銀色の少女はそのまま意識を失った時より少し前に意志を何とか取り戻した。
メガーヌはそのありえない光景を黙って見るしかない。
『私も早く動かない・・・でも体が言う事を聞いてくれない』
と考えていた時に、遺跡の入り口から途轍もないほどの大きな音が聞こえた。
「ん」
サトシもそちらの方向を見つつ、赤い石が入っているケースを手に持っていた。
「メガーヌ!! ゼスト隊長!!!」
その遺跡の入り口から現れたのは人物は髪の色は水色だがその一部は血の色で染められている、
上に左手は肘の部分は完全になくなっており、残った右手でそこから流れる血を抑えながら現れていた。
無論体中は傷つき無傷の方を捜す方が難しい状態である、そんな状態でその女性が見たのは
この惨劇を生んだと思われる人物が持っている物はメガーヌとゼスト隊長が運び出したものであり。
尚且つその男性の足元にはまだ幼い少女と呼べる人物がボロボロの状態でいたのだ。
それを見た瞬間に、クイントは自らの状態も省みずにその男性に向けて突撃する為に魔法を使った。
ガッコン!!ガコッン!!
何かの音が突如成った、その直後にクイントは起きているかどうか微妙のメガーヌに声をかけた。
「逃げてメガーヌ・・・私がこの男性を倒す!!」
クイントの足元に水色の道が真っ直ぐに出来るとそのまま、残りのリボルバーナックルから空の弾球が二発発射されると
突撃した。
だがその行為その物を黙って見ている者としては、どうでも良いことなのだが、
『そのまま逃げれば助かった命を粗末にするとは、やはり降りかかる火の粉は払うしかないようだ』
サトシは徐に左手を出すだけにした。
「ヌオーーーーーーーーー!!!」
クイントの右手のリボルバーナックルは何故かその男性が出した右手に吸い込まれるように綺麗に
その右手に収まると
クッイ
クイント自身何かに引っ張られるようにいつの間にか空中を待っていた。
「つまらないな」
クイント自身を飛ばした技は合気道と呼ばれる他人の力を利用する技である、本来のクイントなら問題なく
この程度の小技は問題は回避できるが、今回は状況が違い結果としては、クイントは受身を取れずに
地面に叩きつけられる結果となった。
「グッハ」
口から血を出すがそのまま追撃の手を休めるほど甘い人生を送ってはいない。
未だ持っている水色の髪の女性の右手に力を少しだけ、入れると
肘・腕・筋・筋肉の全てが捻じ曲がったしまった。
「うっぎゃーーーー」
クイントの両手はもはや完全に使い物に成らないほどありえない方向に曲がってしまったと同時に
奇声を上げて、そのまま気を失った。
もし仮に命が助かっても、武装管理局員として働くのは既に絶望的だろう、たとえ元に近い形でも戻れたとしても、片腕は義手に頼り残った腕の再生にも
莫大な時間と資金が掛かってしまう。
それがクイント自身が強く否定するあの技術を使ったとしてもだ。
サトシとしてももう動く事すらままならない、人物を相手にするよりかは、さっさとこの場を後にした方がいいのだ。
無論一部始終を見ていたメガーヌは
『ダメだ・・・この人はあの瀕死の怪我をおった敵味方問わずあの人に対価をしはらえば・・・クイントは助けてくれる』
事を思い今すぐにこの場を立ち去ろうとする人物の足止めとそして召喚師として最大の禁忌と言われる。
召喚融合と呼ばれる方法をメガーヌが取る以外は方法は無かったのだ。
【召喚・我竜】
茶色の鱗に全身を包んだ、人型形体の竜と呼ばれる存在である。
「待ってください、貴方は対価を支払えばどんな願いでもかなえてくれるんですね」
この手の竜は大抵喋る事が出来ないが逆に戦闘能力が高い事が有名でありそれを従える事が出来るメガーヌの実力が伺えるが。
「だとしても、どうしたというのだ、竜と共にある者よ」
「お願いがあります、先ほど戦った者を完全に治癒させてください」
「襲われると判っている敵を癒すほど、酔狂ではないぞ」
「違います、この者にはまだ・・・ やって欲しい事が在るのです、ですから直していただければ、私がこの体を使いこの者にやってほしい場所に移動させます」
この問いにサトシは少しだけ考える事に成った。
『先見で見えた、二つの真実とは既にかけ離れているか、確かあの男は、本来ならば記憶を失った少女に倒されている
またこの者と先程倒した女性も共に命を立たれているからな、ならば・・・』
「ならば、その願いをかなえよう」
メガーヌはその者の言葉を聞いて、安堵した。
「彼の者の今一度のその朽ち果てた肉体を再生せよ、再生魔法リザレクショク」
今度の魔法は先ほど使われたの魔法とはまったくの別の性質を持った魔法である。
気絶している水色の女性の周りには六亡星の魔法陣が現れた後は殆どありえない状態だ
タダでさえ、クイントはボロボロの状態であったのだが。瞬く間に捻じ曲がった腕や無くなったはずの腕が
いつの間にか元通りに直っていた、そう初めから何も起きなかったと思えるほど綺麗な状態だ。
「これでこの者は全て直した。では対価として、お前の【これからの六年間の自由と時間】を貰う」
