なのはが簡単な任務で受けた傷は確かに今後の管理局の仕事にも係わるほどであったが、一緒についていた鉄の騎士である。
ヴィータがあの世界で偶然通りかかった治療系魔道師に助けてもらったと偽の報告書を管理局側に報告するためにあげたのだ。
なのはの体の事やあの出来事はいずれ判る事だが、今はその時ではないとヴィータとレイジングハートが直ぐに決めた事であった。
無論、なのはにも本人も、簡単な身体検査を受けたが やはり極度の疲労で、リンカーコアが自らの機能そのものを停止させていた。
これは医学的に見ても、自らの自己防衛機能が働き、意図的に停止させているが検査結果からも見て取れた。
今回の事を受けた上層部が、将来のエース候補をココで潰すのは惜しいと考えた結果。
【半年の間は高町なのは、管理局に係わる全ての仕事の全面的に禁止する】辞令を【高町なのは】に直接リンディから受け取る時に
「今回の事は、私達も失念していたわ、なのはさん本人が余りにも優秀すぎたから、気が付くのが遅れたの、
だからこそ、この辞令でなのはさんは、休養を確りして、それから再び決めてね」
「わかりました、リンディさん、皆さんに迷惑をかけることになりますが・・・・・・」
パーーーン
なのはの言葉が最後まで出される事はなかった、逸早くにリンディがなのはに向かって手を上げていたからだ。
「なのはさん、皆に迷惑をかけるとかじゃないの、貴方は確かに身体的には何も問題はないけど、内面的には治っていないのよ
いわば病人なの、それを迷惑とか思っているなら、もう貴方の帰ってくる場所は有りません」
リンディはなのはに対してあえてキツイ態度をとり、突き放した。
だかリンディも他のスタッフも本心では誰もなのはの事を嫌ってはいない、ただリンディは長年培った経験でこのような
無茶をし続けて結局は味方の方にも甚大な被害を齎す、人物や人柄を知った上での発言だった。
だが・・・
それを純粋に受け取る人物も少なからずいる、それが今回の高町なのはである。
なのはは叩かれた頬に手を置き、なみだ目になりながらなにかを訴えようとするが元々なのはの家の事情が
複雑であった為に、人に迷惑をかけてはいけないと思い込んでいる節があり、リンディに叩かれたことも含めて。
「ごめんなさい、私が間違っていました」
リンディとなのはより少し前の時間、ヴィータも余りにも動揺が激しい為に一ヶ月の休養を言い渡された。
最もその殆どがなのはがらみであったのだが。
そしてヴィータはなのはがいる別の場所に向かっていた、その時である
突如なのはがいる部屋から何かの音が聞こえたのは。
「いったい、どうなってやがる」
基本的には魔法使用は本局では使用禁止である。無論一部の例外はあるがここの病棟がある区画でも
大抵は禁止区画である事は違いない。
その為にヴィータはただ走るしかなく。その部屋の中に入った時にはリンディと泣いているなのはがいるだけである。
「どうしたんだ、リンディになのは、いったいなにが起きたんだ」
そもそも事前のやり取りをしらないヴィータはなのはが泣いている事とリンディがいる事に説明を要求するこのような口調に
なっていた。ただでさえなのはの事で頭が一杯でテンパッテいたヴィータには体裁をつくろう暇がなく乱暴な口調になっていた。
「いいのヴィータちゃん、私がわるいんだから」
そう言い切るとなのはは黙ってしまった、ただリンディから貰った辞令をみながら。
リンディもなのはの方を見ながら、少しだけ悪いのかなやんだ表情をして。
「ヴィータさんも貰ったよね、ならわるいんだけど、このままなのはさんを地球まで送ってくれないかしら、
私じゃあ、またもめちゃいそうだから」
ヴィータもその言葉で何かを察したようでなのはの手をとり、そのままトランスポーターがある場所までなのはをひぱっていく
途中なのはが
「ヴィータちゃん、ちっとまってよ、まだ手続き済んでないよ〜」
と言っていたが、ヴィータがなのはをひっぱていく時には既にリンディが手を回しており退院の手続きは終わっている。
こうしてなのはたちの周りは加速度的に進んでいるだがこのやり取りもなのはを助けた3日後であるが仕方がないことだ。
ヴィータはこの3日間に未だになのは自身には何かしらの偏重はないことに安堵しているが。 何時血を飲ませるのかはあの男性から聞いてはいないのだ。
ゆえに何時もなのはの事を考えるようになってしまた。
なのはにとっては今までとうぜの如く魔法を使いパートナーであるレイジングハートと共に魔法をより上手く扱える訓練をしていたが。
それら全てを行き成り使えなくなったのだ。
人はよりどころを失えば、余りにも脆い存在になってしまう。
なのはもその例外ではない。
確かになのはが無事に帰ってきたのは高町家の皆は嬉しかったが逆に父・士郎を初めとする武道を極めている者達にとっては。娘のなのはの表情は笑っているが、何かしらの影ような気配はおのずと感じとってしまう。
母の桃子も同様だ。娘であるなのはが重症を受けたと娘の友達であるフェイトの母親である。リンディから聞かされたときはほど、動揺を隠せないほど
動揺していたのだ。 だがその3日後には無事に娘が戻ってきたのは嬉しいが、やはり何かしら変化をあると判ってしまったのだ。
なのはの寝室
