To a you side 外伝『エピソード・オブ・ミッドチルダ』




……ミッドチルダ……
高度な科学と物質的魔法が進歩した此の世界…数多の次元を管理する時空管理局に最も縁深いとされている世界。

その世界が今……あらゆる万物に死を与える『砂漠の魔物〜バジリスク〜』に侵されていた。

夢もロマンもない科学と欲望塗れのファンタジーは、乾いた砂塵に押し潰されていく。

悲劇を失くそうとする者…

大切なものを守ろうとする者…

世界を守ろうとする者…

己の力を誇示しようとする者…

それぞれの思惑の違いはあれど…純粋な想い。
それぞれの正義がそこに在った。

しかし……




―――――――――それぞれの思いは行き違い…。ミッドチルダの天空と大地で激突する!!



「そいつらはな…、ちっぽけな存在に過ぎないくせに、世界を悲しみや後悔から救おうなんて、本気で考えてる。
そんなもん…この世界の誰にも在っちゃいけないなんて思ってる。
自分の命はそのために使うんだとさ……。」

「誰も悲しまねぇ?
…よくいるな、そういう甘ったるい平和バカは…。
本当の戦いを知らねぇからだ。お前もそう思うだろ?」

「全くだ。」






―――――だが、それでも守りたいなら……戦わなければならない。

「クハハハハ、くだらなすぎるぜ。
救えねぇバカはテメェだな。
これがいい例だ。他人と馴れ合っちまったがために死んでいく。
そういう奴らを俺はごまんと見捨ててきたぜ。」

「……じゃあ、お前が一番バカじゃねぇか。
俺と同じ…な。」








―――――砂の魔物は、貪欲に命を喰らう…

「聖王のゆりかご内部…駆動路を動かしているレリックに…とあるプログラムを仕込んでおいた。
レリックは一時間後…爆弾代わりにこのミッドチルダにばら撒かせて貰う。
喜べ。お前等は世界の悲劇とやらを止めたがっていただろう?
スカリエッティ一味の様な犯罪者を逮捕なんて、面倒なマネをせずとも、
悲劇なんてものを生み出す人間どもを次元災害でも起こして
消し飛ばしちまった方が手っ取り早い。」

「…!!…待て……気持ちはわかるが、
熱くなるな!テスタロッサ!!」

「…そうだよフェイト。
こいつは…プレシアとも、スカリエッティとも違う!!
正気なのに……罪の意識を微塵も感じちゃいない!!」

「離して!!シグナム、アルフ。
なんで…そんな酷い事が平気でできるの…?
…この世界の人たちがお前に何をしたと言うの!?」

「くだらん。
不幸と絶望に酔っていただけの小娘がほざきそうな戯言。
テメェの母親プレシア・テスタロッサと同じ…くだらん女だ…。」







―――――優しき者は、大切な者を守るため杖を取り、血を流す………だが…

「……ブラスターシステム…。
術者の魔力を底上げするデバイスの増幅機能。
だが、その分、肉体への負担は半端なくデカイ…か。
クハハハ、そんなこったろうと思ったぜ。命を捨てて、この俺に挑むのか?
不屈のエース・オブ・エース。」

