リリカルなのは――力と心の探究者――プロローグ1

 

 

 

「いよいよ別れの時が来たようじゃ」


年の頃、十五、六の少年の前に立つ女性がそう答える。
本体から与えられていた力が限界を迎え、もう彼女はその体を維持することができなくなっている。光を放ちながら、ゆっくりと姿が消えていく。

「妾(わらわ)がいなくなったからといって、修行をおろそかにしたらしょうちせぬぞ」

少年は黙って頷く。彼もまた好きで修行していたのだからその言葉に反するつもりはなかった。

「よいか。“蓬莱式”は万物の事象を知り、己を高めるためのもの。決して●●●●●●●●●●などということはあってはならぬぞ!?」

少年は渋々ながらも頷く。それはどうかと思いつつも、彼女の過去を聞いたうえでは、そういう考えに至るのも致し方ないと思っている。
過去から何も学ばないのでは成長もないのだから。しかし……

「縁があれば、そちが妾(わらわ)の本体と出会うことを祈っている」

それは正直かなり低い可能性と言えた。次元世界は広い。
そんな中で、失われた魔法体系の、失われた●●●●を見つけ出すなど正に雲を掴むような話だろう。でも出会えることを望まずにはいられない。
それだけ少年にとっても、女性にとっても、意味のある年月だったのだから。

「では……、さらばじゃ」

ひときわまぶしい光を放った瞬間、女性の姿は消え、光の残滓がゆっくりと天へ昇っていく。まるで、天の世界へ旅立っていくように……。
そして、少年の自立を祝福するかのように……。

「……」

結局、少年は別れの挨拶を口にすることができなかった。
彼にとって、彼女は師匠であり、家族同然の存在だったというのに……。
しかし、女性がそれに憤ることなどないだろう。
なにしろ、少年が自分の目の前で、必死に涙を見せまいとしているとあっては……。

これは、不思議な縁と出会いの話が起きるより前の話。
幼くして現実の苦悩を知った少年は、傷心の中で不思議な女性と出会う。

女性は答える。「妾(わらわ)が見えるのか?」 と。
その女性はこの世界の常識には収まらぬ存在。
少年に才能があることに気付いた女性は誘いの言葉を掛ける。

「この力、修めてみたいと思わぬか?」

それは幻想(ファンタジー)への誘い(いざない)。
そして少年はそれに応えた。

こうして修行の日々が始まった。
女性はこの力を絶やさぬために。

少年はこの力に魅せられた故(ゆえ)に。

それが今終わり、また新たなる出会いへと続いていく。

それは力を持ち、想いを通すために闘う者たちの物語。
 

 

 

 

 

あとがき

どうも、皆さんお久しぶりです。今まで投稿せず申し訳ありませんでした。
この度、設定を大幅に変更して書き直させていただきました。
 今度こそは続けられるよう頑張る所存ですのでよろしくお願いします。
 






作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板
に下さると嬉しいです。