それを聞いたメガーヌは自らの身体を我竜の状態で調べてみると、眠っているような状態でそのまま目を覚まさない
用になっているに気づくと。
「本当に、本体である私はすでに奪われたようですね、では約束どおりにクイントを運びます、最後にクイントを助けていただき有難うございます」
メガーヌは自らの体から召喚師がつけているデバイスを我竜に付け替えると、未だ気絶している
クイントをお姫様抱っこの状態で紫の色の魔法陣で転送魔法を使い、そのままその次元から消えてしまった。
残ったサトシは赤い石が入っているケースを取り出して右手に持った。
「これを、鍵に」
赤い石を持っている右手に力を入れて、徐々にだが赤い石は赤い鍵の形に変わっていた。
無論その間にも削られた赤い石の欠片は、足元に散らばっているが、それを気にする風貌は見せずに、
出来上がった鍵をそのまま右手に持ち、記憶を奪った銀色の少女を残った片手で抱っこをした直後に次元の魔女の元に移動をした。
それから30分後にウーノ達ようやく現場に到着したが、すでにレリックは何者かに奪われた後で
チンクの姿は何処にも見えずに、その場で未だ気絶していたクアットロの元にウーノが近づく時に
サトシが鍵を作り出した破片がウーノに見つかってしまった。
「このエネルギー量を計算すると、【レリックの破片】のようですね、だとするとすでにここに有った
レリックは無くなったと判断したほうがいいのかは、クワットロを起こしてからですね」
ウーノはその破片を回収した後に。
「いい加減寝てないで起きてください」
ウーノの蹴りがクアットロのわき腹に当たり、強制的に起こされたのだ。
「いたいよ、ウーノ姉様・・・あれチンクちゃんはどこへ行ったのかしら?」
クアットロは一度死に掛けたのだ、そんな状態では幾ら戦闘機人だとしてもやはりベースは人間なのだ
よってその間の記憶は完全にない。
「貴方も知らないという事は・・・管理局に捕まった可能性もあるように」
「えっ・・・いくらチンクちゃんでもあんな間抜けに捕まるわけはないよ」
2人の言う事はある意味正しいが、情報が未だ確定していないのだ。
それに遺跡内部ではデバイスが尽いている腕の一部が見つかったとトーレから先ほど念話でようやく判ったことだ。
「それではクワットロはあそこで倒れている管理局員2人を連れてきて頂戴、私はドクターの下で情報を調べて
チンクが何処にいるか調べてみます、トーレはクワットロと共にアジトに戻ってください」
ウーノはさっさと転送魔法でそのままある場所に移動をした。
残されたトーレとクワットロは倒れている男性と女性とデバイスをつけたままの腕の一部を持って自らのアジトに
転送魔法で戻っていた。
丁度その少し前に時が戻るが、クイントを抱っこした我竜はゲンヤ・ナカジマが部隊長をしている
宿舎へなんとか転送できたが、管理局の魔道師と言えども、許可なしに転送系の魔法を使えば罰則が適応される。
それが自分達の目の前で行われたのだから、現行犯逮捕はできると思ったがその者が抱っこしている人物を見た瞬間に
警戒は解かれてしまったと同時に隊長へと連絡がいった。
「クイントさんがお姫様抱っこされた状態で気絶している」と
そんな事を聞けばゲンヤは自らその場所へと足を運んでいた。
だがそんな時間はメガーヌには無く、元々融合魔法系は最後の手段と言われているほどであり。
メガーヌの精神もそろそろつきかけていたのだ。
『もう限界なのね・・・でもこれだけは伝えないと』
その為に近くにいたゲンヤの部下達に伝言を頼む事をした。
「そこの人、私は首都守備隊のゼスト隊所属はクイントを残して全滅したわ、目標の回収も失敗に終わりまし・・・」
最後の一言を言う前に我竜の身体は完全に消えてしまったと同時に抱っこしていた人物が消えたのだ。
当然、クイントは地面に叩きつけられる。
その直後に隊長のゲンヤが到着した。
後書きーーーー
ゼストをゼクトと書いていたことに気づいて四話目はなんとか修正できましたが
三話目はもう一度修正する必要がありそうです。
再生魔法 リザレクション
今回の魔法もやはり【時間と自由の対価】が必要である ゆえに中々出番がない魔法であるが
全てを再生する事必要がある者しか使われない。
【クイントのデバイス着きの腕の一部】
謎の機械軍との戦いでもげ落ちた、その為か遺跡内部に入ったトーレによって見つかり回収された。
レリックの破片
主人公が鍵を作る際に出た残りかす的な物だが、それでもある程度のエネルギーを有している。
魔法:融合召喚
召喚師達の切り札であり同時にかなりのリスクを要する魔法で、本来の使い方は死亡する前の召喚師が自らの
召喚獣・召喚竜などに自らの意識をのっとる技だが。逆に術者の力量が弱すぎると召喚した者達によって逆に
自らの意識さえ消される術であり。管理局が作った非設定が出来る前は普通に普及していたが、もはや扱える者は非常に
稀な存在であり、危険な魔法であることには違いない。 管理局側のランク設定ならばAAAランク以上とされている。