「あなただけは許せない。
ヴィヴィオの様な悲しみを平気で生み出すあなたは…!
あなたは知らなきゃいけない。
あなたのエゴで傷つく人達の痛みを……怒りを!!!」

「この俺を誰だと思ってる。
テメェの様な才能だけの小娘なんざ、幾らでもいるぜ…?高町なのは。
この広大すぎる多次元世界の中にゃあよ…」








―――――砂の悪魔はそれさえも嘲笑う。

「あー、あー、あー、スマートじゃねぇな。
命は大切にしろよ。
いや、もう手遅れか。クハハハハハハハハハ。」

「あの男は…
戦う事すら、しないのですか。
…………騎士カリム……!」

「勝手にくたばるなら、
俺が手を下すまでもねぇよなぁ?
クハハハハハ、間抜けってのは、まさにこの事だな。」

「……!!……外道!!!」






―――――天を轟かす鉄槌さえも…

「テメェは、テメェだけはぁーーーーーーーーー!!!
絶対、許さねェェェェェェェ!!!」

「ほう、物理破壊魔法と言ったところか?…ん?」

「烈風一陣!!ウィンデルシャフト!!」

「轟天爆砕、ギガントシェラーク!
リミットブレイク『ツェアシュテールングスハンマー』ァァァァァァァァァァァァ!!」

「………テメェ等も……
…他人のために死ぬクチか?」











―――――若き未来さえも絶望に変え…

「しっかりして!!
スバル!」

「ギン姉ェ、…これ…
……嘘だよね…?」

「隊長達が
……全滅…?」

「フェイトさんも
…なのはさんも…?
シグナム副隊長やヴィータ副隊長も?」

「……弱ぇってのは…、罪なもんだ…」

「……!!!。
スバルさん。ティアナさん。キャロ…
…まだ、諦めるには早いよ!!」

「クハハハハ、機動六課の雛共か。
お前等はこの光景を見ない方が…幸せに死ねただろうに……!!!」









――――――尊き理想さえも砂は覆い尽くす。

「まだや……機動六課は……私達は……まだ、終わってない!!」

「あぁすれば誰かを救える。こぉすれば誰かを救える。目ェ覚ませ。
お嬢様。見苦しくて適わねぇぜ!お前の理想論は!!
…理想ってのは、実力の伴う者のみ口にすることができる現実だ!!」

「見苦しくったって構わへん!
理想だって捨てへん!
……あんたなんかにわかるもんか!
私達は…あんたなんかに屈しない!!」

「可愛げのねェ女だ。
…あの宮本良介とかいう男も…お前等にさえ関わらなければ…
例え、冷たい孤独の道と言えど、もっと長生きできた…後悔のない人生を送れた筈だ。」

「……!!」

「やめて!やめてください!
はやてちゃんは悪くありません!!」

「そ、そうです。
良介を巻き込んだのは…巻き込んだのは…う、うぅ、ふぇぇぇ……」

「!!…シャマル…ミヤ…。」

「全てを救おうなんて、お前の甘っちょろい考えが、結局お前の大切な人間に無残な死を与える結果を招いた。
最初から最後まで、どいつもこいつも笑わせてくれたぜ。お前等の三文劇は。
機動六課設立から今日まで、俺の手の平のうえでのダンス…ご苦労だったな。
結局、お前等には、何も止める事などできなかった。
悲劇を止めるだの、後悔を失くすだの、お前のくだらねぇ理想に付き合わされて、無駄な犠牲者が増えただけだ。」

「……!…」

「教えてやろうか?……………お前は何も救えない。」

「……!!!…」





―――――――悪の美学に共感を得た女も存在した…だが…、

「ふふふっ、ミスター?
あなたはもう用済みですわん。
ドクターの理想に貴方は邪魔なんですぅ。
ここで消えてもらいましょ。」

「…………そうか、残念だ。
お前らは優秀なパートナーだったが…
…ここで殺すとしよう。」

「…!?」

「…この裏切りは、俺にとっても予想外だった。
お前等は俺と共感するものを持っていると思ったからだ。
特にお前とはな、姑息かつ卑劣なまでのお前の任務遂行への執念を買ってたからだ。
その結果がこのザマ。
……だが、俺はお前等に怒りなど感じない。なぜだかわかるか?クアットロ?」

「………?
…フン、そんなもの、あなたが詰まらない。
…他人を信用しすぎる愚かな虫けらだからというだけの話じゃないのかしら!?」










――――――――戦闘機人ナンバーズ4・クアットロは悪い女だ……だが…

「…そ、んな…嘘……
…い、いやぁ…」

「…全てを許そうクアットロ。
なぜなら俺は…」

「……ごふっ…
…がはっ」

「最初っから誰一人…
…信用しちゃいねぇからさ!!」








――――――――第28管理外世界の最強の一角…王下七武海・海賊『クロコダイル』はそれすらも超える大悪党だ。

「お前等が裏切ろうが、裏切るまいが、関係ない。
最初から全員消すつもりだったのさ。
使い道のない危険な道具は二度と動かないように壊すに限る…
『ゆりかご』は、俺がこの地に最高の軍事国家を築くために頂いておこう。
代わりのエネルギーと聖王の器は用意している……
なぁ?宮本良介?」










――――――――友を救うため。巨悪を討つために、幻想を追っていた医者と、道を間違えていた正義の守護者が立ち上がった。

『本気ですか?レジアス中将。
彼を…スカリエッティを信じると…?』

「三提督ミゼット…。
ここで我等が争っても意味が無い。」

「いいのかいレジアス?
地上本部を破棄する事になるよ?
陸だけじゃない。空や海……
……クロコダイルは、時空管理局そのもの潰すつもりだよ?
あの男には、それが可能だ。
私は良介くんや娘達を助けられれば、それでいいんだが、
君は違うだろう?どちらにしても責任はとらされる。」

