Feather 第十幕 おもいで
「んー、やっぱり屋上は風が気持ちいいねー」
鉄扉を開けると、吹き荒れる空気の波が、頬をふわりと駆け抜けてゆく感じを楽しむように、佳乃は両手を交差させ大空に向けて広げる。
「…そうですね。私もそう思います」
屋上には美凪がいた。今日も夏期講習があったのだろう。屋上の隅っこのほうに、美凪の荷物らしき黒色の鞄が一つ置かれている。
「…そういえば霧島さんは……どうして学校に?」
「あれ、言ってなかったっけ? あたし飼育委員さんだから、ウサギ君たちのお世話をするために、毎日学校に来てるんだよ」
「それはそれは……ご苦労様です……」
首を下に傾けると、真っ青な大草原が一転、小さな堤防が視界に入ってくる。それは、見覚えのある堤防。一人の少女が、風を受け続けていた堤防。
「観鈴ちゃん、元気かな……」
不意に、佳乃がこぼした言葉。それが、渦巻く空気の色を豹変させていく。
「…たしか……旅行に行っているのでしたっけ?」
「うん、あんな身体で外出なんて無茶だって、お姉ちゃんずっと怒ってた。でもね、往人君は観鈴ちゃんのことを気づかって、助けてあげようと一生懸命だったから、それもきっと何か考えがあってのことなんだって、あたし思うの」
実際に外出しているかどうかを確かめたわけではないが、裏口を含め全ての箇所に鍵がかけられていたのだから、聖たちが神尾の家が留守だと勘違いしたのも、無理はないだろう。
「それに比べてあたしは何もできなくて、結局ただ、目をそむけているだけで……」
「…無理もないです。癇癪のことを知っていれば、…誰だって霧島さんのようになってしまうのは。…私だってそうでしたから……」
「でもね、往人君は、往人君だけは違った。癇癪が起きてもそれに恐れることなく、正面からそれと向き合おうとしていた」
「…強いんですね。往人という、その方は」
美凪は国崎往人のことをほとんど知らない。けれどその人が、神尾さんのことを真剣に助けようとしていることだけは分かっていた。あの日、神尾さんの家からかけていると言った男の人の声。それがきっと往人という人なのだろう。真っ直ぐで、とても力強い声だった。
「あたしにも、あの強さがあればよかったんだけどね……」
昔、神尾観鈴が十歳くらいのころ、彼女には友達がいた。診療所の末っ子の女の子で、名前は霧島佳乃。二人はとても仲良しで、いわゆる親友と呼べるような間柄だった。けれど、そんな関係はある日突然崩壊した。
美凪のときと同じ、突然に観鈴は泣きじゃくり、手を触れようとするとそれを拒絶する。だから、佳乃はいつも見ていることしかできない。
遊んでいるうちに観鈴が泣き出してしまい、どうすることもできなくなった佳乃は観鈴を家まで送ってあげて、そしてその日の遊びはそれで終わり。
そんなことがしばらく続いて、佳乃は観鈴と遊ぶことに疲れてしまった。
この町は小さな町だ。しかし、遊ぶ友達に困るほど過疎化しているというわけでもない。
神尾観鈴と霧島佳乃。つまり二人の関係は、そうゆうことだった。
「なんで今頃こんなこと思い出してるんだろ……あはは、馬鹿みたい。観鈴ちゃんを裏切ったのはあたしなのに……今更あのころになんて、戻れるはずもないのに」
熱気を帯びたコンクリートに、瞳から流れた一滴の雫が、ほおを伝い吸いこまれるように落ちていき、じゅわっと音を立てて、それが蒸発する。
「ところで、遠野さんいいの? こんな場所にいて」
気を紛らわすように、観鈴から逃げるように、佳乃は突然に話題を変える。
「…はい? なぜでしょうか」
「お母さんに早く顔みせてあげなくちゃ」
急かすように言う。
「…家には、和樹さんがいますから。ちょっと帰りづらくて……」
確かにそれもあった。けれど、それが全てでもない。母がみちるの死を受け入れ、自分を美凪として受け入れてくれた。それは嬉しいことだけど、だけど今もみちるはこの町にいて、このまま母と暮らしていけば、いつかみちるを失ってしまうような、そんな気がして……。
そんな感情が足枷となり、美凪は家に帰ることに抵抗を感じていた。
