Air 第十五幕 それから(後編)

 

「どうです? 小百合さん。あれから身体のほうは」

「んー、まだ少し頭がぼおっとすることもあるけれど、概ね大丈夫かしらね」

「ふむ……まあ峠は越えた、というところですか。一応薬は出しておきますから、毎食後に服用してください」

「悪いわね、聖ちゃん。色々気を使ってもらっちゃって。あなただって、本当はそうとうに疲れているでしょうに」

「はは、気にしないでください。私はあなたほど活発に動き回っていたわけではありませんから。それに、病にかかった人を救うのが医者の務めです」

 季節が夏から秋に変わりはじめたころ、小百合は高熱を出して寝込んでしまった。記憶を取り戻してから、ずっと神経をすり減らすような想いをしてきて、身体が疲れきっていたのだろう。なのに小百合は身体の訴えを無視して、翼人を救うすべを探し求めていた。その結果、精神的にも体力的にも無理を続けることになってしまい、紗衣が空に帰ったあの日、呪いが解け、空に囚われた少女を助け出すという想いが叶ったあの日、連日のあいだ溜まりに溜まり続けていた疲れが一気にあふれ出してきてしまったのだろう。そのせいで小百合は体調を崩し、つい先日まで、ずっと寝込み続けていた。小百合の体調が回復したのは、ほんの一日二日前の出来事でしかなかった。

「さて、私はこの先どうしようかしらね」

「この先、というと?」

「これから先の人生のことよ。美凪も和樹ももう私を必要とするような歳じゃないし、あの人、私の元夫とよりを戻すつもりもない。まあ私にそのつもりがあったとしても、向こうはすでに再婚済みなのだから、元よりやり直すというのは無理だったとは思うけどね。はぁーあ、どこかにこんな中年のおばさんと結婚してくれるような、心の広い人はいないものかしら」

「いっそお見合いの写真でも作ってみたらどうです?」

「お見合いねぇ……ちょっと気が進まないわね。あ、そうだ。そういえば聖ちゃん、あなたはしないの? 結婚」

「えっ、私ですか? 私はその……医者の仕事が……」

「そんなこと言ってたら一生結婚できないって、あなた、生涯独身なんかでいいと思ってるの? けっこう大変よそれ。老後とか、周りからヘンな人を見るような目で見られるし」

「えっ、いや、私は佳乃の病気を治そうと思って医者を目指して……」

 そこまで言って、聖は墓穴を掘ったことに気づいた。佳乃のなかに眠っていたもう一人の佳乃、白穂、その人はすでに空に帰り、佳乃が奇妙な存在に身体を乗っとられることは、もう未来永劫ないのだ。しかも運が悪いことに、小百合もそのことを知っている。

「なーんだ」

 ぱちんっ。小百合は嬉しそうに両手を合わせる。

「じゃあもう、なんの問題もないわけじゃない。さ、そうと決まったらいますぐお見合い写真を取りに行かなきゃ」

「い、いまからですかっ」

「とーぜん。善は急げよ。えーと……この近くでお見合い写真を取ってくれるお店はー」

 暴走した小百合は聖を引っ張ると、そのまま診療所の扉を開けて聖を自分の車に放り込み、ほとんど拉致に近い状態で車を走らせていく。

 …聖の災難なその後は、かわいそうなので割愛することとする。

 

 

 気がつくと、神社の境内。あたりには色とりどりの屋台が並んでいる。

 橙色ににじむ、提灯の光。祭を楽しむ人々で賑わっている。そのなかにぽつんと、佳乃が立っていた。おろしたての浴衣を着て、手には風船を持っている。

 そのせいか、どこか幼く見える。

「…お母さんっ」

 心細そうに、辺りを見回す。

「お母さん、どこっ?」

 やさしげな声が返ってきた。

「ここですよ」

「お母さん……」

「はいはい。ここにいますよ」

 佳乃は安心したようだった。しかしその微笑みは、どこかぎこちない。幸せな自分に、戸惑っているかのようだった。あるいは、今見ているこの映像が夢だと気づいていて、いつか覚めてしまうことを知っているから、だから、素直に喜べないでいるのかもしれない。

