は気づいた、二人して『何を思う訳でもなく手を握り合っている事』に。

シックは慌てて手を離そうと、力を緩めるが――なのはに手を握られ、離す事は出来なくなった。

 

 

「――帰るまで、こうしてて良いかな?」

 

「――うん、良いよ。」

 

 

 

この日、二人の間に生まれていた不確かな想いが――形になりました。

 

新たに生まれた優しい想い、繋がった絆。

 

こんな時がずっと続けば良いのに、と少女は想う。

 

青年は隣で微笑む少女の横でずっと笑っていよう、と心に誓う。

 

 

 

 

まだまだ寒い空でも――満天に輝く星々が二人を祝福していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜後書き代わりのネタ劇場〜

     これは春風本編とは関係ありません。

     これは春風の印象をぶっ壊す恐れがあります。

     これはネタ優先で打っています。

 

ネタ提供・リョウ様

 

 

 

膝を付く――でも、屈する訳にはいかなかった。

 

青年は心に決めていた、なのは達もナンバーズ達も救う、と。

確かにナンバーズ達は罪を犯してしまったのかもしれない、だが――罪は償えばいい。

『かつて』と『これから』は違う、だから『かつて』が悲しみで彩られた物なら――『これから』を作ればいい。

一緒に明日を、明後日を――未来を作って歩き出せば良い、そして自分はそんな明日を護る為に立ち上がろう。

 

 

「止めたまえ。勝敗は見えている。」

 

「――負ける訳には――いかないんだ……皆の為にも……なのはの為にも!」

 

 

金色の髪は血で塗れている、手に装着した具足にも流れる血で真紅に染まっている。

シックは立ち上がり、流れる血を乱暴に拭うと――拳を握りこんだ。

 

全身が痛い、両足が大合唱している、だが――そんな事は関係無い!

 

 

「お前は――皆を泣かせた……!」

 

 

ナンバーズ達の運命を狂わせ、スバルの大事な姉……ギンガの運命も弄んだ。

 

 

「お前は――皆を傷つけた……!」

 

 

シックは呟きながら――目の前の男に改造され、戦闘機人となった事で得た力。

男の野望をかなえる為だけに与えられ、男の想いを打ち砕く力へとなった――その『力』!

スバル、そしてギンガが持つリボルバーナックルを参考に造られたデバイスに力を込める!!

 

 

「絶対に許さない。……俺のソウルゲインが破壊する為だけに作られたのなら―――!」

 

 

手にした手甲、ソウルゲインが輝いた。

 

 

「俺は未来を!お前が描く未来を破壊する!!そして皆を助けてみせる!!!」

 

 

威風堂々と敵を――ジェイル=スカリエッティを見据え、アナザーナンバーの青年。

『白き拳闘士・シック=クローツェル』は悲しみで彩られ様としている未来を砕く為に立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

リョウさん、俺じゃこれが限界だよ  orz

さて、まだまだネタは募集しています。

どしどし送って――ください、イヤ、まじで(ぁ




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