「ああそうか。和樹君、お兄さんだってね。でも死んだと思っていた人が生きてたんなら、素直に喜べばいいんじゃない?」
美凪の心境を知ってか知らずか、佳乃はそんな風に言う。
「…それが、母からは何も聞いてなかったんですよ」
「なにもって、和樹君のことを?」
「…はい。なので、突然兄ができてしまったみたいで、まだ戸惑っていたりしちゃってます」
言って、美凪は遠くのほうに見える水平線を、目でずっと追いかけていた。
近年の一般的な建物の例にもれないように、遠野家も茶色い光沢のフローリング製の床がほとんどで、畳の部屋は小百合と和樹が腰を落ちつけている、この四畳の部屋のみだった。
和樹は物珍しそうに畳の緑に手をすべらせて、ごわごわしたその感触に、不思議そうに首をかたむける。今までずっと旅から旅の暮らしだったことも関係して、和室に膝を落ちつけるなんてことは今までなかったので、和樹の表情は少し戸惑っているようにも見えた。
「若者にはやっぱり畳ってあわないかしら。じっくりと話しあうなら、こうゆう場所のほうがいいと思ったんだけど」
色々と聞きたいことがある。そう言って、小百合は和樹を家に招いた。
互いのことを家族として認識しあったとはいえ、やはり十数年の歳月がもたらした壁は大きく、和樹はいまだ駅舎での生活を続けていた。
そのため和樹が遠野家に来るのは、あの日をのぞけば今日が初めてだった。
「それで、母さん話ってのは……」
そこまで和樹がいいかけると、小百合は口元を緩め、くすくすと小さく笑いはじめる。
「何だよ。何がそんなにおかしいんだよ」
「ふふふ。いえ、なんでもないの。和樹があんまりあっさり私のことを母さんなんて呼ぶもんだから、なんだかおかしくて」
「たくっ、なに言ってんだか。いまさら小百合さんなんて、他人行儀に呼ぶわけにもいかないだろ」
「ふふ、それはそうかもしれないけど。でもなんだか嬉しくて。…さて、それじゃ気を取りなおして真面目な話ね」
小百合の顔から笑顔が消える。
「和樹。あなた、法術は使えるわね」
「ああ、親父に教えこまれたからな」
和樹は手近にあったお茶菓子のせんべいに手をかざす。すると、それはふわっと宙に舞いあがる。小百合はそれを見て満足そうに頷くと、言葉を続ける。
「翼を持つ者のことも知っているのね」
和樹はその問いに、静かに首を前にかたむける。
「それで、その子には会えた?」
瞬間、和樹の脳裏にみちるの姿が横切った。
昨夜の彼女の話は、幼いころに聞かされた翼を持つ者の話と、どことなく共通する箇所があるように感じた。無関係とは、どうしても思えなかった。
「…いや、まだ探してる途中だ」
けれどそれを口に出してしまうのは、認めてしまうのは、なんとなく危険な気がして、それを認めてしまったとたん、みちるが消えてしまうような……。
そんな風に思えて、和樹はそれを伏せておくことにした。
「そう。…それにしても、あなたまで翼を駆るものの、絵空事のようなことに巻きこまれてしまうなんてね」
小さくため息をつく音が聞こえた。
「…これも運命ってことなのかしら」
「運命?」
「あ、ううん。別になんでもないわ。ところであなたを育ててくれた、その……、和樹がお父さんって呼んでいる、その人はなんて方なの?」
「ん、ああ。獅堂漸治って変わり者だよ」
「獅堂漸治!?」
小百合は突如声を張り上げる。
「あ、ああ。そうだけど…母さんひょっとして知り合いだったのか?」
「知り合いも何も…私のお父さんの名前よ。それ」
「はっ? 母さんの父親ってことはつまり俺の……」
「祖父にあたるわね」
「ちょっと待てよ。親父の年齢はどう見ても四十前後だぜ、俺の親父だとしたら、母さんが生まれたとき、仮に親父が二十五ぐらいだったとして……」
「私があなたを生んだのが二十二歳のときだから、計算上は六十歳を超えてるわ」
「同姓同名……ってことか?」
「たぶんそうでしょうけど……でも、どうにも腑に落ちないわね……」
夢に還るように、夢に溶けるように、ひんやりと冷たく心地よい波に身を任せ、潮の香りを肌で感じていく。海のことを懐かしいと思ってしまうのは、生命が海から誕生したからなのだろうか……?