「食べたいもの、ある?」

「もうお腹いっぱい」

「ほしい物はある?」

「ううん」

「もっと風船、ほしい?」

「ううん、もうっ、子供扱いしないでよ。あたし、もう風船を欲しがるような歳じゃないんだから」

 赤い風船を片手にそんな言葉を言ってもあまり説得力がないように思えたが、母親は微笑を浮かべたまま、何も言わないでいた。祭囃子の音色だけが、繰り返し流れている。

「お母さん」

「なあに?」

「えっとね……えっと……」

 辺りを見回す。自分の居場所を確かめるように。そして、佳乃は言った。

「あたし、もう帰る。お姉ちゃんが待ってるから。お姉ちゃん、きっと心配してるから。お姉ちゃんに心配かけさせるようなこと、したくないから。それにね……」

 うつむき加減に、佳乃は打ち明ける。

「好きな人が、できたの。ちょっとぶっきらぼうだけど、やさしくしてくれる。その人、女の子を探していたんだって、空にいる女の子。その子がね、あたしだったらいいなぁってちょっと思ったけど、でも違ったみたい。その空にいるって女の子は、あたしの大切な親友、神尾観鈴ちゃんを助けてくれたの。だからあたしにとっても恩人なんだけど、あたしの好きな人はずっとその人のことを追いかけてたわけだから、ちょっと複雑。…ちょっとだけ、嫉妬してるのかも……あはは、自分でもなに言ってるのかよくわかんなくなってきちゃった。まだまだダメだね、あたしは。お姉ちゃんみたいに頭がよくないから、自分で喋っててこんがらがってきちゃった」

 佳乃は笑おうとしたけれど、うまく笑うことができず、そのまま声を失ったように、黙りこんでしまう。母親はただ、娘のことを見守っていた。その輪郭が、じんわりと光にぼやけている。やがて、母は言った。

「辛いのなら、わたしと来てもいいのよ。あなたはいつまでも、甘えんぼだから。わたしと一緒に、いつまでもいていいのよ。ほら……」

 差し出された、手のひら。

 佳乃が何よりも望んだはずの温もり。心の奥で大切にしてきた、幼い日の印象。だけど佳乃はもう、それに触れようとはしなかった。もう、覚悟を決めていたから。

「えっとね、お母さん」

「うん?」

「ありがとう」

 母親は、不思議そうに顔を傾ける。なぜお礼を言われるのか、その理由がよくわからないみたいだった。

「あたしはお母さんのこと、よく覚えてないけど、あたしのためにお母さん、長生きできなかったのかもしれないけど、でも……あたしを生んでくれて、ありがとう。それだけ、言いたかったの」

 母親は、何も答えなかった。

 差し出した指が、わずかに震える。ほんのわずかに、口元で微笑む。

「佳乃。あなたには、羽根はないから。辛くても、空にはこられないから……だから、そこで幸せにおなりなさい」

 目を覚ますと、そこは真っ白なベッドの上。自分の部屋の、自分のベッドの上だった。

「やっぱり、夢だったんだ……」

 不意に、佳乃は独り言をこぼす。母親の夢を見ることなんてここ数年ずっとなかったのに、どうして今頃になって、思い出したように夢のなかにお母さんが出てきたのだろう……。

 考えてみたけれど、答えは出てこない。ベッドの上で身体を起こしぼおっとしていると、扉を叩くノック音。

「佳乃、起きてるか? 入るぞ」

「わわわっ、ちょっ、ちょっと待って和樹君」

 ベッドから飛び起きてピンク色のパジャマを脱ぎ捨てると、タンスから真っ白なブラウスを取り出し、それを頭からかぶる。鏡台に向かって鏡の中の自分を覗きこむ。幸い髪の毛に寝癖も、顔にへんな汚れがついているわけでもない。これなら、人前に出ても問題なさそうだ。