なのはは久しぶりに戻ったみずからのベットにそのままねっころがり、自らの手にある赤い珠に話しかけていた。
「私・・・もう魔法は使えないのかな、レイジングハート」
※日本語になります【マスター・・・また使えるようになります、ただしそれまでは静養して体調を整えてください】
「でも・・・【あの時】は、使えなかった」
【あの時は、マスターの疲労が原因です】
「酷いよ・・・レイジングハート」
【本当の事です】
「それでも・・・半年間も休むのは皆に申し訳ないよ」
ここら辺はなのはが育った環境に影響されているのだろう。 元々例の男性がなのはを助けなければ今は生きていることすらできないのだ。
だがなのはソレを知らないし、知っているレイジングハートはヴィータが
「・・・レイジングハート、かならず かならず お前のマスターのなのはに話すだから今は時間が欲しい」
の一言で納得はしているがそれでも本当にマスターであるなのはに危機が迫ったとはき、ヴィータより先に話す準備も出来ている。
だが時は待ってはくれない、確実にその時の針を進行させているのだ、ゆっくりと確実に進んでいる。
その頃、優子の店では2人の原種とロードが同時に現れた。
「久しぶりだな、次元の魔女」
「貴方が次元の魔女ですね」
「・・・・・・」
昴流は黙っているが、やはり原種として流れる血がロードと呼ばれるサトシに反応していた。
無論もう一人の原種である神威もやはり気になっていたが、次元の魔女に会いに来たのだ。
一々荒立てて【次元を何回も渡れる物】を対価を支払ってもらう前に余計な対価を払う必要はないのだ。
「今日は客が多いよね、それに2人の吸血鬼はその人に手を出しては駄目よ、判っていると思うけど」
侑子も知っているのだ、原種とロードは似ているが似てない種である事を。
「・・・魔女、次元を渡れる術を」
「いいわ、貴方達の願い叶えましょう、ただし対価がいるわよ」
「判っています、昴流と僕の願いですから」
「さっさと何がいいか、いえ魔女」
「対価は貴方達が持っている、貴方達を倒せる唯一の武器よ」
「判りました」
「・・・いいだろう」
神威は十字架の形をした物と昴流は長剣の形をした物を魔女に対価として差し出した。
同時に魔女が突然に出した、【月型の一つの指輪】が現れた。
「これが貴方達を別次元に、運んでくれる【月黄泉】と呼ばれる魔道具だけど」
魔女はその指輪にキスをした瞬間に指輪は綺麗に二つに割れてしまった。
2人の吸血鬼はそれを見て驚くしかなかった。
「なにをする魔女」
「・・・・・・」
神威はその行動に怒ったようで、目の色を金色に変えて今にも襲い掛かる勢いを見せていた。
一方の昴流も黙ったままだったが。やはり目の色は既に金色に変わっていた。
たがその直後にその二つに割れた指輪がまるで意志を持つようにして、神威と昴流の前まで飛んでいくと
そのまま、何事もなかったように二人の体内の中へと消えてしまった。まるで人が空気を吸って呼吸をするように何事もなく
消えたのだ。その行為を黙って見ている昴流がようやく口を開けた。
「俺達の身体に何をした、魔女よ!!!」
「対価である次元を渡れる魔道具をそれぞれの身体に仕込ませてもらったわ、無論2人が一緒でなければ次元移動は出来ないから
それを気をつけて、次元移動の仕方は2人が同時に願う事それで次元移動は可能よ、わかった二人の吸血鬼」
いかにも説明したくない表情をしながら話す、侑子さんは相変わらずである。
2人の吸血鬼である神威と昴流は次元の魔女である侑子さんの説明を受けて、納得したようなしていないような表情を浮かべている。
「本当だろうな、次元の魔女よ」
神威は相変わらずだ、だか仕方がないことでも言える、あのハンターが追いついてくる可能性も入れているのだ
ゆえに一刻も早く次の次元世界へ行かねばならない、それゆえに対価として自らを滅する唯一の武器を渡したのだが、手に入ったのは
割れた指輪のみである。
それも既に自分達の身体に吸収されて見えなくなっているのだ、人に限らず誰だってちゃんとした物を見て使い理解するそれを持つ者
達だけが生存し進化し続けてきたのだ。
「ならためせばいいでしょう、ただ貴方達の願いは対価として余りにも大きすぎるために2人で一つとして願いをかなえる条件として
初めて満たされるものだから。だから貴方だけでは次元は渡れないわよ」
今度こそ黙りこむ神威にたいして、昴流はその説明の意味を知り黙っていた。
「神威・・・次元の魔女は取り決めに対しては嘘はつかないはずだから」
「判った、だが昴流の言う言葉だから、信じてやる」
神威は昴流の左手を握り。
「「次の次元へ」」
と2人の足元には妙な魔法陣が現れて、そのまま2人を別の次元世界へと旅立った。
後書き〜
ツバサクロニクルから参戦しました。
神威と昴流の2人の吸血鬼です
2人は原種と呼ばれる存在です、ただ主人公のように不老不死ではなく、ただ単に老化が遅くて死ににくい存在です
ツバサの三巻目のDVDとツバサの17巻で侑子さんが言っているので調べれば判ります
ロードはまた別の存在です。原種の血が反応するぐらい危険な存在ですが、自ら力を振るう事を極端に拒んでいます
その為に侑子さんのように対価を支払って、力を発揮してなのはを助けたようです。