「お母さんって呼べる人がいるのって、どういう気持ちなんだろうね」
水平線上に続く蒼を目で追いながら、少女はそんな疑問を投げかける。
「さあ? 私にはそんな人いないから。でも、海を見て感じる気持ちとよく似ているって、昔誰かがそんなことを言っていたっけ」
「んに、そっか……」
さざなみが打ち上げられ、浜辺の砂をさらって深い海の中へとかえっていく。母親に抱きかかえられるように、白い砂の子供たちが海へとかえっていく。どんなものにも、どんな人にも、帰るべき場所はあるものだから……。
「ねえ、美凪と美凪のお母さんの間の溝がなくなったのなら、みちるはもうお空に帰るべきなのかな。これ以上、ここにいちゃいけないのかな?」
「それを決めるのはみちる自身。でも、一つだけ聞いていい?」
「んに……、なに?」
「体の痛みは……大丈夫なの?」
足の痛み、腕の痛み、背中の痛み。それは、あるはずのない痛み。それは、空に囚われた少女がもたらす、空の少女にかけられた呪いがもたらす痛み。
かつて観鈴が感じていた痛みと同じものを、たしかにみちるも感じていた。だがみちると一緒にいた美凪や和樹は、往人のように身体を病むことはなかった。蓮鹿という男が彼らの代わりに、呪いをその身に受け続けていたのだ。法術は夢を叶える力と伝えられる。その力を用いれば、呪いを受け流すことも、逆にその身を避雷針の代わりとすることも可能であった。
「にはは、決めた。美凪にもうみちるは必要ないから、だからもう空に帰ることにするよ」
紗衣は気づいていた。その笑顔が、見せ掛けだけということに。
砂浜で波に弄ばれるように揺れていた貝殻を拾いあげると、紗衣はそれを海へと放り投げる。小さな水柱が海面上に生まれ、波紋を海原に広げていく。やがて広がった波紋は消え、穏やかさが海に戻ったころ、彼女は言葉を紡ぐ。
「それで、後悔しない? あの子たちとお別れして、それで、本当にみちるが後悔しないと自信を持っていえるのなら、本当に幸せな思い出だったと、胸を張って言うことができるのなら、私は何も言わない。でも、少しでも心残りがあるのなら……もう少しだけ、私や蓮鹿に甘えてもいいんだよ」
深い闇。まるで、月もない夜の海に投げこまれたような、漆黒の闇の色。そんなみちるの心に差し伸べられた、小さくか細い手。でもとても温かくて、とても優しい、温もりを帯びた手。
「んに、それじゃあ、みちるの最後のわがまま聞いてくれる?」
漆黒の色をした海の底から伸びる、助けをこうような手。その幼い手に、紗衣の手が重なる。
願いはとても些細なもの。そして、とても儚いもの。
「あれ、あの子みちるちゃんじゃない?」
浜辺で一人ぽつんと佇んでいた少女を最初に見つけたのは、佳乃のほうだった。制服姿のまま、美凪と二人みちるに駆けよる。
「どうしたの? こんな場所に一人で」
「え、っあ。うに……えっと」
慌てて辺りを見回してみたが、すでに紗衣の姿は消えていた。いつの間にか帰ってしまったようだ。
「美凪やカノリンと遊ぼうと、思ってー!」
にんまりと笑って、両手にすくった水を二人にぱしゃっとかける。
「わわ、こらやめてやめて」
「…みちる……冷たい」
口ではそんな風に言っているものの、佳乃も美凪もとても楽しそうに見えた。制服を堤防にかけ、白いシャツ一枚の姿になった佳乃は、海へともぐりみちるの足をぐいっと引っ張る。当然みちるは転倒、頭から水をかぶってぺっぺっ、と塩辛そうに口に入った水を吐き出す。
「やったな巨大バンダナー」
「なにをー、ずぶ濡れ星人」
「…あの、ずぶ濡れって……そうさせたのは霧島さん……」