 立ち上がり部屋の隅に向かうと、鍵のかけられていた扉を内側から開く。

 取っ手を回す音が響いて、男の人が中に入ってくる。

 獅堂和樹君。夢のなかでお母さんに告げた、好きな人……。

「………」

「なんだよ、俺の顔になにかついてるのか?」

「あ、ううん。そんなことないよ。何にもついてない。ちょっとぼおっとしちゃって、寝ぼけてるのかな。あははっ」

 不思議そうに和樹は首を横に傾けて、「まあいいや」と、その場に座り込む。

「それで、和樹君はこんな朝早くになんのようかな?」

 部屋に置かれた柱時計は、まだ朝の八時をわずかに過ぎたあたりを指し示している。遊びに来るにしても、少し早すぎる時間。

「いや、別に深い意味はないけど……なんていうか……お前の顔が見たくなったって言うか……」

「えっ、それって……」

 しどろもどろに吐き出された和樹の言葉に、佳乃は戸惑い、言葉を詰まらせる。

「………」

「………」

 引き伸ばされた沈黙が、二人のあいだを埋めていく。

 それは、永遠ともいえるほど長い時間。沈黙を破ったのは、佳乃のほうからだった。

「あの、和樹君。力は、戻ってないのかな?」

「ん、ああ」

『力』というのは、法術のことだ。

「あの時以来、どうやっても物を動かすことができない。色々なもので試してみたけど、何一つ、動かすことはできなかった。今までどうやってたかのほうが、不思議なくらいだ」

「やっぱり、紗衣ちゃんが亡くなっちゃったことが、力が亡くなった原因なのかな……」

「だろうな。法術は、自分たち翼人が人間に与えた力だと紗衣自身言っていたし、人間が法術を使えたのも、少なくとも俺が知る限り、翼人を助け出すという目標が、目的があったからだ。だから、紗衣が空に帰って翼人の魂が救われて、法術という力は役目を終えた。力の喪失は、たぶんそれが原因なんだと思う」

「ごめんね。せっかくそんな力を持ってたのに……」

「いいさ、佳乃が悪いわけじゃない。それに、もともとそのための力だったんだ。今の俺が法術を使えたとしても、宝の持ち腐れ。なんの意味もない」

 もともと和樹にとって法術とは、母親を探す手がかりでしかなかった。美凪に出会い、みちるに出会い、本来の目的、空に囚われた少女を助け出すために法術を使うようになっていったが、その役目も終わり、和樹にとって法術は、完全に不要なものになってしまっていた。

「…結局あたし達最後は、見ていることしかできなかったんだよね。観鈴ちゃんのお母さんや往人君があんなに頑張ってたのに、見ていることしかできなかった」

「そうだな。でも、無力だったわけじゃないさ」

「えっ?」

「俺たちは、見ていることしかできなかったんじゃない。紗衣と神尾観鈴って人の頑張りを、見届けることが、見守ることができた。翼人のことも、呪いのことも、何もかも知っていた俺たちが、始祖と呼ばれる翼人の最後を見届けることができた。それだけで、十分なんじゃないかな。俺たちは見届けた。だから、後世に翼人という存在がいたことを残すことができる。人々が翼人を忘れないように、後世の人たちに、その名前を言い伝えることができる。たぶんそれが、俺たちの役目なんだと思う…」

「あたしたちの、役目…」

「ん、どうした?」

 急に佳乃がそわそわし始めたのに気づいて、和樹は不思議そうに疑問を投げかける。

「えっと、ちょっと一緒に行ってほしいところがあるんだけど」

 木枯らしが秋の風となって吹いていく中を、和樹と佳乃は歩いていく。商店街を抜け、橋を渡り、山道、参道を抜け、たどり着いたのは、神社の裏手の草地だった。

「こんなところがあったんだな……」

「ここは知ってる人、少ないんだよぉ。…んしょっ」

 スカートの裾を押さえながら、草の上にぱたりと寝転がる。それにならい、和樹もその場に仰向けになった。

 季節は秋に差し掛かり始めたとはいえ、まだまだ陽ざしは熱く、じりじりと地面を熱していく。

 太陽はまだ高い。時間はまだたっぷりある。のんびりとふたりで横になっている時間も、ふたりで話し合う時間も、まだまだたっぷりと残っている。

 ふと、和樹は視線を横にする。佳乃の瞳に、空が映っている。入道雲がゆっくりと空高くを漂っていて、真っ白なその身体で、ウサギの顔を作っている。まん丸とした白から飛び出した、二本の長い雲。ウサギの耳。