「そうだぞ!!あの砂ワニ野郎は!
変態ドクターやナンバーズが
ワニとネズミの差ほど可愛く思える位、性質が悪いやつだ。」

「元より覚悟の上だ!
例え、我等が滅ぼうとも、
根源を絶てば、人々によって、
それらはまた再生される。
だが、このまま我等が後手に回り続ければ、
最後に笑うのはクロコダイル唯一人だ!!」

「……!!…父さん。」

「レジアス。…そこまで」

「ゼスト…正義とは…人の上に成り立つ…
そんな当たり前の事を俺は今まで、忘れていた様だ。
敵は魔法が効かず、魔法を上回る武力と、
時空管理局…最高評議会をも、掌で踊らせる策謀を持つ。
クロコダイルは甘くない。
もはや、何の犠牲も無く、終結を見うる戦いではないのだ。」

「……クロコダイルは独自のルートを使い、聖王のゆりかごの動力源となる
わたくし共が集めたレリックの代わりのエネルギー結晶体ロストロギアを収集していましたわ。
そして、それを動かすための機動キーの予備として、
聖王の器に近い魔力資質を持つ良介様に目を付けたのでしょう。
初めから私達は誰一人、あの男に仲間と見られてい無かった訳ですわね。
……急いだほうがいいですわね。」








――――――悲痛ながらも、大いなる決意……だが…


「……困るねぇ」

「「「「「!!!」」」」」

「物騒なこと考えてくれるじゃねぇか?
ここはもうじき俺の家になるんだぜ?」

「…!!」

「…テメェ…は!!」

「……ク…」

「……クロコダイル…!!」

「久しぶりだな。
ミス・ドゥーエ、
ミス・アギト、
ミスター・スカリエッティ、
ミスター・ゼスト…
良いもんだな。地上本部の総本山。
クハハハ、糞共を見下すには良い場所だ。」







――――――――それすらも、乾いた砂塵は押し潰す。

「お前の求めるものは!!この世界にはねェ筈だ!
孤独に何の不満もお前はなかった筈だ!!違うか!?
他人を助けるために!?そんな事で死んでどうする!?
仲間の一人や二人…見捨てちまえば、迷惑な火の粉はふりかからねぇ!!
全くバカだテメェは!!」

「助けたくなんかねぇよ。
身体が勝手に動いちまうんだ。
俺の身体を縛り付けやがるムカつくこの糸…この腐れ縁!!
潰せるもんなら、潰してみやがれェェェェェ!!」

「……!!?」

「いくぞ!!ミヤ!アギト!」

「良介…ハイですぅ!!」

「…ぐすっ
…へへ、しょうがねぇなぁ。
バッテンチビと一緒ってのは気に喰わねぇけど!!」

「「「ダブル・ユニゾン・イン!!!」」」







――――――――神か悪魔か…勝者は一人…

「砂漠の金剛宝刃『デザート・ラ・スパーダ』!!!!」

「煉獄『インフェルノ』
+氷河『コキュートス』…合成!
超・法・力!!
神曲『ディビーナ・コメイディア』!!!!」








――――――――運命の砂時計は刻一刻と…最後の時を刻み始める。







……孤独の剣士と砂漠の魔物……
孤独の剣士は、もしかしたら……
砂漠の魔物に幻想を見ていたのかもしれない。
昔の自分が目指し、憧れた理想の自分像を……
己以外の何者も寄せ付けない…信じない…
圧倒的な武力と、その精神に…






書いてしまいましたぁぁぁぁぁぁ!!恥ずい!!長い!!
そして、やばい!!
まさかのワンピースとのクロス!!
そして、まさかのクロコダイル参上!!
なんか、はやての発言がビビに似てたのと、
悪女クアットロ以上の大悪党であるクロコダイル氏に登場していただきたかったのです。
あと、You Tubeでアラバスタで検索したら、
水樹奈々がクロコダイル編で歌っているMADがありましてね。思いつきました。
これです。⇒ttp://jp.youtube.com/watch?v=9iK5J7kJW30
できれば、感想お待ちしています




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