美凪の弱々しいつっこみでは二人を止められることもなく、びしょびしょになりながら二人はなおも水をかけあっていた。
柔らかな時間。まろやかな、優しい時間が過ぎてゆく。
「にゃはは、カノリンも美凪も早く早くー」
みちるに案内されて着いたのは岩礁地帯。ごつごつした岩が、幾つも幾つもちりばめられている。
「にゃはは、どう? おサカナさんがいっぱいー」
「…本当だ……いっぱいるね」
「馬和樹がいたら晩飯とか言って取ろうとするかもね」
ゴンっと頭を叩かれる音。
「そこまで落ちぶれちゃいねぇよ」
本人のご登場だった。
「あれ、和樹君。どうしてここに?」
「おう、佳乃。美凪の帰りが遅かったからちょっと心配になってな、それで迎えにきた」
「へぇー、妹さん思いなんだねぇ」
「そんなこと言って、本当は晩御飯に魚捕まえにきたんじゃないの?」
「馬鹿いうな」
魚を片手にぎゅっと握り締めながら言う。
「魚は昼食だろ」
変なこだわりがあった。
海で泳いで浜辺で遊んで、日が暮れるまで、四人はずっと遊んでいた。
それはひどく子供っぽい遊びだったかもしれない。けれど遊びを楽しくする基本は、童心に帰ることなのだろう。だから、つまらないなんて感じる暇さえなかった。
『みちるはね、みちるの思い出がほしい。誰のためでもない、みちるだけのしあわせな思い出がほしい』
それが、みちるの最後のわがまま。
一緒にいる。みんなで、一緒にいる。そんな些細なもの。
「思い出に、なってくれたかな」
浜辺の上の公園の木の木陰から、紗衣はその光景を見守っていた。
幸せそうに笑いあうみちるたちの姿を……いつまでも、いつまでも。
夕方の屋上。黄昏を迎えた町を、遠くに眺める。
山裾から聞こえてくる、ヒグラシの声に背中を押された潮風が、ゆっくりと凪いでゆく。夕日が微かに頭を覗かせていて、星が見えるまでには、まだ幾つかの時が必要だろう。
「少し早すぎたんじゃないのかな」
「…でも……この時間からきておかないと、一番綺麗な星の出を見逃してしまいます」
橙の色素を重ねた空を見上げて交わす、少女たちの会話。佳乃と美凪の声が、大気の中へと消えていく。美凪がいうには、一番星は太陽が沈む西の空に、まるで水平線を優しく撫でるかのように見えるという。だから、待ち続けた。
「あっ!」
みちるが水平線を指差す。
「にゃはは、見えたよーっ、美凪―っ」
「…はい……ようやく御登場です……」
「うっわぁ。すごい綺麗」
まだ夕陽の名残を残した西の空。宵の空に現れた美しい輝きが、ささやかな歌を歌い始める。歌は一つ、また一つと増えていく。
それは、小さな夏の一日を想う歌。今日という日を、ともに終えることができる感謝の歌。
「和樹さん……みちる、それから佳乃さんも」
「んにゅ? なになに?」
「…えっと……これから……みんなで願いをかけてみませんか」
制服のスカートが、恥ずかしげに風になびく。
「願い? 星にか?」
金網の向こう。空にちりばめられた無数の光を和樹が指差す。
「…はい。星の輝きが……私たちの心を綺麗に清めてくれますように……」
「うんっ、いいよー。にゃはは、おそうじきれいきれい、だね」
二人は息のあった調子で、金網越しの空に手を合わせる。その少し後ろに、和樹と佳乃はじっと立っていた。
「…んに? どうしたの、二人はお願いしないの?」
答えたのは、佳乃のほうだった。
「…遠野さん。本当に、それでいいの? 本当に、全てを清めてしまってもいいの? あたしは嫌だな。あたしのお母さんは元々体が弱くて、あたしを産んですぐに、寝たり起きたりの生活を余儀なくされて、ひょっとしたら、あたしが生まれなければお母さんはずっと元気だったのかなって、そう思ったこと何度もあったよ。でもね、だからって生まれてこなければよかったなんて、そんなふうに考えたことは一度もないよ」