 なぜだか笑い出しそうになって、和樹はふっと頬を緩ませる。

「えっとね……ホントのこと、言うとね、わたしも、ホントに魔法が使えるんだよ……」

 布の擦れる音がして、佳乃がバンダナを外す。いつだったか聖と俺の前でバンダナを取りさった後も、佳乃はずっとバンダナを締め続けていた。

『大人になったら魔法が使える』

 かつて、佳乃はそんなようなことを言っていた。佳乃自身はそのことを、姉に迷惑をかけないよう、自分は夢見る少女でいる必要があるからと、そう笑っていたけれど、たぶん佳乃はきっと、心の奥底では、信じていたのだろう。

 大人になったら、魔法が使えると……。

 大人。あいまいだった言葉。それを今、佳乃は口にした。それは、彼女が大人になったことを意味するのか、彼女が自分自身を、大人だと自覚したことを意味するのか……。

 佳乃は外したバンダナを、和樹の手首に巻きつける。結び目が、ぎゅっと締め付けられる。

 そして、佳乃は言う。魔法の言葉。

「これを結ぶとね……この町のことが大好きになっちゃうの。それでね、ずっとここにいたくなるの。もう、どこにも行くことはなくなって、ここでずっとずっと、あたしと一緒に暮らすの。それでね、それで……」

 そこで途切れた言葉。

 触れ合う互いの唇。

 優しげな秋の時間を閉じ込めるように、互いの温もりが伝わっていく。互いの息づかいが伝わっていく。

「ダメ……かなぁ」

 ためらうように、佳乃は続きを呟く。

「ダメだな」

「…えっ?」

 あわてて佳乃は身体を起こそうとする。和樹は無言のまま、手に巻かれたバンダナを外す。風が吹いて、黄色い大きなバンダナは空へと漂っていく。風は強く、バンダナは手を伸ばしてももう届かないくらい、もうずっと遥か遠い、空の高みへと飛んでいってしまっていた。

「佳乃、俺の『力』がなくなったように、お前の魔法も、もう力を失っているんだ。だから、魔法に頼ろうとするのはもうやめろ。魔法なんてものに頼っていたら、自分の力で問題を解決することができなくなる。なんでも魔法に頼ってしまう、何もできない人間になっちまう。だから、俺はもう魔法は使わない。いや、使えないんだけどな」

 小さく笑みを浮かべて、和樹は言葉を続ける。

「だから佳乃、お前にも、そうして欲しいんだ。魔法なんかに頼らずに、自分の意思で、はっきりと言葉を告げて欲しい」

 秋の風のなか、ゆっくりとバンダナが地面に向けて落ちてくる。魔法をかけられたバンダナは、空に届くことはなかった。子供の頃にあこがれた夢は、空に届くことはなかった。

 でも、それはある意味当たり前のことなのかもしれない。

 夢は、風船とは違う。手を離せば空の高みへと勝手に飛んでいってくれる、そんな便利な存在とは、風船とは違う。夢を願っているだけでは、風に吹かれ、地面に落ちていくバンダナのように、やがて夢はついえてしまう。願うだけでは叶えられないから、自らの手で努力しなければ、自ら手を差し出さなければ、なにも得ることはできないから。

 和樹の想いが通じたのか、やがて佳乃は大きく息を吸い込み、吐き出し、深呼吸して言った。

「和樹君。あたし、あなたにここにいて欲しい。ずっとずっとあたしのそばにいて、あたしの寂しさを、吹き飛ばしてほしい」

 佳乃の言った言葉。それは、魔法ではない。魔法に頼った言葉ではない。

 霧島佳乃という一人の少女の、心からの言葉。だから、和樹の答えは決まっていた。彼の気持ちもまた、佳乃と同じだったのだから……。

 

 

 

 あとがき 

 その後の話、今回は聖、小百合、佳乃、和樹のパートをお送りしました。

 聖さんは本編中はり詰めてばかりいたので、今後はゆっくり余生(まてっ)を送

ってもらいたいものです。聖のパート、いっそのことハイテンションギャグに

したほうがよかった気がするのですが、作者にハイテンションギャグを書く技

術がないのでこのようなことに……。

 うう、ハイテンションをかける人がうらやましい。

 さて、それではキャラ解説に移りたいと思います。(前回のキャラ解説を見て

もらってわかるとおり、作者側の愚痴や思っていたことを長々と羅列している

だけなので、正直あまり見る必要はないと思いますw)

 

 キャラクター解説 06 遠野小百合

 原作に一応登場している方ですね。美凪のお母さんです。原作では美凪とみ

ちるにスポットライトが当たっていたせいか、みちるとの出来事の当事者のは

ずなのに、どこか蚊帳の外、という印象を受けていた人物です。彼女の心情を

入れることで、美凪とみちるとの価値観、考え方のずれなどを描ければなあと

思い、一人のキャラとして描くことに。

 物語後半では子供たちのまとめ役をやってもらうつもりだったのですが、い

まいちしっかりとした出番を与えてあげることが出来ず、歯がゆい結果を残す

ことになってしまいました。

 

 キャラクター解説 07  霧島聖

 原作、佳乃編に登場した佳乃のお姉さんでお医者さん。この作品、正直彼女

が影の主役だったと私は思っています。どの章でも本格的に話に関わってくる

わけではないのですが、忠告したり助言したり医者らしく振舞ったり、困った

ときの聖さん、というぐらい頼らせてもらった人物だと思います。無関係なの

に一番の苦労人。本編を終え、心よりお疲れ様、と言ってあげたい人物です。

 

 

 キャラクター解説 08 霧島佳乃

 豆腐の角に頭でもぶつけたか? と思うぐらい原作と性格がかけ離れてしま

ったメインヒロインの一人、佳乃さんです。彼女のストーリーを原作で見て、

白穂のくだりが翼人を巡るメインストーリーに物凄く関係があるように感じ、

本格的に話に絡ませることになりました。ただ使いたいのはあくまでも白穂で

あり、佳乃はある意味必要な人物ではありません。彼女にも国崎や翼人の因縁

を与えようと最初思っていたのですが、それでは美凪と立ち位置がかぶると思

い、あえて原作どおり翼人とは無関係なキャラとして描いてみました。ただこ

の話においてのヒロインは観鈴や美凪と考えており、彼女はヒロインではあり

ません。他の人を助けるために頑張る。どことなく、聖に似たキャラクターに

なったような気がします。

 

 

 キャラクター解説 09 獅堂和樹 

 この作品のオリジナルキャラ。観鈴に往人が付きっきりになったため、代わ

りにストーリーを動かしてくれる人物、ということで白羽の矢がたったのが彼

です。性格も身なり、家庭環境など全てが往人と異なっているにもかかわらず、

原作を再現するということに私が捕らわれすぎていたせいで、美凪編を原作そ

のままに描いてしまい、和樹らしさ、をあまり演出できなかったことが残念で

す。佳乃とのカップリングのくだりがかなり強引になってしまっていたので、

もう少しそれを匂わせる話を事前に入れておくべきだったなぁ。

 佳乃に向けていった言葉『魔法に頼るな』は結構気に入っているフレーズで、

物語のテーマとしてもしっかりしている気がするので、いつか「魔法にたよる

な」に近いものを、今後何かしらの作品で書いてみたいなと思っています。

 

 

 キャラクター解説 10 蓮鹿 

 この作品のオリジナルキャラクターですね。ナイスミドルなおっさんを出し

たいw が登場させた一番大きな理由です。元々は紗衣の用心棒ぐらいのつも

りだったのですが、あれよあれよと設定を付け加えていくうち、気がつけば過

去と現代との橋渡しをしてくれる、かなりの重要人物になってくれました。彼

のおかげで裏葉のキャラに深みを出すことが出来ましたし。

 それでは、次回Air編最終話まで皆様お元気で。




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