凪いでいたはずの風が、ゆっくりと勢いを増していく。
「遠野さん。清めてしまうってことは、お母さんとの思い出も、みんな捨ててしまうことになるんだよ。観鈴ちゃんのことだってそう。悲しくても、辛くても、それを受け入れなければ人は成長できないから、自分の醜さも汚さも、全部抱えながら生きていかないと、そうしないと……そこから先に進むことはできないから、だから」
「…おまえは、手放したいと思っているのか」
和樹がみちるの腕をぐいっと引っ張り、美凪の前に据える。
「おまえは、こいつと過ごした思い出を手放したいのか? 答えてみろ。おまえはどうしたいんだ」
「…いいよ。和樹、カノリン。美凪がこまってる」
掴まれていた腕をはずすと、みちるはそっと、夜風の触れる美凪の肌に手を当てる。
「いいはずないだろ! おまえは……」
「にゃはは、いいんだってば。思い出はなくなったりしないよ」
眩しいくらいに、そして痛々しいくらいの笑顔だった。みちるの言葉を胸に刻みこむように、美凪が両手を胸に当てる。
「…だって……仕方ないじゃないですか。すべては……私の罪から始まってしまったこと……私の罪、私の願い……それさえなければ……誰も夢なんか見なくてすんだはずなんです。…みちるだって……ずっとここにいられたはずなんです」
壊れてしまいそうなほどの小さな風が、海に夜のとばりをおろしはじめていた。夕凪の、穏やかな時間が終わりを告げる。
美凪は口元に手をやり、そのまま屋上を出ていってしまった。
和樹たち三人は、そこに取り残されていた。追いかける足がなかった。
「ねえ、和樹。やっぱりみちるが美凪をくるしめているのかな……」
「馬鹿、そんなわけないだろ。心配するな。あいつはお前のことが、好きで好きで仕方ないんだ」
「…みちるも美凪が大好きだよ」
「大丈夫、あいつもそれはわかってる」
暗い夜の闇に、和樹はため息を一つこぼす。
二人の関係は、きっと俺が思っているよりずっと深い。今更俺がなにを言ったって、美凪とみちるの関係が変わることなんてない。
美凪自身が、自らの意思で変わろうとしなければ、結局何もかも、今のまま変わることなんてない。
「…星…きれいだね」
金網の向こうでは、小さな光がいくつも瞬いていた。とても儚い光。願いを向けるには頼りなく、でも見つめずにはいられない光。
触れれば壊れてしまいそうな少女の心のように、儚く瞬きを続けていた。
あとがき
美凪、和樹、みちる。feather編の主役はあくまでもこの三人なのですが、Featherではそれ以外のキャラも多数物語に深く関わってきます。
観鈴と往人だけに焦点を絞ったDreamとは異なり、Featherではこれからの展開への伏線な部分もかなりあり、それなりに複雑な作りになっています。佳乃などはその典型的な例で、これからの物語に大きく関係していくかもしれません。まあ、どのあたりで本格的に佳乃にスポットライトが当たるかは不明ですが。
また、本編では佳乃編のストーリーはほぼ終わった後として書かれています。自分を生んだためにお母さんは死んじゃった、だから私はお母さんの分まで精一杯生きよう、とそんな感じです。といっても羽根に関するエピソードは物語の主軸に関わってくるので、佳乃編を全くやらないというわけでもありません。また、佳乃の性格自体も原作とはかなり異なっており、本編では姉に心配をかけまいと頑張る、大人になろうと必死な少女、という感じで描かれています。もはや別人ですね。原作の佳乃ファンの方ごめんなさい。
あとがきってか補足説明だな、こりゃ。